数学I辞典|単元別の無料問題・解答解説

数と式、集合と命題、二次関数、図形と計量、データの分析を、式の意味から学び直します。

1. 数と式11項目

計算の土台。ここでの取りこぼしは、2次関数から先のすべての単元に響きます。

√((x−2)²)を、いつでもx−2に直してよいでしょうか。

1.式は同じ値を保って変形する

展開と因数分解は逆の操作です。x²−5x+6=(x−2)(x−3)は、右辺を展開して元に戻せば確認できます。計算の速さより、同じ式かを確かめる習慣を先に作ります。

2.根号は非負の値を表す

√9=3です。一方、x²=9の解はx=±3。「平方根を求める」と「正の平方根を表す記号を読む」は別です。√(a²)はaが負でも負にならないため|a|になります。

3.絶対値は距離として読む

|x−2|はxと2の距離。x≧2ならx−2、x<2なら2−xです。先に境目x=2を書けば、外す符号を暗記せず決められます。

4.不等式の答えを数直線で確かめる

|x−2|<3は「2からの距離が3未満」。−3<x−2<3より−1<x<5です。負の数で割るときは大小が反転するので、不等号の向きも変えます。

5.まずは一問、解いてみよう

√((−4)²)の値は?

解答と考え方を確認

4です。√16=4であり、−4ではありません。

6.もう一問、考えてみよう

√((x−2)²)≦3を解きなさい。

解答と理由を確認

|x−2|≦3なので−3≦x−2≦3。全体に2を足し、−1≦x≦5です。端点では距離がちょうど3になるため、両端を含めます。

絶対値を外す前に、中の式が正になる範囲と負になる範囲を書いてみましょう。√((−4)²)を−4としてしまった場合は、√16が何を表すかに戻れば、間違えた理由が分かります。

整式の整理 次数と係数を確認し、降べきの順に並べて同類項をまとめる。文字が複数あるときは「どの文字について整理するか」を先に決める。
展開公式 (a+b)²=a²+2ab+b²、(a−b)²=a²−2ab+b²、(a+b)(a−b)=a²−b²、(x+a)(x+b)=x²+(a+b)x+ab
3次の展開 (a±b)³=a³±3a²b+3ab²±b³、(a+b+c)²=a²+b²+c²+2ab+2bc+2ca
3次式の因数分解 a³+b³=(a+b)(a²−ab+b²)、a³−b³=(a−b)(a²+ab+b²)
因数分解の手順 ①共通因数をくくる ②公式にあてはめる ③たすきがけ ④次数の低い文字について整理する、の順に試す。
実数と絶対値 |a|は数直線上でaと原点の距離。|a|²=a²、|ab|=|a||b|、|a|≧a が常に成り立つ。
平方根の計算 √a·√b=√(ab)、√(a²)=|a|。√(a²)=a としてよいのは a≧0 のときだけ。
分母の有理化 分母が√を含むときは共役な式を分母・分子に掛ける。1/(√a+√b) なら (√a−√b) を掛ける。
二重根号 √(a+b+2√(ab))=√a+√b、√(a+b−2√(ab))=√a−√b(a>b>0)。まず内側を 2√(ab) の形に整える。
1次不等式 負の数を掛ける・割るときだけ不等号の向きが変わる。連立のときは数直線で共通部分をとる。
絶対値を含む方程式・不等式 |x|=a ⇔ x=±a、|x|<a ⇔ −a<x<a、|x|>a ⇔ x<−a または a<x。中身の符号で場合分けする方法も併用する。

つまずきやすい点

  • √(a²) をいつも a としてしまう正しくは |a|。a が負のとき符号が合わなくなる。文字の符号が不明なら必ず絶対値で書く。
  • 絶対値を機械的に外す|x−3| は x≧3 と x<3 で外し方が変わる。場合分けの境目を先に書いてから外す。
  • 不等式で負の数を掛けて向きを変え忘れる−2x>4 の両辺を −2 で割るときは x<−2。割る数の符号を声に出して確認する。
  • 因数分解でいきなり公式を探すまず共通因数。次に公式、たすきがけ。文字が2種類なら次数の低い方について整理すると一気に見える。
  • 二重根号で内側を整えずに外す√(a+b±2√(ab)) の形に直してから。2√ の 2 が無いときは分母分子を2倍して作る。

入試での出方と最初の一手

  • 対称式の値を求めるx+y と xy を先に作る。x²+y²=(x+y)²−2xy、x³+y³=(x+y)³−3xy(x+y) に流し込む。
  • 絶対値つき方程式・不等式中身が0になる点で数直線を区切り、区間ごとに外して解く。最後に区間の条件と照合する。
  • 文字係数の1次不等式係数が0になる場合を別扱いにする。a>0、a=0、a<0 の3通りで場合分け。
  • 整数部分・小数部分√5 なら 2<√5<3 から整数部分2、小数部分 √5−2。まず整数部分を不等式で挟む。

→ 数学I・Aの要点辞典 第1章「数と式」で詳しく読む

2. 集合と命題8項目

答案の書き方そのものを支える単元。証明問題の減点はほぼここに原因があります。

「4の倍数なら2の倍数」が正しいとき、その逆も正しいでしょうか。

1.集合を具体例で作る

U={1,2,3,4,5,6}、A={2,4,6}、B={3,6}とします。A∩B={6}は共通部分、A∪B={2,3,4,6}はどちらかに入る要素です。

2.命題を真偽で判断する

「nが4の倍数なら2の倍数」は整数nについて真です。逆の「2の倍数なら4の倍数」はn=2で偽。全称命題を否定するには、反例が一つあれば十分です。

3.必要・十分を矢印に戻す

P⇒Qが真ならPはQの十分条件、QはPの必要条件です。例えば「4の倍数なら2の倍数」です。4の倍数であれば2の倍数だと言えるので、4の倍数であることは十分条件。逆に、4の倍数であるためには少なくとも2の倍数でなければならないので、2の倍数であることは必要条件です。

4.対偶を使う理由を知る

P⇒Qの対偶は「Qでない⇒Pでない」。PなのにQでない反例が存在しない、という同じ内容を表すので真偽が一致します。逆とは区別します。

5.まずは一問、解いてみよう

整数nで、n=6はnが偶数であるための必要条件・十分条件のどちら?

解答と考え方を確認

十分条件です。n=6なら偶数ですが、偶数は6に限られません。

6.もう一問、考えてみよう

整数nについて、n²が奇数ならnが奇数であることを対偶で示しなさい。

解答と理由を確認

対偶は「nが偶数ならn²が偶数」。n=2k(kは整数)とするとn²=4k²=2(2k²)は偶数です。対偶が真なので元の命題も真です。

必要条件と十分条件で迷ったら、まず具体的な数を一つ入れてみましょう。「偶数なら6」とは言えませんね。言葉の順番を丸暗記するより、どちらからどちらが言えるかを確かめるほうが確実です。

集合の表し方 要素を書き並べる方法 {1,2,3} と、条件で表す方法 {x | xは6の約数} の2通り。
部分集合 A⊂B ⇔ Aのすべての要素がBに属する。空集合はすべての集合の部分集合。
共通部分・和集合・補集合 A∩B、A∪B、Aの補集合。個数は n(A∪B)=n(A)+n(B)−n(A∩B)。
ド・モルガンの法則 和集合の補集合は補集合どうしの共通部分、共通部分の補集合は補集合どうしの和集合になる。
命題と反例 「pならばq」が偽であることを示すには、pを満たしqを満たさない例を1つ挙げれば足りる。
必要条件・十分条件 p⇒q が真のとき、pはqの十分条件、qはpの必要条件。両方成り立てば必要十分条件。
逆・裏・対偶 「pならばq」の対偶は「qでないならpでない」。対偶は元の命題と真偽が必ず一致する。
対偶証明法・背理法 直接示しにくいときは対偶を示す。あるいは結論を否定して矛盾を導く(背理法)。

つまずきやすい点

  • 必要条件と十分条件を逆に答える「p⇒q が真」なら p が十分、q が必要。矢印の出る側が十分条件、と figure で覚える。
  • 反例を1つも挙げずに「偽」と書く偽の主張には必ず具体的な反例を1つ書く。書かないと答案として成立しない。
  • 逆が真だと思い込む対偶だけが元と真偽が一致する。逆・裏は別物なので個別に確かめる。
  • 「かつ」「または」の否定を間違える「AかつB」の否定は「AでないまたはBでない」。ド・モルガンで必ず入れ替える。
  • 背理法で何を否定したか書かない冒頭に「結論を否定して〜と仮定する」と明記する。ここが無いと大幅減点になる。

入試での出方と最初の一手

  • 必要十分条件を選ぶp⇒q と q⇒p を別々に判定する。片方でも偽なら必要十分ではない。
  • 集合の包含で条件を比較条件を満たす x の集合を数直線に描く。狭い方が十分条件、広い方が必要条件。
  • 対偶を使う証明「n²が偶数ならnは偶数」型。直接示しにくい・結論が否定形のときは対偶を疑う。
  • 背理法で無理数を示す√2 が有理数と仮定し既約分数 p/q とおく。矛盾は「既約なのに両方偶数」で出す。

→ 数学I・Aの要点辞典 第4章「集合と命題」で詳しく読む

3. 2次関数10項目

高校数学で最初の山。「グラフを描いてから考える」習慣がつくかどうかで差がつきます。

放物線の頂点が分かっても、指定された区間でその値を取れるとは限りません。

1.平方完成で位置を読む

f(x)=x²−4x+1=(x−2)²−3。2乗部分は0以上なので、全実数ではx=2で最小値−3です。頂点は(2,−3)、軸はx=2です。

2.定義域を軸と比べる

0≦x≦1では頂点x=2を使えません。この区間では軸へ近づくほど小さくなるため、x=1で最小値−2です。

3.最大値は端点を比べる

上に開く放物線を閉区間で見ると、最大値は端点のどちらか。0≦x≦3ではf(0)=1、f(3)=−2なので最大値1です。

4.グラフを不等式へつなぐ

f(x)≦0は放物線がx軸以下にある範囲です。(x−2)²≦3より2−√3≦x≦2+√3。式とグラフが同じ範囲を表すか確認します。

5.まずは一問、解いてみよう

f(x)=(x−2)²−3の1≦x≦3での最小値は?

解答と考え方を確認

軸x=2が区間内なので、x=2で−3です。

6.もう一問、考えてみよう

f(x)=(x−2)²−3のa≦x≦a+1での最小値を場合分けしなさい。

解答と理由を確認

a<1なら区間は軸の左なのでf(a+1)=(a−1)²−3。1≦a≦2なら軸を含むので−3。a>2なら軸の右なのでf(a)=(a−2)²−3です。境界a=1,2では値が一致します。

動く区間の問題では、放物線を一つ描き、その上で区間を左から右へ動かしてみてください。区間が軸に触れるときが、場合分けの境目です。最小値を取るxの位置まで言えれば、式も自分で作れます。

グラフと平行移動 y=a(x−p)²+q は y=ax² を x軸方向にp、y軸方向にq だけ平行移動したもの。頂点は(p, q)。
平方完成 ax²+bx+c=a(x+b/(2a))²−(b²−4ac)/(4a)。頂点のx座標は −b/(2a)。
最大・最小 定義域に頂点が入るかどうかで場合分けし、頂点の値と両端の値を比較する。
軸が動く最大最小 軸が定義域の左にあるか、中にあるか、右にあるかで3通りに分ける。
2次方程式の解の公式 x=(−b±√(b²−4ac))/(2a)。b=2b′ のときは x=(−b′±√(b′²−ac))/a が速い。
判別式 D=b²−4ac。D>0 で異なる2つの実数解、D=0 で重解、D<0 で実数解なし。
解と係数の関係 2解をα、βとすると α+β=−b/a、αβ=c/a。対称式はこの2つで表せる。
2次不等式 グラフがx軸より上(下)にある範囲を読む。x²の係数が負なら全体を−1倍して上に凸を避ける。
グラフとx軸の位置関係 共有点の個数は判別式の符号と一致する。接するのは D=0 のとき。
解の配置問題 「判別式の符号」「軸の位置」「区間の端での符号 f(k)」の3点セットで条件を立てる。

つまずきやすい点

  • 平方完成で a をくくり忘れるax²+bx+c は先に a でくくってから完成させる。a を落とすと頂点が全部ずれる。
  • 定義域を見ずに頂点で最小と答える頂点が定義域の外なら端点が最小。必ずグラフを描いて定義域の位置を確認する。
  • 判別式を不等式問題にそのまま使う「常に正」は D<0 かつ a>0 の2条件。a の符号の条件を落としやすい。
  • 2次不等式で上に凸のまま解くx²の係数が負なら両辺を−1倍して下に凸に直す。このとき不等号の向きも変わる。
  • 解の配置で条件を1つで済ませる判別式・軸の位置・端点の符号の3点セット。1つでも欠けると十分な条件にならない。

入試での出方と最初の一手

  • 定義域つき最大最小頂点が定義域の左・中・右のどこかで3通りに場合分け。軸と定義域の位置関係を図示する。
  • すべての実数で成り立つ不等式下に凸(a>0)かつ D<0。「常に正」を判別式の条件に翻訳するのが一手目。
  • 2解の符号を指定する解と係数の関係で和と積の符号を条件にする。判別式で実数解の存在も忘れず添える。
  • 指定区間に解をもつf(x)=0 の f を考え、区間の端 f(p)、f(q) の符号と軸の位置で条件を立てる。

→ 数学I・Aの要点辞典 第2章「2次関数」で詳しく読む

4. 図形と計量9項目

三角比は数学IIの三角関数の入口。定義と相互関係を暗記でなく図で押さえます。

辺と角の情報から、三角形を実際に描かずに面積を決められるでしょうか。

1.三角比を辺の比で定義する

直角三角形ではsinθ=対辺/斜辺、cosθ=隣辺/斜辺、tanθ=対辺/隣辺。拡大しても比は同じなので、角度だけで値が決まります。

2.余弦定理で長さを結ぶ

2辺a,bとその間の角Cなら、向かいの辺cはc²=a²+b²−2ab cosC。C=90°ではcosC=0となり、三平方の定理へ戻ります。

3.高さをsinで表す

面積S=ab sinC/2です。底辺aに対する高さがb sinCだからです。a=4,b=6,C=30°ならS=4×6×1/2÷2=6です。

4.正弦定理で向かいをそろえる

a/sinA=b/sinB=2R。辺と向かいの角をセットにします。sinAだけから角Aを決める場合、鋭角と鈍角の両方が候補になることに注意します。

5.まずは一問、解いてみよう

2辺3,4とその間の角90°を持つ三角形の面積は?

解答と考え方を確認

3×4×sin90°/2=6です。直角三角形の面積公式と一致します。

6.もう一問、考えてみよう

2辺4,6とその間の角60°を持つ三角形の残る辺と面積を求めなさい。

解答と理由を確認

c²=16+36−48×1/2=28なのでc=2√7。S=4×6×(√3/2)/2=6√3です。余弦定理と面積公式には、同じ「2辺の間の角」を使います。

問題文の辺と角を、簡単な三角形に書き込んでみましょう。図を正確に描く必要はありません。角がどの2辺の間にあるか、どの辺の向かいにあるかが分かる図を描くことが大切です。

三角比の定義 直角三角形で sinθ=対辺/斜辺、cosθ=隣辺/斜辺、tanθ=対辺/隣辺。
鈍角の三角比 sin(180°−θ)=sinθ、cos(180°−θ)=−cosθ、tan(180°−θ)=−tanθ。
90°−θ の公式 sin(90°−θ)=cosθ、cos(90°−θ)=sinθ、tan(90°−θ)=1/tanθ。
三角比の相互関係 sin²θ+cos²θ=1、tanθ=sinθ/cosθ、1+tan²θ=1/cos²θ。
正弦定理 a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R(Rは外接円の半径)。辺と対角の組が見えたら使う。
余弦定理 a²=b²+c²−2bc·cosA。3辺から角を出すときは cosA=(b²+c²−a²)/(2bc)。
三角形の面積 S=(1/2)bc·sinA。2辺とはさむ角が分かれば面積が出る。
内接円の半径 S=(1/2)r(a+b+c) を r について解く。面積を2通りで表すのが定石。
空間図形への応用 空間の問題も、平面を1枚取り出せば正弦定理・余弦定理がそのまま使える。

つまずきやすい点

  • 正弦定理と余弦定理を選び間違える辺と対角の組が2つ見えたら正弦定理、3辺または2辺とはさむ角なら余弦定理。
  • 鈍角のとき cos の符号を落とすcos(180°−θ)=−cosθ。三角形の角が鈍角なら cos は負になる。
  • 余弦定理で解が2つ出るのを片方だけ書く正弦定理から角を出すと鋭角・鈍角の2通りが残る。三角形が成立するか毎回検討する。
  • 面積公式ではさむ角以外を使うS=(1/2)bc·sinA の A は b と c ではさまれた角。向かい合う角では計算が合わない。
  • 空間図形を立体のまま処理する必要な平面を1枚取り出して平面図に描き直す。そこで正弦・余弦定理を当てる。

入試での出方と最初の一手

  • 三角形の形状決定正弦定理で辺に、余弦定理で角に統一する。どちらか一方に揃えてから式を整理する。
  • 外接円・内接円の半径外接円は正弦定理の 2R。内接円は面積を S=(1/2)r(a+b+c) と2通りで表す。
  • 角の二等分線の長さ面積を分割して足す。△ABC=△ABD+△ACD を (1/2)·辺·辺·sin で書く。
  • 空間の最短距離・なす角展開図にするか、断面の三角形を取り出す。立体のまま考えないのが鉄則。

→ 数学I・Aの要点辞典 第3章「図形と計量」で詳しく読む

5. データの分析9項目

共通テストで配点が大きい単元。定義どおりに計算できるかが問われます。

平均が同じ二つの集団でも、散らばりは同じでしょうか。

1.代表値と散らばりを分ける

{1,2,3}と{0,2,4}はどちらも平均2ですが、後者の方が広く散らばります。平均だけでは分布を説明できません。

2.偏差を二乗して平均する

分散は「平均との差の二乗」の平均です。{1,2,3}なら(1+0+1)/3=2/3。偏差をそのまま足すと打ち消し合うため、二乗します。

3.標準偏差で元の単位へ戻す

標準偏差は分散の非負の平方根。全データをa倍すると分散はa²倍、標準偏差は|a|倍。一定の数を足すだけなら散らばりは変わりません。

4.相関と因果を区別する

二つの量が一緒に増えても、一方が他方の原因とは限りません。第三の要因や調査対象の選び方を考え、散布図の外れ値も確認します。

5.まずは一問、解いてみよう

全データに5を足したとき、平均と分散はどうなる?

解答と考え方を確認

平均は5増え、分散は変わりません。各値と平均の差が同じだからです。

6.もう一問、考えてみよう

データ{1,2,3}をy=2x+1で変換したとき、平均と分散を求めなさい。

解答と理由を確認

新しいデータは{3,5,7}。平均は5、分散は(4+0+4)/3=8/3。元の平均2から2×2+1=5、元の分散2/3から4×2/3=8/3としても求まります。

全員の点数に同じ点を加えたとき、平均は動いても平均との差は変わりません。この理由を説明できれば、分散の公式も意味を持って使えます。計算に迷ったら、3個ほどの小さなデータで確かめましょう。

度数分布とヒストグラム 階級・階級値・度数・相対度数。分布の形(山の位置と広がり)を読む。
代表値 平均値、中央値(並べたときの中央)、最頻値。外れ値の影響を受けやすいのは平均値。
四分位数と箱ひげ図 Q1・Q2・Q3 に分ける。四分位範囲は Q3−Q1。箱の中に真ん中の50%が入る。
分散 (各データと平均の差の2乗の平均)=(2乗の平均)−(平均の2乗)。後者が計算は速い。
標準偏差 分散の正の平方根。単位が元のデータと揃うので散らばりの大きさを比較しやすい。
散布図と相関 点が右上がりなら正の相関、右下がりなら負の相関。因果関係とは別物。
共分散と相関係数 r=(xとyの共分散)/(xの標準偏差×yの標準偏差)。−1≦r≦1。
変量の変換 u=ax+b のとき、平均は a×(平均)+b、標準偏差は |a|×(標準偏差)、分散は a²×(分散)。
仮説検定の考え方 主張を否定した仮説のもとで観測結果が起こる確率を求め、十分小さければ否定した仮説を捨てる。

つまずきやすい点

  • 分散の計算で平均を引き忘れる(2乗の平均)−(平均の2乗)を使うと引き忘れが起きにくい。定義式との一致も確認する。
  • 相関係数を因果関係と混同するr が大きくても原因と結果の関係は言えない。答案では「相関がある」までにとどめる。
  • 変量の変換で標準偏差に |a| を使わないu=ax+b の標準偏差は |a|×(元の標準偏差)。a が負でも散らばりは負にならない。
  • 箱ひげ図から平均値を読もうとする箱ひげ図が示すのは中央値と四分位数。平均値は読み取れない。
  • 中央値をデータ数の偶奇で区別しない偶数個なら中央2つの平均。並べ替えを済ませてから数える。

入試での出方と最初の一手

  • 一部が未知のデータの逆算平均や分散の式に文字を入れて方程式を立てる。条件の個数と文字の個数を合わせる。
  • 箱ひげ図とヒストグラムの対応中央値と四分位数の位置で候補を絞る。山の位置ではなく分位点で判定する。
  • 変量変換後の平均・分散u=(x−a)/h と置き換えて計算を軽くする。最後に元の単位へ戻す。
  • 仮説検定の考え方「偶然そうなる確率」を求め、基準(5%など)と比べる。何を否定した仮説にするか先に書く。

→ 数学I・Aの要点辞典 第5章「データの分析」で詳しく読む

二次関数standard

すべての実数で二次式が正になる条件|判別式の意味から解くオリジナル問題

『すべての実数で正』は、無数の値を一つずつ代入する問題ではありません。放物線全体がx軸より上にある、という一枚の図へ翻訳します。

図形と計量standard

面積から三角形の2通りを見抜く|三角比オリジナル問題

2辺と面積から正弦を求め、角が鋭角・鈍角の2通りになることを見落とさず、余弦定理で残りの辺を決めます。

データの分析standard

分散から未知のデータを逆算する|数学Iオリジナル問題

分散を「2乗の平均−平均の2乗」と表し、未知数を含む5個のデータを方程式へ変換します。2通りの答えを別解と検算で確かめます。

数学Iの要点をまとめて確認する 数学I・Aの要点辞典 の第1〜5章が数学Iにあたります(数と式/2次関数/図形と計量/集合と命題/データの分析)。公式一覧だけでなく、2次関数の場合分け3パターンのような「知っていれば落とさないところ」まで書き出してあります。

前提となる無料解説

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