このページは、中学1年生の数学 全7単元を1ページにまとめた要点辞典です。単元ごとに「使う道具(公式)」「定石(どんな形が来たら何を試すか)」「つまずきポイント」「例題」の4点をそろえてあります。
中1は、小学校の算数から「数学」に切りかわる学年です。マイナスの数が出てくる、文字を使って式を作る、答えではなく式や理由を書く——ここでのつまずきは、そのまま中2・中3まで引きずります。逆にいえば、ここを固めておくと、あとがずっと楽になります。
このページで足したのは、公式を「いつ・なぜ使うのか」と、実際に点を落とす場所です。−32 と (−3)2 の違い、比例と反比例の見分け方、おうぎ形で「中心角の割合」を掛け忘れる——そういう「知っていれば落とさないところ」を単元ごとに書き出しました。
このページの使い方
頭から通読する必要はありません。いま習っている単元、または次のテスト範囲だけを開いてください。目次から飛べます。
そして、読むだけで終わらせないでください。各単元の最後に例題を置いてあります。解答を見る前に、まず自分で5分だけ手を動かしてみてください。「どの道具を使う場面か」に気づけたかどうかが、その単元を使える状態になっているかの判定になります。
もっと問題を解きたいときは、単元ごとに20題ずつの演習ページがあります 👉 中1数学 総合演習 特訓道場
免責と、このページの作り方について
このページは学習の助けとして書かれたまとめです。正確さを保証するものではありません。最終的な判断は、必ず教科書・学校の先生・信頼できる問題集で確認してください。このページを読んだことで生じた不利益について、数強塾は責任を負いません。
掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書・問題集から問題文や解説を転載したものは一切含まれていません。
目次
この辞典と一緒に使うページ
- 中1数学 総合演習 特訓道場(20題) 単元をまたぐ問題で実力を確かめられます。
- 中1 正負の数(基本)特訓道場(20題) 第1章の演習はこちら。
- 中1 文字と式 特訓道場(20題) 第2章の演習はこちら。
- 中1 一次方程式の計算 特訓道場(20題) 第3章の演習はこちら。
- 中1 比例・反比例(基本)特訓道場(20題) 第4章の演習はこちら。
- 中1 平面図形 特訓道場(20題) 第5章の演習はこちら。
- 中1 空間図形 特訓道場(20題) 第6章の演習はこちら。
- 中1 資料の活用 特訓道場(20題) 第7章の演習はこちら。
- 数学の要点辞典まとめ(中1〜数学III 全7ページ) 単元名から直接その章へ飛べる逆引き表があります。
- 中2数学の要点辞典(全6単元) 次の学年の内容はこちら。
第1章 正負の数
数学の最初の単元です。小学校の算数では 0 より小さい数を使いませんでしたが、ここでマイナスの数が加わります。
難しいのは計算そのものではなく、符号(プラス・マイナス)の扱いです。逆にいえば、符号のルールさえ手が覚えれば、この単元は終わりです。
ここが出発点:前提になる単元はありません / この先つながる:文字と式・平方根(中3) / この単元の解法パターン:正負の数 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 16枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 符号のついた数 | +5、−3 | 基準(0)より上か下か |
| 絶対値 | 0 からの距離 | |−3| = 3 |
| 加法(同符号) | 絶対値を足して、同じ符号をつける | (−3)+(−5) = −8 |
| 加法(異符号) | 絶対値を引いて、大きいほうの符号 | (−3)+5 = +2 |
| 減法 | − (−a) は + a に直す | 引き算は足し算に |
| 乗除の符号 | 負の数が偶数個なら正、奇数個なら負 | 個数を数えるだけ |
| 累乗 | (−3)2 = 9、−32 = −9 | かっこの有無で変わる |
| 四則の順序 | 累乗 → かっこの中 → 乗除 → 加減 | 順番を守る |
| 素因数分解 | 60 = 22 × 3 × 5 | 小さい素数から順に割る |
定石
引き算は、すべて足し算に直す
4 − (−7) は 4 + 7 = 11。「− (−」を見たら「+」に書き直す——これだけです。
すべてを足し算に直してしまえば、あとは「同符号なら足す、異符号なら引く」の2通りしかありません。引き算のルールを別に覚える必要はありません。
かけ算・わり算の符号は「負の数の個数」で決まる
(−2) × (−3) × (−4) なら、負の数が3個(奇数)なので答えは負。数の部分は 2 × 3 × 4 = 24 なので −24。
先に符号だけ決めて、あとから数を計算する——この順番にすると、途中で符号を見失いません。
(−3)2 と −32 は別物
(−3)2 = (−3) × (−3) = 9 …… かっこごと2乗
−32 = −(3 × 3) = −9 …… 3だけを2乗して、マイナスをつける
かっこがあるかないかで答えが変わります。この単元でいちばん多い失点なので、見た瞬間に区別できるようにしてください。
四則の順序は「累乗 → かっこ → 乗除 → 加減」
−22 + (−3) × (−4) ÷ 6 なら、
① 累乗:−22 = −4
② 乗除(左から):(−3) × (−4) = 12、12 ÷ 6 = 2
③ 加減:−4 + 2 = −2
つまずきポイント
① −32 を 9 にしてしまう。この単元で最も多い失点です。かっこがなければ、2乗されるのは 3 だけ。答えは −9 です。
② 引き算の符号処理を飛ばす。5 − (−2) を 3 としないでください。まず 5 + 2 と書き直してから計算します。1行増やすだけでミスが消えます。
③ 加減と乗除で符号のルールを混同する。
足し算・引き算 → 絶対値を足すか引くか、符号は大きいほう
かけ算・わり算 → 負の数の個数が偶数なら正、奇数なら負
この2つはまったく別のルールです。(−3) + (−5) = −8 ですが (−3) × (−5) = +15。
④ 四則の順序を守らない。2 + 3 × 4 は 20 ではなく 14 です。かけ算が先。
⑤ 素因数分解で、素数でない数のまま止める。60 = 4 × 15 はまだ途中です。すべてが素数になるまで分けます(22 × 3 × 5)。
⑥ 絶対値を「マイナスを取ること」だと覚える。絶対値は0からの距離です。|−3| = 3 ですが |3| = 3 でもあります。もともと正の数はそのままです。
例題
例題1-1(加減) 次の計算をしてください。
(1) (−3) + (−5) (2) 4 − (−7) (3) (−2) + 6 − (−3)
(1) 同符号(どちらも負)なので、絶対値を足して、マイナスをつける。
3 + 5 = 8 → −8
(2) まず足し算に直します。− (−7) は + 7。
4 + 7 = 11
(3) 全部足し算に直します。− (−3) は + 3。
(−2) + 6 + 3
正の数をまとめると 6 + 3 = 9、負は −2。
9 − 2 = 7
答え:(1) −8 (2) 11 (3) 7
数直線で確かめる:(2) は「4 の位置から、−7 の分だけ引く」=「右へ7動く」。4 → 11 ✓ マイナスを引くと大きくなるのは、数直線で見ると当たり前です。
(3)のコツ:正の数だけ、負の数だけをそれぞれまとめてから、最後に引く。項が多いときはこの順にすると、符号を追いかけずに済みます。
例題1-2(乗除) 次の計算をしてください。
(1) (−2) × (−3) × (−4) (2) (−12) ÷ 4 (3) (−6) × 2 ÷ (−3)
(1) 先に符号を決めます。負の数が3個(奇数)なので答えは負。
数の部分は 2 × 3 × 4 = 24。
= −24
(2) 負の数が1個(奇数)なので負。12 ÷ 4 = 3。
= −3
(3) 負の数が2個(偶数)なので正。6 × 2 ÷ 3 = 4。
= 4
答え:(1) −24 (2) −3 (3) 4
この手順が速い理由:符号と数を分けて考えるので、途中で「あれ、いまマイナスだったっけ」と迷わずに済みます。負の数に印をつけて数える——それだけで符号が確定します。
加減と混ぜないこと:(−3) + (−5) = −8(足し算)と (−3) × (−5) = 15(かけ算)。同じ「マイナス2つ」でも、答えの符号が違います。いま何の計算をしているかを、毎回確認してください。
例題1-3(累乗とかっこ) 次の値を求めてください。
(1) (−3)2 (2) −32 (3) (−2)3 (4) −23
(1) かっこごと2乗するので (−3) × (−3) = 9
(2) 2乗されるのは 3 だけ。−(3 × 3) = −9
(3) (−2) × (−2) × (−2)。負が3個(奇数)なので負。= −8
(4) −(2 × 2 × 2) = −8
答え:(1) 9 (2) −9 (3) −8 (4) −8
ここに注目:2乗のときは (1) と (2) で答えが違うのに、3乗のときは (3) と (4) が同じになります。理由は、負の数を偶数回かけると正、奇数回かけると負だから。(−2)3 はもともと負なので、−23 と一致します。
見分け方:かっこがあれば、マイナスも一緒に何乗もされる。かっこがなければ、マイナスは最後に1回だけつく。この一言で区別できます。
テストでの確認法:−32 のような式を見たら、指で「何が2乗されているか」を囲んでみてください。かっこがなければ、囲めるのは 3 だけです。
例題1-4(四則の混じった計算と素因数分解) (1) −22 + (−3) × (−4) ÷ 6 を計算してください。(2) 60 を素因数分解してください。
(1) 手順1:累乗を先に。
−22 = −4(かっこがないので 2 だけを2乗)
手順2:乗除を左から。
(−3) × (−4) = 12(負が2個なので正)
12 ÷ 6 = 2
手順3:最後に加減。
−4 + 2 = −2
(2) 小さい素数から順に割ります。
60 ÷ 2 = 30
30 ÷ 2 = 15
15 ÷ 3 = 5
5 は素数なので終わり。
60 = 2 × 2 × 3 × 5 = 22 × 3 × 5
答え:(1) −2 (2) 22 × 3 × 5
(1)でよくある誤り:−22 を 4 としてしまい、答えが 6 になる。累乗は最優先で、しかもかっこの有無を確認——2つの注意が同時に必要な場所です。
(2)の確認:2 × 2 × 3 × 5 = 60 ✓ 掛け戻して元に戻るかを必ず確かめてください。
素因数分解の使いどころ:中3の平方根(√ の中を簡単にする)で必ず使います。√60 = √(22 × 15) = 2√15——素因数分解ができると、2乗の因数がすぐ見つかります。
例題1-5(絶対値と数の大小) (1) 絶対値が 4 以下の整数をすべて答え、何個あるか書いてください。(2) −7、+3、−0.5、0、−7.2 を小さい順に並べてください。(3) 絶対値が 5 である数をすべて答えてください。
考え方:絶対値は「0からどれだけ離れているか」という距離です。距離として見ておくと、(1)〜(3) はどれも数直線を思い浮かべるところから答えが見えてきます。
(1) 0からの距離が4以内にある整数なので
−4, −3, −2, −1, 0, 1, 2, 3, 4 の9個。
マイナス側に4個、プラス側に4個、真ん中に 0 があるので 4 + 4 + 1 = 9 と数えられます。
(2) 数直線では左にあるものほど小さい。マイナスの数どうしは0から遠いほうが小さいので、−7.2 と −7 では 7.2 > 7 より −7.2 のほうが小さくなります。
−7.2 < −7 < −0.5 < 0 < +3
(3) 0からの距離が5の数は、原点の右と左に1つずつあります。+5 と −5。
答え:(1) −4, −3, −2, −1, 0, 1, 2, 3, 4 の9個 (2) −7.2, −7, −0.5, 0, +3 (3) +5 と −5
確認:(1) は 0 を入れ忘れて8個と答える間違いが多いところです。0 の絶対値は 0 なので、これも「4以下」に入ります。
(2) はマイナスの数を、数字の大きさだけで並べてしまうと −7 < −7.2 と逆になります。迷ったら数直線を横に書いて、点を打ってから左から読むのが確実です。
(3) を +5 だけで終わらせないこと。絶対値は「マイナスを取ること」ではなく距離なので、距離が同じ数は原点の左右に2つあります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 引き算を足し算に直したか | 符号を間違える |
| 乗除は負の数の個数を数えたか | 符号を見失う |
| 累乗のかっこの有無を見たか | −32 |
| 四則の順序を守ったか | まったく違う答えになる |
| 素因数分解を最後までやったか | 素数でない数が残る |
| 加減と乗除でルールを分けたか | 符号のルールが混ざる |
もっと解きたい方へ 👉 中1 正負の数(基本)特訓道場(20題と全解説)
第2章 文字と式
小学校では「□ にあてはまる数」を探していました。中1からは、その □ を文字で書くようになります。
文字を使う目的は「まだ決まっていない数を、決まったもののように扱う」こと。これができると、あらゆる場面をひとつの式で表せるようになります。
ここが怪しければ先に:正負の数 / この先つながる:一次方程式・式の計算(中2) / この単元の解法パターン:文字と式 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 4枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| かけ算の約束 | a × 3 は 3a(数を前に) | × |
| わり算の約束 | x ÷ 5 は x/5 | 分数の形にする |
| 1 | 1 × a は a、−1 × a は −a | 1 |
| 同じ文字の積 | a × a は a2 | 累乗で書く |
| 項と係数 | 3x + 5 の項は 3x と 5 | 3x |
| 同類項 | 文字の部分が同じ項 | 係数だけを計算 |
| 分配法則 | a(b + c) = ab + ac | かっこを外す |
| 代入 | 文字に数を入れて計算 | 負の数はかっこをつける |
| 不等号 | ≦ は「以下」、< は「未満」 | 日本語との対応 |
定石
式の書き方には約束がある
・× は書かない → a × b = ab
・数は文字の前 → a × 3 = 3a
・÷ は分数に → x ÷ 5 = x/5
・1 は書かない → 1 × a = a、−1 × a = −a
・文字はアルファベット順 → b × a = ab
・同じ文字は累乗 → a × a × a = a3
文章を式にするときは「1あたり × 個数」を探す
「1個 x 円のりんごを3個」なら 3x 円。「1あたりの量」と「いくつ分」を見つけて掛ける——小学校の考え方がそのまま使えます。
代入するときは、必ずかっこをつける
3x2 − 5x に x = −2 を代入するなら
3 × (−2)2 − 5 × (−2)
とかっこをつけて書きます。かっこを省くと 3 × −22 のようになり、第1章の落とし穴に落ちます。
「以上・以下・未満」は、等号が入るかどうか
| 日本語 | 記号 | その数を含むか |
|---|---|---|
| a 以上 | ≧ a | 含む |
| a 以下 | ≦ a | 含む |
| a より大きい | > a | 含まない |
| a 未満(a より小さい) | < a | 含まない |
つまずきポイント
① まとめられないものをまとめる。3x + 2 を 5x にしないでください。文字がついている項と、ついていない項はまとめられません。
② 代入でかっこを省く。x = −2 を x2 に入れるなら (−2)2 = 4。かっこを省くと −22 = −4 になってしまいます。
③ 分配法則でかけ忘れる。3(2x − 1) = 6x − 1 は誤り。かっこの中の全部にかけます:6x − 3。
④ マイナスのかっこを外すとき、後ろの符号を変えない。−(2x − 3) = −2x + 3。全部の符号が変わります。
⑤ 「以下」と「未満」を混同する。「以下」はその数を含みます。「1000円以下」なら1000円ちょうどはOK、「1000円未満」なら999円までです。
⑥ 単位を書き忘れる。「代金を式で表せ」なら、「3x + 2y(円)」のように単位まで書きます。
例題
例題2-1(式の表し方と分配法則) 次の式を、文字式の約束にしたがって書き直してください。
(1) a × 3 − b ÷ 4 (2) 3(2x − 1) を展開
(1) × は書かず数を前に、÷ は分数に。
3a − b/4
(2) かっこの中の全部に 3 をかけます。
3 × 2x − 3 × 1 = 6x − 3
答え:(1) 3a − b/4 (2) 6x − 3
確認:(2) に x = 1 を入れると、元の式は 3(2 − 1) = 3、答えは 6 − 3 = 3 ✓
この検算を覚えてください:式を書き直したら、同じ数を入れて同じ値になるか確かめる。x = 1 なら暗算でできます。この習慣は中3まで、いや高校までずっと使えます。
例題2-2(同類項をまとめる) 5x − 3 + 2x + 7 を計算してください。
手順1:同じ仲間を集める。
x がついている項:5x と 2x
数だけの項:−3 と +7
手順2:それぞれ計算する。
(5 + 2)x = 7x
−3 + 7 = 4
= 7x + 4
答え:7x + 4
これ以上まとめられません:7x と 4 は仲間が違うので、11x とは書けません。「りんご7個とみかん4個」は「11個」とは書けない——それと同じです。
確認:x = 2 を入れると、元の式は 10 − 3 + 4 + 7 = 18、答えは 14 + 4 = 18 ✓
例題2-3(文章を式にする) 1個 x 円のりんごを 3 個と、1本 y 円のジュースを 2 本買います。
(1) 代金の合計を式で表してください。
(2) 1000 円出したときのおつりを式で表してください。
(3) 「代金が 1000 円以下である」ことを式で表してください。
(1) 「1あたり × 個数」で考えます。
りんご:3x 円 / ジュース:2y 円
3x + 2y(円)
(2) おつりは「出したお金 − 代金」。
1000 − (3x + 2y)(円)
(3) 「以下」なので等号を含む不等号を使います。
3x + 2y ≦ 1000
答え:(1) 3x + 2y(円) (2) 1000 − (3x + 2y)(円) (3) 3x + 2y ≦ 1000
(2)のかっこが大事:1000 − 3x + 2y と書くと意味が変わります(ジュース代を足すことになってしまう)。「まとめて引く」ならかっこをつける——ここを落とすと式が別物になります。
(3)の「以下」:ちょうど 1000 円のときも条件に合うので、≦ を使います。「1000 円未満」なら < です。日本語の1文字で記号が変わります。
単位を書く:答案では 「(円)」まで書くのが正式です。何を表す式なのかが伝わります。
例題2-4(代入) x = −2 のとき、3x2 − 5x の値を求めてください。
手順1:かっこをつけて代入する。
3 × (−2)2 − 5 × (−2)
手順2:累乗から計算する。
(−2)2 = 4 なので 3 × 4 = 12
手順3:後ろの項。
−5 × (−2) = +10(負が2個なので正)
手順4:足す。
12 + 10 = 22
答え:22
かっこを省くとどうなるか:3 × −22 と書いてしまうと 3 × (−4) = −12 となり、答えが −2 になってしまいます。負の数を代入するときは、必ずかっこ——例外はありません。
符号にも注意:−5x の x に −2 を入れると −5 × (−2) = +10。マイナスとマイナスでプラスです。ここで −10 としてしまう誤りが多いので、「負の数が何個あるか」を数えてください。
確認のしかた:x = −2 は負の数なので、3x2 は正(2乗するから)、−5x も正(負×負)。両方とも正なので、答えは正のはず。22 は正なので、符号の見当は合っています。
例題2-5(数量の関係を式で表す) 次の関係を、等式または不等式で表してください。
(1) 1個 a 円のりんご5個と、1本 b 円のジュース3本を買うと、代金は1200円だった。
(2) x 円持って、1冊 y 円のノートを4冊買ったら、おつりがあった。
(3) 縦 a cm、横 b cm の長方形の周の長さは30cm以下である。
(4) 分速80mで x 分歩いた道のりは、1km未満だった。
考え方:まず「何と何を比べているのか」を日本語のまま2つに分けると、左辺と右辺が決まります。そのあとで、つなぐ記号を選びます。
ちょうど等しい → = / 以上 → ≥ / 以下 → ≤ / より大きい → > / 未満 → <
(1) りんご5個で 5a 円、ジュース3本で 3b 円。合わせて1200円なので
5a + 3b = 1200
(2) ノート4冊で 4y 円。残りは x − 4y 円で、これが0より大きいので
x − 4y > 0
(3) 周の長さは 2(a + b) cm。30cm以下なので
2(a + b) ≤ 30
(4) 道のりは 80x m。1km を 1000m に直してからくらべて
80x < 1000
答え:(1) 5a + 3b = 1200 (2) x − 4y > 0 (3) 2(a + b) ≤ 30 (4) 80x < 1000
確認:「おつりがあった」は「残りが0より大きい」という意味です。ぴったり使い切ったなら =、足りるかどうかなら ≥ と、日本語のほうを言いかえてから記号にすると迷いません。
「以下」は等号を含み、「未満」は含みません。(3) で < にすると、ちょうど30cmの場合が抜けます。
(4) は単位をそろえ忘れるのがいちばん多い間違いです。80x < 1 と書くと、80mと1kmを同じものさしで比べたことになってしまいます。x = 12 なら 960 < 1000 で成り立ち、x = 13 なら 1040 で成り立たない——数を入れて確かめると、式が合っているか自分で判定できます。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 文字式の約束どおりに書いたか | 形が違うと減点 |
| 代入でかっこをつけたか | 符号を間違える |
| 分配法則で全部にかけたか | 1つかけ忘れる |
| まとめてよい項か確認したか | 違う仲間をまとめる |
| 「以下」と「未満」を区別したか | 等号の有無を誤る |
| 単位を書いたか | 何の式かわからない |
もっと解きたい方へ 👉 中1 文字と式 特訓道場(20題と全解説)
第3章 一次方程式
小学校では「□ にあてはまる数」を探しました。中1では、その数を計算で求める方法を習います。
方程式を解くとは、「x = ○○」の形にすること。そのために両辺を同じように変えていく——ただそれだけです。
ここが怪しければ先に:文字と式 / この先つながる:連立方程式(中2)・二次方程式(中3) / この単元の解法パターン:1次方程式 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 6枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 等式の性質 | 両辺に同じ数を足す・引く・かける・割る | 0で割るのだけはダメ |
| 移項 | 左辺の +3 を右辺へ移すと −3 | 符号が変わる |
| 解く手順 | x | 4つの手順 |
| 分数を含む式 | 分母の最小公倍数を両辺にかける | 全部の項にかける |
| 小数を含む式 | 10, 100 をかける | 整数に直す |
| かっこを含む式 | 分配法則で先に外す | 手順の最初 |
| 比例式 | a : b = c : d ⇔ ad = bc | 内側どうし・外側どうし |
| 文章題 | 求めるものを x とおく | 答えの吟味まで |
定石
解く手順は、いつも同じ4つ
① かっこがあれば外す(分配法則)
② 分数・小数があれば整数に直す(両辺に同じ数をかける)
③ x を左辺、数を右辺に集める(移項)
④ x の係数で両辺を割る
この順番を守れば、どんな一次方程式も解けます。①②を飛ばして③から始めると、途中で行き詰まります。
移項は「符号を変えて反対側へ」
3x − 5 = x + 7 なら、−5 を右へ移して +5、x を左へ移して −x。
3x − x = 7 + 5
移項は「両辺に同じ数を足す(引く)」を1行で書いたものです。不安なときは、両辺に実際に足し引きしてみると納得できます。
分数は「全部の項に」かける
(x − 1)/2 + x/3 = 2 なら、分母 2 と 3 の最小公倍数 6 を両辺のすべての項にかけます。
6 × (x−1)/2 + 6 × x/3 = 6 × 2
3(x − 1) + 2x = 12
右辺の 2 にもかけるのを忘れないでください。ここが最頻出のミスです。
文章題は「何を x とおくか」を必ず書く
答案の最初に「生徒の人数を x 人とする」と書きます。これがないと、あとの式が何を表しているのか伝わりません。そして最後に「答えが問題に合っているか」を確かめます。
つまずきポイント
① 移項で符号を変えない。3x − 5 = 7 から 3x = 7 − 5 としないでください。正しくは 3x = 7 + 5。移項したら必ず符号が変わります。
② 分数を払うとき、一部の項にかけ忘れる。とくに右辺の定数を忘れがちです。「かける数を、すべての項の前に書いてから」計算すると防げます。
③ かっこを外さずに移項を始める。2(x + 3) = 10 なら、先に 2x + 6 = 10 にします(または両辺を2で割って x + 3 = 5)。
④ 比例式で、かける相手を間違える。a : b = c : d なら ad = bc。外側どうし、内側どうしをかけます。
⑤ 文章題で「何を x とおいたか」を書かない。式だけ書いても、何を求めているのか伝わりません。
⑥ 答えを吟味しない。人数が小数、長さが負——問題の条件に合わない答えは捨てるか、計算を見直します。
例題
例題3-1(移項) 3x − 5 = x + 7 を解いてください。
手順1:x を左、数を右に集める。
x を左へ移すと −x、−5 を右へ移すと +5。
3x − x = 7 + 5
手順2:まとめる。
2x = 12
手順3:係数で割る。
x = 6
答え:x = 6
確認:元の式に戻します。左辺 3 × 6 − 5 = 13、右辺 6 + 7 = 13 ✓
この検算を必ずやってください:方程式は答えを元の式に入れれば、必ず確かめられます。10秒で済むので、テストでも全問やる価値があります。
移項の正体:3x − 5 = x + 7 の両辺に 5 を足すと 3x = x + 12、さらに両辺から x を引くと 2x = 12。移項は、この2行を1行に縮めたものです。仕組みがわかっていれば、符号を間違えません。
例題3-2(分数を含む方程式) (x − 1)/2 + x/3 = 2 を解いてください。
手順1:分母を払う。2 と 3 の最小公倍数 6 を両辺のすべての項にかけます。
6 × (x−1)/2 + 6 × x/3 = 6 × 2
3(x − 1) + 2x = 12
手順2:かっこを外す。
3x − 3 + 2x = 12
手順3:移項してまとめる。
5x = 15 → x = 3
答え:x = 3
確認:(3 − 1)/2 + 3/3 = 1 + 1 = 2 ✓
右辺を忘れないこと:6 をかけるのは左辺の2つの項と、右辺の 2 の合計3か所です。右辺を 2 のままにすると、答えがまったく変わります。「かける数を全部の項の前に書いてから」計算すると、この事故は起きません。
分子のかっこ:(x − 1)/2 に 6 をかけると 3(x − 1) であって 3x − 1 ではありません。分子全体にかかるので、かっこをつけて書いてください。
例題3-3(比例式) 3 : 5 = x : 20 を解いてください。
手順1:外側どうし、内側どうしをかける。
外側は 3 と 20、内側は 5 と x。
3 × 20 = 5 × x
手順2:解く。
60 = 5x → x = 12
答え:x = 12
確認:3 : 5 と 12 : 20。どちらも 4 倍の関係なので、比として等しい ✓
なぜ「たすきにかける」でよいのか:3 : 5 = x : 20 は分数で書くと 3/5 = x/20。両辺に 5 × 20 = 100 をかけると 60 = 5x。分数の等式の分母を払っているだけです。
比例式が使える場面:地図の縮尺、料理の分量、相似な図形の辺の長さ——「同じ割合」を表す場面はすべて比例式です。中3の相似でも同じ形で使います。
例題3-4(文章題・過不足) 何人かの生徒にあめを配ります。5 個ずつ配ると 12 個余り、6 個ずつ配ると 8 個足りません。生徒の人数と、あめの個数を求めてください。
手順1:置き方を書く。生徒の人数を x 人とします。
手順2:あめの個数を2通りで表す。
5 個ずつ配って 12 個余る → あめは 5x + 12 個
6 個ずつ配って 8 個足りない → あめは 6x − 8 個
手順3:同じものなので、等号で結ぶ。
5x + 12 = 6x − 8
手順4:解く。
12 + 8 = 6x − 5x → x = 20
手順5:あめの個数を出す。
5 × 20 + 12 = 112(個)
手順6:確かめる。6 個ずつなら 6 × 20 = 120 個必要で、120 − 112 = 8 個足りない ✓
答え:生徒 20 人、あめ 112 個
この型の考え方:同じものを2通りの言い方で表して、等号で結ぶ。過不足の問題は、すべてこの形です。
・「余る」 → 配った分に足す(5x + 12)
・「足りない」 → 配った分から引く(6x − 8)
符号を間違えないコツ:「あめは全部で何個か」を、それぞれの配り方から考える。5個ずつ配ってまだ12個残っているなら、最初は 5x より12個多かった——だから足す。6個ずつ配るには8個足りなかったなら、必要量 6x より8個少なかった——だから引く。日本語で1回言い直すと、符号が決まります。
例題3-5(文章題・追いつき) 弟が家を出発し、分速 60 m で歩いて駅へ向かいました。その 12 分後に、兄が同じ道を分速 180 m で追いかけました。兄が弟に追いつくのは、兄が出発してから何分後ですか。また、それは家から何 m の地点ですか。
考え方:速さの文章題では、「何を x とおくか」を最初に書きます。ここでは兄が走った時間を x 分とおくのが素直です。
そして「追いつく」とは、2人の進んだ距離が等しくなること。この一言を式にすれば終わりです。
x 分後に追いつくとすると、そのとき
兄が進んだ距離 = 180x(m)
弟が進んだ距離 = 60(x + 12)(m) ……弟は12分早く出ているので、歩いた時間は x + 12 分
距離が等しいので
180x = 60(x + 12) → 180x = 60x + 720 → 120x = 720 → x = 6
追いついた地点は家から 180 × 6 = 1080(m)。
答え:兄が出発してから 6 分後、家から 1080 m の地点
確認:弟は 6 + 12 = 18 分歩いているので 60 × 18 = 1080(m)。兄と同じ 1080 m になり、確かに追いついています。
この型でいちばん多い誤りは、弟の時間を x 分のままにしてしまうことです。「同時に出発していない」と書いてあったら、時間のずれをどちらかの式に必ず入れる——ここが式作りの山場になります。
答えを出したら、問われているのが「兄が出発してから」なのか「弟が出発してから」なのかを読み直してください。同じ場面でも、6 分後と 18 分後で答えが変わります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 移項したら符号を変えたか | 答えが合わない |
| 分母を払うとき全部の項にかけたか | 右辺を忘れる |
| かっこを先に外したか | 途中で行き詰まる |
| 元の式に戻して検算したか | 計算ミスを見逃す |
| 何を x とおいたか書いたか | 答案が伝わらない |
| 答えが問題に合うか確かめたか | あり得ない答えを書く |
もっと解きたい方へ 👉 中1 一次方程式の計算 特訓道場(20題と全解説)
第4章 比例と反比例
2つの量が「連動して変わる」関係を扱う、関数の入口です。
中2の一次関数、中3の y = ax2、高校の2次関数——すべてこの単元の続きです。ここで「式・表・グラフを行き来する」感覚をつかんでおくと、この先がずっと楽になります。
ここが怪しければ先に:文字と式 / この先つながる:一次関数(中2) / この単元の解法パターン:比例と反比例 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 15枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 比例 | y = ax | x |
| 比例の性質 | y ÷ x が一定(= a) | 表から見分ける |
| 反比例 | y = a/x | x |
| 反比例の性質 | x × y が一定(= a) | 表から見分ける |
| 比例定数の決定 | 1組の (x, y) を代入 | 点が1つわかれば決まる |
| 比例のグラフ | 原点を通る直線 | a > 0 |
| 反比例のグラフ | 双曲線(2つに分かれた曲線) | 座標軸には触れない |
| 座標 | (x, y) は「右へ x、上へ y」 | 順番を守る |
| 変域 | x | 現実にあり得る範囲 |
定石
比例か反比例かは「割るか、かけるか」で見分ける
表が与えられたら、次の2つを試します。
y ÷ x がいつも同じ → 比例(その値が a)
x × y がいつも同じ → 反比例(その値が a)
どちらでもなければ、比例でも反比例でもありません(中2の一次関数かもしれません)。
式は「1組の値を代入する」だけで決まる
比例なら y = ax、反比例なら y = a/x と形を書いて、わかっている (x, y) を1組代入すれば a が出ます。点が1つわかれば式が決まる——これが比例・反比例の特徴です。
グラフの形を覚える
| a > 0 | a < 0 | |
|---|---|---|
| 比例 y = ax | 原点を通る右上がりの直線 | 原点を通る右下がりの直線 |
| 反比例 y = a/x | 第1象限と第3象限の双曲線 | 第2象限と第4象限の双曲線 |
文章題は「1あたりの量」を探す
「分速 60 m で歩く」なら、1分あたり 60 m。だから x 分後の距離は y = 60x。「1あたりいくつ」が比例定数になります。
つまずきポイント
① 比例と反比例を取り違える。表を見てy ÷ x と x × y の両方を試すのがいちばん確実です。「一方が増えるともう一方が減る」だけでは反比例とは限りません。
② 反比例の式を y = ax と書く。反比例は y = a/x、または xy = a です。
③ 反比例のグラフを直線で描く。双曲線(なめらかな曲線が2本)です。x = 0 のとき y が決まらないので、グラフは y 軸に触れません。
④ 座標の順番を逆にする。(3, 5) は「右へ3、上へ5」。x が先です。
⑤ 変域を考えずに答える。「歩いた時間」なら x ≧ 0、「人数」なら正の整数。現実にあり得る範囲を確認してください。
⑥ 比例定数が負の場合を忘れる。a は負でも構いません。y = −2x も立派な比例です。
例題
例題4-1(比例) y は x に比例し、x = 3 のとき y = 12 です。y を x の式で表し、x = −5 のときの y を求めてください。
手順1:式の形を書く。比例なので y = ax。
手順2:代入して a を求める。
12 = a × 3 → a = 4
y = 4x
手順3:x = −5 を代入。
y = 4 × (−5) = −20
答え:y = 4x、x = −5 のとき y = −20
確認:y ÷ x がいつも 4 になるか見ます。12 ÷ 3 = 4 ✓ (−20) ÷ (−5) = 4 ✓
比例の意味:x が2倍になれば y も2倍、3倍なら3倍。x = 3 → 6 と2倍にすれば y = 12 → 24 です。この性質を使えば、式を作らずに答えが出ることもあります。
例題4-2(反比例) y は x に反比例し、x = 2 のとき y = 9 です。y を x の式で表し、x = 6 のときの y を求めてください。
手順1:式の形を書く。反比例なので y = a/x。
手順2:代入して a を求める。
9 = a / 2 → a = 18
y = 18/x
手順3:x = 6 を代入。
y = 18 / 6 = 3
答え:y = 18/x、x = 6 のとき y = 3
確認:x × y がいつも 18 になるか見ます。2 × 9 = 18 ✓ 6 × 3 = 18 ✓
反比例の意味:x が3倍になれば y は 1/3 倍。かけた答えがいつも同じ——これが反比例です。x = 2 → 6 と3倍にしたので、y = 9 → 3 と 1/3 になりました。
身近な例:面積が 18 の長方形の縦と横、18 個のあめを配る人数と1人あたりの個数。「かけると決まった数になる」場面はすべて反比例です。
x = 0 にできない理由:y = 18/0 は計算できません。だから反比例のグラフは y 軸に触れないのです。
例題4-3(表から見分ける) 次の表について、y は x に比例していますか、反比例していますか。式も求めてください。
| x | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | 24 | 12 | 8 | 6 | 4 |
手順1:y ÷ x を試す。
24 ÷ 1 = 24、12 ÷ 2 = 6 → 同じにならないので比例ではない。
手順2:x × y を試す。
1 × 24 = 24、2 × 12 = 24、3 × 8 = 24、4 × 6 = 24、6 × 4 = 24
すべて 24 で一定 → 反比例。
答え:反比例。式は y = 24/x
この2つを試すだけ:y ÷ x が一定なら比例、x × y が一定なら反比例。表を見たら、まずこの2つを1組ずつ計算してください。2組で同じ値になれば、ほぼ確定です(念のため3組目でも確かめると万全)。
どちらでもない場合:たとえば x が 1, 2, 3 で y が 5, 7, 9 なら、y ÷ x も x × y も一定になりません。これは中2で習う一次関数(y = 2x + 3)です 👉 中2数学の要点辞典(第3章)
例題4-4(比例の利用) 分速 60 m の速さで歩きます。
(1) x 分間に歩く距離を y m として、y を x の式で表してください。
(2) 1200 m 歩くのに何分かかりますか。
(3) x の変域を答えてください(ただし、この人は最大 30 分しか歩けないとします)。
(1) 1分あたり 60 m 進むので
y = 60x
(2) y = 1200 を代入します。
1200 = 60x → x = 20(分)
(3) 時間は負にならず、最大 30 分なので
0 ≦ x ≦ 30
答え:(1) y = 60x (2) 20 分 (3) 0 ≦ x ≦ 30
確認:20 分で 60 × 20 = 1200 m ✓
「1あたりの量」が比例定数:分速 60 m の 60 が、そのまま a になります。「1分あたり」「1個あたり」「1枚あたり」——この言葉を探せば、比例定数が見つかります。
変域を書く意味:数学の式としては x = −5 も計算できますが、「−5分歩く」は現実にはありません。問題の場面で意味のある範囲を答えるのが、変域を聞かれる理由です。
例題4-5(反比例の利用) 面積が 24 cm2 の長方形があります。縦の長さを x cm、横の長さを y cm とするとき、(1) y を x の式で表してください。(2) x = 8 のときの y を求めてください。(3) 縦を3倍にすると、横は何倍になりますか。
考え方:文章題では、まず「何がずっと変わらないのか」を探します。ここで変わらないのは面積 24。縦と横は変わりますが、かけると必ず 24 です。x × y = 24 と書けた時点で、これは反比例だと決まります。
(1) x × y = 24 より y = 24 / x
(2) y = 24 / 8 = 3 よって 3 cm
(3) 縦を 3x にすると y = 24 / (3x)。これはもとの 24 / x の 1/3 です。よって横は 1/3 倍。
答え:(1) y = 24 / x (2) 3 cm (3) 1/3 倍
確認:(x, y) をいくつか書き出すと (1, 24) (2, 12) (3, 8) (4, 6) (6, 4) (8, 3)。どの組もかけると 24 です。「一方が3倍になると、もう一方は 1/3 倍」——これが反比例そのもので、比例の「一方が3倍なら、もう一方も3倍」とちょうど裏返しになっています。
なお、この問題では x は長さなので x > 0 です。グラフを描くときも右上の部分だけになります。式だけを見て負の側まで描いてしまうのが、文章題でのよくある誤りです。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| y ÷ x | 比例と反比例を取り違える |
| 反比例の式を a/x と書いたか | まったく違う関係になる |
| 反比例のグラフを曲線で描いたか | 直線にしてしまう |
| 座標は x が先か | 点の位置がずれる |
| 変域を現実に合わせたか | あり得ない範囲を答える |
| a | 右下がりのグラフが描けない |
もっと解きたい方へ 👉 中1 比例・反比例(基本)特訓道場(20題と全解説)
第5章 平面図形
小学校でも図形は習いましたが、中1では「作図」と「移動」という新しい見方が加わります。
作図でいちばん大事なのは、「その線は、どんな点の集まりなのか」を理解すること。ここがわかると、作図の手順を暗記しなくてよくなります。
ここが出発点:前提になる単元はありません / この先つながる:平行と合同(中2)・図形の性質(数学I・A) / この単元の解法パターン:平面図形 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 2枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 垂直二等分線 | 2点から等しい距離にある点の集まり | 中点、等距離の点 |
| 角の二等分線 | 2辺から等しい距離にある点の集まり | 角を半分に |
| 垂線 | ある点を通り、直線と直角に交わる線 | 高さを引く |
| 平行移動 | 同じ向きに同じ距離だけ動かす | 形も向きも変わらない |
| 対称移動 | 直線を折り目に折り返す | 向きが裏返る |
| 回転移動 | 1点を中心に回す | 中心からの距離は変わらない |
| 円周の長さ | 2πr | π |
| 円の面積 | πr2 | 半径の2乗 |
| おうぎ形の弧 | 2πr × (中心角/360) | 円の何分の何か |
| おうぎ形の面積 | πr2 × (中心角/360) | 同上 |
| おうぎ形の面積(弧から) | S = (1/2) × ℓ × r (ℓ は弧の長さ) | 中心角がわからなくても出せる |
定石
作図は「その線が何の集まりか」で選ぶ
「2点から等しい距離」 → 垂直二等分線
「2つの辺(直線)から等しい距離」 → 角の二等分線
「直角をつくる」 → 垂線
問題文に「等しい距離」という言葉があったら、相手が「点」なのか「直線」なのかを見てください。それだけで、どちらの作図かが決まります。
おうぎ形は「円の何分の何か」を先に出す
中心角 120° なら、円全体(360°)の 120/360 = 1/3。だから弧も面積も、円の 1/3 です。
公式を2つ覚えるより、「割合を先に出して、円の値に掛ける」と考えるほうが速く、間違えません。
移動の3つは「何が変わらないか」で区別する
| 移動 | 変わらないもの | 変わるもの |
|---|---|---|
| 平行移動 | 形・大きさ・向き | 位置 |
| 対称移動 | 形・大きさ | 位置・向き(裏返る) |
| 回転移動 | 形・大きさ・中心からの距離 | 位置・向き |
複合図形の面積は「足すか引くか」
複雑な図形は、知っている形に分けるか、大きい形から小さい形を引く。この2通りしかありません。どちらが簡単かを先に決めてから計算を始めてください。
つまずきポイント
① おうぎ形で「中心角の割合」を掛け忘れる。この単元で最も多い失点です。2πr や πr2 は円全体の値。必ず 中心角/360 を掛けます。
② 弧の長さと面積の公式を混同する。弧は 2πr から、面積は πr2 から。半径が2乗されているほうが面積です。
③ 直径と半径を取り違える。公式の r は半径です。「直径 10 cm」なら r = 5。
④ 作図で、補助の線や弧を消してしまう。コンパスの跡は残すのが約束です。消すと「どうやって作図したか」が伝わらず、減点されます。
⑤ 「2点から等距離」と「2直線から等距離」を混同する。前者は垂直二等分線、後者は角の二等分線です。相手が点か直線かを確認してください。
⑥ 対称移動で向きが裏返ることを忘れる。対称移動した図形は、もとの図形をひっくり返した形です。平行移動や回転移動では裏返りません。
例題
例題5-1(作図の選び方) 次の点を作図するには、どの作図を使えばよいですか。
(1) 2点 A, B から等しい距離にある点
(2) 2直線 ℓ, m から等しい距離にある点
(3) 直線 ℓ 上にあり、点 P から最も近い点
(1) 垂直二等分線 …… 線分 AB の垂直二等分線は、「A からの距離と B からの距離が等しい点」を全部集めた線です。
(2) 角の二等分線 …… 2直線がつくる角の二等分線は、「両方の直線から等しい距離にある点」を集めた線です。
(3) 垂線 …… 点 P から直線 ℓ に下ろした垂線の足が、最も近い点です。
この3つで区別できる:
・相手が2つの点 → 垂直二等分線
・相手が2つの直線 → 角の二等分線
・最短距離 → 垂線
なぜ垂線が最短なのか:直線上のほかの点まで行くと、垂線を1辺とする直角三角形の斜辺になります。斜辺はいちばん長い辺なので、垂線のほうが短い——中3の三平方の定理につながる話です。
作図の跡を残す:答案ではコンパスで描いた弧を消さないでください。「どの点を中心に、どんな半径で描いたか」が、作図の根拠になります。
例題5-2(おうぎ形) 半径 6 cm、中心角 120° のおうぎ形について、弧の長さと面積を求めてください。
手順1:円全体の何分の何かを出す。
120 / 360 = 1/3
手順2:円全体の値を出す。
円周:2π × 6 = 12π cm
円の面積:π × 62 = 36π cm2
手順3:割合を掛ける。
弧の長さ:12π × 1/3 = 4π cm
面積:36π × 1/3 = 12π cm2
答え:弧の長さ 4π cm、面積 12π cm2
この順番がおすすめ:「割合を先に出す」と、弧でも面積でも同じ数を掛けるだけで済みます。公式を2つ暗記するより、「円の 1/3 だ」と1回言葉にするほうが確実です。
もう1つの公式:おうぎ形の面積は (1/2) × 弧の長さ × 半径 でも出ます。(1/2) × 4π × 6 = 12π ✓ 三角形の面積の公式に似ているのが面白いところです(おうぎ形を細かく切って三角形と見なす発想で、高校の積分につながります)。
確認のしかた:120° は円の 1/3 なので、答えも円全体の 1/3 になっているはず。12π ÷ 3 = 4π ✓、36π ÷ 3 = 12π ✓
例題5-3(図形の移動) 方眼紙の上に三角形があります。次の移動をしたとき、どの性質が保たれますか。
(1) 右へ3、上へ2 平行移動する
(2) 直線 ℓ について対称移動する
(3) 点 O を中心に 180° 回転移動する
(1) 平行移動 …… 形・大きさ・向きがすべて保たれます。対応する点を結んだ線分は、すべて平行で長さが等しいのが特徴です。
(2) 対称移動 …… 形と大きさは保たれますが、向きが裏返ります。対応する点を結んだ線分は、折り目の直線に垂直で、その中点が直線上にある(=直線が垂直二等分線になっている)。
(3) 180° の回転移動 …… 形と大きさが保たれ、点 O について点対称な位置に移ります。対応する点を結ぶと、必ず O を通り、O がその中点になります。
見分け方のコツ:「裏返っているかどうか」を見てください。裏返っていれば対称移動、裏返っていなければ平行移動か回転移動です。
作図との関係:対称移動の性質「折り目が垂直二等分線になる」は、第5章の作図そのものです。「対称移動した図形をかけ」という問題は、各頂点について垂直二等分線の作図をするのと同じことをしています。
例題5-4(複合図形の面積) 半径 6 cm の円の中に、中心角 120° のおうぎ形があります。おうぎ形以外の部分の面積を求めてください。
手順1:どちらの方針が楽か決める。「おうぎ形以外」なので、円全体から、おうぎ形を引くのがいちばん簡単です。
手順2:円全体の面積。
π × 62 = 36π cm2
手順3:おうぎ形の面積。例題5-2より 12π cm2。
手順4:引く。
36π − 12π = 24π cm2
答え:24π cm2
別の考え方:残りの部分は中心角 360° − 120° = 240° のおうぎ形です。
36π × (240/360) = 36π × (2/3) = 24π ✓
2通りで同じ答えになれば、まず間違いありません。
複合図形の考え方:
・足す → いくつかの知っている形に分けられるとき
・引く → 大きい形から一部を取り除いた形のとき
どちらが少ない手数で済むかを、計算を始める前に決めてください。
π は最後まで残す:π ≒ 3.14 として途中で小数にすると、誤差が出るうえ計算が重くなります。指示がなければ π のまま答えます。
例題5-5(おうぎ形を逆から求める) 半径 6 cm のおうぎ形について。(1) 弧の長さが 4π cm のとき、中心角は何度ですか。(2) そのおうぎ形の面積を求めてください。(3) 半径 6 cm、面積 15π cm2 のおうぎ形の中心角は何度ですか。
考え方:おうぎ形は「円のうちの何割か」です。中心角が a 度なら、円全体の a/360 の割合。弧も面積も、円のぶんに同じ割合を掛けたもの——この1点さえ押さえていれば、どちらを聞かれても同じ形の式で書けます。
(1) 弧の長さ = 2π × 6 × (a/360) = 12π × (a/360)。これが 4π なので
12π × (a/360) = 4π → a/360 = 1/3 → a = 120
(2) 面積 = π × 62 × (120/360) = 36π × (1/3) = 12π cm2
(3) 面積 = 36π × (a/360)。これが 15π なので
a/360 = 15/36 = 5/12 → a = 150
答え:(1) 120° (2) 12π cm2 (3) 150°
確認:(2) は別の道でも出せます。S = (1/2) × ℓ × r を使うと (1/2) × 4π × 6 = 12π。同じ答えになりました。2通りで一致すれば、まず間違いありません。
この式は覚えるものというより、おうぎ形を細かく切って交互に並べると、底辺が ℓ、高さが r の三角形に近づく——そう見れば自然に出てきます。中心角がわからなくても面積が出せるので、持っておくと強い道具です。
いちばん多い間違いは、弧の長さと面積で掛けるもとを取り違えることです。弧は 2πr(円周)に、面積は πr2 に割合を掛けます。a/360 の部分は共通なので、どちらのもとに掛けているかだけを確かめてください。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| おうぎ形で中心角の割合を掛けたか | 円全体の値を答える |
| 半径か直径かを確認したか | 答えが2倍・4倍ずれる |
| 弧と面積の公式を区別したか | 2乗の有無を間違える |
| 作図の跡を残したか | 根拠が伝わらず減点 |
| 相手が点か直線かを見たか | 作図の種類を誤る |
| π | 誤差が出る |
もっと解きたい方へ 👉 中1 平面図形 特訓道場(20題と全解説)
第6章 空間図形
立体を扱う単元です。難しく感じる原因ははっきりしていて、紙の上に描かれた図から、立体を思い浮かべなければならないことです。
だから、この単元の定石はひとつ。立体のまま考えず、平面に開くか、平面で切る。これで、知っている図形の問題に変わります。
ここが怪しければ先に:平面図形 / この先つながる:三平方の定理(中3)・ベクトル(数学II・B・C) / この単元の解法パターン:空間図形 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 2枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 角柱・円柱の体積 | 底面積 × 高さ | まっすぐな立体 |
| 角錐・円錐の体積 | 底面積 × 高さ × 1/3 | とがった立体は 1/3 |
| 円柱の表面積 | 側面 2πrh + 底面 πr2 × 2 | 展開図で考える |
| 円錐の側面 | おうぎ形(弧の長さ=底面の円周) | ここがつながる |
| 球の体積 | (4/3)πr3 | 3乗 |
| 球の表面積 | 4πr2 | 2乗 |
| 展開図 | 立体を平面に開いた図 | 表面積・最短距離 |
| 投影図 | 真上から(平面図)+真横から(立面図) | 立体を読み取る |
| 回転体 | 平面図形を軸のまわりに1回転 | 断面から立体を作る |
| ねじれの位置 | 平行でなく、交わらない2直線 | 空間だけにある関係 |
定石
表面積は「展開図を思い浮かべる」
円柱 → 長方形(側面)+ 円2つ(底面)
側面の長方形は、横の長さが底面の円周 2πr、縦が高さ h。だから側面積は 2πrh。
円錐 → おうぎ形(側面)+ 円1つ(底面)
おうぎ形の弧の長さが、底面の円周と一致します。ここがこの単元最大のポイントです。
体積は「とがっていたら 1/3」
角柱・円柱は 底面積 × 高さ、角錐・円錐はその 1/3。同じ底面・同じ高さなら、とがったほうが3分の1——これだけ覚えれば足ります。
球は「体積は3乗、表面積は2乗」
V = (4/3)πr3、S = 4πr2。体積は長さを3回、表面積は2回かけていると考えれば、どちらが3乗か迷いません。
ねじれの位置は「平行でも交わりでもない」
空間では、2直線の関係が3通りあります。交わる/平行/ねじれの位置。平面では2通り(交わる・平行)しかなかったので、ここが新しい部分です。
つまずきポイント
① 錐体の体積で 1/3 を忘れる。この単元で最も多い失点です。「とがっていたら 1/3」と、公式を書く前に唱えてください。
② 円柱の表面積で、底面を1つしか足さない。底面は上下2つあります。πr2 × 2 です。
③ 円錐の側面のおうぎ形の中心角がわからない。弧の長さ=底面の円周という関係から求めます。母線を ℓ、底面の半径を r とすると、中心角は 360° × r / ℓ。
④ 球の公式で2乗と3乗を逆にする。体積が3乗、表面積が2乗です。V = (4/3)πr3、S = 4πr2。
⑤ 「ねじれの位置」に平行なものを入れる。平行はねじれではありません。ねじれの位置は「交わらず、しかも平行でもない」ときだけです。
⑥ 立体のまま長さを求めようとする。展開図に開くか、断面を1枚取り出すのが定石です。とくに「表面を通る最短の道」は、必ず展開図で考えます。
例題
例題6-1(円柱の表面積と体積) 底面の半径が 3 cm、高さが 5 cm の円柱について、表面積と体積を求めてください。
手順1:展開図を思い浮かべる。側面は長方形、底面は円が2つ。
手順2:側面積。長方形の横は底面の円周、縦は高さ。
2π × 3 × 5 = 30π cm2
手順3:底面積(2つ分)。
π × 32 × 2 = 18π cm2
手順4:表面積。
30π + 18π = 48π cm2
手順5:体積。底面積 × 高さ。
9π × 5 = 45π cm3
答え:表面積 48π cm2、体積 45π cm3
側面の長方形の横が円周になる理由:円柱の側面を切り開くと、底面の円をまっすぐに伸ばしたものが横の長さになります。缶詰のラベルをはがして広げると長方形になる——あのイメージです。
底面を2つ足す:「表面積」は外側全部の面積なので、上のふたと下の底、両方必要です。1つしか足さないのが最頻出のミスです。
例題6-2(円錐と球の体積) (1) 底面の半径 3 cm、高さ 4 cm の円錐の体積を求めてください。(2) 半径 3 cm の球の体積と表面積を求めてください。
(1) 円錐はとがっているので 1/3。
底面積 × 高さ × 1/3 = π × 9 × 4 × 1/3 = 12π cm3
(2) 球の公式に r = 3 を入れます。
体積:(4/3)π × 33 = (4/3)π × 27 = 36π cm3
表面積:4π × 32 = 36π cm2
答え:(1) 12π cm3 (2) 体積 36π cm3、表面積 36π cm2
(1)の確認:同じ底面・同じ高さの円柱なら 9π × 4 = 36π。その 1/3 が 12π ✓ 円柱の体積を先に出して3で割ると、1/3 の掛け忘れが防げます。
(2)で数が同じになるのは偶然:r = 3 のときだけ、体積と表面積の数値が両方 36π になります(単位は違います)。r = 2 なら体積 (32/3)π、表面積 16π で一致しません。「いつも同じ」と思い込まないでください。
球の公式の覚え方:「身の上に心配ある参上」(3 分の 4 パイ r の 3 乗)と「心配ある事情」(4 パイ r の 2 乗)という語呂が有名です。ただし「体積が3乗、表面積が2乗」という理屈で覚えるほうが、忘れにくいです。
例題6-3(円錐の展開図) 底面の半径が 3 cm、母線の長さが 9 cm の円錐について、側面のおうぎ形の中心角と、側面積を求めてください。
手順1:おうぎ形の弧の長さを出す。側面のおうぎ形の弧は、底面の円周とぴったり重なります。
底面の円周 = 2π × 3 = 6π cm
手順2:おうぎ形は、半径9の円の何分の何かを出す。半径 9 の円の円周は 2π × 9 = 18π。
6π / 18π = 1/3
手順3:中心角。円全体の 1/3 なので
360° × 1/3 = 120°
手順4:側面積。半径 9 の円の面積の 1/3。
π × 92 × 1/3 = 81π / 3 = 27π cm2
答え:中心角 120°、側面積 27π cm2
この単元でいちばん大事な関係:「側面のおうぎ形の弧 = 底面の円周」。円錐を組み立てるとき、おうぎ形の弧が底面の円にぴったり巻きつくからです。紙で円錐を作ってみると、一発で納得できます。
公式にすると:底面の半径 r、母線 ℓ のとき
中心角 = 360° × r / ℓ (ここでは 360 × 3 / 9 = 120 ✓)
側面積 = πrℓ (ここでは π × 3 × 9 = 27π ✓)
公式を覚えてもよいですが、導き方を知っていれば忘れても作れます。
表面積は:側面 27π + 底面 9π = 36π cm2。底面は1つだけ(円錐にふたはない)です。
例題6-4(ねじれの位置) 直方体 ABCD−EFGH において、辺 AB とねじれの位置にある辺をすべて答えてください。
手順1:ねじれの位置の定義を確認する。交わらず、しかも平行でもない2直線です。
手順2:辺を3つに分類する。直方体の辺は全部で12本。AB 自身を除く11本を分けます。
| 関係 | 辺 | 本数 |
|---|---|---|
| AB | AD, AE, BC, BF | 4本 |
| AB | DC, EF, HG | 3本 |
| ねじれの位置 | CG, DH, EH, FG | 4本 |
例題6-5(回転体) 直角をはさむ2辺が 3 cm、4 cm の直角三角形があります。(1) 4 cm の辺を軸として1回転させてできる立体の体積と表面積を求めてください。(2) 3 cm の辺を軸にすると、体積はいくつになりますか。
考え方:回転体の問題で最初にやることは、「軸はどれか」「回すと何ができるか」を言葉にすることです。直角三角形を、直角をはさむ辺のまわりに回すと円錐ができます。
そのとき軸になった辺が高さ、もう一方の辺が底面の半径——ここを取り違えると、以降の計算がすべてずれます。
(1) 軸が 4 cm なので、高さ 4、底面の半径 3 の円錐です。
体積 = (1/3) × π × 32 × 4 = 12π (cm3)
表面積は側面と底面の合計です。母線は斜辺で √(32 + 42) = 5 なので
側面積 = π × 3 × 5 = 15π、底面積 = π × 32 = 9π
表面積 = 15π + 9π = 24π (cm2)
(2) 軸が 3 cm になると、高さ 3、底面の半径 4 の円錐に変わります。
体積 = (1/3) × π × 42 × 3 = 16π (cm3)
答え:(1) 体積 12π cm3、表面積 24π cm2 (2) 16π cm3
確認:同じ三角形でも、どの辺を軸にするかで体積が変わります(12π と 16π)。半径は2乗で効くので、半径が大きくなるほうが体積も大きい——結果の大小も納得できます。
母線を 5 と出したところは、三平方の定理(中3)を先取りしています。ここでは 3 : 4 : 5 の組として覚えておけば十分です。
なお側面のおうぎ形の中心角は 360° × 3 / 5 = 216°。展開図まで描けると、側面積を公式ではなく「おうぎ形の面積」として出せます。
答え:CG, DH, EH, FG の 4 本
確認:4 + 3 + 4 = 11。AB 以外の11本がすべて分類できました ✓ 本数を合計して確かめるのが、数え落としを防ぐいちばんの方法です。
探し方の手順:
① AB と交わる辺を探す(端点 A と B から出ている辺)
② AB と平行な辺を探す
③ 残りが全部ねじれの位置
この順番なら数え落としません。いきなり「ねじれの位置」を探すと、必ず見落とします。
平面との違い:平面では、2直線は「交わる」か「平行」の2通りしかありません。空間だから3通りになる——これが空間図形の新しさです。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 錐体で 1/3 を掛けたか | 体積が3倍になる |
| 円柱の底面を2つ足したか | 表面積が足りない |
| 円錐の弧=底面の円周を使ったか | 中心角が出せない |
| 球は体積3乗・表面積2乗か | 公式を取り違える |
| ねじれは「交わらず平行でもない」か | 平行を入れてしまう |
| 展開図や断面に開いたか | 立体のままで手が止まる |
もっと解きたい方へ 👉 中1 空間図形 特訓道場(20題と全解説)
第7章 データの活用
集めた数字を「そのまま眺めても何もわからない」ので、整理して特徴を読み取る——それがこの単元です。
計算はやさしいのですが、「どの代表値を使うべきか」という判断が問われます。この判断は、中2の箱ひげ図、数学Iのデータの分析、数学Bの統計的な推測まで、そのまま続きます。
ここが出発点:前提になる単元はありません / この先つながる:確率とデータの比較(中2)・データの分析(数学I・A) / この単元の解法パターン:データの活用 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 6枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 度数分布表 | 階級ごとに個数(度数)を数えた表 | 散らばりを見る |
| 階級 | 50点以上60点未満 | 「以上・未満」で区切る |
| 階級値 | その階級のまん中の値 | 50〜60 なら 55 |
| ヒストグラム | 度数を棒グラフにしたもの | 棒をくっつけて描く |
| 平均値 | 合計 ÷ 個数 | 極端な値に引きずられる |
| 中央値 | 小さい順に並べたまん中 | 極端な値に強い |
| 最頻値 | いちばん多く出てくる値 | いちばん「よくある」値 |
| 範囲 | 最大値 − 最小値 | 散らばりの大きさ |
| 相対度数 | その階級の度数 ÷ 全体の度数 | 個数が違うデータを比べる |
| 累積度数 | その階級までの度数の合計 | 「〜以下は何人か」 |
| 確率の意味 | 試行を増やすと相対度数が近づく値 | 中2の確率につながる |
| 累積相対度数 | その階級までの累積度数 ÷ 度数の合計 | 最後は必ず 1.00 になる |
定石
代表値は「何を知りたいか」で選ぶ
| 代表値 | どんな値か | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 平均値 | 全部を均等にならした値 | 合計が意味をもつとき(総額、総時間) |
| 中央値 | ちょうど真ん中の順位の値 | 極端に大きい/小さい値があるとき |
| 最頻値 | いちばん多い値 | サイズや型番など、個数を知りたいとき |
平均値は、極端な値に引きずられます。たとえば9人の所持金が数百円で、1人だけ10万円持っていたら、平均は実態とかけ離れます。そういうときは中央値のほうが実感に近い——この判断が、この単元の中心です。
相対度数は「個数の違うデータを比べる」ための道具
A組40人とB組35人を比べるとき、度数(人数)をそのまま比べても意味がありません。それぞれの全体に対する割合に直せば、公平に比べられます。
階級値は「まん中の値」で代表させる
「50 点以上 60 点未満」の階級には、52 点も 58 点も入っています。それを1つの数で代表させるとき、まん中の 55 点を使います。度数分布表から平均を出すときは、この階級値を使います。
ヒストグラムは棒をくっつけて描く
棒グラフは棒を離して描きますが、ヒストグラムは階級が連続しているのでくっつけて描きます。この違いは、テストで問われることがあります。
つまずきポイント
① 平均値だけで判断する。極端な値が1つあるだけで、平均は大きく動きます。「代表値として適切か」を問う問題では、中央値を選ぶのが正解のことが多いです。
② 中央値で、データを並べ替えない。必ず小さい順に並べてからまん中を取ります。表の順番のまま数えると間違えます。
③ 偶数個のときの中央値。データが偶数個なら、まん中2つの平均が中央値です。10 個なら5番目と6番目の平均。
④ 階級値を階級の端の値にする。「50 以上 60 未満」の階級値は 50 でも 60 でもなく、まん中の 55 です。
⑤ 相対度数の合計が1にならない。すべての階級の相対度数を足すと必ず 1(または 100%)になります。ならなければ計算ミスです。
⑥ 「以上」と「未満」の境目を両方に数える。「50 以上 60 未満」と「60 以上 70 未満」なら、60 は後ろの階級に入ります。両方に数えないでください。
例題
例題7-1(度数分布表と階級値) 次は、あるクラス 20 人のテストの点数を整理した度数分布表です。
| 階級(点) | 40以上50未満 | 50〜60 | 60〜70 | 70〜80 | 80〜90 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数(人) | 2 | 3 | 7 | 5 | 3 | 20 |
(1) 60 点以上 70 点未満の階級の階級値と相対度数を求めてください。
(2) 70 点未満の生徒は何人ですか。
(1) 階級値 …… 階級のまん中の値なので
(60 + 70) ÷ 2 = 65(点)
(1) 相対度数 …… その階級の度数を全体で割ります。
7 ÷ 20 = 0.35
(2) 70 点未満なので、下から3つの階級を足します(累積度数)。
2 + 3 + 7 = 12(人)
答え:(1) 階級値 65 点、相対度数 0.35 (2) 12 人
相対度数の確認:すべての階級の相対度数を足すと 0.1 + 0.15 + 0.35 + 0.25 + 0.15 = 1.00 ✓ 合計が1になるかで検算できます。
「70点未満」の数え方:70 点ちょうどの人は「70 以上 80 未満」の階級に入るので、数えません。「未満」は、その数を含まない——第2章の不等号の話がここで効きます。
例題7-2(代表値の使い分け) 次の 10 個のデータについて、平均値・中央値・最頻値を求めてください。
52, 55, 58, 61, 61, 64, 67, 70, 73, 79
平均値 …… 合計を個数で割ります。
合計 = 640 → 640 ÷ 10 = 64.0
中央値 …… すでに小さい順です。10 個(偶数)なので5番目と6番目の平均。
(61 + 64) ÷ 2 = 62.5
最頻値 …… 2回出てくるのは 61 だけ。
61
答え:平均値 64.0、中央値 62.5、最頻値 61
3つの値がずれている意味:平均値(64.0)が中央値(62.5)より大きくなっています。これは大きいほうに裾が伸びていることの表れです(79 という高い値が平均を引き上げている)。
偶数個のときの中央値:10 個なら「まん中」がぴったりないので、5番目と6番目の平均を取ります。奇数個なら、そのまま中央の1個です。
この見方は高校まで続きます:平均と中央値のズレの向きから、分布の偏りが読める——数学Iのデータの分析でも、まったく同じ考え方を使います 👉 数学I・Aの要点辞典(第5章)
例題7-3(どの代表値を使うか) ある店で、1日に売れたTシャツのサイズを調べました。
S: 3枚、M: 12枚、L: 8枚、LL: 2枚
店長が「明日いちばん多く仕入れるべきサイズ」を決めたいとき、どの代表値を使えばよいですか。理由も答えてください。
答え:最頻値を使う。いちばん多く売れたサイズ(M)を知りたいから。
なぜ平均値ではダメか:サイズは S, M, L, LL という数ではない値なので、そもそも足したり割ったりできません。「平均サイズ」に意味がないのです。
なぜ中央値でもないか:中央値は「順位のまん中」なので、いちばん多く売れたサイズとは限りません。仕入れの判断には、実際にいちばん出た値が必要です。
代表値の選び方をもう一度
| 知りたいこと | 使う代表値 |
|---|---|
| 全体をならすといくつか(総額・総時間) | 平均値 |
| 「ふつうの人」はどのくらいか | 中央値(極端な値の影響を受けない) |
| いちばんよくある値はどれか | 最頻値 |
この判断が問われる:計算だけならどれも簡単ですが、「どれを使うべきか」と理由を書かせる問題が増えています。「何を知りたいのか」から逆算して選んでください。
例題7-4(相対度数と確率) ペットボトルのキャップを投げて、表が出るか裏が出るかを調べました。
| 投げた回数 | 50 | 100 | 500 | 1000 | 5000 |
|---|---|---|---|---|---|
| 表が出た回数 | 18 | 39 | 203 | 398 | 2010 |
| 相対度数 | 0.360 | 0.390 | 0.406 | 0.398 | 0.402 |
(1) 相対度数の求め方を説明してください。
(2) この結果から、表が出る確率はおよそいくつと考えられますか。
(1) 表が出た回数 ÷ 投げた回数です。たとえば 500 回のときは 203 ÷ 500 = 0.406。
(2) 投げる回数を増やすほど、相対度数はおよそ 0.40 に近づいています。したがって、表が出る確率はおよそ 0.40 と考えられます。
答え:(1) 表が出た回数 ÷ 投げた回数 (2) およそ 0.40
ここが確率の出発点:コインなら「表と裏は同じくらい起こりやすい」と決めて 1/2 と考えられます。しかしペットボトルのキャップは形が非対称なので、そう決められません。だから実際に何度も投げて、相対度数がどこに近づくかを調べる——これが確率のもう1つの決め方です。
回数を増やすほど安定する:50 回では 0.360 とばらついていますが、5000 回では 0.402。試行回数が多いほど、真の値に近づきます。
この先どうつながるか:中2では「同じくらい起こりやすい」と決めて計算する確率を習います 👉 中2数学の要点辞典(第6章)。中3の標本調査、高校の統計的な推測も、「一部から全体を推し量る」という同じ考え方の続きです。
例題7-5(累積度数と累積相対度数) 30人の通学時間を調べたら、次のようになりました。
| 階級(分) | 度数(人) |
|---|---|
| 0 以上 10 未満 | 4 |
| 10 以上 20 未満 | 9 |
| 20 以上 30 未満 | 10 |
| 30 以上 40 未満 | 5 |
| 40 以上 50 未満 | 2 |
(1) 通学時間が20分未満の人は何人で、全体の約何%ですか。(2) 短いほうから数えて15番目の人は、どの階級に入りますか。(3) 累積相対度数が初めて 0.5 を超えるのはどの階級ですか。
考え方:累積度数は「その階級までの度数を足したもの」です。上から順に足していくだけですが、「○○未満が何人か」「下から何番目はどこか」を聞かれたら累積で見る——この対応がつくと、表を作った時点でほとんど答えが見えます。
| 階級(分) | 度数 | 累積度数 | 相対度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|---|---|
| 0 〜 10 | 4 | 4 | 0.13 | 0.13 |
| 10 〜 20 | 9 | 13 | 0.30 | 0.43 |
| 20 〜 30 | 10 | 23 | 0.33 | 0.77 |
| 30 〜 40 | 5 | 28 | 0.17 | 0.93 |
| 40 〜 50 | 2 | 30 | 0.07 | 1.00 |
(1) 20分未満は 4 + 9 = 13 人。割合は 13 ÷ 30 = 0.433… なので約43%。
(2) 累積度数を見ると、20分未満までで 13 人、30分未満までで 23 人。14 番目から 23 番目までが次の階級に入るので、15番目は 20分以上30分未満。
(3) 累積相対度数は 0.13 → 0.43 → 0.77 と進むので、初めて 0.5 を超えるのは 20分以上30分未満の階級。
答え:(1) 13人・約43% (2) 20分以上30分未満 (3) 20分以上30分未満
確認:累積度数のいちばん下は、必ず度数の合計と同じになります。ここが 30 でなければ、どこかで足し忘れています。同じように累積相対度数のいちばん下は必ず 1.00。この2つが、そのまま検算になります。
(2) と (3) が同じ階級になったのは偶然ではありません。30人の真ん中は15番目と16番目で、累積相対度数が 0.5 を超える階級は、ちょうど真ん中の人が入る階級だからです。
「以上」と「未満」の境目を両方に数えないことにも注意してください。ちょうど20分の人は、10 以上 20 未満 ではなく 20 以上 30 未満 に入ります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 中央値の前に小さい順に並べたか | 違う値を答える |
| 偶数個なら2つの平均にしたか | 中央値がずれる |
| 階級値はまん中の値か | 端の値にしてしまう |
| 相対度数の合計が1か | 計算ミスに気づけない |
| 「以上・未満」の境目を1回だけ数えたか | 度数が合わない |
| どの代表値が適切か理由を書いたか | 結論だけでは点にならない |
もっと解きたい方へ 👉 中1 資料の活用 特訓道場(20題と全解説)
最後に:中1の内容が中2・中3でどう使われるか
7単元を見てきました。中1で習うことは、この先の数学のすべての土台です。ここでのつまずきは、そのまま高校まで続きます。
見方1 中1の道具は、この先こう使われる
| 中1で習ったこと | この先どう使われるか | いつ |
|---|---|---|
| 正負の数の符号 | あらゆる計算の土台 | ずっと |
| 累乗とかっこ | (−3)2 | ずっと |
| 素因数分解 | 平方根を簡単にする、最大公約数 | 中3・数学A |
| 文字と式 | 展開・因数分解、文字式による証明 | 中2・中3 |
| 一次方程式 | 連立方程式、二次方程式 | 中2・中3 |
| 比例 | y = ax + b | 中2・中3・数学I |
| 反比例 | 分数関数、双曲線 | 数学C・数学III |
| 作図(垂直二等分線) | 外心・内心、軌跡 | 中3・数学A・数学II |
| おうぎ形 | 弧度法、扇形の面積 | 数学II |
| 空間図形 | 三平方の定理、空間ベクトル | 中3・数学C |
| 代表値・相対度数 | 箱ひげ図、分散、統計的な推測 | 中2・数学I・数学B |
とくに大きいのが「正負の数の符号」と「文字と式」です。この2つは、この先のすべての計算に含まれます。中1のうちに手が自動で動くようにしておくと、中2以降の負担がまったく違います。
見方2 答えが出たら、必ず「戻して確かめる」
| 単元 | 戻して確かめること |
|---|---|
| 正負の数 | 数直線で位置を確かめる/符号の見当が合っているか |
| 文字と式 | x = 1 |
| 一次方程式 | 答えを元の式に代入する |
| 比例・反比例 | y ÷ x |
| 平面図形 | おうぎ形が円の何分の何になっているか |
| 空間図形 | 錐体は柱体の 1/3 になっているか |
| データの活用 | 相対度数の合計が 1 か |
この確認の習慣は、成績が上がる速さそのものに直結します。自分でミスを見つけられる人は、テストの返却を待たずに修正できるからです。
見方3 「知っている形に持ち込む」
中1で覚えてほしい考え方は、これひとつです。
・引き算 → 足し算に直す
・分数を含む方程式 → 整数の式に直す
・おうぎ形 → 円の何分の何かに直す
・立体 → 展開図や断面(平面)に直す
・複雑な図形 → 知っている形に分けるか、引く
どれも「そのままでは扱えないものを、扱える形に変えている」だけです。これは「順番に当てはめているだけ」ではありません。形を見て、次の一手を予想して、考える量を減らしている——だから手際よく解けます。予想が外れたら、別の直し方に切りかえればよいだけです。
この動き方は、高校数学までずっと同じです。中1のうちに身につけておけば、この先ずっと効きます。
中1の数学で、次にやること
このページを読み終えたら、いちばん自信がない単元をひとつだけ選んでください。そして、その章の「例題」を何も見ずに解いてみる。解けなければ「つまずきポイント」に戻る。これを1単元ずつ潰していくのが、いちばん速い進み方です。
問題をたくさん解きたいなら 👉 中1数学 総合演習 特訓道場(20題)/無料学習プリント・映像授業
よくある質問
正負の数の符号で、いつも間違えます
2つのルールを分けて覚えてください。足し算・引き算は「引き算を全部足し算に直してから、同符号なら足す・異符号なら引く」。かけ算・わり算は「負の数の個数が偶数なら正、奇数なら負」。この2つはまったく別のルールです。混ざると (−3) + (−5) と (−3) × (−5) の区別がつかなくなります。
−32 と (−3)2 の違いがわかりません
かっこがあるかないかだけです。(−3)2 は「−3 を2乗」なので 9。−32 は「3 を2乗して、マイナスをつける」なので −9。指で「何が2乗されているか」を囲んでみると、一目でわかります。第1章の例題1-3で詳しく扱いました。
文章題が苦手です。何から始めればいいですか
「何を x とおくか」を必ず1行目に書くことから始めてください。「生徒の人数を x 人とする」と書くだけで、そのあとの式が何を表すのかがはっきりします。次に「1あたりの量 × いくつ分」を探す。この2つで、中1の文章題の大半は式が立ちます。
比例と反比例の見分け方がわかりません
表があるなら、y ÷ x と x × y の両方を計算してください。y ÷ x がいつも同じなら比例、x × y がいつも同じなら反比例です。「一方が増えるともう一方が減る」だけでは反比例とは限らないので、必ず計算で確かめてください。第4章の例題4-3が練習になります。
おうぎ形の公式が覚えられません
覚えなくて大丈夫です。「円全体の何分の何か」を先に出して、円の値に掛けるだけで済みます。中心角 120° なら 120/360 = 1/3。あとは円周 2πr と面積 πr2 に 1/3 を掛ける——これだけです。
中2の予習は、いつから始めるとよいですか
中1の内容が固まってからで十分です。ただし「正負の数」と「文字と式」だけは、中1のうちに完璧にしておいてください。この2つは中2・中3のすべての計算に含まれるので、あいまいなまま進むと必ず行き詰まります。予習を始めるなら 👉 中2数学の要点辞典(全6単元)
このページの例題は、どこかの問題集から取ったものですか
いいえ。掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書や問題集から問題文・解説を転載したものは一切含まれていません。数値も、こちらで設定して検算したうえで掲載しています。
ほかの学年の要点辞典はありますか
あります。中2数学の要点辞典(全6単元)、中3数学の要点辞典(全8単元)、そして高校の内容は 数学I・Aの要点辞典(全9単元) から始まります。すべて同じ形式でまとめてあります。
文字式で、× や ÷ の記号はどう書けばいいですか
× は省いて数を前に(a × 3 → 3a)、÷ は分数の形に(a ÷ 3 → a/3)します。文字の順はアルファベット順、1 × a は a、−1 × a は −a。この書き方の約束は、中学から高校までずっと同じです。第2章 文字と式の「使う道具」に一覧を置いてあります。
平均値・中央値・最頻値は、どう使い分けますか
極端に大きい(小さい)値があるかどうかで決めます。テストの点のように偏りが小さければ平均値、一部だけ極端に離れた値があるときは、その影響を受けにくい中央値。「いちばん多かったのはどれか」を聞かれているなら最頻値です。「どれが正しい」ではなく「何を知りたいか」で選ぶのがこの単元の要点で、この判断は中2の箱ひげ図、数学Iのデータの分析まで続きます。第7章 データの活用で詳しく扱っています。
数強塾からのご案内
数強塾は、数学を専門にしたオンライン個別指導塾です。中学生・高校生を対象に、一人ひとりの理解の状態に合わせて指導しています。
中1は、算数から数学に切りかわる学年です。ここでつまずくと、原因が中1にあるまま中2・中3へ進んでしまい、「どこから戻ればいいかわからない」状態になりがちです。早いうちに戻れば、戻る距離は短くて済みます。もし今そういう状態なら、一度ご相談ください。
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数強塾オリジナル 追加演習4題——「知っている形に持ち込む」を、4回やってみる
見方3に、こう書きました。
中1で覚えてほしい考え方は、これひとつです——引き算は足し算に直す/分数の方程式は整数の式に直す/おうぎ形は円の何分の何かに直す/立体は展開図や断面に直す/複雑な図形は知っている形に分けるか、引く
「これひとつ」と言い切ったのに、5つの直し方を並べただけで終わっています。例題35問は各章の中にあり、「直す」という一手だけを取り出して練習する場所がありません。
この4題は、どれもそのままでは扱えない形で出します。やることは1つ、知っている形に直すことだけ。どの直し方を選ぶかを、先に決めてから手を動かしてください。
追加第1問 引き算を、足し算に直す
次を計算せよ。
どう直すか 引き算を全部足し算に直してから、符号を数える。累乗は「何が2乗されているか」を先に見る。
解答
まず累乗を片づけます。FAQの2番目に書いたとおり、かっこがあるかないかで意味が変わります。
・: を2乗して、あとからマイナス。よって
・: を2乗。よって
次に、引き算を足し算に直します。
負が と で合わせて 、正が 。異符号なので大きいほうから小さいほうを引いて、大きいほうの符号をつけます。
を「マイナスが2つだから 」と処理するとき、実は引き算を足し算に直しているのです。。引き算のままだと符号のルールが2種類必要になりますが、全部足し算にすれば1種類で済みます(なぜ引き算は負の数を足すことと同じなのか)。
検算
見方2の表のとおり、符号の見当で確かめます。 と という大きな負が2つ、正は だけ。答えは負で、 前後になるはず——合っています。○
もうひとつ、 と を取りちがえると が になり、答えが になってしまいます。符号の見当だけで、その誤りに気づけます。
追加第2問 分数の方程式を、整数の式に直す
方程式 を解け。
どう直すか 分母の 最小公倍数 を両辺に掛けて、分数のない式に直す。
解答
両辺に を掛けます。右辺の にも掛けるのを忘れないこと——ここが最頻出のミスです。
かっこを外します。
もし右辺に を掛け忘れると となり、答えは 。まったく違う数になります。「両辺に掛ける」の両辺を声に出して確認してください。分数の項が2つあるので、左辺だけに気を取られやすい形です。
検算
見方2の表のとおり、答えを元の式に代入します。
、
足すと 。○ 右辺と一致しました。
誤答の も入れてみます。、。足すと で、 になりません。代入するだけで、その場で分かります。
追加第3問 おうぎ形を「円の何分の何か」に直し、面積は引く
半径 の円から、中心角 のおうぎ形を切り取った。残った図形について、
(1) 面積を求めよ。
(2) 周の長さを求めよ。
どう直すか おうぎ形は円の 。面積は円から引く。周の長さは足す——ここが分かれ道です。
解答
(1) 円の面積は 。おうぎ形はその なので 。残りは
(2) 周の長さは引き算では出ません。残った図形の周りをたどると、
・残った弧( ぶん):円周 の で
・切り口の半径 本:
ここがこの問題の山場です。面積は切り取ったぶん減りますが、周の長さは増えます——切り口の半径2本が新しく現れるからです。「複雑な図形は分けるか引く」は面積の話で、周の長さにはそのまま使えません。周を聞かれたら、指でなぞって数えるのがいちばん確実です。
検算
見方2の表のとおり「おうぎ形が円の何分の何か」で確かめます。
切り取ったおうぎ形の弧は 。残った弧は 。足すと で、もとの円周と一致。○
面積も同じく 。○ 切り取った側と残った側を足して元に戻るか——これが「引く」を使ったときの検算です。
追加第4問 立体を、展開図に直す
底面の半径が 、母線の長さが の円錐がある。
(1) 側面の展開図(おうぎ形)の中心角を求めよ。
(2) この円錐の表面積を求めよ。
どう直すか 立体のままでは測れないので開いて平面に直す。開いたとき、おうぎ形の弧の長さ=底面の円周になります。ここが唯一のつなぎ目です。
解答
(1) 底面の円周は 。開いた側面は半径 のおうぎ形で、その弧が です。
半径 の円の円周は なので、このおうぎ形は円全体の
したがって中心角は 。
(2) 側面積は、半径 の円の面積 の で 。底面積は 。
(1) の は、そのまま「底面の半径 ÷ 母線」です()。だから中心角は で出ます。公式として覚えてもよいのですが、「弧=底面の円周」から毎回作れるほうが安全です。開いた図を1回描けば、この関係は忘れません。
検算
側面積を別の道でも出します。円錐の側面積は ( は底面の半径、 は母線)なので
一致しました。○ 2通りで同じ数になれば、中心角の も正しいと分かります。
もう1つ、見当でも確かめます。中心角 は より大きく より小さい——半円より大きく、円より小さいおうぎ形。母線 に対して底面の半径が と大きめなので、けっこう開いた形になるはずで、 は妥当です。○
4題で使った「直し方」
| 使った直し方 | 章 | 検算 | |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 引き算 → 足し算 | 第1章 正負の数 | 符号の見当 |
| 第2問 | 分数 → 整数の式 | 第3章 一次方程式 | 元の式に代入 |
| 第3問 | おうぎ形 → 円の何分の何/複雑な図形 → 引く | 第5章 平面図形 | 弧を足すと円周 |
| 第4問 | 立体 → 展開図 | 第6章 空間図形 | 側面積を2通りで |
見方3が挙げた5つのうち、4つを使いました。どれもやっていることは同じ——扱えない形を、扱える形に変えただけです。
この4題で確認したこと
- 引き算を全部足し算に直すと、符号のルールが1種類で済む(追加第1問)。
- 累乗は「何が2乗されているか」を先に見る。 と は別のもの。
- 分数の方程式は両辺に最小公倍数を掛ける。右辺にも掛ける(追加第2問)。
- おうぎ形は円の何分の何か。公式を覚えなくても、円の値に掛ければ出る(追加第3問)。
- 面積は引けるが、周の長さは引けない。切り取ると周は増える。周は指でなぞって数える。
- 立体は開いて平面に。つなぎ目は「おうぎ形の弧=底面の円周」の1本だけ(追加第4問)。
- 検算も直し方とセット。符号の見当/代入/足して元に戻るか/2通りで出す——見方2の表のとおりです。
章ごとの演習は 正負の数(基本)特訓道場(追加第1問)、一次方程式の計算 特訓道場(追加第2問)、平面図形 特訓道場|作図は「点の集まり」20題(追加第3問)、空間図形 特訓道場|開いて起こす20題(追加第4問)にあります。全範囲は 中1数学 総合演習 特訓道場 へ。
型で見渡すなら 正負の数の解法パターン全10型、1次方程式の解法パターン全10型、平面図形の解法パターン全10型、空間図形の解法パターン全10型 があります。
道具の「なぜ」は、なぜ引き算は負の数を足すことと同じなのか、なぜマイナス×マイナスはプラスになるのか、なぜ扇形の面積は弧の長さ×半径÷2なのか、なぜ円の面積はπr²なのか、なぜ柱体の体積は底面積×高さなのか にまとめてあります。
次の学年は 中2数学の要点辞典(証明の3つの選び方の追加演習つき)、中3数学の要点辞典、高校は 数学I・Aの要点辞典、全7ページの入口は 数学の要点辞典まとめ です。

