平均値は「合計」、中央値は「並べたときの位置」で決まります。この違いを使うと、データの修正や文字を含む問題も、計算だけに頼らず正確に判断できます。2つの具体問題を、なぜその値になるのかまで順に解説します。
最初に確認:平均値と中央値は見ているものが違う
| 代表値 | 求め方 | 影響するもの |
|---|---|---|
| 平均値 | データの合計÷個数 | すべての値と、その合計 |
| 中央値 | 小さい順に並べた中央 | 中央付近の値と、その順位 |
問題1:読書冊数の平均値と中央値
中学2年生6人が1年間に読んだ本の冊数が、次のように記録されています。
平均値を求める
6人分の合計を6で割ります。
平均値は43冊です。平均値を求めるだけなら並べ替えは不要ですが、足し忘れを防ぐため、個数が6個あることも確認します。
中央値を求める
中央値では、元の記録順のまま中央を選んではいけません。まず小さい順に並べます。
データが6個で偶数なので、中央に1個だけの値はありません。3番目の41冊と4番目の44冊の平均を取ります。
中央値は42.5冊です。42.5冊という記録の人が実際にいる必要はありません。中央2個の間を代表する値です。
問題1の続き:記録を修正するとどう変わるか
48冊は46冊、39冊は40冊、41冊は42冊の誤りだったとします。平均値と中央値が、修正前より増えるか、減るか、変わらないかを判断します。
平均値は合計の増減だけを見る
| 修正 | 合計への影響 |
|---|---|
| 48→46 | -2冊 |
| 39→40 | +1冊 |
| 41→42 | +1冊 |
合計の変化が0で、人数も6人のままなので、平均値は43冊から変化しません。
中央値は修正後にもう一度並べる
修正後のデータは40、46、40、44、42、46です。小さい順にすると、
中央値は42.5冊から43冊になったので、増加します。
問題1の答え
- 修正前:平均値43冊、中央値42.5冊
- 修正後:平均値43冊、中央値43冊
- 比較:平均値は変化しない、中央値は増加する
なぜ合計一定でも中央値は変わるのか
平均値では、-2冊と+1冊と+1冊が打ち消し合います。一方、中央値は中央2個に注目します。修正前の中央2個は41と44、修正後は42と44です。合計全体は同じでも、中央付近の値が1冊上がったため、中央値は0.5冊上がります。
問題2:文字a・bを含む10人の得点
10人の100点満点の得点が次の通りです。a、bは a>bを満たす整数で、10人の平均値は51.0点です。
(1)aとbの関係式
平均51.0点、人数10人なので、合計点は51.0×10=510点です。分かっている8人の合計は、
答えは a+b=100です。
(2)中央値をaの値で場合分けする
文字を除いた8人の得点を小さい順に並べます。
a+b=100、a>b、aとbは整数です。また100点満点の得点なので0≦a,b≦100です。したがって、
10人なので、中央値は小さい方から5番目と6番目の平均です。bは49以下、aは51以上なので、35、42、46、bの4個が50以下の側に入り、5番目は必ず50です。
場合1:51≦a≦54
aは50と55の間に入ります。5番目は50、6番目はaです。
場合2:55≦a≦100
6番目は55です。a=55で同じ値が2個になっても、6番目の値は55のままです。
| aの範囲 | 5番目 | 6番目 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 51≦a≦54 | 50 | a | (50+a)/2 |
| 55≦a≦100 | 50 | 55 | 52.5 |
場合分けの境界が55になる理由
中央値の式が変わるのは、aと固定値55の順序が入れ替わるときです。aが54まではaが6番目、55以上では55が6番目になります。計算しやすい数で分けるのではなく、並び順が変わる値で分けます。
(3)低い方から5人の平均が44.0点
低い方から5人の値は、順番が途中で入れ替わる可能性があっても、値の組としては35、42、46、b、50です。5人の平均44.0点から、合計は220点です。
a+b=100より、a=53です。これは51≦a≦54の場合なので、
答えは51.5点です。
10人を実際に並べて検算
35,42,46,47,50,53,55,57,62,63となります。5番目は50、6番目は53なので、中央値は(50+53)÷2=51.5点です。合計510点、平均51.0点も満たします。
よくある誤り
| 誤り | 正しい確認 |
|---|---|
| 記録順の中央を中央値にする | 必ず小さい順に並べる |
| 6個なら3番目だけを選ぶ | 偶数個では3番目と4番目の平均 |
| 修正後の平均を全部足し直す | 合計の増減だけでも判断できる |
| aとbを適当に配置する | a≧51、b≦49を先に確定する |
| 場合分けの境界を54とする | 固定値55との順序が変わるので55を境界にする |
確認問題
- 3、5、7、9の平均値と中央値を求めてください。
- 5個のデータの一つを2増やし、別の一つを2減らしました。平均値はどうなりますか。
- 2、4、8、xの平均値が6のとき、xを求めてください。
- 1、3、5、7、xを小さい順に並べたとき、x≧7なら中央値はいくつですか。
確認問題の解答
- 合計24、個数4より平均値6。中央2個は5と7なので中央値6です。
- 合計の変化は+2-2=0、個数も同じなので、平均値は変化しません。
- 合計は6×4=24なので、x=24-(2+4+8)=10です。
- 並びは1、3、5、7、x(x=7でも中央は5)となるので、中央値は5です。
よくある質問
中央値が小数になってもよいですか。
はい。データ数が偶数なら中央2個の平均を取るため、元のデータにない小数になることがあります。
平均値と中央値は、どちらが優れていますか。
目的によります。平均値は全データを反映しますが、極端に大きい値・小さい値の影響を受けます。中央値は極端な値の影響を受けにくい一方、各値がどれだけ離れているかは直接反映しません。
学習範囲の根拠
本記事は、中学校数学のデータの活用に沿い、代表値とデータの傾向を読み取る問題をサイト用に再構成したものです。教材画像や紙面は転載していません。
