2020年(令和2年度)大学入試センター試験 本試験の数学Ⅰ・数学Aについて、問題文をTeXで再掲したうえで、全問の解答と解説を掲載します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。
2020年はセンター試験の最終回です。翌2021年から大学入学共通テストに切り替わりました。出題形式は変わりましたが、問われている解法の型そのものは今も有効で、共通テスト対策の演習素材として十分に使えます。
解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認したうえで公開しています。加えて、各小問に数式処理や総当たり計算による独立検算をつけました。
第1問から第5問まで全31問を公開しています(第1問・第2問が必答、第3問〜第5問は3問中2問選択)。散布図・箱ひげ図などの図は再現していないため、問題冊子をお手元に置いてお読みください。
この記事の目次
- 第1問〔1〕(必答・配点30のうち) 直線の傾きと 切片
- 第1問〔2〕 集合と命題(倍数の条件)
- 第1問〔3〕 2次関数のグラフの平行移動
- 第2問〔1〕(必答・配点30のうち) 角の二等分線と外接円
- 第2問〔2〕 データの分析(四分位数・箱ひげ図・ヒストグラム)
- 第3問(選択・配点20) 確率(正誤判定とコインゲーム)
- 第4問(選択・配点20) 整数の性質(循環小数と7進法)
- 第5問(選択・配点20) 図形の性質(チェバ・メネラウス・方べきの定理)
年度・科目からさがす(共通テスト/センター試験)
| 年度 | 本試 数学Ⅰ・A | 本試 数学Ⅱ・B(・C) | 追試 数学Ⅰ・A | 追試 数学Ⅱ・B(・C) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 令和8年度 共通テスト |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 | 数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 |
| 2025年 令和7年度 共通テスト |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 | 数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 |
| 2024年 令和6年度 共通テスト |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | 数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 |
| 2020年 令和2年度 センター試験 |
いまこのページ | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2019年 令和1年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2018年 平成30年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2017年 平成29年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2016年 平成28年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
第1問〔1〕(必答・配点30のうち) 直線の傾きと 切片
を定数とする。直線 について、傾きの符号と 切片の符号を調べる。
(1) ア- イ2 ウ4 / (2) エ0 オ4 カ- キ2 ク5 ケ3 コ6 サ1 シ3
(1) 傾きが負になる の範囲
(1) 直線 の傾きが負となるのは、 の値の範囲がアイウのときである。
【型】2次不等式は因数分解して符号を見る
【なぜこうするか】 傾きは そのもの。これが負になる を求めるだけです。
下に凸の放物線が負になるのは2つの解のあいだなので
アイは 、ウは4です。
【検算】 数式処理で 、不等式の解は と確認 ✓。
【定石】 ()ならあいだ、 ならそとがわ。この2択を反射で出せるようにする。
(2)前半 切片の符号を、分子と分母に分けて考える
(2) とし、(1)の直線 と 軸との交点の 座標を とする。 の場合、 となるのはエオのときである。 の場合、 となるのは カキのときである。
【型】分数の符号は「分子の符号 × 分母の符号」で場合分け
【なぜこうするか】 まず を求めます。 とおいて
分数なので、分子と分母の符号だけを追えば十分です。
の場合 分子 は負。したがって になるのは分母も負のとき、つまり
これと を合わせて 。エは0、オは4です。
の場合 なら分子が0で となり不適。 なら分子 は正なので、 には分母も正であることが必要。
すなわち または 。
これと を合わせて 。カキは です。
【検算】 数式処理で (同じ式)を得て、 かつ の解が 、 かつ の解が であることを確認しました ✓。
【定石】 分数式の符号は「分子の符号」と「分母の符号」の掛け算。分母をはらって不等式を解こうとすると、分母の符号で不等号の向きが変わるので事故りやすい。
【よくあるミス】 を含めてしまうこと。 では であって ではありません。境界は必ず個別に確認します。
(2)後半 を代入して有理化する
また、 のとき である。
【型】分母に無理数が残ったら、共役をかけて有理化
【なぜこうするか】 を代入します。分母から計算すると
したがって
分母の共役 を分子・分母にかけます。
クは5、ケは3、コは6、サシは13です。
【検算】 数式処理で に を代入して整理すると 。 との差はちょうど0 ✓。数値でも両方 で一致しました。
【定石】 で分母の無理数を消す。マーク式は答えの形が指定されているので、指定された形になるまで整理するのが正解確認にもなる。
第1問〔2〕 集合と命題(倍数の条件)
自然数 に関する三つの条件 、、 を次のように定める。
: は4の倍数である / : は6の倍数である / : は24の倍数である
条件 、、 の否定をそれぞれ 、、 で表す。条件 を満たす自然数全体の集合を 、条件 を満たす自然数全体の集合を 、条件 を満たす自然数全体の集合を とする。自然数全体の集合を全体集合とし、集合 、、 の補集合をそれぞれ 、、 で表す。
(1) ス2 / (2) セ1 ソ2 タ4 / (3) チ3
(1) 具体的な数がどの集合に属するか
(1) スである。(スの解答群)⓪ ① ② ③ ④ ⑤
【型】具体的な数を、条件ごとに〇×で判定する
【なぜこうするか】 について、3つの条件を順に確かめるだけです。
- →4の倍数。 は真、つまり
- は割り切れない →6の倍数でない。 は偽、つまり
- は割り切れない →24の倍数でない。 は偽、つまり
に属し に属するので、選択肢のうち 。スは②です。
他の選択肢は や を含むので、 が入る余地がありません。⑤ は「4の倍数でもない」ので不適です。
【検算】 プログラムで 、、 を確認 ✓。
【定石】 集合の記号問題は具体数を1つ持ち込んで〇×表を作るのが最速。抽象的にベン図を描くより速く確実。
(2) の最小元と、 との関係
(2) に属する自然数のうち最小のものはセソである。また、セソタ である。(タの解答群)⓪ ① ② ③ ④
【型】「両方の倍数」=最小公倍数の倍数
【なぜこうするか】 は「4の倍数かつ6の倍数」=4と6の公倍数の集合。最小のものは最小公倍数です。
セソは12です。
次に と (24の倍数の集合)の関係。 は割り切れないので は24の倍数ではありません。したがって
タは④です。
ここが記号の落とし穴です。 は要素であって集合ではないので、 や は使えません。要素と集合を結ぶのは か だけです。
【検算】 1から200まで走査して「4の倍数かつ6の倍数」の最小を求めると12 ✓。 なので ✓。
【定石】 / は要素と集合、/ は集合と集合。この使い分けを問う小問は頻出。
【よくあるミス】 、つまり「4の倍数かつ6の倍数なら24の倍数」と思い込むこと。 につられますが、正しくは最小公倍数の12です。この誤解こそが次の(3)の主題になります。
(3) 反例になるのはどの命題か
(3) 自然数セソは、命題チの反例である。(チの解答群)⓪ 「( かつ )」 ① 「( または )」 ② 「( かつ )」 ③ 「( かつ )」
【型】反例=「仮定は真、結論は偽」になる例
【なぜこうするか】 について、まず3条件の真偽を固定します。
:真( は4の倍数) :真( は6の倍数) :偽( は24の倍数でない)
反例とは「仮定が真なのに結論が偽」になる例のこと。4つを順に見ます。
- ⓪ :仮定は真。結論 は が偽なので真。命題は成り立つ → 反例でない
- ① :仮定は真。結論 は真。成り立つ → 反例でない
- ② :仮定 が偽。仮定が偽の命題は無条件に真 → 反例でない
- ③ :仮定は真、結論 は偽。命題が成り立たない → これが反例
チは③です。
③は「4の倍数かつ6の倍数なら24の倍数」という主張。(2)で見たとおり正しくは12の倍数なので、 がまさに反例になります。
【検算】 4つの命題を関数として実装し、 を入れたところ、真になったのは⓪①②の3つで、③だけが偽でした ✓。
【定石】 「仮定が偽なら命題全体は真」(空虚な真)。②で引っかからないために、この規則を必ず押さえる。反例を探すときは仮定が真になる例だけを調べればよい。
第1問〔3〕 2次関数のグラフの平行移動
を定数とする。2次関数 のグラフを、2点 、 を通るように平行移動して得られるグラフを とする。
(1) ツ2 テ4 ト1 ナ0 ニ2 ヌ3
(2) ネ3 ノ3 ハ- ヒ4 フ8 ヘ6 ホ3
(1)前半 2つの 切片から式を作る
(1) をグラフにもつ2次関数は、 を用いて と表せる。
【型】 切片が 、 なら
【なぜこうするか】 を平行移動したのだから の係数は1のまま。 軸との交点が と なので
展開します。
の係数を の形に整えると なので
ツは2、テは4です。
ついでに平方完成しておくと、あとが楽になります。
頂点は 。 がどんな値でも 座標は で固定です。2つの 切片の間隔が4で一定なのだから、当然といえば当然です。
【検算】 数式処理で を展開し、 との差がちょうど0 であることを確認 ✓。
【定石】 切片がわかっているなら因数分解形から入る。展開は最後でよい。平行移動しても の係数は変わらない。
(1)後半 線分と共有点をもつ条件
2点 、 を両端とする線分と が共有点をもつような の値の範囲は トナ、ニヌである。
【型】縦の線分との共有点は「 での の値」だけで決まる
【なぜこうするか】 線分は の上にあり、 が から までの部分。 は でただ1つの の値をとるので、その値が 以上 以下なら共有点をもち、そうでなければもちません。
を代入します。因数分解形のほうが速い。
条件は
2本に分けて解きます。
右側
左側 、すなわち または
両方を満たす範囲は
(この2つのどちらか、という意味です。)
トは1、ナは0、ニは2、ヌは3です。2つの区間に分かれるのがこの問題のポイントで、答え欄が2組あることがヒントになっています。
【検算】 数式処理で連立不等式を解くと ✓。さらに を から まで90万点に刻んで総当たりしたところ、条件を満たす区間は と のちょうど2つでした ✓。
【定石】 縦の線分( が固定)との共有点は、その での関数値が線分の の範囲に入るかだけを見る。連立不等式は2本に分けて、最後に共通部分をとる。
(2) 平行移動の量と 切片
(2) ニヌの場合を考える。 が点 を通るとき、 は2次関数 のグラフを 軸方向にネ、 軸方向にハヒだけ平行移動したものである。また、このとき と 軸との交点の 座標はフヘ である。
【型】平行移動の量=頂点の座標
【なぜこうするか】 まず を決めます。 が を通るので、さきほどの が 。
いまは の場合を考えているので、 より が該当します( は範囲外)。
平行移動の量は頂点の座標そのもの。(1)で平方完成しておいたので即座に出ます。頂点は だったので
軸方向に 、 軸方向に 。
ネは3、ノは3、ハヒは です。
最後に 切片。 を代入します。
フは8、ヘは6、ホは3です。
【検算】 数式処理で を代入した を作り、頂点を求めると 、 で一致 ✓。 での値は で、こちらも差がちょうど0でした ✓。
【定石】 「 を 軸方向に 、 軸方向に 平行移動」=「頂点が 」。平方完成さえしておけば、平行移動量は読むだけで済む。
- 2次不等式は因数分解して「あいだ/そとがわ」を判定する。
- 分数式の符号は分子と分母に分けて場合分け。分母をはらうと事故る。
- 集合の記号問題は具体数を1つ持ち込むのが最速。とを混同しない。
- 4の倍数かつ6の倍数は「24の倍数」ではなく「12の倍数」。最小公倍数で考える。
- 仮定が偽なら命題は無条件に真(空虚な真)。反例は仮定が真の例から探す。
- 切片がわかれば因数分解形から入る。展開と平方完成は後回し。
- 縦の線分との共有点は、その での関数値が範囲に入るかだけ。
- 平行移動の量=頂点の座標。
第2問〔1〕(必答・配点30のうち) 角の二等分線と外接円
において、 とする。 の二等分線と辺 AB の交点を D とし、、 とする。
ア2 イ1 ウ4 エ4 オ2 カ1 キ4 ク7 ケ7
(1) 余弦定理で BD を出し、 につなげる
このとき、アであり である。
【型】2辺と挟角がわかったら余弦定理
【なぜこうするか】 に注目します。、、その挟角 の が と揃っているので、余弦定理がそのまま使えます。
よって 。アは2です。
次に 。ここで大事なのは、点 D は線分 AB 上にあるので と は補角だということ。
そこで で3辺が揃ったいま、余弦定理を角 D について使います。
負になったので は鈍角です。あとは から
したがって 。イウは14、エは4です。
【検算】 数式処理で 、、 を確認。 との差はちょうど0でした ✓。
【定石】 補角の は等しい()。 は符号が逆になる。線分上の点で角を分けたときの定番の関係。
(2) 角の二等分線の性質で比を移す
であるから カである。
【型】角の二等分線 ⟹
【なぜこうするか】 CD は の二等分線なので、角の二等分線の性質が使えます。
比を組み替えると
オは2です。すでに求めた BC と BD だけで出るのが気持ちのよいところ。
次に AD の値そのもの。 で正弦定理を使います。まず必要な角の を揃えます。
(二等分線だから)なので
また 。三角形の内角の和から なので
正弦定理 より
カは1です。
【検算】 数式処理で ( と同じ値)、 を確認 ✓。ここから 、 が決まります。
【定石】 角の二等分線は「はさむ2辺の比」を「分けられた底辺の比」に移す。。長さが直接わからなくても比だけ先に出せることが多い。
(3) 倍角で を出し、正弦定理で外接円へ
また、 の外接円の半径は である。
【型】外接円の半径は正弦定理
【なぜこうするか】 「(辺)÷(その対角の )」 なので、1組の「辺とその対角」があれば十分です。いちばん扱いやすいのは、すでに長さが出ている と、その対角 の組。
なので、2倍角の公式が使えます。
正弦定理から
キは4、クは7、ケは7です。
【検算】 倍角を使わず、3辺 、、 から余弦定理で を求めても で一致しました ✓。 です。まったく別ルートで同じ値が出たので、途中の AD、AC もすべて正しいと確認できます。
【定石】 角が2倍になっていたら倍角の公式。 は だけで済むので、この形が与えられているときに最も速い。
第2問〔2〕 データの分析(四分位数・箱ひげ図・ヒストグラム)
平成27年の都道府県別平均寿命のデータについて、四分位数・箱ひげ図・ヒストグラム・散布図を読み解く。
(図1の箱ひげ図、図2・図3のヒストグラムと散布図は、数値の読み取りが必要なため本記事では再現していません。大学入試センターの問題冊子をお手元に置いてお読みください。)
(1) コ3 サ5(順序を問わない) / (2) シ6 / (3) ス4 / (4) セ3
(1) 「どのようなデータでも成り立つ」は、反例が1つでもあれば×
(1) 99個の観測値からなるデータがある。四分位数について述べた記述で、どのようなデータでも成り立つものはコとサである。(解答の順序は問わない。)⓪ 平均値は第1四分位数と第3四分位数の間にある。 ① 四分位範囲は標準偏差より大きい。 ② 中央値より小さい観測値の個数は49個である。 ③ 最大値に等しい観測値を1個削除しても第1四分位数は変わらない。 ④ 第1四分位数より小さい観測値と、第3四分位数より大きい観測値とをすべて削除すると、残りの観測値の個数は51個である。 ⑤ 第1四分位数より小さい観測値と、第3四分位数より大きい観測値とをすべて削除すると、残りの観測値からなるデータの範囲はもとのデータの四分位範囲に等しい。
【型】「つねに成り立つか」は意地悪なデータで試す
【なぜこうするか】 「どのようなデータでも」と問われたら、反例を1つ作れば即座に×です。試すべき意地悪なデータは決まっています——全部同じ値/極端な外れ値/同じ値が大量にあるの3つ。
まず99個のときの四分位数の位置を確認します。小さい順に並べたとき
中央値は50番目、 は下位49個の中央値なので25番目、 は75番目です。
⓪ 平均値は と の間にある → ×。98個が0で1個だけ というデータを考えると、 なのに平均は約10101。平均は外れ値に引きずられるのに四分位数は動かない、というのがまさにこの2つの指標の違いです。
① 四分位範囲は標準偏差より大きい → ×。全部同じ値なら両方0で「大きい」が成り立ちません。外れ値が1つあるデータでも、標準偏差だけが大きくなって逆転します。
② 中央値より小さい観測値の個数は49個 → ×。全部同じ値5なら、中央値5より小さい観測値は0個。同じ値が並ぶ(タイがある)と個数の勘定は崩れます。
③ 最大値に等しい観測値を1個削除しても は変わらない → 〇。99個から98個になります。98個のときの は下位49個の中央値、つまりやはり25番目。削ったのは上のほうなので下位49個は無傷で、25番目の値は変わりません。
④ 残りの観測値の個数は51個 → ×。 以上 以下が残るので、タイがなければ25番目から75番目の51個。でも全部同じ値なら1個も削られず99個残ります。
⑤ 残りのデータの範囲=もとの四分位範囲 → 〇。残るのは を満たす観測値。99個のときの 、 は実際に存在する観測値(25番目と75番目)そのものなので、残ったデータの最小値は 、最大値は 。よって範囲は 、すなわち四分位範囲に一致します。
したがってコ・サは③と⑤です。
【検算】 4種類のデータ(全部同じ値/98個が0で1個だけ巨大/前半0・後半1/1〜99の連番)をプログラムで作り、6つの記述をすべて判定しました。③と⑤だけが4ケースすべてで成立し、⓪①②④はいずれかで反例が出ました ✓。なお正規乱数を20万回試すだけでは⓪②④も成り立ってしまい反例が見つかりません——「つねに成り立つか」の検証にランダムデータは向かないという良い例です。
【定石】 「つねに成り立つか」の判定は全部同じ値・極端な外れ値・タイが多いの3つを試す。四分位数が実際の観測値と一致するかどうか(データ数によって変わる)にも注意する。
【よくあるミス】 「ふつうのデータ」を1つ思い浮かべて〇をつけてしまうこと。連番 では⓪②④もすべて成り立ってしまいます。
(2) 箱ひげ図47個から3つの記述を判定する
(2) 図1は、平成27年の男の市区町村別平均寿命のデータを47の都道府県 ごとに箱ひげ図にして並べたものである。次の(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は図1に関する記述である。(Ⅰ) 四分位範囲はどの都道府県においても1以下である。(Ⅱ) 箱ひげ図は中央値が小さい値から大きい値の順に上から下へ並んでいる。(Ⅲ) のデータのどの値と のデータのどの値とを比較しても1.5以上の差がある。(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の正誤の組合せとして正しいものはシである。(⓪〜⑦は正誤の8通りの組合せ。詳細は問題冊子を参照のこと。)
【型】箱ひげ図の記述問題は「1つでも反例の箱があれば誤」
【なぜこうするか】 正解はシが⑥、つまり(Ⅰ)誤・(Ⅱ)誤・(Ⅲ)正です。図の読み取りが必要なので、それぞれ何を見れば判定できるかを整理します。
(Ⅰ) 四分位範囲はどの都道府県でも1以下か 四分位範囲は箱の横幅そのもの。47本すべてを見て、幅が1目盛り(1歳)を超える箱が1つでもあれば誤です。目盛りは74から82まで2歳刻みなので、1歳は目盛り間隔の半分。市区町村数が多く寿命のばらつきが大きい都道府県では箱が広くなり、これを超えるものがあります。
(Ⅱ) 中央値が小さい順に上から下へ並んでいるか 箱の中の縦線の位置だけを上から順に追います。1か所でも逆転があれば誤。並び順の基準が中央値ではない(平均値順など)ときに起こります。
(Ⅲ) のどの値と のどの値も1.5以上離れているか これは2本の箱ひげ図の「最も近づくところ」だけを見れば済みます。 の最大値(右のひげの先)と の最小値(左のひげの先)の差が1.5以上なら正。この2点さえ読めばよく、47本を見る必要はありません。
つまり(Ⅰ)(Ⅱ)は「反例を1つ探す」問題、(Ⅲ)は「2点だけ読む」問題。作業量がまったく違うので、(Ⅲ)から片づけるのが得策です。
【定石】 箱ひげ図から読めるのは最小値・・中央値・・最大値の5つだけ。平均値やデータの個数は読めない。「どの値と比較しても」と言われたら最も近づく2点を見ればよい。
(3) ヒストグラムから箱ひげ図を復元する
(3) ある県は20の市区町村からなる。図2はその県の男の市区町村別平均寿命のヒストグラムである。階級の区間は左側の数値を含み、右側の数値を含まない。度数は が2、 が4、 が9、 が3、 が2である。図2のヒストグラムに対応する箱ひげ図はスである。(⓪〜⑦の箱ひげ図は問題冊子を参照のこと。)
【型】度数を累積して「何番目がどの階級か」を出す
【なぜこうするか】 ヒストグラムからは個々の値は読めませんが、何番目の値がどの階級に入るかは完全に決まります。これで5数要約の範囲が絞れ、図を目測せずに答えが出せます。
データは20個。累積度数を作ると
- 1〜2番目 →
- 3〜6番目 →
- 7〜15番目 →
- 16〜18番目 →
- 19〜20番目 →
20個のときの5数要約の位置は、最小値=1番目、=5・6番目の平均、中央値=10・11番目の平均、=15・16番目の平均、最大値=20番目。あてはめると
- 最小値:1番目 → 以上 未満
- :5・6番目とも → 以上 未満
- 中央値:10・11番目とも → 以上 未満
- :15番目は 、16番目は → その平均なので より大きく 未満
- 最大値:20番目 → 以上 未満
この5条件をすべて満たす箱ひげ図を選びます。特に効くのは「 が 未満」と「中央値が 以上 未満」で、この2つだけで多くの選択肢が消えます。正解はスが④です。
【検算】 プログラムで累積度数から各順位の階級を割り出し、上の5条件を確認しました。度数の合計も で整合 ✓。
【定石】 ヒストグラム→箱ひげ図の変換は累積度数で「何番目がどの階級か」を出すだけ。 が偶数なら四分位数は2つの値の平均になるので、またぎが起きているかを必ず確認する。
(4) 散布図の補助線から差のヒストグラムを読む
(4) 図3は、平成27年の男の都道府県別平均寿命と女の都道府県別平均寿命の散布図である。2個の点が重なって区別できない所は黒丸にしている。図には補助的に切片が から まで 刻みで傾き1の直線を5本付加している。都道府県ごとに男女の平均寿命の差をとったデータに対するヒストグラムはセである。(⓪〜③のヒストグラムは問題冊子を参照のこと。)
【型】補助線 は「差が 」の等高線
【なぜこうするか】 この小問の仕掛けは補助線の意味にあります。横軸を (男)、縦軸を (女)とすると、直線 の上にある点は
つまり男女差がちょうど の都道府県です。切片 が の5本が引かれているので、平面は差の階級ごとの帯に分割されています。
そしてある点が と の間の帯にある ⟺ その都道府県の差が 以上 未満。したがって帯ごとに点を数えれば、それがそのまま差のヒストグラムの度数になります。散布図を「差」の軸に射影しているわけです。
数えるときの注意は3つ。黒丸は2個分として数えること(問題文が明記しています)、合計が47になることを必ず確認すること、そして帯の境界(直線上)の点は左側の階級に入れること(階級は左を含み右を含まない)。
実際に数えると、点は差が小さいほうの帯に多く集まり、差が大きくなるにつれて減っていく右に裾を引いた形になります。この形をもつヒストグラムを選び、正解はセが③です。
選択肢のうち、左右が逆向きに裾を引いたものや、山が右寄りにあるものは、この読み取りと合いません。合計が47になっているかも選択肢を絞る手がかりになります。
【定石】 散布図に傾き1の直線群が引かれていたら「差」を、原点を通る直線群が引かれていたら「比」を見ている。補助線の意味を読み違えなければ、あとは帯ごとに数えるだけの作業になる。
- 2辺と挟角なら余弦定理、3辺そろえば角も余弦定理。
- 補角の は等しい。線分上の点で角を分けたときの定番。
- 角の二等分線は 。長さより先に比が出る。
- 外接円の半径は 。角が2倍なら倍角の公式。
- 「つねに成り立つか」は意地悪なデータで試す——全部同じ値・極端な外れ値・タイが多い。
- 箱ひげ図から読めるのは5数要約だけ。平均値もデータ数も読めない。
- ヒストグラム→箱ひげ図は累積度数で「何番目がどの階級か」を出す。
- 傾き1の補助線は「差」の等高線。帯ごとに数えれば差のヒストグラムになる。
第3問(選択・配点20) 確率(正誤判定とコインゲーム)
〔1〕確率に関する4つの記述の正誤を判定する。〔2〕1枚のコインを最大で5回投げるゲームについて、終了時の持ち点の確率を考える。
〔1〕 ア0 イ2(順序を問わない)
〔2〕(1) ウ1 エ4 オ1 カ2 / (2) キ3 ク3 ケ8 / (3) コ7 サ3 シ2 / (4) ス4 セ7
〔1〕 確率の「よくある勘違い」を4つ並べた正誤判定
次のア、イに当てはまるものを、下の⓪〜③のうちから一つずつ選べ。ただし、解答の順序は問わない。正しい記述はアとイである。⓪ 1枚のコインを投げる試行を5回繰り返すとき、少なくとも1回は表が出る確率を とすると、 である。 ① 袋の中に赤球と白球が合わせて8個入っている。球を1個取り出し、色を調べてから袋に戻す試行を行う。この試行を5回繰り返したところ赤球が3回出た。したがって、1回の試行で赤球が出る確率は である。 ② 箱の中に「い」と書かれたカードが1枚、「ろ」と書かれたカードが2枚、「は」と書かれたカードが2枚の合計5枚のカードが入っている。同時に2枚のカードを取り出すとき、書かれた文字が異なる確率は である。 ③ コインの面を見て「オモテ(表)」または「ウラ(裏)」とだけ発言するロボットが2体ある。ただし、どちらのロボットも出た面に対して正しく発言する確率が 、正しく発言しない確率が であり、これら2体は互いに影響されることなく発言するものとする。いま、ある人が1枚のコインを投げる。出た面を見た2体が、ともに「オモテ」と発言したときに、実際に表が出ている確率を とすると、 である。
【型】4つを独立に計算して〇×をつける
【なぜこうするか】 この小問は確率の典型的な誤解を4つ並べたもの。順に潰します。
⓪ 少なくとも1回は表 「少なくとも1回」は余事象です。すべて裏になる確率を1から引きます。
正しい。
① 5回中3回出たから確率は 誤り。これは相対度数と確率の混同です。5回試して3回出たのは単なる結果であって、確率がそうだとは言えません。
さらに決定的な理由があります。袋の中は合わせて8個なので、赤球の個数を とすると確率は の形しかありえない。 は分母が5なので、どうやっても作れない値です。
② カード2枚の文字が異なる確率 全部の取り出し方は 通り。同じ文字になるのは「ろ」2枚を選ぶ1通りと「は」2枚を選ぶ1通りで、計2通り(「い」は1枚しかないのでペアが作れません)。
正しい。
③ 2体とも「オモテ」と言ったとき、本当に表である確率 条件付き確率(ベイズの考え方)です。
実際に表のとき、2体とも正しく「オモテ」と言う確率は 。実際は裏なのに2体とも間違えて「オモテ」と言う確率は 。表・裏はそれぞれ なので
より大きいので、記述は誤り。1体だけなら ですが、2体が独立に一致したことで確信度が跳ね上がるのがポイントです。
したがって正しいのは⓪と②。ア・イは0と2です。
【検算】 プログラムで確認しました。⓪ 、② 全10通り中「異なる」が8通りで 、③ ✓。
【定石】 「少なくとも1つ」は余事象。相対度数は確率ではない。「〜と分かったとき」は条件付き確率で、分母は「その観測が起こる確率全体」。
【よくあるミス】 ③で「1体あたり だから2体でも 以下」と考えること。独立な証拠が2つ重なると確信度は上がります。逆に と答えるのも誤りで、それは「表であってかつ2体が正しく言う」確率にすぎません。
〔2〕(1) 2回投げた時点の持ち点
1枚のコインを最大で5回投げるゲームを行う。このゲームでは、1回投げるごとに表が出たら持ち点に2点を加え、裏が出たら持ち点に 点を加える。はじめの持ち点は0点とし、ゲーム終了のルールを次のように定める。・持ち点が再び0点になった場合は、その時点で終了する。・持ち点が再び0点にならない場合は、コインを5回投げ終わった時点で終了する。 (1) コインを2回投げ終わって持ち点が 点である確率は である。また、コインを2回投げ終わって持ち点が1点である確率は である。
【型】目標の点になる表裏の組合せを特定し、並べ方を数える
【なぜこうするか】 表を 回、裏を 回とすると持ち点は 。2回投げるので 。
点になるには と から 。つまり2回とも裏。
ここで途中で終了していないかを確認します。1回目の後の持ち点は で0ではないので、ゲームは続いています。
ウは1、エは4です。
1点になるには と から 。表と裏が1回ずつで、並び方は「表→裏」と「裏→表」の2通り。
どちらも1回目の後は または で0にならないので、途中終了しません。
オは1、カは2です。
【定石】 得点ルールのあるゲームは「表 回・裏 回」を連立で決めてから並べ方を数える。終了条件つきなら途中経過も必ず確認する。
〔2〕(2) 0点に戻れるのは何回目か
(2) 持ち点が再び0点になることが起こるのは、コインをキ回投げ終わったときである。コインをキ回投げ終わって持ち点が0点になる確率は である。
【型】 と から を絞る
【なぜこうするか】 回投げ終わって0点になる条件は
1本目から 。2本目に代入して
つまり投げた回数は3の倍数でなければならない。 なので だけ。キは3です。
この「3の倍数のときしか0に戻れない」という事実は、あとの(3)でも効いてきます。
3回で0点になるのは 、つまり表1回・裏2回。並び方は「表裏裏」「裏表裏」「裏裏表」の 通り。
途中で0になることはありません(0に戻れるのは3回目だけだから)。よって
クは3、ケは8です。
【検算】 表裏の並び 通りをすべて列挙し、ルールどおりに終了判定したところ、0点で終了するのは3回目のみで、その確率は でした ✓。
【定石】 得点が と の2種類なら、0に戻る回数は の倍数に限られる。ここでは 。この整数条件で候補が一気に絞れる。
〔2〕(3) 4点で終了する確率——「途中で0にならない」を引く
(3) ゲームが終了した時点で持ち点が4点である確率は である。
【型】まず条件を無視して数え、あとから「途中で終了する場合」を引く
【なぜこうするか】 持ち点4点は0ではないので、これは5回投げ切って終了したケースです。
これを解くと 、すなわち で 。表3回・裏2回です。
並べ方は 通り。ただし途中で0点になったものは5回目まで到達しないので除かなければいけません。
(2)で見たとおり、0点になりうるのは3回目だけ。3回目で0点になるのは「最初の3回が表1回・裏2回」のとき。そのとき残り2回は表2回に決まります。
最初の3回の並び方が 通り、残り2回は「表表」の1通りなので、除くべきは3通り。
残るのは7通りです。
各1通りの確率は なので
コは7、サシは32です。
【検算】 32通りを総当たりして終了時の持ち点を集計しました。 点が1通り、 点が2通り、0点が12通り、1点が4通り、4点が7通り、7点が5通り、10点が1通り。合計32通りで、4点はちょうど7通り ✓。確率の合計も で整合しています。
【よくあるミス】 から と答えてしまうこと。終了ルールがある問題は「途中で終わってしまう並び」を必ず除く必要があります。
〔2〕(4) 条件付き確率
(4) ゲームが終了した時点で持ち点が4点であるとき、コインを2回投げ終わって持ち点が1点である条件付き確率は である。
【型】条件付き確率は「両方成り立つ場合の数 ÷ 条件の場合の数」
【なぜこうするか】 どの並びも確率が等しく なので、確率の比=場合の数の比。分母は(3)で数えた7通りです。
分子は「4点で終了」かつ「2回目で1点」。2回目で1点とは、最初の2回が表1回・裏1回ということ((1)で確認済み)。
全体は表3裏2なので、最初の2回が表1裏1なら残り3回は表2回・裏1回。
- 最初の2回の並び:「表裏」「裏表」の2通り
- 残り3回の並び: 通り
掛けて 通り。ここから3回目で0点になってしまうものを除きます。
最初の2回が表1裏1(=1点)のあと、3回目が裏だと0点になって終了。そのとき残り2回は表2回に決まるので、そういう並びは2通り(最初の2回の並びが2通り)。
残るのは4通りです。
したがって条件付き確率は
スは4、セは7です。
【検算】 総当たりで「終了時4点」の7通りを取り出し、そのうち2回目の持ち点が1点であるものを数えると4通り。条件付き確率 ✓。
【定石】 すべての根元事象が同様に確からしいなら、条件付き確率は場合の数の比でよい。 と をわざわざ確率に直す必要はない。
- 「少なくとも1つ」は余事象で。
- 相対度数は確率ではない。分母の形から「ありえない値」を見抜けることもある。
- 独立な証拠が重なると確信度は上がる。2体一致で 。
- 得点ルールのゲームは「表 回・裏 回」を連立で決める。
- 得点が と なら、0に戻るのは の倍数回目だけ。
- 終了ルールがあるときは「途中で終わる並び」を必ず除く。
- 同様に確からしいなら条件付き確率は場合の数の比。
第4問(選択・配点20) 整数の性質(循環小数と7進法)
循環小数を分数に直す方法を、10進法から7進法へ拡張して考える。
(1) ア2 イ6 ウ1 エ1
(2) オ9 カ6 キ4 ク8 / (i) ケ9 コ1 サ1 シ3 ス6 セ5 ソ1 / (ii) タ6
(1) 10進法の循環小数を分数にする
(1) を循環小数 とする。すなわち とする。このとき であるから、 を分数で表すと である。
【型】循環節が 桁なら 倍して引く
【なぜこうするか】 循環節が「36」の2桁なので、100倍すると小数部分がぴったり同じになります。引けば小数部分が消える、というのがこの手法の全てです。
辺々引くと小数部分が打ち消し合って
と はどちらも9で割れるので約分して 。アイは26、ウエは11です。
【検算】 を10桁まで計算して一致を確認 ✓。
【定石】 循環小数 → 分数は「循環節の桁数だけ10のべき倍して引く」。小数第1位から循環しているとは限らないので、ずらす位置に注意する。
(2) 同じ手法を7進法に持ち込む
(2) 有理数 は、7進法で表すと、二つの数字の並び が繰り返し現れる循環小数 になるとする。ただし、、 は0以上6以下の異なる整数である。このとき であるから と表せる。
【型】 進法で循環節が 桁なら 倍して引く
【なぜこうするか】 考え方は(1)とまったく同じ。ただし7進法なので「100倍」ではなく「 倍」です。49倍すれば7進法の小数点が2桁ずれ、循環部分が揃います。
問題文の与式から、右辺の引き算は整数部分だけが残ります。
7進法の を10進法に直すと
はそのまま2なので
オカは96、キクは48です。
ここで が分母に来ているのがポイント。10進法で が分母になったのと、まったく同じ構造です。
【定石】 進法の循環小数は分母が になる( は循環節の桁数)。10進で99、7進で48。進法が変わっても手順は変わらない。
(2)(i)前半 分母が4になる を絞り込む
(i) が、分子が奇数で分母が4である分数で表されるのは または のときである。
【型】 の動く範囲を先に押さえる
【なぜこうするか】 が ( は奇数)になる条件を考えます。両辺を比べて
つまり が12の倍数で、その商が奇数ということ。あとは の範囲を押さえれば候補が有限個に絞れます。
、 は0以上6以下の異なる整数なので
の最小は 、最大は です。
( のとき は使えないので、最大は の47です。)したがって
この範囲にある12の倍数は 、、 の3つ。このうち商が奇数なのは と の2つです( は偶数なので、約分されて分母が4になりません)。
のいずれかです。
ケは9、コサは11です。
【検算】 、 が異なる組合せ42通りすべてについて を計算し、「分母が4かつ分子が奇数」になるものを抽出しました。該当したのは で 、 で の2つだけ ✓。
【定石】 「分母がちょうど になる」条件はもとの分数を通分し直して整数の倍数条件に翻訳する。ここでは が12の倍数で商が奇数、という2条件に落ちる。
【よくあるミス】 、 が「異なる」という条件を読み落とすこと。これを見落とすと の最大値を48と誤り、 まで候補に入れてしまいます。
(2)(i)後半 、 を確定させる
のときは、シスであるから セ、ソである。
【型】 は「7で割った商と余り」そのもの
【なぜこうするか】 のとき なので
シスは36です。ここで に注目すると、 は「36を7で割ったときの商が 、余りが 」という意味そのもの。
よって 、。 も満たしています。セは5、ソは1です。
つまり 。7進法で書くと循環小数なのに、10進法の分数にすると分母が4というずいぶん簡単な数になるのが面白いところです。
【検算】 を実際に展開してみました。
を12桁まで足すと 。 に収束しています ✓。
【定石】 のもとで なら、 は商、 は余り。 進法の各位を求める問題は、結局これを繰り返しているだけ。
(2)(ii) が単位分数になる の個数
(ii) は、分子が1で分母が2以上の整数である分数で表されるとする。このような の個数は、全部でタ個である。
【型】約数を全部書き出し、実現できるかを1つずつ確かめる
【なぜこうするか】 まず を計算します。整数部分の2がきれいに消えます。
これが ( は2以上の整数)になる条件は
つまり が48の約数で、かつ すなわち 。
48の約数を全部書き出すと 。このうち24以下は の9個です。
ここで終わってはいけません。それぞれが の形(、ともに0以上6以下)で本当に作れるかを確かめる必要があります。
- : 〇
- : 〇 / : 〇 / : 〇 / : 〇
- : だが なので×
- : 〇
- : で なので×
- : で なので×
( は0以上6以下でなければならないので、 は の商に一意に決まります。だから各 につき候補は1組だけです。)
成立するのは の6個。タは6です。
【検算】 42通りすべてを走査して が単位分数になるものを列挙しました。 の6個で一致 ✓。48の約数のうち が のせいで脱落することも確認できました。
【よくあるミス】 約数を数えて「9個」と答えてしまうこと。約数であることは必要条件にすぎず、 という制約で3つ脱落します。整数問題は「条件を満たす候補を挙げる」だけでなく「実際に構成できるか」まで確認するのが鉄則です。
- 循環小数→分数は「循環節の桁数だけべき倍して引く」。
- 進法なら分母は 。10進で99、7進で48。手順は進法によらない。
- のもとで なら は商、 は余り。
- 範囲を先に押さえて候補を有限個に絞る。 が1〜47なら候補は数個。
- 約数を挙げたら「実際に構成できるか」まで確認する。必要条件で止めない。
- 「異なる整数」のような小さな条件を読み落とさない。ここでは3つの候補が消える。
第5問(選択・配点20) 図形の性質(チェバ・メネラウス・方べきの定理)
において、辺 BC を に内分する点を D とし、辺 AC を に内分する点を E とする。線分 AD と線分 BE の交点を F とし、直線 CF と辺 AB の交点を G とする。
(1) ア1 イ1 ウ8 エ2 オ7 カ9 キ5 ク6
(2) ケ1 コ2 サ7 シ2 ス2
(1)前半 チェバの定理で を出す
アである。
【型】3本の直線(チェバ線)が1点で交わるならチェバの定理
【なぜこうするか】 AD、BE、CG が点 F で1点に交わっているので、チェバの定理がそのまま使えます。
与えられた比を代入します。D は BC を に内分するので 。E は AC を に内分するので 、つまり 。
よって 。アは1です。
7と が打ち消し合って、G は辺 AB の中点になります。「7:1」という半端な比が2か所にあるのに、結果がきれいなのは偶然ではなく、この問題の設計です。
【検算】 、、 と座標をとって直接計算すると 、確かに AB の中点でした ✓。チェバの積も で整合しています。
【定石】 チェバは「1点で交わる」ときの比の関係。 と、頂点をぐるっと一周する順に書くのがコツ。
(1)中盤 メネラウスで2つの比を求める
、 である。
【型】三角形1つと、それを横切る直線1本を選んでメネラウス
【なぜこうするか】 を求めるには、線分 AD を含む三角形と、それを切る直線を選びます。 と直線 の組み合わせが使えます。
なので 、また 。
したがって 。イは1、ウは8です。つまり。
次に 。今度は線分 CG を含む三角形として をとり、直線 で切ります。
、、 を入れると で確かに成立しています。
を出すには と直線 を使うのが早い。
(G は中点)、 なので
エは2、オは7です。
【検算】 座標計算で 、、 を確認 ✓。さらに 、 を乱数で3組動かして一般の三角形にしても、 はつねに でした——比は三角形の形によらないことの実証です。
【定石】 メネラウスは「三角形+それを横切る1直線」。求めたい比を含む線分が辺になっている三角形を選ぶのがコツ。頂点と分点を交互にたどって一周する。
(1)後半 面積比は「底辺の比 × 高さの比」に分解する
したがって ( の面積)÷( の面積) となる。
【型】 を基準にして、両方の面積を 比で表す
【なぜこうするか】 2つの三角形を直接比べるのは大変です。どちらも との比に直してから割るのが定石。 の面積を とおきます。
を求める 2段階で降ろします。まず と は頂点 A を共有し、底辺が直線 BC 上にあるので、面積比は底辺の比。 より
次に と は底辺 CD を共有するので、面積比は直線 BC までの距離(高さ)の比。B は直線 BC 上にあるので距離0、G は AB の中点なので、その距離はA の距離のちょうど半分です。
を求める こちらも2段階。 は頂点 A を共有し なので
と は頂点 B を共有し、底辺が直線 AD 上。 より
最後に と は頂点 F を共有し、底辺が直線 AB 上。 より
したがって
カは9、キクは56です。
【検算】 、、 で面積を直接計算すると 、、。 比では と で上と一致し、その比は ✓。乱数で三角形を3通り変えても比は のまま不変でした ✓。
【定石】 面積比はすべて 基準に揃えてから割る。「底辺を共有する2つの三角形の面積比=高さの比」「高さを共有するなら底辺の比」を繰り返し使う。
(2)前半 方べきの定理で AB を決める
4点 B、D、F、G が同一円周上にあり、かつ のとき ケコである。
【型】円外の点から2本の直線 ⟹ 方べきの定理
【なぜこうするか】 点 A から出る2本の直線が、この円と交わる点に注目します。
- 直線 AB は、円と G、B で交わる
- 直線 AD は、円と F、D で交わる
したがって方べきの定理から
右辺から埋めます。 で なので 、。
左辺は、G が AB の中点なので 。
ケコは12です。
【定石】 方べきの定理は「円外の1点から出る2直線」。同一円周上の4点が与えられたら、まずその円の外にある点を探して2直線を引く。ここでは A。
(2)後半 同じ値72が、別の4点が共円であることを示す
さらに、 とするとき、サシであり スである。(スの解答群)⓪ ① ② ③
【型】 なら方べきの逆で共円
【なぜこうするか】 まず を計算します。E は AC を に内分するので 、つまり
サシは72です。
ここで前半で出した とぴったり同じ値になりました。偶然ではなく、これがこの小問の仕掛けです。
方べきの定理の逆により、4点 G、B、C、E は同一円周上にあります。
円に内接する四角形 GBCE では、1つの外角はそれと隣り合わない内角(内対角)に等しい。 は頂点 E における外角(A は辺 CE の延長上)なので、その内対角である 、すなわち に等しくなります。
スは②です。
別の見方をすると、 は と同じ。 が共通なので と は相似(2辺の比と挟角)。対応する角として が出ます。共円と相似は同じことの裏表です。
【検算】 、 を数式処理で確認 ✓。前半の と一致し、方べきの逆の条件が厳密に成り立っています ✓。
【定石】 が示せたら4点は共円(方べきの逆)。共円がわかれば「円に内接する四角形の外角=内対角」で角度が移せる。同じ関係式から相似を作ってもよい。
- チェバは「1点で交わる」、メネラウスは「三角形+横切る1直線」。使い分けを間違えない。
- メネラウスは求めたい比を含む線分が辺になっている三角形を選ぶ。
- 面積比は 基準に揃えてから割る。
- 方べきの定理は円外の1点から出る2直線。共円が与えられたら、まず円外の点を探す。
- なら4点は共円(方べきの逆)。
- 円に内接する四角形の外角=内対角。共円がわかれば角度が自由に移せる。

