本郷中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
本郷中学校(東京都豊島区駒込)は、都内でも人気の高い男子進学校です。算数は国語と並んで配点が高く、合否を左右する重要教科です。この記事では、本郷中学校が公式サイトで公開している募集要項と「作問の基本方針」の情報をもとに算数の枠組みを整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問を、考え方・解答・検算つきで掲載します。実在の過去問を書き写したものは一切なく、受験算数の標準的な題材をふまえて数強塾が新しく作った問題です。答えはすべて、正攻法とは別の方法による二重検算で一致を確認しています。
公式情報からわかる算数のポイント
- 本郷中学校の一般入試は、公式サイトの案内によれば国語・算数・社会・理科の4教科で、合計350点満点です。
- 算数の試験時間は50分、配点は100点と案内されています(国語も50分・100点、社会・理科は各40分・75点で、算数と国語の配点が高く設定されています)。
- 一般入試は第1回(2月1日・募集100名)、第2回(2月2日・募集140名)、第3回(2月5日・募集40名)の3回実施されると案内されています。
- 公式サイトには「作問の基本方針」が掲載されており、算数では小問集合で基本事項の確実な習得を、大問でイメージのわきにくいものを具体化して既習の知識に言い換える力や、前の問いで得た情報を後の問いに活用する力を重視すると説明されています。
- 公式サイトの過去問ページでは、問題や解答例・正答率が公開されています。
※試験時間・配点・入試回・募集人員は執筆時点で公式サイトに掲載の内容です。年度により変わる場合があるため、受験の際は必ず最新の 本郷中学校・中学入試情報(公式) をご確認ください。作問方針は 作問の基本方針(公式)、過去問は 公式の過去問ページ で公開されています。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。
出題分野の傾向
ここでの記述は特定年度の問題の解説ではなく、算数50分・100点という枠組みと、公式サイトが示す「作問の基本方針」、そして男子進学校で一般的に問われる力から読み取れる方向づけの整理です。断定は避け、学習の道しるべとしてお読みください。実際の出題形式や難度は公式サイトの過去問でご確認ください。
- 小問集合で確実に得点する力:公式の作問方針では、小問集合で「基本事項を確実に習得し実行できる力」を測ると説明されています。計算や標準的な一行問題を、速く正確に処理できる状態にしておくことが得点の土台になります。
- 大問での「具体化」と「言い換え」の力:作問方針では、大問で「イメージのわきにくいものを具体化し、習った知識に言い換えて考える力」を重視するとされています。見慣れない設定でも、図をかき、既習の解法にひもづけて考える練習が有効です。
- 誘導(前問の活用)に乗る力:作問方針では「前の問いで得た情報を、後の問いで活用する力」も挙げられています。大問の(1)(2)(3)がつながる誘導形式に慣れ、前の小問の結果や考え方を次に生かす姿勢が大切です。
- 受験算数の主要分野を広く:速さ(旅人算・流水算)、平面図形(面積比・相似)、立体図形(体積・水量)、数の性質・規則性、割合(濃度)、場合の数など、主要分野を「なぜその式になるのか」まで理解して使いこなせる状態を目指しましょう。
- 途中式・図を書く習慣:具体化を求める作問方針からも、線分図・ダイヤグラム・面積図を自分の手でかいて状況を整理する習慣が支えになります。
オリジナル類題で対策
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、正攻法で解いたうえで別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。図がなくても読み解けるよう、状況は文章で説明しています。
類題1(数の性質・規則性)
【問題】 次のように、分母が2以上の分数を、分母の小さい順に、同じ分母の中では分子の小さい順に並べます。
1/2,1/3,2/3,1/4,2/4,3/4,1/5,2/5,3/5,4/5,1/6,…
(分母が □ の分数は、1/□ から (□−1)/□ まで並べます。約分はしません。)
(1) はじめから数えて50番目の分数を求めなさい。
(2) 3/8 は、はじめから数えて何番目ですか。
【方針】 分母が同じ分数がいくつ並ぶかに注目します。分母が□の分数は、1/□ から (□−1)/□ まで、ちょうど (□−1)個並びます。だから「分母□までに何個並んだか」は 1+2+3+…+(□−1) という和で求められます。この累計をたどって、50番目や 3/8 がどの分母のグループの何番目かを探します。前半で作った「累計の式」を後半でもそのまま使う、誘導型の考え方です。
【解答】 分母□までに並ぶ分数の個数の合計は、1+2+…+(□−1)=(□−1)×□÷2 です。
・分母10まで:9×10÷2=45(個)。つまり45番目は 9/10。
・分母11まで:10×11÷2=55(個)。
(1) 45番目までで分母10のグループが終わり、46番目から分母11のグループが始まります。46番目=1/11、47番目=2/11、48番目=3/11、49番目=4/11、50番目=5/11。
(2) 3/8 は分母8のグループの3番目です。分母7までの合計は 6×7÷2=21(個)なので、分母8のグループは22番目から始まります。22番目=1/8、23番目=2/8、24番目=3/8。よって 3/8 は24番目。
【別解による検算】 分母b・分子aの分数の番号は「(b−1)までの累計+a」=(b−2)×(b−1)÷2+a という式で一度に求められます。
(2) の 3/8(b=8,a=3):(8−2)×(8−1)÷2+3=6×7÷2+3=21+3=24番目。解答と一致。
(1) 逆に50番目を求めると、45<50≦55 なので分母11のグループにあり、グループ内の位置は 50−45=5番目、すなわち5/11。こちらも一致しました。
類題2(速さ・旅人算)
【問題】 A地点とB地点は1800mはなれています。兄はA地点から、弟はB地点から、向かい合って同時に出発します。兄は分速90m、弟は分速60mで進みます。2人はそれぞれ相手の出発点に着くとすぐに向きを変えて引き返し、これをくり返します。
(1) 2人が最初に出会うのは、出発してから何分後ですか。
(2) 2人が2回目に出会うのは、出発してから何分後ですか。
【方針】 向かい合って進むときは、2人の速さの和で近づきます。(1) は「道のり÷速さの和」で求まります。(2) は、折り返しをふくむので、2人が出会うまでに2人あわせて進んだ道のりの合計に注目するのが定石です。向かい合って出発した2人が最初に出会うまでの合計はAB1つ分、2回目に出会うまでの合計はAB3つ分になります。
【解答】 速さの和は 90+60=150(m/分)。
(1) 最初に出会うまでに2人あわせて1800m進めばよいので、1800÷150=12(分後)。
(2) 2回目に出会うまでに2人あわせて進む道のりは、AB3つ分=1800×3=5400(m)です。2人の速さの和は変わらず150m/分なので、5400÷150=36(分後)。
【別解による検算】 36分後の2人の位置を、それぞれの進んだ道のりから直接確かめます。
・兄:分速90mで36分=3240m進みます。兄はB(1800m地点)で折り返しているので、Bから 3240−1800=1440m もどった位置、つまりAから 1800−1440=360m の地点。
・弟:分速60mで36分=2160m進みます。弟はA(0m地点)で折り返しているので、Aから 2160−1800=360m 進んだ地点、つまりAから360mの地点。
2人とも「Aから360m」で一致し、たしかに出会っています。また12分後から36分後までの間に2人がすれちがう場面は他になく、これが2回目の出会いです。よって36分後で一致しました。
類題3(平面図形・相似と面積比)
【問題】 平行四辺形ABCDがあります。辺BC上に点Eを、BE:EC=1:2 となるようにとります。対角線BDと線分AEが交わる点をFとします。
(1) BF:FD を求めなさい。
(2) 三角形ABFの面積は、平行四辺形ABCDの面積の何倍ですか。
【方針】 (1) は相似を使います。平行四辺形では辺BC(したがってBE)と辺ADが平行なので、点Fで交わる2本の直線がつくる三角形FBEと三角形FDAが相似になります。相似比は対応する辺BEとDA(=BC)の比です。(2) は、平行四辺形の対角線BDが面積を半分にすることと、(1)で求めた比を使って、三角形ABDの中で三角形ABFの占める割合を求めます。前問の比を後の面積計算にそのまま生かす流れです。
【解答】 (1) BE∥AD なので、三角形FBEと三角形FDAは相似です(平行線がつくる錯角が等しいため)。相似比は BE:DA。DA=BC で、BE=BC×1/3 だから、BE:DA=1:3。よって対応する辺の比から BF:FD=1:3。
(2) 対角線BDは平行四辺形ABCDを面積の等しい2つの三角形に分けるので、三角形ABDの面積は平行四辺形の 1/2 です。
三角形ABFと三角形ABDは、頂点Aを共有し、底辺をBD上にとると BF:BD=1:4(BF:FD=1:3より)。高さが共通なので、面積比も 1:4。
よって三角形ABFの面積は 三角形ABD×1/4=(平行四辺形×1/2)×1/4=平行四辺形×1/8(倍)。
【別解による検算】 座標を使って確かめます。A(0,0)、B(3,0)、D(1,2)とすると、平行四辺形なので C=B+(D−A)=(4,2)。BE:EC=1:2 より E=B+(1/3)(C−B)=(10/3,2/3)。
直線AEと対角線BDの交点Fを計算するとF(2.5,0.5)となり、BD上でBF:FD=1:3。
三角形ABFの面積は 3×0.5÷2=0.75。平行四辺形ABCDの面積は、辺ABを底辺(長さ3)、高さ2として 3×2=6。0.75÷6=1/8。解答と一致しました。
類題4(立体図形・水量)
【問題】 底面が縦20cm・横30cmの長方形で、高さ40cmの直方体の水そうがあります。この水そうの底に、底面が縦10cm・横30cmの長方形で高さ24cmの直方体のブロックを、水そうのかべにぴったり寄せて置きました。この状態で、空の水そうに毎分1200cm³の割合で水を注ぎます。
(1) 水面の高さがブロックの高さ(24cm)に達するのは、水を注ぎ始めてから何分後ですか。
(2) 水そうが満水(高さ40cm)になるのは、水を注ぎ始めてから何分後ですか。
【方針】 高さ24cmまでは、水はブロックのない部分にしか入れません。そこで「水そうの底面積−ブロックの底面積」=水が入る部分の面積を使って体積を求めます。24cmをこえるとブロックの上まで水がまわり、そこからは水そうの底面全体(20×30)を使えます。段の高さで場合を分けて考えるのがコツです。
【解答】 水そうの底面積は 20×30=600(cm²)、ブロックの底面積は 10×30=300(cm²)。
(1) 高さ24cmまでは、水はブロックのない 600−300=300(cm²)の部分に入ります。その体積は 300×24=7200(cm³)。毎分1200cm³で注ぐので 7200÷1200=6(分後)。
(2) 24cmから満水40cmまでの高さは 40−24=16(cm)。この部分はブロックより上なので、水そうの底面全体600cm²を使えます。体積は 600×16=9600(cm³)で、9600÷1200=8(分)かかります。よって満水になるのは 6+8=14(分後)。
【別解による検算】 満水までに入る水の量を、体積の引き算で一気に求めます。水そう全体の体積は 20×30×40=24000(cm³)、ブロックの体積は 10×30×24=7200(cm³)。水が入るのはその差なので 24000−7200=16800(cm³)。毎分1200cm³だから 16800÷1200=14(分後)。(2)の解答と一致しました。(この16800cm³は、(1)の7200cm³と、24cm以上の9600cm³の和 7200+9600=16800 とも一致します。)
類題5(割合・濃度)
【問題】 容器Aには濃度8%の食塩水が300g、容器Bには濃度3%の食塩水が200g入っています。
(1) AとBの食塩水をすべて混ぜ合わせると、濃度は何%になりますか。
(2) (1)で作った食塩水から水を蒸発させて、濃度10%にします。水を何g蒸発させればよいですか。
【方針】 濃度の問題は「ふくまれる食塩の重さ」を主役にして考えるのが基本です。(1) はA・Bそれぞれの食塩の重さを出して合計し、食塩水全体の重さで割ります。(2) は、水を蒸発させても食塩の重さは変わらないことを使い、濃度10%になるときの食塩水全体の重さから逆算します。(1)で求めた食塩の量を(2)でそのまま使う流れです。
【解答】 (1) 容器Aの食塩は 300×0.08=24(g)、容器Bの食塩は 200×0.03=6(g)。合わせると食塩は 24+6=30(g)、食塩水全体は 300+200=500(g)。濃度は 30÷500=0.06=6%。
(2) 水を蒸発させても食塩30gは変わりません。濃度10%になったときの食塩水全体の重さを□gとすると、□×0.1=30 なので □=30÷0.1=300(g)。蒸発させる水は 500−300=200(g)。
【別解による検算】 (2) の答えを逆向きに確かめます。500gの食塩水から水を200g蒸発させると、残りは 500−200=300(g)。食塩は30gのままなので、濃度は 30÷300=0.1=10%。たしかに条件どおりです。
また(1)は「てんびん(面積図)」でも確かめられます。8%と3%を、量300gと200g(比3:2)で混ぜるので、混ぜた濃度は3%と8%を 2:3 に内分した位置。3+(8−3)×2/5=3+2=6%で一致しました。
学習アドバイス
【時期別】
- 6年生の夏まで:計算力と各分野の標準解法を穴なく仕上げることが最優先です。割合・比・速さ・図形・数の性質・規則性・場合の数を、この時期に一通り正確にしておきましょう。公式の作問方針が示すように、まずは「基本事項の確実な習得」が土台になります。計算は毎日、時間を計って正確さを鍛えます。
- 秋(9〜11月):応用問題への対応力と、50分という時間配分の感覚を養う時期です。過去問は公式サイトで公開されている問題・解答例・正答率や市販の問題集で演習してください。大問では、見慣れない設定を図にかいて「具体化」し、既習の解法に言い換える練習を意識しましょう。誘導形式の大問では、前の小問の結果を次にどう使うかを言葉で確かめながら解く習慣が力になります。
- 直前期(12月〜1月):これまでの問題を反復し、精度と再現性を高める時期です。本記事の【別解による検算】のように、別のルートで自分の答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番での取りこぼしを減らせます。小問集合と大問前半を確実に取り切ることを最優先にしましょう。
【分野別】
- 数の性質・規則性:「何個ずつ並ぶか」「累計はいくつか」を式にして、番号と対象を行き来できるようにしましょう(類題1)。誘導形式で前問の式を後で使う練習にもなります。
- 速さ:旅人算では「速さの和・差」と「2人あわせて進んだ道のりの合計」に注目します(類題2)。線分図やダイヤグラムにかいて状況を整理する習慣を大切にしましょう。
- 平面図形:平行線がつくる相似から線分の比を求め、それを面積比につなげる発想(類題3)は図形問題の強力な武器です。「高さが等しい三角形の面積比=底辺の比」を自在に使えるようにしましょう。
- 立体図形・水量:段やブロックのある水そうは「入る部分の面積」と「体積の引き算」の2つの見方を持つと、検算にも使えて安心です(類題4)。
- 割合・濃度:食塩水の問題は「食塩の重さは変わらない」を軸に考えるのが定石です(類題5)。てんびん(面積図)を併用すると検算にも役立ちます。
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【補講】\(\dfrac18\) の \(8\) は、どこから来たのか
類題3の答えは「平行四辺形の \(\dfrac18\) 倍」でした。\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 1:2\) という条件から、なぜ \(8\) が出るのか。\(2\) つの分数のかけ算に分けると、\(8\) の中身が見えます。そして比を \(1:2\) 以外にしたときの一般の式まで作ります。記事が引いている作問方針の「前の問いで得た情報を後の問いで活用する力」を、そのまま延長した形です。
① \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:3\) になる理由
\(\mathrm{BC}\) と \(\mathrm{AD}\) が平行なので、\(\mathrm{AE}\) と \(\mathrm{BD}\) がつくる三角形 \(\mathrm{FBE}\) と三角形 \(\mathrm{FDA}\) は砂時計の形になり、錯角が等しいので相似です(なぜ平行線では同位角・錯角が等しいのか、なぜ角が等しければ相似になるのか)。
相似比は \(\mathrm{BE}:\mathrm{DA}\)。\(\mathrm{DA} = \mathrm{BC}\)、\(\mathrm{BE} = \mathrm{BC} \times \dfrac13\) なので\(1:3\)。よって \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:3\) です。
大事なのは \(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{EC}\) の比ではなく、\(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{BC}\) の比だということ。\(1:2\) をそのまま \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) に持ちこむのが、いちばん多いまちがいです。
② \(8\) は \(2 \times 4\)
(2)は \(2\) 段階です。
| 段階 | 使う関係 | 割合 |
|---|---|---|
| 平行四辺形 \(\to\) 三角形 \(\mathrm{ABD}\) | 対角線が面積を半分に分ける | \(\dfrac12\) |
| 三角形 \(\mathrm{ABD}\) \(\to\) 三角形 \(\mathrm{ABF}\) | 底辺 \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD} = 1:4\)、高さ共通 | \(\dfrac14\) |
かけて \(\dfrac12 \times \dfrac14 = \dfrac18\)。\(8\) は「対角線の \(2\)」と「底辺の比の \(4\)」のかけ算でした(なぜ底辺と高さが同じ三角形は面積が等しいのか)。
ここで \(4\) は \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:3\) の \(1+3\) です。\(3\) ではありません。「\(1:3\) に分ける」と「全体の \(\frac14\)」を行き来するところが、もう \(1\) つのつまずきどころです。
(1)で出した比が、(2)でそのまま分母になりました。誘導形式の大問は、こうやって前の答えが次の材料になります。(1)を飛ばして(2)だけ解こうとすると、結局 \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) を出し直すことになる。「前の答えをどこで使うか」を先に見当づけると、手が止まりません。
③ 比を変えても、同じ形の式で出る
\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = m:n\) としてやり直します。\(\mathrm{BE}:\mathrm{BC} = m:(m+n)\) なので、①より \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = m:(m+n)\)。すると \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD} = m:(2m+n)\) です。②とあわせて
三角形 \(\mathrm{ABF}\) \(= \dfrac12 \times \dfrac{m}{2m+n} = \dfrac{m}{2(2m+n)}\)(平行四辺形を \(1\) として)
| \(\mathrm{BE}:\mathrm{EC}\) | \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) | \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD}\) | 三角形 \(\mathrm{ABF}\) |
|---|---|---|---|
| \(1:1\) | \(1:2\) | \(1:3\) | \(\frac16\) |
| \(1:2\)(記事) | \(1:3\) | \(1:4\) | \(\frac18\) |
| \(1:3\) | \(1:4\) | \(1:5\) | \(\frac1{10}\) |
| \(2:1\) | \(2:3\) | \(2:5\) | \(\frac15\) |
| \(3:1\) | \(3:4\) | \(3:7\) | \(\frac3{14}\) |
| \(2:3\) | \(2:5\) | \(2:7\) | \(\frac17\) |
座標を置いて \(6\) 通りすべて確かめました。どの行も式の値とぴったり一致します(なぜ文字を使うと「いつでも成り立つ」ことを証明できるのか)。
\(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{B}\) に近い(\(m\) が小さい)ほど三角形 \(\mathrm{ABF}\) は小さくなり、\(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{C}\) に近づくと大きくなります。\(\mathrm{E}\) がちょうど \(\mathrm{C}\) に重なると \(\mathrm{AE}\) は対角線 \(\mathrm{AC}\) になり、\(\mathrm{F}\) は \(2\) 本の対角線の交点。このとき \(\dfrac{m}{2(2m+n)}\) に \(n=0\) を入れると \(\dfrac14\) で、平行四辺形が \(4\) 等分されるという知っている事実と合います。
④ \(4\) つに分けて、合計が \(1\) にもどるか
\(\mathrm{AE}\) と \(\mathrm{BD}\) を引くと、平行四辺形は \(4\) つに分かれます。記事の \(1:2\) のとき、全部の面積を出して合計を確かめます。平行四辺形を \(24\) として書きます(\(8\) と \(24\) の両方で割り切れるように)。
| 部分 | 出し方 | 面積(全体 \(=24\)) | 分数 |
|---|---|---|---|
| 三角形 \(\mathrm{ABF}\) | ②より \(\frac18\) | \(3\) | \(\frac18\) |
| 三角形 \(\mathrm{BFE}\) | 三角形 \(\mathrm{ABE}\) から \(\mathrm{ABF}\) を引く | \(1\) | \(\frac1{24}\) |
| 三角形 \(\mathrm{AFD}\) | 三角形 \(\mathrm{ABD}\ (=12)\) から \(\mathrm{ABF}\) を引く | \(9\) | \(\frac38\) |
| 四角形 \(\mathrm{FECD}\) | 残り | \(11\) | \(\frac{11}{24}\) |
| 合計 | \(24\) | \(1\) |
三角形 \(\mathrm{ABE}\) は、底辺 \(\mathrm{BE}\) が \(\mathrm{BC}\) の \(\frac13\)、高さは平行四辺形と共通なので \(\frac13 \times \frac12 = \frac16\)、つまり \(4\)。そこから \(\mathrm{ABF}\) の \(3\) を引いて \(\mathrm{BFE}\) は \(1\)。いちばん小さい部分が、全体の \(\frac1{24}\) しかありません。
合計が \(24\) にもどるかを見るのが、この型の検算です。座標を置いて \(4\) つを直接計算しても \(3:1:9:11\) になりました。\(1\) つでも比を取りちがえると合計が \(24\) からずれるので、足すだけで全部まとめて確かめられます(検算のしかた7つ|答えを出したあと30秒で間違いを見つける技術)。
⑤ 答えから比を逆にさがす
③の式は、逆向きにも使えます。たとえば「三角形 \(\mathrm{ABF}\) が平行四辺形の \(\dfrac17\) になるのは、\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC}\) がいくつのときか」。
\(\dfrac{m}{2(2m+n)} = \dfrac17\) より \(7m = 4m + 2n\)、\(3m = 2n\)、\(m:n = 2:3\)
③の表のいちばん下の行と一致します。「答えが \(\frac17\)」から比を \(1\) つに決められるのは、式が \(m\) と \(n\) の比だけで決まっているからです(なぜ比は同じ数を掛けても変わらないのか)。\(m:n = 4:6\) や \(6:9\) でも同じ \(\frac17\) になります。
ただしどんな分数でも作れるわけではありません。\(m\) と \(n\) は \(0\) 以上なので、\(\dfrac{m}{2(2m+n)}\) が取れるのは \(0\) より大きく \(\dfrac14\) 以下の範囲だけ。\(n=0\)(\(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{C}\))で最大の \(\dfrac14\)、\(m\) を \(0\) に近づけると \(0\) に近づきます。「\(\frac13\) になる比は?」と聞かれたら、「そのような点 \(\mathrm{E}\) は辺 \(\mathrm{BC}\) 上にない」が答えです。
平行四辺形の面積が「底辺 \(\times\) 高さ」で表せること(なぜ平行四辺形の面積は底辺×高さなのか)と、「高さが同じなら面積比は底辺の比」の \(2\) つだけで、ここまで全部が出ました。相似比の \(2\) 乗(面積比)は、この問題では一度も使っていません(なぜ相似比を2乗すると面積比、3乗すると体積比になるのか)。相似は線分の比を出すためだけに使い、面積は底辺の比でつなぐ——この役割分担を意識すると、図形の応用が整理されます。
数強塾オリジナル類題(4問)
すべて当塾で作成し、答えは③の式と、座標を置いて \(4\) つの部分を直接計算する方法の両方で照合してあります。図はどれも記事と同じ形(\(\mathrm{E}\) は辺 \(\mathrm{BC}\) 上、\(\mathrm{F}\) は \(\mathrm{AE}\) と対角線 \(\mathrm{BD}\) の交点)です。
類題1 \(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{BC}\) の中点
平行四辺形 \(\mathrm{ABCD}\) の辺 \(\mathrm{BC}\) の中点を \(\mathrm{E}\) とします。(1) \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) を求めなさい。(2) 三角形 \(\mathrm{ABF}\) は平行四辺形の何倍ですか。(3) 平行四辺形の面積が \(48\;\mathrm{cm}^2\) のとき、三角形 \(\mathrm{ABF}\) の面積を求めなさい。
答え
(1) \(\mathrm{BE}:\mathrm{BC} = 1:2\) なので \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:2\)。(2) \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD} = 1:3\) なので \(\dfrac12 \times \dfrac13 = \mathbf{\dfrac16}\) 倍。(3) \(48 \times \dfrac16 = \mathbf{8}\;\mathrm{cm}^2\)。
(1)で \(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 1:1\) を \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) にそのまま持ちこまないのが要点です。相似比は \(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{AD}\)(\(=\mathrm{BC}\))の比なので \(1:2\)。③の式でも \(m=n=1\) として \(\dfrac{1}{2 \times 3} = \dfrac16\) で一致します。
類題2 \(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 2:1\)
\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 2:1\) のとき。(1) \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) を求めなさい。(2) 三角形 \(\mathrm{ABF}\) は平行四辺形の何倍ですか。(3) \(4\) つの部分の面積の比を求めなさい(三角形 \(\mathrm{ABF}\)、三角形 \(\mathrm{BFE}\)、三角形 \(\mathrm{AFD}\)、四角形 \(\mathrm{FECD}\))。
答え
(1) \(\mathrm{BE}:\mathrm{BC} = 2:3\) なので \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 2:3\)。(2) \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD} = 2:5\) より \(\dfrac12 \times \dfrac25 = \mathbf{\dfrac15}\) 倍。(3) 全体を \(30\) とすると、\(\mathrm{ABF} = 6\)、三角形 \(\mathrm{ABE} = \dfrac23 \times \dfrac12 \times 30 = 10\) なので \(\mathrm{BFE} = 10-6 = 4\)、\(\mathrm{AFD} = 15-6 = 9\)、残りが \(30-6-4-9 = 11\)。\(6:4:9:11\)。
合計は \(6+4+9+11 = 30\) で全体にもどります。記事の \(1:2\) のときは \(3:1:9:11\)(全体 \(24\))でした。\(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{C}\) 寄りになると、三角形 \(\mathrm{ABF}\) と \(\mathrm{BFE}\) が大きくなります。
類題3 \(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 1:3\)
\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = 1:3\) で、平行四辺形の面積が \(40\;\mathrm{cm}^2\) です。(1) \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) を求めなさい。(2) 三角形 \(\mathrm{ABF}\) の面積を求めなさい。(3) 三角形 \(\mathrm{AFD}\) の面積を求めなさい。
答え
(1) \(\mathrm{BE}:\mathrm{BC} = 1:4\) なので \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:4\)。(2) \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD} = 1:5\) より \(\dfrac12 \times \dfrac15 = \dfrac1{10}\)。\(40 \times \dfrac1{10} = \mathbf{4}\;\mathrm{cm}^2\)。(3) 三角形 \(\mathrm{ABD}\) は \(40 \div 2 = 20\;\mathrm{cm}^2\)。ここから \(\mathrm{ABF}\) を引いて \(20-4 = \mathbf{16}\;\mathrm{cm}^2\)。
(3)は \(\mathrm{BF}:\mathrm{FD} = 1:4\) から直接 \(20 \times \dfrac45 = 16\) でも出ます。\(2\) 通りで同じになるのが確認になります。記事(\(1:2\))では \(\mathrm{ABF}\) が \(\frac18\) でしたが、ここは \(\frac1{10}\) と小さい。\(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{B}\) に近づくほど、\(\mathrm{F}\) も \(\mathrm{B}\) に寄るからです。
類題4 答えから比をさがす
(1) 三角形 \(\mathrm{ABF}\) が平行四辺形の \(\dfrac17\) になるのは、\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC}\) がいくつのときですか。(2) \(\dfrac1{12}\) になるのはいつですか。(3) \(\dfrac13\) になる点 \(\mathrm{E}\) はありますか。
答え
(1) \(\dfrac{m}{2(2m+n)} = \dfrac17\) より \(7m = 4m+2n\)、\(3m = 2n\)、\(m:n = 2:3\)。(2) \(12m = 4m+2n\) より \(8m = 2n\)、\(m:n = 1:4\)。(3) \(3m = 4m+2n\) より \(-m = 2n\) となり、\(m\) と \(n\) がどちらも \(0\) 以上では成り立ちません。そのような \(\mathrm{E}\) はありません。
(3)の理由は⑤のとおりです。\(\dfrac{m}{2(2m+n)}\) は \(n=0\) のとき最大で \(\dfrac14\)。\(\dfrac13\) は \(\dfrac14\) より大きいので、届きません。(1)(2)を検算すると、\(2:3\) では \(\dfrac{2}{2 \times 7} = \dfrac17\) ○、\(1:4\) では \(\dfrac{1}{2 \times 6} = \dfrac1{12}\) ○。逆算したら、必ず元の式に入れて確かめます。
\(4\) 問に共通するのは、相似で「線分の比」を出し、底辺の比で「面積」につなぐという \(2\) 段構えです。注意点は \(2\) つだけ。相似比は \(\mathrm{BE}:\mathrm{BC}\)(\(\mathrm{BE}:\mathrm{EC}\) ではない)、面積の割合は \(\mathrm{BF}:\mathrm{BD}\)(\(\mathrm{BF}:\mathrm{FD}\) ではない)。この \(2\) か所で「部分どうしの比」と「部分と全体の比」を取りちがえなければ、答えはずれません。
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