教育コラム

赤本を10月より前に解いてはいけない受験生のタイプとは

「赤本、もう買ったほうがいいのかな」「夏休みのうちに志望校の問題を解いておかないと、出遅れる気がする」——そんなふうに焦っている人、きっと多いと思う。書店で赤本コーナーを見るたびに、なんだか心がザワザワするよね。でも、ちょっと待ってほしい。赤本を10月より前に解くことが、かえってあなたの自信を奪ってしまうケースがあるんだ。今日はそんな話をしたいと思う。

なぜ「早く赤本を解かなきゃ」と焦ってしまうのか

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受験生がやたらと早く赤本に手を出したくなるのは、ある意味で自然なことだと思う。SNSを開けば「もう過去問15年分終わった」なんて投稿が流れてくるし、まわりの友達が赤本を持っていると、自分だけ取り残されているような気持ちになる。

でも、赤本というのは「実力を測る道具」であって、「実力をつける道具」ではない。ここを勘違いしている人がとても多いんだ。基礎が固まっていない状態で過去問を解くと、当然ボロボロの点数が出る。そして「やっぱり自分には無理かもしれない」と落ち込んでしまう。本来なら秋以降に伸びるはずだった人が、夏に心を折られて失速してしまう。これはとてももったいないことだと思う。

赤本を10月より前に解いてはいけない受験生というのは、まさにこの「心を折られやすいタイミングにいる人」のことなんだ。

2浪した僕が、赤本で自信を失った話

少し僕自身の話をさせてほしい。僕は2浪している。その1年目、まだ夏も終わらない8月に、第一志望の赤本を「腕試し」のつもりで開いたことがあった。

結果は、数学が200点満点で40点くらい。英語も半分も取れなかった。正直、目の前が真っ暗になった。「あれだけ春から勉強してきたのに、これか」と。その日は問題集を開く気力さえ湧かなくて、ぼんやり天井を見ていたのを今でも覚えている。

でも今振り返ると、あの時点で40点だったのは当たり前なんだ。だってまだ基礎の総まとめが終わっていなかったし、頻出分野の演習も中途半端だった。料理でいえば、まだ下ごしらえの段階。なのに「完成した料理の味見」をして、まずいと落ち込んでいたわけだ。バカみたいだよね。

2浪目は戦略を変えた。夏は徹底的に基礎と典型問題の演習に充てて、赤本に本格的に手を出したのは10月。すると不思議なもので、同じ大学の問題が「あ、これ解けるかも」と思えるようになっていた。点数も6割を超えてきて、そこから一気に伸びていった。あの夏に赤本を封印した判断が、僕の合格を支えてくれたと思っている。

赤本を10月より前に解いてはいけない受験生のタイプ

では具体的に、どんな人が早く赤本を解いてはいけないのか。僕がこれまで指導してきた経験から、3つのタイプをお話ししたい。

タイプ1:基礎の網羅が終わっていない人

これがいちばん多い。たとえば数学なら、青チャートや基礎問題精講の例題がまだ全範囲終わっていない人。英語なら単語帳1冊と基礎文法が固まっていない人。この段階で過去問を解いても、解けない問題が「実力不足なのか」「単に未習なのか」すら判断できない。データとして使えないんだ。

過去問は、ある程度の武器が揃ってから使うもの。武器を持たずに戦場に出ても、ただ傷つくだけだと思う。

タイプ2:点数で一喜一憂しやすいメンタルの人

これは僕自身がそうだった。点数を見ると感情が大きく揺れてしまう人は、まだ実力が完成していない時期に低い点数を見ると、本当に深く落ち込む。そして勉強のペースを崩してしまう。

こういうタイプの人こそ、基礎演習で「できた」という小さな成功体験を積み重ねて、メンタルの土台を作ってから赤本に向かったほうがいい。10月くらいになると実力もついてくるから、過去問の点数も「ちゃんと伸びている」という前向きな材料になりやすいんだ。

タイプ3:過去問が「貴重な実戦練習」である人

赤本は基本的に直近5〜15年分しかない。これは本番形式で時間を測って解ける、貴重な「リハーサル材料」なんだ。それを夏に消費しすぎてしまうと、直前期に「初見で時間配分を練習する」材料が残らなくなる。

特に第一志望校の赤本は、計画的に使ってほしい。僕は受験生に「直近3年分は11月以降のために残しておこう」とよく伝えている。

では、いつ・どう解けばいいのか

目安として、夏のうちに基礎を一周し、9月で典型問題の演習を固める。そして10月から本格的に赤本へ。これが多くの受験生にとって無理のない流れだと思う。ただし、これはあくまで一般論。難関校を目指していて基礎がすでに完成している人なら、夏に1年分だけ「敵を知るために」解くのはアリだ。要は「自分が今どの段階にいるか」を冷静に見極めることが大事なんだ。

まとめ:焦りに負けず、自分の段階を信じよう

赤本を10月より前に解いてはいけない受験生がいる、という話をしてきた。大切なのは、まわりのペースではなく「自分の基礎がどこまで固まっているか」で判断することだと思う。

夏に低い点数を見て落ち込む必要なんて、本当はない。あの2浪目の僕が、赤本を一度封印したことで合格をつかんだように、正しいタイミングで正しい道具を使えば、秋から驚くほど伸びる人はたくさんいる。

焦る気持ちはよくわかる。でも、その焦りに飲み込まれて自信を失うのが、いちばんもったいない。今は地味でも、基礎という土台を丁寧に積み上げてほしい。その土台が高ければ高いほど、10月以降の赤本演習で大きく羽ばたける。あなたのペースを信じて、一歩ずつ進んでいこう。


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