三角形の二辺を横切る線が残りの一辺と平行なら、二辺は同じ割合に分けられます。反対に、二辺を同じ割合に分ける点を結ぶと、その線分は残りの一辺と平行です。相似とのつながりを根拠から理解し、中点連結定理と長さの計算へ進みましょう。
平行線と線分の比の定理
△ABCの辺AB上に点D、辺AC上に点Eがあり、DE∥BCであるとします。
また、二辺が分けられた部分どうしにも、次の関係があります。
つまり、AD:DB=AE:EC
定理が相似から導ける理由
DE∥BCなので、平行線の同位角または錯角から、
∠AED=∠ACB
です。二組の角がそれぞれ等しいため、△ADE∽△ABCです。対応順はA↔A、D↔B、E↔Cなので、
が得られます。部分どうしの比は、DB=AB-AD、EC=AC-AEを使うと同じ割合になることから導けます。
分けられた部分の長さを求める
例1:ECを求める
DE∥BCで、AD=4、DB=6、AE=6とします。
4/6=6/EC
4EC=36
EC=9
答え:EC=9
例2:比から二つの部分を求める
DE∥BCで、AD:DB=2:3、AC=20とします。
AE:EC=2:3なので、ACを2+3=5等分して考えます。
EC=20×3/5=12
答え:AE=8、EC=12
平行な線分の長さを求める
例3:DEを求める
DE∥BCで、AB=12、AD=7.5、BC=8とします。
7.5/12=DE/8
DE=8×7.5/12=5
答え:DE=5
定理の逆で平行を証明する
△ABCの辺AB上に点D、辺AC上に点Eがあるとき、次のいずれかが成り立てばDE∥BCです。
または
AD/DB=AE/EC
例4:線分の比から平行を判断する
AD=3、DB=2、AE=6、EC=4とします。
AE/EC=6/4=3/2
二辺を分ける比が等しいため、定理の逆からDE∥BCです。
逆が成り立つ理由
AD/AB=AE/ACで、∠DAEは△ADEと△ABCに共通です。
二組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいので、△ADE∽△ABCです。したがって∠ADE=∠ABCとなり、同位角が等しいことからDE∥BCと分かります。
3本の平行線と線分の比
平行な3直線l、m、nが2本の直線と交わるとします。一方の直線との交点を順にA、B、C、もう一方をD、E、Fとすると、
です。平行線によって切り取られた対応する線分の比が等しくなります。
例5:3本の平行線が切り取る長さ
AB=6、BC=9、DE=8のとき、EFを求めます。
6EF=72
EF=12
答え:EF=12
中点連結定理
△ABCで、点Dが辺ABの中点、点Eが辺ACの中点なら、次が成り立ちます。
DE=(1/2)BC
例6:中点を結ぶ線分の長さ
BC=14なら、
答え:DE=7
中点連結定理を相似で証明する
D、EがそれぞれAB、ACの中点なので、
AE/AC=1/2
です。また∠DAEは共通なので、二組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しく、△ADE∽△ABCです。
対応する角が等しいためDE∥BCであり、対応する辺の比からDE/BC=1/2です。したがってDE=(1/2)BCとなります。
中点連結定理の逆向きの利用
△ABCで、点Dが辺ABの中点であり、点Dを通りBCに平行な直線が辺ACと点Eで交わるなら、点Eは辺ACの中点です。
例7:平行線から中点を示す
DはABの中点、DE∥BC、AC=18とします。
AD/AB=1/2なので、平行線と線分の比からAE/AC=1/2です。
EC=18-9=9
AE=ECなので、EはACの中点です。
どの比例式を使うか
| 分かっている量 | 使いやすい関係 |
|---|---|
| 上側と下側に分かれた部分 | AD/DB=AE/EC |
| 頂点からの長さと辺全体 | AD/AB=AE/AC |
| 平行な線分の長さ | AD/AB=DE/BC |
| 中点が二つ | DE∥BC、DE=(1/2)BC |
| 一つの中点と平行線 | もう一方の交点も中点 |
よくある誤りと直し方
| 誤り | 直し方 |
|---|---|
| AD/DB=AC/AE | 部分どうしならAD/DB=AE/EC |
| AD/ABとEC/ACを対応させる | 頂点Aからの部分どうしを対応させる |
| 図が平行に見えるだけで定理を使う | 平行の記号、仮定、または逆の比の条件を確認する |
| 比が等しければ点の位置を確認せず平行とする | D、Eが対応する二辺上にあることを確認する |
| 中点が一つだけで中点連結定理を使う | 中点が二つあるか、一つの中点と平行線があるかを確認する |
| 中点を結ぶ線分が元の辺と同じ長さ | 長さは元の辺の1/2 |
確認問題
問題1〜8では、△ABCの辺AB上にD、辺AC上にEがあるものとします。
- DE∥BC、AD=5、DB=7、AE=10のとき、ECを求めましょう。
- DE∥BC、AD:DB=3:2、AC=25のとき、AEとECを求めましょう。
- DE∥BC、AB=15、AD=9、BC=20のとき、DEを求めましょう。
- DE∥BC、DE=6、BC=9、AC=12のとき、AEを求めましょう。
- AD=4、DB=6、AE=8、EC=12のとき、DEとBCは平行ですか。
- AD:DB=2:3、AE:EC=5:8のとき、比の条件だけからDE∥BCといえますか。
- D、EがそれぞれAB、ACの中点で、BC=18のとき、DEを求めましょう。
- DがABの中点、DE∥BC、AC=14のとき、AEを求めましょう。
- 3本の平行線が2直線から切り取る線分が、一方で4、10、もう一方で6、xです。xを求めましょう。
- AD/AB=AE/ACからDE∥BCを示すとき、△ADEと△ABCの相似に使う、比以外の条件を答えましょう。
確認問題の解答と考え方
- 5/7=10/ECより、EC=14です。
- AE:EC=3:2なので、AE=25×3/5=15、EC=25×2/5=10です。
- AD/AB=9/15=3/5なので、DE=20×3/5=12です。
- DE/BC=6/9=2/3なので、AE=12×2/3=8です。
- 4/6=8/12=2/3なので、定理の逆からDE∥BCです。
- 2/3≠5/8なので、比の条件からは平行といえません。
- 中点連結定理よりDE=(1/2)×18=9です。
- 一つの中点を通る平行線はもう一方の辺を二等分するため、AE=7です。
- 4/10=6/xより4x=60なので、x=15です。
- ∠DAE=∠BACです。頂点Aの共通な角を使います。
まとめ
- 三角形の二辺を横切る線が残りの一辺と平行なら、二辺は同じ比に分けられる。
- DE∥BCなら、AD/AB=AE/AC=DE/BC。
- 部分どうしではAD/DB=AE/EC。
- 対応する比が等しければ、定理の逆から平行を示せる。
- 三角形の二辺の中点を結ぶ線分は、残りの一辺に平行で、長さは1/2。
- 比の向き、点の位置、平行または中点という仮定を必ず確認する。
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第3学年「図形」にある、平行線と線分の比、三角形の相似を用いた性質の証明と活用に沿って構成しています。
保護者の方へ:見守りのポイント
線分比の誤りは、比例計算より「全体と部分を混ぜた」「比の向きを途中で逆にした」ことから起こりやすくなります。比例式を書く前に、対応する線分を同じ色や記号でそろえ、全体どうしか部分どうしかを言葉にしてもらいましょう。定理の逆では、数値の比だけでなく、点が三角形の対応する二辺上にあることまで確認できると、図の見た目に頼らない判断が育ちます。
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