2016年(平成28年度)大学入試センター試験 本試験の数学Ⅰ・数学Aについて、問題文をTeXで再掲したうえで、全問の解答と解説を掲載します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。
センター試験は2020年で終了し、翌2021年から大学入学共通テストに切り替わりました。出題形式は変わりましたが、問われている解法の型そのものは今も有効で、共通テスト対策の演習素材として十分に使えます。
解答は公開された正解表の全解答欄と照合し、各小問を代入・恒等式・場合分けによって独立に検算しました。
第1問から第5問まで、正解表に対応するすべての解答欄を公開しています(第1問・第2問が必答、第3問〜第5問は3問中2問選択)。式・条件・選択肢を本文に収録し、散布図・ヒストグラム・箱ひげ図は、軸と分布の特徴を文章で読み取れる形にしました。試験日などの年度情報は大学入試センター「平成28年度試験」で確認できます。
この記事の目次
- 第1問(必答・配点30) 1次関数の最小値・集合と命題(有理数と無理数)・連立不等式
- 第2問(必答・配点30) 三角比(円周角と最大値)・データの分析(アイスクリームと気温)
- 第3問(選択・配点20) 確率(袋から2個取り出す・原因の確率)
- 第4問(選択・配点20) 整数の性質(不定方程式・記数法と有限小数)
- 第5問(選択・配点20) 図形の性質(円に内接する四角形・メネラウスの定理・方べきの定理)
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第1問(必答・配点30) 1次関数の最小値・集合と命題(有理数と無理数)・連立不等式
〔1〕 \(a\) を実数とする。\(x\) の関数 \[f(x)=\left(1+2a\right)\left(1-x\right)+\left(2-a\right)x\] を考える。
〔2〕 次の問いに答えよ。必要ならば、\(\sqrt{7}\) が無理数であることを用いてよい。
〔3〕 \(a\) を1以上の定数とし、\(x\) についての連立不等式 \[x^{2}+\left(20-a^{2}\right)x-20a^{2}\leqq 0\qquad\cdots\cdots\ ①\] \[x^{2}+4ax\geqq 0\qquad\cdots\cdots\ ②\] を考える。
〔1〕 ア3 イ1 ウ2 エ1 オ- カ2 キ1 ク4 ケ2 コ5
〔2〕 サ3 シ0 ス5 セ4 ソ1 タ3
〔3〕 チ- ツ2 テ0 ト- ナ4 ニ0 ヌ5
〔1〕(1) 1次関数の最小値は「傾きの符号」で決まる
\[f(x)=\left(-\boxed{\text{ア}}\,a+\boxed{\text{イ}}\right)x+2a+1\] である。(1) \(0\leqq x\leqq 1\) における \(f(x)\) の最小値は、\(a\leqq\dfrac{\boxed{\text{イ}}}{\boxed{\text{ア}}}\) のときウ\(a+\)エであり、\(a>\dfrac{\boxed{\text{イ}}}{\boxed{\text{ア}}}\) のときオ\(a+\)カである。
【型】1次関数の最大最小は必ず端点でとる
【なぜこうするか】 まず整理します。
\[f(x)=\left(1+2a\right)-\left(1+2a\right)x+\left(2-a\right)x=\left(1-3a\right)x+2a+1\]
\(x\) の係数は \(-3a+1\)。アは3、イは1です。
これは \(x\) の1次関数(または定数関数)。ということは、\(0\leqq x\leqq 1\) での最小値は必ず両端 \(x=0\) か \(x=1\) のどちらかでとります。どちらになるかは傾きの符号次第。
- 傾き \(1-3a\geqq 0\)、すなわち \(a\leqq\dfrac{1}{3}\) のとき:右上がり(または水平)なので最小は左端 \(x=0\)
- 傾き \(1-3a<0\)、すなわち \(a>\dfrac{1}{3}\) のとき:右下がりなので最小は右端 \(x=1\)
それぞれ代入します。
\[f(0)=2a+1\]
ウは2、エは1です。
\[f(1)=\left(1-3a\right)+2a+1=-a+2\]
オは \(-\)(係数 \(-1\))、カは2です。
【ミスの罠】 \(f(x)\) を2次関数だと思い込んで平方完成しようとすること。展開したら \(x^{2}\) が消えている——これに気づくかどうかが最初の関門です。式を見たらまず次数を確認しましょう。
【検算】 \(f(1)-f(0)=1-3a\) です。\(a\leqq\dfrac{1}{3}\) なら \(f(1)\geqq f(0)\) なので最小値は \(f(0)=2a+1\)、\(a>\dfrac{1}{3}\) なら \(f(1)<f(0)\) なので最小値は \(f(1)=-a+2\)。場合分けと端点の値がともに一致します。
【定石】 1次関数の区間内の最大最小は必ず端点。傾きの符号で場合分けするだけで終わる。
〔1〕(2) 「常に成り立つ」=「最小値が条件を満たす」
(2) \(0\leqq x\leqq 1\) において、常に \(f(x)\geqq\dfrac{2\left(a+2\right)}{3}\) となる \(a\) の値の範囲は \[\dfrac{\boxed{\text{キ}}}{\boxed{\text{ク}}}\leqq a\leqq\dfrac{\boxed{\text{ケ}}}{\boxed{\text{コ}}}\] である。
【型】「すべての \(x\) で \(f(x)\geqq k\)」\(\Longleftrightarrow\)「最小値 \(\geqq k\)」
【なぜこうするか】 すべての \(x\) について成り立つかどうかは、いちばん厳しい点=最小値だけを見れば決まります。(1)で最小値を場合分けして求めてあるので、そのまま使います。
[場合1]\(a\leqq\dfrac{1}{3}\) 最小値は \(2a+1\)。
\[2a+1\geqq\dfrac{2\left(a+2\right)}{3}\]
両辺を3倍して
\[6a+3\geqq 2a+4\quad\Longrightarrow\quad 4a\geqq 1\quad\Longrightarrow\quad a\geqq\dfrac{1}{4}\]
場合の条件と合わせて \(\dfrac{1}{4}\leqq a\leqq\dfrac{1}{3}\)。
[場合2]\(a>\dfrac{1}{3}\) 最小値は \(-a+2\)。
\[-a+2\geqq\dfrac{2\left(a+2\right)}{3}\]
\[-3a+6\geqq 2a+4\quad\Longrightarrow\quad 2\geqq 5a\quad\Longrightarrow\quad a\leqq\dfrac{2}{5}\]
場合の条件と合わせて \(\dfrac{1}{3}<a\leqq\dfrac{2}{5}\)。
2つを合わせると、境界の \(\dfrac{1}{3}\) でつながって
\[\dfrac{1}{4}\leqq a\leqq\dfrac{2}{5}\]
キは1、クは4、ケは2、コは5です。
【検算】 下端 \(a=\dfrac{1}{4}\) では \(f(0)=\dfrac{3}{2}=\dfrac{2(a+2)}{3}\)、上端 \(a=\dfrac{2}{5}\) では \(f(1)=\dfrac{8}{5}=\dfrac{2(a+2)}{3}\) と等号が成立します。\(a<\dfrac{1}{4}\) では \(x=0\)、\(a>\dfrac{2}{5}\) では \(x=1\) で不等式が破れるため、範囲はちょうど \(\dfrac{1}{4}\leqq a\leqq\dfrac{2}{5}\) です。
【定石】 「常に〜」は最小値(または最大値)の条件に翻訳する。場合分けして解いたら、それぞれの場合の条件との共通部分をとり、最後に合併する。
〔2〕(1) 集合の記号を正しく読む
(1) \(A\) を有理数全体の集合、\(B\) を無理数全体の集合とする。空集合を \(\varnothing\) と表す。次の(i)〜(iv)が真の命題になるように、サ〜セに当てはまるものを選べ。(i) \(A\)サ\(\{0\}\) (ii) \(\sqrt{28}\)シ\(B\) (iii) \(A=\{0\}\)ス\(A\) (iv) \(\varnothing=A\)セ\(B\)。⓪ \(\in\) ① \(\ni\) ② \(\subset\) ③ \(\supset\) ④ \(\cap\) ⑤ \(\cup\)
【型】\(\in\) は「要素と集合」、\(\subset\) は「集合と集合」
【なぜこうするか】 記号の使い分けを確認しておきます。\(\in\) と \(\ni\) の左右には「要素」と「集合」、\(\subset\) と \(\supset\) の左右には「集合」と「集合」が来ます。
(i) \(A\)〔サ〕\(\{0\}\) 右は \(\{0\}\) という集合(要素0だけを持つ集合)。左の \(A\) も集合なので、入るのは \(\subset\) か \(\supset\)。0は有理数なので \(\{0\}\) は \(A\) に含まれます。左が大きいので \(A\supset\{0\}\)。サは③です。
(ii) \(\sqrt{28}\)〔シ〕\(B\) 左は数なので \(\in\) か \(\ni\)。\(\sqrt{28}=2\sqrt{7}\) で、\(\sqrt{7}\) が無理数だから \(2\sqrt{7}\) も無理数。よって \(\sqrt{28}\in B\)。シは⓪です。
(iii) \(A=\{0\}\)〔ス〕\(A\) 右辺全体が \(A\) に等しくなればよい。\(\{0\}\cup A=A\)(0は元々 \(A\) の要素だから増えない)。スは⑤です。
なお \(\{0\}\cap A=\{0\}\) となり \(A\) とは等しくないので④は不可。
(iv) \(\varnothing=A\)〔セ〕\(B\) 有理数であり同時に無理数である数は存在しないので \(A\cap B=\varnothing\)。セは④です。
【ミスの罠】 (ii)で②\(\subset\) を選んでしまうこと。\(\sqrt{28}\) は数であって集合ではないので \(\subset\) は使えません。もし \(\left\{\sqrt{28}\right\}\subset B\) と書いてあれば正しいのですが、波括弧の有無で記号が変わります。
【検算】 \(0\in A\) なので \(\{0\}\subset A\)、また \(\sqrt{28}=2\sqrt7\) は無理数なので \(\sqrt{28}\in B\) です。さらに \(\{0\}\cup A=A\)、有理数と無理数に共通要素はないので \(A\cap B=\varnothing\)。4つの式を集合の定義へ戻して確認できます。
【定石】 波括弧があるかないかで、使える記号が決まる。\(\{0\}\) は集合、\(0\) は要素。この区別は毎回声に出して確認する価値がある。
〔2〕(2) 無理数に関する条件の必要・十分
(2) 実数 \(x\) に対する条件 \(p\)、\(q\)、\(r\) を \(p:x\) は無理数、\(q:x+\sqrt{28}\) は有理数、\(r:\sqrt{28}\,x\) は有理数、と定める。\(p\) は \(q\) であるためのソ。\(p\) は \(r\) であるためのタ。⓪ 必要十分条件である ① 必要条件であるが、十分条件でない ② 十分条件であるが、必要条件でない ③ 必要条件でも十分条件でもない
【型】「有理数+無理数=無理数」を使い、反例を1つ探す
【なぜこうするか】 \(\sqrt{28}=2\sqrt{7}\) は無理数です。これを軸に考えます。
ソ:\(p\) は \(q\) であるための?
\(q\Longrightarrow p\):\(x+\sqrt{28}\) が有理数 \(k\) だとすると \(x=k-\sqrt{28}\)。有理数から無理数を引いた数は無理数なので、\(x\) は無理数。真です。
\(p\Longrightarrow q\):反例を探します。\(x=\sqrt{2}\) は無理数ですが、\(\sqrt{2}+2\sqrt{7}\) は無理数。偽です。
\(q\Longrightarrow p\) だけが成り立つので、\(p\) は \(q\) の必要条件だが十分条件ではない。ソは①です。
タ:\(p\) は \(r\) であるための?
\(r\Longrightarrow p\):ここでは反例の確認が重要です。「\(\sqrt{28}\,x\) が有理数なら \(x\) は無理数だろう」と思いがちですが、\(x=0\) という反例があります。\(\sqrt{28}\times 0=0\) は有理数なので \(r\) は真。しかし \(0\) は有理数なので \(p\) は偽。よって偽。
\(p\Longrightarrow r\):\(x=\sqrt{2}\) は無理数ですが \(\sqrt{28}\times\sqrt{2}=2\sqrt{14}\) は無理数。偽。
どちらも成り立たないのでタは③です。
【ミスの罠】 \(x=0\) を見落とすこと。「〜を掛けると有理数になる」型の条件では、必ず \(0\) を疑う。0は何を掛けても0(有理数)なので、あらゆる反例の宝庫です。
【検算】 \(x=0\) のとき \(\sqrt{28}\times 0=0\) は有理数(\(r\) は真)、しかし \(0\) は有理数なので \(p\) は偽。よって \(r\Longrightarrow p\) の反例 ✓。\(x=\sqrt{2}\) のとき \(\sqrt{28}\times\sqrt{2}=2\sqrt{14}=7.483315\cdots\) は無理数(\(r\) は偽)、\(p\) は真。よって \(p\Longrightarrow r\) の反例 ✓。両方向とも反例が存在することを確認しました。
【定石】 無理数がらみの条件では \(x=0\) を必ず試す。「掛ける」「割る」が絡む条件の反例は、ほぼ0が担当する。
〔3〕 連立不等式に負の解が存在する条件
このとき、不等式①の解はチツテ\(\leqq x\leqq a^{2}\) である。また、不等式②の解は \(x\leqq\)トナ\(a\)、ニ\(\leqq x\) である。この連立不等式を満たす負の実数が存在するような \(a\) の値の範囲は \(1\leqq a\leqq\)ヌである。
【型】因数分解して数直線に描き、重なりを見る
【なぜこうするか】 まず①を因数分解します。定数項 \(-20a^{2}\) と \(x\) の係数 \(20-a^{2}\) から、\(20\) と \(-a^{2}\) の組が見えます。
\[x^{2}+\left(20-a^{2}\right)x-20a^{2}=\left(x+20\right)\left(x-a^{2}\right)\leqq 0\]
\(a\geqq 1\) より \(a^{2}\geqq 1>-20\) なので、解は
\[-20\leqq x\leqq a^{2}\]
チツテは \(-20\) です。
②も因数分解。
\[x^{2}+4ax=x\left(x+4a\right)\geqq 0\]
\(a\geqq 1\) より \(-4a\leqq -4<0\)。2解の外側が解なので
\(x\leqq-4a\) または \(0\leqq x\)
トナは \(-4\)、ニは0です。
いよいよ本題。負の実数解が存在する条件を考えます。
②の解のうち負の部分は \(x\leqq-4a\) のほうだけ(\(0\leqq x\) は負ではない)。したがって、①と合わせると
\[-20\leqq x\leqq-4a\]
を満たす \(x\) が存在すればよい。この区間が空にならない条件は、左端が右端以下であること。
\[-20\leqq-4a\quad\Longrightarrow\quad 4a\leqq 20\quad\Longrightarrow\quad a\leqq 5\]
\(a\geqq 1\) と合わせて
\[1\leqq a\leqq 5\]
ヌは5です。
【ミスの罠】 ②の \(0\leqq x\) の側も使えると思ってしまうこと。問われているのは「負の実数」なので、\(x=0\) を含む側は最初から除外されます。問題文の「負の」という一語を見落とさないこと。
【検算】 \(1\leqq a\leqq5\) なら \(x=-4a\) は \(-20\leqq x<0\) を満たし、①②の共通解になります。逆に \(a>5\) なら、②の負の解は \(x\leqq-4a<-20\) ですが、①は \(x\geqq-20\) を要求するため共通する負の実数はありません。必要性と十分性の両方を確認できます。
【定石】 連立不等式は、それぞれの解を数直線に描いて重なりを見る。「解が存在する条件」は区間が空にならない条件——端点の大小1本の不等式に帰着する。
- 式を見たらまず次数を確認。\(x^{2}\) が消えていることがある。
- 1次関数の区間内の最大最小は必ず端点。
- 「常に〜」は最小値(最大値)の条件に翻訳する。
- 波括弧の有無で \(\in\) と \(\subset\) を使い分ける。
- 無理数がらみの条件では \(x=0\) を疑う。
- 「解が存在する条件」は区間が空にならない条件。
第2問(必答・配点30) 三角比(円周角と最大値)・データの分析(アイスクリームと気温)
〔1〕 \(\triangle\mathrm{ABC}\) の辺の長さと角の大きさを測ったところ、\(\mathrm{AB}=7\sqrt{3}\) および \(\angle\mathrm{ACB}=60^{\circ}\) であった。外接円 O の、点 C を含む弧 AB 上で点 P を動かす。
〔2〕 2003年から2012年までの120か月の東京の月別データについて、4つの散布図を考える。
〔3〕 世界4都市(東京、O市、N市、M市)の2013年の365日の各日の最高気温のデータについて考える。
〔1〕 ア7 イ3 ウ2 エ1 オ7 カ3 キ1 ク4 ケ4 コ9 サ3 シ2
〔2〕 ス・セ 0・3(順序は問わない)
〔3〕 ソ5 タ・チ 1・3(順序は問わない) ツ9 テ8 ト7
〔1〕(1) 円周角が一定 → 余弦定理が使える
したがって、\(\triangle\mathrm{ABC}\) の外接円 O の半径はアである。(1) \(2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}\) となるのは \(\mathrm{PA}=\)イ\(\sqrt{\boxed{\text{ウエ}}}\) のときである。
【型】正弦定理「辺 ÷ 対角の \(\sin\) = \(2R\)」、円周角は弧が同じなら等しい
【なぜこうするか】 外接円の半径は、辺とその対角が分かっているので正弦定理から求められます。
\[2R=\dfrac{\mathrm{AB}}{\sin\angle\mathrm{ACB}}=\dfrac{7\sqrt{3}}{\frac{\sqrt{3}}{2}}=14\]
よって \(R=7\)。アは7です。
ここで重要なのは、P は「C を含む弧 AB 上」を動くことです。C と P が同じ側の弧にあるので、弦 AB を見込む角は等しくなります。つまり
\[\angle\mathrm{APB}=\angle\mathrm{ACB}=60^{\circ}\]
P がどこにあっても \(\angle\mathrm{APB}\) は \(60^{\circ}\) で変わりません。この一定の角を(1)〜(3)で共通して利用します。
角が固定なので、\(\triangle\mathrm{PAB}\) に余弦定理が使えます。
\[\mathrm{AB}^{2}=\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}-2\,\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\cos 60^{\circ}=\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}-\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\]
\(\mathrm{AB}^{2}=\left(7\sqrt{3}\right)^{2}=147\) なので
\[\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}-\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}=147\qquad\cdots\cdots\ (\ast)\]
この \((\ast)\) を(1)〜(3)で使い回します。
(1)では \(2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}\)、すなわち \(\mathrm{PB}=\dfrac{2}{3}\mathrm{PA}\)。\(\mathrm{PA}=x\) とおいて代入します。
\[x^{2}+\dfrac{4}{9}x^{2}-\dfrac{2}{3}x^{2}=147\]
\[\dfrac{9+4-6}{9}x^{2}=\dfrac{7}{9}x^{2}=147\]
\[x^{2}=189\quad\Longrightarrow\quad x=\sqrt{189}=\sqrt{9\times 21}=3\sqrt{21}\]
イは3、ウエは21です。
【検算】 \(\mathrm{PA}=3\sqrt{21}\)、\(\mathrm{PB}=2\sqrt{21}\) を \((\ast)\) に戻すと \(189+84-126=147\) ✓。
【定石】 「弧の上を動く点」ときたら、まず円周角が一定であることを確認。角が固定なら余弦定理が使え、動く点の問題が2変数の代数問題に化ける。
〔1〕(2) 面積の最大は相加相乗平均で
(2) \(\triangle\mathrm{PAB}\) の面積が最大となるのは \(\mathrm{PA}=\)オ\(\sqrt{\boxed{\text{カ}}}\) のときである。
【型】\(\angle\mathrm{APB}\) 一定なら、面積の最大は \(\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\) の最大
【なぜこうするか】 面積は
\[\triangle\mathrm{PAB}=\dfrac{1}{2}\,\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\sin 60^{\circ}\]
\(\sin 60^{\circ}\) は定数なので、\(\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\) を最大にすればよい。
\((\ast)\) を変形します。
\[\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}=147+\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\]
相加相乗平均の関係 \(\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}\geqq 2\,\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\) を使うと
\[147+\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\geqq 2\,\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\quad\Longrightarrow\quad \mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\leqq 147\]
等号は \(\mathrm{PA}=\mathrm{PB}\) のとき。このとき \((\ast)\) から \(\mathrm{PA}^{2}=147\)、すなわち
\[\mathrm{PA}=7\sqrt{3}\]
オは7、カは3です。
\(\mathrm{PA}=\mathrm{PB}=\mathrm{AB}=7\sqrt{3}\) なので、このとき \(\triangle\mathrm{PAB}\) は正三角形。図形的には「P が弧の中点に来たとき」で、直感とも一致します。
【検算】 \(\mathrm{PA}=\mathrm{PB}=7\sqrt3\) を \((\ast)\) に代入すると \(147+147-147=147\) です。また \(\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}-2\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}=(\mathrm{PA}-\mathrm{PB})^{2}\geqq0\) より、等号が成り立つこの場合に積 \(\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}=147\) が最大になることも確認できます。
【定石】 「和が一定なら積は等しいとき最大」。相加相乗平均は等号成立条件(2数が等しい)まで含めて1セット。
〔1〕(3) \(\sin\) が最大=角が \(90^{\circ}\)、そのとき直径が現れる
(3) \(\sin\angle\mathrm{PBA}\) の値が最大となるのは \(\mathrm{PA}=\)キクのときであり、このとき \(\triangle\mathrm{PAB}\) の面積は \(\dfrac{\boxed{\text{ケコ}}\sqrt{\boxed{\text{サ}}}}{\boxed{\text{シ}}}\) である。
【型】\(\sin\theta\) が最大 \(\Longleftrightarrow\) \(\theta=90^{\circ}\)
【なぜこうするか】 \(\triangle\mathrm{PAB}\) の内角の和は \(180^{\circ}\) で、\(\angle\mathrm{APB}=60^{\circ}\) は固定。したがって
\[\angle\mathrm{PBA}+\angle\mathrm{PAB}=120^{\circ}\]
\(\angle\mathrm{PBA}\) は \(0^{\circ}\) より大きく \(120^{\circ}\) より小さい範囲を動きます。この範囲に \(90^{\circ}\) が含まれているので、\(\sin\angle\mathrm{PBA}\) の最大値は \(\angle\mathrm{PBA}=90^{\circ}\) のときの1。
ここで円周角の定理の逆を使います。\(\angle\mathrm{PBA}=90^{\circ}\) ということは、この角が見込む弦 PA は直径です。
\[\mathrm{PA}=2R=14\]
キクは14です。
このとき \(\triangle\mathrm{PAB}\) は \(\angle\mathrm{PBA}=90^{\circ}\) の直角三角形。三平方の定理で
\[\mathrm{PB}=\sqrt{\mathrm{PA}^{2}-\mathrm{AB}^{2}}=\sqrt{196-147}=\sqrt{49}=7\]
直角をはさむ2辺が \(\mathrm{AB}=7\sqrt{3}\) と \(\mathrm{PB}=7\) なので
\[\triangle\mathrm{PAB}=\dfrac{1}{2}\times 7\sqrt{3}\times 7=\dfrac{49\sqrt{3}}{2}\]
ケコは49、サは3、シは2です。
【ミスの罠】 (2)で求めた最大面積 \(\dfrac{147\sqrt{3}}{4}\) と混同すること。(2)は面積の最大、(3)は \(\sin\angle\mathrm{PBA}\) の最大で、P の位置が違います。実際 \(\dfrac{49\sqrt{3}}{2}=42.4\cdots<\dfrac{147\sqrt{3}}{4}=63.7\cdots\) で、(3)の面積は最大ではありません。
【検算】 \(\mathrm{PA}=14\)、\(\mathrm{PB}=7\) を \((\ast)\) に代入すると \(196+49-98=147\) です。また \(\mathrm{PA}^{2}=\mathrm{AB}^{2}+\mathrm{PB}^{2}=147+49=196\) なので \(\angle\mathrm{PBA}=90^{\circ}\)。面積も \(\dfrac12\cdot7\sqrt3\cdot7=\dfrac{49\sqrt3}{2}\) と再現できます。
【定石】 円周角が \(90^{\circ}\) なら、その角が見込む弦は直径。半径がわかっていれば長さが即座に出る。
〔2〕 4つの散布図を読み分ける
4つの散布図は、平均最高気温、1日あたり平均降水量、平均湿度、最高気温25℃以上の日数の割合を横軸にとり、各世帯の1日あたりアイスクリーム平均購入額(購入額)を縦軸としてある。これらの散布図から読み取れることとして正しいものはスとセである(順序は問わない)。⓪ 平均最高気温が高くなるほど購入額は増加する傾向がある。① 1日あたり平均降水量が多くなるほど購入額は増加する傾向がある。② 平均湿度が高くなるほど購入額の散らばりは小さくなる傾向がある。③ 25℃以上の日数の割合が80%未満の月は、購入額が30円を超えていない。④ この中で正の相関があるのは、平均湿度と購入額の間のみである。
【型】選択肢ごとに「どの図の、どこを見るか」を先に決める
- 平均最高気温と購入額:横軸は約5〜35℃、縦軸は約0〜50円。10℃前後では購入額が10円前後に集まり、20℃を超えると右上がりが明瞭になり、30℃前後では30〜45円付近に多く分布する。
- 1日あたり平均降水量と購入額:横軸は約0〜30mm、縦軸は約0〜50円。点の多くは降水量0〜10mmに縦長に散らばり、降水量が増えるほど購入額が増えるという一定の傾向はない。
- 平均湿度と購入額:横軸は約0〜80%、縦軸は約0〜50円。40〜60%では購入額10〜20円付近が多いが、60〜80%では10〜45円ほどまで縦方向の散らばりが広がる。
- 25℃以上の日数の割合と購入額:横軸は0〜100%、縦軸は約0〜50円。全体は右上がりで、割合80%未満かつ購入額30円超の領域には点がない。
【なぜこうするか】 4つの図は横軸だけが違い、縦軸はすべて購入額です。選択肢を読んだ瞬間にどの図を見るかを確定させます。
- ⓪ 平均最高気温と購入額 → 1つ目の図が右上がりかだけを見ます。はっきり右上がりなので正。
- ① 降水量と購入額 → 2つ目の図。点が横に広く散らばっていて、右上がりの傾向は読み取れません。誤。
- ② 湿度が高いほど散らばりが小さい → 3つ目の図で、左側と右側で縦方向の広がりを比べます。右側(高湿度)のほうがむしろ縦に広く散らばっているので誤。
- ③ 割合80%未満の月は購入額30円以下 → 4つ目の図で、横軸80%の縦線より左、かつ縦軸30円の横線より上の領域に点があるかを見ます。空なので正。
- ④ 正の相関は湿度だけ → ⓪で気温と購入額に正の相関があると判定済み。誤。
よってス・セは⓪と③です(順序は問わない)。
【検算】 文字起こしした分布では、平均最高気温の散布図は右上がりです。また「25℃以上の日数の割合が80%未満、かつ購入額が30円超」の領域には点がありません。この2点はそれぞれ⓪と③を直接支持し、他の選択肢の記述とは一致しません。
【定石】 「〜を超えていない」型の選択肢は、長方形の領域が空かどうかを見るだけ。点を1つずつ追う必要はない。
〔3〕(1)(2) ヒストグラム・箱ひげ図・散布図の対応づけ
(1) ヒストグラムは東京、N市、M市のデータをまとめたもので、この3都市の箱ひげ図は a、b、c のいずれかである。都市名と箱ひげ図の組合せとして正しいものはソである。⓪ 東京—a, N市—b, M市—c ① 東京—a, N市—c, M市—b ② 東京—b, N市—a, M市—c ③ 東京—b, N市—c, M市—a ④ 東京—c, N市—a, M市—b ⑤ 東京—c, N市—b, M市—a
(2) 3つの散布図は、O市、N市、M市の最高気温を縦軸にとり、東京の最高気温を横軸にとってある。これらの散布図から読み取れることとして正しいものはタとチである(順序は問わない)。⓪ 東京とN市、東京とM市の最高気温の間にはそれぞれ正の相関がある。① 東京とN市の最高気温の間には正の相関、東京とM市の間には負の相関がある。② 東京とN市の間には負の相関、東京とM市の間には正の相関がある。③ 東京とO市の間の相関の方が、東京とN市の間の相関より強い。④ 東京とO市の間の相関の方が、東京とN市の間の相関より弱い。
【型】分布の「散らばり方の特徴」で1つずつ消していく
3都市のヒストグラムは横軸が日最高気温(およそ-10〜50℃)、縦軸が日数です。東京はおよそ5〜35℃に分布し、25℃前後の階級が最も高い山です。N市はおよそ-5〜35℃へ広く分布し、10〜25℃の各階級が比較的平坦です。M市はおよそ10〜35℃に分布し、10〜20℃の階級へ特に集中しています。
箱ひげ図a・b・cはいずれも同じ温度目盛です。aは箱とヒゲが最も短く、中心が20℃前後。bは低温側から高温側まで最も広く、左のヒゲも長い。cは広がりがaとbの中間で、箱の中心が20℃前後です。
東京との散布図はいずれも横軸が東京、縦軸が各都市の日最高気温(約-10〜50℃)です。O市は点が細い右上がりの帯、N市はO市より幅広い右上がりの帯、M市は右下がりの帯をつくっています。
【なぜこうするか】 (1)は3つのヒストグラムの形の違いを、箱ひげ図の形に翻訳する問題です。見るべきポイントは3つ。
- データの散らばりの大きさ → ヒストグラムの横の広がり ↔ 箱ひげ図のヒゲの長さ
- 山が1つに集中しているか → 柱の高さの偏り ↔ 箱の幅
- 分布の中心の位置 → 山の位置 ↔ 箱の中の線
M市のヒストグラムは特定の階級に極端に集中していて横の広がりが狭い。これに対応するのは、箱もヒゲも短い箱ひげ図です。
N市のヒストグラムは広い範囲にわたって平坦に分布し、低温側にも裾があります。対応するのはヒゲが左に長く伸び、箱も広い箱ひげ図。
東京はその中間で、山が中央よりやや右にあります。
この対応づけから、正しい組合せは⑤(東京—c、N市—b、M市—a)。ソは5です。
(2)は3つの散布図の傾き(向き)と、直線状にまとまる度合いを見ます。
- 東京とO市:点が細長い帯になって右上がり → 正の相関が強い
- 東京とN市:右上がりだが幅広く散らばる → 正の相関だが弱い
- 東京とM市:右下がり → 負の相関
これを選択肢に当てはめます。
- ⓪ M市は負の相関なので誤
- ① N市は正、M市は負 → 正
- ② 逆なので誤
- ③ O市のほうが直線状にまとまっている → 正
- ④ ③の逆なので誤
タ・チは①と③です(順序は問わない)。
【検算】 文字起こしした図表の特徴では、M市の分布が最も狭く箱ひげ図a、N市が最も広く箱ひげ図b、東京がcに対応します。散布図ではN市が右上がり、M市が右下がりで、O市の点群はN市より細い帯状です。したがって組合せ⑤、記述①・③をそれぞれ再確認できます。
【定石】 相関の「強さ」は、点が直線のまわりにどれだけ細く集まっているか。傾きの急さではない。ここを取り違えると③と④が逆になる。
〔3〕(3) 摂氏と華氏の変換は1次変換
(3) N市では温度の単位として摂氏(℃)のほかに華氏(℉)も使われている。華氏での温度は、摂氏での温度を \(\dfrac{9}{5}\) 倍し、32を加えると得られる。N市の最高気温について、摂氏での分散を \(X\)、華氏での分散を \(Y\) とすると、\(\dfrac{Y}{X}\) はツになる。東京(摂氏)とN市(摂氏)の共分散を \(Z\)、東京(摂氏)とN市(華氏)の共分散を \(W\) とすると、\(\dfrac{W}{Z}\) はテになる。東京(摂氏)とN市(摂氏)の相関係数を \(U\)、東京(摂氏)とN市(華氏)の相関係数を \(V\) とすると、\(\dfrac{V}{U}\) はトになる。⓪ \(-\dfrac{81}{25}\) ① \(-\dfrac{9}{5}\) ② \(-1\) ③ \(-\dfrac{5}{9}\) ④ \(-\dfrac{25}{81}\) ⑤ \(\dfrac{25}{81}\) ⑥ \(\dfrac{5}{9}\) ⑦ \(1\) ⑧ \(\dfrac{9}{5}\) ⑨ \(\dfrac{81}{25}\)
【型】\(aX+b\) では分散 \(a^{2}\) 倍、共分散 \(a\) 倍、相関係数は不変
【なぜこうするか】 華氏 \(=\dfrac{9}{5}\times\)(摂氏)\(+32\) は、傾き \(a=\dfrac{9}{5}\) の1次変換です。定数の32はすべての値を同じだけずらすだけなので、散らばりに関する量には影響しません。
分散:偏差が \(\dfrac{9}{5}\) 倍になり、それを2乗するので
\[\dfrac{Y}{X}=\left(\dfrac{9}{5}\right)^{2}=\dfrac{81}{25}\]
ツは⑨です。
共分散:変換されているのはN市の側だけ。東京はそのままなので、偏差の積は \(\dfrac{9}{5}\) 倍。
\[\dfrac{W}{Z}=\dfrac{9}{5}\]
テは⑧です。
相関係数:分子(共分散)が \(\dfrac{9}{5}\) 倍、分母のN市の標準偏差も \(\dfrac{9}{5}\) 倍になるので約分されて変わりません。
\[\dfrac{V}{U}=1\]
トは⑦です。
【ミスの罠】 共分散を \(\dfrac{81}{25}\) 倍としてしまうこと。2乗になるのは、両方の変数が同じ変換を受けたとき。ここでは片方だけなので \(\dfrac{9}{5}\) 倍です。「どちらの変数が変換されたか」を数えること。
【検算】 N市の摂氏データを \(N\)、東京のデータを \(T\)、華氏を \(F=\dfrac95N+32\) とすると、\(F-\overline F=\dfrac95(N-\overline N)\) です。したがって \(\mathrm{Var}(F)=\left(\dfrac95\right)^2\mathrm{Var}(N)\)、\(\mathrm{Cov}(T,F)=\dfrac95\mathrm{Cov}(T,N)\)。標準偏差も \(\dfrac95\) 倍なので相関係数ではこの倍率が約分され、3つの比が厳密に再現されます。
【定石】 相関係数は単位に依存しない。摂氏でも華氏でも、メートルでもフィートでも同じ値になる——これが相関係数という指標の存在意義そのもの。
- 「弧の上を動く点」は円周角が一定。角が固定なら余弦定理が使える。
- 和が一定なら積は等しいとき最大(相加相乗平均)。
- 円周角が \(90^{\circ}\) なら、見込む弦は直径。
- 散布図の選択肢は「どの図の、どこを見るか」を先に決める。
- 相関の強さは、点が直線のまわりにどれだけ細く集まっているか。
- 1次変換:分散 \(a^{2}\) 倍、共分散 \(a\) 倍(片方だけなら)、相関係数は不変。
第3問(選択・配点20) 確率(袋から2個取り出す・原因の確率)
赤球4個、青球3個、白球5個、合計12個の球がある。これら12個の球を袋の中に入れ、この袋から A さんがまず1個取り出し、その球をもとに戻さずに続いて B さんが1個取り出す。
(1) ア2 イ8 ウ3 エ3
(2) オ5 カ3 キ3 ク5 ケ1 コ1
(3) サ5 シ4 ス4 セ5 ソ1 タ2 チ4 ツ1 テ1
(1) 「少なくとも1個」は余事象
(1) A さんと B さんが取り出した2個の球のなかに、赤球か青球が少なくとも1個含まれている確率は \(\dfrac{\boxed{\text{アイ}}}{\boxed{\text{ウエ}}}\) である。
【型】「少なくとも1個」は「1個もない」の余事象
【なぜこうするか】 「赤か青が少なくとも1個」を直接数えると場合分けが増えます。余事象は「2個とも白」のただ1通りです。
A が白を引く確率は \(\dfrac{5}{12}\)。戻さないので、残り11個のうち白は4個。B が続けて白を引く確率は \(\dfrac{4}{11}\)。
「2個とも白」の確率は \[\dfrac{5}{12}\times\dfrac{4}{11}=\dfrac{20}{132}=\dfrac{5}{33}\]
したがって
\[1-\dfrac{5}{33}=\dfrac{28}{33}\]
アイは28、ウエは33です。
【検算】 順序を区別せずに数えると、2球の選び方は \(\binom{12}{2}=66\) 通り、2球とも白は \(\binom{5}{2}=10\) 通りです。したがって余事象から \(1-\dfrac{10}{66}=\dfrac{56}{66}=\dfrac{28}{33}\) となり、順番に確率を掛けた結果と一致します。
【定石】 「少なくとも1個」ときたら余事象。「赤か青」の余事象は「赤でも青でもない」=白、と色をまとめて考えるのがコツ。
(2) 同時確率と条件付き確率の関係
(2) A さんが赤球を取り出し、かつ B さんが白球を取り出す確率は \(\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{\boxed{\text{カキ}}}\) である。これより、A さんが取り出した球が赤球であったとき、B さんが取り出した球が白球である条件付き確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ク}}}{\boxed{\text{ケコ}}}\) である。
【型】\(P_{A}(B)=\dfrac{P\left(A\cap B\right)}{P(A)}\)
【なぜこうするか】 A が赤を引く確率は \(\dfrac{4}{12}=\dfrac{1}{3}\)。そのあと残り11個のうち白は5個のままなので、B が白を引く確率は \(\dfrac{5}{11}\)。
「A が赤、かつ B が白」の確率は \[\dfrac{4}{12}\times\dfrac{5}{11}=\dfrac{20}{132}=\dfrac{5}{33}\]
オは5、カキは33です。
条件付き確率は、これを「A が赤」の確率 \(\dfrac{1}{3}\) で割ります。
\[\dfrac{5/33}{1/3}=\dfrac{5}{33}\times 3=\dfrac{5}{11}\]
クは5、ケコは11です。
もっとも、これは掛け算に使った \(\dfrac{5}{11}\) そのものです。「A が赤と分かっている状態で B が白を引く確率」を素直に数えれば、残り11個中の白5個で \(\dfrac{5}{11}\)。条件付き確率を掛けて同時確率を作るという関係が、そのまま逆向きに読めているわけです。
【検算】 順序付きの全結果は \(12\times11=132\) 通りです。「Aが赤、Bが白」は赤4球と白5球の組で \(4\times5=20\) 通りなので \(20/132=5/33\)。Aが赤である結果は \(4\times11=44\) 通りだから、条件付き確率は \(20/44=5/11\) です。
【定石】 \(P\left(A\cap B\right)=P(A)\times P_{A}(B)\)。順番に引く問題では、この式を「掛け算のルール」として自然に使っている。条件付き確率を問われたら、掛けた側の因子を思い出すだけでよいことが多い。
(3)前半 \(B\) が白である確率を、排反な3つに分けて足す
(3) A さんは1球取り出したのち、その色を見ずにポケットの中にしまった。B さんが取り出した球が白球であることがわかったとき、A さんが取り出した球も白球であった条件付き確率を求めたい。A さんが赤球を取り出し、かつ B さんが白球を取り出す確率は \(\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{\boxed{\text{カキ}}}\) であり、A さんが青球を取り出し、かつ B さんが白球を取り出す確率は \(\dfrac{\boxed{\text{サ}}}{\boxed{\text{シス}}}\) である。同様に、A さんが白球を取り出し、かつ B さんが白球を取り出す確率を求めることができ、これらの事象は互いに排反であるから、B さんが白球を取り出す確率は \(\dfrac{\boxed{\text{セ}}}{\boxed{\text{ソタ}}}\) である。
【型】A の色で場合分け(全事象の分割)して足す
【なぜこうするか】 B が白を引くまでの経路は、A が何色を引いたかで3通りに分かれます。この3つは互いに排反で、しかもすべてを尽くしているので、確率を足せば答えになります。
A が青のとき:
\[\dfrac{3}{12}\times\dfrac{5}{11}=\dfrac{15}{132}=\dfrac{5}{44}\]
サは5、シスは44です。
A が白のとき:白が1個減るので、B が白を引く確率は \(\dfrac{4}{11}\) に下がります。
\[\dfrac{5}{12}\times\dfrac{4}{11}=\dfrac{20}{132}=\dfrac{5}{33}\]
3つを足します。分母を132に揃えると計算が楽です。
\[\dfrac{20}{132}+\dfrac{15}{132}+\dfrac{20}{132}=\dfrac{55}{132}=\dfrac{5}{12}\]
セは5、ソタは12です。
ここで注目したいのは、「B が白」の確率 \(\dfrac{5}{12}\) が「A のことを気にせず、いきなり B が白を引く確率」と同じだということ。袋から1個取るとき白である確率は \(\dfrac{5}{12}\) ですから。これは前に引いた人の結果を知らなければ、何番目に引いても確率は変わらないという、くじ引きの公平性そのものです。
【検算】 分母を132にそろえると、Aが赤・青・白の3経路はそれぞれ \(20/132\)、\(15/132\)、\(20/132\) です。和は \(55/132=5/12\)。一方、12球の並びを無作為に考えれば2番目が白である確率も白球数の割合 \(5/12\) なので一致します。
【定石】 「後から引く人の確率」は、前の人の色で場合分けして足す。結果は「いきなり引いたときの確率」に一致する——検算に使える。
(3)後半 原因の確率(ベイズの考え方)
よって、求める条件付き確率は \(\dfrac{\boxed{\text{チ}}}{\boxed{\text{ツテ}}}\) である。
【型】(B が白と分かったときの A も白の確率)=(両方白の確率)÷(B が白の確率)
【なぜこうするか】 いま問われているのは時間をさかのぼる向きの確率です。「後で起きたこと(B が白)が分かったとき、先に起きたこと(A が白)はどうだったか」——これを原因の確率と呼びます。
計算そのものは条件付き確率の定義どおり。分子は(3)前半で求めた \(\dfrac{5}{33}\)、分母は \(\dfrac{5}{12}\)。
\[\dfrac{\frac{5}{33}}{\frac{5}{12}}=\dfrac{5}{33}\times\dfrac{12}{5}=\dfrac{12}{33}=\dfrac{4}{11}\]
チは4、ツテは11です。
意味を考えると納得できます。B が白だったと分かっている——ということは、袋から白が1個減った状態で A が引いたのと同じこと。残り11個のうち白は4個なので \(\dfrac{4}{11}\)。時間の前後を入れ替えても、対称に考えられるわけです。
【ミスの罠】 「B が白と分かったときの A も白の確率」と「A が白と分かったときの B も白の確率」を取り違えること。後者は \(\dfrac{4}{11}\) で、たまたま同じ値になりますが、これは白球の個数の対称性による偶然です。一般には別の値になるので、「分かっているのはどちら」を必ず確認してから分母を決めます。
【検算】 「AもBも白」は順序付きで \(5\times4=20\) 通り、「Bが白」はBに入る白球5通りとAに入る残り11球の組で \(5\times11=55\) 通りです。したがって条件付き確率は \(20/55=4/11\)。確率の割り算 \((5/33)/(5/12)\) と同じ値になります。
【定石】 「後の結果から、前の原因を問う」のが原因の確率。手順は「①分母(後の結果の確率)を場合分けして足す ②分子(両方が起きる確率)を作る ③割る」の3ステップ。
- 「少なくとも1個」は余事象。色をまとめて考える。
- \(P\left(A\cap B\right)=P(A)\times P_{A}(B)\)。順番に引く問題の掛け算そのもの。
- 後から引く人の確率は、前の人の色で場合分けして足す。
- 結果は「いきなり引いたときの確率」に一致する——検算に使える。
- 原因の確率は「分母を場合分けで作ってから割る」の3ステップ。
第4問(選択・配点20) 整数の性質(不定方程式・記数法と有限小数)
(1) 不定方程式 \(92x+197y=1\)、および \(92x+197y=10\) を考える。(2) 記数法と、6進法の小数について考える。
(1) ア1 イ5 ウ- エ7 オ- カ4 キ7 ク2 ケ2
(2) コ1 サ2 シ3 ス・セ・ソ 0・3・5(順序は問わない)
(1)前半 互除法で特殊解を1つ見つける
(1) 不定方程式 \[92x+197y=1\] をみたす整数 \(x\)、\(y\) の組の中で、\(x\) の絶対値が最小のものは \(x=\)アイ、\(y=\)ウエである。
【型】ユークリッドの互除法を逆にたどる
【なぜこうするか】 係数がどちらも大きいので、合同式より互除法が確実です。まず割り算を繰り返します。
\[197=92\times 2+13\]
\[92=13\times 7+1\]
余りが1になったので、ここから逆にたどって1を表します。
\[1=92-13\times 7\]
\(13=197-92\times 2\) を代入すると
\[1=92-\left(197-92\times 2\right)\times 7=92-197\times 7+92\times 14=92\times 15-197\times 7\]
よって \(\left(x,\ y\right)=\left(15,\ -7\right)\) が1つの解。アイは15、ウエは \(-7\) です。
これが本当に \(x\) の絶対値最小かを確認します。92と197は互いに素なので、一般解は
\(k\) を整数として \[x=15+197k,\qquad y=-7-92k\]
\(x\) は197ずつ動くので、候補は \(\ldots,-182,\ 15,\ 212,\ \ldots\)。絶対値が最小なのは15です。
【検算】 \(92\times 15+197\times\left(-7\right)=1380-1379=1\) です。一般解 \(x=15+197k\) で \(k=0\) の両隣は \(-182\) と212なので、絶対値は15より大きくなります。そこからさらに197ずつ離れるため、\(|x|\) の最小値が15であることも一般解から確認できます。
【定石】 係数が2桁3桁なら互除法。割り算を2〜3回で余り1に到達したら、そこから逆代入。一般解は「相手の係数ずつ」動く。
(1)後半 右辺が10倍になったときの注意
不定方程式 \[92x+197y=10\] をみたす整数 \(x\)、\(y\) の組の中で、\(x\) の絶対値が最小のものは \(x=\)オカキ、\(y=\)クケである。
【型】前半の解を10倍してから、周期197で範囲に引き戻す
【なぜこうするか】 前半の解を10倍すれば、右辺も10倍になります。
\[92\times 150+197\times\left(-70\right)=10\]
つまり \(\left(x,\ y\right)=\left(150,\ -70\right)\) は解です。しかしこれは \(x\) の絶対値最小ではありません。
一般解は \(x=150+197k\)。\(k=-1\) とすると
\[x=150-197=-47\]
\(\left|-47\right|=47<150=\left|150\right|\) なので、こちらのほうが小さい。さらに \(k=-2\) では \(x=-244\) となり大きくなるので、絶対値最小は \(x=-47\)。
対応する \(y\) は
\[y=-70+92=22\]
オカキは \(-47\)、クケは22です。
【ミスの罠】 前半の答えを10倍して \(x=150\) と答えてしまうこと。「絶対値が最小」という条件は、10倍した解には引き継がれません。10倍したあと、必ず197で引き戻して絶対値を比べること。目安は「\(\left|x\right|\) が \(\dfrac{197}{2}=98.5\) より大きければ、引き戻せばもっと小さくなる」。
【検算】 \(92\times\left(-47\right)+197\times 22=-4324+4334=10\) です。一般解を \(x=-47+197k\) と書くと両隣は \(-244\) と150で、いずれも絶対値が47より大きく、さらに離れた項は197ずつ遠ざかります。よって \(x=-47\) が絶対値最小です。
【定石】 右辺が \(c\) 倍なら解も \(c\) 倍。ただし「絶対値最小」は作り直す。周期(相手の係数)で割った余りに直すのが速い。
(2)前半 2進法から4進法へは「2桁ずつ」
(2) 2進法で \(11011_{(2)}\) と表される数を4進法で表すとコサシ\(_{(4)}\) である。
【型】\(4=2^{2}\) なので、2進法の下位2桁ずつが4進法の1桁
【なぜこうするか】 まず10進法に直します。
\[11011_{(2)}=16+8+0+2+1=27\]
次に4で割り続けます。
\[27=4\times 6+3,\quad 6=4\times 1+2,\quad 1=4\times 0+1\]
余りを下から読んで \(123_{(4)}\)。コサシは123です。
もっと速い方法があります。\(4=2^{2}\) なので、2進法の数字を下から2桁ずつ区切れば、そのまま4進法の各桁になります。
\[\underbrace{1}_{1}\ \underbrace{10}_{2}\ \underbrace{11}_{3}\ \longrightarrow\ 123_{(4)}\]
この方法なら10進法を経由せずに変換できます。
【検算】 \(123_{(4)}=1\times 16+2\times 4+3\times 1=16+8+3=27\) ✓。\(11011_{(2)}=27\) と一致します ✓。
【定石】 底が「べき乗の関係」にある記数法どうしは、桁をまとめるだけで変換できる。2進 ↔ 4進は2桁ずつ、2進 ↔ 8進は3桁ずつ、2進 ↔ 16進は4桁ずつ。
(2)後半 10進法で有限小数になる条件
次の⓪〜⑤の6進法の小数のうち、10進法で表すと有限小数として表せるのはス、セ、ソである(順序は問わない)。⓪ \(0.3_{(6)}\) ① \(0.4_{(6)}\) ② \(0.33_{(6)}\) ③ \(0.43_{(6)}\) ④ \(0.033_{(6)}\) ⑤ \(0.043_{(6)}\)
【型】既約分数の分母が \(2^{a}5^{b}\) の形 \(\Longleftrightarrow\) 10進法で有限小数
【なぜこうするか】 まず判定基準を確認します。分数を10進法の小数で表したとき有限小数になるのは、既約分数にしたときの分母が2と5だけでできているときです(10の素因数が2と5だから)。
6進法の小数は \(0.abc_{(6)}=\dfrac{a}{6}+\dfrac{b}{36}+\dfrac{c}{216}\)。1つずつ既約分数に直します。
- ⓪ \(0.3_{(6)}=\dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{2}\) 分母2 → 有限小数(\(0.5\))
- ① \(0.4_{(6)}=\dfrac{4}{6}=\dfrac{2}{3}\) 分母に3 → 循環小数
- ② \(0.33_{(6)}=\dfrac{3}{6}+\dfrac{3}{36}=\dfrac{18+3}{36}=\dfrac{21}{36}=\dfrac{7}{12}\) 分母12に3が残る → 循環小数
- ③ \(0.43_{(6)}=\dfrac{4}{6}+\dfrac{3}{36}=\dfrac{24+3}{36}=\dfrac{27}{36}=\dfrac{3}{4}\) 分母4 → 有限小数(\(0.75\))
- ④ \(0.033_{(6)}=\dfrac{3}{36}+\dfrac{3}{216}=\dfrac{18+3}{216}=\dfrac{21}{216}=\dfrac{7}{72}\) 分母72に3が残る → 循環小数
- ⑤ \(0.043_{(6)}=\dfrac{4}{36}+\dfrac{3}{216}=\dfrac{24+3}{216}=\dfrac{27}{216}=\dfrac{1}{8}\) 分母8 → 有限小数(\(0.125\))
したがってス・セ・ソは⓪、③、⑤です(順序は問わない)。
コツは、約分して分母から3が消えるかどうかだけを見ること。\(6^{n}=2^{n}3^{n}\) なので、分子が \(3^{n}\) の倍数であれば3が全部消えます。
【ミスの罠】 約分を忘れて「分母が \(6^{n}\) だから常に循環小数」と決めつけること。必ず既約分数にしてから判定します。③や⑤のように、約分で分母の3がきれいに消えることがあります。
【検算】 6つを既約分数にすると \(\dfrac{1}{2},\ \dfrac{2}{3},\ \dfrac{7}{12},\ \dfrac{3}{4},\ \dfrac{7}{72},\ \dfrac{1}{8}\) です。分母の素因数が2と5だけなのは⓪③⑤で、実際に \(0.5\)、\(0.75\)、\(0.125\) と有限小数になります。
【定石】 10進法で有限小数 \(\Longleftrightarrow\) 既約分数の分母が \(2^{a}5^{b}\)。一般に \(n\) 進法で有限小数になる条件は、分母の素因数が \(n\) の素因数に全部含まれること。
- 係数が大きい不定方程式は互除法。逆代入で特殊解を作る。
- 右辺が \(c\) 倍なら解も \(c\) 倍。ただし「絶対値最小」は作り直す。
- 2進 ↔ 4進は2桁ずつまとめるだけ。
- 10進法で有限小数 \(\Longleftrightarrow\) 既約分数の分母が \(2^{a}5^{b}\)。
- 必ず約分してから判定する。
第5問(選択・配点20) 図形の性質(円に内接する四角形・メネラウスの定理・方べきの定理)
四角形 ABCD において、\(\mathrm{AB}=4\)、\(\mathrm{BC}=2\)、\(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}\) であり、4つの頂点 A、B、C、D は同一円周上にある。対角線 AC と対角線 BD の交点を E、線分 AD を \(2:3\) の比に内分する点を F、直線 FE と直線 DC の交点を G とする。
ア0 イ1 ウ2 エ1 オ3 カ3 キ2 ク7 ケ4 コ3 サ0 シ2
前半(a) 円周角の等しさを見つける
\(\angle\mathrm{ABC}\) の大きさが変化するとき四角形 ABCD の外接円の大きさも変化することに注意すると、\(\angle\mathrm{ABC}\) の大きさがいくつであっても、\(\angle\mathrm{DAC}\) と大きさが等しい角は、\(\angle\mathrm{DCA}\) と \(\angle\mathrm{DBC}\) とアである。⓪ \(\angle\mathrm{ABD}\) ① \(\angle\mathrm{ACB}\) ② \(\angle\mathrm{ADB}\) ③ \(\angle\mathrm{BCG}\) ④ \(\angle\mathrm{BEG}\)
【配置を文章で確認】 A、B、C、Dはこの順に同一円周上にあり、対角線ACとBDが円の内部のEで交わります。FはAD上で (mathrm{AF}:mathrm{FD}=2:3)。直線FEをEの先へ延長すると、直線DCをDの側からCの先へ延長した直線とGで交わります。この位置関係だけで、以下の円周角・相似・メネラウスの議論を追えます。
【型】同じ弧に対する円周角は等しい/二等辺三角形の底角は等しい
【なぜこうするか】 まず与えられた2つの等号がなぜ成り立つかを確認します。
\(\angle\mathrm{DCA}=\angle\mathrm{DAC}\):\(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}\) なので \(\triangle\mathrm{DAC}\) は二等辺三角形。底角が等しいからです。
\(\angle\mathrm{DBC}=\angle\mathrm{DAC}\):どちらも弧 DC に対する円周角だからです。
では3つ目は。\(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}\) ということは弧 DA と弧 DC の長さが等しい。等しい弧に対する円周角も等しいので、弧 DA を見込む角が \(\angle\mathrm{DAC}\)(弧 DC を見込む角)と等しくなります。
弧 DA を見込む円周角は \(\angle\mathrm{ABD}\)(点 B から弧 DA を見た角)。したがってアは⓪です。
選択肢②の \(\angle\mathrm{ADB}\) は弧 AB を見込む角なので別物。①の \(\angle\mathrm{ACB}\) も弧 AB。③④は円周角ですらありません。
【検算】 \(\angle\mathrm{DAC}\) は弧DC、\(\angle\mathrm{ABD}\) は弧ADを見込む円周角です。等しい弦 \(\mathrm{DC}=\mathrm{DA}\) に対する弧は等しいため、この2角も等しくなります。ほかの選択肢が見込む弧と照合しても⓪だけが条件を満たします。
【定石】 「等しい弦 \(\Longrightarrow\) 等しい弧 \(\Longrightarrow\) 等しい円周角」。\(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}\) という条件は、二等辺三角形の底角だけでなく、弧に対する円周角の比較にも利用できます。
前半(b) 相似から比を、メネラウスから次の比を
このことより \(\dfrac{\mathrm{EC}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\boxed{\text{イ}}}{\boxed{\text{ウ}}}\) である。次に、\(\triangle\mathrm{ACD}\) と直線 FE に着目すると、\(\dfrac{\mathrm{GC}}{\mathrm{DG}}=\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{オ}}}\) である。
【型】対角線の交点まわりの2組の相似 → メネラウス
【なぜこうするか】 E は対角線の交点。ここには相似な三角形が2組できます。
1組目:\(\triangle\mathrm{ABE}\) と \(\triangle\mathrm{DCE}\)。\(\angle\mathrm{BAE}=\angle\mathrm{CDE}\)(弧 BC の円周角)、\(\angle\mathrm{AEB}=\angle\mathrm{DEC}\)(対頂角)で相似。対応は A↔D、B↔C なので
\[\dfrac{\mathrm{EC}}{\mathrm{BE}}=\dfrac{\mathrm{DC}}{\mathrm{AB}},\qquad \dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{DC}}{\mathrm{AB}}\]
2組目:\(\triangle\mathrm{ADE}\) と \(\triangle\mathrm{BCE}\)。\(\angle\mathrm{DAE}=\angle\mathrm{CBE}\)(弧 DC の円周角)、対頂角で相似。対応は A↔B、D↔C なので
\[\dfrac{\mathrm{BE}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AD}},\qquad \dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{BC}}\]
1組目の第1式と2組目の第1式を掛け合わせると \(\mathrm{BE}\) が消えます。
\[\dfrac{\mathrm{EC}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{EC}}{\mathrm{BE}}\times\dfrac{\mathrm{BE}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{DC}}{\mathrm{AB}}\times\dfrac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AD}}\]
ここで\(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}\) を使います。\(\mathrm{DC}\) と \(\mathrm{AD}\) が約分されて
\[\dfrac{\mathrm{EC}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AB}}=\dfrac{2}{4}=\dfrac{1}{2}\]
イは1、ウは2です。外接円の大きさが変わっても、この比は変わりません——冒頭の「\(\angle\mathrm{ABC}\) が変化しても」という注意書きは、このことを示唆していたわけです。
次はメネラウス。\(\triangle\mathrm{ACD}\) を直線 FEG が横切っています(F は辺 AD 上、E は辺 AC 上、G は直線 DC 上)。
\[\dfrac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FD}}\cdot\dfrac{\mathrm{DG}}{\mathrm{GC}}\cdot\dfrac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}}=1\]
\(\mathrm{AF}:\mathrm{FD}=2:3\)、\(\dfrac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}}=\dfrac{1}{2}\) を代入すると
\[\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{\mathrm{DG}}{\mathrm{GC}}\cdot\dfrac{1}{2}=1\quad\Longrightarrow\quad \dfrac{\mathrm{DG}}{\mathrm{GC}}=3\]
求めるのは逆数なので
\[\dfrac{\mathrm{GC}}{\mathrm{DG}}=\dfrac{1}{3}\]
エは1、オは3です。
【検算】 相似から得た式へ \(\mathrm{DC}=\mathrm{AD}\)、\(\mathrm{BC}/\mathrm{AB}=2/4\) を直接代入すると \(\mathrm{EC}/\mathrm{AE}=1/2\) です。続いてメネラウスの積は \(\dfrac{2}{3}\cdot3\cdot\dfrac{1}{2}=1\) となるので、\(\mathrm{DG}/\mathrm{GC}=3\)、すなわち \(\mathrm{GC}/\mathrm{DG}=1/3\) と確認できます。
【定石】 円に内接する四角形の対角線の交点まわりには、相似な三角形が2組。2つの比を掛けて共通部分を消すのが常套手段。「三角形と、それを横切る直線」ときたらメネラウス。
(1) 直線 AB が G を通る場合
(1) 直線 AB が点 G を通る場合について考える。このとき、\(\triangle\mathrm{AGD}\) の辺 AG 上に点 B があるので、\(\mathrm{BG}=\)カである。また、直線 AB と直線 DC が点 G で交わり、4点 A、B、C、D は同一円周上にあるので、\(\mathrm{DC}=\)キ\(\sqrt{\boxed{\text{ク}}}\) である。
【型】メネラウスで長さ、方べきの定理で残りの長さ
【なぜこうするか】 まず準備として、E が対角線 BD をどう分けるかを出しておきます。前半で見た2組の相似から
\[\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{AE}}=\dfrac{\mathrm{DC}}{\mathrm{AB}},\qquad \dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{BC}}\]
掛け合わせて \(\mathrm{AE}\) を消すと
\[\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\mathrm{DC}}{\mathrm{AB}}\cdot\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{BC}}=\dfrac{\mathrm{DC}\cdot\mathrm{AD}}{4\times 2}=\dfrac{\mathrm{DC}^{2}}{8}\]
最後の変形で \(\mathrm{AD}=\mathrm{DC}\) を使いました。
さて、直線 AB が G を通るということは、G は直線 FE 上にも直線 AB 上にもある。つまり \(\triangle\mathrm{ABD}\) を直線 FE が横切るときの、辺 AB 側の交点がちょうど G です。メネラウスの定理より
\[\dfrac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FD}}\cdot\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}\cdot\dfrac{\mathrm{BG}}{\mathrm{GA}}=1\]
\(\mathrm{GC}=t\) とおくと、前半の \(\dfrac{\mathrm{GC}}{\mathrm{DG}}=\dfrac{1}{3}\) から \(\mathrm{GD}=3t\)、\(\mathrm{DC}=\mathrm{GD}-\mathrm{GC}=2t\)。したがって \(\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\left(2t\right)^{2}}{8}=\dfrac{t^{2}}{2}\)。
B は G と A の間にあるので \(\mathrm{GA}=\mathrm{GB}+\mathrm{BA}=\mathrm{GB}+4\)。\(\mathrm{GB}=m\) とおいて代入します。
\[\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{t^{2}}{2}\cdot\dfrac{m}{m+4}=1\quad\Longrightarrow\quad t^{2}m=3\left(m+4\right)\qquad\cdots\cdots\ (\text{i})\]
もう1本、方べきの定理で式を作ります。点 G から出る2本の割線が円と交わるので
\[\mathrm{GB}\cdot\mathrm{GA}=\mathrm{GC}\cdot\mathrm{GD}\quad\Longrightarrow\quad m\left(m+4\right)=t\times 3t=3t^{2}\qquad\cdots\cdots\ (\text{ii})\]
(ii)より \(t^{2}=\dfrac{m\left(m+4\right)}{3}\)。これを(i)に代入すると
\[\dfrac{m\left(m+4\right)}{3}\cdot m=3\left(m+4\right)\]
\(m+4\neq 0\) なので両辺を \(m+4\) で割って
\[\dfrac{m^{2}}{3}=3\quad\Longrightarrow\quad m^{2}=9\quad\Longrightarrow\quad m=3\]
\(\mathrm{BG}=3\)。カは3です。
あとは(ii)に \(m=3\) を戻すだけです。\(\mathrm{GA}=3+4=7\) なので
\[3\times 7=3t^{2}\quad\Longrightarrow\quad t^{2}=7\quad\Longrightarrow\quad t=\sqrt{7}\]
したがって
\[\mathrm{DC}=2t=2\sqrt{7}\]
キは2、クは7です。
問題文の「直線 AB と直線 DC が点 G で交わり、4点 A、B、C、D は同一円周上にある」という記述が、方べきの定理を選ぶ手掛かりです。
【検算】 \(m=3\)、\(t=\sqrt7\) を2本の式へ戻すと、(i)は \(t^{2}m=7\cdot3=21=3(m+4)\)、(ii)は \(m(m+4)=3\cdot7=21=3t^{2}\) です。したがって \(\mathrm{BG}=m=3\)、\(\mathrm{DC}=2t=2\sqrt7\) はメネラウスと方べきの両条件を同時に満たします。
【定石】 「2直線が円の外の点で交わる」ときは方べきの定理。比が分かっている辺は \(t\) と \(3t\) のように1文字で置くと、方べきの式が \(t\) の2次方程式になって解ける。
(2) 外接円の直径が最小になる場合
(2) 四角形 ABCD の外接円の直径が最小となる場合について考える。このとき、四角形 ABCD の外接円の直径はケであり、\(\angle\mathrm{BAC}=\)コサ\(^{\circ}\) である。また、直線 FE と直線 AB の交点を H とするとき、\(\dfrac{\mathrm{GC}}{\mathrm{DG}}=\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{オ}}}\) の関係に着目して AH を求めると、\(\mathrm{AH}=\)シである。
【型】直径 \(\geqq\) 任意の弦。等号は「その弦が直径」のとき
【なぜこうするか】 円の中で最も長い弦は直径です。四角形の辺 AB は弦なので
(直径)\(\geqq\mathrm{AB}=4\)
直径が最小になるのは等号成立、すなわちAB がちょうど直径のとき。
(直径)\(=4\)
ケは4です。
AB が直径なら、円周角の定理から \(\angle\mathrm{ACB}=90^{\circ}\)。\(\triangle\mathrm{ABC}\) は直角三角形で、斜辺 \(\mathrm{AB}=4\)、\(\mathrm{BC}=2\) なので
\[\sin\angle\mathrm{BAC}=\dfrac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AB}}=\dfrac{2}{4}=\dfrac{1}{2}\]
\[\angle\mathrm{BAC}=30^{\circ}\]
コサは30です(辺の比が \(1:2:\sqrt{3}\) の直角三角形)。
最後に AH。H は直線 FE と直線 AB の交点なので、今度は\(\triangle\mathrm{ABD}\) と直線 FEHにメネラウスを使います(F は辺 AD 上、E は辺 BD 上、H は直線 AB 上)。
\[\dfrac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FD}}\cdot\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}\cdot\dfrac{\mathrm{BH}}{\mathrm{HA}}=1\]
\(\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}\) は、(1)で作った公式 \(\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\mathrm{DC}^{2}}{8}\) から出ます。そこで \(\mathrm{DC}\) を求めます。\(\triangle\mathrm{ABC}\) は \(\angle\mathrm{ACB}=90^{\circ}\)、\(\mathrm{AB}=4\)、\(\mathrm{BC}=2\) の直角三角形なので \(\angle\mathrm{ABC}=60^{\circ}\)、\(\mathrm{AC}=\sqrt{16-4}=2\sqrt{3}\)。
円に内接する四角形の対角の和は \(180^{\circ}\) だから \(\angle\mathrm{ADC}=180^{\circ}-60^{\circ}=120^{\circ}\)。\(\triangle\mathrm{ADC}\) は \(\mathrm{DA}=\mathrm{DC}=d\) の二等辺三角形なので、余弦定理より
\[\mathrm{AC}^{2}=d^{2}+d^{2}-2d^{2}\cos 120^{\circ}=3d^{2}\]
\[12=3d^{2}\quad\Longrightarrow\quad d=2\]
したがって \(\dfrac{\mathrm{DE}}{\mathrm{EB}}=\dfrac{\mathrm{DC}^{2}}{8}=\dfrac{4}{8}=\dfrac{1}{2}\) で
\[\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{\mathrm{BH}}{\mathrm{HA}}=1\quad\Longrightarrow\quad \dfrac{\mathrm{BH}}{\mathrm{HA}}=3\]
ここでH の位置を確かめます。メネラウスの定理では、三角形の3辺のうち直線が内部で交わるのは0本または2本。いま F は辺 AD の内部、E は辺 BD の内部にあるので、残る辺 AB とは外部で交わります。したがって H は AB を A の側に延長した先にあります。
したがって \(\mathrm{BH}=\mathrm{AB}+\mathrm{AH}=4+\mathrm{AH}\)。これを比の式に入れると
\[\dfrac{4+\mathrm{AH}}{\mathrm{AH}}=3\quad\Longrightarrow\quad 4+\mathrm{AH}=3\,\mathrm{AH}\quad\Longrightarrow\quad \mathrm{AH}=2\]
シは2です。
【検算】 半径2の円に \(A=(-2,0)\)、\(B=(2,0)\)、\(C=(1,\sqrt3)\)、\(D=(-1,\sqrt3)\) と置くと、\(\mathrm{AB}=4\)、\(\mathrm{BC}=\mathrm{CD}=\mathrm{DA}=2\) を満たします。交点は \(E=(0,2\sqrt3/3)\)、\(F=(-8/5,2\sqrt3/5)\)、\(G=(2,\sqrt3)\)、\(H=(-4,0)\) です。よって \(\mathrm{GC}/\mathrm{DG}=1/3\)、\(\mathrm{AH}=2\)。Hは線分ABの中点ではなく、Aの外側にあることも確認できます。
【ミスの罠】 メネラウスの定理で比の向きを取り違えること。\(\dfrac{\mathrm{BH}}{\mathrm{HA}}=3\) から \(\mathrm{AH}\) を出すとき、H が線分 AB の内部にあるのか外部にあるのかで式が変わります。2点の内部交点からHが外部にあると判断してから、長さの式を立てること。
【定石】 「直径が最小」は「最長の弦が直径になるとき」。AB が直径になれば \(\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{ADB}=90^{\circ}\) と直ちに分かり、三角比を使って残りの長さを求められます。
- 等しい弦 \(\Longrightarrow\) 等しい弧 \(\Longrightarrow\) 等しい円周角。
- 対角線の交点まわりには相似な三角形が2組。比を掛けて共通部分を消す。
- 三角形を横切る直線ときたらメネラウス。比の向きに注意。
- 円の外の点で2直線が交われば方べきの定理。比が分かっている辺は1文字で置く。
- 「直径が最小」は「最長の弦が直径」。直角が手に入る。

