2019年(平成31年度)大学入試センター試験 本試験の数学Ⅰ・数学Aについて、問題文をTeXで再掲したうえで、全問の解答と解説を掲載します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。
センター試験は2020年で終了し、翌2021年から大学入学共通テストに切り替わりました。出題形式は変わりましたが、問われている解法の型そのものは今も有効で、共通テスト対策の演習素材として十分に使えます。
解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認したうえで公開しています。加えて、各小問に数式処理や総当たり計算による独立検算をつけました。
第1問から第5問まで全26問を公開しています(第1問・第2問が必答、第3問〜第5問は3問中2問選択)。散布図・箱ひげ図などの図は再現していないため、問題冊子をお手元に置いてお読みください。
この記事の目次
- 第1問〔1〕(必答・配点30のうち) 絶対値を含む式の場合分け
- 第1問〔2〕 条件と必要十分条件
- 第1問〔3〕 2次関数の頂点と平行移動
- 第2問〔1〕(必答・配点30のうち) 三角比(鈍角と垂直二等分線)
- 第2問〔2〕 データの分析(ソメイヨシノの開花日)
- 第2問〔2〕(3) データの標準化
- 第3問(選択・配点20) 確率(袋を移りながらの試行)
- 第4問(選択・配点20) 整数の性質(不定方程式と連続3整数)
- 第5問(選択・配点20) 図形の性質(内接円とチェバの定理)
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すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
第1問〔1〕(必答・配点30のうち) 絶対値を含む式の場合分け
を実数とする。 とおき、 の値によって がどう表されるかを調べる。
ア3 イ1 ウ4 エ1 オ- カ2 キ3 ク6 ケ- コ7 サ3
(1) は絶対値になる
である。次に とおくと である。次の三つの場合に分けて考える。・ のとき、ウエである。・ のとき、オカキである。・ のとき、ウエである。
【型】。中身の符号で場合分け
【なぜこうするか】 まず平方完成、というより完全平方の見抜きです。
アは3、イは1です。
ここで絶対に間違えてはいけないのが次のところ。
平方根は必ず0以上なので、中身が負のときは符号が反転します。したがって
絶対値が2つあるので、それぞれの中身が0になる点で場合を分けます。 は 、 は 。問題文が3つの場合を提示しているのは、この2点で数直線を3つに切ったからです。
このとき 、 なので両方そのまま外れます。
ウは4、エは1です。
、 なので、前だけ符号が反転します。
オカは 、キは3です。
両方とも中身が負なので、両方反転。
これは確かに 、つまり問題文の ウエの形です。
【検算】 各区間で50点ずつサンプルをとり、絶対値のままの と場合分けした式の値を比べたところ、3区間すべてで完全に一致しました ✓。
【定石】 。ルートを外すときに符号の検討を飛ばすのが最頻出のミス。絶対値が複数あるときは中身が0になる点で数直線を切る。
(2) 方程式を解いて、範囲の条件で選別する
となる の値はク、 である。
【型】場合ごとに解き、その場合の範囲に入るかを必ず確認する
【なぜこうするか】 3つの場合それぞれで方程式を立て、出た解がその場合の範囲に入っているかを検査します。ここを飛ばすと嘘の解を拾ってしまいます。
のとき
なので適する。クは6です。
のとき
は より小さいのでこの場合の範囲に入りません。したがって不適。
のとき
は より小さいので適する。ケコは 、サは3です。
答えは と の2つ。3つ解いて2つ残る——この「1つ捨てる」設計が、範囲の確認を怠らせないための仕掛けです。
【検算】 3つの場合を機械的に解いて範囲判定させると、(範囲内)、(範囲外)、(範囲内)。捨てるべきものが確かに1つありました ✓。
【よくあるミス】 を答えに含めてしまうこと。場合分けして得た解は、その場合の範囲を満たすかを必ず検算してください。
第1問〔2〕 条件と必要十分条件
二つの自然数 、 に関する三つの条件 、、 を次のように定める。
: と はともに奇数である / : は奇数である / : は偶数である
また、条件 の否定を で表す。
(1) シ0 ス2 / (2) セ0 ソ2 タ3
(1) 否定を正しく読み解く
(1) 二つの自然数 、 が条件 を満たすとする。このとき、 が奇数ならば はシ。また、 が偶数ならば はス。(解答群)⓪ 偶数である ① 奇数である ② 偶数でも奇数でもよい
【型】「かつ」の否定は「または」(ド・モルガン)
【なぜこうするか】 は「 が奇数かつ が奇数」。その否定は
:「 が偶数または が偶数」
「ともに奇数ではない」=「少なくとも一方は偶数」ということです。
が奇数のとき は偶数ではないので、 が成り立つには が偶数である必要があります。シは⓪。
が偶数のとき この時点で「 が偶数」が真なので、 はもう成立しています。 には何の制約もかかりません。スは②。
【定石】 ド・モルガンの法則:「 かつ 」の否定は「 または 」。「または」は片方が真なら全体が真なので、もう片方は自由になる。
【よくあるミス】 を「 と がともに偶数」と読むこと。「かつ」の否定は「かつ」ではなく「または」です。
(2) 3つの条件の関係を、反例を作りながら判定する
(2) は であるためのセ。 は であるためのソ。 は であるためのタ。(解答群)⓪ 必要十分条件である ① 必要条件であるが、十分条件ではない ② 十分条件であるが、必要条件ではない ③ 必要条件でも十分条件でもない
【型】両方向の含意を別々に調べる。偽なら反例を1つ作る
【なぜこうするか】 「 は であるための〜条件」は(十分)と (必要)を別々に調べます。
と は奇数なので、 の偶奇は の偶奇と同じ。そして が奇数 ⟺ 、 がともに奇数(片方でも偶数なら積は偶数)。したがって
両方向が成り立つのでセは⓪(必要十分条件)です。
と まず 。、 がともに奇数なら も奇数なので
=(奇数)+(奇数)=(偶数)
成り立ちます。逆の はどうか。 の偶奇は の偶奇と同じ( と は偶奇が一致)なので、 は「 と の偶奇が同じ」という意味。ということは両方偶数でも は成り立ちます。
反例:、 とすると で は真ですが、 は偽。よって は不成立。
片方向だけなのでソは②(十分条件だが必要条件でない)です。
と 両方向とも反例が作れます。
- の反例:、。 が偶数なので は真。しかし は奇数で は偽
- の反例:、。 は偶数で は真。しかし両方奇数なので は偽
どちらも成り立たないのでタは③(必要条件でも十分条件でもない)です。
【検算】 、 を1から39まで動かした全1521組で6つの含意を機械的に判定しました。成立したのは 、、 の3つだけ。 は 、 は 、 は が反例として検出されました ✓。手計算で挙げた反例とまったく同じです。
【定石】 「 は であるための〜」は が十分、 が必要。偽を示すには反例を1つ挙げれば足りるので、小さい数から探す。偶奇の問題は と が同じ偶奇のような読み替えが効く。
第1問〔3〕 2次関数の頂点と平行移動
と はともに正の実数とする。 の2次関数 のグラフを とする。
(1) チ2 ツ4 テ1 / (2) ト5 ナ1 ニ3 ヌ2 ネ- ノ1 ハ4
(1) 平方完成して頂点を出す
(1) グラフ の頂点の座標は である。
【型】頂点の は ( の係数)、 は代入
【なぜこうするか】 の係数が1なので、頂点の 座標は の係数の 倍。
チは2です。
座標は代入して求めます。
を代入して
がきれいに消えるのが気持ちいいところ。ツは4、テは1です。
【検算】 数式処理で頂点を求めると 、。求めた式との差はどちらもちょうど0でした ✓。
【定石】 の係数が1なら頂点の は「 の係数の半分の符号違い」。 は代入して求めるのが確実(頂点の の公式を暗記するより安全)。
(2) 通る点の条件から を の式にして最大化
(2) グラフ が点 を通るとき、 のとり得る値の最大値はトであり、そのときの の値はナである。ト、ナのとき、グラフ は2次関数 のグラフを 軸方向に 、 軸方向に だけ平行移動したものである。
【型】条件式を ( の式) に整理して、平方完成で最大を出す
【なぜこうするか】 「通る」ので 、 を代入します。
について解くと
が の2次関数になりました。上に凸なので最大値があります。平方完成すると
したがって のとき最大値 。、 はどちらも正の実数という条件も満たしています。トは5、ナは1です。
最後に平行移動の量。(1)で求めた頂点の式に 、 を代入するだけです。
座標は
座標は
頂点が なので、 を 軸方向に 、 軸方向に 平行移動したものです。
ニは3、ヌは2、ネノは 、ハは4です。
【検算】 数式処理で 、最大は で を確認 ✓。さらに を から5まで50万点に刻んで総当たりしたところ、 の最大は ()でした ✓。頂点も で一致します。
【定石】 「〜を通る」は座標を代入。文字が2つあっても、条件1本で一方を他方の式にできる。平行移動の量=頂点の座標なので、(1)の結果をそのまま使える。
- 。ルートを外すときは必ず符号を検討する。
- 絶対値は中身が0になる点で数直線を切る。
- 場合分けして得た解は、その場合の範囲を満たすか必ず確認する。
- 「かつ」の否定は「または」(ド・モルガン)。
- 「 は の〜条件」は両方向を別々に調べる。偽は反例1つで示す。
- 頂点の は「 の係数の半分の符号違い」、 は代入で。
- 平行移動の量=頂点の座標。
第2問〔1〕(必答・配点30のうち) 三角比(鈍角と垂直二等分線)
において、、、 とする。
ア- イ1 ウ4 エ2 オ1 カ5 キ4 ク1 ケ4 コ4 サ7 シ1 ス5 セ4
(1) 余弦定理で を出し、符号から鈍角と判定する
であり、 はエである。また、 である。(エの解答群)⓪ 鋭角 ① 直角 ② 鈍角
【型】3辺がそろったら余弦定理。 の符号がそのまま鋭角・鈍角を決める
【なぜこうするか】 3辺が与えられているので、角を求めるなら余弦定理の一択です。 を挟むのは AB と AC、向かい合うのは BC。
アイは 、ウは4です。
が負になったので、この角は より大きい。エは②(鈍角)です。三角形の内角は から の間なので、 の符号だけで鋭角・直角・鈍角が判定できます。
は から。内角なので です。
オカは15、キは4です。
【検算】 A を原点、AB を 軸正方向にとって座標を組むと 。ここから が確かめられ、3辺の条件と整合します ✓。 の 座標が負になっているのが、 が鈍角であることの座標的な現れです。
【定石】 の符号=角の種類。正なら鋭角、0なら直角、負なら鈍角。三角形の内角では が保証されているので、 は平方根を正でとってよい。
(2) 垂直二等分線が「延長上」で交わることに気づく
線分 AC の垂直二等分線と直線 AB の交点を D とする。 であるから、コであり、 の面積は である。
【型】 が正なら、D は A を挟んで B の反対側
【なぜこうするか】 まず が正()であるという事実を、問題文が先に教えてくれています。ここから D の位置がわかります。
もし D が線分 AB 上(または B 側の延長上)にあれば となり、 は のはず。実際は なので、D は A を越えた反対側にあり
だから 。クは1、ケは4です。
次に AD。AC の中点を M とすると、垂直二等分線の性質から かつ 。直角三角形 AMD で
コは4です。
最後に面積。D は A の反対側にあるので、B、A、D がこの順に並び
と は底辺が同じ直線 AB 上にあり、頂点 C を共有するので、高さが同じ。面積比は底辺の比です。
の面積は
したがって
サは7、シスは15、セは4です。
【検算】 座標で確かめました。垂直二等分線と直線 AB の交点は 。A が原点で B が なので、確かにA を挟んで B の反対側にあります ✓。、 で垂直二等分線の性質も確認 ✓。、、。 と一致しました ✓。面積比も です ✓。
【よくあるミス】 D が線分 AB 上にあると思い込んで のような矛盾に陥ること。 が正だと問題文が明示しているのは、D の位置を確定させるための重要なヒントです。図を描くときも、 が鈍角であることを反映させてください。
【定石】 同じ直線上に底辺があり頂点を共有する2つの三角形は、面積比=底辺比。高さを求めずに済む。垂直二等分線の点は両端から等距離()。
第2問〔2〕 データの分析(ソメイヨシノの開花日)
全国各地の気象台が観測した「ソメイヨシノ(桜の種類)の開花日」や、「モンシロチョウの初見日(初めて観測した日)」、「ツバメの初見日」などの日付を気象庁が発表している。気象庁発表の日付は普通の月日形式であるが、この問題では該当する年の1月1日を「1」とし、12月31日を「365」(うるう年の場合は「366」)とする「年間通し日」に変更している。例えば、2月3日は、1月31日の「31」に2月3日の3を加えた「34」となる。
(図1〜図4の箱ひげ図・ヒストグラム・散布図は、数値の読み取りが必要なため本記事では再現していません。大学入試センターの問題冊子をお手元に置いてお読みください。)
(1) ソ3 タ4 / (2) チ4 ツ7(順序を問わない)
(1) 箱ひげ図とヒストグラムを対応づける
(1) 図1は全国48地点で観測しているソメイヨシノの2012年から2017年までの6年間の開花日を、年ごとに箱ひげ図にして並べたものである。図2はソメイヨシノの開花日の年ごとのヒストグラムである。ただし、順番は年の順に並んでいるとは限らない。なお、ヒストグラムの各階級の区間は、左側の数値を含み、右側の数値を含まない。2013年のヒストグラムはソである。2017年のヒストグラムはタである。(⓪〜⑤から一つずつ選べ。)
【型】箱ひげ図の5数要約を読み、ヒストグラムの形と照合する
【なぜこうするか】 箱ひげ図とヒストグラムは同じデータの別表現です。両者を結ぶには、次の4点を順に照合します。
- 最小値と最大値(ひげの両端)— ヒストグラムでデータが存在する左端・右端の階級と一致するか
- 中央値(箱の中の縦線)— ヒストグラムで累積度数がちょうど半分になる階級と一致するか
- 四分位範囲(箱の幅)— ヒストグラムの「中央付近にどれだけ集中しているか」と対応
- ひげの長さの左右差 — ヒストグラムの裾がどちら側に長いかと対応
この4点で照合すると、ソ(2013年)は③、タ(2017年)は④になります。
判別の決め手を整理しておきます。2013年は箱ひげ図で中央値が6年のうち最も小さく、右のひげが極端に長い年です。つまりヒストグラムでは山が左端寄りにあり、右へ細く長い裾を引く形。一方2017年は中央値が2012年に次いで大きく、箱の幅(四分位範囲)が狭い年なので、ヒストグラムは山が右寄りで、鋭く尖った形になります。
【定石】 箱ひげ図とヒストグラムの対応づけは「中央値の位置」と「裾の左右差」の2点で大半が決まる。全部の選択肢を細かく見るより、この2つで一気に絞るほうが速い。
【よくあるミス】 ヒストグラムの「一番高い棒」を中央値だと思うこと。最頻値と中央値は別物です。中央値は累積度数が半分に達する階級で判断します。
(2) 「正しくないもの」を2つ選ぶ
(2) 図3と図4は、モンシロチョウとツバメの両方を観測している41地点における、2017年の初見日の箱ひげ図と散布図である。散布図の点には重なった点が2点ある。なお、散布図には原点を通り傾き1の直線(実線)、切片が および15で傾きが1の2本の直線(破線)を付加している。図3、図4から読み取れることとして正しくないものはチ、ツである。(解答の順序は問わない。)⓪ モンシロチョウの初見日の最小値はツバメの初見日の最小値と同じである。 ① モンシロチョウの初見日の最大値はツバメの初見日の最大値より大きい。 ② モンシロチョウの初見日の中央値はツバメの初見日の中央値より大きい。 ③ モンシロチョウの初見日の四分位範囲はツバメの初見日の四分位範囲の3倍より小さい。 ④ モンシロチョウの初見日の四分位範囲は15日以下である。 ⑤ ツバメの初見日の四分位範囲は15日以下である。 ⑥ モンシロチョウとツバメの初見日が同じ所が少なくとも4地点ある。 ⑦ 同一地点でのモンシロチョウの初見日とツバメの初見日の差は15日以下である。
【型】選択肢ごとに「図のどこを見れば判定できるか」を先に決める
【なぜこうするか】 8つの選択肢を闇雲に見るのではなく、どちらの図を見るべきかで仕分けます。
- 図3(箱ひげ図)で判定するもの:⓪最小値、①最大値、②中央値、③④⑤四分位範囲(=箱の幅)
- 図4(散布図)で判定するもの:⑥「初見日が同じ地点」=実線 の上に乗る点の個数、⑦「差が15日以下」=2本の破線 に挟まれた帯の中に全点が収まるか
散布図に引かれた3本の直線は、まさにこの⑥⑦を判定させるために用意されています。実線 は「差が0」、破線 は「差が 」の等高線だからです。
正しくないものはチツ=④と⑦です。
④が誤りである理由 図3でモンシロチョウの箱の幅を目盛りで読むと、15日を明らかに超えています(横軸は10日刻みで、箱が2目盛り近く広がっています)。
⑦が誤りである理由 破線に挟まれた帯の外側にある点を1つでも見つければ十分です。図4の左上(モンシロチョウが早くツバメが遅い地点)に、上側の破線を超えた点があります。1点でも外れれば「差は15日以下である」という主張は崩れます。
【定石】 散布図の補助線は「何を判定させたいか」の宣言。傾き1の直線群なら差、原点を通る直線群なら比を見ている。「すべて〜以下」を否定するには、外れる例を1つ挙げれば足りる。
【よくあるミス】 「正しくないもの」を選ぶ問題で、正しいものを選んでしまうこと。設問文が太字で「正しくないもの」と強調している意味を汲んでください。
- 3辺がそろったら余弦定理。 の符号がそのまま鋭角・鈍角を決める。
- 垂直二等分線上の点は両端から等距離。 の符号で交点の位置(延長上か線分上か)が決まる。
- 同じ直線上に底辺があり頂点を共有する三角形は、面積比=底辺比。
- 箱ひげ図とヒストグラムの対応は「中央値の位置」と「裾の左右差」で絞る。
- 最頻値と中央値は別物。中央値は累積度数で判断する。
- 散布図の補助線は判定基準の宣言。傾き1なら差、原点を通るなら比。
- 「すべて〜」の否定は反例1つで足りる。
第2問〔2〕(3) データの標準化
一般に 個の数値 からなるデータ の平均値を 、分散を 、標準偏差を とする。各 に対して
と変換した をデータ とする。ただし、、 とする。
テ0 ト0 ナ1 ニ2
(3)前半 標準化すると平均0・標準偏差1になる
・ の偏差 の平均値はテである。・ の平均値はトである。・ の標準偏差はナである。(解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
【型】、 を順に使う
【なぜこうするか】 3つとも定義に戻れば一瞬で出ます。
偏差の平均値 偏差の合計を で割ります。
テは⓪です。偏差の平均はつねに0——これは分散を定義するときに「偏差をそのまま平均せず、2乗してから平均する」理由でもあります。そのまま平均すると必ず0になってしまい、散らばりの指標にならないのです。
の平均値 は偏差を で割ったものなので
トも⓪です。
の標準偏差 平行移動()は散らばりを変えず、 倍は標準偏差を 倍にします。
ナは①です。
つまりこの変換は、どんなデータでも「平均0・標準偏差1」に揃えてしまう操作。これを標準化と呼びます。単位もスケールも違う2つのデータを同じ土俵に乗せるための道具です。
【検算】 乱数データ( の3通り)で実際に計算しました。偏差の平均はいずれも 台(=計算誤差の範囲で0)、 の平均も同様に0、 の標準偏差は3通りとも でした ✓。データの中身によらず成り立つことが確認できます。
【定石】 標準化 は「平均0・標準偏差1」にする操作。平行移動は散らばりを変えず、定数倍は標準偏差を 倍にする——この2つを順に適用するだけ。
(3)後半 標準化後の散布図を選ぶ
図4で示されたモンシロチョウの初見日のデータ とツバメの初見日のデータ について上の変換を行ったデータをそれぞれ 、 とする。変換後のモンシロチョウの初見日のデータ と変換後のツバメの初見日のデータ の散布図は、 と の標準偏差の値を考慮するとニである。(図5の⓪〜③のうちから一つ選べ。⓪①は両軸の目盛りが から1、②③は から2。)
【型】「標準偏差1」という情報だけで、軸の範囲が決まる
【なぜこうするか】 問題文が「標準偏差の値を考慮すると」とわざわざ書いています。前半で示したとおり、 も も標準偏差はちょうど1。この一点だけで選択肢が絞れます。
⓪と①は除外できます。理由を厳密に示しておきましょう。仮にすべての点が に収まっているとすると、 なので
一方、平均が0なので分散は そのもの。これが1に等しいということは、上の不等式で等号が成立していなければならない。等号が成り立つのはすべての点がちょうど のときだけです。
散布図の点は明らかにバラバラに散らばっているので、この条件は満たされません。したがって の点が必ず存在し、目盛りが から1しかない⓪①はありえないのです。
残るは②と③。ここは と の標準偏差がどちらも1、つまり両軸の散らばりが同程度という条件で判断します。正解はニが②です。
もう一つ押さえておきたいのは、標準化しても点の相対的な位置関係は変わらないということ。もとの図4で見えていた「右上がりの傾向(正の相関)」は、標準化後もそのまま保たれます。軸の目盛りが変わるだけで、散布図の「形」は相似です。
【検算】 の乱数データで標準化したところ、 の点が15個あり、最大の は 。確かに から1の枠には収まりません ✓。また、相関のある2変数を作って標準化前後の相関係数を比べると、どちらも で完全に一致。標準化が相関を変えないことも確認できました ✓。
【定石】 標準化しても相関係数は変わらない(散布図の形は相似で、軸の目盛りだけが変わる)。標準偏差が1なら、点は概ね から2くらいに散らばる( の内側に約7割、 の内側に約95%)。
【よくあるミス】 「標準化したから から1に収まる」と思い込むこと。標準偏差が1なのであって、値の範囲が になるわけではありません。むしろ標準偏差が1なら、必ず1を超える点が存在します。
- 偏差の平均はつねに0。だから分散は「2乗してから平均」する。
- 標準化 は「平均0・標準偏差1」にする操作。
- 平行移動は散らばりを変えず、 倍は標準偏差を 倍にする。
- 標準偏差1なら値の範囲は に収まらない。必ず1を超える点がある。
- 標準化しても相関係数は変わらない。散布図の形は相似。
第3問(選択・配点20) 確率(袋を移りながらの試行)
赤い袋には赤球2個と白球1個が入っており、白い袋には赤球1個と白球1個が入っている。
最初に、さいころ1個を投げて、3の倍数の目が出たら白い袋を選び、それ以外の目が出たら赤い袋を選び、選んだ袋から球を1個取り出して、球の色を確認してその袋に戻す。ここまでの操作を1回目の操作とする。2回目と3回目の操作では、直前に取り出した球の色と同じ色の袋から球を1個取り出して、球の色を確認してその袋に戻す。
(1) ア4 イ9 ウ1 エ6 / (2) オ7 カ1 キ8
(3) ク1 ケ6 コ4 サ3 シ1 ス0 セ8 ソ2 タ5 チ9 ツ6 テ4 ト8
(4) ナ2 ニ1 ヌ4 ネ3 ノ8 ハ8 ヒ2 フ5 ヘ9
(1) 「袋を選ぶ」と「球を取り出す」を掛け算でつなぐ
(1) 1回目の操作で、赤い袋が選ばれ赤球が取り出される確率は であり、白い袋が選ばれ赤球が取り出される確率は である。
【型】「AかつB」は
【なぜこうするか】 まず袋が選ばれる確率を押さえます。さいころの目のうち3の倍数は3と6の2通り、それ以外は1、2、4、5の4通り。
白い袋が選ばれる確率は 、赤い袋が選ばれる確率は 。
次に各袋から赤球が出る確率。赤い袋は赤2個・白1個の計3個なので 。白い袋は赤1個・白1個の計2個なので 。
「赤い袋が選ばれ、かつ赤球」は掛けて
アは4、イは9です。同様に「白い袋が選ばれ、かつ赤球」は
ウは1、エは6です。
【よくあるミス】 袋の中身の個数を取り違えること。赤い袋は3個、白い袋は2個で分母が違います。「赤い袋だから赤球が 」などとしないように。
【定石】 段階のある試行は「各段階の確率を掛ける」。樹形図を描いて、枝ごとに確率を書き込むのが確実。
(2) 「2回目の袋の色」は「1回目に出た球の色」で決まる
(2) 2回目の操作が白い袋で行われる確率は である。
【型】設問を「起きた事象」に言い換える
【なぜこうするか】 ルールを読み直します。「2回目は直前に取り出した球の色と同じ色の袋から取り出す」。つまり
「2回目が白い袋」「1回目に白球が出た」
問われているのは1回目に白球が出る確率だ、と言い換えられれば勝ちです。あとは袋の場合分けで足します。
- 赤い袋 → 白球:
- 白い袋 → 白球:
足すと
オは7、カキは18です。
【定石】 「次にどうなるか」が「今の結果」だけで決まる試行では、状態(ここでは球の色)に注目して確率を追う。これがマルコフ連鎖の考え方の入り口。
(3)前半 1回分の遷移を式にする
(3) 1回目の操作で白球を取り出す確率を で表すと、2回目の操作で白球が取り出される確率は と表される。
【型】直前の状態で場合分けして、 の1次式にまとめる
【なぜこうするか】 2回目に白球が出るには、直前(1回目)の色で場合分けします。
- 1回目が白球(確率 )→ 2回目は白い袋から。白球が出る確率
- 1回目が赤球(確率 )→ 2回目は赤い袋から。白球が出る確率
足し合わせて
についてまとめます。 なので
クは1、ケは6です。
この式の意味が大切です。「白球が出る確率」を とすると、 という漸化式が成り立つ。1回分の遷移が式1本にまとまったので、あとは繰り返し適用するだけになります。
【定石】 直前の状態で場合分けして の1次式にまとめると、漸化式が得られる。何回目でも同じ式が使えるのが強み。
(3)後半 漸化式を2回まわす
よって、2回目の操作で白球が取り出される確率は である。同様に考えると、3回目の操作で白球が取り出される確率は である。
【型】(2)で求めた値を漸化式に代入して、順に進める
【なぜこうするか】 (2)で1回目に白球が出る確率が とわかっています。これを漸化式に入れます。
2回目
コサは43、シスセは108です。
3回目 同じ式にもう一度入れるだけ。
ソタチは259、ツテトは648です。
ちなみに 、、 と、だんだん一定の値に近づいていきます。極限は を解いて 。回数を重ねるほど「最初にどちらの袋を選んだか」の影響が消えていくわけです。
【検算】 全経路(1回目の袋2通り × 球の色 通り=16経路)を分数のまま厳密に列挙し、確率の合計がちょうど1であることを確認したうえで各値を集計しました。1回目白 、2回目白 、3回目白 ✓。さらに200万回のモンテカルロでも実測値が 、、 と理論値(、、)に一致しました ✓。
【定石】 漸化式が立ったら初項を入れて順に回す。共通テスト・センターでは3回目までしか聞かないので、一般項を求める必要はない。
(4)前半 条件付き確率(袋の色を逆算する)
(4) 2回目の操作で取り出した球が白球であったとき、その球を取り出した袋の色が白である条件付き確率は である。
【型】条件付き確率は
【なぜこうするか】 条件(分母)は「2回目に白球」、求めたいこと(分子と共通部分)は「2回目の袋が白」です。
まず2回目の袋が白 ⟺ 1回目に白球((2)と同じ言い換え)。したがって分子は
(1回目白)×(白い袋から白球)で
分母は(3)で求めた 。割り算します。
ナニは21、ヌネは43です。
がきれいに約分されるのが設計の妙。分母の43は素数なので、これ以上約分できません。
【定石】 条件付き確率は「条件を分母、共通部分を分子」。分母はすでに計算済みのことが多いので、分子だけ新しく求めれば済む。
(4)後半 「はじめて白球が3回目」を逆算する
また、3回目の操作で取り出した球が白球であったとき、はじめて白球が取り出されたのが3回目の操作である条件付き確率は である。
【型】「はじめて〜が 回目」=「 回目までは起きず、 回目に起きる」
【なぜこうするか】 「はじめて白球が3回目」を分解すると
「1回目は赤球」かつ「2回目も赤球」かつ「3回目が白球」
これを順に計算します。赤球が出たら次は赤い袋なので、2回目・3回目はどちらも赤い袋からの試行です。
1回目に赤球 (2)の余事象なので
2回目も赤球 赤い袋から赤球は 。
3回目が白球 やはり赤い袋なので白球は 。
分母は(3)で求めた「3回目に白球」の 。したがって
ノハは88、ヒフヘは259です。
ここでも がきれいに約分されます。 なので88とは互いに素、これ以上は約分できません。
【検算】 厳密列挙で (1回目赤・2回目赤・3回目白)の確率 、条件付き確率 を確認 ✓。200万回のモンテカルロでも (理論値 )、前半の条件付き確率も (理論値 )と一致しました ✓。
【よくあるミス】 「はじめて」を読み落として、単に「3回目に白球」の中で1回目が赤だった場合を数えてしまうこと。2回目も赤球でなければ「はじめて」になりません。
- 段階のある試行は各段階の確率を掛ける。樹形図で枝ごとに書き込む。
- 設問を「起きた事象」に言い換える。「2回目が白い袋」=「1回目に白球」。
- 直前の状態で場合分けして の1次式にすると漸化式が立つ。
- 漸化式は初項を入れて順に回す。3回目までなら一般項は不要。
- 条件付き確率は「条件を分母、共通部分を分子」。
- 「はじめて〜が 回目」は「 回目までは起きない」を必ず含める。
第4問(選択・配点20) 整数の性質(不定方程式と連続3整数)
不定方程式 を出発点に、49の倍数と23の倍数の距離、連続する3つの自然数の積の性質へと進む。
(1) ア8 イ1 ウ7 エ2 オ3 カ4 キ9
(2) ク8 ケ1 コ7 サ7 シ1 ス5 / (3) セ2 ソ6
(4) タ3 チ2 ツ2 テ3 ト3 ナ4 ニ3
(1) 不定方程式の1組を見つけ、一般解へ広げる
(1) 不定方程式 の解となる自然数 、 の中で、 の値が最小のものは ア、イウであり、すべての整数解は、 を整数として エオア、カキイウと表せる。
【型】まず1組を見つける。一般解は「係数を入れ替えて足す」
【なぜこうするか】 を で割った余りで考えます。 なので 。したがって
を掛けて で割った余りが1になる を探すと、 なので 。このとき
アは8、イウは17です。
一般解は「係数を入れ替えて足す」だけ。 の係数49と の係数23を見て
エオは23、カキは49です。
確かめておきます。。 の項がきれいに打ち消し合うのがこの形の理由です。
【検算】 を1から199、 を1から399まで総当たりして の自然数解を列挙すると 、、。隣り合う解の差はどれも でした ✓。一般解の形が実測で確認できます。
【定石】 (、 は互いに素)の一般解は、。係数が入れ替わるのがポイント。1組目はユークリッドの互除法か、小さい余りで試す。
(2) 「差が 」の条件を不定方程式に翻訳する
(2) 49の倍数である自然数 と23の倍数である自然数 の組 を考える。 と の差の絶対値が1となる組 の中で、 が最小になるのは である。また、 と の差の絶対値が2となる組 の中で、 が最小になるのは である。
【型】絶対値は の2通りに分けて、両方の最小を比べる
【なぜこうするか】 、 とおくと、条件は 。絶対値なので2つの方程式に分かれます。
差が1のとき は(1)そのもので、最小は 、。もう一方の も同様に解くと 、 が最小。
を小さくしたいので が小さいほうを選び、。
クは8、ケコは17です。
差が2のとき 同じ要領で余りを見ます。 は 。 のとき ✓ なので 。
一方 は 、つまり 。こちらは とずっと小さい。
のとき 、 より 。
サは7、シスは15です。
【よくあるミス】 絶対値を片方だけ( だけ)解いて終わること。差が2のケースでは、もう一方の のほうが小さい を与えます。両方調べて比べるのが必須です。
【検算】 を1から199、 を1から399まで総当たりして となる組のうち 最小を求めると、 で 、 で ✓。手計算と一致します。
【定石】 「差が 」は の2本に分ける。合同式 で余りから攻めると、小さい解が素早く見つかる。
(3) 連続する3つの自然数の性質
(3) 連続する三つの自然数 、、 を考える。 と の最大公約数は1、 と の最大公約数は1、 と の最大公約数は1またはセである。また、次の条件がすべての自然数 で成り立つような自然数 のうち、最大のものは ソである。条件: は の倍数である。
【型】最大公約数は「差」も割り切る
【なぜこうするか】 とすると、 は も も割り切るので、その差 も割り切ります。したがって は2の約数で、1か2のどちらか。セは2です。
(同じ理屈で は差1の約数なので必ず1。隣り合う整数はつねに互いに素です。)
次に を必ず割り切る最大の 。連続する3整数には
- 2の倍数が少なくとも1つ(3つ連続なら偶数が1つか2つ)
- 3の倍数がちょうど1つ
含まれます。したがって積は必ず の倍数。
これが最大であることは、 を入れれば分かります。 なので、 は6以下でなければなりません。上限6が達成されているので、答えは 。ソは6です。
【検算】 を1から1999まで走査すると、 はすべて1、 もすべて1、 は1が1000回・2が999回でこの2値のみ ✓。また から2999までの の最大公約数を計算するとちょうど6でした ✓。
【定石】 は の約数。連続 整数の積は必ず の倍数。「最大の 」は小さい値を代入して上限を押さえると一発で決まる。
(4) 素因数分解して、必要な倍数を3連続の中に配置する
(4) 6762を素因数分解すると である。 を、 が6762の倍数となる最小の自然数とする。このとき、、、 のいずれかは の倍数であり、また、、、 のいずれかはツテの倍数である。したがって、トナニである。
【型】素因数ごとに「どこに置けるか」を考え、(2)の結果を再利用する
【なぜこうするか】 まず素因数分解。
タは3、チは2、ツテは23です。
ここで(3)の結果が効きます。 の部分は、連続3整数なら自動的に満たされる。だから条件は残りの と だけ。
なぜ「いずれかが49の倍数」なのか 7の倍数が2つあるには少なくとも7離れている必要があるので、連続3整数の中に7の倍数は高々1つ。したがって を作るには、その1つが49の倍数でなければなりません。同じ理由で23の倍数も高々1つなので、そのどれかが23の倍数である必要があります。
つまり求めるのは「49の倍数と23の倍数が、3つの連続整数の中に同居する」最小のケース。同居するには2つの差が2以下でなければなりません。これはまさに(2)で調べた状況です。
- 差が0: の倍数。最小は1127
- 差が1:(2)より ()
- 差が2:(2)より ()
いちばん小さいのは343と345の組。この2つを含む3連続整数は なので
トナニは343です。
中身を確認しておきます。 なので49の倍数、 なので23の倍数かつ3の倍数、 なので2の倍数。6762の素因数がすべて揃いました。
【検算】 を1から19999まで総当たりして が6762で割り切れる最小の を求めると343 ✓。実際 で余り0です ✓。さらに49の倍数を小さい順に並べ、差2以内の23の倍数があるかを調べると、 はすべて「なし」で、 で初めて が現れました ✓。343が最小であることが直接確認できます。
【定石】 連続 整数の中に、素数 の倍数は高々 個。 なら高々1つなので、 が必要ならその1つが の倍数でなければならない。前の小問の結果をそのまま使えないかを常に疑う——この問題では(2)がそのまま(4)の答えになっている。
- の一般解は係数が入れ替わる:、。
- 「差が 」は の2本に分ける。両方の最小を比べる。
- は の約数。隣り合う整数はつねに互いに素。
- 連続 整数の積は の倍数。「最大の 」は小さい値を代入して上限を押さえる。
- 連続3整数に、7より大きい素数の倍数は高々1つ。 が要るならその1つが の倍数。
- 前の小問の結果を再利用できないか疑う。誘導は無駄なく設計されている。
第5問(選択・配点20) 図形の性質(内接円とチェバの定理)
において、、、 とする。このとき 、 である。
ア6 イ2 ウ1 エ2 オ1 カ5 キ5 ク3 ケ4 コ3 サ6 シ2 ス1 セ5 ソ5
(1) 内接円の半径と接線の長さ
の内接円の半径は である。この内接円と辺 AB との接点を D、辺 AC との接点を E とする。ウ、 である。
【型】( は周の半分)/接線の長さは (向かい合う辺)
【なぜこうするか】 内接円の半径は面積を経由するのが定石です。まず面積。
周の半分は 。内接円の中心から3辺に垂線を下ろすと三角形が3つに分かれ、その和が なので 。したがって
アは6、イは2です。
接線の長さは公式が使えます。1つの頂点から内接円への2本の接線は長さが等しく、その値は からその頂点に向かい合う辺を引いたもの。
ウは1です。ついでに他の頂点も出しておくと、、。確かに で整合しています。
最後に DE。 は の二等辺三角形で、頂角は 。余弦定理で
エは2、オカは15、キは5です。
【検算】 A を原点、AB を 軸にとって座標を組むと 、 で条件と整合 ✓。内心は で 、 ✓。接点は 、 で 、() ✓。
【定石】 で内接円の半径。接線の長さは (向かい合う辺)。この2つは内接円の問題で必ず使う。
(2) チェバの定理で を出す
線分 BE と線分 CD の交点を P、直線 AP と辺 BC の交点を Q とする。 であるから、コである。
【型】3本が1点で交わるならチェバ。接線の長さをそのまま代入する
【なぜこうするか】 AQ、BE、CD の3本が点 P で交わっているので、チェバの定理が使えます。
(1)で求めた接線の長さをそのまま入れます。、、、 なので
クは3、ケは4です。
で比が なので
コは3です。
【定石】 チェバは頂点をぐるっと一周する順に書く。内接円がからむ問題では、比の値がそのまま接線の長さで埋まる。
(3) が意味すること
の内心を I とすると である。
【型】求めた長さが既知の値と一致していないか疑う
【なぜこうするか】 ここが本問の山場です。ふつうに考えると、Q は BC 上の点、I は内心なので、 を出すには余弦定理か座標が要りそうに見えます。
しかし(1)で計算した接線の長さを思い出してください。内接円と辺 BC の接点を とすると
一方 (2) で求めた 。まったく同じ値です。B から測った距離が等しく、どちらも線分 BC 上にあるのだから
つまりQ は内接円と辺 BC の接点そのもの。接点までの距離は半径に等しいので
サは6、シは2です。計算らしい計算は一切要りません。
これは偶然ではなく、3つの接点と向かい合う頂点を結んだ3直線は1点で交わるという定理(その交点をジェルゴンヌ点といいます)の現れです。BE と CD の交点 P はまさにその点で、AP を延ばせば必ず BC 側の接点を通ります。
【検算】 座標計算で 、。内接円と BC の接点との距離を測るとちょうど (完全一致)でした ✓。、 で比も ✓。そして ✓。
【定石】 出てきた数値が、前の小問の値と一致していないか必ず疑う。共通テスト・センターの誘導は、こういう「気づけば一瞬」を仕込んでくることが多い。
(4) 円周角と中心角の関係で を出す
また、直線 CP と の内接円との交点で D とは異なる点を F とすると である。
【型】円周角は中心角の半分。中心角は四角形の内角から出す
【なぜこうするか】 D、E、F はすべて内接円の上にあるので、 は弧 DE に対する円周角です。したがって中心角 が分かれば決まります。
中心角を求めるには、四角形 ADIE に注目します。ID と IE はそれぞれ接点への半径なので、接線と直交します。
四角形の内角の和は なので
を と書くと 。F は弧 DE の反対側(優弧)にあるので、円周角は中心角の半分。
したがって
半角の公式で を出します。 なので
なので正をとって
スセは15、ソは5です。
面白いのは、答えが F の位置によらないということ。円周角は弧が同じなら位置に関係なく一定なので、直線 CP がどこで円を切ろうと(Dと反対側の弧上である限り)同じ値になります。
【検算】 座標で直線 CD と内接円の交点を求めると、D 以外の交点は 。中心からの距離が と一致することを確認(誤差 )✓。ベクトルの内積から 。一方 、半角の公式から 。3つの経路がすべて同じ値になりました ✓。
【定石】 接点2つと中心と頂点でできる四角形は、 が2つ。だから残り2角の和は 。円周角=中心角の半分と組み合わせると、頂角から円周角が直接出せる。
- で内接円の半径。面積は から。
- 接線の長さは (向かい合う辺)。3頂点分すぐ出せる。
- チェバは頂点を一周する順に書く。内接円がからめば比は接線の長さで埋まる。
- 出てきた数値が前の小問と一致していないか疑う。 に気づけば が即決。
- 接点2つ・中心・頂点の四角形は が2つ。頂角と中心角の和が 。
- 円周角=中心角の半分。答えが点の位置によらないことも確認しておく。
解いたあとに読むページ
年度別の解説で「解けなかった」のか、「解けたが間に合わなかった」のかを分けてください。前者なら下の型のページ、後者なら上の時間配分のページが効きます。
- 過去問解説・数学問題集(年度別・大学別の総索引) ── 他の年度・他大学の解説はここから
- 解法パターン事典(全49単元618型) ── 解けなかった設問の型を引く
- 計算の裏技・速算辞典(6部40技) ── 計算そのものが遅いと感じたら
くり返すと、どこに落ち着くか ─ 自作演習4問
第3問は袋を移りながらの試行でした。本文は「1回分の遷移を式にする」→「漸化式を2回まわす」で終わっています。設問がそこまでしか聞いていないので当然ですが、この形の問題は、まわし続けたときにどうなるかまで見ると景色が変わります。
結論から言うと、この種の試行は落ち着き先をもっています。しかも落ち着き先は方程式1本を解くだけで出ます ─ 漸化式を何十回もまわす必要はありません。さらにそこへ向かう速さまで式から読めます。4問でそこまで行きます。
※以下の4問と数値は、すべて数強塾で作成したオリジナルです。試験の問題文・選択肢・図表は使っていません。
類題1 1回分の遷移を式にする
袋Aには赤球2個・白球1個、袋Bには赤球1個・白球2個が入っている。次の操作をくり返す。
1個取り出して色を見て、袋に戻す。赤が出たら次は袋A、白が出たら次は袋Bを使う。
1回目は袋Aを使う。 回目に袋Aを使う確率を とする。
- を で表しなさい。
- から までを求めなさい。
解答
(1) 回目に袋Aなら赤が出る確率は 、袋Bなら 。赤が出れば次は袋Aなので
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 小数 | 1.0000 | 0.6667 | 0.5556 | 0.5185 | 0.5062 |
0.5 に近づいていくのが目で見えます。ここで「たぶん だろう」と予想を立てられるかどうかが、次の問題の入口です。数を4つ5つ並べてから予想するのは、この分野でいちばん効く手です。
1回分の関係を式にする作業そのものは 【第11章】漸化式は「関係」でしかない──解く型より作る型 に、確率漸化式としての型は 確率漸化式の特訓道場|n回後の確率を求める30題と全解説 にまとまっています。
類題2 落ち着き先は、方程式1本で出る
- とおいて を求めなさい。
- の一般項を求めなさい。
- から始めたら、 はどうなるか。
解答
(1) より 、。
(2) 両辺から を引くと 。公比 の等比数列なので
で となり、類題1の表と一致します。
(3) なら 。以降ずっと のまま 動きません。
(1) で解いた は「1回まわしても変わらない値」です。だから (3) のようにそこから始めれば、ずっとそのまま。「落ち着き先を求める」と「動かない値を求める」は同じ作業で、どちらも と を同じ文字にして解くだけです。
気をつけること:(1) の計算は「落ち着き先があるなら、それはこの値」を出しているだけで、落ち着くこと自体の証明ではありません。証明は (2) の のほうが担っています。公比の絶対値が1より小さいことを確認して、はじめて「落ち着く」と言えます。等比数列がなぜ指数になるかは なぜ等比数列には指数関数が現れるのか にあります。
類題3 どこから始めても、同じところへ行く
- 1回目を袋Bから始めた場合()の一般項を求めなさい。
- の場合と比べ、 での値の差を求めなさい。
- 「はじめの袋がどちらでも、長い目で見れば同じ」と言えるか。
解答
(1) 同じ漸化式なので 。 を入れて
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| A から始める | |||||
| B から始める | |||||
| 差 |
(2) での差は 。(3) 言えます。差は で、 を大きくすればいくらでも小さくなります。
差の列だけを見ると、まったく同じ等比数列です。 ─ はじめの条件は「差の初項」にしか効かず、公比には効きません。だからどこから始めても、同じ速さで同じ場所へ近づきます。
この見方は答案でも使えます。「 が何であっても 」と書けるので、初期条件で場合分けする必要がありません。逆に、公比の絶対値が1以上なら初期条件で結論が変わるので、そこは必ず確認します。
類題4 袋の中身を変えると、落ち着き先が動く
袋Aを赤3個・白1個、袋Bを赤1個・白1個に変える。規則は同じで、1回目は袋Aから始める。
- 漸化式を作りなさい。
- 落ち着き先を求めなさい。
- 一般項を求め、 での落ち着き先からの差を、前の設定と比べなさい。
解答
(1) 袋Aで赤が出る確率は 、袋Bでは 。
(2) より 、。長い目で見ると3回に2回は袋Aを使うことになります。
(3) 。、、、。
| 落ち着き先 | 公比 | での差 | での差 | |
|---|---|---|---|---|
| はじめの設定 | 約 0.0062 | 約 0.000025 | ||
| この設定 | 約 0.0013 | 約 0.0000013 |
落ち着き先も、そこへ向かう速さも、袋の中身で決まります。速さを決めているのは公比 ─ 公比は「袋Aで赤が出る確率」と「袋Bで赤が出る確率」の差です(、)。2つの袋が似ているほど、落ち着くのが速いということです。
まとめ:この形の問題は3行で片づく
| やること | この問題では | 一般には |
|---|---|---|
| ①1回分の遷移を書く | ( は各状態での確率) | |
| ②落ち着き先を出す | を解いて | |
| ③差の等比数列を書く | 公比 、初項は | 公比 。 なら必ず落ち着く |
設問が「2回まわせ」までしか聞いていなくても、②を10秒でやっておく価値があります。落ち着き先が分かっていれば、途中の や がその値をまたいでいないかで計算ミスに気づけるからです ─ 単調に近づくはずの値が行き過ぎていたら、どこかで間違えています。
この構造をマルコフ連鎖として一般化した見方は 確率漸化式からマルコフ連鎖へ|ランダムウォークを最難関大入試から研究レベルまで、「袋の色を逆算する」タイプは なぜ条件付き確率では分母が変わるのか と 【第15章】条件付き確率と独立──情報が増えると何が変わるか、分野の全体像は 場合の数と確率 学習ロードマップ|中学受験算数の樹形図から確率漸化式まで一本でつなぐ地図 にあります。
他の年度・他の科目の全問解説
共通テスト2024〜2026年度(本試験・追試験)とセンター試験2015〜2020年度を、全問の解答解説つきで公開しています。年度をまたいで同じ型を当てると定着が速くなります。
共通テスト・センター試験 数学の全問解説(23回分の一覧) / 共通テスト数学の時間配分と解き方 / 解法パターン事典で型を引く

