このページは、中学3年生の数学 全8単元を1ページにまとめた要点辞典です。単元ごとに「使う道具(公式)」「定石(どんな形が来たら何を試すか)」「つまずきポイント」「例題」の4点をそろえてあります。
中3の内容は、高校数学の土台がそのまま出てくる学年です。因数分解も平方根も二次方程式も相似も、高校でそっくり同じ形で使います。だからここを固めておくと、高校に入ってからの伸び方がまったく変わります。
このページで足したのは、公式を「いつ・なぜ使うのか」と、実際に点を落とす場所です。y = ax2 の変域で最小値を 0 にし忘れる、平方根の計算で √ の中を最後まで簡単にしない、相似の面積比を長さの比のまま書く——そういう「知っていれば落とさないところ」を単元ごとに書き出しました。
このページの使い方
頭から通読する必要はありません。いま習っている単元、または次のテスト範囲だけを開いてください。目次から飛べます。
そして、読むだけで終わらせないでください。各単元の最後に例題を置いてあります。解答を見る前に、まず自分で5分だけ手を動かしてみてください。「どの道具を使う場面か」に気づけたかどうかが、その単元を使える状態になっているかの判定になります。
もっと問題を解きたいときは、単元ごとに20題ずつの演習ページがあります 👉 中3数学 総合演習の特訓道場
免責と、このページの作り方について
このページは学習の助けとして書かれたまとめです。正確さを保証するものではありません。最終的な判断は、必ず教科書・学校の先生・信頼できる問題集で確認してください。このページを読んだことで生じた不利益について、数強塾は責任を負いません。
掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書・問題集から問題文や解説を転載したものは一切含まれていません。
目次
この辞典と一緒に使うページ
- 中3数学 総合演習の特訓道場(20題) 単元をまたぐ問題で、実力を確かめられます。
- 中3 因数分解(基本)特訓道場(20題) 第1章の演習はこちら。
- 中3 二次方程式 特訓道場(20題) 第3章の演習はこちら。
- 中3 相似と円(基本)特訓道場(20題) 第5章・第6章の演習はこちら。
- 中3 三平方の定理(基本)特訓道場(20題) 第7章の演習はこちら。
- 中3 標本調査の特訓道場(20題) 第8章の演習はこちら。
- 数学の要点辞典まとめ(中1〜数学III 全7ページ) 単元名から直接その章へ飛べる逆引き表があります。
- 数学I・Aの要点辞典(全9単元) 高校に入ってからの続きはこちら。
- 無料学習プリント・映像授業 単元別のプリントを無料で公開しています。
第1章 展開と因数分解
中2までの「文字式の計算」を、かけ算と、その逆に広げる単元です。
展開はかっこを外して並べる作業、因数分解はその逆で、かっこの形に戻す作業。この2つは行きと帰りの関係なので、片方ができれば、もう片方は必ず検算できます。これが中3の計算単元でいちばん大事な性質です。
ここが怪しければ先に:式の計算(中2) / この先つながる:二次方程式・数と式(数学I・A) / この単元の解法パターン:展開と因数分解 全10型
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 乗法公式① | (x + a)(x + b) = x2 + (a+b)x + ab | いちばん使う |
| 乗法公式② | (x + a)2 = x2 + 2ax + a2 | 真ん中の項は2倍 |
| 乗法公式③ | (x − a)2 = x2 − 2ax + a2 | 符号だけ違う |
| 乗法公式④ | (x + a)(x − a) = x2 − a2 | 真ん中が消える |
| 共通因数 | ma + mb = m(a + b) | 因数分解はまずこれ |
| 因数分解① | x2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b) | 「たしてb、かけてc」 |
| 因数分解② | x2 − a2 = (x + a)(x − a) | 2乗どうしの引き算 |
| 因数分解③ | x2 ± 2ax + a2 = (x ± a)2 | 2乗の形に戻す |
| 文字式による説明 | 整数を n で表して式を作る | 偶数 2n、奇数 2n+1 |
定石
因数分解は、この順番で試す
① 共通因数でくくれないか(いつでも最初にこれ)
② 項が2つで、2乗どうしの引き算か → (x+a)(x−a)
③ 項が3つで、両端が2乗になっているか → (x ± a)2 かもしれない
④ 「たして真ん中、かけて最後」の2数を探す
①を飛ばすのが、いちばん多い失点です。2x2 − 8 をいきなり公式に当てようとしても形が合いません。まず 2 でくくって 2(x2 − 4)、それから 2(x + 2)(x − 2) です。
展開したら、因数分解して戻す。因数分解したら、展開して戻す
この単元は検算が完璧にできるのが強みです。答えを出したら30秒だけ使って戻してみてください。合っていなければ、その場で気づけます。
大きな数の計算は、公式を「使うために」形を作る
1022 を筆算する必要はありません。(100 + 2)2 と見れば 10000 + 400 + 4 = 10404。公式が使える形に自分で作り替える——この動き方は、高校数学でもずっと使います。
文字式による説明は「何を n と置くか」で決まる
・偶数 → 2n
・奇数 → 2n + 1(または 2n − 1)
・連続する2つの整数 → n, n + 1
・連続する3つの整数 → n − 1, n, n + 1(真ん中を n にすると計算が軽い)
・連続する2つの奇数 → 2n − 1, 2n + 1
つまずきポイント
① (x + 3)2 を x2 + 9 にしてしまう。これは誤りです。正しくは x2 + 6x + 9。真ん中の項(2倍したもの)が必ず出ます。不安なら (x+3)(x+3) と書いて、ひとつずつかけてください。
② 共通因数でくくるのを忘れる。3x2 − 12 を「公式が使えない」と諦めないでください。まず 3 でくくると 3(x2 − 4) = 3(x+2)(x−2) になります。
③ 因数分解を途中でやめる。2(x2 − 4) はまだ終わっていません。これ以上分けられないところまでやります。
④ 符号のミス。x2 − 7x + 12 は「たして −7、かけて +12」なので −3 と −4。かけて正なら2数は同符号、たして負ならどちらも負——この判断を先にすると探す範囲が半分になります。
⑤ 文字式の説明で、結論の形を書かない。「4の倍数である」を示したいなら、最後に 4 × (整数) の形にして、「n2 は整数だから、これは4の倍数である」と書いてください。式変形だけで止めると、点になりません。
例題
例題1-1(展開) 次の式を展開してください。
(1) (x + 3)(x − 5) (2) (2x − 3)2
(1) 公式①「たして真ん中、かけて最後」を使います。3 + (−5) = −2、3 × (−5) = −15。
= x2 − 2x − 15
(2) (2x)2 − 2 × 2x × 3 + 32 と当てはめます。
= 4x2 − 12x + 9
答え:(1) x2 − 2x − 15 (2) 4x2 − 12x + 9
確認:x = 1 を入れてみます。(1) 元の式は 4 × (−4) = −16、答えは 1 − 2 − 15 = −16 ✓。(2) 元の式は (−1)2 = 1、答えは 4 − 12 + 9 = 1 ✓
この検算を覚えてください:展開の前と後に、同じ数を代入すれば必ず同じ値になります。x = 1 なら暗算でできるので、テストでも使えます。
例題1-2(因数分解) 次の式を因数分解してください。
(1) x2 − 7x + 12 (2) 2x2 − 8
(1) 「たして −7、かけて 12」になる2数を探します。
かけて +12 なので2数は同符号。たして −7 なのでどちらも負。
候補は (−1, −12), (−2, −6), (−3, −4)。たして −7 になるのは (−3, −4)。
= (x − 3)(x − 4)
(2) まず共通因数 2 でくくります。
2x2 − 8 = 2(x2 − 4)
かっこの中は「2乗どうしの引き算」なので、さらに分けられます。
= 2(x + 2)(x − 2)
答え:(1) (x − 3)(x − 4) (2) 2(x + 2)(x − 2)
確認:展開して戻します。(1) (x−3)(x−4) = x2 − 7x + 12 ✓ (2) 2(x2 − 4) = 2x2 − 8 ✓
(2)を (2x + 4)(x − 2) と書いたら:展開すると 2x2 − 8 になるので値は合っています。ただし 2x + 4 = 2(x + 2) とまだくくれるので、因数分解としては未完成です。数の共通因数は前に出す——これが正しい形です。
例題1-3(計算の工夫) 次の計算を、公式を使って暗算で求めてください。
(1) 1022 (2) 98 × 102
(1) 102 = 100 + 2 と見て、公式②を使います。
(100 + 2)2 = 1002 + 2 × 100 × 2 + 22 = 10000 + 400 + 4 = 10404
(2) 98 = 100 − 2、102 = 100 + 2。公式④の形です。
(100 − 2)(100 + 2) = 1002 − 22 = 10000 − 4 = 9996
答え:(1) 10404 (2) 9996
見つけ方:キリのよい数(100、50、20など)からいくつずれているかを見ます。「両方が同じ数だけ、逆向きにずれている」なら公式④です。97 × 103 なら 1002 − 32 = 9991。
なぜこれを練習するのか:数の計算を速くするためだけではありません。「公式が使える形に、自分で作り替える」という動作の練習です。高校数学では、この作り替えが解法そのものになります。
例題1-4(文字式による説明) 連続する2つの奇数の積に 1 を足すと、4 の倍数になります。このことを説明してください。
手順1:文字で表す。連続する2つの奇数は、整数 n を使って
2n − 1 と 2n + 1
と表せます。(真ん中を 2n にすると、あとの計算が軽くなります)
手順2:式を作って計算する。
(2n − 1)(2n + 1) + 1 = (4n2 − 1) + 1 = 4n2
手順3:結論を書く。n は整数なので n2 も整数です。したがって 4n2 は 4 の倍数です。
よって、連続する2つの奇数の積に 1 を足すと 4 の倍数になります。(説明終わり)
確認:3 × 5 + 1 = 16 = 4 × 4 ✓ 7 × 9 + 1 = 64 = 4 × 16 ✓ 11 × 13 + 1 = 144 = 4 × 36 ✓
置き方で計算量が変わる:もし 2n + 1 と 2n + 3 と置くと、積は 4n2 + 8n + 3 になり、1 を足して 4n2 + 8n + 4 = 4(n2 + 2n + 1)。これでも正解ですが、ひと手間多い。公式④が使える形(対称な置き方)を選ぶと、計算がきれいに終わります。
「結論を書く」が採点対象:4n2 まで出して終わりにすると減点されます。「n2 は整数だから、4n2 は4の倍数」と、最後の一文を必ず書いてください。
例題1-5(置きかえと、4つの項の因数分解) 次の式を因数分解してください。(1) (x + y)2 − 4(x + y) + 3 (2) xy − x − y + 1
考え方:どちらも公式がそのままでは当てはまりません。「公式が使える形に、自分で持っていく」のがこの2問の共通点です。
(1) 同じかたまりを1文字に置く
x + y が2か所に出てきます。くり返し現れるかたまりは、1文字に置くと形が見えます。x + y = A とおくと
A2 − 4A + 3 = (A − 1)(A − 3)
A を戻して (x + y − 1)(x + y − 3)
(2) 項が4つなら、2つずつに分ける
項が4つのときは2つずつ組にして、共通因数を作りにいきます。前2つを x でくくると
x(y − 1) − (y − 1)
ここで y − 1 が共通になったので、これでくくって (x − 1)(y − 1)
答え:(1) (x + y − 1)(x + y − 3) (2) (x − 1)(y − 1)
確認:因数分解したら展開して戻すのが確実です。(2) は (x − 1)(y − 1) = xy − x − y + 1 でもとの式に戻ります。
数を入れて確かめる手もあります。x = 2、y = 3 なら、もとの式は 6 − 2 − 3 + 1 = 2、因数分解した式は 1 × 2 = 2。一致します。1組の数で合えば必ず正しい、とまでは言えませんが、書き間違いはほぼ見つかります。
(2) は後ろ2つを先にくくっても構いません(−(y − 1) の形に気づけるかどうかです)。どちらの組で試すかは決まっていないので、片方でうまくいかなければもう片方に切りかえます。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 因数分解でまず共通因数を見たか | 公式が当てはまらず止まる |
| これ以上分けられないか確認したか | 未完成で減点 |
| (x+a)2 | x2+a2 |
| 展開して戻して検算したか | 符号ミスに気づけない |
| 2数の符号を先に決めたか | 候補を全部試して時間を失う |
| 説明問題で結論の一文を書いたか | 式は合っているのに点が来ない |
もっと解きたい方へ 👉 中3 因数分解(基本)特訓道場(20題と全解説)
第2章 平方根
√2 は「2乗すると2になる正の数」です。それ以上の意味はありません。ここを言葉で言い直せるかどうかで、この単元の見え方がまったく変わります。
そして平方根は、中3で初めて「正確な値が書けない数」を扱う単元でもあります。√2 = 1.41421356… と小数で書き続けても終わりません。だから √2 という記号のまま計算する——それがこの単元の作法です。
ここが怪しければ先に:正負の数(中1) / この先つながる:数と式(数学I・A)・三平方の定理 / この単元の解法パターン:平方根 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 6枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 平方根の定義 | (√a)2 = a(a ≥ 0) | すべての出発点 |
| √ の値は0以上 | √(a2) = |a| | 負にはならない |
| 積と商 | √a × √b = √(ab)、√a ÷ √b = √(a/b) | 中どうしで計算できる |
| 外に出す | √(a2b) = a√b | 2乗の因数を外へ |
| 足し算・引き算 | m√a + n√a = (m + n)√a | 中が同じときだけ |
| 有理化 | 1/√a = √a/a | 分母に√を残さない |
| 2項の有理化 | 1/(√a − b) は (√a + b) を掛ける | 公式④を使う |
| 大小 | a < b ⇔ √a < √b(a, b ≥ 0) | 2乗して比べる |
| 整数部分・小数部分 | √5 = 2 + (√5 − 2) | はさんでから引く |
定石
まず「√の中を、いちばん小さくする」
計算を始める前に、すべての √ を簡単にしておきます。そうしないと、足せるはずのものが足せません。
√12 + √27 は、そのままでは足せません。しかし
√12 = √(4 × 3) = 2√3、√27 = √(9 × 3) = 3√3
と直すと、どちらも √3 の仲間だとわかります。
2√3 + 3√3 = 5√3
√ の足し算は、文字式の 2a + 3a = 5a とまったく同じです。√3 を a だと思ってください。
中を小さくするには「2乗の因数」を探す
√50 なら、50 = 25 × 2 と分けて 5√2。探すのは 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100 のどれで割り切れるかだけです。この9個を上から試せば必ず見つかります。
有理化は「分母から √ を消す」
分母が √a だけ → 分母分子に √a を掛ける
分母が √a − b の形 → 分母分子に √a + b を掛ける(公式④で √ が消える)
大小や整数部分は「はさむ」
√5 がいくつかを知りたいなら、前後の平方数ではさみます。4 < 5 < 9 なので 2 < √5 < 3。だから整数部分は 2、小数部分は √5 − 2 です。
つまずきポイント
① √2 + √3 = √5 としてしまう。これは誤りです。足し算では中どうしを足せません。(実際 √2 + √3 ≒ 3.15、√5 ≒ 2.24 で全然違います)中どうしを計算してよいのは、かけ算と割り算だけです。
② √ の中を小さくしないまま進める。√8 + √2 を「足せない」と諦めないでください。√8 = 2√2 なので 2√2 + √2 = 3√2 です。計算を始める前に、全部の √ を簡単にするのが手順です。
③ √(a2) = a だと思う。a が負なら成り立ちません。√((−3)2) = √9 = 3 であって −3 ではありません。√ の値は必ず0以上です。
④ 有理化を忘れる。答えの分母に √ が残っていたら、まだ終わっていません。
⑤ 分配法則を √ の外に効かせ忘れる。√2(√2 + 3) = 2 + 3√2 です。√2 × √2 = 2 になることを見落として √2 + 3√2 としないように。
⑥ 近似値を使って答える。「√2 ≒ 1.41 だから答えは 2.82」は、聞かれていない限り誤りです。指示がなければ √ のまま答えます。
例題
例題2-1(√を簡単にする) 次の数を、√ の中がいちばん小さい自然数になるように直してください。
(1) √12 (2) √50 (3) √12 + √27 − √48
(1) 12 = 4 × 3 なので √12 = √4 × √3 = 2√3
(2) 50 = 25 × 2 なので √50 = 5√2
(3) 全部そろえてから計算します。
√12 = 2√3、√27 = √(9 × 3) = 3√3、√48 = √(16 × 3) = 4√3
2√3 + 3√3 − 4√3 = (2 + 3 − 4)√3 = √3
答え:(1) 2√3 (2) 5√2 (3) √3
確認:(3) を電卓で見ると 3.464 + 5.196 − 6.928 = 1.732。√3 ≒ 1.732 と一致します。
探し方のコツ:√48 なら、48 を 4, 9, 16, 25, 36 で割ってみます。48 ÷ 16 = 3 で割り切れるので 4√3。いちばん大きい平方数で割ると、一度で終わります(4 で割って 2√12 としても、まだ √12 = 2√3 と続くので二度手間になります)。
例題2-2(有理化) 次の数の分母を有理化してください。
(1) 3/√2 (2) 2/(√3 − 1)
(1) 分母分子に √2 を掛けます。
3/√2 = (3 × √2)/(√2 × √2) = 3√2/2
(2) 分母が「√ − 数」の形なので、符号を変えたもの(√3 + 1)を分母分子に掛けます。
2/(√3 − 1) = {2(√3 + 1)} / {(√3 − 1)(√3 + 1)}
分母は公式④で (√3)2 − 12 = 3 − 1 = 2。
= {2(√3 + 1)} / 2 = √3 + 1
答え:(1) 3√2/2 (2) √3 + 1
確認:(2) の元の式は 2 ÷ (1.732 − 1) = 2 ÷ 0.732 ≒ 2.73。答えは 1.732 + 1 = 2.73 ✓
(2)で公式④が使える理由:(√3 − 1)(√3 + 1) は (a − b)(a + b) = a2 − b2 の形です。2乗すると √ が消える——だから符号を変えたものを掛けるのです。第1章の乗法公式が、そのまま道具になっています。
例題2-3(√の計算) 次の式を計算してください。
(1) (√3 + √2)2 (2) (√5 + 2)(√5 − 2)
(1) 公式②を使います。(√3)2 + 2 × √3 × √2 + (√2)2
= 3 + 2√6 + 2 = 5 + 2√6
(2) 公式④の形です。(√5)2 − 22 = 5 − 4 = 1
答え:(1) 5 + 2√6 (2) 1
確認:(1) (1.732 + 1.414)2 = 3.1462 ≒ 9.90。答えは 5 + 2 × 2.449 = 9.90 ✓
(2)がきれいに1になる意味:√5 + 2 と √5 − 2 は、掛けると √ が消えるペアです。だから 1/(√5 − 2) を有理化すると √5 + 2 になります。有理化とこの計算は、同じ性質の表と裏です。
例題2-4(大小と整数部分) √5 の整数部分と小数部分を求めてください。また、その小数部分を a とするとき a2 + 4a の値を求めてください。
手順1:平方数ではさむ。
22 = 4、32 = 9。4 < 5 < 9 なので
2 < √5 < 3
したがって整数部分は 2。
手順2:小数部分を出す。小数部分は「もとの数 − 整数部分」なので
a = √5 − 2
手順3:代入する。そのまま代入すると計算が重いので、先に式を変形します。
a2 + 4a = a(a + 4)
a = √5 − 2 なので a + 4 = √5 + 2。
a(a + 4) = (√5 − 2)(√5 + 2) = 5 − 4 = 1
答え:整数部分 2、小数部分 √5 − 2、a2 + 4a = 1
確認:√5 ≒ 2.236 なので a ≒ 0.236。0.2362 + 4 × 0.236 ≒ 0.056 + 0.944 = 1.00 ✓
そのまま代入したら:(√5 − 2)2 + 4(√5 − 2) = (9 − 4√5) + (4√5 − 8) = 1。同じ答えですが、√5 の項が打ち消し合うのを最後まで待つことになります。先に因数分解して、公式④が使える形を作るほうが速くて安全です。
この考え方は高校でも出ます:√ を含む数の計算では、代入する前に式を整理するのが基本です。数学I・Aの「対称式」の考え方につながります。
例題2-5(√が整数になる条件) (1) √(48n) が整数になるような自然数 n のうち、最小のものを求めてください。(2) √(120/n) が整数になるような自然数 n をすべて求めてください。
考え方:√ が整数になるのは、中身が「2乗の数(平方数)」になっているときです。だからこの型ではまず素因数分解して、指数がすべて偶数になるには何が足りないかを見ます。
(1) 48 = 24 × 3。2 は4個(偶数個)なのでそのまま外に出せますが、3 が1個だけ余っています。
√(48n) = 4√(3n) なので、3n が平方数になればよい。最小は 3n = 9、つまり n = 3。
このとき √(48 × 3) = √144 = 12 で、確かに整数です。
(2) 120 = 23 × 3 × 5。今度は割るので、条件が2つになります。
① n は 120 の約数(そうでないと 120/n が整数にならない)
② 120/n が平方数
120 の約数のうち平方数は 1 と 4 だけです(9、16、25 は 120 を割り切りません)。
120/n = 1 → n = 120、120/n = 4 → n = 30。
答え:(1) n = 3 (2) n = 30, 120
確認:(2) を検算すると √(120/30) = √4 = 2、√(120/120) = √1 = 1。どちらも整数です。
この型でいちばん多い誤りは、(2) で「120 の約数である」という条件を忘れることです。120/n が平方数という条件だけを追うと、分数の平方数まで拾ってしまいます。「整数になる」と書かれていたら、割り切れるかどうかを先に確かめてください。
また (1) で「最小の」と聞かれている点も大事です。n = 12, 27, 48 なども条件を満たしますが、問われているのは最小の1つ。条件を満たす数を全部書くのか、最小を1つ書くのかを、問題文で必ず確かめてください。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 計算前に √ の中を小さくしたか | 足せるはずのものが足せない |
| 足し算で中どうしを足していないか | まったく違う値になる |
| 分母に √ が残っていないか | 未完成で減点 |
| √(a2) | 負の値を答えてしまう |
| 代入前に式を整理したか | 計算が重くなる |
| 指示がないのに近似値にしていないか | 答えの形が違う |
もっと解きたい方へ 👉 平方根の特訓道場(20題と全解説)
第3章 二次方程式
中1で 2x + 3 = 7、中2で連立方程式、そして中3で x2 が入った方程式に進みます。
大事なのは解き方が3つあり、問題によって使い分けるということ。どれを使うかを最初に決められれば、この単元は難しくありません。
ここが怪しければ先に:展開と因数分解・平方根 / この先つながる:2次関数(数学I・A)・複素数と方程式(数学II・B・C) / この単元の解法パターン:二次方程式 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 7枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 平方根の考え | x2 = k → x = ±√k | x |
| (x + m)2 = k → x + m = ±√k | かっこの2乗になっている | |
| 因数分解 | (x − a)(x − b) = 0 → x = a, b | いちばん速い。まずこれを試す |
| 「積が0」の性質 | AB = 0 ⇔ A = 0 または B = 0 | 因数分解で解ける理由 |
| 平方完成 | x2 + px = (x + p/2)2 − (p/2)2 | 係数の半分の2乗を足し引き |
| 解の公式 | x = {−b ± √(b2 − 4ac)} / (2a) | どんな形でも解ける |
| 解の個数 | b2 − 4ac の符号 | 正なら2個、0なら1個 |
| 文章題 | 求めるものを x とおく | 答えの吟味が必須 |
定石
解き方は、この順番で選ぶ
① x2 = k や (x + m)2 = k の形か → そのまま ±√ をつける
② 因数分解できるか → できれば因数分解(いちばん速い)
③ できなければ解の公式 → 必ず解ける
②を先に試すのが要点です。x2 − 5x + 6 = 0 に解の公式を当てても答えは出ますが、因数分解なら5秒で終わります。「たして真ん中、かけて最後」の2数がすぐ見つかるかどうかを、10秒だけ考えてください。見つからなければ迷わず公式です。
因数分解で解ける理由は「積が0」
(x − 2)(x − 3) = 0 から x = 2, 3 が出るのは、2つの数の積が0なら、少なくとも一方は0だからです。
だから右辺が0でないと使えません。(x − 2)(x − 3) = 2 から「x − 2 = 2 または x − 3 = 2」とするのは誤りです。積が2になる組み合わせは無数にあるからです。必ず「=0」に直してから因数分解します。
平方完成は「係数の半分の2乗」
x2 − 4x なら、x の係数 −4 の半分は −2、その2乗は 4。だから x2 − 4x = (x − 2)2 − 4。足したぶんは引く——これだけです。
文章題は「答えの吟味」まで書いて終わり
長さや人数を x とおいたなら、x は正の数でなければなりません。方程式の解が2つ出ても、問題の条件に合わないほうは捨てます。この一文が書けているかどうかで点が変わります。
つまずきポイント
① 右辺を0にせずに因数分解する。これが最頻出のミスです。必ず「=0」の形に直してから始めてください。
② x2 = 9 の解を x = 3 だけにする。負のほうも解です。x = ±3。√ をつけたら ± も忘れないでください。
③ 解の公式で符号を落とす。−b の部分と、b2 − 4ac の −4ac の部分。c が負なら −4ac は正になります。a, b, c を先に書き出してから代入するとミスが減ります。
④ 答えの √ を簡単にしない、約分しない。(4 ± √8)/2 は (4 ± 2√2)/2 = 2 ± √2 まで直します。
⑤ 文章題で答えを吟味しない。「長さが −8 cm」はあり得ません。解が2つ出たら、両方が条件に合うか確かめてください。両方合う問題もあります。
⑥ x2 = 5x の両辺を x で割る。これをすると x = 0 という解が消えます。移項して x(x − 5) = 0 とすれば、x = 0, 5 の両方が出ます。
例題
例題3-1(因数分解で解く) x2 − 5x + 6 = 0 を解いてください。
手順1:因数分解できるか試す。「たして −5、かけて 6」になる2数は −2 と −3。
(x − 2)(x − 3) = 0
手順2:「積が0」を使う。
x − 2 = 0 または x − 3 = 0
x = 2, 3
答え:x = 2, 3
確認:x = 2 なら 4 − 10 + 6 = 0 ✓ x = 3 なら 9 − 15 + 6 = 0 ✓
解の公式でやると:x = {5 ± √(25 − 24)}/2 = (5 ± 1)/2 = 3, 2。同じ答えですが手数が多い。因数分解が見えたら、そちらを使ってください。
例題3-2(平方完成で解く) x2 − 4x − 1 = 0 を、平方完成を使って解いてください。
手順1:定数項を右へ移す。
x2 − 4x = 1
手順2:「係数の半分の2乗」を両辺に足す。x の係数は −4、半分は −2、2乗は 4。
x2 − 4x + 4 = 1 + 4
(x − 2)2 = 5
手順3:平方根をとる。
x − 2 = ±√5
x = 2 ± √5
答え:x = 2 + √5, 2 − √5
確認:√5 ≒ 2.236 なので x ≒ 4.236 または −0.236。x = 4.236 を入れると 17.94 − 16.94 − 1 ≒ 0 ✓
なぜ「半分の2乗」なのか:(x + m)2 = x2 + 2mx + m2 だからです。x の係数は 2m なので、m はその半分。そして足すべき定数は m2、つまり半分の2乗。第1章の公式②を逆から使っているだけです。
この計算が高校でそのまま出ます:数学Iの2次関数では、平方完成が頂点を出す道具になります。ここで手が動くようにしておくと、高校で大きく差がつきます。
例題3-3(解の公式) 2x2 + 3x − 1 = 0 を解いてください。
手順1:a, b, c を書き出す。
a = 2、b = 3、c = −1
手順2:√ の中を先に計算する。
b2 − 4ac = 32 − 4 × 2 × (−1) = 9 + 8 = 17
(c が負なので −4ac は足し算になります。ここが最大の注意点)
手順3:公式に入れる。
x = (−3 ± √17) / (2 × 2) = (−3 ± √17) / 4
答え:x = (−3 + √17)/4, (−3 − √17)/4
確認:√17 ≒ 4.123 なので x ≒ 0.281 または −1.781。x = 0.281 を入れると 2(0.0790) + 0.843 − 1 ≒ 0.001。ほぼ0で ✓
手順を分ける理由:解の公式のミスは、ほとんどが√ の中の符号です。だから先に b2 − 4ac だけを計算して、数を確定させてから公式に入れます。1行増えますが、事故が激減します。
√17 は簡単にできるか:17 は素数なので、これ以上小さくできません。そのままが答えです。
例題3-4(文章題) 縦が横より 3 cm 長い長方形があり、その面積は 40 cm2 です。横の長さを求めてください。
手順1:求めるものを x とおく。横の長さを x cm とします。このとき x > 0(長さだから)。
縦は x + 3 cm。
手順2:式を作る。面積は「縦 × 横」なので
x(x + 3) = 40
手順3:解く。「=0」の形に直します。
x2 + 3x − 40 = 0
「たして 3、かけて −40」は 8 と −5。
(x + 8)(x − 5) = 0 → x = −8, 5
手順4:答えを吟味する。x は長さなので x > 0。x = −8 は問題に合わないので捨てます。
答え:横の長さは 5 cm
確認:横 5 cm、縦 5 + 3 = 8 cm。面積は 5 × 8 = 40 cm2 ✓
吟味の書き方:「x > 0 より x = −8 は問題に適さない。よって x = 5」と、はっきり書いてください。解を2つ出して片方に丸をつけるだけでは、なぜ捨てたのかが伝わりません。
両方が答えになる問題もある:たとえば「ある数を2乗すると、その数の3倍より4大きい」なら x2 = 3x + 4 → x = 4, −1。「ある数」に正の制限がなければ、両方とも答えです。捨てるかどうかは、問題文の条件で決まります。
例題3-5(解から係数を求める) (1) 二次方程式 x2 + ax + b = 0 の解が 2 と −5 であるとき、a、b の値を求めてください。(2) x2 − 3x + k = 0 の1つの解が 1 であるとき、k の値ともう1つの解を求めてください。
考え方:解が与えられている問題では、使える手が2つあります。①「解を代入すると式が成り立つ」 ②「解がわかっていれば因数分解の形が書ける」。解が2つとも与えられているなら②、1つだけなら①——この使い分けで手数が変わります。
(1) 解が 2 と −5 なので、方程式は (x − 2)(x + 5) = 0 と書けます。展開すると
x2 + 3x − 10 = 0
もとの式 x2 + ax + b = 0 と見比べて a = 3、b = −10。
(2) 解が1つしかわからないので、代入します。x = 1 を入れると
1 − 3 + k = 0 → k = 2
このとき方程式は x2 − 3x + 2 = 0、つまり (x − 1)(x − 2) = 0 なので、もう1つの解は 2。
答え:(1) a = 3、b = −10 (2) k = 2、もう1つの解は 2
確認:(1) は x2 + 3x − 10 = 0 を実際に解くと (x − 2)(x + 5) = 0 から x = 2, −5。与えられた解と一致します。
(2) でよくある誤りは、k を求めたところで止めてしまうことです。問題文は「もう1つの解」も聞いています。k を代入した式に戻って、最後まで解いてください。
なお (1) を「代入」で解くこともできます。x = 2 と x = −5 をそれぞれ入れて連立方程式を作る方法です。答えは同じですが、因数分解の形から入るほうが式が1本で済みます。どちらでも正解なので、思いついたほうで進めて構いません。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 「=0」の形に直したか | 因数分解が使えない |
| 因数分解を先に試したか | 手数が増える |
| ± | 解を半分落とす |
| b2−4ac | 符号ミスが起きる |
| 答えの √ を簡単に、分数を約分したか | 未完成で減点 |
| 文章題で答えを吟味したか | あり得ない答えを書く |
もっと解きたい方へ 👉 中3 二次方程式 特訓道場(20題と全解説)
第4章 関数 y = ax2
中1で比例(y = ax)、中2で一次関数(y = ax + b)、そして中3で2乗に比例する関数に進みます。
グラフは放物線という左右対称の曲線になります。直線と違って折り返す——この一点だけで、変域の問題の答えが変わります。この単元でいちばん差がつくのがそこです。
ここが怪しければ先に:一次関数(中2) / この先つながる:2次関数(数学I・A) / この単元の解法パターン:関数 y=ax² 全10型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 48枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 式 | y = ax2 | a |
| 比例定数の決定 | 1組の (x, y) を代入 | 点が1つわかれば決まる |
| グラフ | 原点を頂点とする放物線 | a > 0 で上に開く |
| 対称性 | y 軸について対称 | x |
| 変域 | x = 0 を含むかで答えが変わる | この単元最大の注意点 |
| 変化の割合 | (y の増加量) / (x の増加量) | 一次関数と違い一定でない |
| 変化の割合の公式 | x が p から q のとき a(p + q) | 検算に使える |
| 放物線と直線 | 連立して二次方程式に | 交点を求める |
| 三角形の面積 | y 軸上の点を底辺にとる | 高さは x 座標の差 |
定石
変域は「グラフを描いて、通る範囲を見る」
これがこの単元の核心です。一次関数なら「両端を代入すれば終わり」でしたが、放物線では通用しません。
y = x2 で −1 ≤ x ≤ 3 のとき、両端を代入すると 1 と 9。しかし答えは 1 ≤ y ≤ 9 ではありません。
x = 0 のとき y = 0 になるので、正しくは 0 ≤ y ≤ 9 です。
変域に x = 0 が入っているかどうかを、必ず確認してください。入っていれば、a > 0 のとき最小値は 0 です。
変化の割合は「2点を通る直線の傾き」
y = ax2 の変化の割合は一定ではありません。どこからどこまでかによって変わります。計算は「y の増加量 ÷ x の増加量」で、これは2点を結んだ直線の傾きと同じものです。
公式 a(p + q) を使うと速いですが、まず定義どおりに計算できるようにして、公式は検算に使うのが安全です。
放物線と直線の交点は、連立して二次方程式
y = x2 と y = x + 2 なら、x2 = x + 2 として x2 − x − 2 = 0。第3章がそのまま使えます。
三角形の面積は「y 軸を底辺にする」
放物線と直線でできる三角形の面積を求めるとき、直線が y 軸を切る点を使うと計算が軽くなります。底辺は y 軸上の長さ、高さは x 座標の差です。
つまずきポイント
① 変域で両端だけを代入する。この単元で最も多い失点です。x の変域が 0 をまたいでいたら、y の最小値(a > 0 のとき)は 0 です。グラフを描けば一目でわかります。
② 変化の割合を一定だと思う。一次関数の感覚を持ち込まないでください。y = x2 は、x が 0→1 なら割合 1、1→2 なら 3。場所によって変わります。
③ a が負のときの向きを間違える。a < 0 なら下に開く放物線で、x = 0 のときが最大になります。
④ 交点を求めたあと、y 座標を出し忘れる。x だけ求めて満足しないでください。点の座標を聞かれているなら (x, y) の形で答えます。
⑤ 「変域」と「定義域」の言葉に戸惑う。中学では「x の変域」「y の変域」といいます。高校では「定義域」「値域」と呼び方が変わりますが、意味は同じです。
例題
例題4-1(比例定数を決める) y は x の2乗に比例し、x = 2 のとき y = 12 です。y を x の式で表し、x = −3 のときの y を求めてください。
手順1:式の形を書く。「2乗に比例」なので y = ax2。
手順2:わかっている点を代入する。
12 = a × 22 = 4a → a = 3
したがって y = 3x2
手順3:x = −3 を代入する。
y = 3 × (−3)2 = 3 × 9 = 27
答え:y = 3x2、x = −3 のとき y = 27
符号に注意:(−3)2 = 9 であって −9 ではありません。2乗すると必ず0以上になります。−32 と書くと −9 の意味になってしまうので、かっこを必ず付けてください。
対称性の確認:x = 3 でも y = 27 です。y 軸について対称なので、x と −x で同じ値になります。
例題4-2(変域) y = x2 について、x の変域が −1 ≤ x ≤ 3 のときの y の変域を求めてください。
手順1:グラフを思い浮かべる。原点を頂点とする、上に開いた放物線です。
手順2:x = 0 が変域に入っているか確認する。−1 ≤ 0 ≤ 3 なので入っています。だから y は 0 になります。
手順3:いちばん大きい y を探す。原点から遠いほど y が大きくなるので、x = −1 と x = 3 を比べます。
x = −1 → y = 1/x = 3 → y = 9
大きいほうは 9。
答え:0 ≤ y ≤ 9
よくある誤答:両端だけを代入して 1 ≤ y ≤ 9 とするもの。x = 0 のとき y = 0 になるので、これは誤りです。実際 x = 0.5 なら y = 0.25 で、1 より小さい値が出てしまいます。
判定のしかたを覚える
| x の変域 | y = x2 の変域 |
|---|---|
| 1 ≤ x ≤ 3(0を含まない) | 1 ≤ y ≤ 9 |
| −3 ≤ x ≤ −1(0を含まない) | 1 ≤ y ≤ 9 |
| −1 ≤ x ≤ 3(0を含む) | 0 ≤ y ≤ 9 |
| −3 ≤ x ≤ 1(0を含む) | 0 ≤ y ≤ 9 |
0を含むかどうかだけで決まります。含むなら最小は 0、含まないなら両端のうち原点に近いほうが最小です。
例題4-3(変化の割合) y = 2x2 について、x が 1 から 3 まで増加するときの変化の割合を求めてください。
手順1:両端の y を計算する。
x = 1 のとき y = 2 × 1 = 2
x = 3 のとき y = 2 × 9 = 18
手順2:定義どおり割る。
(18 − 2) ÷ (3 − 1) = 16 ÷ 2 = 8
答え:8
公式で検算:y = ax2 で x が p から q まで変わるとき、変化の割合は a(p + q)。
2 × (1 + 3) = 8 ✓
なぜ a(p+q) になるのか:
(aq2 − ap2) ÷ (q − p) = a(q2 − p2) ÷ (q − p) = a(q + p)(q − p) ÷ (q − p) = a(p + q)
第1章の公式④で因数分解して、約分しているだけです。公式として覚えなくても、その場で作れます。
一次関数との違いを確かめる:同じ y = 2x2 で x が 0 から 2 なら、割合は 2 × (0 + 2) = 4。区間が変われば割合も変わります。一次関数では常に一定だったので、ここは感覚を切りかえてください。
例題4-4(放物線と直線) 放物線 y = x2 と直線 y = x + 2 の交点を A, B(A の x 座標のほうが小さい)とします。
(1) A, B の座標を求めてください。
(2) 原点 O と A, B でできる三角形 OAB の面積を求めてください。
(1) 連立して解く。y を消して
x2 = x + 2 → x2 − x − 2 = 0 → (x + 1)(x − 2) = 0 → x = −1, 2
y 座標も出します。x = −1 なら y = 1、x = 2 なら y = 4。
A(−1, 1)、B(2, 4)
(2) 面積を求める。直線 y = x + 2 が y 軸と交わる点を C とすると C(0, 2)。
三角形 OAB を、OC を共通の底辺とする2つの三角形に分けます。
・三角形 OCA:底辺 OC = 2、高さは A の x 座標の絶対値 1
・三角形 OCB:底辺 OC = 2、高さは B の x 座標 2
(1/2) × 2 × 1 + (1/2) × 2 × 2 = 1 + 2 = 3
答え:(1) A(−1, 1)、B(2, 4) (2) 面積 3
まとめて計算する形:(1/2) × OC × (B の x 座標 − A の x 座標) = (1/2) × 2 × {2 − (−1)} = (1/2) × 2 × 3 = 3。y 軸で切って、左右の幅を足す——この形で覚えておくと速いです。
確認:A(−1,1), B(2,4), O(0,0) の三角形は、座標の格子を数えても面積 3 になります。
この形は高校でも頻出です:数学IIの「放物線と直線で囲まれた面積」(6分の1公式)は、この問題の続きにあたります 👉 数学II・B・Cの要点辞典
例題4-5(放物線と三角形の面積) 放物線 y = x2 上に2点 A(−1, 1)、B(2, 4) があります。原点を O とするとき、△OAB の面積を求めてください。
考え方:三角形の面積は「底辺 × 高さ ÷ 2」ですが、この形では底辺をどこに取るかで手間がまったく変わります。AB を底辺にすると、O から AB までの距離(高さ)を出すのが大変です。
そこで直線 AB と y 軸の交点 C を取り、OC を底辺にします。OC は y 軸上にあるので長さがすぐ出て、高さは A と B の x 座標そのもの——これがこの型の定石です。
① 直線 AB を求める:傾きは (4 − 1) / (2 − (−1)) = 3 / 3 = 1。A(−1, 1) を通るので y = x + 2。よって C(0, 2)、OC = 2。
② OC で2つに分ける:△OAB = △OAC + △OCB。どちらも底辺は OC = 2、高さはそれぞれ |−1| = 1、|2| = 2 なので
(1/2) × 2 × 1 + (1/2) × 2 × 2 = 1 + 2 = 3
答え:3
確認:高さに使うのは、A と B の x 座標の絶対値です。A は y 軸の左、B は右にあるので、2つを足します。もし A と B が y 軸の同じ側にあるなら、足すのではなく引くことになります。図を描いて、O から見て左右に分かれているかを必ず確かめてください。
なお A、B が y = x2 上にあることは (−1)2 = 1、22 = 4 で確かめられます。与えられた点が本当に放物線上にあるかを最初に見ておくと、写し間違いに気づけます。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 変域に x = 0 が入るか見たか | 最小値を書き間違える |
| グラフを描いて確かめたか | 両端代入で誤答 |
| 変化の割合を一定だと思っていないか | 一次関数の感覚を持ち込む |
| 負の数の2乗にかっこを付けたか | 符号が逆になる |
| 交点は y 座標まで出したか | 答えが不完全 |
| 面積は y 軸で切って計算したか | 計算が重くなる |
もっと解きたい方へ 👉 関数 y=ax² とは グラフ・変域・変化の割合(無料問題PDF)
第5章 相似
中2の「合同」は形も大きさも同じでしたが、相似は形は同じで大きさが違う図形を扱います。
この単元の価値は、直接測れない長さが求められるようになることです。木の高さ、川の幅、地図上の距離——相似はそのための道具です。
ここが怪しければ先に:平行と合同(中2) / この先つながる:図形と計量(数学I・A)・図形の性質(数学I・A) / この単元の解法パターン:相似 全12型 / この単元を1日1枚で:毎日の数学 8枚
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 相似の記号 | △ABC ∽ △DEF | 対応する順に書く |
| 相似条件① | 3組の辺の比がすべて等しい | 辺だけわかっているとき |
| 相似条件② | 2組の辺の比とその間の角が等しい | 辺2つと角1つ |
| 相似条件③ | 2組の角がそれぞれ等しい | いちばんよく使う |
| 平行線と線分の比 | DE // BC なら AD : AB = DE : BC | 三角形の中の平行線 |
| 中点連結定理 | MN // BC、MN = BC / 2 | 2辺の中点を結ぶ |
| 面積比 | 相似比 m : n → 面積比 m2 : n2 | 2乗 |
| 体積比 | 相似比 m : n → 体積比 m3 : n3 | 3乗 |
| 直角三角形の垂線 | 3つの相似な三角形ができる | 頻出の形 |
定石
相似を示すときは、まず「角」を2つ探す
相似条件は3つありますが、実際に使うのは③(2組の角)がほとんどです。角のほうが見つけやすいからです。
等しい角の見つけどころ
・共通の角(2つの三角形が同じ角を共有している)
・平行線の錯角・同位角
・直角(垂線が引いてある)
・対頂角
・円周角(第6章)
相似を書くときは「対応する順」を守る
△ABC ∽ △DEF と書いたら、A と D、B と E、C と F が対応しています。順番を守って書けば、辺の比は自動的に AB : DE = BC : EF = CA : FD と読めます。順番を崩すと、比を書き間違えます。
面積比は2乗、体積比は3乗
なぜ2乗・3乗になるのか:面積は「縦 × 横」なので長さを2回かけている、体積は「縦 × 横 × 高さ」なので3回かけている。だから相似比が2倍なら、面積は 2 × 2 = 4 倍、体積は 2 × 2 × 2 = 8 倍です。
公式として覚えるより、「長さを何回かけているか」で考えるほうが忘れません。
直角三角形に垂線を引くと、3つの相似な三角形ができる
これは中3で最も出る形のひとつです。∠A = 90° の三角形 ABC で、A から BC に垂線 AH を引くと
△ABC ∽ △HBA ∽ △HAC
の3つが相似になります。大・中・小の3つが全部同じ形——ここから多くの関係式が出ます。
つまずきポイント
① 面積比を、長さの比のまま書く。相似比 2 : 3 なら面積比は 2 : 3 ではなく 4 : 9 です。この単元でいちばん多い失点です。
② 対応の順を崩して書く。△ABC ∽ △EFD のように、対応がずれた順で書くと比がすべて狂います。等しい角の頂点どうしを並べて書いてください。
③ 平行線がないのに「線分の比」を使う。DE : BC = AD : AB が成り立つのは、DE // BC のときだけです。平行の根拠を確認してください。
④ 相似の証明で、根拠を書かない。「2組の角がそれぞれ等しいから」と使った条件の名前を書いてください。角が等しい理由(共通・錯角など)も1つずつ書きます。
⑤ 中点連結定理を、中点でないところに使う。2辺の中点を結んだときだけ成り立ちます。1 : 2 に分ける点なら、平行線と線分の比を使ってください。
例題
例題5-1(平行線と線分の比) 三角形 ABC の辺 AB 上に点 D、辺 AC 上に点 E があり、DE // BC です。AD : DB = 2 : 3、BC = 10 cm のとき、DE の長さを求めてください。
手順1:比を「全体との比」に直す。AD : DB = 2 : 3 なので、AB 全体は 2 + 3 = 5。
AD : AB = 2 : 5
手順2:相似を使う。DE // BC なので △ADE ∽ △ABC(同位角が等しく、角 A は共通)。
DE : BC = AD : AB = 2 : 5
手順3:計算する。
DE : 10 = 2 : 5 → 5 × DE = 20 → DE = 4
答え:DE = 4 cm
ここでの落とし穴:AD : DB = 2 : 3 をそのまま DE : BC = 2 : 3 としてしまう誤りが非常に多い。比べる相手は DB ではなく AB(全体)です。「部分 : 部分」を「部分 : 全体」に直してから使ってください。
検算のしかた:DE = 4 は BC = 10 より短い——三角形の中にある線分なので、当然短くなるはずです。もし答えが BC より長くなったら、比を逆に使っています。
例題5-2(面積比と体積比) 相似比が 2 : 3 である2つの三角形があり、小さいほうの面積は 12 cm2 です。
(1) 大きいほうの面積を求めてください。
(2) 相似比 2 : 3 の2つの立体で、小さいほうの体積が 40 cm3 のとき、大きいほうの体積を求めてください。
(1) 相似比 2 : 3 なので、面積比は 22 : 32 = 4 : 9。
12 : x = 4 : 9 → 4x = 108 → x = 27
(2) 体積比は 23 : 33 = 8 : 27。
40 : y = 8 : 27 → 8y = 1080 → y = 135
答え:(1) 27 cm2 (2) 135 cm3
確認:(1) 12 × (9/4) = 27 ✓ (2) 40 × (27/8) = 135 ✓
覚え方:「面積は2回、体積は3回、長さをかけている」。だから比も2乗・3乗になります。相似比を 1 : 2 にして、実際に正方形と立方体で確かめてみると納得できます(面積は4倍、体積は8倍)。
逆向きも押さえる:面積比が 9 : 16 なら、相似比は 3 : 4(√をとる)。体積比が 8 : 125 なら相似比は 2 : 5(3乗根をとる)。この向きで聞かれることもあります。
例題5-3(中点連結定理) 三角形 ABC で、辺 AB の中点を M、辺 AC の中点を N とします。BC = 12 cm のとき MN の長さを求め、その理由を説明してください。
答え:MN = 6 cm
理由 M, N はそれぞれ AB, AC の中点なので
AM : AB = 1 : 2、AN : AC = 1 : 2
角 A は共通なので、2組の辺の比とその間の角が等しく、△AMN ∽ △ABC(相似比 1 : 2)。
したがって MN : BC = 1 : 2 であり、MN = 12 ÷ 2 = 6 cm。
また対応する角が等しいので MN // BC もいえます。
この定理が使える場面:「中点」という言葉が2つ出てきたら、まず中点連結を疑うのが定石です。四角形の4辺の中点を結ぶと平行四辺形になる——この有名な性質も、対角線を引いて中点連結を2回使えば説明できます。
台形バージョン:台形 ABCD(AD // BC)で、AB, DC の中点を結んだ線分の長さは (AD + BC) / 2 です。上底と下底の平均になります。
例題5-4(直角三角形と垂線) ∠A = 90° の直角三角形 ABC で、AB = 6 cm、AC = 8 cm です。点 A から辺 BC に垂線 AH を引くとき、BC、AH、BH の長さを求めてください。
手順1:BC を求める。三平方の定理(第7章)から
BC = √(62 + 82) = √100 = 10 cm
手順2:AH を面積から求める。三角形 ABC の面積を、2通りの見方で表します。
・直角をはさむ2辺で:(1/2) × 6 × 8 = 24
・BC を底辺、AH を高さとして:(1/2) × 10 × AH
同じ面積なので (1/2) × 10 × AH = 24 → AH = 4.8 cm
手順3:BH を相似から求める。△ABC ∽ △HBA(∠B が共通、∠BAC = ∠BHA = 90°)なので
AB : HB = BC : BA → 6 : BH = 10 : 6 → 10 × BH = 36 → BH = 3.6 cm
答え:BC = 10 cm、AH = 4.8 cm、BH = 3.6 cm
確認:CH = 10 − 3.6 = 6.4。三平方の定理で AH2 + BH2 = 4.82 + 3.62 = 23.04 + 12.96 = 36 = 62 = AB2 ✓
この形から出る3つの関係:
AB2 = BH × BC(36 = 3.6 × 10 ✓)
AC2 = CH × CB(64 = 6.4 × 10 ✓)
AH2 = BH × CH(23.04 = 3.6 × 6.4 ✓)
覚える必要はありません。3つの三角形が相似だという事実から、その場で作れます。ただし「この形が出たら相似が3つある」とだけ覚えておくと、手が早く動きます。
面積を2通りで表す技:手順2で使った「同じものを2通りで表して等号でつなぐ」は、中学でも高校でも繰り返し使う考え方です。垂線の長さを出すときの定番なので、覚えておいてください。
例題5-5(相似の証明) 三角形 ABC の辺 AB 上に点 D、辺 AC 上に点 E があり、∠ADE = ∠ACB です。AD = 3 cm、AB = 8 cm、AE = 4 cm のとき、(1) △ADE ∽ △ACB であることを証明してください。(2) AC の長さを求めてください。
考え方:相似を示すときは、まず「等しい角」を2つ探します。1つは問題文にあります。もう1つは共通の角——ここが見つけにくいので、「共通の角はないか」を毎回いちばんに疑ってください。
(1) 証明
△ADE と △ACB において
∠A は共通 ……①
仮定より ∠ADE = ∠ACB ……②
①、②より、2組の角がそれぞれ等しいので
△ADE ∽ △ACB
(2) 相似な図形では対応する辺の比が等しいので、対応の順に並べて
AD : AC = AE : AB → 3 : AC = 4 : 8 → 4 × AC = 3 × 8 → AC = 6
答え:AC = 6 cm
確認:ここでいちばん多い誤りは、「△ADE ∽ △ABC」と書いてしまうことです。∠ADE と等しいのは ∠ACB なので、D に対応するのは C、E に対応するのは B。頂点は、等しい角どうしが同じ位置に来るように並べます。順を崩すと、次の比の式がそのまま間違いになります。
比を出したら数で確かめます。AD : AC = 3 : 6 = 1 : 2、AE : AB = 4 : 8 = 1 : 2。どちらも同じ比になっていれば、対応の取り方が合っている手がかりになります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 面積比を2乗にしたか | 長さの比のまま答える |
| 体積比を3乗にしたか | 同上 |
| 「部分 : 全体」に直したか | 比を取り違える |
| 対応する順に相似を書いたか | 辺の比が狂う |
| 平行の根拠を確認したか | 使えない性質を使う |
| 証明で条件の名前を書いたか | 減点される |
もっと解きたい方へ 👉 中3 相似と円(基本)特訓道場(20題と全解説)
第6章 円
円の性質は、ほとんどが「等しい角を見つける」ための道具です。等しい角が2組見つかれば相似が言え、相似が言えれば長さの比が出る——円 → 角 → 相似 → 長さという流れが、この単元の骨格です。
ここが怪しければ先に:平面図形(中1) / この先つながる:図形の性質(数学I・A)・図形と方程式(数学II・B・C) / この単元の解法パターン:円 全10型
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 円周角の定理 | 同じ弧の円周角は等しい | いちばん使う |
| 円周角と中心角 | 円周角 = 中心角 ÷ 2 | 中心が絡むとき |
| 半円の弧 | 直径に対する円周角は 90° | 直角が手に入る |
| 弧と円周角 | 弧の長さが等しい ⇔ 円周角が等しい | 弧の比=円周角の比 |
| 円周角の定理の逆 | 同じ側で等しい角 → 4点が同一円周上 | 円を見つける |
| 接線と半径 | 接点で垂直 | 直角が手に入る |
| 接線の長さ | 円外の1点から引いた2本は等しい | PA = PB |
| 2つの弦 | 交点で相似ができる | PA × PB = PC × PD |
定石
円の問題は「同じ弧を見ている角」を探す
手順
① 図の中の弧に注目する
② その弧を見込んでいる角を全部拾う(それらはすべて等しい)
③ 等しい角が2組そろったら相似を宣言する
④ 相似から辺の比を書く
直角がほしいときは、直径か接線を探す
円の問題で直角が2つ必要になったら、探すのは直径(半円の弧に対する円周角)と接線(半径と垂直)です。この2つが直角の供給源になります。
中心角と円周角は「2倍・半分」
中心角 = 円周角 × 2。どちらが大きいかで迷ったら、中心のほうが弧に近いので、大きく見えると考えてください。
弦が交わったら、相似を作る
2つの弦 AB と CD が点 P で交わるとき、対頂角と同じ弧の円周角から △APC ∽ △DPB がいえます。そこから PA × PB = PC × PD が出ます(高校では「方べきの定理」と呼びます)。
つまずきポイント
① 違う弧の円周角を「等しい」としてしまう。等しくなるのは同じ弧(または長さの等しい弧)を見ている角だけです。どの弧を見ているかを、指でなぞって確認してください。
② 中心角と円周角の2倍・半分を逆にする。中心角のほうが大きい(2倍)です。120° の中心角なら円周角は 60°。
③ 直径だと気づかない。図の中に円の中心を通る線があれば、それは直径です。そこに直角が隠れています。
④ 「4点が同一円周上」の条件を、反対側の角で使う。円周角の定理の逆が使えるのは、線分の同じ側にある角が等しいときです。反対側なら「向かい合う角の和が 180°」を使います。
⑤ 弧の長さと弦の長さを混同する。弧は曲線、弦は直線です。「弧の比=円周角の比」は成り立ちますが、「弦の比=円周角の比」は成り立ちません。
例題
例題6-1(円周角と中心角) 円 O の周上に3点 A, B, P があり、∠AOB = 120° です(P は大きいほうの弧の上)。∠APB の大きさを求めてください。
考え方:∠AOB は弧 AB に対する中心角、∠APB は同じ弧に対する円周角です。
∠APB = ∠AOB ÷ 2 = 120° ÷ 2 = 60°
答え:60°
大事なのは「どちらの弧か」:P が小さいほうの弧にあると、話が変わります。そのときの円周角は、大きいほうの中心角 360° − 120° = 240° の半分で 120° になります。点がどちら側にあるかを、必ず図で確認してください。
確認:60° + 120° = 180°。これは円に内接する四角形の向かい合う角の和にあたり、つじつまが合っています。
例題6-2(半円の弧に対する円周角) AB を直径とする円があり、その周上に点 P があります。AB = 10 cm、PA = 6 cm のとき、PB の長さと三角形 APB の面積を求めてください。
手順1:直角を見つける。AB は直径なので、直径に対する円周角 ∠APB = 90°。
手順2:三平方の定理を使う。
PA2 + PB2 = AB2
36 + PB2 = 100 → PB2 = 64 → PB = 8 cm
手順3:面積を出す。直角をはさむ2辺がわかったので
(1/2) × 6 × 8 = 24 cm2
答え:PB = 8 cm、面積 24 cm2
この性質の使いどころ:「直径」という言葉が出てきたら、直角がもらえます。直角がもらえれば三平方の定理が使え、面積も出ます。円の問題で行き詰まったら、まず直径を探してください。
逆も成り立つ:∠APB = 90° なら、P は AB を直径とする円の上にあります。「直角を保ちながら動く点の道すじ」を聞かれたら、この円が答えです。
例題6-3(弦の交点と相似) 円の2つの弦 AB と CD が円の内部の点 P で交わっています。PA = 2 cm、PB = 6 cm、PC = 3 cm のとき、PD の長さを求めてください。
手順1:相似な三角形を見つける。三角形 APC と三角形 DPB を比べます。
・∠APC = ∠DPB(対頂角)
・∠CAP = ∠BDP(弧 BC に対する円周角)
2組の角がそれぞれ等しいので △APC ∽ △DPB
手順2:辺の比を書く。対応する順に並べると
PA : PD = PC : PB
手順3:計算する。
2 : PD = 3 : 6 → 3 × PD = 12 → PD = 4 cm
答え:PD = 4 cm
確認:PA × PB = 2 × 6 = 12、PC × PD = 3 × 4 = 12。一致しています。
この関係の名前:PA × PB = PC × PD は、高校で「方べきの定理」として習います。中学では公式として習いませんが、相似から自分で作れます。作り方を知っていれば、公式を覚える必要はありません 👉 数学I・Aの要点辞典(第9章 図形の性質)
例題6-4(接線) 半径 3 cm の円 O の外部に点 P があり、OP = 5 cm です。P から円に引いた接線の接点を A とするとき、PA の長さを求めてください。
手順1:直角を見つける。接線と半径は接点で垂直なので ∠OAP = 90°。
手順2:三平方の定理を使う。直角三角形 OAP で、斜辺は OP = 5、1辺は OA = 3(半径)。
PA2 = OP2 − OA2 = 25 − 9 = 16 → PA = 4 cm
答え:PA = 4 cm
どちらが斜辺か:直角があるのは接点 A なので、その向かい側の OP が斜辺です。斜辺は「直角の向かい」——ここを取り違えると √(25 + 9) と計算してしまいます。
接線が2本引ける:円外の点からは接線が2本引けて、その長さは等しい(どちらも 4 cm)。理由は、2つの直角三角形が斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので合同だからです。
接線の性質は「直角の供給源」:円の問題で直角が必要になったら、直径か接線を探す——第6章の定石そのものです。
例題6-5(円周角の定理の逆) 四角形 ABCD について、∠BAC = 35°、∠BDC = 35° です。(1) 4点 A、B、C、D が同じ円周上にあることを説明してください。(2) さらに ∠ABD = 50° のとき、∠ACD を求めてください。
考え方:円周角の定理は逆も成り立ちます。「同じ弧を見る角は等しい」だけでなく、「等しい角で同じ線分を見ているなら、その4点は同じ円周上にある」。これが使えると、問題文に円が描かれていなくても自分で円を見つけられます。
(1) ∠BAC と ∠BDC は、どちらも線分 BC を見込む角です。しかも A と D は BC の同じ側にあります。
この2つが等しい(35°)ので、円周角の定理の逆により 4点 A、B、C、D は同じ円周上にあります。
(2) 4点が同じ円周上にあるとわかったので、あとは円周角の定理をそのまま使います。
∠ABD と ∠ACD は、どちらも線分 AD を見込む角で、B と C は AD の同じ側にあります。よって
∠ACD = ∠ABD = 50°
答え:(1) 上のとおり (2) ∠ACD = 50°
確認:使うときの条件は「同じ線分を見込むこと」と「2点が同じ側にあること」の2つです。反対側にあると、角は等しくならず和が 180° になります(これが円に内接する四角形の性質です)。図で左右どちら側かを必ず確かめてください。
この問題の要は (1) です。「4点が同じ円周上にある」と言えた瞬間に、円周角・内接四角形の性質がすべて使えるようになります。角度の問題で手が止まったら、等しい角が2つ見えていないかを探す——それが円を呼び出す合図になります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 同じ弧を見ている角か確認したか | 等しくない角を等しいとする |
| 中心角は円周角の2倍か | 半分と2倍を逆にする |
| 点がどちらの弧にあるか見たか | 角度が変わる |
| 直径・接線から直角を探したか | 三平方が使えない |
| 相似を対応順に書いたか | 比が狂う |
| 斜辺は直角の向かいか確認したか | 足し算と引き算を逆にする |
もっと解きたい方へ 👉 円周角の定理 中心角・直径・定理の逆(無料問題PDF)
第7章 三平方の定理
直角三角形なら、2辺がわかれば残りの1辺がわかる——たったこれだけの定理ですが、使える場面が異常に多い単元です。
平面図形、空間図形、座標平面、円——中3で習うすべての図形の話に顔を出します。だから「どこに直角三角形を作るか」を見つけられるかが勝負になります。
ここが怪しければ先に:平方根・相似 / この先つながる:図形と計量(数学I・A)・ベクトル(数学II・B・C) / この単元の解法パターン:三平方の定理 全12型
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 三平方の定理 | a2 + b2 = c2(c が斜辺) | 直角三角形のときだけ |
| 定理の逆 | a2 + b2 = c2 なら直角三角形 | 直角かどうかの判定 |
| 有名な整数の組 | 3:4:5、5:12:13、8:15:17、7:24:25 | 見つけたら計算不要 |
| 直角二等辺三角形 | 1 : 1 : √2 | 45° |
| 正三角形の半分 | 1 : 2 : √3 | 30°, 60° |
| 2点間の距離 | √{(x2−x1)2 + (y2−y1)2} | 座標平面 |
| 直方体の対角線 | √(a2 + b2 + c2) | 3辺の2乗の和 |
| 円と弦 | 弦の長さ = 2√(r2 − d2) | 中心から弦に垂線 |
| 正三角形の高さ | (√3/2) × 1辺 | 面積の計算に |
定石
まず「直角三角形を作る」
問題の図に直角三角形がなければ、自分で作ります。
・垂線を下ろす(高さを出したいとき)
・中心から弦に垂線(円の問題)
・座標の差で長方形を作る(座標平面)
・底面の対角線を先に出す(立体)
立体は「平面に切り取って考える」
立体のままでは三平方が使えません。直角三角形を含む平面を1枚だけ取り出して、その平面上で考えます。錐体の高さ、対角線、最短距離——すべてこの手順です。
直方体の対角線は、三平方を2回使う
縦 a、横 b、高さ c の直方体で、
① 底面の対角線:√(a2 + b2)
② 立体の対角線:√{(√(a2+b2))2 + c2} = √(a2 + b2 + c2)
公式を覚えなくても、2回使えば出ます。
有名な組を覚えておくと速い
3 : 4 : 5 は最頻出です。6 : 8 : 10、9 : 12 : 15 のような何倍かの形でも同じなので、見つけたら計算せずに答えられます。
つまずきポイント
① 斜辺がどれか間違える。斜辺は直角の向かい側で、いちばん長い辺です。a2 + b2 = c2 の c に、斜辺以外を入れると答えが合いません。
② 直角がないのに使う。三平方の定理は直角三角形専用です。「直角がどこにあるか」を図で確認してから使ってください。
③ 立体で、直角三角形のある平面を取り出さない。立体図のまま考えると、どこが直角かわかりません。断面を1枚、別に描いてください。
④ √ を簡単にしない。答えが √8 なら 2√2 まで直します(第2章)。
⑤ 「求めるのは長さか、面積か」を見落とす。三平方で辺の長さを出したあと、面積や体積を聞かれていないかを問題文で確認してください。
⑥ 円と弦で、垂線が弦を二等分することを使わない。中心から弦に下ろした垂線は、弦を2等分します。だから半分の長さで計算して、最後に2倍します。
例題
例題7-1(基本と特別な三角形) 次の x を求めてください。
(1) 直角をはさむ2辺が 5 と 12 の直角三角形の斜辺 x
(2) 斜辺が 6、1つの角が 60° の直角三角形の、60° の向かいの辺 x
(1) x2 = 52 + 122 = 25 + 144 = 169 → x = 13
(5 : 12 : 13 は有名な組なので、覚えていれば即答できます)
(2) 30°, 60°, 90° の直角三角形は 1 : 2 : √3。斜辺が 2 にあたるので、比の 1 は 3 にあたります。
60° の向かいの辺は √3 にあたるので x = 3√3
答え:(1) 13 (2) 3√3
(2)の確認:残りの辺(30° の向かい)は 3。三平方で 32 + (3√3)2 = 9 + 27 = 36 = 62 ✓
比の対応の見分け方:1 : 2 : √3 の 2 が斜辺(いちばん長い)、1 が 30° の向かい(いちばん短い)、√3 が 60° の向かい。「小さい角の向かいは短い辺」——これで対応が決まります。
例題7-2(座標平面) 座標平面上の2点 A(1, 2)、B(4, 6) の距離を求めてください。
手順1:直角三角形を作る。A から右に、B から下に線を引くと、直角三角形ができます。
手順2:2辺の長さを出す。
横の長さ:4 − 1 = 3
縦の長さ:6 − 2 = 4
手順3:三平方の定理。
AB2 = 32 + 42 = 25 → AB = 5
答え:5
公式にすると:AB = √{(x2 − x1)2 + (y2 − y1)2}。ただし公式を覚えるより、毎回直角三角形を描くほうが確実です。図を描けば、引き算の順序を間違えても2乗するので問題ありません。
高校でもそのまま使います:数学IIの「図形と方程式」では、この距離の公式が円の方程式の出発点になります 👉 数学II・B・Cの要点辞典(第3章)
例題7-3(立体) 縦 3 cm、横 4 cm、高さ 12 cm の直方体があります。頂点から最も遠い頂点までの距離(立体の対角線)を求めてください。
手順1:底面の対角線を出す。底面は 3 × 4 の長方形なので
√(32 + 42) = √25 = 5 cm
手順2:その対角線と高さで、もう一度三平方。底面の対角線(5)と高さ(12)を2辺とする直角三角形ができます。
√(52 + 122) = √169 = 13 cm
答え:13 cm
まとめて計算すると:√(32 + 42 + 122) = √(9 + 16 + 144) = √169 = 13。3辺の2乗を全部足して √——これが直方体の対角線の公式です。
2回使うのがポイント:立体のままでは三平方が使えません。まず底面という「平面」に降りて対角線を出し、次に「対角線と高さ」でできる平面に移る。平面を2回渡り歩いていると考えてください。
この問題は有名な組が2回出ています:3 : 4 : 5 と 5 : 12 : 13。覚えていれば計算せずに答えが出ます。
例題7-4(円と弦) 半径 5 cm の円で、中心から 3 cm の距離にある弦の長さを求めてください。
手順1:中心から弦に垂線を下ろす。この垂線は弦を2等分します。
手順2:直角三角形を見る。できた直角三角形は
・斜辺 = 半径 = 5
・1辺 = 中心から弦までの距離 = 3
・残り = 弦の半分
(弦の半分)2 = 52 − 32 = 25 − 9 = 16 → 弦の半分 = 4
手順3:2倍する。
弦の長さ = 4 × 2 = 8 cm
答え:8 cm
「2倍する」を忘れないこと:三平方で出るのは弦の半分です。ここで止めて 4 cm と答える誤りが非常に多い。図を描いて、求めたのがどの部分かを毎回確認してください。
なぜ垂線が弦を2等分するのか:中心から弦の両端まではどちらも半径なので、二等辺三角形ができます。二等辺三角形の頂角から下ろした垂線は、底辺を2等分する——中2で習った性質です。
公式にすると:半径 r、中心からの距離 d のとき、弦の長さは 2√(r2 − d2)。これも高校の「図形と方程式」でそのまま使います。
例題7-5(折り返し) 長方形 ABCD で AB = 8、AD = 10 です。頂点 D が辺 BC 上の点 E に重なるように折り、折り目を AF(F は辺 DC 上)とします。BE と DF を求めてください。
考え方:折り返しの問題で最初に書くのは、「折る前と折った後で、長さが変わらないのはどこか」です。ここでは AD が AE に、DF が FE に移ります。この2つを書いた時点で、直角三角形が2つ見えてきます。
① 直角三角形 ABE:AE = AD = 10、AB = 8 なので
BE = √(102 − 82) = √36 = 6
② 直角三角形 FCE:EC = BC − BE = 10 − 6 = 4。DF = x とおくと FE = x、FC = 8 − x なので
x2 = (8 − x)2 + 42 → x2 = 64 − 16x + x2 + 16 → 16x = 80 → x = 5
答え:BE = 6、DF = 5
確認:FC = 8 − 5 = 3、EC = 4、FE = 5 なので 32 + 42 = 52。3 : 4 : 5 の直角三角形になっています。△ABE も 8 : 6 : 10 で、これは 3 : 4 : 5 の2倍。折り返しの問題では「同じ長さ」を式に書けたところで、あとは三平方の定理と方程式の作業になります。難しいのは計算ではなく、どこが動かないかを見つけるところです。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 斜辺は直角の向かいか | 足し算と引き算を逆にする |
| 直角三角形を自分で作ったか | 手が止まる |
| 立体は平面を取り出したか | どこが直角かわからない |
| 弦は最後に2倍したか | 半分で答えてしまう |
| √ | 未完成で減点 |
| 有名な組を覚えているか | 毎回計算して時間を失う |
もっと解きたい方へ 👉 中3 三平方の定理(基本)特訓道場(20題と全解説)
第8章 標本調査
中学数学で最後に習う単元です。計算は簡単ですが、「なぜそう推定してよいのか」という考え方が問われます。
そしてこの単元は、高校の「データの分析」「統計的な推測」にまっすぐつながります。世論調査も視聴率も品質検査も、すべてここで習う考え方でできています。
ここが怪しければ先に:データの活用(中1) / この先つながる:データの分析(数学I・A)・統計的な推測(数学II・B・C) / この単元の解法パターン:標本調査 全8型
使う道具
| 道具 | 形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 全数調査 | 対象すべてを調べる | 国勢調査、学校の健康診断 |
| 標本調査 | 一部を調べて全体を推定 | 視聴率、世論調査、品質検査 |
| 母集団 | 調べたい全体 | 「全校生徒800人」など |
| 標本 | 実際に調べた一部 | 「選んだ50人」など |
| 標本の大きさ | 標本に含まれる個数 | 50 |
| 無作為抽出 | かたよりなく選ぶ | くじ引き・乱数表 |
| 比の推定 | 母集団の比 ≒ 標本の比 | この単元の中心 |
| 個数の推定 | 母集団の個数 × 標本の比 | 「およそ〜個」と答える |
定石
全数調査か標本調査かは「全部調べられるか/調べてよいか」で決まる
全数調査にする → 人数が少ない、正確さが絶対に必要(学校の健康診断、入学試験の採点、国勢調査)
標本調査にする → 数が多すぎる、調べると壊れる/なくなる(視聴率、電球の寿命検査、缶詰の味の検査)
「調べると商品が売り物にならなくなる」タイプは必ず標本調査です。全部の缶詰を開けたら売るものがなくなります。
推定の式は「比が同じ」1本だけ
標本での割合が、母集団でも同じくらいだろう——これがこの単元の唯一の仮定です。だから式は比例式1本で立ちます。
(母集団の中の個数):(母集団全体)=(標本の中の個数):(標本全体)
答えは「およそ」を付ける
標本調査で出るのは推定値であって、正確な値ではありません。「およそ1000個」「約560時間」のように書きます。この一言がないと減点されることがあります。
無作為抽出でなければ、推定できない
選び方にかたよりがあると、推定は当てになりません。「駅前で聞いた」「アンケートに答えてくれた人だけ」——こうした標本は、母集団を代表していません。「くじ引きや乱数で選んだか」が、この単元で問われる急所です。
つまずきポイント
① 「およそ」を付けずに答える。標本調査の答えは推定値です。断定した書き方をしないでください。
② 比例式の対応を取り違える。「標本の中の個数 : 標本全体」と「母集団の中の個数 : 母集団全体」を対応させます。分子どうし・分母どうしが同じ意味になっているかを確認してください。
③ 四捨五入のタイミングを間違える。途中で丸めると誤差が積もります。最後にまとめて指定された位で四捨五入してください。
④ 標本の大きさを「標本の個数の種類」と勘違いする。標本の大きさは選んだ個数そのものです。50人選んだなら標本の大きさは 50。
⑤ 無作為抽出の意味を説明できない。「かたよりなく選ぶこと」だけでなく、「母集団のどの個体も同じ確からしさで選ばれるようにすること」と書けると万全です。
⑥ 全数調査すべきものを標本調査と答える。入学試験の採点や学校の身体測定は、一部だけ調べても意味がありません。「一部でよいか、全部必要か」を考えてください。
例題
例題8-1(調査方法の判断) 次の調査は、全数調査と標本調査のどちらが適切ですか。理由もあわせて答えてください。
(1) 学校で行う身体測定
(2) 工場で作った電球の寿命の検査
(3) テレビ番組の視聴率
(1) 全数調査 …… 一人ひとりの記録が必要で、全員分そろわないと意味がないから。人数も調べられる範囲です。
(2) 標本調査 …… 寿命を調べるには電球が切れるまで使う必要があり、全部調べたら売る商品がなくなるから。
(3) 標本調査 …… 全世帯を調べるのは費用と時間の面で不可能だから。一部の世帯から全体を推定します。
判断の基準を整理する
| こういうときは | どちら |
|---|---|
| 一人ひとりの結果が必要 | 全数調査 |
| 数が少なく、全部調べられる | 全数調査 |
| 調べると商品が使えなくなる | 標本調査 |
| 数が多すぎて、費用や時間が足りない | 標本調査 |
理由まで書くのが採点対象:「標本調査」とだけ書いても点になりません。「なぜ全部調べられないのか」を一文で添えてください。
例題8-2(個数の推定) 袋の中にたくさんの白い玉が入っています。中身をよくかき混ぜてから 50 個取り出し、すべてに印をつけて袋に戻しました。もう一度よくかき混ぜてから 60 個取り出したところ、印のついた玉が 3 個ありました。袋の中の玉はおよそ何個と考えられますか。
手順1:標本での割合を出す。2回目に取り出した 60 個のうち、印つきは 3 個。
3 ÷ 60 = 1/20
手順2:母集団でも同じ割合だと考える。袋全体の玉を x 個とすると、印つきは全部で 50 個。
50 : x = 3 : 60
手順3:解く。
3x = 50 × 60 = 3000 → x = 1000
答え:およそ 1000 個
考え方の要点:「2回目に取り出した60個の中の印つきの割合」が、「袋全体の中の印つきの割合」と同じくらいだろう——これが唯一の仮定です。
袋全体で印つきは 50 個。それが全体の 1/20 にあたるので、全体は 50 × 20 = 1000 個。比例式を立てなくても、この考え方で暗算できます。
「よくかき混ぜて」が大事:問題文にこの言葉が入っているのは、無作為抽出であることを保証するためです。混ぜずに上のほうから取ったら、印つきの玉ばかり出てしまうかもしれません。この一言がない標本調査は、推定が当てになりません。
この方法の名前:野生動物の個体数を数えるときにも使われ、「標識再捕獲法」と呼ばれます。魚に印をつけて池に戻し、もう一度捕まえて割合を見る——同じ仕組みです。
例題8-3(平均の推定) ある中学校の生徒 800 人から 50 人を無作為に選び、1日の読書時間を調べたところ、平均は 42 分でした。この中学校の生徒全体の、1日の読書時間の合計はおよそ何時間と考えられますか。
手順1:標本の平均が、母集団の平均と同じくらいだと考える。
生徒1人あたりおよそ 42 分。
手順2:全体の合計を出す。
800 × 42 = 33600 分
手順3:単位を直す。聞かれているのは時間です。
33600 ÷ 60 = 560 時間
答え:およそ 560 時間
単位に注意:問題文が「何時間」と聞いているのに「33600分」と答えると不正解です。標本調査の問題は計算が簡単なぶん、単位の変換と「およそ」の付け忘れで落とします。
この推定が当てになる条件:50人が無作為に選ばれていることです。もし「図書委員50人」を選んだら、読書時間は明らかに長く出ます。「無作為に」という言葉が問題文にあるかどうかを確認してください。
高校ではもっと進みます:数学Bの「統計的な推測」では、「およそ何分」ではなく「95%の信頼度で何分から何分の間」という形で答えられるようになります 👉 数学II・B・Cの要点辞典(第9章)
例題8-4(標本の選び方) ある市の中学生 5000 人について、1日のスマートフォンの使用時間を調べたいと考えました。次の標本の選び方は適切ですか。適切でない場合は、その理由を書いてください。
(1) 市内の1つの中学校の3年生 200 人全員
(2) 市内の中学生全員に通し番号をつけ、乱数表を使って 200 人を選ぶ
(3) 駅前で放課後に見かけた中学生 200 人
(1) 適切ではない …… 1つの学校の1つの学年だけにかたよっています。学校や学年によって使用時間の傾向が違う可能性があり、市全体を代表していません。
(2) 適切 …… 市内の中学生全員から、同じ確からしさで選ばれているので、無作為抽出になっています。
(3) 適切ではない …… 放課後に駅前にいる中学生にかたよっています。部活動をしている生徒や、家が学校の近くの生徒は選ばれにくく、母集団を代表していません。
「無作為」の意味をもう一度:母集団のどの個体も、同じ確からしさで選ばれるということです。「適当に選ぶ」「たまたま目についた人を選ぶ」は無作為ではありません。むしろ、そこには必ず何らかのかたよりが入ります。
実生活でも使える見方:ネットアンケートの結果を見るときは、「誰が答えたのか」を確認してください。そのサイトを見て、しかも答える気になった人だけの意見であって、全体の意見ではありません。この単元は、そういう見抜き方を教えてくれます。
記述のコツ:「かたよっているから」だけでは不十分です。「どういう人が選ばれにくいのか」を具体的に書くと、しっかりした答案になります。
例題8-5(割合の推定と、標本の大きさ) ある工場では、1日に 12000 個の製品を作っています。(1) 無作為に 300 個を選んで調べたところ、不良品が 9 個ありました。この日の不良品はおよそ何個と考えられますか。(2) 別の日に 600 個を選んで調べたら、不良品は 21 個でした。この日の不良品はおよそ何個と考えられますか。
考え方:標本調査の考え方は「標本での割合が、母集団でもだいたい同じだろう」という一点だけです。だから式は比が等しい、の1本で足ります。
(標本の不良品):(標本の大きさ) = (全体の不良品):(全体の個数)
(1) 標本での割合は 9 ÷ 300 = 0.03。これを全体にあてはめて
12000 × 0.03 = 360 → およそ360個
(2) 標本での割合は 21 ÷ 600 = 0.035。
12000 × 0.035 = 420 → およそ420個
答え:(1) およそ360個 (2) およそ420個
確認:比の式でも同じ答えになります。9 : 300 = x : 12000 から 300x = 108000、x = 360。割合で解いても比で解いても同じなので、書きやすいほうで構いません。
答えには必ず「およそ」を付けること。標本から出した推定値なので、ぴったり360個だと言い切ることはできません。ここを書き忘れると減点されるところです。
(1) と (2) で不良率が 3.0% と 3.5% に分かれました。これはどちらかが間違いというわけではありません。標本を取り直せば結果は少しずつ変わります。ただし標本を大きくするほど、この振れ幅は小さくなるので、より信頼できるのは600個を調べた (2) のほうです。「標本の大きさ」を大きくする意味は、ここにあります。
この単元のチェックリスト
| 確認すること | できていないと起きること |
|---|---|
| 「およそ」を付けたか | 断定して減点 |
| 比例式の対応は合っているか | まったく違う値になる |
| 単位を問題文に合わせたか | 数は合っているのに不正解 |
| 四捨五入は最後にしたか | 誤差が積もる |
| 無作為抽出かを確認したか | 推定が当てにならない |
| 判断の理由を書いたか | 結論だけでは点にならない |
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最後に:中3の内容が高校でどう使われるか
8単元を見てきました。中3の内容は、高校数学でほとんどそのまま使われます。「中学で終わり」ではなく「高校の第1章」だと思ってください。
見方1 中3の道具は、高校でこう使われる
| 中3で習ったこと | 高校でどう使われるか | 科目 |
|---|---|---|
| 展開・因数分解 | 3次式・複数文字の因数分解、方程式を解く第一歩 | 数学I |
| 平方根 | 二重根号、有理化、対称式の計算 | 数学I |
| 二次方程式(平方完成) | 2次関数の頂点を出す道具、解の配置 | 数学I |
| 解の公式・判別式 | 解の個数の判定、「すべての x で成り立つ」条件 | 数学I・II |
| y = ax2 | y = ax2+bx+c | 数学I |
| 放物線と直線 | 囲まれた面積(6分の1公式) | 数学II |
| 相似 | チェバ・メネラウスの定理、角の二等分線 | 数学A |
| 円周角・接線 | 方べきの定理、接弦定理、内接四角形 | 数学A |
| 三平方の定理 | 2点間の距離、円の方程式、余弦定理 | 数学I・II |
| 標本調査 | 信頼区間、仮説検定 | 数学B |
とくに大きいのが「平方完成」と「三平方の定理」です。この2つは高校3年間ずっと使い続けます。中3のうちに手が勝手に動くようにしておくと、高校での負担がまったく違います。
見方2 答えが出たら、必ず「戻して確かめる」
中3の内容は、ほぼすべて検算できます。これを習慣にできるかどうかで、テストの点が変わります。
| 単元 | 戻して確かめること |
|---|---|
| 展開と因数分解 | 逆の操作で元に戻るか/x = 1 を代入して同じ値か |
| 平方根 | おおよその小数にして、桁が合っているか |
| 二次方程式 | 解を元の式に代入して0になるか |
| y = ax2 | グラフを描いて、変域に x = 0 が入るか |
| 相似 | 短いはずの辺が短くなっているか |
| 円 | 角の和が 180° や 360° と合うか |
| 三平方の定理 | 斜辺がいちばん長くなっているか |
| 標本調査 | 単位が問題文と合っているか、「およそ」を付けたか |
見方3 図形は「直角を探す」と「等しい角を探す」の2つだけ
中3の図形(相似・円・三平方)は、やっていることが実は2つしかありません。
直角を探す → 三平方の定理が使える
直径に対する円周角/接線と半径/垂線を自分で引く
等しい角を探す → 相似が使える → 辺の比が出る
共通の角/平行線の錯角・同位角/対頂角/同じ弧の円周角
図形の問題で手が止まったら、この2つのどちらかを探してください。そしてこれは「順番に当てはめているだけ」ではありません。図の形から次の一手を予想して、考える量を減らしている——だから手際よく解けます。予想が外れたら、もう一方を探せばよいだけです。
中3の数学で、次にやること
このページを読み終えたら、いちばん自信がない単元をひとつだけ選んでください。そして、その章の「例題」を何も見ずに解いてみる。解けなければ「つまずきポイント」に戻る。これを1単元ずつ潰していくのが、いちばん速い進み方です。
問題をたくさん解きたいなら 👉 中3数学 総合演習の特訓道場(20題)/無料学習プリント・映像授業
よくある質問
中3の数学で、どの単元がいちばん大事ですか
二次方程式(とくに平方完成)と三平方の定理です。この2つは高校3年間ずっと使います。平方完成は数学Iの2次関数でそのまま頂点を出す道具になり、三平方の定理は2点間の距離・円の方程式・余弦定理に姿を変えて出てきます。時間が限られているなら、この2つを優先してください。
y = ax2 の変域で、いつも間違えます
原因はほぼ両端だけを代入していることです。放物線は途中で折り返すので、両端が最大・最小になるとは限りません。x の変域に 0 が入っているかどうかを必ず確認してください。入っていれば(a > 0 のとき)最小値は 0 です。第4章に判定表を載せました。
因数分解ができるようになりません
手順が決まっています。① 共通因数でくくれないか ② 項が2つで2乗どうしの引き算か ③ 項が3つで両端が2乗か ④「たして真ん中、かけて最後」の2数を探す。この順に上から試してください。とくに①を飛ばすのが最頻出のミスです。第1章に詳しく書きました。
図形の問題で、どこから手をつければいいですか
「直角を探す」か「等しい角を探す」か、どちらかです。直角が見つかれば三平方の定理が使え、等しい角が2組見つかれば相似が使えます。直角は直径・接線・垂線から、等しい角は共通の角・平行線・対頂角・同じ弧の円周角から探してください。
高校入試に向けて、この辞典だけで足りますか
足りません。このページは「要点の確認」用で、実際に手を動かす練習は別に必要です。各章の最後にリンクした特訓道場(各20題)や、無料学習プリント を使ってください。読んで理解した内容を、自分の手で再現できるかどうかが本番で問われます。
高校数学の予習は、いつから始めるとよいですか
中3の内容が固まってからで十分です。ただし「平方完成」と「三平方の定理」だけは、中3のうちに完璧にしておいてください。この2つが自動化されていると、高校の数学Iが驚くほど楽になります。予習を始めるなら、まず 数学I・Aの要点辞典 の第1章・第2章を読んでみてください。
このページの例題は、どこかの問題集から取ったものですか
いいえ。掲載している例題・解説・図は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書や問題集から問題文・解説を転載したものは一切含まれていません。数値も、こちらで設定して検算したうえで掲載しています。
中1・中2の要点辞典はありますか
あります。中1数学の要点辞典(全7単元)、中2数学の要点辞典(全6単元) を同じ形式で公開しています。高校の内容は 数学I・Aの要点辞典(全9単元) から始まります。
√ の中は、どこまで小さくすればいいですか
2乗の因数が残っていない状態まで、が答えです。√72 = √(36 × 2) = 6√2 のように、まず素因数分解して、2つそろった数を外に出すと確実です。分母に √ が残っているときは有理化まで済ませます。簡単にし切らないと、後の計算で同類項がまとめられません。第2章 平方根に手順を書いてあります。
相似の面積比と体積比が、ごちゃごちゃになります
「長さを何回かけたか」で決まります。面積は長さ×長さなので2乗、体積は長さ×長さ×長さなので3乗。相似比が 2 : 3 なら、面積比は 4 : 9、体積比は 8 : 27 です。覚え直すより、マス目の図で1回確かめておくほうが速いので、第5章 相似に図を置いてあります。
数強塾からのご案内
数強塾は、数学を専門にしたオンライン個別指導塾です。中学生・高校生を対象に、一人ひとりの理解の状態に合わせて指導しています。
中3は、高校入試と高校数学の準備が同時に走る学年です。とくに中高一貫校の場合、学校の進度が速く「わからないまま次に進む」ことが起きやすい。もし今そういう状態なら、一度ご相談ください。
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数強塾オリジナル 追加演習4題——中3の道具だけで、高校の問題を解いてみる
「最後に:中3の内容が高校でどう使われるか」の見方1に、10行の対応表を置きました。三平方の定理は2点間の距離・円の方程式・余弦定理になる、平方完成は2次関数の頂点を出す道具になる——という表です。
ただ、あの表は名前の対応にとどまっています。「そのまま使われる」と書いたなら、中3の道具だけで高校の問題が実際に解けるはずです。それを見せていません。
この4題は、表の4つの行を選んで本当に解いてみせます。使う道具は中3の範囲だけ。高校で習う公式は1つも使いません。それでも答えは、高校で出る問題の答えと同じになります。
追加第1問(表9行目:三平方の定理 → 2点間の距離・円の方程式)
座標平面上に 、 がある。
(1) 線分 の長さを求めよ。
(2) 点 を中心とし、点 を通る円について、円周上の点 がみたす式を作れ。
解答(第7章の道具だけ)
(1) から右へ、 から下へ線を引くと直角三角形ができます。横の長さは 、縦の長さは 。
(2) 円とは「中心からの距離が等しい点の集まり」です。中心 から点 までの距離は、同じように直角三角形を作って 。これが に等しいので
(1) で作ったのが、高校で「2点間の距離の公式」と呼ばれるものです。公式として覚える必要はありません——横の差と縦の差で直角三角形を作れば、その場で出ます(なぜ2点間の距離の公式に平方根が現れるのか)。
(2) がそのまま高校の「円の方程式」です。中3の知識は三平方の定理と「円の定義」の2つだけ。新しく覚えたことは1つもありません(なぜ円の方程式は(x-a)²+(y-b)²=r²なのか)。
検算
円周上にあるはずの点を入れます。:。○
中心から右へ の点 :。○ 真上の :。○
円の式を作ったら、上下左右の4点を入れて確かめる。中心の符号を間違えていれば、ここで合いません。
追加第2問(表3行目:平方完成 → 2次関数の最小値)
について、 の最小値と、そのときの を求めよ。
解答(第3章の道具だけ)
中3では、平方完成は二次方程式を解くために習います。同じ操作をそのまま使います。
ここで は必ず 以上(2乗だから)。だから は より小さくなれません。そして のとき となり、ちょうど になります。
使ったのは平方完成と「2乗は0以上」の2つだけです。高校の「2次関数の頂点」も「最大最小」も、やっていることはこれと同じ。頂点 という言葉を知らなくても、答えは出せます(なぜ平方完成すると頂点がわかるのか)。FAQで「平方完成は高校3年間ずっと使う」と書いたのは、こういう意味です。
検算
の前後で値を出します。:。:。:。
両側が真ん中より大きいので、たしかに が最小。○
もう1つ、 と が同じ値になっていることにも注目してください。放物線が について左右対称だからです。この対称性も検算に使えます。
追加第3問(表8行目:円周角 → 方べきの定理)
円の2本の弦 と が、円の内部の点 で交わっている。
、、 のとき、 を求めよ。
解答(第5章・第6章の道具だけ)
三角形 と三角形 に注目します。「等しい角を探す」(見方3)です。
・(対頂角)
・(弧 に対する円周角)
2組の角が等しいので、2つの三角形は相似です。対応する辺の比をとると
いま書いた比の式を、内項と外項の積の形に直してみてください。。これが高校(数学A)で習う方べきの定理です。
つまり方べきの定理は、円周角の定理と相似から出てくる1行にすぎません。中3で「等しい角を探す→相似→辺の比」ができていれば、高校で新しく覚えることは名前だけです(なぜ円周角は中心角の半分になるのか、なぜ角が全部等しければ相似になるのか)。
検算
積で確かめます。、。○ 一致しました。
比の向きも確かめます。 は より短いので、その相方である は より長いはず。実際 。○ 「短いほうの相方は長い」——見方2の表にある「短いはずの辺が短くなっているか」の逆向きの確認です。
追加第4問(表10行目:標本調査 → 信頼区間)
白玉と黒玉が合わせて 個入った袋がある。よくかき混ぜて 個を取り出したところ、白玉が 個あった。
袋の中の白玉はおよそ何個と考えられるか。
解答(第8章の道具だけ)
標本の中の白玉の割合は
標本の割合が母集団の割合とほぼ等しいと考えて
答え:およそ 180 個。第8章のとおり、「およそ」を必ず付けます。
高校(数学B)だと、その「およそ」に幅がつく
中3では「およそ180個」で終わりますが、高校ではどれくらいの幅で信じてよいかまで数にします。標本の割合 、標本の大きさ から、ゆらぎの目安(標準誤差)は
その約 倍を両側にとると、割合はおよそ 、つまり から 。個数に直すと
これが95%信頼区間です。
中3の「およそ180個」は間違いではありません。高校が足すのは「どれくらいおよそなのか」だけです。そして幅がかなり広いことにも注目してください—— 個しか調べていないので、この程度しか言えない。「標本を増やすと精度が上がる」ことが、 が分母にいることから読み取れます。
検算
単位と現実性を確かめます(第8章の「単位が問題文と合っているか」)。答えは個数で、 個は全体 個の中に収まっています。○
割合でも確かめます。 で、標本の割合と一致。○
信頼区間のほうも、 と がどちらも 以上 以下。○ もし範囲が を超えたら、計算がおかしいと分かります。
4題で使った道具と、高校での呼び名
| 中3で使った道具 | 高校での呼び名 | 高校で足されるもの | |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 三平方の定理 | 2点間の距離・円の方程式(数学I・II) | 直角三角形を作るだけ |
| 第2問 | 平方完成 | 2次関数の頂点・最大最小(数学I) | 「2乗は0以上」を足すだけ |
| 第3問 | 円周角+相似 | 方べきの定理(数学A) | 相似の1行が定理そのもの |
| 第4問 | 標本調査 | 信頼区間(数学B) | 「およそ」に幅がつくだけ |
いちばん右の列を見てください。高校で足されるものは、どれもわずかです。中3の道具がそのまま本体で、高校は名前と、少しの精密さを足しているだけ——見方1の表が言いたかったのは、このことでした。
この4題で確認したこと
- 2点間の距離も円の方程式も、三平方の定理と円の定義だけで作れる。公式として覚える必要はない(追加第1問)。
- 2次関数の最小値は、平方完成+「2乗は0以上」で出る。「頂点」という言葉を知らなくてよい(追加第2問)。
- 方べきの定理は、円周角+相似の1行。高校で新しく覚えるのは名前だけ(追加第3問)。
- 信頼区間は、中3の「およそ」に幅を付けただけ。中3の答えが間違いなのではない(追加第4問)。
- 検算も中3のまま使える。円は上下左右の4点、放物線は左右対称、相似は長短の向き、標本調査は単位と範囲。
- FAQの「平方完成と三平方の定理を中3のうちに完璧に」は、追加第1問・第2問がその理由です。
各章の演習は 因数分解(基本)特訓道場、二次方程式 特訓道場、相似と円(基本)特訓道場(追加第3問)、三平方の定理(基本)特訓道場(追加第1問)、標本調査の特訓道場(追加第4問)にあります。単元をまたぐ問題は 中3数学 総合演習の特訓道場 へ。
道具の「なぜ」は、なぜ三平方の定理は相似だけでも証明できるのか、なぜ平方完成すると頂点がわかるのか、なぜ円周角は中心角の半分になるのか、なぜ半円に対する円周角は90°になるのか、なぜ2点間の距離の公式に平方根が現れるのか にまとめてあります。
前の学年は 中1数学の要点辞典、中2数学の要点辞典、この先は 数学I・Aの要点辞典(3つの見方をまたぐ追加演習つき)、全7ページの逆引きは 数学の要点辞典まとめ にあります。

