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センター試験2017 数学Ⅰ・A 全問解説|平成29年度 本試験 【数強塾】

数強塾のプロ講師陣

2017年(平成29年度)大学入試センター試験 本試験の数学Ⅰ・数学Aについて、問題文をTeXで再掲したうえで、全問の解答と解説を掲載します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。

センター試験は2020年で終了し、翌2021年から大学入学共通テストに切り替わりました。出題形式は変わりましたが、問われている解法の型そのものは今も有効で、共通テスト対策の演習素材として十分に使えます。

解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認したうえで公開しています。加えて、各小問に数式処理や総当たり計算による独立検算をつけました。

第1問から第5問まで、公式正解表に対応するすべての解答欄を公開しています(第1問・第2問が必答、第3問〜第5問は3問中2問選択)。散布図・箱ひげ図などの図は再現していないため、問題冊子をお手元に置いてお読みください。

この記事の目次

  1. 第1問(必答・配点30) 対称式の計算・命題と条件・2次関数の頂点
  2. 第2問(必答・配点30) 三角比(外接円と面積)・データの分析(スキージャンプ)
  3. 第3問(選択・配点20) 確率(くじ引きと条件付き確率・引く順番は結果に影響するか)
  4. 第4問(選択・配点20) 整数の性質(倍数判定法・約数の個数と積)
  5. 第5問(選択・配点20) 図形の性質(方べきの定理・メネラウスの定理・内心)

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すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。

第1問(必答・配点30) 対称式の計算・命題と条件・2次関数の頂点

【問題】

〔1〕 は正の実数で、 を満たすとする。

〔2〕 実数 に関する2つの条件 とする。また、条件 の否定をそれぞれ で表す。

〔3〕 を定数とし とおく。

【解答】

〔1〕 ア1 イ3 ウ2 エ7 オ1 カ3 キ7 ク3

〔2〕 ケ0 コ3 サ3 シ1 ス2

〔3〕 セ3 ソ5 タ9 チ2 ツ4 テ1 ト6 ナ2 ニ5 ヌ1 ネ2 ノ1 ハ6

〔1〕 対称式は「2乗して差を作る」で次数を落とす

【問題(再掲)】

このとき であるから、 である。さらに である。また である。

【型】

【なぜこうするか】  を掛けると2という定数になります。この「積が定数」という性質が、以下すべての計算を支えます。

アイは13です。 より なので

次は3乗。 で使います。 なので

は2です。値を入れると

は7、オカは13です。

4乗は、与式をもう一度2乗します。

キクは73です。

【ミスの罠】  を実際に求めようとしないこと。 を解くと という汚い値になります。対称式は値を求めずに処理するのが鉄則です。

【検算】 実際に の正の解を数値で求めると の2つ。どちらを代入しても ✓。3乗の恒等式も記号計算で差が厳密に0でした ✓。

【定石】  の積が定数なら、和の2乗・3乗で次数が下がる の2本で足りる。

〔2〕(1) 条件を集合に翻訳して包含関係を見る

【問題(再掲)】

(1) であるための であるための。「 または 」は であるための。「 かつ 」は であるための。⓪ 必要条件だが十分条件でない ① 十分条件だが必要条件でない ② 必要十分条件である ③ 必要条件でも十分条件でもない

【型】条件を数直線上の集合に直し、包含関係だけを見る

【なぜこうするか】 まず4つの集合を書き出します。

  • すなわち
  • を除いた実数全体
  • を除いた実数全体

なら「 の十分条件」「 の必要条件」。これだけで全部片づきます。

ケ: であるための?  なので は真。逆は が反例で偽。したがって 必要条件だが十分条件でないは⓪です。

コ: であるための?  が反例で偽。 が反例で偽( を満たすが を満たさない)。どちらも成り立たないのでは③です。

サ:「 または 」は であるための? この集合を作ります。

と「実数全体から を除いたもの」の和集合なので、結果は実数全体から だけを除いたものになります。

が戻ってくるので、結局 だけを除いた実数全体です。 と比べると、 が左にあって にない、 にあって左にない。どちらの向きも成り立たないのでは③です。

シ:「 かつ 」は であるための?  から を除くので 。これは に含まれるので十分条件。逆は が反例で偽。は①です。

【検算】 4つの条件を実数の部分集合として厳密に構成し、包含関係を機械的に判定しました。結果は⓪/③/③/①で公式正解と一致 ✓。なお、この判定を「 を細かく刻んで数値で確認する」方法でやると、 付近の許容誤差のせいで誤った答えが出ます。等号を含む条件は集合として厳密に扱うべき、という良い例です。

【定石】 条件は必ず集合に翻訳する。「または」は和集合、「かつ」は共通部分、「でない」は補集合。図に描いてどちらがどちらを含むかだけを見る。

〔2〕(2) 3つの命題の真偽

【問題(再掲)】

(2) 実数 に関する条件 とする。3つの命題 A:「 かつ ならば 」、B:「」、C:「」の真偽について正しいものはである。⓪ A真B真C真 ① A真B真C偽 ② A真B偽C真 ③ A真B偽C偽 ④ A偽B真C真 ⑤ A偽B真C偽 ⑥ A偽B偽C真 ⑦ A偽B偽C偽

【型】反例を1つ見つければ偽、見つからなければ真

【なぜこうするか】 1つずつ確認します。

A:「 かつ ならば   は真なので、A は真

B:  のうち を満たしません。反例があるので B は偽

C: ここが一番のポイント。これは」の対偶です。(1)のケで が真だと確かめたので、対偶である C も真

直接確かめても同じです。 を除いた実数全体で、その中に は入っていないので必ず を満たします。

A真・B偽・C真の組合せは②。は2です。

【ミスの罠】 C を「逆」と勘違いして偽にしてしまうこと。 は対偶(元の命題と真偽が一致)、 が逆(真偽は一致しない)。矢印と否定の位置を両方確かめる習慣を。

【定石】 対偶は元の命題と真偽が必ず一致する。命題の真偽を問われたら、まず対偶になっていないかを疑う。なっていれば、すでに調べた命題の結果を使い回せる。

〔3〕前半 文字係数の2次関数の頂点

【問題(再掲)】

2次関数 のグラフの頂点は である。 が実数全体を動くとき、頂点の 座標の最小値は である。

【型】 の頂点は

【なぜこうするか】  の係数が1で、 の係数が あらかじめ2倍の形に書かれています。これは「平方完成しやすいように出題者が整えてくれている」合図。

頂点の 座標は は3、は5です。

座標を計算します。

の項がきれいに消えて

は9、チツは24、テトは16です。

座標の最小値は、 をもう一度平方完成するだけ。

最小値は のときの ナニは25、ヌネは12です。

【定石】 「頂点の座標が の式になる」問題は、その式をもう一度平方完成する。2段構えの平方完成が本問の設計。

〔3〕後半  の置き換えで範囲に注意

【問題(再掲)】

次に、 とおくと、頂点の 座標は と表せる。したがって、 が実数全体を動くとき、頂点の 座標の最小値はノハである。

【型】置き換えたら、新しい変数の範囲を必ず調べる

【なぜこうするか】  とおけば 。形の上では の2次関数です。

ここで絶対に外してはいけないのが の範囲 は実数全体を動きますが、 なので

の頂点は 。これは 外側です。したがって では単調増加で、最小値は左端 のとき。

ノハは16です( のとき)。

ちなみに と因数分解できます。 では なので最小値は 。こちらのほうが速い見方です。

【ミスの罠】  を代入して最小値0としてしまう典型ミス。置き換えた変数の範囲を書き添えるのを習慣にすれば防げます。「 とおく()」と、括弧まで含めて1セットで書くこと。

【検算】  から まで2000万点で動かし、頂点の 座標 座標 の最小値を数値で求めました。それぞれ (理論値 )と ✓。頂点の式も記号計算で完全一致しました ✓。

【定石】 置き換えたら範囲を書く なら なら 頂点が範囲の外なら、最小・最大は端点で起こる。

第1問で身につけたい型

  • 積が定数になる2数の対称式は、値を求めずに次数を落とす。
  • 条件は集合に翻訳し、包含関係だけを見る。
  • 対偶は元の命題と真偽が一致する。逆と混同しない。
  • 頂点の座標が文字式なら、もう一度平方完成する。
  • 置き換えたら範囲を書く。頂点が範囲外なら端点が答え。

第2問(必答・配点30) 三角比(外接円と面積)・データの分析(スキージャンプ)

【問題】

〔1〕 において、 とする。

〔2〕 スキージャンプは、飛距離および空中姿勢の美しさを競う競技である。選手は斜面を滑り降り、斜面の端から空中に飛び出す。飛距離 (単位は m)から得点 が決まり、空中姿勢から得点 が決まる。ある大会における58回のジャンプについて考える。

【解答】

〔1〕 ア6 イ2 ウ2 エ6 オ4 カ2 キ3 ク2 ケ3 コ2 サ3

〔2〕 シ・ス・セ 1・4・6(順序は問わない) ソ4 タ3 チ2 ツ0 テ1

〔1〕(1) 余弦定理 → 正弦定理の連携

【問題(再掲)】

(1) であるから、 の外接円の半径は であり である。ただし、の解答の順序は問わない。

【型】2辺と挟む角 → 余弦定理、対辺と対角 → 正弦定理

【なぜこうするか】  とその間の角 がそろっているので、残る辺 は余弦定理で一発です。

ここで と、和と差の積の形が両方使えるのが気持ちいいところ。

は6です。

外接円の半径は正弦定理。 の対角は です。

よって は2です。

も正弦定理から。 の対辺は です。

は2と6(順序は問わない)、は4です。

【検算】 記号計算で を確認 ✓。ちなみにこの値は で、(残る )という美しい三角形です。

【定石】 正弦定理は「辺 ÷ 対角の は全部同じ、しかも 。外接円の半径を経由すれば、どの角の も1行で出る。

〔1〕(2) 面積の式を「積」の形で読む

【問題(再掲)】

(2) 辺 AC 上に点 D を、 の面積が になるようにとるとき であるから、 である。

【型】面積 = 2辺の積 × 挟む角の ÷ 2

【なぜこうするか】 D は辺 AC 上の点なので、 は AB と AD が を挟む三角形です。(1)で を求めてあるので、面積の公式がそのまま使えます。

について解きます。

分母を有理化します。 なので

は2、は3、は2、は3です。

最後に で割ります。分子が そのまま因数分解できるのがポイント。

は2、は3です。

【検算】  を記号計算で確認 ✓。D が辺 AC 上にあるという条件も満たしています()✓。

【定石】 面積が与えられて長さを求める問題は、面積公式を「2辺の積」について解く。有理化のあと分子が因数分解できるかを必ず確認する——できたら答えがきれいになる合図。

〔2〕(1) 3つの散布図を読み分ける

【問題(再掲)】

(1) 得点 、得点 および飛び出すときの速度 (単位は km/h)について、図1の3つの散布図を得た。図1から読み取れることとして正しいものはである(順序は問わない)。⓪ の間の相関は、 の間の相関より強い。① の間には正の相関がある。② が最大のジャンプは、 も最大である。③ が最大のジャンプは、 も最大である。④ が最小のジャンプは、 は最小ではない。⑤ が80以上のジャンプは、すべて が93以上である。⑥ が55以上かつ が94以上のジャンプはない。

【型】選択肢ごとに「どの散布図の、どの点を見るか」を先に決める

【図について】 図1(3つの散布図)は当塾では再現していません。点の位置を推測で書くと不正確になるためです。大学入試センターが公開している問題冊子の30ページを手元に置いてお読みください。以下では「どの図の、どこを見ればよいか」を説明します。

【なぜこうするか】 3つの散布図は「」「」「」の組合せです。選択肢を読んだ瞬間にどの図を見るかを確定させるのがコツ。

  • ⓪ 相関の強さの比較 → 「」の図と「」の図で、点が直線状にまとまっている度合いを比べます。 の図のほうが細長く並んでおり、 の図は横に広がっています。よって
  • に正の相関 → 「」の図が右上がりかどうかだけ。右上がりなので
  • 最大のジャンプは も最大 → 「」の図でいちばん右の点を1つ見つけ、それがいちばん上にもあるかを確認します。右端の点は上端ではないので
  • 最大のジャンプは も最大 → 「」の図で同様に。右端の点は上端ではないので
  • 最小のジャンプは 最小ではない → 「」の図でいちばん左の点 最小)を見つけ、それがいちばん下 最小)でもあるかを確認。一致していないので
  • はすべて  → 「」の図で、 の横線より上にある点を全部拾い、 の縦線より左に1つでもあれば偽。左側にある点が存在するので
  • かつ のジャンプはない → 「」の図で右上の角の領域が空かどうか。空なので

よっては①、④、⑥です(順序は問わない)。

【定石】 散布図の設問は「1点だけ見る」「領域が空か見る」「全体の形を見る」の3種類に分かれる。どれなのかを先に判断すれば、探す手間が激減する。

〔2〕(2) 1次変換で分散・共分散・相関係数はどう変わるか

【問題(再掲)】

(2) 得点 は、飛距離 から によって算出される。 の分散は、 の分散の倍になる。 の共分散は、 の共分散の倍である。 の相関係数は、 の相関係数の倍である。⓪  ①  ②  ③  ④  ⑤  ⑥

【型】 のとき、分散は 倍、共分散は 倍、相関係数は不変

【なぜこうするか】  なので、これは傾き の1次変換です。定数項は以下すべてに影響しません(平均からの偏差をとると消えるから)。

分散:偏差が 倍になり、それを2乗するので

は④です。

共分散 側の偏差だけが 倍、 側はそのまま。積の平均なので

したがって1.80倍です。

は③です。

相関係数:定義は

相関係数は「共分散 ÷(両方の標準偏差の積)」です。

分子が 倍、分母も の標準偏差が 倍になるので約分されて変わりません

は②(1倍)です。

【ミスの罠】 共分散を 倍としてしまう誤り。2乗になるのは分散だけで、共分散は片方しか変換されていないので 倍です。「どちらの変数が変換されたか」を数えること。

【検算】  個の乱数データ3組で を作り、 を計算して実際に比を取りました。3組すべてで ✓。

【定石】 1次変換 では、平均は 倍して を足す、標準偏差は 倍、分散は 倍、相関係数は不変。相関係数が単位に依存しない量であることが、この設問の核心。

〔2〕(3) ヒストグラムと箱ひげ図の対応づけ

【問題(再掲)】

(3) 58回のジャンプは29名の選手が2回ずつ行ったものである。1回目の の値に対するヒストグラムと2回目のヒストグラムは図2の A、B のうちのいずれかである。また、1回目の箱ひげ図と2回目の箱ひげ図は図3の a、b のうちのいずれかである。ただし、1回目の の最小値は であった。1回目の の値について、ヒストグラムおよび箱ひげ図の組合せとして正しいものはである(⓪ A・a ① A・b ② B・a ③ B・b)。図3から読み取れることとして正しいものはである。⓪ 1回目の の四分位範囲は、2回目より大きい。① 1回目の の中央値は、2回目より大きい。② 1回目の の最大値は、2回目より小さい。③ 1回目の の最小値は、2回目より小さい。

【型】与えられた1つの数値(最小値108.0)を手がかりに図を特定する

【図について】 図2(ヒストグラム)と図3(箱ひげ図)も再現していません。問題冊子の34ページをご覧ください。

【なぜこうするか】 この設問の鍵は、問題文がわざわざ「1回目の最小値は 」と教えてくれていることです。この1つの数値だけで両方の図が決まります。

ヒストグラムの判定:最小値が なら、 以上 未満の階級には1つも入らないはずです。図2の A と B を見比べ、その階級の度数が0のほうが1回目。A がそれに当たります。

箱ひげ図の判定:最小値が なら、左側のヒゲの左端が 付近にあるはず。図3の a と b で左端の位置を の目盛りと比べると、a が 付近、b はもっと左です。よって1回目は a。

組合せは A と a なのでは⓪です。

続いて。図3の a(1回目)と b(2回目)を、箱ひげ図の4か所で比べます。

  • ⓪ 四分位範囲 → 箱の横幅だけを比べます。a のほうが狭いので
  • ① 中央値 → 箱の中の線の位置。a のほうが右にあるので
  • ② 最大値 → 右のヒゲの端。ほぼ同じ位置で、a が小さいとは言えないので
  • ③ 最小値 → 左のヒゲの端。1回目は 、2回目はそれより左なので、1回目のほうが大きい。よって

は①です。

【ミスの罠】 ③で「1回目の最小値 」という数字に引きずられて、 が小さいから正しいと思い込むこと。比べる相手は2回目です。2回目のほうがさらに左まで伸びているので、1回目の最小値は大きいほうになります。

【定石】 問題文に1つだけ具体的な数値が与えられていたら、それは図を特定するための鍵。「なぜこの値だけ教えてくれたのか」を考えると、判定の道筋が見える。

第2問で身につけたい型

  • 2辺と挟む角なら余弦定理、対辺と対角なら正弦定理。外接円の半径を経由すると が1行で出る。
  • 面積が与えられたら、面積公式を「2辺の積」について解く
  • 散布図の設問は「1点」「領域」「全体の形」の3種類
  • 1次変換 :分散 倍、共分散 倍、相関係数は不変
  • 与えられた具体的な数値は、図を特定するための鍵
  • 箱ひげ図の4か所(ヒゲの両端・箱の両端・箱の中の線)のどれを見るか先に決める。

第3問(選択・配点20) 確率(くじ引きと条件付き確率・引く順番は結果に影響するか)

【問題】

あたりが2本、はずれが2本の合計4本からなるくじがある。A、B、C の3人がこの順に1本ずつくじを引く。ただし、1度引いたくじはもとに戻さない。

【解答】

(1) ア5 イ6

(2) ウ・エ・オ 1・3・5(順序は問わない) カ1 キ2

(3) ク3 ケ5

(4) コ・サ・シ 0・3・5(順序は問わない) ス5 セ6 ソ5 タ6

(5) チ6

(1) 「少なくとも一方」は余事象

【問題(再掲)】

(1) A、B の少なくとも一方があたりのくじを引く事象 の確率は である。

【型】「少なくとも一方」は「両方とも〜でない」の余事象

【なぜこうするか】 「少なくとも一方があたり」を直接数えると3通りの場合分けが要ります。余事象なら1通りです。

余事象は「A も B もはずれ」。はずれは2本しかないので、A がはずれを引く確率が 、続いて B がはずれを引く確率は残り3本中1本で

は5、は6です。

【定石】 「少なくとも1つ」ときたら余事象。場合分けが3通り以上になりそうなら、まず余事象を疑う。

(2) 排反な事象への分解

【問題(再掲)】

(2) A、B、C の3人で2本のあたりのくじを引く事象 は、3つの排反な事象の和事象である。⓪ A がはずれのくじを引く事象 ① A だけがはずれのくじを引く事象 ② B がはずれのくじを引く事象 ③ B だけがはずれのくじを引く事象 ④ C がはずれのくじを引く事象 ⑤ C だけがはずれのくじを引く事象。また、その和事象の確率は である。

【型】「3人で2本あたり」=「3人のうち1人だけがはずれ」

【なぜこうするか】 まず事象 を言い換えます。3人が引いて2本があたりということは、残る1人はちょうどはずれ。つまり「A・B・C のうちただ1人だけがはずれ」です。

そのただ1人が誰かで場合分けすると、①(A だけはずれ)、③(B だけはずれ)、⑤(C だけはずれ)の3つ。「だけ」が付いているので互いに排反です。は1、3、5(順序は問わない)です。

選択肢⓪②④の「〜がはずれ」(「だけ」なし)を選んではいけません。たとえば⓪と②は「A も B もはずれ」の場合に両方に含まれてしまい、排反になりません

確率を計算します。3人のうち誰か1人だけがはずれる確率は、対称性からどれも同じ。たとえば「A だけはずれ」は

3つ足して

は1、は2です。

【ミスの罠】 「排反な」という指定を読み飛ばして⓪②④を選ぶこと。排反=同時には起こらない。「だけ」の有無で排反性が変わります。

【定石】 事象を分解するときは「排反かどうか」を必ず確認。排反なら確率は単純に足せるが、そうでなければ重なりを引く必要がある。

(3) 条件付き確率

【問題(再掲)】

(3) 事象 が起こったときの事象 の起こる条件付き確率は である。

【型】

【なぜこうするか】  を考えます。 は「1人だけはずれ」、 は「A と B の少なくとも一方があたり」。

が起こっているとき、はずれは1人だけ。すると A と B のうち少なくとも一方は必ずあたりです(両方はずれることはない)。つまり

なので

この包含関係に気づけば、あとは割るだけです。

は3、は5です。

【定石】 条件付き確率で なら 。共通部分を数え直す前に、片方がもう片方に含まれていないかを見る。

(4) B・C の組、A・C の組でも同じ計算

【問題(再掲)】

(4) B、C の少なくとも一方があたりのくじを引く事象 は、3つの排反な事象の和事象である(選択肢は(2)と同じ)。また、その和事象の確率は である。他方、A、C の少なくとも一方があたりのくじをひく事象 の確率は である。

【型】余事象がすでに1つの選択肢になっている

【なぜこうするか】  は「B と C の少なくとも一方があたり」。これを排反な3つに分けるのですが、(2)と違って「〜がはずれ」(「だけ」なし)も1つ使います

考え方はこうです。A がはずれを引いた場合、残る3本はあたり2本・はずれ1本。B と C が引く2本のうち少なくとも1本は必ずあたりなので、⓪「A がはずれ」が起これば は自動的に成立します。

残るのは A があたりを引いた場合。このとき残り3本はあたり1本・はずれ2本で、B と C がその中から2本引きます。少なくとも一方があたりになるのは「B だけはずれ」か「C だけはずれ」のとき(A はあたりなので、この2つは A があたりの場合に限られます)。

したがって は⓪、③、⑤の和事象。は0、3、5(順序は問わない)です。

確率は、(1)と同じく余事象で求めるのが速い。「B も C もはずれ」の確率は、対称性から

は5、は6です。同じ理由で

は5、は6です。

この「どの2人を選んでも同じ」という結果は偶然ではありません。くじ引きは引く順番によって有利・不利が生じないという有名な事実の表れです。

【定石】 くじ引きの確率は引く順番によらない。「1番目に引くほうが有利では」と考える必要はない。対称性に気づけば計算が3分の1になる。

(5) 3つの条件付き確率の大小

【問題(再掲)】

(5) 事象 が起こったときの事象 の起こる条件付き確率 、事象 が起こったときの事象 の起こる条件付き確率 、事象 が起こったときの事象 の起こる条件付き確率 の間の大小関係はである。⓪  ①  ②  ③  ④  ⑤  ⑥

【型】(3)の議論が にもそのまま通用する

【なぜこうするか】 (3)で使った鍵は「 が起これば、どの2人を選んでもそのうち少なくとも一方はあたり」でした。はずれるのは1人だけなのだから、これはA・B の組でも、B・C の組でも、A・C の組でも同じです。

さらに(4)で と分かっています。したがって

すべて等しいのでは⑥です。

【ミスの罠】 「A は最初に引くから有利、C は最後だから不利」と直感で選んでしまうこと。くじ引きに順番の有利不利はありません。この設問は、その直感の誤りを正面から突いています。

【検算】 あたり2本・はずれ2本の4本から3人が引く 通りをプログラムで総当たりしました。 ✓。また、選んだ3事象の和が (あるいは )に全24通りで一致し、かつ互いに排反であることも確認しました ✓。

【定石】 前の設問で使った論法が、次の設問でそのまま使い回せないかを見る。センター試験の誘導は「同じ構造を繰り返させて、対称性に気づかせる」設計になっていることが多い。

第3問で身につけたい型

  • 「少なくとも1つ」は余事象
  • 排反な分解では「だけ」の有無を確認する。
  • なら 。条件付き確率が一気に軽くなる。
  • くじ引きの確率は引く順番によらない
  • 前問の論法が次でも使えないかを疑う

第4問(選択・配点20) 整数の性質(倍数判定法・約数の個数と積)

【問題】

(1) 百の位の数が3、十の位の数が7、一の位の数が である3桁の自然数を と表記する。(2) 千の位の数が7、百の位の数が 、十の位の数が5、一の位の数が である4桁の自然数を と表記する。(3) 1188の正の約数について考える。

【解答】

(1) ア・イ 2・6(順序は問わない)

(2) ウ3 エ0 オ6 カ9 キ6 ク0 ケ6 コ1 サ4

(3) シ2 ス4 セ1 ソ6 タ8 チ2 ツ4

(1) 4の倍数判定法は「下2桁」

【問題(再掲)】

(1) が4で割り切れるのは のときである。ただし、の解答の順序は問わない。

【型】4の倍数 下2桁が4の倍数

【なぜこうするか】 百の位以上は必ず100の倍数で、100は4で割り切れます。だから4で割った余りは下2桁だけで決まります

この数の下2桁は 、つまり

なので 。したがって

の範囲で は2と6(順序は問わない)です。

実際 で確かに4の倍数です。

【定石】 2の倍数は下1桁、4の倍数は下2桁、8の倍数は下3桁。3の倍数・9の倍数は各位の和。これは丸暗記でよい。

(2)前半 4と9の両方で割り切れる条件

【問題(再掲)】

(2) が4でも9でも割り切れる の組は、全部で個ある。これらのうち、 の値が最小になるのは のときで、 の値が最大になるのは のときである。

【型】条件の厳しいほうから絞る

【なぜこうするか】 2つの条件を別々に処理します。

4の倍数:下2桁は 、つまり なので 。よって は不可)。この時点で の候補は2つだけになりました。

9の倍数:各位の和 が9の倍数。

のとき より は不可)。

のとき より

組は の3個。は3です。

対応する数はそれぞれ が上位の桁なので、 が小さいほど数も小さい

  • 最小は )→ は0、は6
  • 最大は )→ は9、は6

【ミスの罠】 「4でも9でも割り切れる」を「36の倍数」と言い換えるのは正しいのですが、4と9が互いに素だから成り立つ話です。たとえば「4でも6でも」なら12の倍数ではなく、最小公倍数の12で考えます。互いに素かどうかを確認する癖を。

【定石】 複数の倍数条件は、候補が少なくなるほうから先に絞る。ここでは4の倍数条件で が2択になり、探索が一気に楽になった。

(2)後半 平方数になる条件

【問題(再掲)】

また、 となる と自然数 コサである。

【型】 なので36の倍数、しかも平方数

【なぜこうするか】  は36の倍数、すなわち4でも9でも割り切れる数です。ということは、前半で求めた3つ のどれかしかありません。候補が3個に絞れているのが誘導の狙いです。

あとは の値を探すだけ。4桁の数なので

から の間にあります。

この範囲の6の倍数は だけ。

これは候補の1つです。したがって より

は0、は6、コサは14です。

(残り2つは で平方数ではありません。)

【検算】  から から まで全部の組合せで総当たりし、 を満たすものを探しました。見つかったのは のただ1組 ✓。前半の3組 も総当たりで一致しました ✓。

【定石】 平方数を探すときは、まず範囲を平方根で絞る。4桁なら根は32〜99の間。さらに「6の倍数」などの条件があれば候補は数個まで減る。

(3) 約数の個数と、約数すべての積

【問題(再掲)】

(3) 1188の正の約数は全部でシス個ある。これらのうち、2の倍数はセソ個、4の倍数は個ある。1188のすべての正の約数の積を2進法で表すと、末尾には0が連続してチツ個並ぶ。

【型】素因数分解 → 指数の選び方を数える

【なぜこうするか】 まず素因数分解します。 なので

約数は )の形。

シスは24です。

2の倍数、つまり の選び方が の2通りに減るだけ。

セソは16です。

4の倍数、つまり の1通り。

は8です。

最後が本問の山場。「2進法で末尾に0が何個並ぶか」は、その数が2で何回割り切れるかと同じことです(10進法で末尾の0の個数が「10で何回割れるか」なのと同じ理屈)。

約数すべての積を求めます。ここで約数を大小のペアにするのが定石。 が約数なら も約数で、積は 。24個の約数は12組のペアになるので

約数すべての積は になります。

だったので

2の指数は は奇数なので、これ以上2では割れません。よって末尾に0が24個並びます。

チツは24です。

【ミスの罠】 「2の倍数の約数が16個だから16個」としてしまう誤り。数えるのは約数の個数ではなく、積に含まれる2の指数の合計です。

【検算】 1188の24個の約数を実際に列挙して全部掛け合わせ、 という具体的な数を得ました。これを2で割り続けるとちょうど24回割り切れます ✓。また を直接計算した値とも一致しました ✓。2進表記の末尾も と0が24個並んでいます ✓。

【定石】 約数すべての積は「もとの数の、約数の個数の半分乗」。大小のペアを作れば必ずこの形になる(個数が奇数のとき、つまり が平方数のときも が真ん中に来て同じ式で成立)。「2進法で末尾の0の個数」=「2で割り切れる回数」

第4問で身につけたい型

  • 4の倍数は下2桁、9の倍数は各位の和
  • 複数条件は候補が少なくなるほうから絞る
  • 平方数は平方根で範囲を絞ってから探す
  • 約数の個数は「指数 の積」。条件付きなら指数の選び方が減るだけ。
  • 約数すべての積は「もとの数の、約数の個数の半分乗」
  • 進法で末尾の0の個数」=「 で割り切れる回数」

第5問(選択・配点20) 図形の性質(方べきの定理・メネラウスの定理・内心)

【問題】

において、 とする。

【解答】

(1) ア2 イ8 ウ7 エ2 オ1 カ2 キ7 ク2 ケ1 コ5

(2) サ6 シ0 ス2 セ3 ソ3 タ4 チ3 ツ3

(1)前半 方べきの定理を「点 C から」使う

【問題(再掲)】

(1) 辺 AC 上に点 D を となるようにとり、 の外接円と直線 BC の交点で B と異なるものを E とする。このとき、アイであるから、 である。

【型】円の外の1点から2本の割線 → 方べきの定理

【なぜこうするか】 円は「A、B、D を通る円」です。円周上の点を確認しましょう——A、B、D、そして E の4点。

ここで点 C に注目します。C から出る2本の直線が、それぞれこの円と2点で交わっています。

  • 直線 CA は、円と D と A で交わる
  • 直線 CB は、円と E と B で交わる

これはまさに方べきの定理の形。

左辺を計算します。D は辺 AC 上で なので

したがって アイは28です。

を代入して

は7、は2です。

【ミスの罠】 方べきの定理を点 A や点 B から使おうとすること。A も B も円周上の点なので、方べきの値は0になってしまい何も出ません。使えるのは「円の外(または内)にあって、円周上にない点」だけ。この問題では C がその唯一の候補です。

【定石】 方べきの定理は「どの点から見るか」を決めるのが9割。円周上にない点を探し、そこから2本の直線が円と交わっているかを確認する。

(1)後半 メネラウスの定理で交点の比を出す

【問題(再掲)】

直線 AB と直線 DE の交点を F とするとき、 であるから、 である。

【型】三角形と、それを横切る1直線 → メネラウスの定理

【なぜこうするか】  を、直線 DEF が横切っています。D は辺 AC 上、E は直線 BC 上、F は直線 AB 上。これがメネラウスの定理の形です。

各比を入れます。

を求めます。B と C の距離は8で、E は C から の位置。E が線分 BC の内部にあるとすると

代入します。

オカは12、は7です。

最後に の値。 なので 、つまりF は線分 AB を A の側に延長した先にあります。したがって

これを比の式に入れると

クケは21、は5です。

【ミスの罠】  としてしまうこと。F が線分 AB の内部にあるのか、外側にあるのかを比の大小で判断してから式を立てます。比が1より大きいか小さいかが、そのまま位置関係を教えてくれます。

【定石】 メネラウスは「三角形を1本の直線が横切る」形。頂点をぐるっと一周する順に比を並べれば積は必ず1。比を出したあと、必ず「内部か外部か」を確認してから長さに直す。

(2)前半 余弦定理と内接円の半径

【問題(再掲)】

(2) サシ である。 の内接円の半径は である。

【型】内接円の半径は は周の半分)

【なぜこうするか】 3辺がそろっているので角は余弦定理。

よって サシは60です。

面積を出します。

内接円の半径は、三角形を3つの小三角形に分けると出ます。内心 I から3辺に下ろした垂線の長さがすべて なので

周の長さは なので

は2、は3、は3です。

【定石】 内接円の半径は 「面積 = 内接円の半径 × 周の長さ ÷ 2」 から。外接円の半径は正弦定理から。どちらも「面積」と「正弦定理」を経由するのが最短ルート。

(2)後半 内心までの距離は「半角」で出す

【問題(再掲)】

の内心を I とすると である。

【型】 は、内心から辺に下ろした垂線を斜辺で見る直角三角形

【なぜこうするか】 内心 I は角の二等分線の交点なので、 です。

I から辺 BC に垂線を下ろし、その足を H とすると、(内接円の半径)で

直角三角形 IHB において、 が斜辺、 の対辺なので

は4、は3、は3です。

【ミスの罠】  のまま使ってしまうこと。内心は角の二等分線上にあるので、使う角は必ず半分です。

【定石】 頂点から内心までの距離は はその頂点の内角)。内接円の半径 さえ出れば、3頂点すべてについて同じ式で求まる。

第5問で身につけたい型

  • 方べきの定理は「どの点から見るか」が9割。円周上にない点を探す。
  • 三角形を1直線が横切ればメネラウス。比を出したら内部か外部かを確認する。
  • 内接円の半径は 「面積 = 内接円の半径 × 周の長さ ÷ 2」
  • 内心は角の二等分線上。使う角は半分。
  • 頂点から内心までの距離は

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