比例・反比例の利用問題では、公式へ数字を当てはめる前に、「何と何が変わるか」「何が一定か」「実際に取り得る値はどこまでか」を整理します。特に、式だけなら使える値でも、容器の容量や時間などの場面では使えないことがあります。
利用問題を解く6つの手順
- 変化する二つの数量を決める。それぞれの単位も書く。
- 何が一定かを探す。1分あたりの量、面積、距離、歯数と回転数の積などに注目する。
- 比例か反比例かを判断する。比が一定なら比例、積が一定なら反比例。
- 式を作る。比例ならy=ax、反比例ならy=a/x。
- 変域を決める。式の条件だけでなく、問題場面で実際に取れる値を確認する。
- 答えを場面へ戻す。単位、整数条件、容量などを確かめる。
変域は式と場面の両方から決める
比例y=3xは、式だけならxに負の数も使えます。しかし「毎分3Lずつ水を入れ、8分で満水になる」という場面では、時間は0分から8分までです。
0≦y≦24
反比例y=24/xは、式ではx≠0です。ただしxが長さなら負の値を取らないため、場面ではx>0となります。
| 確認する条件 | 例 |
|---|---|
| 式そのものの条件 | 反比例では分母のx≠0 |
| 数量の性質 | 長さ・時間・速さは通常0以上、個数・人数は整数 |
| 問題で指定された上限 | 容器の容量、決められた時間、材料の長さ |
| 問いに必要な範囲 | 「開始後10分まで」なら、その範囲だけを考える |
比例の利用1:水そうへ水を入れる
例1:水量と時間
問題:空の水そうへ毎分3Lの割合で水を入れます。水そうは24L入るものとします。入れ始めてからx分後の水量をyLとして、式と変域を求め、5分後の水量を答えましょう。
一定量:1分あたり3Lです。水量は時間に比例します。
満水になるのは24÷3=8分後なので、変域は次の通りです。
5分後はy=3×5=15。
答え:y=3x、0≦x≦8、0≦y≦24。5分後は15L。
| x(分) | 0 | 2 | 4 | 6 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|
| y(L) | 0 | 6 | 12 | 18 | 24 |
グラフは原点(0, 0)から(8, 24)までの線分です。式y=3xの直線全体ではなく、場面の変域に対応する部分だけを使います。
比例の利用2:重さと長さ
例2:同じ太さの針金
問題:同じ材質・同じ太さの針金があり、2mで150gです。xmの重さをygとするとき、式を求め、7mの重さを答えましょう。
1mあたりの重さは150÷2=75gです。
7mではy=75×7=525。
答え:y=75x、7mでは525g。
反比例の利用1:長方形の面積
例3:面積が一定の長方形
問題:面積が24cm2の長方形で、横をxcm、縦をycmとします。yをxの式で表し、横が6cmのときの縦を求めましょう。
面積=横×縦なので、xy=24です。積が一定のため反比例します。
x=6のとき、y=24/6=4。
答え:y=24/x、縦4cm。
確かめ:6×4=24cm2です。
| x(cm) | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | 8 | 12 | 24 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| y(cm) | 24 | 12 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
反比例の利用2:速さと時間
例4:一定の道のりを進む
問題:120kmの道のりを一定の速さで進みます。速さを時速xkm、かかる時間をy時間として式を求め、時速80kmのときの時間を答えましょう。
道のり=速さ×時間より、xy=120です。
時速80kmではy=120/80=1.5。
答え:y=120/x、1.5時間=1時間30分。
反比例の利用3:かみ合う歯車
かみ合う二つの歯車では、同じ時間にかみ合う歯の総数が等しくなります。歯数をx、回転数をyと見ると、xyが一定になる場面があります。
例5:歯数と回転数
問題:歯数24の歯車Aが10回転するとき、かみ合う歯車Bは何回転しますか。歯車Bの歯数は40です。
歯数×回転数が等しいため、歯車Bの回転数をy回とすると、
240=40y
y=6
答え:6回転。
回転する向きは反対になりますが、ここでは回転数の大きさを求めています。
グラフから読み取るときの確認点
- 横軸・縦軸が何を表すかと単位を読む。
- 一目盛りの大きさを確認する。
- 求めたいxから縦へ進み、グラフとの交点から横へ進んでyを読む。
- 読み取った点を式へ代入し、関係を満たすか確かめる。
- グラフが直線・曲線の全体ではなく、変域で切られた一部分か確認する。
よくある間違い
1. 「一方が増えると他方が減る」だけで反比例とする
減少する関係でも積が一定とは限りません。対応する値の積xyを調べます。
2. 容量を超えて式を使う
水そうの例でy=3xを10分後まで使うと30Lになりますが、容量24Lの条件に反します。満水後の状況が示されていなければ、0≦x≦8です。
3. 時間の小数を分へ直さない
1.5時間は1時間5分ではなく、0.5時間=30分なので1時間30分です。
4. 単位を混ぜる
時速と分を同じ式で使う場合は、分を時間へ直すなど単位をそろえます。
確認問題
- 空の容器へ毎分4Lずつ水を入れます。容量が36Lのとき、x分後の水量yLを表す式と、x、yの変域を求めてください。
- 同じ太さの棒が3mで840gです。xmの重さをygとして式を求め、5mの重さを答えてください。
- 面積30cm2の長方形の横をxcm、縦をycmとします。式を求め、横5cmのときの縦を答えてください。
- 180kmの道のりを時速xkmで進む時間をy時間とします。式を求め、時速72kmのときの時間を答えてください。
- 歯数30の歯車が8回転します。かみ合う歯数48の歯車の回転数を求めてください。
解答と解説を開く
- y=4x。満水は36÷4=9分後なので、0≦x≦9、0≦y≦36。
- 1mあたり840÷3=280gより、y=280x。5mでは1400g。
- xy=30より、y=30/x(x>0)。x=5ならy=6cm。
- xy=180より、y=180/x(x>0)。180÷72=2.5時間=2時間30分。
- 30×8=48yより、y=240/48=5。答えは5回転。
まとめ
- 変化する二量、単位、一定量を整理してから比例・反比例を判断する。
- 比例は比y/x、反比例は積xyが一定。
- 変域は式の条件だけでなく、容量・時間・長さ・整数など場面の条件から決める。
- グラフでは軸、単位、目盛り、変域を確認する。
- 答えを式へ代入し、問題場面でも意味がある値か確かめる。
学習範囲の根拠
この記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第1学年「比例、反比例を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること」を基準に構成しています。正式な内容は、文部科学省の解説PDFで確認できます。
保護者の方へ:見守りのポイント
式が合っているかだけでなく、「何が一定だから比例・反比例と判断したか」「この値は実際の場面で使えるか」をお子さまの言葉で説明できるかをご確認ください。変域で迷う場合は、数直線上に開始・終了・除外する値を書き込むと整理しやすくなります。
前後の単元
数学マンツーマン指導・プロ講師
自分専用の数学学習計画を、プロ講師と1対1で作る
現在の点数・目標・使っている教材をもとに、優先する単元と毎週の進め方をマンツーマンで整理します。
苗字のみ・情報収集の段階でも相談できます。送信だけで入塾確定にはなりません。
