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センター試験2018 数学Ⅱ・B 全問解説|平成30年度 本試験 【数強塾】

数強塾のプロ講師陣

2018年(平成30年度)大学入試センター試験 本試験の数学Ⅱ・数学Bについて、問題文をTeXで再掲したうえで、全問の解答と解説を掲載します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。

センター試験は2020年で終了し、翌2021年から大学入学共通テストに切り替わりました。出題形式は変わりましたが、問われている解法の型そのものは今も有効で、共通テスト対策の演習素材として十分に使えます。

解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認したうえで公開しています。加えて、各小問に数式処理や総当たり計算による独立検算をつけました。

第1問から第5問まで、公式正解表に対応するすべての解答欄を公開しています(第1問・第2問が必答、第3問〜第5問は3問中2問選択)。グラフなど原問題の図は再現していないため、問題冊子をお手元に置いてお読みください。

この記事の目次

  1. 第1問(必答・配点30) 三角関数(弧度法・合成)/指数・対数(不等式が常に成り立つ条件)
  2. 第2問(必答・配点30) 微分積分(接する放物線の面積・面積から関数を復元する)
  3. 第3問(選択・配点20) 数列(等差・等比と、重み付きの和の階差)
  4. 第4問(選択・配点20) ベクトル(交点を始点にとる・一次独立と係数比較)
  5. 第5問(選択・配点20) 確率分布と統計的な推測(二項分布の正規近似・母比率の信頼区間)

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すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。

第1問(必答・配点30) 三角関数(弧度法・合成)/指数・対数(不等式が常に成り立つ条件)

【問題】

〔1〕 弧度法と、三角関数を含む方程式を考える。

〔2〕 を正の定数として、不等式 を考える。

【解答】

〔1〕 ア2 イ4 ウ5 エ3 オ4 カ5 キ6 ク3 ケ3 コ2 サ2 シ9 ス3 セ0

〔2〕 ソ2 タ3 チ1 ツ2 テ0 ト3 ナ9 ニ2 ヌ3 ネ4 ハ2 ヒ7

〔1〕(1)(2) 弧度法の定義と換算

【問題(再掲)】

(1) 1ラジアンとは、のことである。⓪ 半径が1、面積が1の扇形の中心角の大きさ ① 半径が 、面積が1の扇形の中心角の大きさ ② 半径が1、弧の長さが1の扇形の中心角の大きさ ③ 半径が 、弧の長さが1の扇形の中心角の大きさ

(2) を弧度で表すと ラジアンである。また、 ラジアンを度で表すとエオカ である。

【型】 ラジアン

【なぜこうするか】 弧度法の定義は「半径1の円で、弧の長さがそのまま角の大きさ」です。半径 、中心角 (ラジアン)の扇形の弧の長さが であることの出発点。よっては②です。

面積で定義した⓪は誤り。半径1、面積1の扇形の中心角は から となり、1ラジアンにはなりません。

換算は を使うだけです。

は4、は5です。

エオカは345です。

【定石】 度からラジアンは 、ラジアンから度は を覚えておくと、分母12の換算が暗算になる。

〔1〕(3) 置き換え → 加法定理 → 合成の3段構え

【問題(再掲)】

(3) の範囲で を満たす の値を求めよう。 とおくと、①は と表せる。加法定理を用いると、この式は となる。さらに、三角関数の合成を用いると と変形できる。 だから、 である。

【型】

【なぜこうするか】 まず置き換え。 より なので

は6です。分母を30に揃えて引くだけの計算ですが、ここを外すと以降が全滅します。

加法定理で展開します。

これを代入すると

よって は3です。

合成します。 なので

したがって は3、は2です。

ここからが正念場。角の範囲を正しく引き継ぐ必要があります。

なので、分母30に揃えて

この範囲で となるのは の2つの候補のうち、後者だけ

サシは29、スセは30です。

【ミスの罠】 置き換えたあと範囲の変換を忘れて のほうも解にしてしまうミス。マーク欄は1つしかないので、2つ出たら必ず範囲で絞ると気づけます。

【検算】  から まで400万分割し、①の左辺 の符号が変わる点を数値的に探索すると、解はただ1つ と一致 ✓。加法定理・合成の各変形も記号計算で差が厳密に0であることを確認しました ✓。

【定石】 置き換えたら範囲も置き換える。三角方程式は「変形 → 範囲の変換 → 単位円で解を選ぶ」の3手順を必ずこの順で。

〔2〕前半 対数をとって2次不等式にする

【問題(再掲)】

3を底とする②の両辺の対数をとり、 とおくと となる。 のとき、②を満たす の値の範囲を求めよう。③により である。さらに、真数の条件を考えてとなる。

【型】指数が変数なら、両辺の対数をとる

【なぜこうするか】 左辺 は指数の位置に がいるので、対数をとらないと手が出ません。底3で両辺の対数をとります( は単調増加なので不等号の向きは変わりません)。

左辺:

右辺:

よって 、移項して

は2、は3です。

のとき なので

したがって または は1、は2です。

に戻します。。ここに真数条件 を加えて

は0、は3、は9です。

【検算】  を代入した元の不等式 を、 から60まで90万点で直接数値評価しました。成立する範囲は のちょうど2区間で、対数をとって得た答えと完全に一致 ✓。

【定石】 指数に変数が入っていたら両辺の対数 と置いて2次不等式に持ち込み、最後に必ず真数条件 を戻す

〔2〕後半 「常に成り立つ」は判別式

【問題(再掲)】

次に、②が の範囲でつねに成り立つような の値の範囲を求めよう。の範囲を動くとき、 のとり得る値の範囲はである。⓪ 正の実数全体 ① 負の実数全体 ② 実数全体 ③ 1以外の実数全体。この範囲の に対して、③がつねに成り立つための必要十分条件は、 である。すなわち、 である。

【型】すべての実数 判別式

【なぜこうするか】 まず の動く範囲。 全体で 実数全体を取ります(対数関数の値域)。は②です。

これで問題が「すべての実数 について 」という、教科書どおりの形になりました。下に凸の2次関数がつねに 軸より上(または接する)条件は、判別式が0以下。

は3、は4です。

最後に の形に戻します。

ハヒは27です。指数を の形にまとめてから根号にするのがきれいな流れです。

【ミスの罠】  としてしまう取り違え。分母が根号の指数、分子が中身の指数です。

【検算】  の3通りで の20万点で数値評価し、最小値を比べました。 では最小値 不成立 でちょうど では で成立。境界が にあることが数値でも確認できました ✓。また を記号計算で確認 ✓。

【定石】 「すべての〜で成り立つ」=判別式。ただし変数の動く範囲が実数全体であることを先に確認してから使う。範囲が限定されるなら、判別式ではなく頂点と端点の議論になる——この設問がをわざわざ聞いているのはそのためです。

第1問で身につけたい型

  • 弧度法は「半径1で弧の長さ=角」。換算は
  • 置き換えたら範囲も置き換える。三角方程式は変形→範囲→解の選択の順。
  • 合成
  • 指数に変数があれば両辺の対数。最後に真数条件を戻す。
  • 「すべての実数で成り立つ」は判別式 。範囲が実数全体かを先に確認。
  • 。分母が根号の指数。

第2問(必答・配点30) 微分積分(接する放物線の面積・面積から関数を復元する)

【問題】

〔1〕 とする。座標平面上の放物線 とし、直線 とする。 は点 において と接しているとする。

〔2〕 関数 の範囲でつねに を満たすとする。

【解答】

〔1〕(1) ア2 イ- ウ2 エ2 オ1

〔1〕(2) カ3 キ3 ク3 ケ1 コ2 サ3 シ3 ス5 セ2 ソ3 タ- チ1

〔2〕 ツ7 テ4 ト- ナ6 ニ2 ヌ2

〔1〕(1) 接する条件は「傾き一致」+「通る」

【問題(再掲)】

(1) を、 を用いて表そう。放物線 上の点 A における接線 の傾きはであることから、イウがわかる。さらに、 は点 A を通ることから、となる。

【型】接する=「微分係数が一致」かつ「その点を通る」

【なぜこうするか】  の傾きは2。これが A における接線なのでは2です。

を微分すると での値が2だから

イウは2です。

もう一つの条件は「A を通る」。 を代入して

は1です。

ここでこの先ずっと効いてくる式を作っておきます。

差がきれいに なので はつねに の上にあり、 でだけ接することが式から読めます。

【定石】 「接する」ときは差をとると重解の形になる。この形を先に作っておくと、面積の積分が一瞬で終わる。

〔1〕(2)前半 2つの面積 を積分で出す

【問題(再掲)】

(2) とする。放物線 と直線 および直線 で囲まれた図形の面積 である。また、 軸と および2直線 で囲まれた図形の面積 は、 である。

【型】面積は「上の式 下の式」を積分

【なぜこうするか】 (1)で作った差 をそのまま積分するだけです。区間は接点 から まで。

展開すると

は3、は3、は3、は1です。

のほうは台形の面積そのものですが、積分でも同じです。 では なので 軸より上。

は2です。

【定石】 。展開してから積分すると計算量が跳ね上がる。まとまった形のまま積分してから展開する。

〔1〕(2)後半  の増減と最小値

【問題(再掲)】

で極値をとるとする。このとき、であり、 の範囲で となる の値を とすると、 である。 の範囲で 。⓪ つねに増加する ① つねに減少する ② 正の値のみをとる ③ 負の値のみをとる ④ 正と負のどちらの値もとる。のとき、 における の最小値はタチである。

【型】極値をとる 導関数がそこで0

【なぜこうするか】  で微分します。

で極値 ここで導関数が0。

は3です。

を代入すると を解きます。展開せずに共通因数を探すのがコツ。

より なので

を満たさないので

は3、は5、は2です。

での符号は、因数分解した形 を見れば即決です。第1因子は正。第2因子は2解 間で負で、 はその区間の内側にあります。よって は③です。

最後に最小値。導関数を で整理すると

の範囲では、 で負、 で正。つまり 減少から増加に転じる=最小

タチ です。

【ミスの罠】 で①「つねに減少する」を選んでしまう誤り。この区間で は確かに減っていますが、問われているのは値の符号です。選択肢がどの性質を聞いているのかを読み違えないこと。

【検算】  として の300万点で数値評価しました。最小値は )で理論値と一致 ✓。また の20万点では最大値が 、最小値が 全点が負✓。 の解も記号計算で と一致しました ✓。

【定石】 3次式の符号は、因数分解した形のまま各因数の符号を掛け合わせる。展開すると符号が読めなくなる。

〔2〕 面積の情報から関数そのものを復元する

【問題(再掲)】

のとき、曲線 軸および2直線 で囲まれた図形の面積を とする。 の範囲を動くとき、 は、底辺の長さが 、他の2辺の長さがそれぞれ の二等辺三角形の面積とつねに等しいとする。このとき、 における を求めよう。 の不定積分とする。一般に、が成り立つ。⓪  ①  ②  ③  ④  ⑤  ⑥  ⑦  ⑧ 。したがって、 において トナである。

【型】面積の式を で微分すると被積分関数に戻る

【なぜこうするか】 まず選択肢2つ。不定積分の定義から なのでは⑦です。

面積のほうは符号に注意。、つまり曲線は 軸のにあります。囲まれた面積は

は④です。

次に二等辺三角形の面積を求めます。底辺 の半分が 、等辺が なので、三平方の定理で高さ

は和と差の積で 展開せずに因数分解の公式を使うと一瞬です。

ここが本問の山場。すべての で成り立つので、両辺を で微分できます。 は定数なので消えます。

トナは2、は2です。

条件と矛盾しないかを確認しておきます。。確かに を満たしています。

【検算】  として を計算し、二等辺三角形の面積 と比べました。 のいずれでも 3.75/12/48/240 と完全一致(差はちょうど0)✓。記号計算でも差が恒等的に0であることを確認しました ✓。

【定石】 「面積が〜と等しい」という条件式は、上端の変数で微分すると被積分関数の式になる。積分の中身を求める問題は、まず微分してみる。

第2問で身につけたい型

  • 接するときは差が重解の形 を先に作る。
  • はまとまった形のまま積分してから展開。
  • 3次式の符号は因数分解した形で判断する。
  • 選択肢が「増減」を聞いているのか「符号」を聞いているのかを読み分ける。
  • 面積の条件式は上端で微分すると被積分関数が出る。
  • で高さの計算を一瞬にする。

第3問(選択・配点20) 数列(等差・等比と、重み付きの和の階差)

【問題】

第4項が30、初項から第8項までの和が288である等差数列を とし、 の初項から第 項までの和を とする。また、第2項が36、初項から第3項までの和が156である等比数列で公比が1より大きいものを とし、 の初項から第 項までの和を とする。

【解答】

(1) ア- イ6 ウ1 エ2 オ6 カ1 キ2

(2) ク1 ケ2 コ3 サ6 シ3 ス1

(3) セ5 ソ6 タ3 チ2 ツ- テ1 ト8 ナ2 ニ3 ヌ9 ネ2

(1) 等差数列は連立方程式を1本立てるだけ

【問題(再掲)】

(1) の初項はアイ、公差はウエであり である。

【型】初項 と公差 の連立

【なぜこうするか】 与えられた2条件を で書きます。

第2式は4で割って 。第1式から を代入すると

よって アイウエは12です。

和の公式に入れます。

は6、カキは12です。

【検算】  から第4項は ✓、第8項までの和は288 ✓。公式 が総和と記号計算で完全一致することも確認しました ✓。

【定石】 等差数列は の2文字。条件が2つあれば必ず決まる。和の公式は

(2) 等比数列は「公比の条件」で解を1つに絞る

【問題(再掲)】

(2) の初項はクケ、公比はであり である。

【型】 を使って文字を1つ消す

【なぜこうするか】 条件を書きます。

第1式から 。これを第2式に代入して

整理して12で割ると

または 公比が1より大きいという条件から 。このとき クケは12、は3です。

和の公式に入れます。

は6、は3、は1です。

【ミスの罠】  を捨て忘れるミス。この場合 となり、条件はすべて満たしますが公比が1より小さいので不適。「公比が1より大きい」という一文は、2解のうち片方を捨てるためだけに置かれています

【検算】 連立方程式を解くと解は の2組。前者を選ぶと第2項 ✓、第3項までの和 ✓。 が総和と一致することも確認 ✓。

【定石】 等比数列で2次方程式が出たら、必ず条件で解を絞る。「公比が1より大きい」「すべての項が正」などの一文は必ず使う。

(3)前半 重み付きの和の階差は、ただの和になる

【問題(再掲)】

(3) 数列 と定義する。 の階差数列を とする。 であるから、を満たす。⓪  ①  ②  ③  ④  ⑤  ⑥  ⑦ 。したがって、(1)と(2)により である。

【型】重み を1増やすと全項が1ずつ増える

【なぜこうするか】 定義を書き下すと、重み を掛けて足したものです。 の項の重みが最大の の項の重みが最小の1。

にすると、 から までの各項の重みがちょうど1ずつ増え、さらに の項(重み1)が新しく加わります。だから

前半が「重みが1ずつ増えた分」、後半が「新しく加わる項」です。

2つを合わせると、これは から までの単純な和。

は⑤です。

(1)(2)の結果を代入します。

引くと定数 どうしが打ち消し合って

解答欄の形 に合わせます。 なので

は6、は3、は2です。

【検算】 定義式の二重和をそのまま計算して から9)を出すと 。その階差は 。これが 8項すべて一致し、公式 とも完全一致しました ✓。

【定石】  のような「 を含む重み付きの和」は、階差をとると重みが消える。定義に戻って を並べ、共通部分の差を丁寧に見る

(3)後半 階差から一般項に戻す

【問題(再掲)】

ツテトであるから、 の一般項は である。

【型】

【なぜこうするか】 初項は定義に を入れるだけ。重みは の1項だけです。

ツテト です。

階差数列の公式で のとき

2つに分けます。前半は2乗の和の公式。

後半は等比の和。 と見ると

合わせると

は2、は3、は9、は2です。

でも成り立つか確認します。。初項と一致 ✓。

【ミスの罠】 2乗の和の公式の上端。 であって、 ではありません。階差の公式では上端が なので、公式の をすべて に置き換えること。

【検算】 公式 から9まで計算すると 定義式の二重和から直接求めた値と9項すべて一致✓。さらに を記号計算で閉じた式にし、目標式との差が厳密に0であることも確認しました ✓。

【定石】 階差から一般項は )、最後に を確認。和は「 の多項式」と「等比」に分けてから公式を当てる。

第3問で身につけたい型

  • 等差数列は の連立、条件2つで決まる。
  • 等比数列で2解出たら、公比の条件で絞る
  • を含む重み付きの和は、階差をとると重みが消える
  • 階差から一般項は上端 。2乗の和の公式も に置き換える。
  • 最後に を確認する。

第4問(選択・配点20) ベクトル(交点を始点にとる・一次独立と係数比較)

【問題】

を満たす定数とする。三角形 ABC を考え、辺 AB を に内分する点を D、辺 BC を に内分する点を E、直線 AE と直線 CD の交点を F とする。 とおく。

【解答】

(1) ア2 イ2

(2) ウ3 エ4 オ1 カ4

(3) キ- ク3 ケ4 コ1 サa シa ス- セa ソ4 タ- チ3

(4) ツ9 テ6 ト3 ナa ニ2 ヌ2

(1) 始点を F に揃える

【問題(再掲)】

(1) であり である。⓪  ①  ②  ③

【型】

【なぜこうするか】 この問題は交点 F を始点に選んでいるのが最大の特徴です。ふつうは頂点 A を始点にしますが、F を始点にすると「F が直線上にある」という条件が のようにスカラー倍1本で書ける。これが後の計算を劇的に軽くします。

始点変更の公式で

は②です。2乗して展開すると

は2です。

【定石】 始点は「一番たくさんの直線が通る点」に置く。交点を始点にすると、共線条件がスカラー倍1本になる。

(2) 内分点の公式

【問題(再掲)】

(2) を用いて表すと である。

【型】 に内分する点は

【なぜこうするか】 D は AB を に内分するので、比を「たすきがけ」で係数にします。A 側の比1に対して係数は3、B 側の比3に対して係数は1。

は3、は4、は1、は4です。

【ミスの罠】  を見て としてしまう反転ミス。D は A に近いので、A 側の係数が大きいのが正解。「近いほうの係数が大きい」と覚えると迷いません。

【定石】 内分点の係数は比を入れ替えて使う なら

(3) 同じ を2通りに表して係数比較

【問題(再掲)】

(3) をそれぞれ となる実数とする。 を用いて表そう。 であるから、②により である。また、 であるから である。③と④により である。

【型】一次独立な2ベクトルによる表し方は一意

【なぜこうするか】 なぜ と書けるのか。D と C と F は同じ直線 CD 上にあるので、 は平行。だからスカラー倍で書けます。同様に F、A、E は直線 AE 上なので

③を作ります。②の に等しいので

両辺を4倍して について解くと

キクは4です。

④を作ります。E は BC を に内分するので

これが に等しいから

より なので割れます。

は1、 です。

ここが決め手。③と④はどちらも「 で表した式」です。(つまり )は一次独立なので、表し方は一通りしかありません。よって係数を比較できます。

の係数より

タチ です。

の係数より

スセは4です。

【検算】 三角形の3頂点を文字座標のまま置き、直線 AE と直線 CD の交点 F を実際に連立して求めました。そこから を作ると、ともに零ベクトル、かつ と一致 ✓。③④の両式も左辺 右辺が恒等的に零ベクトルでした ✓。

【定石】 同じベクトルを2通りに表したら係数比較。ただし使う2ベクトルが一次独立であることを必ず確認してから。

(4) 条件 から内積を出す

【問題(再掲)】

(4) とする。 のとき、 の内積を を用いて表そう。①により である。また である。したがって である。

【型】両方を で書いて等号を立てる

【なぜこうするか】  で表します。始点 F に揃えると

ここで が使えます。2乗して展開すると

なので

は9、は6です。

2つを等号で結びます。 が両辺にあって消えるのがこの設問の設計です。

について整理します。

左辺を展開すると 。ここで因数分解できるのがポイント。

右辺の係数も 。よって

なので 、割ってかまいません。)

トナは2、は2です。

【検算】  の3通りについて、 を満たす具体的な三角形を数値的に構成し(頂点 C の位置を二分法で決定)、 に規格化してから を直接計算しました。結果は 。理論値 はそれぞれ 小数第8位まで一致✓。

【定石】 長さの条件は2乗して内積の式に落とす。共通の項(ここでは )が消えるように設計されていることが多い。最後は因数分解して約分——約分できたら方針が正しい合図。

第4問で身につけたい型

  • 始点は交点に置くと、共線条件がスカラー倍1本になる。
  • 内分点は比を入れ替えて係数にする。近いほうの係数が大きい。
  • 同じベクトルを2通りに表したら係数比較。一次独立を確認してから。
  • 長さの条件は2乗して内積の式に。共通項が消えるように作られている。
  • 最後に因数分解して約分できたら、計算が合っている合図

第5問(選択・配点20) 確率分布と統計的な推測(二項分布の正規近似・母比率の信頼区間)

【問題】

以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて正規分布表を用いてもよい。

【解答】

(1) ア1 イa ウ6 エ8 オ2 カ8 キ6

(2) ク1 ケ6 コ3 サ0 シ2 ス5 セ2 ソ4 タ0 チ1 ツ2 テ0 ト8 ナ8

(3) ニ8 ヌ7 ネ6 ノ8 ハ4 ヒ4

(1) 離散型確率変数の平均・分散と、1次変換

【問題(再掲)】

(1) を正の整数とする。 の数字がそれぞれ一つずつ書かれた 枚のカードが箱に入っている。この箱から1枚のカードを無作為に取り出すとき、そこに書かれた数字を表す確率変数を とする。このとき、 となる確率は である。 とする。 の平均(期待値)は の分散はである。また、 は定数で のとき、 の平均が20、分散が32となるように を定めると、である。このとき、 が20以上である確率は である。

【型】

【なぜこうするか】  枚のカードはどれも等しく取り出されるので、特定の1枚( が書かれたもの)が出る確率は アイ です。

のときカードは 。平均は

は6です。分散は で求めます。

は8です。

分散のほうから決めます。分散には が入らないので、先に が確定するからです。

より は2です。次に平均。

は8です。

最後の確率は不等式を に戻して数えるだけ

のうち6以上は の3個。確率は は6です。

【ミスの罠】 平均のほうから を決めようとすると、未知数2個に式1本で決まりません。「分散が先、平均が後」——分散は平行移動に影響されないという性質を利用した順番です。

【定石】 。分散に が入らないことを使って先に を決める

(2) 二項分布を正規分布で近似する

【問題(再掲)】

(2) (1)の箱のカードの枚数 は3以上とする。この箱から3枚のカードを同時に取り出し、それらのカードを横1列に並べる。この試行において、カードの数字が左から小さい順に並んでいる事象を とする。このとき、事象 の起こる確率は である。この試行を180回繰り返すとき、事象 が起こる回数を表す確率変数を とすると、 の平均 コサ の分散 シスである。試行回数180は大きいことから、 は近似的に平均 コサ、標準偏差 の正規分布に従うと考えられる。ここで、 とおくと、求める確率の近似値は次のようになる。

【型】 で近似

【なぜこうするか】 まず 。3枚を選んだあと横1列に並べる並べ方は 通りで、どれも同様に確からしい。そのうち小さい順に並ぶのはただ1通りです。

は1、は6です。カードの枚数 に依存しないのがポイント。どの3枚を選んでも「大小関係」は必ず一意に決まるので、並び順の確率だけが問題になります。

180回の反復なので は二項分布 に従います。

コサは30、シスは25です。したがって

標準化します。

は2、ソタは40、は1、ツテは20です。

0をまたぐので、左右に分けて正規分布表を2回引きます

小数第2位までとして トナは88です。

【ミスの罠】  をまたぐ区間で表の値を引いてしまう誤り。 が負の側と正の側に分かれているときは足す、同じ側にあるときは引く。毎回、正規分布の山の絵を描いて確かめること。

【検算】 誤差関数で を計算し、正規分布表の値と小数第4位まで一致✓。参考までに、近似を使わず二項分布 の確率を から まで直接足し上げると 。正規近似の とおおむね近く、近似が機能していることも確認できます。

【定石】  回繰り返して〜が起こる回数」は二項分布、 が大きければ正規近似 を出してから標準化する。

(3)前半 母比率の信頼区間

【問題(再掲)】

(3) ある都市での世論調査において、無作為に400人の有権者を選び、ある政策に対する賛否を調べたところ、320人が賛成であった。この都市の有権者全体のうち、この政策の賛成者の母比率 に対する信頼度95%の信頼区間を求めたい。この調査での賛成者の比率(以下、これを標本比率という)は である。標本の大きさが400と大きいので、二項分布の正規分布による近似を用いると、 に対する信頼度95%の信頼区間は である。

【型】

【なぜこうするか】 標本比率は

は8です。

母比率の信頼区間の公式に入れます。信頼度95%なら 。標準誤差は

も平方数なので、ルートの中でそのまま開けるのが気持ちいいところ。

したがって

解答欄は小数第2位までなので、四捨五入して ヌネは76、ノハは84です。

【検算】 標準誤差を数値計算すると 、区間は 。小数第2位への丸めで ✓。

【定石】 母比率の信頼区間は 。母平均のときの に対応する部分が に変わるだけ。 は 95%で1.96、90%で1.64、99%で2.58。

(3)後半 信頼区間の幅は何で決まるか

【問題(再掲)】

母比率 に対する信頼区間 において、 をこの信頼区間の幅とよぶ。以下、 を標本比率とし、 に対する信頼度95%の信頼区間を考える。上で求めた信頼区間の幅を 、標本の大きさが400の場合に が得られたときの信頼区間の幅を 、標本の大きさが500の場合に が得られたときの信頼区間の幅を とする。このとき、 についてが成り立つ。⓪  ①  ②  ③  ④  ⑤

【型】幅 を見る

【なぜこうするか】 全部計算してもよいのですが、幅を決めるのは の2つだけと見抜けば、暗算でほぼ決まります。

が大きいほど幅は狭い、そして に近いほど が大きく、幅は広い。この2つの原則で並べ替えます。

  • に近いので大きい)
  • が大きいので狭い)

が同じで だけが違うので が同じで だけが違うので 。合わせて

は④です。

【検算】 実際に計算すると 。小さい順に ✓。

【定石】 信頼区間の幅は「標本を増やせば狭くなる」「比率が に近いほど広くなる」。この2原則を知っていれば、3つの比較は計算せずに並べられる。ただし の両方が変わるときは実際に計算すること。

第5問で身につけたい型

  • 分散は平行移動に影響されない を先に、 を後に決める。
  • 回繰り返して起こる回数」は二項分布
  • 0をまたぐ区間は表の値を足す、同じ側なら引く。
  • 母比率の信頼区間は
  • 幅は が大きいほど狭く、 に近いほど広い

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