獨協医科大学 医学部 数学 全問解説|70分・大問5題の解き方と時間配分

医学部・大学別の全問解説
獨協医科大学 医学部 数学|大問5題を全問解説
70分で5題。指数対数と複素数平面、確率漸化式、空間ベクトル、微分可能性からの係数決定、そして共通接線から体積・弧長まで。分量の多さで差がつくタイプの試験を、型と時間配分の両面から解説します。
医学部〔医学科〕マーク式・大問5題試験時間70分数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B
この記事について: 解答・解説はすべて数強塾 藤原進之介による書き下ろしのオリジナルです。全設問の数値結果はPythonによる独立検証(多角形クリッピングによる面積計算、5個の石の状態遷移の厳密有理数計算、サイコロ1296通りの全列挙、解の個数の区間走査、数値積分)を通しています。

獨協医科大学 医学部 数学の出題構成

形式 マーク式(空欄補充)
試験時間 70分
大問数 5題
出題範囲 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列・ベクトル)
今回の分野 指数・対数方程式/対数不等式(底の場合分け)/複素数平面と図形/確率と数列/空間ベクトルと図形/微分可能性・微分法の方程式への応用/微積分融合(共通接線・面積・回転体・曲線の長さ)

70分で5題、1題あたり14分。しかもその5題が、複素数平面の領域、確率漸化式、空間ベクトル、区分定義関数の微分可能性、数Ⅲの微積分融合——と、互いにまったく重ならない分野から並んでいます。ひとつ苦手分野があると、その1題ぶんがまるごと消える構成です。

難易度そのものは標準〜やや上で、ひとつひとつは決して奇問ではありません。効いてくるのは「手が止まらないこと」——方針を立てる時間を1題あたり1分に収められるかどうかです。以下、各大問で最初に何を決めれば手が止まらないかを示しながら解説します。

大問別・全問解説

第1問指数・対数方程式/対数不等式/複素数平面と図形

第1問|前半は作業、後半は「回転と縮小」の一言に気づけるか

ねらい: (1)は底をそろえる基本作業と、底が1をまたぐときの場合分け。(2)は極形式に直したあと、図形の相似に気づけるか。

  1. (i) 方程式 \(4^{x}-2^{x+3}+9^{\log_{3}4}-4=0\) を解け。
    (ii) \(a\) を \(a\gt0,\ a\neq1\) を満たす定数とする。不等式 \(\log_{a}(x-3)-\log_{a^{2}}(5-x)\lt\log_{a}\sqrt{x}\) を解け。
  2. \(i\) を虚数単位とし、\(\alpha=-2+2\sqrt3\,i\)、\(\beta=\dfrac14+\dfrac{\sqrt3}{4}i\) とする。\(0\leqq\arg\alpha\lt2\pi,\ 0\leqq\arg\beta\lt2\pi\) として \(\alpha,\beta\) を極形式で表せ。
    さらに、原点を \(\mathrm{O}\) とし、自然数 \(n\) に対して複素数 \(4\beta^{\,n-1}\)、\(\alpha\beta^{\,n-1}\) に対応する点をそれぞれ \(\mathrm{A}_n,\ \mathrm{B}_n\) とする。三角形 \(\mathrm{OA}_n\mathrm{B}_n\) の周と内部を \(D_n\)、\(D_1,D_2,\ldots,D_n\) の和集合の面積を \(S_n\) とするとき、\(D_2\) の面積と \(S_2\)、および \(S_n=S_{n-1}\) を満たす最小の自然数 \(n\ (n\geqq2)\) を求めよ。

解答

(1)(i) \(x=1,\ \log_{2}6\)

(1)(ii) \(a\gt1\) のとき \(3\lt x\lt\dfrac92\)、\(0\lt a\lt1\) のとき \(\dfrac92\lt x\lt5\)

(2) \(\alpha=4\left(\cos\dfrac23\pi+i\sin\dfrac23\pi\right)\)、\(\beta=\dfrac12\left(\cos\dfrac13\pi+i\sin\dfrac13\pi\right)\)

\(D_2\) の面積 \(=\sqrt3\)、\(S_2=\dfrac{9\sqrt3}{2}\)、最小の \(n=6\)

解き方

(1)(i) \(9^{\log_{3}4}\) をどう潰すか

見慣れない \(9^{\log_{3}4}\) が置いてありますが、これは底をそろえれば数値になります

\[9^{\log_{3}4}=\left(3^{2}\right)^{\log_{3}4}=3^{2\log_{3}4}=3^{\log_{3}16}=16\]

よって方程式は \(4^{x}-8\cdot2^{x}+16-4=0\)、すなわち \(t=2^{x}\ (t\gt0)\) とおいて

\[t^{2}-8t+12=0\quad\Longrightarrow\quad (t-2)(t-6)=0\quad\Longrightarrow\quad t=2,\ 6\]

\(2^{x}=2\) から \(x=1\)、\(2^{x}=6\) から \(x=\log_{2}6\)。どちらも \(t\gt0\) を満たします。

(1)(ii) 底の変換 → 真数条件 → 底で場合分け、の3手

まず真数条件。\(x-3\gt0,\ 5-x\gt0,\ \sqrt x\gt0\) から \(3\lt x\lt5\)。

次に底をそろえます。\(\log_{a^{2}}(5-x)=\dfrac{\log_{a}(5-x)}{\log_{a}a^{2}}=\dfrac12\log_{a}(5-x)\) なので、両辺を2倍すると

\[2\log_{a}(x-3)-\log_{a}(5-x)\lt2\log_{a}\sqrt{x}\quad\Longleftrightarrow\quad \log_{a}(x-3)^{2}\lt\log_{a}\bigl\{(5-x)x\bigr\}\]

ここで底 \(a\) が1より大きいか小さいかで不等号の向きが変わります。共通して現れる2次不等式は

\[(x-3)^{2}\ \text{と}\ (5-x)x\ \text{の大小}\quad\Longleftrightarrow\quad 2x^{2}-11x+9=(x-1)(2x-9)\ \text{の符号}\]

  • \(a\gt1\)(対数は増加): \((x-1)(2x-9)\lt0\) より \(1\lt x\lt\dfrac92\)。真数条件 \(3\lt x\lt5\) と合わせて \(\boldsymbol{3\lt x\lt\dfrac92}\)。
  • \(0\lt a\lt1\)(対数は減少): \((x-1)(2x-9)\gt0\) より \(x\lt1\) または \(x\gt\dfrac92\)。真数条件と合わせて \(\boldsymbol{\dfrac92\lt x\lt5}\)。

2つの答えが \(x=\frac92\) を境に隣り合うのは偶然ではありません。境界は不等式が等号になる点で、底の大小はどちら側を取るかしか変えないからです。片方を出せばもう片方は「残り」だと分かります。

(2) 極形式に直すと、\(\beta\) 倍の正体が見える

\[\alpha=-2+2\sqrt3\,i=4\left(-\frac12+\frac{\sqrt3}{2}i\right)=4\left(\cos\frac23\pi+i\sin\frac23\pi\right)\]
\[\beta=\frac14+\frac{\sqrt3}{4}i=\frac12\left(\frac12+\frac{\sqrt3}{2}i\right)=\frac12\left(\cos\frac13\pi+i\sin\frac13\pi\right)\]

ここが最大の分岐点です。\(\beta\) を掛けることは「原点のまわりに \(\frac{\pi}{3}\) 回転して、原点からの距離を半分にする」——この一言に翻訳できるかどうかで、以降の見通しがまるで変わります。

ド・モアブルの定理から、\(\mathrm{A}_n,\mathrm{B}_n\) に対応する複素数は

\[4\beta^{\,n-1}=\frac{1}{2^{\,n-3}}\left(\cos\frac{n-1}{3}\pi+i\sin\frac{n-1}{3}\pi\right)\]
\[\alpha\beta^{\,n-1}=\frac{1}{2^{\,n-3}}\left(\cos\frac{n+1}{3}\pi+i\sin\frac{n+1}{3}\pi\right)\]

したがって \(|\mathrm{OA}_n|=|\mathrm{OB}_n|=\dfrac{1}{2^{\,n-3}}\)、そして偏角の差は

\[\angle\mathrm{A}_n\mathrm{O}\mathrm{B}_n=\frac{n+1}{3}\pi-\frac{n-1}{3}\pi=\frac{2}{3}\pi\]

つまり \(D_n\) はすべて「頂角 \(120^\circ\) の二等辺三角形」で、大きさだけが半分ずつ縮み、向きが \(60^\circ\) ずつ回っていく。面積は

\[|D_n|=\frac12\cdot\left(\frac{1}{2^{\,n-3}}\right)^{2}\sin\frac23\pi=\frac{\sqrt3}{4}\cdot\frac{1}{4^{\,n-3}}\]

\(n=1\) で \(4\sqrt3\)、\(n=2\) で \(\boldsymbol{\sqrt3}\)。

(2) \(S_2\):重なりを計算せずに「ちょうど半分」と言い切る

\(D_2\) のうち \(D_1\) の外に出る部分の面積を求めます。ここで効くのが次の事実です。

\[\mathrm{A}_2\mathrm{B}_2\ \text{の中点}\ \mathrm{M}\ \text{は線分}\ \mathrm{OB}_1\ \text{上にあり、}\ \mathrm{OB}_1\perp\mathrm{A}_2\mathrm{B}_2\]

実際、\(\mathrm{A}_2(1,\sqrt3)\)、\(\mathrm{B}_2(-2,0)\) の中点は \(\left(-\dfrac12,\dfrac{\sqrt3}{2}\right)\) で、これは \(120^\circ\) 方向の単位ベクトルそのもの。二等辺三角形 \(\mathrm{OA}_2\mathrm{B}_2\) の頂点 \(\mathrm{O}\) から底辺への垂線が \(\mathrm{OB}_1\) と重なる、というだけのことです。

したがって直線 \(\mathrm{OB}_1\) は \(D_2\) を面積の等しい2つの三角形に分け、その一方だけが \(D_1\) の外側にあります。

\[S_2=|D_1|+\frac12|D_2|=4\sqrt3+\frac{\sqrt3}{2}=\frac{9\sqrt3}{2}\]

O A1 B1 A2 B2 M D1 D2

\(D_1\)(水色)と \(D_2\)(緑の枠)。\(D_2\) は \(D_1\) を \(60^\circ\) 回転して原点からの距離を半分にしたもので、どちらも頂角 \(120^\circ\) の二等辺三角形です。赤い破線が \(\mathrm{OB}_1\)、赤い点が \(\mathrm{A}_2\mathrm{B}_2\) の中点 \(\mathrm{M}\)。この破線が \(D_2\) をちょうど半分に切り、濃く塗った左下の半分だけが \(D_1\) の外に出ます(右上の半分は \(D_1\) の内側なので水色のままにしてあります)。

(2) \(S_n=S_{n-1}\) となる最小の \(n\)

\(S_n=S_{n-1}\) は「\(D_n\) が \(D_1\cup\cdots\cup D_{n-1}\) にすっかり飲み込まれた」ということ。\(D_n\) と \(D_{n-1}\) の位置関係は \(D_2\) と \(D_1\) の場合とまったく同じ(\(60^\circ\) 回転して等辺の長さが半分)ですから、直前の三角形からのはみ出しは毎回起こります。効いてくるのは回転が一周して、もっと大きな古い三角形の内側に戻ってくるかどうかです。

\(D_n\) が占める向きの範囲は \(60(n-1)^\circ\) から \(60(n+1)^\circ\) まで。\(n=6\) では \(300^\circ\sim420^\circ\)(=\(60^\circ\))で、これは \(D_5\)(\(240^\circ\sim360^\circ\))と \(D_1\)(\(0^\circ\sim120^\circ\))でちょうど覆われます。しかも等辺の長さは \(|\mathrm{OA}_6|=\dfrac18\) と、\(|\mathrm{OA}_5|=\dfrac14\) の半分、\(|\mathrm{OA}_1|=4\) の32分の1。角度が一周したところで初めて、はみ出す先が残らなくなるのです。

\[\boldsymbol{n=6}\]

検算:面積の増分を数値計算で追うと \(n=2,3,4,5\) では正、\(n=6\) 以降はぴったり0でした。

この大問の急所

(2)は「\(\beta\) 倍=\(60^\circ\) 回転して半分に縮小」の1行に尽きます。これが言えれば、\(D_n\) がすべて相似な二等辺三角形であること、はみ出しが毎回半分であること、いずれ古い三角形に飲み込まれることが、すべて図を描かずに見えます。複素数平面の問題で極形式に直す本当の目的は、計算のためではなく「図形の言葉に翻訳するため」です。

複素数平面の単元整理は 数学C辞典 をどうぞ。

典型的な失点と原因

(1)(ii)で底の場合分けを忘れる。\(a\gt0,\ a\neq1\) とわざわざ書いてあるのは「1をまたぐぞ」という合図です。答えが2つ必要だと最初に決めておくこと。
(1)(ii)で真数条件を後回しにする。\(3\lt x\lt5\) を先に出しておかないと、\(a\gt1\) の側で \(1\lt x\lt\frac92\) をそのまま答えてしまいます。
(2)で \(S_2\) を「\(|D_1|+|D_2|\)」としてしまう。和集合なので重なりを引かねばなりません。ここは「ちょうど半分がはみ出す」という幾何を使うのが最短で、重なりの多角形を計算する必要はありません。

第2問確率と数列|状態をまとめて漸化式にする

第2問|5個の石を「黒の個数」だけで追う

ねらい: 32通りの状態を3つに圧縮できるか。マーク式で誘導が与えられているので、その意図を読む力が問われます。

正方形の4つの頂点と2本の対角線の交点に、図のように①から⑤の番号が打たれ、それぞれに1個ずつ、合計5個の白石が置かれている。1個のサイコロを投げ、出た目が1から5のときは、その目と同じ番号にある石を、それが白石ならば黒石に、黒石ならば白石に置きかえ、出た目が6のときはいずれの石も置きかえない、という試行を行う。\(n\) は正の整数とする。

  1. 「\(n\) 回の試行の後、3点①、⑤、③にある石がすべて同色である確率」を \(a_n\) とする。\(a_1,\ a_2\) を求め、\(a_{n+1}\) を \(a_n\) で表し、\(a_n\) を求めよ。
  2. 「\(n\) 回の試行の後、3点①、⑤、③にある石がすべて同色であるか、または3点②、⑤、④にある石がすべて同色である確率」を \(b_n\) として、\(b_4\) を求めよ。
    (誘導)\(n\) 回の試行の後、5個の石がすべて同色である確率を \(p_n\)、黒石が1個または4個である確率を \(q_n\)、黒石が2個または3個である確率を \(r_n\) とすると \(p_n+q_n+r_n=1\) であり、\(p_{n+1}\) と \(q_{n+1}\) を \(p_n,q_n,r_n\) で表せる。

解答

(1) \(a_1=\dfrac12\)、\(a_2=\dfrac13\)、\(a_{n+1}=\dfrac13a_n+\dfrac16\)、\(a_n=\dfrac14\left(1+\dfrac{1}{3^{\,n-1}}\right)\)

(2) \(p_{n+1}=\dfrac16p_n+\dfrac16q_n\)、\(q_{n+1}=\dfrac56p_n+\dfrac16q_n+\dfrac13r_n\)、\(p_4=\dfrac{2}{27}\)、\(b_4=\dfrac49\)

解き方

(1) \(a_1\) は「効かない目」を数えるだけ

注目するのは①、③、⑤の3点だけです。1回の試行で、この3点の色が変わるのは目が1、3、5のとき。目が2、4、6なら3点は動きません。

最初は全部白なので、1回後に「3点が同色」なのは3点が動かなかったときだけ。

\[a_1=\frac{3}{6}=\frac12\]

\(a_2\) は2回ぶん数えます。ここで2回では3点を全部黒にできない(そのためには3回の反転が要る)ので、2回後の「同色」は全部白の場合しかありません。つまり、2回とも動かない(\(\left(\frac36\right)^2\))か、同じ番号を2回出して元に戻す(1、3、5のどれかで2回、\(\left(\frac16\right)^2\times3\))の2通りです。

\[a_2=\left(\frac16\right)^{2}\times3+\left(\frac36\right)^{2}=\frac{3}{36}+\frac{9}{36}=\frac13\]

(1) 漸化式は「同色を保つ/同色に戻る」の2通り

\(n+1\) 回後に3点が同色になるのは、\(n\) 回後の状態から次の2つの場合です。

  • \(n\) 回後に同色だった(確率 \(a_n\))→ \(n+1\) 回目は2、4、6のいずれか(確率 \(\frac36\))。
  • \(n\) 回後に同色でなかった(確率 \(1-a_n\))→ このとき3点のうちちょうど1個だけが他の2個と違う色になっています。その1個の番号が出れば同色に戻る(確率 \(\frac16\))。

2つ目が要点です。3点が「同色でない」とは、白2黒1か白1黒2のどちらか。どちらの場合も「浮いている1個」がただ1つ決まるので、確率は必ず \(\frac16\) になります。

\[a_{n+1}=a_n\cdot\frac36+(1-a_n)\cdot\frac16=\frac13a_n+\frac16\]

特性方程式 \(a=\frac13a+\frac16\) の解は \(a=\frac14\)。よって

\[a_{n+1}-\frac14=\frac13\left(a_n-\frac14\right)\quad\Longrightarrow\quad a_n-\frac14=\left(\frac13\right)^{n-1}\left(a_1-\frac14\right)=\frac14\left(\frac13\right)^{n-1}\]
\[\therefore\ a_n=\frac14\left(1+\frac{1}{3^{\,n-1}}\right)\]

検算:\(n=1\) で \(\frac12\)、\(n=2\) で \(\frac14\cdot\frac43=\frac13\)。合っています。\(n\to\infty\) で \(\frac14\) に近づくのも、3点の色が「ほぼランダムな \(2^3=8\) 通り」に均されて、全部同じになるのが2通り、と考えれば納得できます。

(2) 5個ぜんぶを見る。ただし「黒の個数」だけで足りる

5個の石の状態は \(2^{5}=32\) 通りありますが、どの石も対等なので「黒石の個数 \(k\)」だけ分かれば確率は決まります。さらに \(k\) と \(5-k\) もひとまとめにできて、状態は

\[p_n:\ k=0,5\qquad q_n:\ k=1,4\qquad r_n:\ k=2,3\]

3つだけになります。1回の試行では \(k\) が \(\pm1\) 動くか(確率 \(\frac56\)、そのうち黒を選べば \(-1\)、白を選べば \(+1\))、動かない(確率 \(\frac16\))。\(k\) 個の黒から1個選ぶ確率は \(\frac{k}{5}\cdot\frac56=\frac{k}{6}\) です。

\(k=0\) になるには、\(k=0\) のまま(\(\frac16\))か、\(k=1\) から黒を消す(\(\frac16\))。\(k=5\) も対称に同じ。まとめて

\[p_{n+1}=\frac16p_n+\frac16q_n\]

\(k=1\) になるには、\(k=0\) から白を1個黒に(\(\frac56\))、\(k=1\) のまま(\(\frac16\))、\(k=2\) から黒を1個消す(\(\frac26\))。\(k=4\) も対称なので

\[q_{n+1}=\frac56p_n+\frac16q_n+\frac13r_n\]

あとは \(r_n=1-(p_n+q_n)\) を使って表を4段回すだけです。

\[(p_1,q_1,r_1)=\left(\frac16,\ \frac56,\ 0\right),\quad (p_2,q_2,r_2)=\left(\frac16,\ \frac{5}{18},\ \frac59\right)\]
\[(p_3,q_3,r_3)=\left(\frac{2}{27},\ \frac{10}{27},\ \frac59\right),\qquad p_4=\frac16\cdot\frac{2}{27}+\frac16\cdot\frac{10}{27}=\frac{2}{27}\]

(2) 仕上げは包除原理。ここで(1)が効いてくる

求める \(b_n\) は「①⑤③が同色」または「②⑤④が同色」の確率。事象を \(A,B\) とすると

\[b_n=P(A)+P(B)-P(A\cap B)\]

\(P(A)=P(B)=a_n\) は対称性から明らか。問題は \(A\cap B\) です。

ここが設問の山場。\(A\) は①③⑤が同色、\(B\) は②④⑤が同色。⑤が両方に入っているので、両方が起これば①②③④⑤の5個すべてが同じ色——つまり \(P(A\cap B)=p_n\) です。

\[b_n=2a_n-p_n\]

\(a_4=\dfrac14\left(1+\dfrac{1}{27}\right)=\dfrac{7}{27}\)、\(p_4=\dfrac{2}{27}\) だから

\[b_4=2\cdot\frac{7}{27}-\frac{2}{27}=\frac{12}{27}=\frac49\]

検算:サイコロ4回の \(6^{4}=1296\) 通りを全列挙して数えたところ576通り、\(\frac{576}{1296}=\frac49\) で一致しました。

なぜ「黒石が1個または4個」とまとめるのか

誘導が \(p,q,r\) の3状態を与えてくるのは親切なのですが、なぜ \(k\) と \(5-k\) をまとめてよいのかを理解しないまま使うと、次に似た問題が出たとき自分で状態を作れません。

まず注意したいのは、「\(k\) 個黒の確率」と「\(5-k\) 個黒の確率」が等しいわけではないことです。最初が全部白なので、1回後は \(k=0\) が \(\frac16\)、\(k=5\) は \(0\)。まったく違います。

まとめてよい本当の根拠は行き先をペアで見たときの遷移確率が一致することです。\(k\) からは確率 \(\frac{k}{6}\) で \(k-1\) のペアへ、\(\frac{5-k}{6}\) で \(k+1\) のペアへ、\(\frac16\) でそのまま。いっぽう \(5-k\) からは \(\frac{5-k}{6}\) で \(5-(k+1)\)(=\(k+1\) と同じペア)へ、\(\frac{k}{6}\) で \(5-(k-1)\)(=\(k-1\) と同じペア)へ、\(\frac16\) でそのまま。ペアの内訳を知らなくても次のペアの確率が決まる——だから \(p,q,r\) だけで漸化式が閉じるのです。

この「内訳を知らなくても次が決まるようにまとめる」が、確率漸化式の一番大事な準備作業です。

漸化式を立てる前提になる数列の基本操作は 共通テスト数学ⅡBC 予想問題【数列・統計的な推測】5題 で確認できます。

典型的な失点と原因

(1)で「同色でないとき同色に戻る確率」を \(\frac36\) としてしまう。3点のうち浮いているのは1個だけなので \(\frac16\) です。ここを間違えると漸化式ごと崩れます。
(2)で \(b_n=2a_n\) としてしまう。包除原理の引き算を忘れる典型。⑤が両方の組に入っていることに気づけば、重なりが「5個すべて同色」だと分かります。
(2)で \(p_n\) を1から数え直す。誘導の漸化式を使えば表を4段回すだけです。マーク式では誘導に乗るのが最速——自分の好きな解き方に固執しないこと。

第3問空間ベクトルと図形|共線・垂直・最短距離

第3問|平方完成を2回。それだけで最短距離が出る

ねらい: 2直線上の動点の距離を2変数関数として扱い、平方完成で最小化する。定番だが計算量がある。

点 \(\mathrm{O}\) を原点とする座標空間に4点 \(\mathrm{A}(4,-5,2)\)、\(\mathrm{B}(4,-2,5)\)、\(\mathrm{C}(-1,-1,4)\)、\(\mathrm{D}(1,1,5)\) がある。点 \(\mathrm{P}\) を直線 \(\mathrm{AB}\) 上の動点、点 \(\mathrm{Q}\) を直線 \(\mathrm{CD}\) 上の動点とし、\(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=p\,\overrightarrow{\mathrm{AB}}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{CQ}}=q\,\overrightarrow{\mathrm{CD}}\)(\(p,q\) は実数)とおく。

  1. 3点 \(\mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q}\) が一直線上にあるときの \(p,q\) を求めよ。
  2. 直線 \(\mathrm{PQ}\) が直線 \(\mathrm{AB}\) に垂直であるとき成り立つ \(p,q\) の関係式を求めよ。
  3. 線分 \(\mathrm{PQ}\) の長さが最小となる \(\mathrm{P},\mathrm{Q}\) の座標を求めよ。そのときの2点を \(\mathrm{P}_1,\mathrm{Q}_1\) とするとき、2平面 \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{A}\)、\(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{C}\) のなす角 \(\theta\ \left(0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}\right)\) を求めよ。

解答

(1) \(p=3,\ q=\dfrac32\) (2) \(2-2p+q=0\)

(3) \(\mathrm{P}(4,1,8)\)、\(\mathrm{Q}(3,3,6)\)(最小値 \(|\mathrm{PQ}|=3\))、\(\theta=\dfrac{\pi}{4}\)

解き方

下ごしらえ:2本の方向ベクトルと、2つの動点

\[\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(0,\ 3,\ 3),\qquad \overrightarrow{\mathrm{CD}}=(2,\ 2,\ 1)\]
\[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(4,\ -5+3p,\ 2+3p),\qquad \overrightarrow{\mathrm{OQ}}=(-1+2q,\ -1+2q,\ 4+q)\]

この2行を書いた時点で、(1)〜(3)はすべて機械的に処理できます。

(1) 共線条件は「一方が他方の実数倍」

\(\mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q}\) が一直線上 \(\iff\) \(\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\,\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\) となる実数 \(k\) が存在する。成分ごとに

\[4=k(-1+2q)\ \cdots①\qquad -5+3p=k(-1+2q)\ \cdots②\qquad 2+3p=k(4+q)\ \cdots③\]

①と②の右辺が同じなので、いきなり \(4=-5+3p\)、すなわち \(\boldsymbol{p=3}\)。

これを③に入れると \(11=k(4+q)\)。①と辺々で比を取れば \(k\) が消えて

\[11(-1+2q)=4(4+q)\quad\Longrightarrow\quad 18q=27\quad\Longrightarrow\quad q=\frac32\]

①と②を見比べて \(k\) を使わずに \(p\) を出すのがこの設問の設計です。3本の式から愚直に \(k\) を消去しようとすると倍の手間がかかります。

(2) 内積を0にする、それだけ

\[\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OQ}}-\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(-5+2q,\ 4+2q-3p,\ 2+q-3p)\]

\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}=3(0,1,1)\) なので、\(\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0\) は

\[(4+2q-3p)+(2+q-3p)=0\quad\Longrightarrow\quad 6+3q-6p=0\quad\Longrightarrow\quad 2-2p+q=0\]

第1成分が0の方向ベクトルなので、実質2成分の足し算で終わります。

(3) \(|\mathrm{PQ}|^{2}\) を2変数の平方和に整理する

\[|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^{2}=(-5+2q)^{2}+(4+2q-3p)^{2}+(2+q-3p)^{2}=9q^{2}-18qp+18p^{2}-36p+45\]

ここからが山場です。\(q\) について平方完成 → 残りを \(p\) について平方完成の順で進めます。

\[9q^{2}-18qp=9(q-p)^{2}-9p^{2}\]
\[\Longrightarrow\ |\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^{2}=9(q-p)^{2}+9p^{2}-36p+45=9(q-p)^{2}+9(p-2)^{2}+9\]

\((q-p)^{2}\geqq0\)、\((p-2)^{2}\geqq0\) だから \(|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^{2}\geqq9\)。等号は \(q=p\) かつ \(p=2\)、すなわち \(\boldsymbol{p=q=2}\)。

\[\mathrm{P}_1(4,\ 1,\ 8),\qquad \mathrm{Q}_1(3,\ 3,\ 6),\qquad |\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1|=3\]

\(p=q=2\) は(2)の条件 \(2-2p+q=0\) を満たします。これは偶然ではありません。\(|\mathrm{PQ}|\) が最小になるとき、線分 \(\mathrm{PQ}\) は直線 \(\mathrm{AB}\) にも直線 \(\mathrm{CD}\) にも垂直になる(この線分を2直線の共通垂線といいます)。実際 \(\overrightarrow{\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1}=(-1,2,-2)\) は \(\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(0,3,3)\) とも \(\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(2,2,1)\) とも内積が0です。平方完成の形にもそれが表れていて、\(9(q-p)^{2}\) は \(p\) を止めて \(q\) だけ動かしたときの最小条件、\(9(p-2)^{2}\) はそのうえで \(p\) を動かしたときの最小条件にあたります。

(3) 2平面のなす角を、2直線のなす角に読み替える

2平面 \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{A}\) と \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{C}\) の交線は直線 \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\) です。定義により、交線上の1点で交線に垂直に引いた2直線のなす角を測ります。

ここで\(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\) は \(\mathrm{AB}\) にも \(\mathrm{CD}\) にも垂直でした。\(\mathrm{AB}\) は平面 \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{A}\) に含まれ、\(\mathrm{CD}\) は平面 \(\mathrm{P}_1\mathrm{Q}_1\mathrm{C}\) に含まれます。通る点は \(\mathrm{P}_1\) と \(\mathrm{Q}_1\) で違いますが、2直線のなす角は方向ベクトルだけで決まるので、\(\mathrm{CD}\) を平面内で平行移動して \(\mathrm{P}_1\) を通らせれば「交線上の1点で交線に垂直な2直線」になります。したがって \(\theta\) は \(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{CD}}\) のなす角、またはその補角。

\[\cos\theta=\frac{\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|}{\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\right|\left|\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|}=\frac{|0+6+3|}{3\sqrt2\cdot3}=\frac{9}{9\sqrt2}=\frac{1}{\sqrt2}\]
\[\therefore\ \theta=\frac{\pi}{4}\]

\(0\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{2}\) の指定があるので絶対値を付けます。

この大問の急所

(3)の平方完成で、先に \(q\) を消しにいくのが肝心です。\(9q^{2}-18qp\) の形を見たら \(9(q-p)^{2}\) が作れると即断する。逆に \(p\) から始めると \(18p^{2}-(18q+36)p\) となって係数が汚くなり、時間を落とします。2変数の2次式は「1次の項を持たない文字から平方完成」——ここでは展開後に \(q\) の1次の項が消えている(\(q\) は \(9q^{2}\) と \(-18qp\) にしか現れない)ので、\(q\) から始めれば整数係数のまま片づきます。覚えておく価値のある順序です。

空間ベクトルの実戦演習は 空間ベクトルの入試頻出問題6選 にまとめてあります。

典型的な失点と原因

(1)で \(k\) を消去しようと3式を連立して迷子になる。①と②は右辺が完全に同じなので、左辺どうしを等号で結ぶだけで \(p\) が出ます。
(3)で「最小値は \(|\mathrm{PQ}|^{2}=9\)」と答えてしまう。聞かれているのは座標です。求めた \(p=q=2\) を代入し戻すところまでが答え。
(3)の角度で絶対値を落とす。内積が負になる向きに取ると鈍角が出ます。\(0\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{2}\) の指定がある以上、絶対値を付けるのが正しい処理です。

第4問微分係数・導関数/微分法の方程式への応用

第4問|4つの係数を4つの条件で仕留める

ねらい: 「微分可能=連続かつ左右の微分係数が一致」を機械的に使えるか。後半はグラフを描けるかどうかの勝負。

\(a,b,c,d\) を実数の定数とし、関数 \(f(x)\) を次のように定義する。

\[f(x)=\begin{cases}-2x+a & (x\lt-1)\\ bx^{2}-x-3b+2c & (-1\leqq x\lt2)\\ (1-c)x^{3}+4bx^{2}-3x+7c-5d & (2\leqq x)\end{cases}\]

\(f(x)\) がすべての実数 \(x\) において微分可能であるとき、\(a,b,c,d\) を求めよ。以下、この条件のもとで考える。

  1. 方程式 \(f(x)=k\)(\(k\) は実数の定数)が相異なる3個の実数解 \(\alpha,\beta,\gamma\ (\alpha\lt\beta\lt\gamma)\) をもつときの \(k\) の範囲を求めよ。また、\(k\) がこの範囲を動くときの \(\alpha\) の範囲を求めよ。
  2. \(y=f(x)\) のグラフを \(C\) とし、\(C\) 上に点 \(\mathrm{P}(2,f(2))\) をとる。\(\mathrm{P}\) における \(C\) の法線と \(C\) との交点のうち \(x\lt0\) の部分にあるものを \(\mathrm{Q}\) とする。\(C\) 上の \(2\lt x\lt4\) の部分に点 \(\mathrm{R}\) をとるとき、三角形 \(\mathrm{QPR}\) の面積が最大となる \(\mathrm{R}\) の座標を求めよ。

解答

\(a=\dfrac23,\ b=\dfrac12,\ c=\dfrac43,\ d=\dfrac32\)

(1) \(\dfrac23\lt k\lt\dfrac{11}{6}\)、\(\dfrac{3-\sqrt{21}}{3}\lt\alpha\lt1\)

(2) \(\mathrm{R}\left(2+\sqrt2,\ \dfrac{7+2\sqrt2}{6}\right)\)

解き方

係数決定:微分係数の一致を先に使う

「微分可能」は「連続」かつ「左右の微分係数が一致」。先に微分係数の条件を使うと、文字が1つずつ落ちて楽です。

\[f'(x)=\begin{cases}-2 & (x\lt-1)\\ 2bx-1 & (-1\lt x\lt2)\\ 3(1-c)x^{2}+8bx-3 & (2\lt x)\end{cases}\]

  • \(x=-1\) で微分可能:\(-2=-2b-1\) より \(b=\dfrac12\)。
  • \(x=2\) で微分可能:\(4b-1=12(1-c)+16b-3\)。\(b=\frac12\) を入れて \(1=17-12c\) より \(c=\dfrac43\)。
  • \(x=-1\) で連続:\(2+a=-2b+1+2c\)。\(b,c\) を入れて \(a=2c-2=\dfrac23\)。
  • \(x=2\) で連続:\(f(2^{-})=b-2+2c=\dfrac76\)、\(f(2^{+})=2+16b-c-5d=\dfrac{26}{3}-5d\)。等号から \(d=\dfrac32\)。

結果、\(f\) は次の形になります。

\[f(x)=\begin{cases}-2x+\dfrac23 & (x\lt-1)\\ \dfrac12(x-1)^{2}+\dfrac23 & (-1\leqq x\lt2)\\ -\dfrac13x^{3}+2x^{2}-3x+\dfrac{11}{6} & (2\leqq x)\end{cases}\]

真ん中を平方完成しておくのが後半への布石です。頂点 \(\left(1,\dfrac23\right)\) がそのまま(1)の答えに出てきます。

(1) グラフの「山と谷」を4つの数字で押さえる

3つの枝をつなぐと、次のように動きます。

  • \(x\lt-1\):傾き \(-2\) の直線。\(x\to-1^{-}\) で \(f\to\dfrac83\)。
  • \(-1\leqq x\lt2\):下に凸の放物線。\(f(-1)=\dfrac83\)、\(x=1\) で極小 \(\dfrac23\)、\(x\to2^{-}\) で \(\dfrac76\)。
  • \(2\leqq x\):\(f'(x)=-x^{2}+4x-3=-(x-1)(x-3)\) より \(2\lt x\lt3\) で増加、\(x\gt3\) で減少。極大 \(f(3)=\dfrac{11}{6}\)、その後 \(-\infty\) へ。

押さえるべき値は \(\dfrac23\)(谷)、\(\dfrac76\)(つなぎ目)、\(\dfrac{11}{6}\)(山)、\(\dfrac83\)(左端) の4つ。水平線 \(y=k\) を下から上げていくと交点の個数は

\[1\ \to\ 2\ \left(k=\tfrac23\right)\ \to\ \boldsymbol{3}\ \to\ 2\ \left(k=\tfrac{11}{6}\right)\ \to\ 1\]

と変化します。したがって相異なる3個の実数解をもつのは

\[\frac23\lt k\lt\frac{11}{6}\]

検算:この開区間の1999点すべてで解が3個、区間の外と両端では3個にならないことを計算で確認しました。

(1) \(\alpha\) は「いちばん左の解」——放物線の左半分にいる

まず、\(x\lt-1\) の直線部分の値域は \(y\gt\dfrac83\) ですが、いまの \(k\) は \(k\lt\dfrac{11}{6}\lt\dfrac83\) なので、直線部分に解は現れません。よって最小の解 \(\alpha\) は放物線の減少部分 \(-1\leqq x\leqq1\) にあります。ここで \(f\) は \(\frac83\) から \(\frac23\) まで単調に減るので、\(k\) と \(\alpha\) は1対1に対応します。

\[\frac12(\alpha-1)^{2}+\frac23=k\quad\Longrightarrow\quad \alpha=1-\sqrt{2\left(k-\frac23\right)}\]

\(k\) が \(\frac23\) に近づけば \(\alpha\to1\)、\(k\) が \(\frac{11}{6}\) に近づけば

\[\alpha\to1-\sqrt{\frac73}=1-\frac{\sqrt{21}}{3}=\frac{3-\sqrt{21}}{3}\]

\(\alpha\) は \(k\) の減少関数なので、求める範囲は

\[\frac{3-\sqrt{21}}{3}\lt\alpha\lt1\]

(2) 底辺を固定して、いちばん遠い点を探す

\(f(2)=\dfrac76\)、\(f'(2)=1\)(左右どちらの式で計算しても1)。よって \(\mathrm{P}\) における法線の傾きは \(-1\) で

\[y-\frac76=-(x-2)\quad\Longrightarrow\quad y=-x+\frac{19}{6}\]

\(x\lt0\) の \(C\) は、\(-1\leqq x\lt0\) が放物線、\(x\lt-1\) が直線 \(y=-2x+\frac23\) の2つに分かれます。放物線側は \(\frac12(x-1)^{2}+\frac23=-x+\frac{19}{6}\) すなわち \(x^{2}=4\) より \(x=\pm2\) で、\(-1\leqq x\lt0\) には解がありません。よって交点は直線部分にあり

\[-2x+\frac23=-x+\frac{19}{6}\quad\Longrightarrow\quad x=-\frac52,\qquad \mathrm{Q}\left(-\frac52,\ \frac{17}{3}\right)\]

三角形 \(\mathrm{QPR}\) は底辺 \(\mathrm{QP}\)(法線上)が固定なので、面積を最大にするのは法線からの距離が最大の \(\mathrm{R}\)。差を \(g(x)=f(x)-\left(-x+\frac{19}{6}\right)\) とおくと、\(2\leqq x\) では

\[g(x)=-\frac13x^{3}+2x^{2}-2x-\frac43=-\frac13(x-2)\left(x^{2}-4x-2\right)\]

と因数分解でき、\(x^{2}-4x-2=0\) の解は \(2\pm\sqrt6\)(\(2+\sqrt6\fallingdotseq4.45\))。よって \(2\lt x\lt4\) では \(x-2\gt0\) かつ \(x^{2}-4x-2\lt0\) で \(g(x)\gt0\)、すなわち \(C\) は法線の上側にあります。あとは \(g(x)\) を最大にすればよく、微分して

\[g'(x)=f'(x)+1=0\quad\Longrightarrow\quad -x^{2}+4x-3=-1\quad\Longrightarrow\quad x^{2}-4x+2=0\quad\Longrightarrow\quad x=2\pm\sqrt2\]

\(2\lt x\lt4\) を満たすのは \(x=2+\sqrt2\)。

\(y\) 座標は、\(x^{2}-4x+2=0\) を使うと計算が一瞬で終わります。\(f(x)\) を \(x^{2}-4x+2\) で割ると

\[f(x)=(x^{2}-4x+2)\left(-\frac13x+\frac23\right)+\frac{x}{3}+\frac12\]

第1項は0になるので

\[f(2+\sqrt2)=\frac{2+\sqrt2}{3}+\frac12=\frac{2(2+\sqrt2)+3}{6}=\frac{7+2\sqrt2}{6}\]
\[\therefore\ \mathrm{R}\left(2+\sqrt2,\ \frac{7+2\sqrt2}{6}\right)\]

「無理数を3次式に代入しない」——これがこの設問で最も差がつく一手です。素直に \((2+\sqrt2)^{3}\) を展開すると計算量が3倍になり、符号ミスも入ります。

この大問の急所

係数決定は「微分係数 → 連続」の順で使うと文字が1つずつ確定します。逆順でも解けますが、連続の条件は2つとも複数の文字を含む(\(2+a=-2b+1+2c\)、\(b-2+2c=2+16b-c-5d\))ため、先に \(b,c\) を確定させないと代入が二度手間になります。
(2)は「底辺固定なら高さ最大」→「\(C\) と直線の差を最大化」→「傾きが法線と等しい点」という3段の言い換えで、微分1回に落ちます。三角形の面積公式を書き下す必要はありません。

数Ⅱの微分・積分(接線・極値・面積)の型は 共通テスト数学ⅡBC 予想問題【微分・積分】5題 で確認できます。

典型的な失点と原因

「微分可能=微分係数が一致」だけで済ませる。連続性も必要です。両方を使って初めて4つの条件が揃い、\(a,b,c,d\) が決まります。
(1)で \(k=\frac{11}{6}\) を含めてしまう。このとき \(x=3\) が重解になり、相異なる解は2個です。「相異なる」の3文字を読み落とさないこと。
(1)の \(\alpha\) の範囲で不等号の向きを間違える。\(\alpha\) は \(k\) の減少関数なので、\(k\) の上限が \(\alpha\) の下限に対応します。
(2)で \(\mathrm{R}\) の \(y\) 座標を直接代入で出す。\(x^{2}-4x+2=0\) を利用した次数下げを使いましょう。

第5問数学Ⅲ|微積分融合(共通接線・面積・回転体・弧長)

第5問|共通接線ひとつから、面積・体積・長さが順に出る

ねらい: 数Ⅲの主要道具を一気に確認する総合問題。バウムクーヘン分割を知っているかで(1)後半の時間が変わります。

2つの関数 \(y=ax^{2}+1\)(\(a\) は実数の定数)、\(y=2\log x\) のグラフをそれぞれ \(C_1,\ C_2\) とする。2曲線 \(C_1,C_2\) はただ1点を共有し、その点において共通接線をもっている。このとき、定数 \(a\) の値を求めよ。以下、この条件のもとで考える。

  1. 2曲線 \(C_1,C_2\) および直線 \(x=1\) で囲まれた図形を \(D\) とする。\(D\) の面積 \(T\) を求めよ。また、\(D\) を \(y\) 軸の周りに1回転してできる立体の体積 \(V_1\) を求めよ。
  2. \(\sqrt{x^{2}+4}=t\) とおいて置換積分を行うことにより、曲線 \(C_2\) の \(\sqrt5\leqq x\leqq2\sqrt3\) の部分の長さ \(L\) を求めよ。

解答

\(a=\dfrac{1}{e^{2}}\)(接点は \(x=e\))

(1) \(T=\dfrac43e-\dfrac{1}{3e^{2}}-3\)、\(V_1=\dfrac12\left(e^{2}-\dfrac{1}{e^{2}}-4\right)\pi\)

(2) \(L=1+\log\dfrac53\)

解き方

共通接線の条件は「値が一致」+「傾きが一致」の2本

\(f(x)=ax^{2}+1\)、\(g(x)=2\log x\) とおくと \(f'(x)=2ax\)、\(g'(x)=\dfrac2x\)。接点の \(x\) 座標を \(t\) として

\[at^{2}+1=2\log t\ \cdots①\qquad 2at=\frac2t\ \cdots②\]

②から \(at^{2}=1\)。これを①に代入すると

\[1+1=2\log t\quad\Longrightarrow\quad \log t=1\quad\Longrightarrow\quad t=e\]
\[\therefore\ a=\frac{1}{t^{2}}=\frac{1}{e^{2}}\]

②を「\(at^{2}=1\)」の形にしてから①に入れるのがコツ。\(a\) を \(1/t^{2}\) と書いて代入しても同じですが、この形なら \(\log\) の式が一瞬で片づきます。

(1) 面積:\(\int\log x\,dx\) だけ思い出せばよい

\(1\leqq x\leqq e\) では \(C_1\) が上、\(C_2\) が下です。実際 \(h(x)=\dfrac{x^{2}}{e^{2}}+1-2\log x\) とおくと

\[h'(x)=\frac{2x}{e^{2}}-\frac2x=\frac{2(x^{2}-e^{2})}{e^{2}x}\lt0\qquad(0\lt x\lt e)\]

で \(h\) は減少し、接点で \(h(e)=0\)。よって \(1\leqq x\lt e\) では \(h(x)\gt0\) です(\(x=1\) では \(C_1\) が \(1+\dfrac{1}{e^{2}}\)、\(C_2\) が \(0\))。

\[T=\int_{1}^{e}\left(\frac{x^{2}}{e^{2}}+1-2\log x\right)dx\]

\(\displaystyle\int\log x\,dx=x\log x-x\) を使うと

\[T=\left[\frac{x^{3}}{3e^{2}}-2x\log x+3x\right]_{1}^{e}=\left(\frac{e}{3}+e\right)-\left(\frac{1}{3e^{2}}+3\right)=\frac43e-\frac{1}{3e^{2}}-3\]

\(-2\log x\) の原始関数は \(-2(x\log x-x)=-2x\log x+2x\) で、この \(+2x\) が \(+x\) と合わさって \(+3x\) になります。ここを \(+x\) のままにするのがよくある取りこぼしです。

(1) 体積:バウムクーヘン分割で1行にする

\(y\) 軸まわりの回転体で、\(x\) の区間で挟まれた領域を回すときはバウムクーヘン(円筒殻)分割が最短です。

\[V_1=2\pi\int_{1}^{e}x\bigl\{f(x)-g(x)\bigr\}dx=2\pi\int_{1}^{e}\left(\frac{x^{3}}{e^{2}}+x-2x\log x\right)dx\]

\(\displaystyle\int x\log x\,dx=\frac{x^{2}}{2}\log x-\frac{x^{2}}{4}\) なので

\[V_1=2\pi\left[\frac{x^{4}}{4e^{2}}-x^{2}\log x+x^{2}\right]_{1}^{e}=2\pi\left\{\frac{e^{2}}{4}-\left(\frac{1}{4e^{2}}+1\right)\right\}=\frac12\left(e^{2}-\frac{1}{e^{2}}-4\right)\pi\]

これを \(y\) で積分しようとすると一気に重くなります。\(C_2\) は \(x=e^{y/2}\)、\(C_1\) は \(x=e\sqrt{y-1}\) と2通りの逆関数が現れ、しかも \(y\) の範囲で場合分けが要ります。バウムクーヘンを知っているかどうかで、この設問の所要時間は大きく変わります。

(2) 弧長:置換の狙いは「根号を外すこと」

\[1+\{g'(x)\}^{2}=1+\frac{4}{x^{2}}=\frac{x^{2}+4}{x^{2}}\quad\Longrightarrow\quad L=\int_{\sqrt5}^{2\sqrt3}\frac{\sqrt{x^{2}+4}}{x}\,dx\]

問題文が指定するとおり \(\sqrt{x^{2}+4}=t\) とおきます。両辺2乗して \(x^{2}=t^{2}-4\)、微分して \(x\,dx=t\,dt\)。積分区間は \(x:\sqrt5\to2\sqrt3\) に対し \(t:3\to4\)。

ここで分母分子に \(x\) を掛けて \(x\,dx\) の形を作るのが定石です。

\[L=\int_{\sqrt5}^{2\sqrt3}\frac{\sqrt{x^{2}+4}}{x^{2}}\cdot x\,dx=\int_{3}^{4}\frac{t}{t^{2}-4}\cdot t\,dt=\int_{3}^{4}\left(1+\frac{4}{t^{2}-4}\right)dt\]

\(\dfrac{4}{t^{2}-4}=\dfrac{1}{t-2}-\dfrac{1}{t+2}\) と部分分数分解して

\[L=\left[t+\log\left|\frac{t-2}{t+2}\right|\right]_{3}^{4}=\left(4+\log\frac26\right)-\left(3+\log\frac15\right)=1+\log\frac53\]

検算:数値積分すると \(L=1.5108\ldots\)、\(1+\log\frac53=1.5108\ldots\) で一致します。

この大問の急所

最初の1行「\(a=1/e^{2}\)、接点 \(x=e\)」に依存するのは(1)の面積と体積だけです。ここを落とすと(1)は丸ごと消えるので、共通接線の2条件は何としても立てにいく価値があります。

一方で(2)の弧長は \(C_2:y=2\log x\) だけで決まり、\(a\) の値とはまったく無関係です(\(1+\{g'(x)\}^{2}=1+\dfrac{4}{x^{2}}\) に \(a\) は現れません)。共通接線でつまずいても、あるいは時間が足りなくても、(2)は独立に満点が取れる——ここを知っているかどうかが、崩れたときの粘りを決めます。

そのうえで、面積は \(\int\log x\)、体積はバウムクーヘン、弧長は \(x\,dx=t\,dt\) を作る置換——数Ⅲの定石が3つ並んでいるだけの構成です。どれも初見では時間が要りますが、一度型として持っていれば手が止まりません。

数Ⅲの積分の型は 数学Ⅲ辞典 で整理できます。

典型的な失点と原因

「ただ1点を共有し、共通接線をもつ」を1本の条件だと思う。値の一致と傾きの一致で2本です。未知数は \(a\) と \(t\) の2つなので、2本でちょうど決まります。
面積で \(-2\log x\) の原始関数を \(-2x\log x\) とする。\(+2x\) を落とす典型。積分してから微分して確かめる習慣を。
体積を \(y\) で積分しようとする。解けなくはありませんが、逆関数2本+場合分けで時間が消えます。\(y\) 軸回転で領域が \(x\) の区間で与えられていたら、まずバウムクーヘンを疑うこと。
弧長の置換で \(dx\) の処理を間違える。\(\sqrt{x^{2}+4}=t\) から出てくるのは \(x\,dx=t\,dt\) です。被積分関数を \(\dfrac{\sqrt{x^{2}+4}}{x^{2}}\cdot x\) と書き換えて、\(x\,dx\) を丸ごと \(t\,dt\) に置き換えます。

全5題を貫く「型」のまとめ

  • 第1問|極形式は図形への翻訳。「\(\beta\) 倍=\(60^\circ\) 回転して半分」と言えれば、相似・はみ出し半分・やがて飲み込まれる、が全部見える。
  • 第2問|内訳を知らなくても次が決まるようにまとめる。32通り → 黒石の個数6通り → ペアで3通り。潰し方の理由を理解していれば、誘導が無くても自分で作れる。
  • 第3問|1次の項がない文字から平方完成。\(9q^{2}-18qp\) を見たら \(9(q-p)^{2}\)。順序を間違えると係数が汚れる。
  • 第4問|微分係数 → 連続の順で係数を落とす。面積最大は「底辺固定なら高さ最大」に読み替えて微分1回。無理数は次数下げで代入する。
  • 第5問|数Ⅲの3定石。\(\int\log x\)、バウムクーヘン、\(x\,dx=t\,dt\) を作る置換。型を持っているかどうかで所要時間がまるで変わります。

5題を通して見えるのは、獨協医科大学が「奇問で落とす」のではなく「量で落とす」試験だということです。ひとつひとつは典型問題ですが、方針決定に手間取ると必ず時間切れになります。だからこそ、解法を思い出す速度そのものが得点力になります。

70分をどう配るか

  1. 第1問を13分。(1)の指数対数と底の場合分けに5分、(2)の複素数平面に8分。(1)は計算が軽いので、ここに10分かけてはいけません。(2)は「\(\beta\) 倍=\(60^\circ\) 回転して半分」に気づけば図を描かずに進めます。
  2. 第3問を11分。方向ベクトルを2本書けば機械的に進みます。(3)の平方完成だけが山なので、そこに時間を残す配分で。
  3. 第2問を11分。(1)は漸化式が立てば終わり。(2)は誘導どおり表を4段回すだけなので、自分で工夫しようとしないことが速さにつながります。
  4. 第5問を14分。最初の \(a=1/e^{2}\) は必ず取る。(1)前半の面積まで確実に。バウムクーヘンを知っていれば体積も取れます。
  5. 第4問を16分、残り5分で見直し。係数決定に5分、(1)のグラフに6分、(2)に7分。ここが最も重い大問なので最後に回します。

この順序の意図は、「係数決定という前提作業が必要な第4問」を最後にすることです。第4問は \(a,b,c,d\) を出さないと(1)にも(2)にも入れない構造で、前提でつまずくと1題まるごと失います。逆に第1問・第3問・第5問は入口が軽いので、先に確実な得点を積んでから重い1題に向かうのが安全です。

解説:藤原進之介(数強塾 塾長)
オンライン数学塾「数強塾」を主宰。大学入試数学の全分野について、公式の暗記ではなく「なぜその一手を選ぶのか」という判断の言語化を軸に指導しています。本記事の解説も、答えを出すだけでなく、試験場でその手が選べるようになることを目標に書きました。

本記事の解答・解説はすべて数強塾(藤原進之介)による書き下ろしのオリジナルであり、市販の解答例を引き写したものではありません。問題は出題内容を数強塾が再構成して掲載しています。全設問の数値結果は独立した計算プログラムで検証済みです。試験時間・出題範囲・配点などの実施要項は年度により変更されることがありますので、受験の際は必ず獨協医科大学の公式発表をご確認ください。

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