獨協中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
獨協中学校(東京都文京区関口)は、ドイツ語教育の伝統をもつ男子進学校です。入学試験は複数回実施され、算数は合否を大きく左右する教科のひとつです。この記事では、学校が公式サイトで公開している生徒募集要項や入試情報をもとに算数の枠組みを整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問を、考え方・解答・検算つきで掲載します。実在の過去問を書き写したものは一切なく、公開情報から知られる一般的な傾向をふまえて数強塾が新しく作った問題です。答えはすべて、正攻法とは別のもう一つの方法による二重検算で一致を確認しています。(※本校は埼玉県の獨協埼玉中学校とは別の、文京区の獨協中学校です。)
公開情報からわかる算数のポイント
- 公開されている生徒募集要項によれば、獨協中学校の入試は複数回実施されます。第1回・第3回・第4回は4教科(国語・算数・社会・理科)で、算数は50分・100点と案内されています。
- 第2回(午後)は2教科(国語・算数)で、算数は40分・100点と案内されています。回によって試験時間が異なる点に注意が必要です。
- 2教科型(第2回)では算数と国語の2科目で合否が決まるため、1教科あたりの比重が相対的に大きく、算数の出来が結果を大きく動かします。
- 学校公式サイトでは、各回・各科目の入試問題と解答をPDFで公開しています。実際の問題文・図は必ず公式サイトでご確認ください(本ページには問題文・図の転載はありません)。
※試験時間・配点・実施回数は公開されている生徒募集要項の記載にもとづきます。年度により変更される場合がありますので、出願前に必ず最新の募集要項でご確認ください。入試情報の原文は 獨協中学・高等学校 入試情報(公式) をご覧ください。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。
出題分野の傾向
ここでの記述は、特定年度の問題の転載や解説ではなく、公開情報から一般に読み取れる方向づけの整理です。断定は避け、学習の道しるべとしてお読みください。
- 計算力と正確さが得点の土台:多くの中学入試と同様、獨協中学校の算数でも、はじめに計算や小問が置かれる構成が一般的です。ここを速く、正確に取り切る力が全体の得点を支えます。日々の計算練習で、ケアレスミスを減らし処理速度を上げておきましょう。
- 速さ・割合(食塩水など)の文章題:受験算数の王道である速さ(旅人算・往復・追いかけ)や、割合・比の文章題(食塩水の濃度、相当算など)は、標準的な出題が中心と考えておくと対策しやすい分野です。問題文が長い場合もあるので、図や線分図に情報を整理しながら読む習慣をつけておきたいところです。
- 平面図形は確実に仕上げたい:一般に、男子進学校の算数では平面図形がよく問われます。相似・面積比・角度など、やや応用の設問まで含めて、基本技術を確実に定着させることが大切です。過去問や問題集で、同じタイプを繰り返し解いて身につけましょう。
- 数の性質・規則性も油断しない:整数の余りや倍数、規則的に数を並べる問題など、数の性質・規則性の分野も受験算数の頻出テーマです。特定分野に偏らず、主要分野を穴なく仕上げておくのが安全です。
- 取れる問題を確実に、難問も途中まで:大問は前半の設問ほど取り組みやすいことが多いものです。解ける部分を確実に得点し、解き切れない問題にも途中式を残す姿勢が、安定した合格点につながります。
オリジナル類題で対策
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、受験算数の正攻法で解いたうえで、独立した別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。図がなくても読み解けるよう、状況は文章で説明しています。
類題1(数の性質・整数の余り)
【問題】 ある整数を3で割ると1余り、4で割ると2余り、5で割ると3余ります。
(1) このような整数のうち、もっとも小さいものを求めなさい。
(2) このような整数のうち、500にもっとも近いものを求めなさい。
(3) このような整数で、1000以下のものは全部で何個ありますか。
【方針】 3つの割り算の余りをよく見ると、どれも「割る数より2だけ小さい余り」になっています(3で割って1=3−2、4で割って2=4−2、5で割って3=5−2)。つまり、その整数に2を足すと、3でも4でも5でも割り切れる数になります。よって「(整数)+2」は3と4と5の公倍数、すなわち60の倍数です。この見方に気づけば一気に整理できます。
【解答】 (1) 3・4・5の最小公倍数は60です。「(整数)+2」が60の倍数だから、整数は 60×1−2=58 がもっとも小さいものです。(確認:58÷3=19余り1、58÷4=14余り2、58÷5=11余り3。)
(2) 条件に合う整数は 60×□−2 の形で、58,118,178,…と60ずつ増えます。500に近いものは、60×8−2=478 と 60×9−2=538。500との差は 500−478=22、538−500=38 で、差が小さいのは478。答えは478です。
(3) 60×□−2≦1000 となる□を調べます。60×16−2=958(≦1000)、60×17−2=1018(>1000)。よって□は1から16までの16個です。
【別解による検算】 「(整数)+2 が60の倍数」という言いかえをそのまま使って確かめます。(3)は、整数が1000以下 ⇔ (整数)+2 が1002以下。60の倍数で1002以下のものは 60,120,…,960 で、960=60×16。60×17=1020は1002を超えるので、個数は16個で一致します。(2)も、60の倍数のうち502(=500+2)に近いものは480(=60×8)と540(=60×9)で、502との差は22と38。近いのは480だから、整数は480−2=478で一致しました。
類題2(速さ・追いかけ算)
【問題】 太郎は家からA地点へ向かって、分速80mで歩き始めました。太郎が出発してから12分後に、お父さんが同じ道を分速200mの自転車で追いかけます。家からA地点までは2000mです。
(1) お父さんが太郎に追いつくのは、太郎が出発してから何分後で、家から何mの地点ですか。
(2) お父さんがA地点に着くのは、太郎がA地点に着くより何分早いですか。
【方針】 同じ方向に進む2人の「追いかけ」は、2人の間の道のりの差が、速さの差のぶんだけ縮まっていくと考えるのが急所です。お父さんが出発する時点で、太郎はすでに 80×12 だけ先にいます。この差を、1分あたり(200−80)mずつ縮めていく、という筋道で時間を求めます。
【解答】 (1) お父さんが出発するとき、太郎は 80×12=960(m)先にいます。2人の速さの差は 200−80=120(m/分)だから、追いつくまでの時間は 960÷120=8(分)。これはお父さんが出発してからの時間なので、太郎の出発からは 12+8=20分後。場所はお父さんが進んだ 200×8=1600mの地点です。(太郎も 80×20=1600mで一致。)
(2) A地点まで2000m。お父さんは 2000÷200=10(分)で着くので、太郎の出発を基準にすると 12+10=22(分後)に到着。太郎は 2000÷80=25(分後)に到着します。よってお父さんは 25−22=2分早く着きます。
【別解による検算】 (1)を「時刻ごとの位置」で確かめます。太郎が出発してから20分後、太郎は 80×20=1600m。お父さんは20−12=8分間走って 200×8=1600m。ともに1600mで一致し、追いつく地点も確認できます。
(2)は所要時間の差でも確かめられます。2000mを進むのに、太郎は25分、お父さんは10分。ただしお父さんは12分遅れて出発するので、到着時刻の差は 25−(12+10)=2分。お父さんが2分早く着く、で一致しました。
類題3(割合・食塩水の濃度)
【問題】 容器Aには6%の食塩水が300g、容器Bには10%の食塩水が200g入っています。
(1) AとBをすべて混ぜ合わせると、何%の食塩水になりますか。
(2) (1)の食塩水に水を何g加えると、4%の食塩水になりますか。
(3) (1)の食塩水から水を何g蒸発させると、9.5%の食塩水になりますか。
【方針】 食塩水の問題は、とけている食塩の重さ(=食塩水の重さ×濃度)に注目するのが基本です。混ぜても、水を加えても、水を蒸発させても、食塩そのものの重さは変わりません。まず食塩の重さを求め、「食塩÷全体の重さ=濃度」の関係で必要な水の量を逆算します。
【解答】 まず食塩の重さを求めます。Aは 300×0.06=18(g)、Bは 200×0.10=20(g)。
(1) 混ぜると食塩は 18+20=38(g)、全体は 300+200=500(g)。濃度は 38÷500=0.076、すなわち7.6%です。
(2) 水を加えても食塩は38gのまま。4%になるとき全体の重さは 38÷0.04=950(g)です。いまが500gなので、加える水は 950−500=450gです。
(3) 水を蒸発させても食塩は38gのまま。9.5%になるとき全体の重さは 38÷0.095=400(g)です。いまが500gなので、蒸発させる水は 500−400=100gです。
【別解による検算】 (1)は「てんびん法(面積図)」でも確かめられます。6%と10%を、重さ300g:200g=3:2で混ぜるので、濃度は6と10を3:2の逆比、つまり2:3の位置に分けた点になります。6と10の差4を、2:3に分けると6側から 4×2/5=1.6。よって 6+1.6=7.6%で一致します。
(2)(3)は、できあがった食塩水に含まれる食塩の重さで検算します。(2)は 950×0.04=38g、(3)は 400×0.095=38g。どちらも最初の食塩38gと一致するので、加える水450g・蒸発させる水100gは正しいと確認できました。
類題4(平面図形・台形と対角線の面積比)
【問題】 台形ABCDがあり、辺ADと辺BCが平行で、AD=4cm、BC=6cmです。対角線ACとBDの交わる点をPとします。三角形APDの面積は8cm²です。
(1) 三角形CPBの面積を求めなさい。
(2) 三角形APBの面積を求めなさい。
(3) 台形ABCD全体の面積を求めなさい。
【方針】 ADとBCが平行なので、三角形APDと三角形CPBは形が同じで大きさだけちがう相似な三角形です(相似比はAD:BC=4:6=2:3)。相似では面積の比は長さの比を2回かけた値になります。また、対角線が点Pで分けられる比 AP:PC は 2:3 になり、これを使うと三角形APBやDPCの面積も、底辺の比=面積の比の関係で求められます。
【解答】 (1) 三角形APDと三角形CPBは相似で、相似比は2:3。面積比は (2×2):(3×3)=4:9です。三角形APD=8cm²がこの「4」にあたるので、1あたりは 8÷4=2(cm²)、三角形CPB=2×9=18cm²です。
(2) 相似より AP:PC=2:3 です。三角形APBと三角形CPBは、頂点Bから直線ACへの高さが共通で、底辺がそれぞれAP、PCだから、面積比も 2:3。三角形CPB=18cm²なので、三角形APB=18×2/3=12cm²です。
(3) 同じように、三角形APDと三角形DPCは頂点Dからの高さが共通で底辺AP:PC=2:3だから、三角形DPC=8×3/2=12cm²。台形は4つの三角形に分かれるので、面積は 8+18+12+12=50cm²です。
【別解による検算】 台形の面積を公式から確かめます。三角形APDの面積8cm²は、底辺AD=4cmと、ADからPまでの高さで決まります。8=4×(高さ)÷2 より、ADからPまでの高さは4cm。相似比2:3から、PからBCまでの高さは 4×3/2=6cm。よって台形の高さ(ADとBCの間)は 4+6=10cm。台形の面積は (4+6)×10÷2=50cm²で、4つの三角形の合計と一致します。あわせて三角形CPBも、底辺6cm・高さ6cmで 6×6÷2=18cm²となり一致しました。
類題5(割合・相当算)
【問題】 ある本を、1日目に全体の 1/4 を読み、2日目に残りの 2/5 を読んだところ、まだ90ページ残っていました。
(1) この本は全部で何ページありますか。
(2) 2日目に読んだのは何ページですか。
(3) 2日目を読み終えた時点で、全体の何%を読み終えたことになりますか。
【方針】 「全体の割合」で考える相当算です。全体を1とおき、各日を読んだあとに『残り』が全体のどれだけにあたるかを順に計算します。最後に残った「全体の□」が90ページにあたる、という関係から全体のページ数を逆算します。
【解答】 全体を1とします。
(1) 1日目に 1/4 を読むと、残りは 1−1/4=3/4。2日目は「残りの 2/5」を読むので、2日目のあとの残りは、その残りの 1−2/5=3/5、すなわち 3/4×3/5=9/20。この 9/20 が90ページにあたるので、全体は 90÷(9/20)=90×20/9=200ページです。
(2) 1日目に読んだのは 200×1/4=50ページ。残り150ページの 2/5 が2日目なので、150×2/5=60ページです。
(3) 2日間で読んだのは 50+60=110ページ。全体200ページに対して 110÷200=0.55、すなわち55%です。
【別解による検算】 求めた全体200ページで、話の順に追って確かめます。1日目に50ページ読み、残り150ページ。2日目に 150×2/5=60ページ読み、残りは 150−60=90ページで、問題の条件と一致します。読んだ合計は 50+60=110ページ、残り90ページ、合わせて200ページで全体とも合います。読み終えた割合も、残り90ページが全体の 9/20(=45%)だから、読んだのは 100−45=55%で一致しました。
学習アドバイス
【時期別】
- 6年生の夏まで:計算力と、割合・比・速さ・平面図形・数の性質といった主要分野の基本を、穴なく仕上げることが最優先です。獨協中学校の算数は幅広い分野からの標準的な出題が想定されるので、苦手分野を残さないことが安定した得点につながります。計算は毎日、時間を計って正確さを鍛えましょう。
- 秋(9〜11月):標準〜やや応用の問題への対応力と、時間配分の感覚を養う時期です。とくに速さと食塩水は、問題文が長くても図・線分図に整理して読み解く練習を重ねましょう。第2回のように試験時間が40分と短い回もあるため、限られた時間で解く順序を決める練習も有効です。
- 直前期(12月〜1月):新しい教材を増やすより、これまでの問題を反復し、精度と再現性を高める時期です。本記事の【別解による検算】のように、別のルートで自分の答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番での取りこぼしを減らせます。難問に時間を使いすぎず、取れる問題を確実に取り切りつつ、解けない問題にも途中式を残す姿勢を、演習の中で体に入れておきましょう。
【分野別】
- 数の性質・整数:余りの問題は「割る数との差」に注目する言いかえ(類題1)が有効です。公倍数の周期でくり返す考え方を、式や言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 速さ:追いかけは「道のりの差÷速さの差」、出会いは「道のりの和÷速さの和」が基本です(類題2)。線分図をかき、時刻ごとの位置でも確かめる習慣をつけましょう。
- 割合・食塩水:食塩水は「食塩の重さは変わらない」を軸に、食塩÷全体=濃度で逆算します(類題3)。てんびん法(面積図)も使えると、混合の計算がぐっと速くなります。相当算(類題5)は「全体を1とおく」処理に慣れておきましょう。
- 平面図形:平行線でできる相似は「長さの比の2乗が面積の比」、対角線の交点は「底辺の比=面積の比」(類題4)が武器です。どこが相似で比がいくつかを、最初に書き出す習慣をつけましょう。
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