数学A辞典|単元別の無料問題・解答解説

場合の数と確率、図形の性質、数学と人間の活動を、数える対象の対応から整理します。

1. 場合の数10項目

「並べるのか、選ぶのか」「区別するのか、しないのか」。この2つの問いで解法が決まります。

同じ3人を選ぶ場合と、3人に役職を割り当てる場合は、なぜ答えが違うのでしょうか。

1.何を1通りと数えるかを決めよう

まず何を違う結果と数えるかを決めます。A・B・Cの3人を選ぶだけなら並べ替えても同じ、委員長・副委員長・書記に割り当てるなら違う結果です。

2.積の法則で順に決める

5人から異なる3人へ順に役を割り当てると5×4×3=60通り。前の選択によって、次に選べる人数が減ることを式に反映します。

3.同じ組を何回数えたかを考えよう

役職のない3人組なら、同じ組を3!=6回ずつ数えていたので60/6=10通り。Cの公式は、この重複を取り除く考え方です。

4.条件で先に場合を分ける

特定のAを含む3人組は、残り4人から2人を選んで6通り。場合分けでは漏れも重なりもないことを確認します。

5.まずは一問、解いてみよう

6人から2人を選ぶ組は何通り?

解答と考え方を確認

6×5/2=15通り。選ぶ順序の2通りを同じ組としてまとめます。

6.もう一問、考えてみよう

男子3人・女子2人から3人を選び、女子を少なくとも1人含める。何通り?

解答と理由を確認

全体は5C3=10通り。女子0人は男子3人全員を選ぶ1通りなので10−1=9通りです。女子1人なら2C1×3C2=6、女子2人なら2C2×3C1=3で、合計9とも確かめられます。

順列か組合せかを迷ったら、Aさん・Bさん・Cさんを選んだ場面を想像してみてください。3人の順番を入れ替えて別の結果になるなら順序を数えます。同じ結果なら、何回ずつ重ねて数えたかを考えましょう。

和の法則・積の法則 同時に起こらない場合は足す(和の法則)。続けて起こる場合は掛ける(積の法則)。
順列 nPr 異なるn個からr個取り出して並べる方法は nPr=n!/(n−r)!。
円順列 n個を円形に並べる方法は (n−1)!。1つを固定して残りを並べると考える。
じゅず順列 裏返して一致するものを同一視するので、円順列の半分 (n−1)!/2。
重複順列 n種類からr個を重複を許して並べると n^r 通り。
組合せ nCr 異なるn個からr個選ぶ方法は nCr=n!/(r!(n−r)!)。nCr=nC(n−r)。
同じものを含む順列 p個、q個…と同じものがあるとき n!/(p!q!…) 通り。最短経路の数え上げもこれ。
重複組合せ nHr n種類からr個を重複を許して選ぶと nHr=(n+r−1)Cr。仕切りと○の配置に対応させる。
組分け問題 組に区別があるかないかで割る数が変わる。同数の組が k 個あれば k! で割る。
包除原理 n(A∪B)=n(A)+n(B)−n(A∩B)。3つなら足して引いて足す。「少なくとも1つ」は余事象も検討。

つまずきやすい点

  • P と C を区別せずに使う並べるなら P、選ぶだけなら C。問題文の「順番に」「一列に」が P の合図。
  • 同じものを含む順列で割り忘れる同じものが p 個あれば p! で割る。区別できないものを区別して数えている状態に気づく。
  • 円順列で (n−1)! を使わない円は回転して一致するものを同一視する。1人を固定して残りを並べると考える。
  • 組分けで組の区別を取り違えるA・B と名前がある組は割らない。同数で名前のない組が k 個あれば k! で割る。
  • 重複組合せを重複順列と混同する選ぶだけで順序なしなら H。○と仕切りの並べ方に翻訳すると迷わない。

入試での出方と最初の一手

  • 最短経路の数え上げ右への移動と上への移動を同じものを含む順列で数える。障害物があれば余事象か分割で処理。
  • 数字を並べて整数を作る最高位が0にならない条件を先に処理する。「0を含むか」で場合分けするのが定石。
  • 非負整数解の個数x+y+z=n の解の個数は重複組合せ。○を n 個、仕切りを2本並べる問題に置き換える。
  • 「少なくとも1つ」余事象(1つも〜ない)を数える。直接数えると重複が出やすい。

→ 数学I・Aの要点辞典 第6章「場合の数」で詳しく読む

2. 確率9項目

「同様に確からしい」状態を作れているか。ここを外すと式は正しくても答えが合いません。

「選び方を数えた」だけで、それを確率の分母にしてよいでしょうか。

1.同様に確からしい結果を選ぶ

公平なさいころでは1〜6の各目が同じ確率です。ところが、結果を「1が出る」「1以外が出る」の2つに分けても、それぞれの確率は1/6と5/6です。2つに分けられることと、同じ確率で起こることは別なのです。

2.余事象で短く考える

少なくとも一度成功する確率は1−一度も成功しない確率。公平なコインを独立に2回投げるとき、少なくとも1回表が出る確率は1−(1/2)²=3/4です。

3.条件付き確率は分母を絞る

条件Bが起きたと分かった後は、Bの中でAが起きる割合を考えます。P(A|B)=P(A∩B)/P(B)。P(B)>0が必要です。

4.独立を確認して掛ける

独立な試行なら両方起きる確率を掛けられます。袋から玉を戻さず引く場合は、1回目が2回目の内訳を変えるので、条件付きの確率を使います。

5.まずは一問、解いてみよう

公平なさいころで、偶数だと分かったとき6である確率は?

解答と考え方を確認

候補は2,4,6の3つで等確率なので1/3です。元の6つを分母にしません。

6.もう一問、考えてみよう

赤玉3個・白玉2個から戻さず2個引く。少なくとも1個が赤である確率は?

解答と理由を確認

白2個の確率は(2/5)×(1/4)=1/10。その余事象だから9/10です。白を1個引いた後は、残りが4個中白1個になります。

確率の分母を書く前に、何を同じ起こりやすさの結果として数えたかを説明してみましょう。玉を戻さない問題なら、1個引いたあとの袋の中身を描くだけでも、2回目の分母を間違えにくくなります。

確率の定義 P(A)=(Aの起こる場合の数)/(起こりうるすべての場合の数)。分母は同様に確からしく数える。
和事象と排反 AとBが排反なら P(A∪B)=P(A)+P(B)。一般には P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)。
余事象の確率 P(Aでない)=1−P(A)。「少なくとも1つ」型はまず余事象を疑う。
独立試行 互いに影響しない試行が続くとき、確率は掛け算になる。
反復試行 1回の成功確率がpの試行をn回行い、ちょうどr回成功する確率は nCr·p^r·(1−p)^(n−r)。
条件付き確率 P(B|A)=P(A∩B)/P(A)。「Aが起きたと分かっている」状態で分母が縮む。
乗法定理 P(A∩B)=P(A)·P(B|A)。樹形図の枝をたどって掛けるのと同じ。
原因の確率(ベイズ) 結果から原因をさかのぼる確率。全確率で分母を作り、該当経路を分子に置く。
期待値 E=Σ(値×その確率)。有利・不利の判断に使う。

つまずきやすい点

  • 同様に確からしくない数え方をする分母は「区別して」数える。同じ色の玉も別物として扱わないと確率が狂う。
  • 条件付き確率で分母を全体のままにするP(B|A)=P(A∩B)/P(A)。分母は A が起きた世界に縮む。
  • 反復試行で nCr を落とすどの回に成功するかの選び方 nCr を掛ける。確率の積だけでは足りない。
  • 排反と独立を混同する排反は同時に起こらない(和で使う)。独立は影響し合わない(積で使う)。
  • 期待値で確率の合計が1にならない値と確率の対応表を作り、確率の総和が1かを検算してから掛けて足す。

入試での出方と最初の一手

  • 袋から玉を取り出す戻すか戻さないかで独立性が変わる。「同時に」は組合せ、「順に」は順列で数える。
  • 原因の確率(ベイズ)全確率で分母を作り、該当する経路だけを分子に置く。樹形図を描くのが最短。
  • じゃんけん・試合の反復1回あたりの確率を出してから反復試行の式に入れる。勝敗が決まる回で場合分け。
  • 期待値で有利不利を判断ルールごとに期待値を計算して比較する。金額や得点をそのまま値に使う。

→ 数学I・Aの要点辞典 第7章「確率」で詳しく読む

3. 図形の性質13項目

定理の名前より「どの図を見たらどれを使うか」。図形問題は道具の選択がすべてです。

線分の長さを測らず、角や比だけで新しい長さを決められるでしょうか。

1.相似を探す

等しい角を二組見つけると相似が使えます。対応する頂点の順に三角形の名前を書けば、どの辺の比をそろえるかを判断できます。

2.角の二等分線を比へ変える

三角形ABCでAの角の二等分線がBCとDで交わるとBD:DC=AB:AC。二つの三角形の面積比を、同じ高さとsinの面積公式から比べると導けます。

3.円の角をつなぐ

同じ弧に対する円周角は等しく、中心角はその2倍です。図が似て見えるかではなく、どの弧を見ている角かを指定します。

4.接線では半径と直角を使う

接点へ引いた半径と接線は直交します。円の外の同じ点から引いた2本の接線の長さが等しいことも、直角三角形の合同で確認できます。

5.まずは一問、解いてみよう

△ABCで、AB=4、AC=6、BC=5。∠Aの二等分線とBCの交点をDとすると、BDはいくつ?

解答と考え方を確認

角の二等分線の定理よりBD:DC=4:6=2:3。BC=5なので、BD=5×2/5=2。

6.もう一問、考えてみよう

半径5の円の中心Oから13離れた点Pから接線PTを引く。PTを求めなさい。

解答と理由を確認

接点TでOT⊥PT。直角三角形OPTでPT²=13²−5²=144よりPT=12です。接点Tに向かって半径OTを引くと、三平方の定理を使える直角三角形が見つかります。

図形問題で手が止まったら、等しい角や直角を図に書き込んでみましょう。接線が出てきたら接点へ半径を引く。こうして分かっていることを図に足すと、使える三角形が見えてきます。

三角形の重心 3本の中線の交点。各中線を頂点から 2:1 に内分する。
三角形の内心 3つの内角の二等分線の交点。内接円の中心で、3辺から等距離。
三角形の外心 3辺の垂直二等分線の交点。外接円の中心で、3頂点から等距離。
三角形の垂心 3本の垂線の交点。鋭角三角形では内部、鈍角三角形では外部にある。
角の二等分線と比 ∠Aの二等分線が辺BCをD で分けるとき BD:DC=AB:AC。
チェバの定理 三角形の3頂点から1点を通る直線を引くと、3辺の分割比の積が1になる。
メネラウスの定理 三角形を1本の直線が横切るとき、辺(と延長)の分割比の積が1になる。
円周角の定理 同じ弧に対する円周角は等しく、中心角の半分。直径に対する円周角は90°。
円に内接する四角形 向かい合う内角の和は180°。外角は対角に等しい。
接弦定理 接線と弦のなす角は、その弦に対する円周角に等しい。
方べきの定理 点Pを通る2直線が円と交わるとき PA·PB=PC·PD。接線なら PA·PB=PT²。
2円の位置関係 中心間距離dと半径 r、r′ を比べる。d>r+r′ で離れ、d=r+r′ で外接、|r−r′|<d<r+r′ で2点で交わる。
空間図形 オイラーの多面体定理 v−e+f=2。正多面体は5種類。

つまずきやすい点

  • 五心の性質を取り違える重心は中線を2:1、内心は角の二等分線、外心は垂直二等分線。定義から辿ると混ざらない。
  • メネラウスで頂点の巡り方を崩す三角形の周を一方向に一周する順で比を掛ける。図に矢印を書いてから式にする。
  • 円に内接する四角形の条件を忘れる対角の和が180°。この一言を書かずに使うと根拠不足で減点される。
  • 方べきの定理で符号・位置を無視する点が円の内部か外部かで図が変わる。接線のときは PA·PB=PT²。
  • 接弦定理をどの角に使うか迷う接点を挟む弦と接線の角を見る。その弦に対する円周角と等しい。

入試での出方と最初の一手

  • 線分の比を求めるチェバかメネラウスを疑う。1点を通る3直線ならチェバ、1本の直線が横切るならメネラウス。
  • 内心・外心と距離外心は正弦定理の R、内心は面積から r。中心から辺への垂線を引いて直角三角形を作る。
  • 円と直線の長さ関係方べきの定理。交点をもつ2直線を見つけたら積の形をまず書く。
  • 空間図形の切断・多面体オイラーの多面体定理で個数を確認。断面は平面図に描き直して平面幾何に帰着させる。

→ 数学I・Aの要点辞典 第9章「図形の性質」で詳しく読む

4. 数学と人間の活動(整数)9項目

割り算の余りで分類する発想が中心。記述式で差がつきやすい単元です。

大きな整数でも、割った余りだけで判定できることがあります。

1.割り算を等式にする

aをbで割った余りrはa=bq+r、0≦r<b(b>0)で表せます。余りには範囲があり、等式だけでは決まりません。

2.最大公約数を余りへ引き継ぐ

a=bq+rならaとbの公約数はbとrの公約数と一致します。84=30×2+24、30=24+6、24=6×4より最大公約数は6です。

3.素因数を必要な個数だけ集める

12=2²×3、18=2×3²。最大公約数は共通する最小個数で6、最小公倍数は必要な最大個数で36になります。

4.整数条件を最後まで残す

2x+3y=1で整数解を求めるなら、実数の直線上のすべての点が答えではありません。x=−1,y=1が一つの解で、差の関係から他の整数解を表します。

5.まずは一問、解いてみよう

48と18の最大公約数は?

解答と考え方を確認

48=18×2+12、18=12+6、12=6×2より6です。

6.もう一問、考えてみよう

2x+3y=1の整数解をすべて表しなさい。

解答と理由を確認

一つの解(−1,1)との差を取ると2(x+1)=−3(y−1)。2と3は互いに素なのでx+1=3k、y−1=−2k。よってx=−1+3k、y=1−2k(kは整数)。代入すると常に1になります。

整数解を求めたら、kに0、1、−1を入れて元の式に戻してみましょう。ただし、いくつか確かめただけでは「すべての解」とは言えません。どの整数解もその形になる理由を、互いに素という条件から説明してください。

約数と倍数 aがbで割り切れるとき、bはaの約数、aはbの倍数。素因数分解が出発点。
約数の個数と総和 n=p^a·q^b のとき、約数の個数は (a+1)(b+1)、総和は (1+p+…+p^a)(1+q+…+q^b)。
最大公約数・最小公倍数 2数の積=最大公約数×最小公倍数。素因数分解で指数の小さい方・大きい方を取る。
ユークリッドの互除法 a を b で割った余りを r とすると、a と b の最大公約数は b と r の最大公約数に等しい。
1次不定方程式 ax+by=c の整数解。互除法で1組の解を見つけ、一般解を x=x₀+(b/g)t の形で表す。
合同式 a≡b (mod m) は a−b が m の倍数。足し算・掛け算・累乗はそのまま計算できる。
余りによる分類 整数を mod m で分類して全パターンを調べる。「n²を3で割った余りは0か1」など。
n進法 各桁に位の重み(n の累乗)を掛けて足すと10進法に戻る。10進→n進は割り算の繰り返し。
循環小数と分数 循環部分の長さだけ10倍して差をとると、循環が消えて分数になる。

つまずきやすい点

  • 不定方程式で1組の解を探さず一般解に進むまず互除法で特殊解を1つ見つける。そこから一般解の形に乗せる。
  • 合同式で割り算をしてしまうmod の世界では自由に割れない。両辺を割るには互いに素であることが要る。
  • 最大公約数と最小公倍数の関係を逆に使う2数の積=最大公約数×最小公倍数。文字で置いて確かめる癖をつける。
  • n進法で位の重みを取り違える右端が n⁰。桁ごとに n の累乗を掛けて足す。10進→n進は割った余りを下から読む。
  • 余りの分類で全パターンを尽くさないmod m なら余りは 0 から m−1 まで。すべて調べたと明記する。

入試での出方と最初の一手

  • ax+by=c の整数解互除法で特殊解、次に一般解 x=x₀+(b/g)t。g で割り切れるかを最初に確認する。
  • 倍数であることの証明mod で分類して全パターンを調べるか、連続整数の積の形に変形する。
  • 約数の個数・総和素因数分解して指数に1を足して掛ける。総和は各素数の等比和の積。
  • 循環小数を分数に直す循環節の桁数だけ10倍して差をとる。循環部分が消えて1次方程式になる。

→ 数学I・Aの要点辞典 第8章「整数の性質」で詳しく読む

場合の数と確率完全攻略

場合の数と確率 完全攻略|37項目のエッセンス辞典

単元のエッセンスを37項目に分解し、各項目に核心の一行・公式・オリジナル問題・解答・落とし穴をまとめた辞典です。答えは全問、総当たり計算で検証しています。

場合の数standard

非負整数解を1対1対応で数える|場合の数オリジナル問題

数え上げで最初に決めるのは公式ではなく、『何と何を1対1に対応させるか』です。三つの文字を、二つの選択へ減らしてみます。

図形の性質standard

内心と外心の距離を2通りで求める|図形の性質オリジナル問題

内心・外心の定義を座標へ翻訳し、距離公式とオイラーの公式の2通りで答えを確かめます。

条件付き確率standard

不良品から工場を逆算する条件付き確率|数学Aオリジナル問題

工場別の生産割合と不良率を整理し、不良品だと分かった後の製造元を全確率と条件付き確率から逆算します。

数学Aの要点をまとめて確認する 数学I・Aの要点辞典 の第6〜9章が数学Aにあたります(場合の数/確率/整数の性質/図形の性質)。組分けで割るか割らないかの判断基準や、チェバとメネラウスの見分け方まで整理しています。

前提となる無料解説

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