共通テスト65〜70%で検討できる準難関国公立理系2027

結論から言えば、共通テストの自己採点が65〜70%でも、検討できる国公立理系はあります。ただし、「7割ならこの大学」という大学名だけの対応表では出願判断を誤ります。比べるべきなのは、第一に大学の科目別配点で換算した共通テスト得点、第二に個別試験が総合点に占める割合、第三に二次数学で現実に取れる点です。

同じ素点7割でも、数学を300点に傾斜する埼玉大学理学部数学科と、外国語を数学より重く置く信州大学工学部では換算後の位置が変わります。また、河合塾Kei-Netの「共通テスト得点率」は合格可能性50%の予想ボーダーであって、大学が公表した合格最低点ではありません。2026年度の最低点も、2027年度の合格線ではありません。

この記事では、2027年度の前期方式から共テボーダー65〜70%、個別偏差値50.0以上の12募集単位を同じ基準で抽出しました。そのうえで、大学公式の配点に自己採点を代入し、二次で必要な得点を逆算します。大学名の格付けではなく、「自分の科目別得点と答案力で検討表に残せるか」を決めるための案内です。

共通テスト65〜70%で検討できる準難関国公立理系一覧

本記事でいう「準難関」は大学の公式区分ではありません。数強塾の比較用の作業定義として、河合塾Kei-Netの2027年度入試・一般選抜前期の方式別ランクで、共通テストボーダーが65〜70%、個別偏差値が50.0以上の理学・工学・情報系募集単位を指します。全大学の完全網羅ではなく、地域と専攻の幅が出るよう12件を目的抽出しました。教育力、研究力、就職力の順位でもありません。

2027年度・前期12募集単位の比較

共テボーダー 大学・募集単位 地域 分野 個別偏差値
70% 埼玉大学・理学部数学科 関東 数学 55.0
70% 東京農工大学・工学部応用化学科 関東 応用化学 52.5
70% 奈良女子大学・工学部 関西 工学融合 52.5
70% 岡山大学・工学部情報工学先進コース 中国 情報工学 52.5
69% 信州大学・工学部建築学コース 甲信越 建築 52.5
69% 京都工芸繊維大学・応用化学課程一般プログラム 関西 応用化学 55.0
69% 広島大学・工学部第四類(建設・環境系) 中国 土木・建築・環境 52.5
68% 東京都立大学・システムデザイン学部機械システム工学科 関東 機械 57.5
68% 熊本大学・工学部半導体デバイス工学課程 九州 半導体 52.5
67% 九州工業大学・工学部機械類 九州 機械 50.0
65% 金沢大学・理工学域物質化学類 北陸 化学 52.5
65% 滋賀大学・データサイエンス学部 関西 データサイエンス 52.5

数値は2026年9月4日に各大学ページ本体の「※2027年度入試」「方式別ランク」で確認しました。同じページにある学部学科ランク、後期、地域枠の数値を横付けしていません。たとえば京都工芸繊維大学応用化学は一般プログラム前期、滋賀大学データサイエンスは前期です。後期は別のボーダーです。

表から最初に分かるのは、65〜70%帯が一つの学力層ではないことです。埼玉大学数学科は個別試験が数学のみで、東京都立大学機械システム工学科は偏差値57.5、九州工業大学機械類は偏差値50.0です。共テボーダーが近くても、二次の科目、問題、必要な準備は同じではありません。専攻が違う大学を「数字が低い順」に並べて、安全校へ置き換えるのも避けるべきです。

三つの「得点率」を混ぜない

出願表には、次の三つを別列で書きます。

  1. 自己採点の素点率:受験した共通テストの得点を単純に合計した割合
  2. 大学換算後の得点率:大学の科目別配点、圧縮、傾斜を適用した割合
  3. Kei-Netのボーダー得点率:その方式で合格可能性50%と予想される共テ得点率

大学換算後の得点率とボーダーを照合して初めて、入口の比較ができます。ただし、そこで分かるのは合格の可否ではなく、二次まで含めて検討を続ける価値があるかです。共テ換算がボーダーより2ポイント低くても二次比率が高ければ検討余地が残る場合があります。一方、共テ換算が1ポイント上でも、個別科目の過去問をほぼ解けなければ安心材料にはなりません。

2027情報と2026参考を明確に分ける

情報 本記事での扱い 出願時の注意
Kei-Net 2027方式別ランク 2027年度の予想難易度 更新され得る。大学公表の最低点ではない
各大学の2027年度入学者選抜要項 科目・配点・募集単位を確認した公式概要 一般選抜学生募集要項とは別。出願条件、時間、会場、訂正を最終要項で再確認
2027年度変更予告 変更点の確認だけに使用 予告だけで全科目・全配点を補わない
2026年度合格最低点 実施済み入試の過年度参考 2027の最低点として転記しない
2026年度公式過去問 答案作業を観察する1年分 2027の頻出分野、問数、難度を保証しない

2026年9月4日時点で、この記事の詳細計算に使う埼玉、東京農工、信州、岡山、九州工業、熊本は2027年度入学者選抜要項、広島は2027年度の学部別公式入試ページを根拠にしています。これらを「2027一般選抜の正式学生募集要項まで確認済み」とは扱いません。正式募集要項の公表後は、科目表の脚注、英語リスニング換算、理科の指定、出願資格、試験時間まで差分確認が必要です。

参考として、大学が公表した2026年度前期の最低点も確認しました。埼玉大学数学科は1,442.00/2,100点、信州大学建築学コースは781.4/1,290点、岡山大学情報工学先進コースは1,331.8/2,250点、広島大学工学部第四類は1,345/2,200点でした。九州工業大学工学部は学部一括の公表で935.77/1,625点です。いずれも追加合格者の扱いなど大学注記があり、九州工業大学は2027年度の共テ配点が850点、総合1,650点へ変わるため、2026最低点をそのまま差し引けません。

同じ共テ7割でも合否が変わる配点圧縮と傾斜配点

共テ換算は難しくありません。科目ごとに「得点率×大学配点」を計算し、合計します。大切なのは、900点や1,000点の素点合計を先に7割と丸めないことです。数学85%、英語55%の受験生と、数学65%、英語85%の受験生では、単純平均が同じでも大学換算点が違います。

同じ平均69.2%の二人が逆転する例

仮想受験生Mは国語65、地歴公民65、数学85、理科75、英語55、情報70%。仮想受験生Eは国語65、地歴公民65、数学65、理科65、英語85、情報70%です。六区分の単純平均はどちらも約69.2%です。これは説明用の仮定で、実在受験生の成績ではありません。

埼玉大学理学部数学科前期の2027年度入学者選抜要項では、共テ1,050点が国語200、地歴公民100、数学300、理科200、外国語200、情報50です。

  • M:130+65+255+150+110+35=745点、71.0%
  • E:130+65+195+130+170+35=725点、69.0%

一方、信州大学工学部前期の2027年度入学者選抜要項では、共テ700点が国語100、地歴公民50、数学150、理科150、外国語200、情報50です。

  • M:65+32.5+127.5+112.5+110+35=482.5点、68.9%
  • E:65+32.5+97.5+97.5+170+35=497.5点、71.1%

埼玉ではMが20点上、信州ではEが15点上です。「共テ69.2%」だけでは、この35点分の向きが見えません。実際には各教科内の指定科目、英語リーディング・リスニング換算なども確認し、大学公式の換算表へ入れてください。

共テ比率と数学の実効配点を並べる

2027年度の公式資料から、代表7方式を同じ式で整理します。数学実効配点は、共テ数学と個別数学を足し、総合満点で割った値です。共テ比率は共テ満点÷総合満点です。

募集単位・方式 共テ/総合 個別の主な内訳 数学実効配点 数学比率
埼玉大・理数学前期 1,050/2,100=50.0% 数学1,050 共テ300+個別1,050=1,350 64.3%
東京農工大・応用化学前期 950/1,850=51.4% 数学350、理科200×2、英語150 200+350=550 29.7%
信州大・建築学前期 700/1,290=54.3% 数学280、物理280、調査書30 150+280=430 33.3%
岡山大・情報工学先進前期 950/2,250=42.2% 数学500、理科500、英語300 200+500=700 31.1%
広島大・工第四類前期 1,000/2,200=45.5% 数学400、物理200、化学200、英語400 200+400=600 27.3%
九州工業大・工前期 850/1,650=51.5% 数学400、物理・化学400 150+400=550 33.3%
熊本大・工前期 500/1,060=47.2% 数学200、理科200、外国語150、主体性10 100+200=300 28.3%

埼玉大学数学科は数学比率64.3%ですが、数学を専攻する募集単位です。配点だけを理由に選べる代替先ではありません。岡山大学や広島大学は個別比率が高くても、個別数学だけでなく理科と英語が大きい方式です。九州工業大学工学部前期は個別英語がありませんが、物理・化学の400点を無視できません。「数学で逆転」は「数学以外を捨てる」と同義ではないのです。

数学の得点率が共テと個別の両方で一様に10ポイント上がると仮定すると、総合点への効果は数学満点の10%です。埼玉は135点で総合6.43ポイント、信州建築と九州工業は43点、55点で各3.33ポイント、岡山は70点で3.11ポイント、広島は60点で2.73ポイント、熊本は30点で2.83ポイントです。これは配点感度であり、問題難度、得点調整、学習時間当たりの伸び、合格可能性を表しません。

圧縮率を見るときの計算順

紙上では次の順に一大学一枚で計算します。

  1. 共テの各科目を大学配点へ換算する
  2. 換算共テ点を総合満点ではなく、まず共テ満点で割る
  3. Kei-Netの同じ募集単位・同じ日程のボーダーと照合する
  4. 総合点の目標を置き、個別試験で必要な点を逆算する
  5. 個別必要点を数学、理科、英語へ分配し、過去問実測点と比べる

この順序なら、「共テはボーダーを超えたが、個別で数学80%が必要」「共テは2ポイント下だが、個別では過去問中央値程度で前年最低点相当に届く」といった違いが見えます。ただし、前年最低点は目標線ではなく検算用の過年度事実です。募集人員や問題難度が変われば動きます。

二次数学で伸ばせる大学・守るべき大学の見分け方

「二次で伸ばせる大学」は、単に個別比率が高い大学ではありません。個別比率、数学配点、数学以外の個別科目、過去問で再現できる得点の四点を同時に見ます。逆に「守るべき大学」とは易しい大学ではなく、共テ持ち点の比率が高い、または個別で苦手科目の失点が総合点へ直結しやすいため、数学だけの上振れを前提にしない大学です。

2026最低点を「参考線」にして必要二次率を逆算

2027配点と2026配点の総合満点が同じ四方式について、共テ各科目が一様に65%、68%、70%だったと仮定し、2026最低点相当までに個別で何%必要だったかを逆算します。

必要個別率=(2026最低点-2027配点での仮想共テ点)÷2027個別満点

募集単位 2026前期最低点 共テ65%なら 共テ68%なら 共テ70%なら
埼玉大・理数学 1,442.0/2,100 個別72.3% 69.3% 67.3%
信州大・建築学 781.4/1,290 個別等55.3% 51.8% 49.4%
岡山大・情報工学先進 1,331.8/2,250 個別54.9% 52.8% 51.3%
広島大・工第四類 1,345/2,200 個別57.9% 55.4% 53.8%

これは2027の合格目標ではありません。共テ得点を全科目一律とした仮定で、個別の得点調整も考慮していません。信州の「個別等590点」には調査書30点を含みます。埼玉は個別が数学だけですが、岡山は数学500・理科500・英語300、広島は数学400・物理200・化学200・英語400です。必要個別率が同じ55%でも、作る答案は全く違います。

それでも、この逆算には価値があります。共テ68%の仮定で、埼玉数学科は個別数学約69%が前年最低点相当への算術上の必要値、岡山情報工学先進は個別三科目合計約53%です。数学の過去問が埼玉で45%、岡山で70%なら、偏差値表とは違う志望順位になります。最高得点の一回ではなく、時間を守った複数回の中央値で比べるのが基本です。

九州工業大学工学部の2026最低点は935.77/1,625点ですが、これは機械類単独ではなく工学部単位の公表です。さらに2027は共テ850+個別800=1,650点で、2026の共テ825+個別800=1,625点から満点が変わっています。そのため同じ表には混ぜず、2027換算式で過去問得点を積み上げる用途だけに使います。

実物を見た2026数学4大学・1年分の観察

2027年度問題はまだ実施されていません。ここでは公式公開された2026年度前期数学を、信州、金沢、広島、九州工業の各1年分だけ確認しました。複数年頻度や2027の出題予告ではありません。

  • 信州大学工学部:全7題のうち工学部は第3〜6問の4題を解答。2027要項上の数学120分から単純平均は1題30分。3次関数・不等式、組合せ・確率、微分の応用、微積分という一年度の構成でした。
  • 金沢大学:理系前期数学4題、2027要項の120分なら単純平均30分。指数関数・接線・面積最小化、複素数平面の証明、剰余・合同の論証、積分不等式・極限を確認しました。
  • 広島大学:数学IIIの問題は5題。2027の試験時間150分から単純平均30分。確率・期待値、楕円と直線、四面体とベクトル、数学IIIの微積・極限、数列・漸化式・証明を確認しました。
  • 九州工業大学:2026数学は4題。大学公表の出題意図では、極限・積分と不等式、微積分、ベクトル、確率と数列について知識、計算力、思考力、応用力を見ると説明されています。2027の試験時間は最終募集要項で確認します。

問題文を数えただけで「完答できる」とは判定しません。数強塾の記事内では、答案を次の三層に分けます。

  • 完成:条件の確認、式の根拠、計算、結論まで自力で通った
  • 部分:方針または主要式は立ったが、計算・場合分け・証明の結論が不足した
  • 未着手:有効な方針を書けなかった

「部分」は大学が実際に何点を与えるかを推定する区分ではありません。採点基準や小問配点が非公表なら、自己採点で勝手に6割の点を付けないことが重要です。学習記録では、着手率、完成率、48時間後の修復率を別々に数えます。たとえば12小問中、着手9、完成6、解説後48時間で自力修復9なら、着手75%、完成50%、修復75%です。完成率が低く修復率が高いなら時間内再現が課題、修復率も低いなら単元理解から戻る、と診断できます。

攻める・守るの判定フロー

次の四問に順番に答えます。

  1. 公式換算後の共テ点は、2027ボーダーから何点差か
  2. 個別満点は総合の何%で、そのうち数学は何%か
  3. 公式過去問を時間厳守で解いた数学の複数年中央値は何%か
  4. 数学が中央値より10ポイント下振れしても、理科・英語を含む総合計画が崩れないか

共テ差を個別で埋める計算ができ、数学の中央値と下振れ値の両方が必要点を超えるなら「数学を使って攻める候補」です。必要数学点が自己最高点に近い、または数学以外を非現実的な得点に置いているなら「守る候補」ではなく、そもそも再検討候補です。共テが高く個別必要点が低くても、苦手理科をゼロ近く置く計画は安全ではありません。

共テ65%・68%・70%の出願モデル|前期から後期まで

出願モデルは、得点率だけで大学を割り当てるものではありません。科目別内訳、専攻、二次答案、移動、学費まで含めて候補を残す手順です。国立大学の前期と後期は、前期の結果を見てから後期へ出願する制度ではありません。国立大学協会の2027年度実施要領では、出願期間は2027年1月25日〜2月3日、前期は2月25日から、後期は3月12日以降に開始します。前期一校、後期一校まで出願できますが、前期合格後に所定期日まで入学手続きを完了すると、後期の合格者にはなりません。

数学型の三つの仮想プロフィール

次の三人は説明用です。六区分の単純平均が65、68、70%になるよう置きました。

国語 地歴公民 数学 理科 英語 情報 単純平均
A65 62 65 78 70 52 63 65.0%
A68 65 64 80 72 58 69 68.0%
A70 68 70 82 75 60 65 70.0%

埼玉大学数学科の共テ配点へ換算すると、A65は698.5/1,050=66.5%、A68は728.5=69.4%、A70は754.5=71.9%です。信州大学工学部の共テ配点では、順に452/700=64.6%、475.5=67.9%、491=70.1%です。数学型は埼玉で上がり、外国語200点の信州では英語の低さが残ります。同じ「65・68・70%」でも候補表の位置は変わります。

共テ65%モデル

まず、公式換算後も65%前後かを確認します。候補表では金沢大学物質化学類と滋賀大学データサイエンス学部が65%ですが、専攻も個別科目も異なります。金沢大学物質化学類前期は2027年度入学者選抜要項で、共テ950、個別数学500・化学500・英語500、総合2,450点です。化学と英語まで含む1,500点の個別を解けるかが中心で、数学だけで押し切る方式ではありません。

A65のように数学・理科が高く英語が低い場合、金沢物質化学の個別英語500点は大きな確認事項です。共テボーダーと一致しても、英語過去問が低ければ「相応」とは言えません。データサイエンスに関心があるなら滋賀を検討表に入れますが、化学志望の安全策として学部を変えるのは本末転倒です。

後期の数字も低くなるとは限りません。同じKei-Net 2027では、広島市立大学情報科学部後期は66%、長崎大学工学部後期は67%、和歌山大学システム工学部後期は67%です。65%の自己採点で後期を自動的な安全校にはできません。長崎大学工学部後期は2027年度入学者選抜要項(大綱)で個別が小論文です。前期数学の延長だけで準備できると考えず、秋までに後期科目を一度確認します。

共テ68%モデル

候補表では東京都立大学機械システム工、熊本大学半導体デバイス工が68%、九州工業大学機械類が67%です。機械、半導体、機械類は名前の近い安全校群ではありません。学びたい分野を固定してから、二次の負担を比較します。

九州工業大学工学部前期は共テ850、個別数学400・理科400で、個別英語がありません。数学に加えて物理・化学を準備できる受験生には科目構成が明快です。熊本大学工学部前期は共テ500、個別数学200・理科200・外国語150・主体性10です。英語を完全に外したいなら同じ68%帯でも相性が違います。ただし、半導体を学ぶ意思を科目都合より先に置きます。

後期は共テ比率、面接、小論文へ切り替わる大学があります。数学が強いからこそ、前期と後期で数学の得点資産がどれだけ残るかを確認します。後期に数学がなければ、数学の時間を小論文や面接へ振り替える期間も必要です。

共テ70%モデル

埼玉大学数学科、東京農工大学応用化学、奈良女子大学工学部、岡山大学情報工学先進が70%です。ここでも専攻を横断した序列は作りません。純粋数学を学び個別数学1,050点に対応する埼玉、理科2科目と英語を課す東京農工、数学・理科・英語の個別1,300点を課す岡山では、必要な二次力が異なります。

A70を埼玉配点へ入れた共テ点は754.5点です。2026最低点1,442点を単なる参考線にすると、個別数学で687.5/1,050=65.5%が算術上必要です。一方、共テを全科目一律70%と置いた岡山では665点。2026情報工学先進の最低点1,331.8点相当までに、個別三科目で666.8/1,300=51.3%が必要です。埼玉数学65.5%と岡山三科目51.3%のどちらが現実的かは、本人の過去問答案でしか決まりません。

前期をボーダー近辺へ出すときほど、後期を「大学名を一段下げる」だけで決めないことが大切です。後期の募集枠、共テボーダー、個別科目を別方式として評価します。公立中期も含める場合は、前期・中期・後期の制度を分けて整理した公立中期の工学系記事を併用してください。

出願表は三層ではなく四列で作る

一般的な「挑戦・相応・安全」の三段階だけでは、科目相性が隠れます。次の四列を使います。

記入する内容 落とし穴
専攻適合 学びたい分野、カリキュラム、配属条件 数字だけで別分野へ逃げる
共テ位置 公式換算点、2027ボーダーとの差 素点総合率をそのまま使う
二次再現 過去問中央値、下振れ値、科目別失点 最高点一回を採用する
日程継続 後期科目、移動、前期との対策共有 後の日程を安全と決める

四列すべてが許容範囲なら出願候補です。共テ位置だけが良くても、専攻不一致や二次再現不能なら外します。逆に共テがボーダーに1〜2ポイント届かなくても、個別比率が高く、数学・理科の複数年中央値で差を埋められ、下振れ時にも破綻しないなら検討表に残せます。これは合格保証ではなく、出願前の合理的な絞り込みです。

出願後の二次対策|過去問開始時期と数学の得点計画

過去問を始めるのは共通テスト後では遅すぎます。秋までに候補2〜3校を各1年分、時間を守って解き、共テ後は出願校の答案を仕上げる段階へ移ります。共テ後に初めて問題の長さや記述形式を知ると、出願判断と学習計画を同時に作ることになります。

共テ後4週間の実行モデル

時期 数学の作業 他科目・出願の作業 完了条件
自己採点当日〜2日 大学別換算表を作り、秋に解いた過去問点を再入力 2027正式募集要項・訂正、理科指定、出願資格を確認 前期・後期それぞれ必要個別点が式で出ている
第1週 公式過去問1回を本番時間で解き、完成・部分・未着手へ分類 理科・英語も同じ満点表へ統合 最高点でなく、現在の再現点が分かる
第2週 修復率の低い単元を教科書例題〜標準問題で戻す 個別の苦手科目をゼロにしない配分を作る 48時間後に解答なしで再現できる
第3週 別年度を本番順で演習し、問題選択と撤退時刻を固定 後期が小論文・面接なら並行練習 時間超過した大問と原因を言語化できる
第4週 新題を増やさず、誤答再演習と一年度通しを交互に行う 会場、交通、持参物、試験時間を最終確認 下振れ答案でも科目別最低計画を保てる

一日の数学180分を確保する仮定なら、20分を公式・定理の再生、80分を大問演習、45分を誤答修復、20分を答案の書き直し、15分を記録へ充てます。180分が取れない日は比率を縮め、記録だけを削らないようにします。解きっぱなしの2時間より、誤答の原因と次の動作が残る90分の方が翌日に接続します。

「前年最低点+余裕」を練習管理線にする計算

前年最低点そのものを目標にすると、年度変動と自己採点誤差を吸収できません。ただし、大学の未来の合格線を予測して余裕点を断定することもできません。そこで、余裕は合格確率ではなく練習管理用の仮定として置きます。

埼玉大学数学科で、仮想受験生Mの共テ換算745点を使います。2026最低点1,442点相当なら個別数学は697点、66.4%です。管理線を総合満点の2%、42点だけ上へ置く仮定なら739点、70.4%。4%、84点上なら781点、74.4%です。この三本を「最低・標準・上振れ目標」と呼ばず、「過年度参考線・管理線A・管理線B」と呼びます。2027の合格線を示すものではないからです。

岡山大学情報工学先進で共テ換算646点、2026最低点1,331.8点を参考にすると、個別は685.8点、52.8%です。総合満点の2%に当たる45点を管理用に加えるなら730.8点、56.2%。数学70%なら350点、理科60%なら300点で、残りは英語80.8/300=26.9%です。算術上は届いても、英語27%に依存する計画は下振れ耐性が低いと判断できます。英語50%の150点を置けば、数学・理科に必要なのは580.8点。数学350点なら理科230.8/500=46.2%です。こうして科目間の現実性を比較します。

数学答案を点数だけでなく作業別に記録する

過去問ノートは「微積で失点」だけでは粗すぎます。失点を次の五つに分けます。

  1. 読解:条件、定義域、求める量を取り違えた
  2. 方針:使う定理、置換、場合分けを選べなかった
  3. 計算:方針は正しいが式変形・符号・数値で落とした
  4. 論証:必要条件・十分条件、場合の尽くし、結論が不足した
  5. 時間:解ける問題を残した、撤退が遅れた

同じ10点相当の失点でも、対策は違います。計算失点なら途中式の行間と検算点を固定し、論証失点なら「示すべき結論→必要な主張→根拠」の順に答案を再構成します。時間失点なら全問を解き直す前に、開始5分の問題一覧、各大問の撤退時刻、最後の見直し枠を決めます。大学の採点点数が不明な問題は、独自の部分点を作らず、完成数と作業分類で改善を追います。

公式過去問を使った答案の分解例は、数強塾の過去問解説も参照できます。重要なのは解答を読んで分かった感覚ではなく、48時間後に白紙から再現できるかです。

公開前・出願前の最終チェック

  • Kei-Netの数値は2027年度、同じ日程、同じ募集単位か
  • 2027正式一般選抜募集要項が公表され、選抜要項から変更されていないか
  • 共テ換算は科目別で、英語リスニングや理科指定の脚注まで反映したか
  • 前年最低点を2027最低点と書き換えていないか
  • 過去問得点は時間厳守の複数年中央値と下振れ値で見たか
  • 後期の個別科目を前期の縮小版だと思っていないか
  • 学科の学びが本人の希望と一致しているか

共テ7割前後は、候補がなくなる得点帯でも、大学名だけで安全が決まる得点帯でもありません。公式換算点、二次配点、過去問中央値を一枚に置けば、出願判断はかなり具体化します。全国の入口を広げる場合は国公立大学工学部の偏差値ランキング2027、数学の実効配点を横断比較する場合は数学配点が高い国公立大学2027も併用してください。

数強塾への相談を検討する場合は、自己採点の総合率だけでなく、科目別得点、志望する学科、時間を守った過去問答案をそろえて数強塾トップの入塾相談フォームから確認できます。この記事の計算表は志望候補を絞る道具であり、合格や特定大学への出願を保証するものではありません。


執筆:藤原進之介(数強塾)

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