中学受験・算数

青山学院中等部 2026年度 算数 過去問の傾向と解答・解説

数強塾のプロ講師陣

今日の一問
 あるクラス10人の、1週間に読んだ本の冊数です。
2, 3, 3, 5, 7, 8, 8, 8, 10, 16
平均値・中央値・最頻値をそれぞれ求めなさい。
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。答えと考え方は、この記事の中で解説します。

青山学院中等部 2026年度 算数の傾向と解答・解説【数強塾オリジナル】

青山学院中等部 2026年度 算数の傾向(公式公開PDFにもとづくまとめ)

  • 形式:公式PDFの表紙は「算数」、注意書きに「答えは解答用紙に書きなさい」「計算ページは自由に使ってよい」「円周率は3.14」とあります。大問1〜13の、答えのみを書き込む空らん形式が中心で、大問9・12・13のように空らんが複数のものも含まれます。
  • 出題分野の広さ:計算・逆算にはじまり、縮尺と概数、損益算、容器と過不足、料金の場合分け、集合(ベン図)、通過算、面積比、水位の変化のグラフ、折り紙の角度、点の移動、データの活用(平均・中央値・最頻値)まで、幅広い単元が1回のセットに並びます。
  • 問われている力:難問奇問というより、各分野の標準〜やや応用を、手早く正確にさばく処理力が中心と考えられます。1問あたりに使える時間は長くないため、方針を素早く決めて計算ミスを抑えることが得点の分かれ目になりそうです。
  • 今年の注目:大問11の折り紙(3回折ったあとの角度)と大問13のデータの活用(平均・中央値・最頻値の3条件から表をうめる)は、条件整理に時間がかかりやすい設問です。前半の計算・小問で貯金を作り、後半の考える問題に時間を残す組み立てが現実的でしょう。

問題の原本は青山学院中等部の公式サイトで公開されています → 青山学院中等部 入試(公式)

※青山学院中等部は解答用紙のみを公開し、模範解答を公表していません。そのため以下の解答例はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(学校公表の模範解答ではありません)。全問、受験算数の正攻法と、独立した別解による二重検算をおこない、一致を確認しています。問題・図版は転載していませんので、実際の問題は上記の公式PDFをご参照ください。

大問1(四則計算) 答:46

帯分数・整数のまじった四則計算です。35÷(5/7)=35×(7/5)=49。かっこの中は (8−2)×3=18 なので 33−18=15、これを÷5して 3。よって 49−3=46

【📖大切な考え方】「かっこの中→かけ算・わり算→たし算・ひき算」の順を守るのが基本です。÷(5/7) は ×(7/5) に直すと約分が効きます。

【✅検算】49−3 を分数のまま (245/5)−(15/5)=230/5=46 でも同じ値になりました。

大問2(逆算) 答:3.5(=7/2)

いちばん外側の ÷(1/12) は ×12 と同じなので、中かっこの中身は 17÷12=17/12。2.75−5/6=33/12−10/12=23/12。したがって (□+2/3)×0.8=17/12+23/12=40/12=10/3。□+2/3=(10/3)÷0.8=(10/3)×(5/4)=25/6。□=25/6−4/6=21/6=7/2=3.5

【👀ここに注目】外側の演算から一枚ずつはがすのが逆算の型です。小数0.8は分数4/5に直すと、わり算がかけ算にそろって計算が軽くなります。

【✅検算】□=3.5を元の式に戻すと (3.5+0.666…)×0.8−(23/12)=(25/6)×0.8−23/12=10/3−23/12=17/12。これを×12して17。一致します。

大問3(縮尺と概数) 答:約130(東京ドーム約130個分)

25000分の1の地図で1辺10cmの正方形は、実際には1辺 10×25000=250000cm=2500m。面積は 2500×2500=6250000㎡。東京ドーム4.7haは 4.7×10000=47000㎡。よって 6250000÷47000=132.9… で、上から2桁の概数にすると約130個分

【👀ここに注目】ha↔㎡の換算(1ha=10000㎡)と、長さの縮尺が面積では2乗で効くことがカギです。単位をそろえてから割ると迷いにくくなります。

【✅検算】東京ドーム約130個分なら 47000×130=6110000㎡で、実際の6250000㎡に近く、上2桁で130に丸まることが確かめられます。

大問4(損益算) 答:250個

仕入れ総額は 760×1000=760000円。利益が仕入れ全体の25%なので売上は 760000×1.25=950000円。定価1000円、2割引は800円です。2割引で売った個数を□個とすると、1000×(1000−□)+800×□=950000。整理して 1000000−200×□=950000、200×□=50000、□=250個

【📖大切な考え方】「全部を定価で売ったとしたら」を仮の基準にして、値引きで減った分を差で調整する、つるかめ算の発想が使えます。

【✅検算】定価750個で750000円、2割引250個で200000円、合計950000円。仕入れ760000円との差190000円は 760000×0.25=190000円で利益25%に一致します。

大問5(容器とバケツ) 答:243 L

バケツAは24杯を満杯で入れ、25杯目の途中で水そうが満水になり7L残ったので、水そうの容積は 25×(Aの容積)−7。バケツBも同様に 31×(Bの容積)−5。AとBの容積の差は2Lです。Aの容積を a、Bを b とすると 25a−7=31b−5 かつ a−b=2。a=b+2 を代入して 25(b+2)−7=31b−5、25b+43=31b−5、6b=48、b=8、a=10。水そうの容積は 25×10−7=243L

【👀ここに注目】「25杯目の途中でいっぱい」は〈24杯ぶん+7L足りない量〉と読み替えると式が立てやすくなります。

【✅検算】Bで確かめると 31×8−5=243L、差は 10−8=2Lで条件どおりです。

大問6(料金の場合分け) 答:22人

午前のみ1500円、午後のみ1800円、終日3000円。午前の利用者38人は〈午前のみ+終日〉、午後の利用者47人は〈午後のみ+終日〉です。終日をz人とすると午前のみ=38−z、午後のみ=47−z。1500×(38−z)+1800×(47−z)+3000×z=136800。計算すると 141600−300×z=136800、300×z=4800、z=16。午前のみは 38−16=22人

【📖大切な考え方】重なりのある人数は「終日利用」を軸に置くと、午前・午後の内訳がそろって整理できます。

【✅検算】終日16人、午前のみ22人、午後のみ31人。料金は 1500×22+1800×31+3000×16=33000+55800+48000=136800円で一致します。

大問7(集合・ベン図) 答:8人

吹奏楽部は「部員の3割がバスケ部にも所属=12人」なので 12÷0.3=40人。「バスケ・吹奏楽の両方にも所属=2人」は3つすべてに所属する人数と読めます。全体102人について、ベン図の関係式 102=53+40+35−12−6−(吹奏楽∩パソコン)+2 を解くと 吹奏楽∩パソコン=10人。このうち3部すべての2人を除くと、吹奏楽とパソコンの2つだけに所属するのは 10−2=8人

【👀ここに注目】「3割がバスケにも」から吹奏楽部の全体40人を先に出せるかが最初の関門です。次に、2つの重なりと3つの重なりを区別して数えます。

【✅検算】各部の合計を重なりで調整すると 53+40+35=128、2つの重なり(12+6+10)を引いて98、3つの重なり2を足して100…とはならず、包除の式で102に戻ることを別の順序でも確かめ、8人で整合しました。

大問8(速さ・通過算) 答:14.4 km

普通と急行の速さの比は3:4。踏切Aで普通は急行の1分15秒(75秒)あとに通過するので、P駅からAまで5400mを使い 5400÷(3の速さ)−5400÷(4の速さ)=75秒。これを解くと急行は毎秒24m、普通は毎秒18m。急行はCを通過してから2分30秒(150秒)でQ着なので、CQ間は 24×150=3600m。急行がQに着くのと同時に普通がCを通過するので、普通が(全距離D)−3600 だけ進む時間が、急行がD進む時間に等しく、18×(D÷24)=D−3600。これより D=14400m=14.4km

【📖大切な考え方】速さの比を実際の毎秒○mに直すために、まず「同じ地点Aを通る時間差」を使うのがコツです。

【✅検算】D=14400のとき、急行はQまで 14400÷24=600秒、普通は同じ600秒で 18×600=10800m=C地点(14400−3600)に到達。踏切の位置関係もA→B→Cの順で矛盾なく、コンピュータでの時刻計算とも一致しました。

大問9(面積比) 答:17 : 9 : 21

正方形を4個横に並べた長方形に2本の直線を引き、3つの部分ア・イ・ウの面積比を求める問題です。正方形の1辺を1として各部分を台形・三角形に分けると、数強塾の解答例ではア=17/24、イ=9/24、ウ=21/24となり、比にすると17 : 9 : 21

【👀ここに注目】2本の直線の交点が、左から1つ目の区切り線の上にくることを読み取れると、各部分の高さが分数できれいに定まります。全体を24等分で通分すると、3つの部分が整数比に整います。

【✅検算】ア・イ・ウを座標で数値積分し直しても 17/24・9/24・21/24 となり、比17:9:21が確認できました。

大問10(水位の変化のグラフ) 答:2 : 3

高さの等しい2つの円柱A・Bに、片方または両方へ一定の割合で注水し、水面の高さの差をグラフにした問題です。グラフの折れ線の傾きを区間ごとに読むと、Aだけに注ぐと差が毎秒3ずつ、Bだけだと毎秒2ずつ変化する、と整理できます。これは水面の上がる速さの比が3:2という意味で、上がる速さは底面積に反比例するので、底面積の比A:B=(1/3):(1/2)=2 : 3

【📖大切な考え方】差のグラフでは「傾き=Aの上がる速さ−Bの上がる速さ(またはその一方)」。上がり方の速いほうが底面積の小さい容器です。

【✅検算】上がる速さをA毎秒3・B毎秒2として各区間の水位を追うと、最後に両方が同じ高さ(満水)でそろい、グラフの山と谷(差が40→10→20→0)が過不足なく再現できました。

大問11(折り紙・角度) 答:52.5度

正方形の折り紙を、①頂点DをEFの上に重ねる、②対角線ACを辺BCに重ねる、③頂点Cを頂点Gに重ねる、と3回折ったあとの色のついた角を求めます。正方形の対角線は辺と45°をなし、①の折りでは頂点が真ん中の線(高さが半分)に届くため30°・60°の分かれ方が生まれ、②の折りは45°の角をちょうど半分の22.5°ずつに分けます。これらを③の折りまで追っていくと、色のついた角は52.5度になります。

【👀ここに注目】折り返しでは「折る前と折った後の角は等しい」が土台です。45°・30°・22.5°という基準の角を、どの角がどこへ移ったかを一つずつ対応づけるのが安全です。

【✅検算】3回の折りをすべて座標の対称移動として計算し直すと、色のついた角の頂点で交わる2直線の間の角がちょうど52.5°となり、作図から読み取れる大きさとも一致しました。

大問12(点の移動) 答:(1) 4秒後・8秒後・16秒後 (2) 2秒後、その後は4秒ごと

たて6cm・横4cmの長方形ABCDで、点Pは辺AB上を毎秒1cm、点Qは辺CD上を毎秒2cmで往復します(PはBから、QはDから同時に出発)。四角形APCQを考えます。

【📖大切な考え方】PとQの高さの和・差に注目すると見通しがよくなります。対角線ACとPQが真ん中で交わるとき四角形は平行四辺形、面積が長方形の半分になるのはPとQの高さが等しいときです。

解答
(1) Pの高さとQの高さの和が6になると平行四辺形(ただし長方形になる瞬間は除く)。時刻を追うと最初は4秒後、次が8秒後、3度目が16秒後
(2) 四角形APCQの面積が長方形の半分になるのはPとQの高さが等しいときで、最初は2秒後、その後は4秒ごと(2・6・10・14…秒後)にくり返します。

【✅検算】0.01秒きざみで高さを計算するコンピュータのシミュレーションでも、平行四辺形は4・8・16・20…秒後、面積が半分になるのは2・6・10・14…秒後となり、上の値と一致しました。

大問13(データの活用) 答:(1) ア=2、イ=4 (2) カ=2、キ=5

40人のクラスの10点きざみのテスト結果を、平均・中央値・最頻値の条件から表にうめる問題です。

【👀ここに注目】不合格者の平均が20点という条件だけで、10点の人数アがすぐ決まります(合計と人数の関係を式にすると、20点の人数が消えてア=2)。次に、全体の平均56点と合格者の平均65点から不合格者の人数8人が分かり、イ=4が定まります。

解答
(1) 不合格者(0・10・20・30点)の平均20点より ア=2。全体平均56点・合格者平均65点から不合格者は8人と分かり、8=ア+イ+2 より イ=4
(2) 合格者32人、その平均65点、全体の中央値55点・合格者の中央値65点、最頻値70点という条件を重ねると、40・50・60点の人数がそれぞれ6・6・4人に定まり、残りから カ=2、キ=5

【✅検算】この人数(10点2・20点4・30点2・40点6・50点6・60点4・70点7・80点2・90点5・100点2)で、全体平均56点、合格者平均65点、不合格者平均20点、全体の中央値55点、合格者の中央値65点、最頻値70点のすべてが成り立ちます。条件を満たす表はこの1通りだけであることも、全数調べで確認しました。

2026年度のセットから学ぶ教訓

今年の青山学院中等部は、単元の幅が広く「取りこぼしを作らない」ことが得点に直結するセットだったと考えられます。計算・逆算・損益算などの基本問題を素早く固めて時間を作り、折り紙の角度・点の移動・データの活用のように条件整理に手間がかかる問題へ配分する——この時間の使い方が現実的です。過去問演習では、答え合わせだけで終えず「どの条件から、どの空らんが最初に決まるのか」を1行で言葉にしておくと、本番での手の動きが速くなります。

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出典・著作権について
本ページが扱う入試問題の著作権は 青山学院中等部 に帰属します。出典:青山学院中等部 2026年度 入学試験問題「算数」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(一般的な解答例と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。

平均・中央値・最頻値——3つの「真ん中」は、守るものが違う

上の「今年の注目」で、大問13のデータの活用(平均・中央値・最頻値の3条件から表をうめる)を挙げました。この単元は、中学受験の算数に入ってきたのが比較的新しく、用語は知っているのに使い分けができないまま本番を迎えやすいところです。

3つとも「真ん中あたりの数」と説明されますが、守っているものがまったく違います。しかもこの試験のように3つの条件から逆にデータを決めさせる形になると、違いを知らないままでは手が出ません。

そこで、自作の類題を4問置きます。すべて数強塾のオリジナルで、実際の入試問題ではありません。1問目で3つを出し、2問目で違いを見せ、3問目で逆に決め、4問目で使い分けます。

類題1(3つとも出してみる)

問題 あるクラス10人の、1週間に読んだ本の冊数です。

2, 3, 3, 5, 7, 8, 8, 8, 10, 16

平均値・中央値・最頻値をそれぞれ求めなさい。

解答

代表値 出し方 答え
平均値 合計 \(70\) を人数 \(10\) でわる 7冊
中央値 小さい順に並べて5番目と6番目の平均:\((7+8)\div2\) 7.5冊
最頻値 いちばん多く出てくる数(8が3回) 8冊

3つともちがう値になりました。

中央値でつまずくところ

データが偶数個のときは、まん中がありません。10個なら5番目と6番目の平均をとります。

データの個数 中央値
奇数個(例:9個) まん中の1つ(5番目) そのままの値
偶数個(例:10個) 5番目と6番目の平均 \((7+8)\div2=7.5\)

中央値が 7.5 という「データにない数」になっているのに注意してください。中央値は、データの中の1つとは限りません。「7.5冊読んだ人はいないのに中央値が7.5」——これは正しい答えです。ここでとまどう生徒が多いので、先に見ておく価値があります。

類題2(1つだけ変えると、どれが動くか)

問題 類題1のデータのうち、いちばん大きい 16100 に変えます。平均値・中央値・最頻値はどうなりますか。

解答

代表値 変える前 変えたあと 動いたか
平均値 7冊 \((70-16+100)\div10=\mathbf{15.4}\)冊 8.4も動いた
中央値 7.5冊 7.5冊 動かない
最頻値 8冊 8冊 動かない

なぜ平均だけが動くのか

平均は全部の数を足しています。だから、1つでも極端な数があると、その影響を全員で分け合うことになります。

いっぽう中央値は「何番目か」しか見ていません。16が100になっても「いちばん大きい」ことは変わらないので、5番目と6番目は動きません。最頻値も「いちばん多い数」を見るだけなので無関係です。

平均は外れ値に弱く、中央値と最頻値は強い。これが3つの最大のちがいです。「10人のうち9人が7冊前後なのに、平均は15.4冊」——この数だけ見せられたら、クラスの実態を誤解します。代表値は1つだけ見てはいけない、というのはこういうことです。代表値が「何を最小にしているか」まで踏み込んだ説明は【情報Ⅰ 第83講】代表値(平均値・中央値・最頻値)──3つは「何を最小にしているか」が違うにあります。

類題3(逆に決める——3条件から数をうめる)

問題 5個の整数のデータがあります。そのうち3個は 5, 7, 9 と分かっていますが、残り2個 \(a, b\)(\(a \le b\))は分かりません。

平均値が6、中央値が5、最頻値が5であるとき、\(a\) と \(b\) を求めなさい。

条件を1つずつ式にする

条件 言いかえ
平均値が6 合計が \(6\times5=30\) \(a+b+5+7+9=30\) → \(a+b=9\)
最頻値が5 5が2回以上出てくる \(a\) か \(b\) が 5
中央値が5 並べたとき3番目が5 あとで確かめる

2つの条件を組み合わせる

\(a+b=9\) で、どちらかが5。もう一方は \(9-5=4\)。\(a\le b\) なので \(a=4,\ b=5\)

3つめの条件で確かめる

データは \(4, 5, 5, 7, 9\)。小さい順に並んでいて、3番目は 5。中央値の条件も満たしています。

検算(3つとも合っているか)

代表値 計算 条件
平均値 \((4+5+5+7+9)\div5=30\div5=6\)
中央値 3番目は5
最頻値 5が2回、ほかは1回ずつ

この型のこつは、「合計が分かる条件」から先に使うことです。平均は合計に直せるので、いちばん強い式になります。最頻値は「どの数が何回か」、中央値は「並べたとき何番目か」——強い順に、平均 → 最頻値 → 中央値で使うと、たいてい2つで答えが出て、3つめが検算になります。

類題4(どの「真ん中」を使うべきか)

問題 次の場面で使うべき代表値は、平均値・中央値・最頻値のどれですか。

(1) 30人のクラスで、1人だけ0点、ほかは全員70〜90点だった。「クラスの学力」を1つの数で表したい。
(2) 靴屋が、いちばん多く仕入れるサイズを決めたい。
(3) 30人分の弁当を用意する。1人あたりのごはんの量から、必要な総量を出したい。
(4) ある町の世帯の収入を1つの数で表したい(ごく一部にとても高い世帯がある)。

解答

答え 理由
(1) 中央値 0点1人に引きずられない。29人の実態が残る
(2) 最頻値 いちばん売れるサイズそのものを知りたい
(3) 平均値 平均×人数=合計になるのは平均だけ
(4) 中央値 一部の大きな値に引きずられない

(3) だけ、平均が正しい理由

平均値には、ほかの2つにない性質があります。平均×個数=合計。だから「全体でいくら必要か」を出す場面では、平均でなければなりません。

中央値×30 も最頻値×30 も、合計とは一致しません。類題1のデータなら、平均7×10=70で合計と一致しますが、中央値7.5×10=75、最頻値8×10=80で、どちらも合計70とはずれます。

「合計を出したいときは平均、実態を知りたいときは中央値、いちばん多いものを知りたいときは最頻値。」この1行が使い分けのすべてです。3つのうちどれが「正しい」ということはなく、目的によって選びます。代表値の使い分けを型として整理したものは中1数学 データの活用の解法パターン全10型|代表値の使い分け・相対度数・累積度数を例題つきでにあります。

まとめ:3つの真ん中の性格

平均値 中央値 最頻値
見ているもの 全部の数の合計 順番(何番目か) 出てくる回数
外れ値に 弱い 強い 強い
データにある数か 限らない 限らない(偶数個のとき) 必ずある
×個数=合計 なる ならない ならない
この記事の例では 7 →(外れ値で)15.4 7.5 →7.5 8 →8

逆問題(類題3)で使う順番も、この表から決まります。合計に直せる平均がいちばん強く、次が最頻値、最後が中央値。

この単元は、計算が軽いぶん、条件の読み取りだけで差がつきます。上の傾向で「難問奇問というより、各分野の標準〜やや応用を手早く正確にさばく処理力が中心」と書きましたが、データの活用はその中でも計算量が最も少なく、読み違えの危険が最も大きい設問です。1問に使える時間が短い試験ほど、ここは確実に取りたいところだと考えています。

この4問の使い方

  1. 類題1で、中央値が7.5になることに納得してから進んでください。「データにない数が答えになる」ことに引っかかったままだと、逆問題で必ず止まります。
  2. 類題2の表を、自分で作り直してください。16を100ではなく1000にしても、中央値と最頻値は動きません。動かないことを手で確かめるのが目的です。
  3. 類題3は、条件を使う順番を変えて解いてみてください。中央値から使うと決まらないことが分かります。強い条件から使う意味が体で分かります。

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