中学受験・算数

フェリス女学院中学校 2023年度 算数 過去問の傾向と対策

数強塾のプロ講師陣

フェリス女学院中学校 2023年度 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル類題つき】

2023年度 フェリス女学院中 算数の概要(公開情報より)

  • フェリスの算数は試験時間50分・100点満点で、式や考え方を書かせる記述形式が特徴とされています。
  • 教育系メディアの分析によると、2023年度は計算を含む小問集合、つるかめ算、平面図形(角度・面積)、場合の数、条件整理(ルールにしたがって考える問題)という構成だったとされています。
  • 複数の分析で、2023年度の受験者平均点は約50点(100点満点)と紹介されており、前年(約37点とされる)より上がって例年並みに戻ったと言われています。
  • この年は「場合の数」や「場合分け」の比重が大きく、前半の標準問題を確実に取り、後半の思考力型の問題にどれだけ食らいつけるかが差になったと分析されています。

※以下の解説はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(全問、受験算数の正攻法と別解による二重検算済み)。本ページの類題はすべて数強塾のオリジナル問題です。実際の入試問題はフェリス女学院中学校の公式サイトでご確認ください。

2023年度のフェリスは、前半に取り組みやすい標準問題、後半に「その場でルールを読み取って場合分けする」思考力型の問題が置かれた年だったと分析されています。つまり、標準問題を落とさない正確さと、初見の設定でもあわてず整理する力の両方が必要だったということです。ここでは、フェリスで狙われやすい分野から数強塾が自作した5つのオリジナル類題で、その両方を鍛えていきましょう。なお、2025年度版では「数の性質・平面図形と比・旅人算・ニュートン算・規則性」を、2024年度版では「時計算・場合の数・水そう・図形の移動・食塩水」を扱ったので、本ページではそれらと重ならない5分野(つるかめ算・立体図形・売買算・約束記号・論理推理)を取り上げます。

類題1(つるかめ算)

問題(数強塾オリジナル):郵便局で切手を買います。
(1) 50円切手と120円切手を合わせて20枚買ったところ、代金は1560円でした。それぞれ何枚買いましたか。
(2) 50円切手、80円切手、120円切手を合わせて25枚買ったところ、代金は2160円でした。80円切手の枚数は120円切手の枚数のちょうど2倍でした。それぞれ何枚買いましたか。

【📖大切な考え方】つるかめ算の基本は「全部どちらか一方だと仮定して、実際との差を1回の置きかえで埋める」こと。3種類になったら、条件で結ばれた2種類を「セット」にして2種類のつるかめ算に直すのが定石です。

【👀ここに注目】(2)の「80円は120円の2倍」という条件がカギ。120円1枚と80円2枚をひとまとめにすれば、「3枚で280円のセット」と「50円切手」の2種類の問題に変身します。

方針:(1)は普通のつるかめ算。(2)はセット化してから同じ手順で解きます。

解答

(1) 全部50円切手だと仮定すると、代金は 50 × 20 = 1000円。
実際との差は 1560 − 1000 = 560円。
50円切手1枚を120円切手1枚に置きかえるごとに、代金は 120 − 50 = 70円増えます。
560 ÷ 70 = 8 → 120円切手は8枚、50円切手は 20 − 8 = 12枚。
よって 50円切手12枚、120円切手8枚

(2) 120円切手1枚と80円切手2枚を1セットとすると、1セットは3枚で 120 + 80 × 2 = 280円。
セットの数を□とすると、50円切手は (25 − 3 × □) 枚です。
全部50円切手だと仮定すると、代金は 50 × 25 = 1250円。
50円切手3枚を1セットに置きかえるごとに、代金は 280 − 150 = 130円増えます。
実際との差は 2160 − 1250 = 910円なので、セットの数は 910 ÷ 130 = 7。
よって120円切手は7枚、80円切手は 7 × 2 = 14枚、50円切手は 25 − 21 = 4枚。
50円切手4枚、80円切手14枚、120円切手7枚

【✅検算】50 × 4 + 80 × 14 + 120 × 7 = 200 + 1120 + 840 = 2160円、枚数も 4 + 14 + 7 = 25枚で条件とすべて一致。

【💡ポイントコラム】3種類のつるかめ算は「①比の条件でセットにする」「②2種類ずつのつるかめ算を2回行う」の2パターンがほとんど。問題文に「〜の2倍」「〜と同じ数」とあったら、まずセット化を疑いましょう。

類題2(立体図形)

問題(数強塾オリジナル):1辺12cmの立方体があります。前の面の中央に1辺4cmの正方形の穴を、面に垂直に反対側までまっすぐくり抜きました。さらに、右の面の中央にも同じ1辺4cmの正方形の穴を、面に垂直に反対側までくり抜きました。2本の穴(トンネル)は立方体の中央で直角に交わっています。
(1) この立体の体積を求めなさい。
(2) この立体の表面積を求めなさい。

【📖大切な考え方】くり抜き問題の体積は「もとの体積 − くり抜いた体積」。ただしトンネルが2本交わるときは、交わりの部分(中央の1辺4cmの立方体)を2回引いてしまうので、1回分たし戻します。

【👀ここに注目】この立体を真上から水平に切ると、穴の部分(空どう)は「十字形」になっています。表面積の内側の壁は、この十字形をもとに考えると一気に見通しがよくなります。

方針:(1)は重なりに注意した引き算。(2)は「外側」「内側の縦の壁」「内側の天井と床」の3つに分けて計算します。

解答

(1) もとの立方体:12 × 12 × 12 = 1728立方cm
トンネル1本の体積:4 × 4 × 12 = 192立方cm
2本分では 192 × 2 = 384立方cmですが、中央の1辺4cmの立方体 4 × 4 × 4 = 64立方cmを2回引いているので、くり抜いた体積は 384 − 64 = 320立方cm。
よって体積は 1728 − 320 = 1408立方cm

(2) 3つに分けて求めます。
① 外側:立方体の表面 12 × 12 × 6 = 864平方cmから、穴の口4つ分 4 × 4 × 4 = 64平方cmを引いて 864 − 64 = 800平方cm。(上下の面には穴がないのでそのまま)
② 内側の縦の壁:空どうを真上から見た十字形のまわりの長さは、4cmの辺が12本分で48cm。このうち外に開いている口の分 4 × 4 = 16cmには壁がないので、壁になるのは 48 − 16 = 32cm。トンネルの高さは4cmだから 32 × 4 = 128平方cm。
③ 内側の天井と床:十字形の面積は 4 × 12 + 4 × 12 − 4 × 4 = 80平方cm。天井と床の2枚分で 80 × 2 = 160平方cm。
合わせて 800 + 128 + 160 = 1088平方cm

【✅検算】この立体を1cm角の小さな立方体1408個に分けて、外気にふれる面の数をすべて数え上げる別解でも、体積1408立方cm・表面積1088平方cmで一致。

【💡ポイントコラム】「くり抜き」で表面積を求めるときは、体積とちがって「引くだけ」では終わりません。穴の口の分だけ外側は減り、トンネルの壁の分だけ内側は増える──「減る面」と「増える面」を別々に数えるのが鉄則です。

【💡ポイントコラム】複雑な立体は「真上から見た断面(この問題では十字形)」をかくと、縦の壁の面積が「断面のまわりの長さ × 高さ」で一気に求められます。断面図は立体問題の最強の武器です。

類題3(割合と売買算)

問題(数強塾オリジナル):ある品物を1個300円で何個か仕入れ、4割の利益を見込んで定価をつけて売り出しました。仕入れた個数の7割が定価で売れたところで、残りをすべて定価の2割引きにして売り切りました。利益は全部で14220円でした。
(1) 定価と、2割引きしたあとの売り値を求めなさい。
(2) 仕入れた個数を求めなさい。

【📖大切な考え方】売買算は「1個あたり」で整理するのが基本。定価売りの利益と割引売りの利益を1個あたりで出してから、売れた割合で混ぜると、個数がわからなくても平均の利益が求められます。

【👀ここに注目】「7割が定価、残り3割が割引」なので、仕入れを10個と仮定すると7個と3個。個数が未知でも「10個あたりの利益」は計算できます。

方針:(1)で値段を確定し、(2)は10個あたりの利益から逆算します。

解答

(1) 定価:300 × (1 + 0.4) = 300 × 1.4 = 420円
2割引き後の売り値:420 × (1 − 0.2) = 420 × 0.8 = 336円

(2) 1個あたりの利益は、定価売りで 420 − 300 = 120円、割引売りで 336 − 300 = 36円。
仕入れを10個と仮定すると、定価で7個・割引で3個売れるので、10個あたりの利益は
120 × 7 + 36 × 3 = 840 + 108 = 948円。
実際の利益は14220円だから、14220 ÷ 948 = 15。
つまり実際は「10個の15倍」で、仕入れた個数は 10 × 15 = 150個

【✅検算】150個のとき:定価で105個 × 420 = 44100円、割引で45個 × 336 = 15120円、売り上げ合計59220円。仕入れは 150 × 300 = 45000円なので、利益は 59220 − 45000 = 14220円で一致。

【💡ポイントコラム】「何割売れ残った」「何個か破棄した」など売買算の応用は数多くありますが、どれも「仕入れ値・定価・売り値・個数」の表を書けば同じ型。割合の条件は「仕入れを10個(または100個)とおく」と、分数を使わずに処理できます。

類題4(約束記号)

問題(数強塾オリジナル):整数A、Bについて、A◎B = A × B − A − B と約束します。たとえば 5◎3 = 15 − 5 − 3 = 7 です。
(1) 7◎5 を求めなさい。
(2) (4◎3)◎2 を求めなさい。
(3) A◎7 = 65 となる整数Aを求めなさい。
(4) A、Bがどちらも2以上の整数のとき、A◎B = 23 となる組(A、B)は全部で何組ありますか。(AとBを入れかえたものは別の組と数えます)

【📖大切な考え方】約束記号の問題は「記号は単なる計算のルール」と割り切って、あわてず定義どおりに置きかえるのが第一歩。そのうえで、(3)(4)のような逆算では「式を整理して見やすい形に直す」工夫が問われます。

【👀ここに注目】(4)がこの問題の山場。A × B − A − B に1をたすと、A × B − A − B + 1 = (A − 1) × (B − 1) と、かけ算だけの形に大変身します。たて(A−1)cm・よこ(B−1)cmの長方形を、たてAcm・よこBcmの長方形から切り出す面積図をかくと、この変形が目で確かめられます。

方針:(1)(2)は定義どおり計算。(3)は逆算、(4)は「(A−1)×(B−1)=一定」の形に直して約数の組を数えます。

解答

(1) 7◎5 = 7 × 5 − 7 − 5 = 35 − 12 = 23

(2) まずかっこの中:4◎3 = 12 − 4 − 3 = 5
次に 5◎2 = 10 − 5 − 2 = 3

(3) A◎7 = A × 7 − A − 7 = A × 6 − 7
これが65だから、A × 6 = 72 → A = 12

(4) A◎B = 23 の両辺に1をたすと、
A × B − A − B + 1 = 24、つまり (A − 1) × (B − 1) = 24。
A、Bが2以上の整数なので、A − 1 と B − 1 はどちらも1以上の整数。かけて24になる組は
(A−1, B−1) = (1, 24)、(2, 12)、(3, 8)、(4, 6)、(6, 4)、(8, 3)、(12, 2)、(24, 1)
の8組。よって(A、B)も全部で 8組

【✅検算】たとえば (A, B) = (5, 7) なら 35 − 5 − 7 = 23、(A, B) = (2, 25) なら 50 − 2 − 25 = 23 で成立。2以上の整数をすべて調べ上げる別解でもちょうど8組で一致。

【💡ポイントコラム】「A × B − A − B」の形を見たら「1をたして (A−1) × (B−1)」、「A × B + A + B」の形なら「1をたして (A+1) × (B+1)」。この2つの変形は、約束記号だけでなく数の性質の難問でもくり返し登場する、覚えておきたい必殺技です。

類題5(論理推理・条件整理)

問題(数強塾オリジナル):A、B、C、Dの4人が100m走をしました。同着はいませんでした。ゴールしたあと、4人は次のように言いました。
A「私は4位ではなかった」
B「私は3位だった」
C「私はBより先にゴールした」
D「私は4位だった」
このうち、ちょうど1人だけがうそをついています。4人の順位を求めなさい。

【📖大切な考え方】真偽がからむ条件整理は、「うそをついているのがだれか」で場合分けして、それぞれの場合に矛盾がないかを確かめるのが正攻法。4人なら場合はたった4通りなので、こわがらずに全部調べましょう。

【👀ここに注目】BとDの発言はどちらも「自分の順位の断定」なので、まずこの2人を軸に矛盾を探すと速く進みます。特にDの「4位だった」がうそだとすると、「では4位はだれか」を考えることで矛盾が見つかります。

方針:うそつきをA→B→C→Dの順に仮定し、矛盾しないものを探します。

解答

① うそつきがAの場合:Aの発言が逆になるのでAは4位。しかしDの「私は4位」も本当のはずなので、4位が2人になってしまい矛盾。
② うそつきがBの場合:Bは3位ではない。D(本当)は4位、A(本当)は4位でない、C(本当)はBより先。残る1位・2位・3位をA、B、Cで分けます。CはBより先なので、Bが1位になることはできず、Bは3位でもないから、Bは2位。するとCは1位、Aは3位。矛盾なし。
③ うそつきがCの場合:A、B、Dは本当なので、Bは3位、Dは4位、Aは4位でないからAは1位か2位。CはBよりあと、つまり4位のはずですが、4位はD。矛盾。
④ うそつきがDの場合:Dは4位ではない。B(本当)は3位、C(本当)はBより先なのでCは1位か2位、A(本当)は4位でない。すると4位になれる人がだれもいなくなり矛盾。
矛盾しないのは②だけ。よって 1位C、2位B、3位A、4位D(うそをついていたのはB)

【✅検算】この順位でA「4位でない」→本当、B「3位」→2位なのでうそ、C「Bより先」→1位と2位で本当、D「4位」→本当。うそはちょうどBの1人だけで、条件と一致。(24通りの順位をすべて調べる別解でも、成り立つのはこの1通りのみ)

【💡ポイントコラム】フェリスで差がつく条件整理は「もれなく場合分けして、1つずつ矛盾をつぶす」体力勝負の面があります。表や図で「わかったことを書きながら」進めれば、頭の中だけで考えるより何倍も正確です。書き出しをめんどうがらないことが、実は一番の近道です。

2023年度から学ぶフェリス算数の教訓

2023年度は、前半の標準問題と後半の思考力型の問題(場合の数・条件整理)の差が大きい年だったと分析されています。こうした年に強いのは、①つるかめ算・売買算などの典型解法を「なぜそうなるか」まで説明できる子、②初見のルールでも書き出しと場合分けで淡々と整理できる子、③50分の中で「取る問題・粘る問題・後回しにする問題」を見極められる子です。日々の学習では、答え合わせで終わらせず「別の解き方でも同じ答えになるか」を確かめる習慣をつけると、フェリスが求める記述力と検算力が同時に育ちます。

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出典・著作権について
本ページが扱う入試問題の著作権は フェリス女学院中学校 に帰属します。出典:フェリス女学院中学校 2023年度 入学試験問題「算数」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(公式解答と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
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