中3数学の要点辞典|全8単元の公式・定石・つまずきポイントと例題40問


このページは、中学3年生の数学 全8単元を1ページにまとめた要点辞典です。単元ごとに「使う道具(公式)」「定石(どんな形が来たら何を試すか)」「つまずきポイント」「例題」の4点をそろえてあります。

中3の内容は、高校数学の土台がそのまま出てくる学年です。因数分解も平方根も二次方程式も相似も、高校でそっくり同じ形で使います。だからここを固めておくと、高校に入ってからの伸び方がまったく変わります。

このページで足したのは、公式を「いつ・なぜ使うのか」と、実際に点を落とす場所です。y = ax2 の変域で最小値を 0 にし忘れる、平方根の計算で の中を最後まで簡単にしない、相似の面積比を長さの比のまま書く——そういう「知っていれば落とさないところ」を単元ごとに書き出しました。

このページの使い方

頭から通読する必要はありません。いま習っている単元、または次のテスト範囲だけを開いてください。目次から飛べます。

そして、読むだけで終わらせないでください。各単元の最後に例題を置いてあります。解答を見る前に、まず自分で5分だけ手を動かしてみてください。「どの道具を使う場面か」に気づけたかどうかが、その単元を使える状態になっているかの判定になります。

もっと問題を解きたいときは、単元ごとに20題ずつの演習ページがあります 👉 中3数学 総合演習の特訓道場

免責と、このページの作り方について

このページは学習の助けとして書かれたまとめです。正確さを保証するものではありません。最終的な判断は、必ず教科書・学校の先生・信頼できる問題集で確認してください。このページを読んだことで生じた不利益について、数強塾は責任を負いません。

掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書・問題集から問題文や解説を転載したものは一切含まれていません。

目次

  1. 展開と因数分解 ── 乗法公式/因数分解の4手順/計算の工夫/文字式による説明
  2. 平方根 ── √の意味/簡単にする/有理化/大小と整数部分
  3. 二次方程式 ── 因数分解で解く/平方完成/解の公式/文章題
  4. 関数 y = ax2 ── 比例定数の決め方/変域の落とし穴/変化の割合/放物線と直線
  5. 相似 ── 相似条件/平行線と線分の比/中点連結定理/面積比と体積比
  6.  ── 円周角の定理/その逆/接線の性質/円と相似
  7. 三平方の定理 ── 特別な直角三角形/座標平面/立体/円と弦
  8. 標本調査 ── 全数調査と標本調査/標本から母集団を推定する

最後に:中3の内容が高校でどう使われるか / よくある質問(10問)

この辞典と一緒に使うページ

数学の体験授業はこちら。60分・税込3,000円。数強塾

第1章 展開と因数分解

中2までの「文字式の計算」を、かけ算と、その逆に広げる単元です。

展開はかっこを外して並べる作業、因数分解はその逆で、かっこの形に戻す作業。この2つは行きと帰りの関係なので、片方ができれば、もう片方は必ず検算できます。これが中3の計算単元でいちばん大事な性質です。

ここが怪しければ先に式の計算(中2) / この先つながる二次方程式数と式(数学I・A) / この単元の解法パターン展開と因数分解 全10型

使う道具

道具 使いどころ
乗法公式① (x + a)(x + b) = x2 + (a+b)x + ab いちばん使う
乗法公式② (x + a)2 = x2 + 2ax + a2 真ん中の項は2倍
乗法公式③ (x − a)2 = x2 − 2ax + a2 符号だけ違う
乗法公式④ (x + a)(x − a) = x2 − a2 真ん中が消える
共通因数 ma + mb = m(a + b) 因数分解はまずこれ
因数分解① x2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b) 「たしてb、かけてc」
因数分解② x2 − a2 = (x + a)(x − a) 2乗どうしの引き算
因数分解③ x2 ± 2ax + a2 = (x ± a)2 2乗の形に戻す
文字式による説明 整数を n で表して式を作る 偶数 2n、奇数 2n+1

定石

展開を長方形の面積で見るよこが x たす 3、たてが x たす 2 の長方形を4つに分けると、面積は x の2乗、3x、2x、6 になる。合計は x の2乗 たす 5x たす 6。因数分解は、たして5・かけて6になる2つの数を先に見つける作業になる。展開は「長方形を4つに分けた面積の合計」3x2x6x3x2よこ x + 3たてx + 2(x + 3)(x + 2)= x² + 3x + 2x + 6= x² + 5x + 6たすと 5、かけると 6因数分解は、この 2 つの数を先に見つける作業
図1 展開は長方形を4つに分けた面積の合計。因数分解は、たして 5・かけて 6 になる2つの数を先に見つける作業になります。

因数分解は、この順番で試す

① 共通因数でくくれないか(いつでも最初にこれ)
② 項が2つで、2乗どうしの引き算か → (x+a)(x−a)
③ 項が3つで、両端が2乗になっているか → (x ± a)2 かもしれない
④ 「たして真ん中、かけて最後」の2数を探す

①を飛ばすのが、いちばん多い失点です。2x2 − 8 をいきなり公式に当てようとしても形が合いません。まず 2 でくくって 2(x2 − 4)、それから 2(x + 2)(x − 2) です。

展開したら、因数分解して戻す。因数分解したら、展開して戻す

この単元は検算が完璧にできるのが強みです。答えを出したら30秒だけ使って戻してみてください。合っていなければ、その場で気づけます。

大きな数の計算は、公式を「使うために」形を作る

1022 を筆算する必要はありません。(100 + 2)2 と見れば 10000 + 400 + 4 = 10404公式が使える形に自分で作り替える——この動き方は、高校数学でもずっと使います。

大きな数を公式が使える形に作り替える102の2乗は、100たす2の2乗と見れば、10000たす400たす4で10404。98の2乗は、100ひく2の2乗と見れば、10000ひく400たす4で9604。103かける97は、100たす3かける100ひく3と見れば、10000ひく9で9991。100に近い数は、100との差で書き直すと公式が使える形になる。公式が使える形を、自分で作る102²(100 + 2)²10000 + 400 + 4= 1040498²(100 − 2)²10000 − 400 + 4= 9604103 × 97(100 + 3)(100 − 3)10000 − 9= 9991100 に近い数は、100 との差で書き直すと公式に乗る
図2 公式は、当てはまる形が来るのを待つものではありません。100 に近い数なら、100 との差で書き直す——そうやって公式が使える形を自分で作りにいくのが、この単元でいちばん大きい収穫です。どの公式に持ちこむかで見当がつくので、筆算より先に手が動きます。この動き方は高校の式変形でもそのまま使えます。

文字式による説明は「何を n と置くか」で決まる

・偶数 → 2n
・奇数 → 2n + 1(または 2n − 1
・連続する2つの整数 → n, n + 1
・連続する3つの整数 → n − 1, n, n + 1真ん中を n にすると計算が軽い
・連続する2つの奇数 → 2n − 1, 2n + 1

つまずきポイント

(x + 3)2x2 + 9 にしてしまう。これは誤りです。正しくは x2 + 6x + 9真ん中の項(2倍したもの)が必ず出ます。不安なら (x+3)(x+3) と書いて、ひとつずつかけてください。

② 共通因数でくくるのを忘れる。3x2 − 12 を「公式が使えない」と諦めないでください。まず 3 でくくる3(x2 − 4) = 3(x+2)(x−2) になります。

③ 因数分解を途中でやめる。2(x2 − 4) はまだ終わっていません。これ以上分けられないところまでやります。

④ 符号のミス。x2 − 7x + 12 は「たして −7、かけて +12」なので −3−4かけて正なら2数は同符号、たして負ならどちらも負——この判断を先にすると探す範囲が半分になります。

⑤ 文字式の説明で、結論の形を書かない。「4の倍数である」を示したいなら、最後に 4 × (整数) の形にして、n2 は整数だから、これは4の倍数である」と書いてください。式変形だけで止めると、点になりません。

例題

例題1-1(展開) 次の式を展開してください。
(1) (x + 3)(x − 5) (2) (2x − 3)2

(1) 公式①「たして真ん中、かけて最後」を使います。3 + (−5) = −23 × (−5) = −15
= x2 − 2x − 15

(2) (2x)2 − 2 × 2x × 3 + 32 と当てはめます。
= 4x2 − 12x + 9

答え:(1) x2 − 2x − 15 (2) 4x2 − 12x + 9

確認x = 1 を入れてみます。(1) 元の式は 4 × (−4) = −16、答えは 1 − 2 − 15 = −16 ✓。(2) 元の式は (−1)2 = 1、答えは 4 − 12 + 9 = 1

この検算を覚えてください展開の前と後に、同じ数を代入すれば必ず同じ値になります。x = 1 なら暗算でできるので、テストでも使えます。

例題1-2(因数分解) 次の式を因数分解してください。
(1) x2 − 7x + 12 (2) 2x2 − 8

(1) 「たして −7、かけて 12」になる2数を探します。
かけて +12 なので2数は同符号。たして −7 なのでどちらも負
候補は (−1, −12), (−2, −6), (−3, −4)。たして −7 になるのは (−3, −4)
= (x − 3)(x − 4)

(2) まず共通因数 2 でくくります。
2x2 − 8 = 2(x2 − 4)

かっこの中は「2乗どうしの引き算」なので、さらに分けられます。
= 2(x + 2)(x − 2)

答え:(1) (x − 3)(x − 4) (2) 2(x + 2)(x − 2)

確認:展開して戻します。(1) (x−3)(x−4) = x2 − 7x + 12 ✓ (2) 2(x2 − 4) = 2x2 − 8

(2)を (2x + 4)(x − 2) と書いたら:展開すると 2x2 − 8 になるので値は合っています。ただし 2x + 4 = 2(x + 2) とまだくくれるので、因数分解としては未完成です。数の共通因数は前に出す——これが正しい形です。

例題1-3(計算の工夫) 次の計算を、公式を使って暗算で求めてください。
(1) 1022 (2) 98 × 102

(1) 102 = 100 + 2 と見て、公式②を使います。
(100 + 2)2 = 1002 + 2 × 100 × 2 + 22 = 10000 + 400 + 4 = 10404

(2) 98 = 100 − 2102 = 100 + 2公式④の形です。
(100 − 2)(100 + 2) = 1002 − 22 = 10000 − 4 = 9996

答え:(1) 10404 (2) 9996

見つけ方キリのよい数(100、50、20など)からいくつずれているかを見ます。「両方が同じ数だけ、逆向きにずれている」なら公式④です。97 × 103 なら 1002 − 32 = 9991

なぜこれを練習するのか:数の計算を速くするためだけではありません。「公式が使える形に、自分で作り替える」という動作の練習です。高校数学では、この作り替えが解法そのものになります。

例題1-4(文字式による説明) 連続する2つの奇数の積に 1 を足すと、4 の倍数になります。このことを説明してください。

手順1:文字で表す。連続する2つの奇数は、整数 n を使って
2n − 12n + 1
と表せます。(真ん中を 2n にすると、あとの計算が軽くなります

手順2:式を作って計算する。
(2n − 1)(2n + 1) + 1 = (4n2 − 1) + 1 = 4n2

手順3:結論を書く。n は整数なので n2 も整数です。したがって 4n24 の倍数です。

よって、連続する2つの奇数の積に 1 を足すと 4 の倍数になります。(説明終わり)

確認3 × 5 + 1 = 16 = 4 × 4 ✓ 7 × 9 + 1 = 64 = 4 × 16 ✓ 11 × 13 + 1 = 144 = 4 × 36

置き方で計算量が変わる:もし 2n + 12n + 3 と置くと、積は 4n2 + 8n + 3 になり、1 を足して 4n2 + 8n + 4 = 4(n2 + 2n + 1)これでも正解ですが、ひと手間多い公式④が使える形(対称な置き方)を選ぶと、計算がきれいに終わります。

「結論を書く」が採点対象4n2 まで出して終わりにすると減点されます。n2 は整数だから、4n2 は4の倍数」と、最後の一文を必ず書いてください。

例題1-5(置きかえと、4つの項の因数分解) 次の式を因数分解してください。(1) (x + y)2 − 4(x + y) + 3 (2) xy − x − y + 1

考え方:どちらも公式がそのままでは当てはまりません。「公式が使える形に、自分で持っていく」のがこの2問の共通点です。

(1) 同じかたまりを1文字に置く
x + y が2か所に出てきます。くり返し現れるかたまりは、1文字に置くと形が見えます。x + y = A とおくと
 A2 − 4A + 3 = (A − 1)(A − 3)
A を戻して (x + y − 1)(x + y − 3)

(2) 項が4つなら、2つずつに分ける
項が4つのときは2つずつ組にして、共通因数を作りにいきます。前2つを x でくくると
 x(y − 1) − (y − 1)
ここで y − 1 が共通になったので、これでくくって (x − 1)(y − 1)

答え:(1) (x + y − 1)(x + y − 3) (2) (x − 1)(y − 1)

確認:因数分解したら展開して戻すのが確実です。(2) は (x − 1)(y − 1) = xy − x − y + 1 でもとの式に戻ります。
数を入れて確かめる手もあります。x = 2y = 3 なら、もとの式は 6 − 2 − 3 + 1 = 2、因数分解した式は 1 × 2 = 2。一致します。1組の数で合えば必ず正しい、とまでは言えませんが、書き間違いはほぼ見つかります。
(2) は後ろ2つを先にくくっても構いません(−(y − 1) の形に気づけるかどうかです)。どちらの組で試すかは決まっていないので、片方でうまくいかなければもう片方に切りかえます。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
因数分解でまず共通因数を見たか 公式が当てはまらず止まる
これ以上分けられないか確認したか 未完成で減点
(x+a)2 x2+a2
展開して戻して検算したか 符号ミスに気づけない
2数の符号を先に決めたか 候補を全部試して時間を失う
説明問題で結論の一文を書いたか 式は合っているのに点が来ない

もっと解きたい方へ 👉 中3 因数分解(基本)特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

第2章 平方根

√2 は「2乗すると2になる正の数」です。それ以上の意味はありません。ここを言葉で言い直せるかどうかで、この単元の見え方がまったく変わります。

そして平方根は、中3で初めて「正確な値が書けない数」を扱う単元でもあります。√2 = 1.41421356… と小数で書き続けても終わりません。だから √2 という記号のまま計算する——それがこの単元の作法です。

ここが怪しければ先に正負の数(中1) / この先つながる数と式(数学I・A)三平方の定理 / この単元の解法パターン平方根 全10型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 6枚

使う道具

道具 使いどころ
平方根の定義 (√a)2 = a(a ≥ 0) すべての出発点
√ の値は0以上 √(a2) = |a| 負にはならない
積と商 √a × √b = √(ab)、√a ÷ √b = √(a/b) 中どうしで計算できる
外に出す √(a2b) = a√b 2乗の因数を外へ
足し算・引き算 m√a + n√a = (m + n)√a 中が同じときだけ
有理化 1/√a = √a/a 分母に√を残さない
2項の有理化 1/(√a − b) は (√a + b) を掛ける 公式④を使う
大小 a < b ⇔ √a < √b(a, b ≥ 0) 2乗して比べる
整数部分・小数部分 √5 = 2 + (√5 − 2) はさんでから引く

定石

平方根の大きさと足し算の誤りルート2はおよそ1.41、ルート3はおよそ1.73、ルート5はおよそ2.24。1.41 たす 1.73 は 3.14 でルート5 とは違うので、ルート2 たす ルート3 はルート5 にならない。足せるのは根号の中が同じときだけで、同類項をまとめるのと同じ考え方になる。√ の大きさを数直線で持っておくと、誤りに気づける012345√2 ≒ 1.41√3 ≒ 1.73√5 ≒ 2.24√2 + √3 = √5 ではありません1.41 + 1.73 = 3.14 しかし √5 ≒ 2.24 ── 数で確かめれば一目でわかる足せるのは √ の中が同じときだけ。√2 + 2√2 = 3√2同類項をまとめるのと同じ考え方です
図3 √2 + √3√5 になりません。数直線でおよその大きさを持っておくと、その場で気づけます。足せるのは の中が同じときだけです。
面積で見る平方根上の図は、面積2・4・9の正方形を並べて一辺の長さを比べたもの。面積が4や9なら一辺はすぐ2や3と言えるが、面積が2のときの一辺がルート2で、およそ1.41になる。ルートは面積から一辺を求める記号だとわかる。下の図は、面積3の正方形を縦横2つずつ並べると面積12の正方形になることを示している。一辺は2倍になるので、ルート12は2かけるルート3と書き直せる。√ は「面積から一辺を求める」記号面積 2一辺 √2 ≒ 1.41面積 4一辺 2面積 9一辺 3面積が 4 や 9 ならすぐ言えるが、2 のときの一辺が √2面積3の正方形を4つ並べると、面積は12・一辺は2倍面積 3面積 3面積 3面積 3√3√12 = 2√3 ≒ 3.46だから√12 は√3 の2倍
図4 面積から一辺を求める記号だと見ておくと、√2 がどれくらいの長さかも、√12 = 2√3 と直す意味も、絵で納得できます。「中を小さくする」は、同じ正方形が何個分かを数えていることです。

まず「√の中を、いちばん小さくする」

計算を始める前に、すべての を簡単にしておきます。そうしないと、足せるはずのものが足せません。

√12 + √27 は、そのままでは足せません。しかし
√12 = √(4 × 3) = 2√3√27 = √(9 × 3) = 3√3
と直すと、どちらも √3 の仲間だとわかります。
2√3 + 3√3 = 5√3

の足し算は、文字式の 2a + 3a = 5a とまったく同じです。√3a だと思ってください。

中を小さくするには「2乗の因数」を探す

√50 なら、50 = 25 × 2 と分けて 5√2探すのは 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100 のどれで割り切れるかだけです。この9個を上から試せば必ず見つかります。

有理化は「分母から を消す」

分母が √a だけ → 分母分子に √a を掛ける
分母が √a − b の形 → 分母分子に √a + b を掛ける(公式④で が消える)

大小や整数部分は「はさむ」

√5 がいくつかを知りたいなら、前後の平方数ではさみます4 < 5 < 9 なので 2 < √5 < 3。だから整数部分は 2、小数部分は √5 − 2 です。

つまずきポイント

√2 + √3 = √5 としてしまう。これは誤りです。足し算では中どうしを足せません。(実際 √2 + √3 ≒ 3.15√5 ≒ 2.24 で全然違います)中どうしを計算してよいのは、かけ算と割り算だけです。

の中を小さくしないまま進める。√8 + √2 を「足せない」と諦めないでください。√8 = 2√2 なので 2√2 + √2 = 3√2 です。計算を始める前に、全部の を簡単にするのが手順です。

√(a2) = a だと思う。a が負なら成り立ちません。√((−3)2) = √9 = 3 であって −3 ではありません。 の値は必ず0以上です。

④ 有理化を忘れる。答えの分母に が残っていたら、まだ終わっていません。

⑤ 分配法則を の外に効かせ忘れる。√2(√2 + 3) = 2 + 3√2 です。√2 × √2 = 2 になることを見落として √2 + 3√2 としないように。

⑥ 近似値を使って答える。√2 ≒ 1.41 だから答えは 2.82」は、聞かれていない限り誤りです。指示がなければ のまま答えます。

例題

例題2-1(√を簡単にする) 次の数を、 の中がいちばん小さい自然数になるように直してください。
(1) √12 (2) √50 (3) √12 + √27 − √48

(1) 12 = 4 × 3 なので √12 = √4 × √3 = 2√3

(2) 50 = 25 × 2 なので √50 = 5√2

(3) 全部そろえてから計算します。
√12 = 2√3√27 = √(9 × 3) = 3√3√48 = √(16 × 3) = 4√3
2√3 + 3√3 − 4√3 = (2 + 3 − 4)√3 = √3

答え:(1) 2√3 (2) 5√2 (3) √3

確認:(3) を電卓で見ると 3.464 + 5.196 − 6.928 = 1.732√3 ≒ 1.732 と一致します。

探し方のコツ√48 なら、484, 9, 16, 25, 36 で割ってみます。48 ÷ 16 = 3 で割り切れるので 4√3いちばん大きい平方数で割ると、一度で終わります(4 で割って 2√12 としても、まだ √12 = 2√3 と続くので二度手間になります)。

例題2-2(有理化) 次の数の分母を有理化してください。
(1) 3/√2 (2) 2/(√3 − 1)

(1) 分母分子に √2 を掛けます。
3/√2 = (3 × √2)/(√2 × √2) = 3√2/2

(2) 分母が「 − 数」の形なので、符号を変えたもの(√3 + 1を分母分子に掛けます。
2/(√3 − 1) = {2(√3 + 1)} / {(√3 − 1)(√3 + 1)}

分母は公式④で (√3)2 − 12 = 3 − 1 = 2
= {2(√3 + 1)} / 2 = √3 + 1

答え:(1) 3√2/2 (2) √3 + 1

確認:(2) の元の式は 2 ÷ (1.732 − 1) = 2 ÷ 0.732 ≒ 2.73。答えは 1.732 + 1 = 2.73

(2)で公式④が使える理由(√3 − 1)(√3 + 1)(a − b)(a + b) = a2 − b2 の形です。2乗すると が消える——だから符号を変えたものを掛けるのです。第1章の乗法公式が、そのまま道具になっています。

例題2-3(√の計算) 次の式を計算してください。
(1) (√3 + √2)2 (2) (√5 + 2)(√5 − 2)

(1) 公式②を使います。(√3)2 + 2 × √3 × √2 + (√2)2
= 3 + 2√6 + 2 = 5 + 2√6

(2) 公式④の形です。(√5)2 − 22 = 5 − 4 = 1

答え:(1) 5 + 2√6 (2) 1

確認:(1) (1.732 + 1.414)2 = 3.1462 ≒ 9.90。答えは 5 + 2 × 2.449 = 9.90

(2)がきれいに1になる意味√5 + 2√5 − 2 は、掛けると が消えるペアです。だから 1/(√5 − 2) を有理化すると √5 + 2 になります。有理化とこの計算は、同じ性質の表と裏です。

例題2-4(大小と整数部分) √5 の整数部分と小数部分を求めてください。また、その小数部分を a とするとき a2 + 4a の値を求めてください。

手順1:平方数ではさむ。
22 = 432 = 94 < 5 < 9 なので
2 < √5 < 3

したがって整数部分は 2

手順2:小数部分を出す。小数部分は「もとの数 − 整数部分」なので
a = √5 − 2

手順3:代入する。そのまま代入すると計算が重いので、先に式を変形します
a2 + 4a = a(a + 4)

a = √5 − 2 なので a + 4 = √5 + 2
a(a + 4) = (√5 − 2)(√5 + 2) = 5 − 4 = 1

答え:整数部分 2、小数部分 √5 − 2a2 + 4a = 1

確認√5 ≒ 2.236 なので a ≒ 0.2360.2362 + 4 × 0.236 ≒ 0.056 + 0.944 = 1.00

そのまま代入したら(√5 − 2)2 + 4(√5 − 2) = (9 − 4√5) + (4√5 − 8) = 1同じ答えですが、√5 の項が打ち消し合うのを最後まで待つことになります。先に因数分解して、公式④が使える形を作るほうが速くて安全です。

この考え方は高校でも出ます を含む数の計算では、代入する前に式を整理するのが基本です。数学I・Aの「対称式」の考え方につながります。

例題2-5(√が整数になる条件) (1) √(48n) が整数になるような自然数 n のうち、最小のものを求めてください。(2) √(120/n) が整数になるような自然数 n をすべて求めてください。

考え方 が整数になるのは、中身が「2乗の数(平方数)」になっているときです。だからこの型ではまず素因数分解して、指数がすべて偶数になるには何が足りないかを見ます

(1) 48 = 24 × 32 は4個(偶数個)なのでそのまま外に出せますが、3 が1個だけ余っています。
 √(48n) = 4√(3n) なので、3n が平方数になればよい。最小は 3n = 9、つまり n = 3
 このとき √(48 × 3) = √144 = 12 で、確かに整数です。

(2) 120 = 23 × 3 × 5。今度は割るので、条件が2つになります。
 n は 120 の約数(そうでないと 120/n が整数にならない)
 120/n が平方数
 120 の約数のうち平方数は 14 だけです(91625 は 120 を割り切りません)。
 120/n = 1n = 120120/n = 4n = 30

答え:(1) n = 3 (2) n = 30, 120

確認:(2) を検算すると √(120/30) = √4 = 2√(120/120) = √1 = 1。どちらも整数です。
この型でいちばん多い誤りは、(2) で「120 の約数である」という条件を忘れることです。120/n が平方数という条件だけを追うと、分数の平方数まで拾ってしまいます。「整数になる」と書かれていたら、割り切れるかどうかを先に確かめてください。
また (1) で「最小の」と聞かれている点も大事です。n = 12, 27, 48 なども条件を満たしますが、問われているのは最小の1つ条件を満たす数を全部書くのか、最小を1つ書くのかを、問題文で必ず確かめてください。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
計算前に √ の中を小さくしたか 足せるはずのものが足せない
足し算で中どうしを足していないか まったく違う値になる
分母に √ が残っていないか 未完成で減点
√(a2) 負の値を答えてしまう
代入前に式を整理したか 計算が重くなる
指示がないのに近似値にしていないか 答えの形が違う

もっと解きたい方へ 👉 平方根の特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

第3章 二次方程式

中1で 2x + 3 = 7、中2で連立方程式、そして中3で x2 が入った方程式に進みます。

大事なのは解き方が3つあり、問題によって使い分けるということ。どれを使うかを最初に決められれば、この単元は難しくありません。

ここが怪しければ先に展開と因数分解平方根 / この先つながる2次関数(数学I・A)複素数と方程式(数学II・B・C) / この単元の解法パターン二次方程式 全10型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 7枚

使う道具

道具 使いどころ
平方根の考え x2 = k → x = ±√k x
  (x + m)2 = k → x + m = ±√k かっこの2乗になっている
因数分解 (x − a)(x − b) = 0 → x = a, b いちばん速い。まずこれを試す
「積が0」の性質 AB = 0 ⇔ A = 0 または B = 0 因数分解で解ける理由
平方完成 x2 + px = (x + p/2)2 − (p/2)2 係数の半分の2乗を足し引き
解の公式 x = {−b ± √(b2 − 4ac)} / (2a) どんな形でも解ける
解の個数 b2 − 4ac の符号 正なら2個、0なら1個
文章題 求めるものを x とおく 答えの吟味が必須

定石

二次方程式の解き方の選び方まず因数分解できるかを見て、できれば積が0になることを使う。次に x の2乗 イコール k の形にできるかを見て、できれば平方根を使う。どちらも無理なら解の公式に係数を代入する。どの方法でも、まず右辺を0にしてから始める。解き方は3つ。上から順に「使えるか」を見て決める① 因数分解できるか(x − 2)(x + 5) = 0 の形にできるなら、いちばん速いx = 2, −5② x² = k の形かx² = 9 のように、まとめられるなら平方根でx = ±3(±を落とさない)③ どちらも無理なら解の公式係数を代入すれば、必ず解けるx = (−b ± √(b² − 4ac)) / 2aどの方法でも、まず右辺を 0 にしてから始めます
図5 解き方は3つ。上から順に「使えるか」を見て決めます。どの方法でも、まず右辺を 0 にしてから始めます。

解き方は、この順番で選ぶ

x2 = k(x + m)2 = k の形か → そのまま ±√ をつける
② 因数分解できるか → できれば因数分解(いちばん速い)
③ できなければ解の公式 → 必ず解ける

②を先に試すのが要点です。x2 − 5x + 6 = 0 に解の公式を当てても答えは出ますが、因数分解なら5秒で終わります。「たして真ん中、かけて最後」の2数がすぐ見つかるかどうかを、10秒だけ考えてください。見つからなければ迷わず公式です。

因数分解で解ける理由は「積が0」

(x − 2)(x − 3) = 0 から x = 2, 3 が出るのは、2つの数の積が0なら、少なくとも一方は0だからです。

だから右辺が0でないと使えません。(x − 2)(x − 3) = 2 から「x − 2 = 2 または x − 3 = 2」とするのは誤りです。積が2になる組み合わせは無数にあるからです。必ず「=0」に直してから因数分解します。

平方完成は「係数の半分の2乗」

平方完成を面積で見る1辺エックスの正方形と、たて3・よこエックスの長方形2つを並べた図。面積の合計はエックスの2乗たす6エックスになる。右上のすみに3かける3の正方形を足すと、1辺がエックスたす3の大きな正方形ができる。つまりエックスの2乗たす6エックスは、エックスたす3の2乗から9を引いたものに等しい。足した9をあとで引くのが平方完成で、3はもとの6の半分、9はその2乗になっている。x² + 6x に 3² を足すと、一辺 (x + 3) の正方形になる3x3x3² = 9x3x3一辺は x + 3足した 9 はあとで引くx² + 6x= (x + 3)² − 96 の半分が 3その2乗が 9x² + 6x + 5 = 0 → (x + 3)² − 9 + 5 = 0 → (x + 3)² = 4x + 3 = ±2 → x = −1, −5
図6 平方完成は「正方形を作る」作業です。x2 + 6x32 を足すと一辺 x + 3 の正方形になり、足したぶんをあとで引きます。3 は 6 の半分、9 はその2乗——公式の形が絵から出てきます。

x2 − 4x なら、x の係数 −4半分は −2、その2乗は 4。だから x2 − 4x = (x − 2)2 − 4足したぶんは引く——これだけです。

文章題は「答えの吟味」まで書いて終わり

長さや人数を x とおいたなら、x は正の数でなければなりません。方程式の解が2つ出ても、問題の条件に合わないほうは捨てます。この一文が書けているかどうかで点が変わります。

つまずきポイント

① 右辺を0にせずに因数分解する。これが最頻出のミスです。必ず「=0」の形に直してから始めてください。

x2 = 9 の解を x = 3 だけにする。負のほうも解です。x = ±3 をつけたら ± も忘れないでください。

③ 解の公式で符号を落とす。−b の部分と、b2 − 4ac−4ac の部分。c が負なら −4ac は正になります。a, b, c を先に書き出してから代入するとミスが減ります。

④ 答えの を簡単にしない、約分しない。(4 ± √8)/2(4 ± 2√2)/2 = 2 ± √2 まで直します。

⑤ 文章題で答えを吟味しない。「長さが −8 cm」はあり得ません。解が2つ出たら、両方が条件に合うか確かめてください。両方合う問題もあります。

x2 = 5x の両辺を x で割る。これをすると x = 0 という解が消えます。移項して x(x − 5) = 0 とすれば、x = 0, 5 の両方が出ます。

例題

例題3-1(因数分解で解く) x2 − 5x + 6 = 0 を解いてください。

手順1:因数分解できるか試す。「たして −5、かけて 6」になる2数は −2−3
(x − 2)(x − 3) = 0

手順2:「積が0」を使う。
x − 2 = 0 または x − 3 = 0
x = 2, 3

答えx = 2, 3

確認x = 2 なら 4 − 10 + 6 = 0 ✓ x = 3 なら 9 − 15 + 6 = 0

解の公式でやるとx = {5 ± √(25 − 24)}/2 = (5 ± 1)/2 = 3, 2同じ答えですが手数が多い。因数分解が見えたら、そちらを使ってください。

例題3-2(平方完成で解く) x2 − 4x − 1 = 0 を、平方完成を使って解いてください。

手順1:定数項を右へ移す。
x2 − 4x = 1

手順2:「係数の半分の2乗」を両辺に足す。x の係数は −4、半分は −2、2乗は 4
x2 − 4x + 4 = 1 + 4
(x − 2)2 = 5

手順3:平方根をとる。
x − 2 = ±√5
x = 2 ± √5

答えx = 2 + √5, 2 − √5

確認√5 ≒ 2.236 なので x ≒ 4.236 または −0.236x = 4.236 を入れると 17.94 − 16.94 − 1 ≒ 0

なぜ「半分の2乗」なのか(x + m)2 = x2 + 2mx + m2 だからです。x の係数は 2m なので、m はその半分。そして足すべき定数は m2、つまり半分の2乗第1章の公式②を逆から使っているだけです。

この計算が高校でそのまま出ます:数学Iの2次関数では、平方完成が頂点を出す道具になります。ここで手が動くようにしておくと、高校で大きく差がつきます。

例題3-3(解の公式) 2x2 + 3x − 1 = 0 を解いてください。

手順1:a, b, c を書き出す。
a = 2b = 3c = −1

手順2: の中を先に計算する。
b2 − 4ac = 32 − 4 × 2 × (−1) = 9 + 8 = 17

c が負なので −4ac足し算になります。ここが最大の注意点)

手順3:公式に入れる。
x = (−3 ± √17) / (2 × 2) = (−3 ± √17) / 4

答えx = (−3 + √17)/4, (−3 − √17)/4

確認√17 ≒ 4.123 なので x ≒ 0.281 または −1.781x = 0.281 を入れると 2(0.0790) + 0.843 − 1 ≒ 0.001。ほぼ0で ✓

手順を分ける理由:解の公式のミスは、ほとんどが の中の符号です。だから先に b2 − 4ac だけを計算して、数を確定させてから公式に入れます。1行増えますが、事故が激減します。

√17 は簡単にできるか17 は素数なので、これ以上小さくできません。そのままが答えです。

例題3-4(文章題) 縦が横より 3 cm 長い長方形があり、その面積は 40 cm2 です。横の長さを求めてください。

手順1:求めるものを x とおく。横の長さを x cm とします。このとき x > 0(長さだから)。
縦は x + 3 cm。

手順2:式を作る。面積は「縦 × 横」なので
x(x + 3) = 40

手順3:解く。「=0」の形に直します。
x2 + 3x − 40 = 0
「たして 3、かけて −40」は 8−5
(x + 8)(x − 5) = 0 → x = −8, 5

手順4:答えを吟味する。x は長さなので x > 0x = −8 は問題に合わないので捨てます。

答え:横の長さは 5 cm

確認:横 5 cm、縦 5 + 3 = 8 cm。面積は 5 × 8 = 40 cm2

吟味の書き方x > 0 より x = −8 は問題に適さない。よって x = 5と、はっきり書いてください。解を2つ出して片方に丸をつけるだけでは、なぜ捨てたのかが伝わりません。

両方が答えになる問題もある:たとえば「ある数を2乗すると、その数の3倍より4大きい」なら x2 = 3x + 4x = 4, −1「ある数」に正の制限がなければ、両方とも答えです。捨てるかどうかは、問題文の条件で決まります。

例題3-5(解から係数を求める) (1) 二次方程式 x2 + ax + b = 0 の解が 2−5 であるとき、ab の値を求めてください。(2) x2 − 3x + k = 0 の1つの解が 1 であるとき、k の値ともう1つの解を求めてください。

考え方:解が与えられている問題では、使える手が2つあります。①「解を代入すると式が成り立つ」 ②「解がわかっていれば因数分解の形が書ける」解が2つとも与えられているなら②、1つだけなら①——この使い分けで手数が変わります。

(1) 解が 2−5 なので、方程式は (x − 2)(x + 5) = 0 と書けます。展開すると
 x2 + 3x − 10 = 0
もとの式 x2 + ax + b = 0 と見比べて a = 3b = −10

(2) 解が1つしかわからないので、代入します。x = 1 を入れると
 1 − 3 + k = 0 → k = 2
このとき方程式は x2 − 3x + 2 = 0、つまり (x − 1)(x − 2) = 0 なので、もう1つの解は 2

答え:(1) a = 3b = −10 (2) k = 2、もう1つの解は 2

確認:(1) は x2 + 3x − 10 = 0 を実際に解くと (x − 2)(x + 5) = 0 から x = 2, −5。与えられた解と一致します。
(2) でよくある誤りは、k を求めたところで止めてしまうことです。問題文は「もう1つの解」も聞いています。k を代入した式に戻って、最後まで解いてください。
なお (1) を「代入」で解くこともできます。x = 2x = −5 をそれぞれ入れて連立方程式を作る方法です。答えは同じですが、因数分解の形から入るほうが式が1本で済みます。どちらでも正解なので、思いついたほうで進めて構いません。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
「=0」の形に直したか 因数分解が使えない
因数分解を先に試したか 手数が増える
± 解を半分落とす
b2−4ac 符号ミスが起きる
答えの √ を簡単に、分数を約分したか 未完成で減点
文章題で答えを吟味したか あり得ない答えを書く

もっと解きたい方へ 👉 中3 二次方程式 特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

第4章 関数 y = ax2

中1で比例(y = ax)、中2で一次関数(y = ax + b)、そして中3で2乗に比例する関数に進みます。

グラフは放物線という左右対称の曲線になります。直線と違って折り返す——この一点だけで、変域の問題の答えが変わります。この単元でいちばん差がつくのがそこです。

ここが怪しければ先に一次関数(中2) / この先つながる2次関数(数学I・A) / この単元の解法パターン関数 y=ax² 全10型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 48枚

使う道具

道具 使いどころ
y = ax2 a
比例定数の決定 1組の (x, y) を代入 点が1つわかれば決まる
グラフ 原点を頂点とする放物線 a > 0 で上に開く
対称性 y 軸について対称 x
変域 x = 0 を含むかで答えが変わる この単元最大の注意点
変化の割合 (y の増加量) / (x の増加量) 一次関数と違い一定でない
変化の割合の公式 x が p から q のとき a(p + q) 検算に使える
放物線と直線 連立して二次方程式に 交点を求める
三角形の面積 y 軸上の点を底辺にとる 高さは x 座標の差

定石

変域は「グラフを描いて、通る範囲を見る」

これがこの単元の核心です。一次関数なら「両端を代入すれば終わり」でしたが、放物線では通用しません。

y = x2−1 ≤ x ≤ 3 のとき、両端を代入すると 19。しかし答えは 1 ≤ y ≤ 9 ではありません。
x = 0 のとき y = 0 になるので、正しくは 0 ≤ y ≤ 9 です。

変域に x = 0 が入っているかどうかを、必ず確認してください。入っていれば、a > 0 のとき最小値は 0 です。

y=x²の変域(0を含むとき)y = x の2乗 のグラフで、xの変域がマイナス1から3までのとき。変域に x = 0 が入っているので、yの最小値は両端の値ではなく 0 になる。246810xyO-2-1123x = 0 のとき y = 0← ここが最小x = 3 で y = 9(最大)x = −1 で y = 1x の変域 −1 ≦ x ≦ 3y の変域は 0 ≦ y ≦ 9両端だけ代入して 1 ≦ y ≦ 9 とするのは誤り
図7 放物線は途中で折り返します。だから両端を代入するだけでは足りません。x の変域に 0 が入っていれば、y の最小値は 0 です。グラフを1回描けば、この間違いは起きません。

変化の割合は「2点を通る直線の傾き」

y = ax² の変化の割合上の図は、放物線の上の2点を結ぶ直線の傾きが変化の割合であることを示している。xが2から4まで変わるとき、yの増加量6をxの増加量2で割って3になり、これは a かける(p たす q)と一致する。下の図は同じ放物線でxが マイナス2 から 2 まで変わる場合で、変化の割合は0になる。一次関数と違って、どこを取るかで変化の割合が変わる。xO-4-2242468x の増加量 2y の増加量 6(2, 2)(4, 8)y = (1/2)x² x が 2 → 4 のとき変化の割合 = 6 / 2 = 3 = a(p + q) = (1/2)(2 + 4)xO-4-2242468x の増加量 4y の増加量 0(-2, 2)(2, 2)同じ関数でも、場所が変われば割合も変わるx が −2 → 2 のとき 0 / 4 = 0 = (1/2)(−2 + 2)
図8 y = ax2 の変化の割合は、放物線の上の2点を結ぶ直線の傾きです。上の図では 6 / 2 = 3、これは a(p + q) と一致します。下の図のように場所が変われば割合も変わるのが、一次関数との違いです。

y = ax2 の変化の割合は一定ではありません。どこからどこまでかによって変わります。計算は「y の増加量 ÷ x の増加量」で、これは2点を結んだ直線の傾きと同じものです。

公式 a(p + q) を使うと速いですが、まず定義どおりに計算できるようにして、公式は検算に使うのが安全です。

放物線と直線の交点は、連立して二次方程式

y = x2y = x + 2 なら、x2 = x + 2 として x2 − x − 2 = 0。第3章がそのまま使えます。

三角形の面積は「y 軸を底辺にする」

放物線と直線でできる三角形の面積を求めるとき、直線が y 軸を切る点を使うと計算が軽くなります。底辺は y 軸上の長さ、高さは x 座標の差です。

つまずきポイント

① 変域で両端だけを代入する。この単元で最も多い失点です。x の変域が 0 をまたいでいたら、y の最小値(a > 0 のとき)は 0 です。グラフを描けば一目でわかります。

② 変化の割合を一定だと思う。一次関数の感覚を持ち込まないでください。y = x2 は、x0→1 なら割合 11→2 なら 3場所によって変わります。

a が負のときの向きを間違える。a < 0 なら下に開く放物線で、x = 0 のときが最大になります。

④ 交点を求めたあと、y 座標を出し忘れる。x だけ求めて満足しないでください。点の座標を聞かれているなら (x, y) の形で答えます。

⑤ 「変域」と「定義域」の言葉に戸惑う。中学では「x の変域」「y の変域」といいます。高校では「定義域」「値域」と呼び方が変わりますが、意味は同じです。

例題

例題4-1(比例定数を決める) yx の2乗に比例し、x = 2 のとき y = 12 です。yx の式で表し、x = −3 のときの y を求めてください。

手順1:式の形を書く。「2乗に比例」なので y = ax2

手順2:わかっている点を代入する。
12 = a × 22 = 4a → a = 3

したがって y = 3x2

手順3:x = −3 を代入する。
y = 3 × (−3)2 = 3 × 9 = 27

答えy = 3x2x = −3 のとき y = 27

符号に注意(−3)2 = 9 であって −9 ではありません。2乗すると必ず0以上になります。−32 と書くと −9 の意味になってしまうので、かっこを必ず付けてください。

対称性の確認x = 3 でも y = 27 です。y 軸について対称なので、x−x で同じ値になります。

例題4-2(変域) y = x2 について、x の変域が −1 ≤ x ≤ 3 のときの y の変域を求めてください。

手順1:グラフを思い浮かべる。原点を頂点とする、上に開いた放物線です。

手順2:x = 0 が変域に入っているか確認する。−1 ≤ 0 ≤ 3 なので入っています。だから y0 になります。

手順3:いちばん大きい y を探す。原点から遠いほど y が大きくなるので、x = −1x = 3 を比べます。
x = −1y = 1x = 3y = 9
大きいほうは 9

答え0 ≤ y ≤ 9

よくある誤答:両端だけを代入して 1 ≤ y ≤ 9 とするもの。x = 0 のとき y = 0 になるので、これは誤りです。実際 x = 0.5 なら y = 0.25 で、1 より小さい値が出てしまいます。

判定のしかたを覚える

x の変域 y = x2 の変域
1 ≤ x ≤ 3(0を含まない) 1 ≤ y ≤ 9
−3 ≤ x ≤ −1(0を含まない) 1 ≤ y ≤ 9
−1 ≤ x ≤ 3(0を含む) 0 ≤ y ≤ 9
−3 ≤ x ≤ 1(0を含む) 0 ≤ y ≤ 9

0を含むかどうかだけで決まります。含むなら最小は 0、含まないなら両端のうち原点に近いほうが最小です。

例題4-3(変化の割合) y = 2x2 について、x1 から 3 まで増加するときの変化の割合を求めてください。

手順1:両端の y を計算する。
x = 1 のとき y = 2 × 1 = 2
x = 3 のとき y = 2 × 9 = 18

手順2:定義どおり割る。
(18 − 2) ÷ (3 − 1) = 16 ÷ 2 = 8

答え8

公式で検算y = ax2xp から q まで変わるとき、変化の割合は a(p + q)
2 × (1 + 3) = 8

なぜ a(p+q) になるのか
(aq2 − ap2) ÷ (q − p) = a(q2 − p2) ÷ (q − p) = a(q + p)(q − p) ÷ (q − p) = a(p + q)
第1章の公式④で因数分解して、約分しているだけです。公式として覚えなくても、その場で作れます。

一次関数との違いを確かめる:同じ y = 2x2x0 から 2 なら、割合は 2 × (0 + 2) = 4区間が変われば割合も変わります。一次関数では常に一定だったので、ここは感覚を切りかえてください。

例題4-4(放物線と直線) 放物線 y = x2 と直線 y = x + 2 の交点を A, BAx 座標のほうが小さい)とします。
(1) A, B の座標を求めてください。
(2) 原点 OA, B でできる三角形 OAB の面積を求めてください。

(1) 連立して解く。y を消して
x2 = x + 2 → x2 − x − 2 = 0 → (x + 1)(x − 2) = 0 → x = −1, 2

y 座標も出します。x = −1 なら y = 1x = 2 なら y = 4
A(−1, 1)B(2, 4)

(2) 面積を求める。直線 y = x + 2y 軸と交わる点を C とすると C(0, 2)

三角形 OAB を、OC を共通の底辺とする2つの三角形に分けます。
・三角形 OCA:底辺 OC = 2、高さは Ax 座標の絶対値 1
・三角形 OCB:底辺 OC = 2、高さは Bx 座標 2

(1/2) × 2 × 1 + (1/2) × 2 × 2 = 1 + 2 = 3

答え:(1) A(−1, 1)B(2, 4) (2) 面積 3

まとめて計算する形(1/2) × OC × (B の x 座標 − A の x 座標) = (1/2) × 2 × {2 − (−1)} = (1/2) × 2 × 3 = 3y 軸で切って、左右の幅を足す——この形で覚えておくと速いです。

確認A(−1,1), B(2,4), O(0,0) の三角形は、座標の格子を数えても面積 3 になります。

この形は高校でも頻出です:数学IIの「放物線と直線で囲まれた面積」(6分の1公式)は、この問題の続きにあたります 👉 数学II・B・Cの要点辞典

例題4-5(放物線と三角形の面積) 放物線 y = x2 上に2点 A(−1, 1)B(2, 4) があります。原点を O とするとき、△OAB の面積を求めてください。

考え方:三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」ですが、この形では底辺をどこに取るかで手間がまったく変わります。AB を底辺にすると、O から AB までの距離(高さ)を出すのが大変です。
そこで直線 AB と y 軸の交点 C を取り、OC を底辺にします。OC は y 軸上にあるので長さがすぐ出て、高さは A と B の x 座標そのもの——これがこの型の定石です。

① 直線 AB を求める:傾きは (4 − 1) / (2 − (−1)) = 3 / 3 = 1A(−1, 1) を通るので y = x + 2。よって C(0, 2)OC = 2

② OC で2つに分ける△OAB = △OAC + △OCB。どちらも底辺は OC = 2、高さはそれぞれ |−1| = 1|2| = 2 なので
 (1/2) × 2 × 1 + (1/2) × 2 × 2 = 1 + 2 = 3

答え3

確認高さに使うのは、A と B の x 座標の絶対値です。A は y 軸の左、B は右にあるので、2つを足します。もし A と B が y 軸の同じ側にあるなら、足すのではなく引くことになります。図を描いて、O から見て左右に分かれているかを必ず確かめてください。
なお A、B が y = x2 上にあることは (−1)2 = 122 = 4 で確かめられます。与えられた点が本当に放物線上にあるかを最初に見ておくと、写し間違いに気づけます。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
変域に x = 0 が入るか見たか 最小値を書き間違える
グラフを描いて確かめたか 両端代入で誤答
変化の割合を一定だと思っていないか 一次関数の感覚を持ち込む
負の数の2乗にかっこを付けたか 符号が逆になる
交点は y 座標まで出したか 答えが不完全
面積は y 軸で切って計算したか 計算が重くなる

もっと解きたい方へ 👉 関数 y=ax² とは グラフ・変域・変化の割合(無料問題PDF)

▲ 目次に戻る

第5章 相似

中2の「合同」は形も大きさも同じでしたが、相似は形は同じで大きさが違う図形を扱います。

この単元の価値は、直接測れない長さが求められるようになることです。木の高さ、川の幅、地図上の距離——相似はそのための道具です。

ここが怪しければ先に平行と合同(中2) / この先つながる図形と計量(数学I・A)図形の性質(数学I・A) / この単元の解法パターン相似 全12型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 8枚

使う道具

道具 使いどころ
相似の記号 △ABC ∽ △DEF 対応する順に書く
相似条件① 3組の辺の比がすべて等しい 辺だけわかっているとき
相似条件② 2組の辺の比とその間の角が等しい 辺2つと角1つ
相似条件③ 2組の角がそれぞれ等しい いちばんよく使う
平行線と線分の比 DE // BC なら AD : AB = DE : BC 三角形の中の平行線
中点連結定理 MN // BC、MN = BC / 2 2辺の中点を結ぶ
面積比 相似比 m : n → 面積比 m2 : n2 2乗
体積比 相似比 m : n → 体積比 m3 : n3 3乗
直角三角形の垂線 3つの相似な三角形ができる 頻出の形

定石

相似を示すときは、まず「角」を2つ探す

相似条件は3つありますが、実際に使うのは③(2組の角)がほとんどです。角のほうが見つけやすいからです。

等しい角の見つけどころ
共通の角(2つの三角形が同じ角を共有している)
平行線の錯角・同位角
直角(垂線が引いてある)
対頂角
円周角(第6章)

相似を書くときは「対応する順」を守る

△ABC ∽ △DEF と書いたら、ADBECF が対応しています。順番を守って書けば、辺の比は自動的に AB : DE = BC : EF = CA : FD と読めます。順番を崩すと、比を書き間違えます。

面積比は2乗、体積比は3乗

なぜ2乗・3乗になるのか:面積は「縦 × 横」なので長さを2回かけている、体積は「縦 × 横 × 高さ」なので3回かけている。だから相似比が2倍なら、面積は 2 × 2 = 4 倍、体積は 2 × 2 × 2 = 8です。

公式として覚えるより、「長さを何回かけているか」で考えるほうが忘れません。

相似比と面積比1辺が2の正方形は4マス、1辺が3の正方形は9マス。長さの比が2対3でも、面積の比は4対9になる。長さを2回かけているから2乗、体積なら3回かけるので3乗になる。相似比 2 : 3 のとき、面積比は 2² : 3² = 4 : 94マス1辺 2面積 49マス1辺 3面積 9長さを2回かけるから面積比は2乗長さを3回かけるから体積比は3乗2³ : 3³ = 8 : 27
図9 長さの比が 2 : 3 でも、面積の比は 4 : 9。面積は長さを2回、体積は3回かけているので、比も2乗・3乗になります。公式ではなく「何回かけているか」で考えると忘れません。

直角三角形に垂線を引くと、3つの相似な三角形ができる

直角三角形と垂線でできる3つの相似直角三角形ABCの直角の頂点Aから斜辺BCに垂線AHを引くと、もとの三角形と合わせて相似な三角形が3つできる。面積を2通りで表すと垂線の長さが求まる。ABCH68104.83.66.4垂線を1本引くと、相似な三角形が3つできる△ABC ∽ △HBA ∽ △HAC(大・中・小がすべて同じ形)面積を2通りで表すと AH が出る:(1/2)×6×8 = (1/2)×10×AH → AH = 4.8
図10 直角の頂点から斜辺に垂線を1本引くだけで、相似な三角形が3つできます。そして面積を2通りで表すと、垂線の長さがすぐ出ます。この「同じものを2通りで表す」は、中学でも高校でも繰り返し使う考え方です。

これは中3で最も出る形のひとつです。∠A = 90° の三角形 ABC で、A から BC に垂線 AH を引くと
△ABC ∽ △HBA ∽ △HAC
の3つが相似になります。大・中・小の3つが全部同じ形——ここから多くの関係式が出ます。

つまずきポイント

① 面積比を、長さの比のまま書く。相似比 2 : 3 なら面積比は 2 : 3 ではなく 4 : 9 です。この単元でいちばん多い失点です。

② 対応の順を崩して書く。△ABC ∽ △EFD のように、対応がずれた順で書くと比がすべて狂います。等しい角の頂点どうしを並べて書いてください。

③ 平行線がないのに「線分の比」を使う。DE : BC = AD : AB が成り立つのは、DE // BC のときだけです。平行の根拠を確認してください。

④ 相似の証明で、根拠を書かない。「2組の角がそれぞれ等しいから」と使った条件の名前を書いてください。角が等しい理由(共通・錯角など)も1つずつ書きます。

⑤ 中点連結定理を、中点でないところに使う。2辺の中点を結んだときだけ成り立ちます。1 : 2 に分ける点なら、平行線と線分の比を使ってください。

例題

例題5-1(平行線と線分の比) 三角形 ABC の辺 AB 上に点 D、辺 AC 上に点 E があり、DE // BC です。AD : DB = 2 : 3BC = 10 cm のとき、DE の長さを求めてください。

手順1:比を「全体との比」に直す。AD : DB = 2 : 3 なので、AB 全体は 2 + 3 = 5
AD : AB = 2 : 5

手順2:相似を使う。DE // BC なので △ADE ∽ △ABC(同位角が等しく、角 A は共通)。
DE : BC = AD : AB = 2 : 5

手順3:計算する。
DE : 10 = 2 : 5 → 5 × DE = 20 → DE = 4

答えDE = 4 cm

ここでの落とし穴AD : DB = 2 : 3 をそのまま DE : BC = 2 : 3 としてしまう誤りが非常に多い。比べる相手は DB ではなく AB(全体)です。「部分 : 部分」を「部分 : 全体」に直してから使ってください。

検算のしかたDE = 4BC = 10 より短い——三角形の中にある線分なので、当然短くなるはずです。もし答えが BC より長くなったら、比を逆に使っています。

例題5-2(面積比と体積比) 相似比が 2 : 3 である2つの三角形があり、小さいほうの面積は 12 cm2 です。
(1) 大きいほうの面積を求めてください。
(2) 相似比 2 : 3 の2つの立体で、小さいほうの体積が 40 cm3 のとき、大きいほうの体積を求めてください。

(1) 相似比 2 : 3 なので、面積比は 22 : 32 = 4 : 9
12 : x = 4 : 9 → 4x = 108 → x = 27

(2) 体積比は 23 : 33 = 8 : 27
40 : y = 8 : 27 → 8y = 1080 → y = 135

答え:(1) 27 cm2 (2) 135 cm3

確認:(1) 12 × (9/4) = 27 ✓ (2) 40 × (27/8) = 135

覚え方「面積は2回、体積は3回、長さをかけている」。だから比も2乗・3乗になります。相似比を 1 : 2 にして、実際に正方形と立方体で確かめてみると納得できます(面積は4倍、体積は8倍)。

逆向きも押さえる面積比が 9 : 16 なら、相似比は 3 : 4(√をとる)。体積比が 8 : 125 なら相似比は 2 : 5(3乗根をとる)。この向きで聞かれることもあります。

例題5-3(中点連結定理) 三角形 ABC で、辺 AB の中点を M、辺 AC の中点を N とします。BC = 12 cm のとき MN の長さを求め、その理由を説明してください。

答えMN = 6 cm

理由 M, N はそれぞれ AB, AC の中点なので
AM : AB = 1 : 2AN : AC = 1 : 2

A は共通なので、2組の辺の比とその間の角が等しく△AMN ∽ △ABC(相似比 1 : 2)。

したがって MN : BC = 1 : 2 であり、MN = 12 ÷ 2 = 6 cm。
また対応する角が等しいので MN // BC もいえます。

この定理が使える場面「中点」という言葉が2つ出てきたら、まず中点連結を疑うのが定石です。四角形の4辺の中点を結ぶと平行四辺形になる——この有名な性質も、対角線を引いて中点連結を2回使えば説明できます。

台形バージョン:台形 ABCDAD // BC)で、AB, DC の中点を結んだ線分の長さは (AD + BC) / 2 です。上底と下底の平均になります。

例題5-4(直角三角形と垂線) ∠A = 90° の直角三角形 ABC で、AB = 6 cm、AC = 8 cm です。点 A から辺 BC に垂線 AH を引くとき、BCAHBH の長さを求めてください。

手順1:BC を求める。三平方の定理(第7章)から
BC = √(62 + 82) = √100 = 10 cm

手順2:AH を面積から求める。三角形 ABC の面積を、2通りの見方で表します。
・直角をはさむ2辺で:(1/2) × 6 × 8 = 24
BC を底辺、AH を高さとして:(1/2) × 10 × AH

同じ面積なので (1/2) × 10 × AH = 24 → AH = 4.8 cm

手順3:BH を相似から求める。△ABC ∽ △HBA∠B が共通、∠BAC = ∠BHA = 90°)なので
AB : HB = BC : BA → 6 : BH = 10 : 6 → 10 × BH = 36 → BH = 3.6 cm

答えBC = 10 cm、AH = 4.8 cm、BH = 3.6 cm

確認CH = 10 − 3.6 = 6.4。三平方の定理で AH2 + BH2 = 4.82 + 3.62 = 23.04 + 12.96 = 36 = 62 = AB2

この形から出る3つの関係
AB2 = BH × BC36 = 3.6 × 10 ✓)
AC2 = CH × CB64 = 6.4 × 10 ✓)
AH2 = BH × CH23.04 = 3.6 × 6.4 ✓)

覚える必要はありません。3つの三角形が相似だという事実から、その場で作れます。ただし「この形が出たら相似が3つある」とだけ覚えておくと、手が早く動きます。

面積を2通りで表す技:手順2で使った「同じものを2通りで表して等号でつなぐ」は、中学でも高校でも繰り返し使う考え方です。垂線の長さを出すときの定番なので、覚えておいてください。

例題5-5(相似の証明) 三角形 ABC の辺 AB 上に点 D、辺 AC 上に点 E があり、∠ADE = ∠ACB です。AD = 3 cmAB = 8 cmAE = 4 cm のとき、(1) △ADE ∽ △ACB であることを証明してください。(2) AC の長さを求めてください。

考え方:相似を示すときは、まず「等しい角」を2つ探します。1つは問題文にあります。もう1つは共通の角——ここが見つけにくいので、「共通の角はないか」を毎回いちばんに疑ってください

(1) 証明

△ADE と △ACB において
 ∠A は共通 ……①
 仮定より ∠ADE = ∠ACB ……②
①、②より、2組の角がそれぞれ等しいので
 △ADE ∽ △ACB

(2) 相似な図形では対応する辺の比が等しいので、対応の順に並べて
 AD : AC = AE : AB → 3 : AC = 4 : 8 → 4 × AC = 3 × 8 → AC = 6

答えAC = 6 cm

確認:ここでいちばん多い誤りは、「△ADE ∽ △ABC」と書いてしまうことです。∠ADE と等しいのは ∠ACB なので、D に対応するのは C、E に対応するのは B頂点は、等しい角どうしが同じ位置に来るように並べます。順を崩すと、次の比の式がそのまま間違いになります。
比を出したら数で確かめます。AD : AC = 3 : 6 = 1 : 2AE : AB = 4 : 8 = 1 : 2どちらも同じ比になっていれば、対応の取り方が合っている手がかりになります。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
面積比を2乗にしたか 長さの比のまま答える
体積比を3乗にしたか 同上
「部分 : 全体」に直したか 比を取り違える
対応する順に相似を書いたか 辺の比が狂う
平行の根拠を確認したか 使えない性質を使う
証明で条件の名前を書いたか 減点される

もっと解きたい方へ 👉 中3 相似と円(基本)特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

第6章 円

円の性質は、ほとんどが「等しい角を見つける」ための道具です。等しい角が2組見つかれば相似が言え、相似が言えれば長さの比が出る——円 → 角 → 相似 → 長さという流れが、この単元の骨格です。

ここが怪しければ先に平面図形(中1) / この先つながる図形の性質(数学I・A)図形と方程式(数学II・B・C) / この単元の解法パターン円 全10型

使う道具

道具 使いどころ
円周角の定理 同じ弧の円周角は等しい いちばん使う
円周角と中心角 円周角 = 中心角 ÷ 2 中心が絡むとき
半円の弧 直径に対する円周角は 90° 直角が手に入る
弧と円周角 弧の長さが等しい ⇔ 円周角が等しい 弧の比=円周角の比
円周角の定理の逆 同じ側で等しい角 → 4点が同一円周上 円を見つける
接線と半径 接点で垂直 直角が手に入る
接線の長さ 円外の1点から引いた2本は等しい PA = PB
2つの弦 交点で相似ができる PA × PB = PC × PD

定石

円の問題は「同じ弧を見ている角」を探す

手順
① 図の中のに注目する
② その弧を見込んでいる角を全部拾う(それらはすべて等しい)
③ 等しい角が2組そろったら相似を宣言する
④ 相似から辺の比を書く

円周角の定理円の上の弧ABに対して、中心角が120度のとき、円周角は60度になる。同じ弧を見込む円周角は、円周上のどこから見ても等しい。ABPQO中心角 120°円周角 60°同じ弧ならこちらも 60°赤い弧 AB を見込む角は、どこから見ても等しい円周角 = 中心角 ÷ 2
図11 同じ弧を見込む角は、円周上のどこから見ても等しい。そして中心角のちょうど半分になります。円の問題は、まず「どの弧を見ている角か」を指でなぞって確かめてください。

直角がほしいときは、直径か接線を探す

円の問題で直角が2つ必要になったら、探すのは直径(半円の弧に対する円周角)と接線(半径と垂直)です。この2つが直角の供給源になります。

中心角と円周角は「2倍・半分」

中心角 = 円周角 × 2。どちらが大きいかで迷ったら、中心のほうが弧に近いので、大きく見えると考えてください。

弦が交わったら、相似を作る

2つの弦 ABCD が点 P で交わるとき、対頂角同じ弧の円周角から △APC ∽ △DPB がいえます。そこから PA × PB = PC × PD が出ます(高校では「方べきの定理」と呼びます)。

交わる2つの弦からできる相似な三角形円の中で弦ABと弦CDが点Pで交わっている。対頂角が等しく、同じ弧BCの円周角も等しいので、三角形APCと三角形DPBは相似になる。そこからPA対PDイコールPC対PB、つまりPAかけるPBイコールPCかけるPDが出る。図では4かける6も3かける8もどちらも24になる。××ABCDP4638弦が交わったら、まず相似をさがす① 対頂角 ∠APC = ∠DPB② 同じ弧 BC の円周角∠PAC = ∠PDB⇒ △APC ∽ △DPBPA : PD = PC : PBPA × PB = PC × PD4 × 6 = 3 × 8 = 24
図12 弦が交わる図を見たら、「対頂角」と「同じ弧の円周角」の2つをさがす——そこまで来れば相似は目に入ってきます。長さの積が等しくなるのは、この相似の言いかえです。先に見当がつくぶん、図の中で何をさがすかで迷わなくなります。

つまずきポイント

① 違う弧の円周角を「等しい」としてしまう。等しくなるのは同じ弧(または長さの等しい弧)を見ている角だけです。どの弧を見ているかを、指でなぞって確認してください。

② 中心角と円周角の2倍・半分を逆にする。中心角のほうが大きい(2倍)です。120° の中心角なら円周角は 60°

③ 直径だと気づかない。図の中に円の中心を通る線があれば、それは直径です。そこに直角が隠れています。

④ 「4点が同一円周上」の条件を、反対側の角で使う。円周角の定理の逆が使えるのは、線分の同じ側にある角が等しいときです。反対側なら「向かい合う角の和が 180°」を使います。

⑤ 弧の長さと弦の長さを混同する。弧は曲線、弦は直線です。「弧の比=円周角の比」は成り立ちますが、「弦の比=円周角の比」は成り立ちません。

例題

例題6-1(円周角と中心角) 円 O の周上に3点 A, B, P があり、∠AOB = 120° です(P は大きいほうの弧の上)。∠APB の大きさを求めてください。

考え方∠AOB は弧 AB に対する中心角∠APB は同じ弧に対する円周角です。

∠APB = ∠AOB ÷ 2 = 120° ÷ 2 = 60°

答え60°

大事なのは「どちらの弧か」P小さいほうの弧にあると、話が変わります。そのときの円周角は、大きいほうの中心角 360° − 120° = 240° の半分で 120° になります。点がどちら側にあるかを、必ず図で確認してください。

確認60° + 120° = 180°。これは円に内接する四角形の向かい合う角の和にあたり、つじつまが合っています。

例題6-2(半円の弧に対する円周角) AB を直径とする円があり、その周上に点 P があります。AB = 10 cm、PA = 6 cm のとき、PB の長さと三角形 APB の面積を求めてください。

手順1:直角を見つける。AB は直径なので、直径に対する円周角 ∠APB = 90°

手順2:三平方の定理を使う。
PA2 + PB2 = AB2
36 + PB2 = 100 → PB2 = 64 → PB = 8 cm

手順3:面積を出す。直角をはさむ2辺がわかったので
(1/2) × 6 × 8 = 24 cm2

答えPB = 8 cm、面積 24 cm2

この性質の使いどころ「直径」という言葉が出てきたら、直角がもらえます。直角がもらえれば三平方の定理が使え、面積も出ます。円の問題で行き詰まったら、まず直径を探してください。

逆も成り立つ∠APB = 90° なら、PAB を直径とする円の上にあります。「直角を保ちながら動く点の道すじ」を聞かれたら、この円が答えです。

例題6-3(弦の交点と相似) 円の2つの弦 ABCD が円の内部の点 P で交わっています。PA = 2 cm、PB = 6 cm、PC = 3 cm のとき、PD の長さを求めてください。

手順1:相似な三角形を見つける。三角形 APC と三角形 DPB を比べます。
∠APC = ∠DPB対頂角
∠CAP = ∠BDPBC に対する円周角

2組の角がそれぞれ等しいので △APC ∽ △DPB

手順2:辺の比を書く。対応する順に並べると
PA : PD = PC : PB

手順3:計算する。
2 : PD = 3 : 6 → 3 × PD = 12 → PD = 4 cm

答えPD = 4 cm

確認PA × PB = 2 × 6 = 12PC × PD = 3 × 4 = 12一致しています。

この関係の名前PA × PB = PC × PD は、高校で「方べきの定理」として習います。中学では公式として習いませんが、相似から自分で作れます。作り方を知っていれば、公式を覚える必要はありません 👉 数学I・Aの要点辞典(第9章 図形の性質)

例題6-4(接線) 半径 3 cm の円 O の外部に点 P があり、OP = 5 cm です。P から円に引いた接線の接点を A とするとき、PA の長さを求めてください。

手順1:直角を見つける。接線と半径は接点で垂直なので ∠OAP = 90°

手順2:三平方の定理を使う。直角三角形 OAP で、斜辺は OP = 5、1辺は OA = 3(半径)。
PA2 = OP2 − OA2 = 25 − 9 = 16 → PA = 4 cm

答えPA = 4 cm

どちらが斜辺か:直角があるのは接点 A なので、その向かい側の OP が斜辺です。斜辺は「直角の向かい」——ここを取り違えると √(25 + 9) と計算してしまいます。

接線が2本引ける:円外の点からは接線が2本引けて、その長さは等しい(どちらも 4 cm)。理由は、2つの直角三角形が斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので合同だからです。

接線の性質は「直角の供給源」:円の問題で直角が必要になったら、直径接線を探す——第6章の定石そのものです。

例題6-5(円周角の定理の逆) 四角形 ABCD について、∠BAC = 35°∠BDC = 35° です。(1) 4点 A、B、C、D が同じ円周上にあることを説明してください。(2) さらに ∠ABD = 50° のとき、∠ACD を求めてください。

考え方:円周角の定理は逆も成り立ちます。「同じ弧を見る角は等しい」だけでなく、「等しい角で同じ線分を見ているなら、その4点は同じ円周上にある」。これが使えると、問題文に円が描かれていなくても自分で円を見つけられます

(1) ∠BAC∠BDC は、どちらも線分 BC を見込む角です。しかも A と D は BC の同じ側にあります。
 この2つが等しい(35°)ので、円周角の定理の逆により 4点 A、B、C、D は同じ円周上にあります。

(2) 4点が同じ円周上にあるとわかったので、あとは円周角の定理をそのまま使います
 ∠ABD∠ACD は、どちらも線分 AD を見込む角で、B と C は AD の同じ側にあります。よって
 ∠ACD = ∠ABD = 50°

答え:(1) 上のとおり (2) ∠ACD = 50°

確認:使うときの条件は「同じ線分を見込むこと」と「2点が同じ側にあること」の2つです。反対側にあると、角は等しくならず和が 180° になります(これが円に内接する四角形の性質です)。図で左右どちら側かを必ず確かめてください。
この問題の要は (1) です。「4点が同じ円周上にある」と言えた瞬間に、円周角・内接四角形の性質がすべて使えるようになります。角度の問題で手が止まったら、等しい角が2つ見えていないかを探す——それが円を呼び出す合図になります。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
同じ弧を見ている角か確認したか 等しくない角を等しいとする
中心角は円周角の2倍か 半分と2倍を逆にする
点がどちらの弧にあるか見たか 角度が変わる
直径・接線から直角を探したか 三平方が使えない
相似を対応順に書いたか 比が狂う
斜辺は直角の向かいか確認したか 足し算と引き算を逆にする

もっと解きたい方へ 👉 円周角の定理 中心角・直径・定理の逆(無料問題PDF)

▲ 目次に戻る

第7章 三平方の定理

直角三角形なら、2辺がわかれば残りの1辺がわかる——たったこれだけの定理ですが、使える場面が異常に多い単元です。

平面図形、空間図形、座標平面、円——中3で習うすべての図形の話に顔を出します。だから「どこに直角三角形を作るか」を見つけられるかが勝負になります。

ここが怪しければ先に平方根相似 / この先つながる図形と計量(数学I・A)ベクトル(数学II・B・C) / この単元の解法パターン三平方の定理 全12型

使う道具

道具 使いどころ
三平方の定理 a2 + b2 = c2(c が斜辺) 直角三角形のときだけ
定理の逆 a2 + b2 = c2 なら直角三角形 直角かどうかの判定
有名な整数の組 3:4:5、5:12:13、8:15:17、7:24:25 見つけたら計算不要
直角二等辺三角形 1 : 1 : √2 45°
正三角形の半分 1 : 2 : √3 30°, 60°
2点間の距離 √{(x2−x1)2 + (y2−y1)2} 座標平面
直方体の対角線 √(a2 + b2 + c2) 3辺の2乗の和
円と弦 弦の長さ = 2√(r2 − d2) 中心から弦に垂線
正三角形の高さ (√3/2) × 1辺 面積の計算に

定石

まず「直角三角形を作る」

問題の図に直角三角形がなければ、自分で作ります
垂線を下ろす(高さを出したいとき)
中心から弦に垂線(円の問題)
座標の差で長方形を作る(座標平面)
底面の対角線を先に出す(立体)

覚えておく2つの直角三角形直角二等辺三角形は1対1対ルート2、正三角形を半分にした三角形は1対2対ルート3。3対4対5や5対12対13といった整数の組も覚えておくと計算せずに答えが出る。覚えておく2つの直角三角形11√245°45°直角二等辺三角形1 : 1 : √2√31230°60°正三角形を半分にした形1 : 2 : √3整数の組も3:4:55:12:13「小さい角の向かいは短い辺」——対応を間違えないための目印
図13 この2つは角度から辺の比がわかるので、覚えておくと計算が要りません。対応を間違えないための目印は「小さい角の向かいは短い辺」3:4:55:12:13 の整数の組も見つけたら即答できます。

立体は「平面に切り取って考える」

立体のままでは三平方が使えません。直角三角形を含む平面を1枚だけ取り出して、その平面上で考えます。錐体の高さ、対角線、最短距離——すべてこの手順です。

直方体の対角線は、三平方を2回使う

a、横 b、高さ c の直方体で、
① 底面の対角線:√(a2 + b2)
② 立体の対角線:√{(√(a2+b2))2 + c2} = √(a2 + b2 + c2)

公式を覚えなくても、2回使えば出ます。

直方体の対角線は三平方を2回使う直方体の対角線は、まず底面の直角三角形で底面の対角線を出し、次にその対角線と高さでできる直角三角形にもう一度三平方を使う。たて3、よこ4、高さ12の直方体なら、底面の対角線は5、対角線は13になる。まとめるとaの2乗たすbの2乗たすcの2乗のルート。直方体の対角線bac√(a² + b²)√(a² + b² + c²)三平方を2回使う① 底面の直角三角形で√(3² + 4²) = 5② その5と高さで、もう一度√(5² + 12²) = 13a = 3、b = 4、c = 12 の直方体
図14 立体の対角線に、新しい公式は要りません。底面で1回、その対角線と高さでもう1回——三平方を2回使うだけです。a = 3、b = 4、c = 12 なら、底面が 5、そこから 13どの平面を1枚取り出すかさえ決まれば、あとは平面の問題に戻ります。

有名な組を覚えておくと速い

3 : 4 : 5 は最頻出です。6 : 8 : 109 : 12 : 15 のような何倍かの形でも同じなので、見つけたら計算せずに答えられます。

つまずきポイント

① 斜辺がどれか間違える。斜辺は直角の向かい側で、いちばん長い辺です。a2 + b2 = c2c に、斜辺以外を入れると答えが合いません。

② 直角がないのに使う。三平方の定理は直角三角形専用です。「直角がどこにあるか」を図で確認してから使ってください。

③ 立体で、直角三角形のある平面を取り出さない。立体図のまま考えると、どこが直角かわかりません。断面を1枚、別に描いてください。

を簡単にしない。答えが √8 なら 2√2 まで直します(第2章)。

⑤ 「求めるのは長さか、面積か」を見落とす。三平方で辺の長さを出したあと、面積や体積を聞かれていないかを問題文で確認してください。

⑥ 円と弦で、垂線が弦を二等分することを使わない。中心から弦に下ろした垂線は、弦を2等分します。だから半分の長さで計算して、最後に2倍します。

例題

例題7-1(基本と特別な三角形) 次の x を求めてください。
(1) 直角をはさむ2辺が 512 の直角三角形の斜辺 x
(2) 斜辺が 6、1つの角が 60° の直角三角形の、60° の向かいの辺 x

(1) x2 = 52 + 122 = 25 + 144 = 169 → x = 13
5 : 12 : 13 は有名な組なので、覚えていれば即答できます)

(2) 30°, 60°, 90° の直角三角形は 1 : 2 : √3斜辺が 2 にあたるので、比の 13 にあたります。
60° の向かいの辺は √3 にあたるので x = 3√3

答え:(1) 13 (2) 3√3

(2)の確認:残りの辺(30° の向かい)は 3。三平方で 32 + (3√3)2 = 9 + 27 = 36 = 62

比の対応の見分け方1 : 2 : √32 が斜辺(いちばん長い)、130° の向かい(いちばん短い)、√360° の向かい。「小さい角の向かいは短い辺」——これで対応が決まります。

例題7-2(座標平面) 座標平面上の2点 A(1, 2)B(4, 6) の距離を求めてください。

手順1:直角三角形を作る。A から右に、B から下に線を引くと、直角三角形ができます

手順2:2辺の長さを出す。
横の長さ:4 − 1 = 3
縦の長さ:6 − 2 = 4

手順3:三平方の定理。
AB2 = 32 + 42 = 25 → AB = 5

答え5

公式にするとAB = √{(x2 − x1)2 + (y2 − y1)2}。ただし公式を覚えるより、毎回直角三角形を描くほうが確実です。図を描けば、引き算の順序を間違えても2乗するので問題ありません。

高校でもそのまま使います:数学IIの「図形と方程式」では、この距離の公式が円の方程式の出発点になります 👉 数学II・B・Cの要点辞典(第3章)

例題7-3(立体) 縦 3 cm、横 4 cm、高さ 12 cm の直方体があります。頂点から最も遠い頂点までの距離(立体の対角線)を求めてください。

手順1:底面の対角線を出す。底面は 3 × 4 の長方形なので
√(32 + 42) = √25 = 5 cm

手順2:その対角線と高さで、もう一度三平方。底面の対角線(5)と高さ(12)を2辺とする直角三角形ができます。
√(52 + 122) = √169 = 13 cm

答え13 cm

まとめて計算すると√(32 + 42 + 122) = √(9 + 16 + 144) = √169 = 133辺の2乗を全部足して ——これが直方体の対角線の公式です。

2回使うのがポイント立体のままでは三平方が使えません。まず底面という「平面」に降りて対角線を出し、次に「対角線と高さ」でできる平面に移る。平面を2回渡り歩いていると考えてください。

この問題は有名な組が2回出ています3 : 4 : 55 : 12 : 13覚えていれば計算せずに答えが出ます。

例題7-4(円と弦) 半径 5 cm の円で、中心から 3 cm の距離にある弦の長さを求めてください。

手順1:中心から弦に垂線を下ろす。この垂線は弦を2等分します。

手順2:直角三角形を見る。できた直角三角形は
・斜辺 = 半径 = 5
・1辺 = 中心から弦までの距離 = 3
・残り = 弦の半分

(弦の半分)2 = 52 − 32 = 25 − 9 = 16 → 弦の半分 = 4

手順3:2倍する。
弦の長さ = 4 × 2 = 8 cm

答え8 cm

「2倍する」を忘れないこと:三平方で出るのは弦の半分です。ここで止めて 4 cm と答える誤りが非常に多い。図を描いて、求めたのがどの部分かを毎回確認してください。

なぜ垂線が弦を2等分するのか:中心から弦の両端まではどちらも半径なので、二等辺三角形ができます。二等辺三角形の頂角から下ろした垂線は、底辺を2等分する——中2で習った性質です。

公式にすると:半径 r、中心からの距離 d のとき、弦の長さは 2√(r2 − d2)これも高校の「図形と方程式」でそのまま使います。

例題7-5(折り返し) 長方形 ABCD で AB = 8AD = 10 です。頂点 D が辺 BC 上の点 E に重なるように折り、折り目を AF(F は辺 DC 上)とします。BEDF を求めてください。

考え方:折り返しの問題で最初に書くのは、「折る前と折った後で、長さが変わらないのはどこか」です。ここでは ADAE に、DFFE に移ります。この2つを書いた時点で、直角三角形が2つ見えてきます。

① 直角三角形 ABEAE = AD = 10AB = 8 なので
 BE = √(102 − 82) = √36 = 6

② 直角三角形 FCEEC = BC − BE = 10 − 6 = 4DF = x とおくと FE = xFC = 8 − x なので
 x2 = (8 − x)2 + 42 → x2 = 64 − 16x + x2 + 16 → 16x = 80 → x = 5

答えBE = 6DF = 5

確認FC = 8 − 5 = 3EC = 4FE = 5 なので 32 + 42 = 523 : 4 : 5 の直角三角形になっています。△ABE も 8 : 6 : 10 で、これは 3 : 4 : 5 の2倍。折り返しの問題では「同じ長さ」を式に書けたところで、あとは三平方の定理と方程式の作業になります。難しいのは計算ではなく、どこが動かないかを見つけるところです。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
斜辺は直角の向かいか 足し算と引き算を逆にする
直角三角形を自分で作ったか 手が止まる
立体は平面を取り出したか どこが直角かわからない
弦は最後に2倍したか 半分で答えてしまう
未完成で減点
有名な組を覚えているか 毎回計算して時間を失う

もっと解きたい方へ 👉 中3 三平方の定理(基本)特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

第8章 標本調査

中学数学で最後に習う単元です。計算は簡単ですが、「なぜそう推定してよいのか」という考え方が問われます。

そしてこの単元は、高校の「データの分析」「統計的な推測」にまっすぐつながります。世論調査も視聴率も品質検査も、すべてここで習う考え方でできています。

ここが怪しければ先にデータの活用(中1) / この先つながるデータの分析(数学I・A)統計的な推測(数学II・B・C) / この単元の解法パターン標本調査 全8型

使う道具

道具 使いどころ
全数調査 対象すべてを調べる 国勢調査、学校の健康診断
標本調査 一部を調べて全体を推定 視聴率、世論調査、品質検査
母集団 調べたい全体 「全校生徒800人」など
標本 実際に調べた一部 「選んだ50人」など
標本の大きさ 標本に含まれる個数 50
無作為抽出 かたよりなく選ぶ くじ引き・乱数表
比の推定 母集団の比 ≒ 標本の比 この単元の中心
個数の推定 母集団の個数 × 標本の比 「およそ〜個」と答える

定石

全数調査か標本調査かは「全部調べられるか/調べてよいか」で決まる

全数調査にする → 人数が少ない、正確さが絶対に必要(学校の健康診断、入学試験の採点、国勢調査)
標本調査にする → 数が多すぎる、調べると壊れる/なくなる(視聴率、電球の寿命検査、缶詰の味の検査)

「調べると商品が売り物にならなくなる」タイプは必ず標本調査です。全部の缶詰を開けたら売るものがなくなります。

標本調査による推定3000個の母集団から無作為に50個を取り出したところ、不良品が6個あった。標本の割合 6割る50 は 0.12。母集団も同じ割合とみなして、3000かける0.12 でおよそ360個と推定できる。一部の割合を、全体の割合とみなして推定する母集団 3000 個不良品は何個あるか(数え切れない)無作為に50 個取り出す標本 50 個そのうち不良品は 6 個だった標本の割合 6 ÷ 50 = 0.12 → 母集団も同じ割合とみなす3000 × 0.12 = 360 ── およそ 360 個と推定できる
図15 標本の割合を、そのまま母集団の割合とみなすのが標本調査です。式は「比が同じ」の1本だけで、答えには「およそ」を付けます。

推定の式は「比が同じ」1本だけ

標本の大きさとばらつき本当の割合が40パーセントのとき、25人ずつ・100人ずつ・400人ずつ無作為に選ぶ調査をそれぞれ30回くり返した結果を、点で並べた図。25人だと点は30パーセントから50パーセントあたりまで大きく散らばるが、400人にすると40パーセントのすぐ近くに集まる。人数を4倍にすると、ばらつきはおよそ半分になる。標本が大きいほど、推定は本当の値の近くに集まる本当は 40%25人ずつ調べる(30回)ばらつき 0.095100人ずつ調べる(30回)ばらつき 0.058400人ずつ調べる(30回)ばらつき 0.02320%30%40%50%60%点1つが1回の調査。人数を4倍にすると、ばらつきはおよそ半分になる
図16 標本を大きくすると、推定は本当の値の近くに集まります。この図は本当の割合を 40% として、人数を変えて30回ずつ調べた結果です。人数を4倍にすると、ばらつきはおよそ半分になります。

標本での割合が、母集団でも同じくらいだろう——これがこの単元の唯一の仮定です。だから式は比例式1本で立ちます。

(母集団の中の個数):(母集団全体)=(標本の中の個数):(標本全体)

答えは「およそ」を付ける

標本調査で出るのは推定値であって、正確な値ではありません。「およそ1000個」「約560時間」のように書きます。この一言がないと減点されることがあります。

無作為抽出でなければ、推定できない

選び方にかたよりがあると、推定は当てになりません。「駅前で聞いた」「アンケートに答えてくれた人だけ」——こうした標本は、母集団を代表していません。「くじ引きや乱数で選んだか」が、この単元で問われる急所です。

つまずきポイント

① 「およそ」を付けずに答える。標本調査の答えは推定値です。断定した書き方をしないでください。

② 比例式の対応を取り違える。「標本の中の個数 : 標本全体」と「母集団の中の個数 : 母集団全体」を対応させます。分子どうし・分母どうしが同じ意味になっているかを確認してください。

③ 四捨五入のタイミングを間違える。途中で丸めると誤差が積もります。最後にまとめて指定された位で四捨五入してください。

④ 標本の大きさを「標本の個数の種類」と勘違いする。標本の大きさは選んだ個数そのものです。50人選んだなら標本の大きさは 50

⑤ 無作為抽出の意味を説明できない。「かたよりなく選ぶこと」だけでなく、「母集団のどの個体も同じ確からしさで選ばれるようにすること」と書けると万全です。

⑥ 全数調査すべきものを標本調査と答える。入学試験の採点や学校の身体測定は、一部だけ調べても意味がありません。「一部でよいか、全部必要か」を考えてください。

例題

例題8-1(調査方法の判断) 次の調査は、全数調査と標本調査のどちらが適切ですか。理由もあわせて答えてください。
(1) 学校で行う身体測定
(2) 工場で作った電球の寿命の検査
(3) テレビ番組の視聴率

(1) 全数調査 …… 一人ひとりの記録が必要で、全員分そろわないと意味がないから。人数も調べられる範囲です。

(2) 標本調査 …… 寿命を調べるには電球が切れるまで使う必要があり、全部調べたら売る商品がなくなるから。

(3) 標本調査 …… 全世帯を調べるのは費用と時間の面で不可能だから。一部の世帯から全体を推定します。

判断の基準を整理する

こういうときは どちら
一人ひとりの結果が必要 全数調査
数が少なく、全部調べられる 全数調査
調べると商品が使えなくなる 標本調査
数が多すぎて、費用や時間が足りない 標本調査

理由まで書くのが採点対象:「標本調査」とだけ書いても点になりません。「なぜ全部調べられないのか」を一文で添えてください。

例題8-2(個数の推定) 袋の中にたくさんの白い玉が入っています。中身をよくかき混ぜてから 50 個取り出し、すべてに印をつけて袋に戻しました。もう一度よくかき混ぜてから 60 個取り出したところ、印のついた玉が 3 個ありました。袋の中の玉はおよそ何個と考えられますか。

手順1:標本での割合を出す。2回目に取り出した 60 個のうち、印つきは 3 個。
3 ÷ 60 = 1/20

手順2:母集団でも同じ割合だと考える。袋全体の玉を x 個とすると、印つきは全部で 50 個。
50 : x = 3 : 60

手順3:解く。
3x = 50 × 60 = 3000 → x = 1000

答え:およそ 1000

考え方の要点「2回目に取り出した60個の中の印つきの割合」が、「袋全体の中の印つきの割合」と同じくらいだろう——これが唯一の仮定です。
袋全体で印つきは 50 個。それが全体の 1/20 にあたるので、全体は 50 × 20 = 1000 個。比例式を立てなくても、この考え方で暗算できます。

「よくかき混ぜて」が大事:問題文にこの言葉が入っているのは、無作為抽出であることを保証するためです。混ぜずに上のほうから取ったら、印つきの玉ばかり出てしまうかもしれません。この一言がない標本調査は、推定が当てになりません。

この方法の名前:野生動物の個体数を数えるときにも使われ、「標識再捕獲法」と呼ばれます。魚に印をつけて池に戻し、もう一度捕まえて割合を見る——同じ仕組みです。

例題8-3(平均の推定) ある中学校の生徒 800 人から 50 人を無作為に選び、1日の読書時間を調べたところ、平均は 42 分でした。この中学校の生徒全体の、1日の読書時間の合計はおよそ何時間と考えられますか。

手順1:標本の平均が、母集団の平均と同じくらいだと考える。
生徒1人あたりおよそ 42 分。

手順2:全体の合計を出す。
800 × 42 = 33600

手順3:単位を直す。聞かれているのは時間です。
33600 ÷ 60 = 560 時間

答え:およそ 560 時間

単位に注意問題文が「何時間」と聞いているのに「33600分」と答えると不正解です。標本調査の問題は計算が簡単なぶん、単位の変換と「およそ」の付け忘れで落とします。

この推定が当てになる条件50人が無作為に選ばれていることです。もし「図書委員50人」を選んだら、読書時間は明らかに長く出ます。「無作為に」という言葉が問題文にあるかどうかを確認してください。

高校ではもっと進みます:数学Bの「統計的な推測」では、「およそ何分」ではなく「95%の信頼度で何分から何分の間」という形で答えられるようになります 👉 数学II・B・Cの要点辞典(第9章)

例題8-4(標本の選び方) ある市の中学生 5000 人について、1日のスマートフォンの使用時間を調べたいと考えました。次の標本の選び方は適切ですか。適切でない場合は、その理由を書いてください。
(1) 市内の1つの中学校の3年生 200 人全員
(2) 市内の中学生全員に通し番号をつけ、乱数表を使って 200 人を選ぶ
(3) 駅前で放課後に見かけた中学生 200

(1) 適切ではない …… 1つの学校の1つの学年だけにかたよっています。学校や学年によって使用時間の傾向が違う可能性があり、市全体を代表していません。

(2) 適切 …… 市内の中学生全員から、同じ確からしさで選ばれているので、無作為抽出になっています。

(3) 適切ではない …… 放課後に駅前にいる中学生にかたよっています。部活動をしている生徒や、家が学校の近くの生徒は選ばれにくく、母集団を代表していません。

「無作為」の意味をもう一度母集団のどの個体も、同じ確からしさで選ばれるということです。「適当に選ぶ」「たまたま目についた人を選ぶ」は無作為ではありません。むしろ、そこには必ず何らかのかたよりが入ります。

実生活でも使える見方:ネットアンケートの結果を見るときは、「誰が答えたのか」を確認してください。そのサイトを見て、しかも答える気になった人だけの意見であって、全体の意見ではありません。この単元は、そういう見抜き方を教えてくれます。

記述のコツ:「かたよっているから」だけでは不十分です。「どういう人が選ばれにくいのか」を具体的に書くと、しっかりした答案になります。

例題8-5(割合の推定と、標本の大きさ) ある工場では、1日に 12000 個の製品を作っています。(1) 無作為に 300 個を選んで調べたところ、不良品が 9 個ありました。この日の不良品はおよそ何個と考えられますか。(2) 別の日に 600 個を選んで調べたら、不良品は 21 個でした。この日の不良品はおよそ何個と考えられますか。

考え方:標本調査の考え方は「標本での割合が、母集団でもだいたい同じだろう」という一点だけです。だから式は比が等しい、の1本で足ります。
 (標本の不良品):(標本の大きさ) = (全体の不良品):(全体の個数)

(1) 標本での割合は 9 ÷ 300 = 0.03。これを全体にあてはめて
 12000 × 0.03 = 360 → およそ360個

(2) 標本での割合は 21 ÷ 600 = 0.035
 12000 × 0.035 = 420 → およそ420個

答え:(1) およそ360個 (2) およそ420個

確認:比の式でも同じ答えになります。9 : 300 = x : 12000 から 300x = 108000x = 360割合で解いても比で解いても同じなので、書きやすいほうで構いません。
答えには必ず「およそ」を付けること。標本から出した推定値なので、ぴったり360個だと言い切ることはできません。ここを書き忘れると減点されるところです。
(1) と (2) で不良率が 3.0%3.5% に分かれました。これはどちらかが間違いというわけではありません。標本を取り直せば結果は少しずつ変わります。ただし標本を大きくするほど、この振れ幅は小さくなるので、より信頼できるのは600個を調べた (2) のほうです。「標本の大きさ」を大きくする意味は、ここにあります。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
「およそ」を付けたか 断定して減点
比例式の対応は合っているか まったく違う値になる
単位を問題文に合わせたか 数は合っているのに不正解
四捨五入は最後にしたか 誤差が積もる
無作為抽出かを確認したか 推定が当てにならない
判断の理由を書いたか 結論だけでは点にならない

もっと解きたい方へ 👉 中3 標本調査の特訓道場(20題と全解説)

▲ 目次に戻る

最後に:中3の内容が高校でどう使われるか

8単元を見てきました。中3の内容は、高校数学でほとんどそのまま使われます。「中学で終わり」ではなく「高校の第1章」だと思ってください。

見方1 中3の道具は、高校でこう使われる

中3で習ったこと 高校でどう使われるか 科目
展開・因数分解 3次式・複数文字の因数分解、方程式を解く第一歩 数学I
平方根 二重根号、有理化、対称式の計算 数学I
二次方程式(平方完成) 2次関数の頂点を出す道具、解の配置 数学I
解の公式・判別式 解の個数の判定、「すべての x で成り立つ」条件 数学I・II
y = ax2 y = ax2+bx+c 数学I
放物線と直線 囲まれた面積(6分の1公式) 数学II
相似 チェバ・メネラウスの定理、角の二等分線 数学A
円周角・接線 方べきの定理、接弦定理、内接四角形 数学A
三平方の定理 2点間の距離、円の方程式、余弦定理 数学I・II
標本調査 信頼区間、仮説検定 数学B

とくに大きいのが「平方完成」と「三平方の定理」です。この2つは高校3年間ずっと使い続けます。中3のうちに手が勝手に動くようにしておくと、高校での負担がまったく違います。

見方2 答えが出たら、必ず「戻して確かめる」

中3の内容は、ほぼすべて検算できます。これを習慣にできるかどうかで、テストの点が変わります。

単元 戻して確かめること
展開と因数分解 逆の操作で元に戻るかx = 1 を代入して同じ値か
平方根 おおよその小数にして、桁が合っているか
二次方程式 解を元の式に代入して0になるか
y = ax2 グラフを描いて、変域に x = 0 が入るか
相似 短いはずの辺が短くなっているか
角の和が 180°360° と合うか
三平方の定理 斜辺がいちばん長くなっているか
標本調査 単位が問題文と合っているか、「およそ」を付けたか

見方3 図形は「直角を探す」と「等しい角を探す」の2つだけ

中3の図形(相似・円・三平方)は、やっていることが実は2つしかありません。

直角を探す → 三平方の定理が使える
 直径に対する円周角/接線と半径/垂線を自分で引く

等しい角を探す → 相似が使える → 辺の比が出る
 共通の角/平行線の錯角・同位角/対頂角/同じ弧の円周角

図形の問題で手が止まったら、この2つのどちらかを探してください。そしてこれは「順番に当てはめているだけ」ではありません。図の形から次の一手を予想して、考える量を減らしている——だから手際よく解けます。予想が外れたら、もう一方を探せばよいだけです。

中3の数学で、次にやること

このページを読み終えたら、いちばん自信がない単元をひとつだけ選んでください。そして、その章の「例題」を何も見ずに解いてみる。解けなければ「つまずきポイント」に戻る。これを1単元ずつ潰していくのが、いちばん速い進み方です。

問題をたくさん解きたいなら 👉 中3数学 総合演習の特訓道場(20題)無料学習プリント・映像授業

▲ 目次に戻る

よくある質問

中3の数学で、どの単元がいちばん大事ですか

二次方程式(とくに平方完成)と三平方の定理です。この2つは高校3年間ずっと使います。平方完成は数学Iの2次関数でそのまま頂点を出す道具になり、三平方の定理は2点間の距離・円の方程式・余弦定理に姿を変えて出てきます。時間が限られているなら、この2つを優先してください。

y = ax2 の変域で、いつも間違えます

原因はほぼ両端だけを代入していることです。放物線は途中で折り返すので、両端が最大・最小になるとは限りません。x の変域に 0 が入っているかどうかを必ず確認してください。入っていれば(a > 0 のとき)最小値は 0 です。第4章に判定表を載せました。

因数分解ができるようになりません

手順が決まっています。① 共通因数でくくれないか ② 項が2つで2乗どうしの引き算か ③ 項が3つで両端が2乗か ④「たして真ん中、かけて最後」の2数を探す。この順に上から試してください。とくに①を飛ばすのが最頻出のミスです。第1章に詳しく書きました。

図形の問題で、どこから手をつければいいですか

「直角を探す」か「等しい角を探す」か、どちらかです。直角が見つかれば三平方の定理が使え、等しい角が2組見つかれば相似が使えます。直角は直径・接線・垂線から、等しい角は共通の角・平行線・対頂角・同じ弧の円周角から探してください。

高校入試に向けて、この辞典だけで足りますか

足りません。このページは「要点の確認」用で、実際に手を動かす練習は別に必要です。各章の最後にリンクした特訓道場(各20題)や、無料学習プリント を使ってください。読んで理解した内容を、自分の手で再現できるかどうかが本番で問われます。

高校数学の予習は、いつから始めるとよいですか

中3の内容が固まってからで十分です。ただし「平方完成」と「三平方の定理」だけは、中3のうちに完璧にしておいてください。この2つが自動化されていると、高校の数学Iが驚くほど楽になります。予習を始めるなら、まず 数学I・Aの要点辞典 の第1章・第2章を読んでみてください。

このページの例題は、どこかの問題集から取ったものですか

いいえ。掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書や問題集から問題文・解説を転載したものは一切含まれていません。数値も、こちらで設定して検算したうえで掲載しています。

中1・中2の要点辞典はありますか

あります。中1数学の要点辞典(全7単元)中2数学の要点辞典(全6単元) を同じ形式で公開しています。高校の内容は 数学I・Aの要点辞典(全9単元) から始まります。

√ の中は、どこまで小さくすればいいですか

2乗の因数が残っていない状態まで、が答えです。√72 = √(36 × 2) = 6√2 のように、まず素因数分解して、2つそろった数を外に出すと確実です。分母に が残っているときは有理化まで済ませます。簡単にし切らないと、後の計算で同類項がまとめられません第2章 平方根に手順を書いてあります。

相似の面積比と体積比が、ごちゃごちゃになります

「長さを何回かけたか」で決まります。面積は長さ×長さなので2乗、体積は長さ×長さ×長さなので3乗。相似比が 2 : 3 なら、面積比は 4 : 9、体積比は 8 : 27 です。覚え直すより、マス目の図で1回確かめておくほうが速いので、第5章 相似に図を置いてあります。

▲ 目次に戻る

この記事を書いた人

藤原進之介(ふじわら しんのすけ)

数学に強くなる塾「数強塾」グループ代表・株式会社数強塾 代表取締役

  • 東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり(東進ハイスクール・東進衛星予備校では最年少講師
  • 著書累計15万部(KADOKAWA・Gakken・文英堂ほか大手出版社より刊行)
  • 「令和の虎」出演をはじめ、メディア出演多数/消費者庁での登壇実績
  • 数強塾グループ(数強塾/情報ラボ/英論会/AOG/日本数学塾/国強塾)を運営。プロ講師60名以上が在籍し、全国の中高一貫校生を中心に累計3,500名以上を指導
  • もともと数学が苦手だった「元・数学苦手の講師」。だからこそ、つまずく生徒の目線で教えられる

数強塾グループのミッションは「一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、本質を理解し、自ら考え続けられる人を育てる」。AI時代に、人にしかできない教育で最高品質の学びを届けます。

藤原進之介のプロフィール詳細指導実績(成績向上率94%の根拠)

数強塾からのご案内

数強塾は、数学を専門にしたオンライン個別指導塾です。中学生・高校生を対象に、一人ひとりの理解の状態に合わせて指導しています。

中3は、高校入試と高校数学の準備が同時に走る学年です。とくに中高一貫校の場合、学校の進度が速く「わからないまま次に進む」ことが起きやすい。もし今そういう状態なら、一度ご相談ください。

数強塾オリジナル 追加演習4題——中3の道具だけで、高校の問題を解いてみる

「最後に:中3の内容が高校でどう使われるか」の見方1に、10行の対応表を置きました。三平方の定理は2点間の距離・円の方程式・余弦定理になる、平方完成は2次関数の頂点を出す道具になる——という表です。

ただ、あの表は名前の対応にとどまっています。「そのまま使われる」と書いたなら、中3の道具だけで高校の問題が実際に解けるはずです。それを見せていません。

この4題は、表の4つの行を選んで本当に解いてみせます。使う道具は中3の範囲だけ。高校で習う公式は1つも使いません。それでも答えは、高校で出る問題の答えと同じになります。

追加第1問(表9行目:三平方の定理 → 2点間の距離・円の方程式)

座標平面上に がある。

(1) 線分 の長さを求めよ。

(2) 点 を中心とし、点 を通る円について、円周上の点 がみたす式を作れ。

解答(第7章の道具だけ)

(1) から右へ、 から下へ線を引くと直角三角形ができます。横の長さは 、縦の長さは

(2) 円とは「中心からの距離が等しい点の集まり」です。中心 から点 までの距離は、同じように直角三角形を作って 。これが に等しいので

(1) で作ったのが、高校で「2点間の距離の公式」と呼ばれるものです。公式として覚える必要はありません——横の差と縦の差で直角三角形を作れば、その場で出ます(なぜ2点間の距離の公式に平方根が現れるのか)。
(2) がそのまま高校の「円の方程式」です。中3の知識は三平方の定理と「円の定義」の2つだけ。新しく覚えたことは1つもありません(なぜ円の方程式は(x-a)²+(y-b)²=r²なのか)。

検算

円周上にあるはずの点を入れます。。○

中心から右へ の点 。○ 真上の 。○

円の式を作ったら、上下左右の4点を入れて確かめる。中心の符号を間違えていれば、ここで合いません。

追加第2問(表3行目:平方完成 → 2次関数の最小値)

について、 の最小値と、そのときの を求めよ。

解答(第3章の道具だけ)

中3では、平方完成は二次方程式を解くために習います。同じ操作をそのまま使います。

ここで は必ず 以上(2乗だから)。だから より小さくなれません。そして のとき となり、ちょうど になります。

使ったのは平方完成「2乗は0以上」の2つだけです。高校の「2次関数の頂点」も「最大最小」も、やっていることはこれと同じ。頂点 という言葉を知らなくても、答えは出せますなぜ平方完成すると頂点がわかるのか)。FAQで「平方完成は高校3年間ずっと使う」と書いたのは、こういう意味です。

検算

の前後で値を出します。

両側が真ん中より大きいので、たしかに が最小。○

もう1つ、 が同じ値になっていることにも注目してください。放物線が について左右対称だからです。この対称性も検算に使えます。

追加第3問(表8行目:円周角 → 方べきの定理)

円の2本の弦 が、円の内部の点 で交わっている。

のとき、 を求めよ。

解答(第5章・第6章の道具だけ)

三角形 と三角形 に注目します。「等しい角を探す」(見方3)です。

対頂角

に対する円周角

2組の角が等しいので、2つの三角形は相似です。対応する辺の比をとると


いま書いた比の式を、内項と外項の積の形に直してみてください。。これが高校(数学A)で習う方べきの定理です。
つまり方べきの定理は、円周角の定理と相似から出てくる1行にすぎません。中3で「等しい角を探す→相似→辺の比」ができていれば、高校で新しく覚えることは名前だけです(なぜ円周角は中心角の半分になるのかなぜ角が全部等しければ相似になるのか)。

検算

積で確かめます。。○ 一致しました。

比の向きも確かめます。 より短いので、その相方である より長いはず。実際 。○ 「短いほうの相方は長い」——見方2の表にある「短いはずの辺が短くなっているか」の逆向きの確認です。

追加第4問(表10行目:標本調査 → 信頼区間)

白玉と黒玉が合わせて 個入った袋がある。よくかき混ぜて 個を取り出したところ、白玉が 個あった。

袋の中の白玉はおよそ何個と考えられるか。

解答(第8章の道具だけ)

標本の中の白玉の割合は

標本の割合が母集団の割合とほぼ等しいと考えて

答え:およそ 180 個。第8章のとおり、「およそ」を必ず付けます

高校(数学B)だと、その「およそ」に幅がつく

中3では「およそ180個」で終わりますが、高校ではどれくらいの幅で信じてよいかまで数にします。標本の割合 、標本の大きさ から、ゆらぎの目安(標準誤差)は

その約 倍を両側にとると、割合はおよそ 、つまり から 。個数に直すと

これが95%信頼区間です。

中3の「およそ180個」は間違いではありません。高校が足すのは「どれくらいおよそなのか」だけです。そして幅がかなり広いことにも注目してください—— 個しか調べていないので、この程度しか言えない。「標本を増やすと精度が上がる」ことが、 が分母にいることから読み取れます。

検算

単位と現実性を確かめます(第8章の「単位が問題文と合っているか」)。答えは個数で、 個は全体 個の中に収まっています。○

割合でも確かめます。 で、標本の割合と一致。○

信頼区間のほうも、 がどちらも 以上 以下。○ もし範囲が を超えたら、計算がおかしいと分かります。

4題で使った道具と、高校での呼び名

中3で使った道具 高校での呼び名 高校で足されるもの
第1問 三平方の定理 2点間の距離・円の方程式(数学I・II) 直角三角形を作るだけ
第2問 平方完成 2次関数の頂点・最大最小(数学I) 「2乗は0以上」を足すだけ
第3問 円周角+相似 方べきの定理(数学A) 相似の1行が定理そのもの
第4問 標本調査 信頼区間(数学B) 「およそ」に幅がつくだけ

いちばん右の列を見てください。高校で足されるものは、どれもわずかです。中3の道具がそのまま本体で、高校は名前と、少しの精密さを足しているだけ——見方1の表が言いたかったのは、このことでした。

この4題で確認したこと

  • 2点間の距離も円の方程式も、三平方の定理と円の定義だけで作れる。公式として覚える必要はない(追加第1問)。
  • 2次関数の最小値は、平方完成+「2乗は0以上」で出る。「頂点」という言葉を知らなくてよい(追加第2問)。
  • 方べきの定理は、円周角+相似の1行。高校で新しく覚えるのは名前だけ(追加第3問)。
  • 信頼区間は、中3の「およそ」に幅を付けただけ。中3の答えが間違いなのではない(追加第4問)。
  • 検算も中3のまま使える。円は上下左右の4点、放物線は左右対称、相似は長短の向き、標本調査は単位と範囲
  • FAQの「平方完成と三平方の定理を中3のうちに完璧に」は、追加第1問・第2問がその理由です。

各章の演習は 因数分解(基本)特訓道場二次方程式 特訓道場相似と円(基本)特訓道場(追加第3問)、三平方の定理(基本)特訓道場(追加第1問)、標本調査の特訓道場(追加第4問)にあります。単元をまたぐ問題は 中3数学 総合演習の特訓道場 へ。

道具の「なぜ」は、なぜ三平方の定理は相似だけでも証明できるのかなぜ平方完成すると頂点がわかるのかなぜ円周角は中心角の半分になるのかなぜ半円に対する円周角は90°になるのかなぜ2点間の距離の公式に平方根が現れるのか にまとめてあります。

前の学年は 中1数学の要点辞典中2数学の要点辞典、この先は 数学I・Aの要点辞典(3つの見方をまたぐ追加演習つき)、全7ページの逆引きは 数学の要点辞典まとめ にあります。

オンライン数学専門塾 数強塾|プロ講師のみ・完全1対1指導・中高一貫校対応

数強塾オンラインのご案内

体験授業に申し込む入塾受け入れ状況(残席)数学つまずき診断(無料)体験授業の事前案内保護者の方へ高1・高2の方へ医学部志望の方へ保護者様からの声料金・指導システム指導事例・合格実績大学受験 合格実績(集計ルール開示)数強塾グループの理念学校別の数学対策数学の勉強法(記事一覧)数強塾プレミアム(映像授業)獣医学部専門コース鉄緑会・SAPIX等との併用サポート過去問解説・数学問題集毎日の数学(1日1枚 無料プリント)毎日の数学EX(難関大の名問を1日1問)共通テスト・センター数学の全問解説共通テスト「情報Ⅰ」の全問解説情報Ⅰ・情報Ⅱ専門「情報ラボ」情報の過去問アーカイブ(無料PDF)解法テクニック事典(公式・裏ワザ)入試数学の定石(解き方の型・全27章)数学の要点辞典まとめ(中1〜数学III)中1数学の要点辞典(全7単元)中2数学の要点辞典(全6単元)中3数学の要点辞典(全8単元)数学I・Aの要点辞典(全9単元)数学II・B・Cの要点辞典(全12単元)数学IIIの要点辞典(全7単元)論理と証明の要点辞典(全8章)2026年 夏期講習会2026年 冬期講習会代表・藤原進之介について