藤原進之介です。このページでは北里大学2003年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
- 問1
数学 問題
📑 この年度の大問インデックス(全3問)
解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。
北里大学 医学部 2003年度 数学の傾向と解答・解説【数強塾オリジナル】
出題形式と傾向:この年度(平成15年度・医学部医学科選抜入学試験)は大問3題構成のようです。第1問は空所補充(マーク)型の小問集合で、(1)放物線と2軸で囲む図形の面積・軸まわりの回転体の体積、(2)楕円の弦の中点の座標と の値域、(3)複素数平面上の直線と原点中心の円の接点・その接点を解にもつ2次方程式、(4)3×3のますに黒石・白石を並べる場合の数、と分野を横断しています。第2問は の置き換えで4次関数の最大最小に帰着させる三角関数の記述問題、第3問は を満たす2次正方行列の性質(逆行列・トレース・成分決定)を問う記述問題です。問題冒頭に「【2】【3】は、解答の過程を必ず記すこと」と明記され、第2問・第3問が記述式である点が特徴といえそうです。
合否を分ける点:第1問は分量が多く、積分・2次曲線・複素数平面・場合の数という別分野を、途切れずに正確な値へ落とし込む処理力が問われているように見えます。第2問は「 とおくと が使えて、 が だけの4次関数になる」という一本道、第3問は「 が逆行列をもつと になってしまう」という背理法と、ケーリー・ハミルトンの定理から得られる の活用が中心になります。難問を1つ解く力より、これらの基本手筋を記述で説明しきる再現性が合格ラインに直結すると考えられます。
※以下の解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(全問、正攻法と数値代入による二重検算済み)。問題原文は上記の大学発表PDFをご参照ください。
第1問(小問集合:面積と回転体/楕円の弦の中点/複素数平面/場合の数) 答:(ア) |(イ) |(ウ) |(エ) |(オ) |(カ) |(キ) |(ク) |(ケ) |(コ) |(サ) |(シ)
【📖大切な定義】面積は「上の関数−下の関数」を区間で積分、軸まわりの回転体は「バウムクーヘン(シェル)法 」か「輪切り(ディスク)法 」で求めます。楕円の弦の中点は「直線と楕円を連立してできる2次方程式の解と係数の関係」で一気に出せます。複素数平面の直線 (実数 )は、 を代入すれば の1次式になります。実数係数の2次方程式が虚数解 をもてば、共役 ももう1つの解です。
【👀ここに注目】(1) は が 軸に接する(頂点が 軸上)ことに気づくと図形がはっきりします。(2) は連立2次方程式の「2解の和」を で割れば中点の 座標になり、 の値域は「 を の方程式とみて実数解をもつ条件(判別式)」で決めます。(3)(カ) は共役の項が「もとの式の共役」になることを使えば の形にまとまり、(キ) は「原点から直線への垂線の足=接点」です。(4) は黒石・白石が同色内では区別できないことに注意し、(iii) は「各行・各列に黒白がそろう」→「各行・各列に黒1・白1・空1がちょうど1つずつ」と読み替えるのが急所です。
方針・解答(1): は頂点 で 軸に接し、 で を通ります。図形 は で曲線・軸・軸に囲まれた部分なので、面積は
軸まわりの回転体はシェル法で、 の各 における高さが だから
方針・解答(2):点 を通る傾き の直線 を楕円 に代入すると
2つの共有点の 座標を とすると解と係数の関係より 。中点の 座標は
(点 は楕円の内部 なので、どの傾き でも直線は楕円と2点で交わり、判別式 からも常に2交点をもつことが確認できます。) の値域は、 を についての方程式 とみて実数 が存在する条件から求めます。 は で実現。 のときは判別式 、すなわち 。よって求める範囲は
方針・解答(3):(は実数)を に代入します。 は の共役なので、左辺は 。ここで だから 、よって 、すなわち直線 。 について解くと
原点中心の円が に接するときの接点 は、原点から に下ろした垂線の足です。 の法線方向は なので接点を とおくと 、。ゆえに接点は 、複素数で ((キ))。この を解にもつ実数係数の2次方程式 では、もう1つの解が共役 なので、解と係数の関係より
方針・解答(4):9個のますから黒石を置く3ますを選び、残り6ますから白石を置く3ますを選べばよいので
(同色の石どうしは区別しないため、単なる組合せの積になります。)(ii) 黒石が縦または横の1列にそろう場合は、その「列」が縦3・横3の合計6通り。黒石の位置が決まった後、白石3個を残り6ますに置く方法が 通り。黒3個で1列はちょうど1本に定まり重複しないので
(iii) 「縦のどの列にも黒石と白石」「横のどの列にも黒石と白石」がある条件を考えます。黒石は3個で3列すべてに1個以上必要だから各列に黒ちょうど1個、同様に各行にも黒ちょうど1個。つまり黒石は各行・各列に1個ずつの「順列型」配置で 通り。白石も同じ理由で各行・各列に1個ずつ。黒と白は同じますに置けないので、白の配置は黒と全ての行で列がずれる(同じ位置を避ける)必要があり、これは黒配置に対する「かく乱順列」で 文字なら 通り。よって
【✅検算】(1) 回転体を輪切り法で再計算すると、高さ での半径は なので となり(イ)と一致します。(2) では直線は 軸で交点 、中点 となり に合致。 では と上端に達し、値域の端 が実際にとれることも確認できます。(3) 接点 は直線 を満たし、原点との距離 は点と直線の距離 に一致。 の判別式 で虚数解をもつことも整合します。(4)(i) は と別式でも一致。(iii) は黒を対角 に固定すると、白が同位置を避ける配置は の2通り、黒6通り分で と数え上げでも合います。
【💡ポイントコラム】軸回転は「シェル」と「ディスク」で二度検算:(1)(イ) では、軸まわりの回転体をバウムクーヘン で求めましたが、同じ体積は輪切り でも計算できます。2通りの見方が同じ値になれば、積分区間や被積分関数の取り違えをほぼ確実に排除できます。回転軸が 軸のときは「 で積むならシェル、 で積むならディスク」と、両方を候補に持っておくと安全といえそうです。
【💡ポイントコラム】弦の中点は「解と係数の関係」で一発:(2) では2交点をわざわざ求めず、連立2次方程式の「2解の和」だけから中点 を出しました。 は直線の式に を戻すだけです。さらに値域は「 を の方程式とみて実数解の存在条件」を判別式で書き下すのが定石で、増減を調べるより速く確実です。中点の軌跡・弦の長さ・傾きの範囲は、いずれも「解と係数の関係」から機械的に処理できると考えておくと見通しが立ちます。
【💡ポイントコラム】場合の数は「必要条件で各行・各列を1個ずつに固定」:(4)(iii) の急所は、「3個の石で3列すべてを覆う」なら各列ちょうど1個、という数え上げの必要条件でした。行についても同じ議論が効き、黒・白ともに各行・各列に1個ずつ=順列型に固定されます。あとは黒と白が衝突しない配置=かく乱順列を数えるだけです。「合計数と列(行)数が等しい」ときは、まず各列(行)を均等割りに固定できないか疑うのが有効な一手といえそうです。
第2問(三角関数:置き換え による4次関数の最大最小) 答:(1) |(2) |(3) |(4) 最大値 ( 等), 最小値 ( 等)
【📖大切な定義】 は合成すると なので、 の変域は 。両辺2乗すると が得られ、 という重要な関係が使えます。さらに なので、 も の3次式に化けます。
【👀ここに注目】(2) は に を代入するのが最短です。(3) は各項をすべて で書き換え、(4) は得られた4次関数を で微分し、 が因数分解できることに注目します。定義域が閉区間なので、極値だけでなく両端 の値も必ず比較するのがポイントです。
方針・解答(1):。 の値域は なので
方針・解答(2): より 。したがって
方針・解答(3): なので 、ゆえに 。また 。以上と(2)を合わせて
方針・解答(4):()を微分すると
区間内の増減は、 で (減少)、 で (増加)、 で (減少)。よって候補は端点 と極値点 の4つ。それぞれ代入すると
数値では 。したがって最大値は で 、最小値は で 。
【✅検算】(2) のとき 、公式 と一致。 では 、公式 も合致します。(4) 最大値は を与える を原式に直接代入して確認します。。最小値は を与える で 。いずれも 式の値と一致します。
【💡ポイントコラム】 と は「1つの で束ねる」:この問題の骨格は、 と2乗の関係 だけです。これで がすべて の多項式に化け、三角関数の問題が「1変数の多項式関数の最大最小」に姿を変えます。「和と積が同時に出てきたら和を とおく」は対称式でおなじみの発想で、三角関数でも強力に働くといえそうです。
【💡ポイントコラム】置き換えたら「新しい変数の変域」を必ず添える: に置き換えたとき、 が動ける範囲は に限られます。もしこの制約を忘れて の解だけで最大最小を決めると、区間外の値を拾ったり端点の比較を落としたりしがちです。閉区間上の連続関数は必ず最大・最小をもつので、極値点と両端をすべて並べて数値で見比べるのが、取りこぼしのない安全な進め方といえます。
第3問(行列: を満たす2次正方行列) 答:(1) は逆行列をもたない(背理法)|(2) |(3) または
【📖大切な定義】2次正方行列 についてケーリー・ハミルトンの定理 が成り立ちます。 が逆行列をもつ(=正則)とは のこと。逆に なら は逆行列をもちません。 はトレース(対角成分の和)で、以下では と書きます。
【👀ここに注目】(1) は「もし逆行列をもてば」と仮定して矛盾を導く背理法が最短です。(2) は(1)で が確定するので、ケーリー・ハミルトンが と簡単になり、これを に代入してトレースの方程式を作ります。(3) は与えられたベクトル条件から成分の関係を出し、 と(2)の結果で を絞り込みます。
方針・解答(1):もし が逆行列 をもつと仮定します。すると の両辺に を掛けて 、すなわち 。これは条件 に反します。したがって は逆行列をもたず、 です。
方針・解答(2):(1)より 。ケーリー・ハミルトンの定理 は となります。両辺に を掛けると 。条件 は 、すなわち 、。 のときは より または 。 のときも (このとき で条件を満たし、 も成立)。以上より
方針・解答(3): より 、すなわち 。このとき
(1)より なので 、したがって 、。(2)より だから または 。
・ のとき 、。
・ のとき 、。
いずれも 、、 を満たします。求める行列は または 。
【✅検算】(2) 具体例で確認します。 は なので 、トレース 。 は なので 、トレース 。どちらも に含まれ、 の両方が実現することがわかります。(3) 2つの解を条件に戻すと、前者は 、後者は となり、いずれも与式を満たします。さらに の関係から、 だと逆行列をもってしまい(1)に反することも確認できます。
【💡ポイントコラム】「逆行列をもつと 」型の背理法:(1) の証明は、()タイプの関係で頻出の型です。正則と仮定して両辺に を掛ければ 、さらに絞ると に落ちて前提と矛盾します。ここから が確定し、ケーリー・ハミルトンが と一段軽くなるのが最大の恩恵です。「 という但し書きは、たいてい を導くための伏線」と読むと方針が立てやすくなります。
【💡ポイントコラム】 のときトレースが行列の性格を決める: のもとでは となり、 は なら「べき等(射影)」、 なら「べき零 」という2つの型に分かれます。この問題の答え は、まさにこの2型に対応しています。特別な条件を満たす2次行列を扱うときは、まず とトレースの2つの不変量に注目し、ケーリー・ハミルトンで累乗を1次式に落とすのが定石といえそうです。
この年から学ぶ教訓:2003年度の北里医学部は、第1問で積分・回転体・楕円の弦の中点・複素数平面・場合の数を横断する処理力を、第2問で「 の置き換えによる4次関数の最大最小」を、第3問で「 から ・トレースを絞る」流れを記述で問う構成でした。共通して効いていたのは、(1)回転体はシェルとディスクの二通りで検算する、(2)弦の中点は解と係数の関係で一気に出す、(3)複素数の直線は にまとめ、接点は垂線の足でとらえる、(4)場合の数は必要条件で各行・各列を1個ずつに固定する、(5)和と積は1つの変数に束ね、置き換え後の変域を必ず添える、(6) の但し書きから を引き出しケーリー・ハミルトンで累乗を下げる、という発想です。難問を1つ解く力よりも、これらの基本手筋を過不足なく記述しきる再現性が、合格ラインに直結すると考えられます。
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掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(一般的な解答例と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
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北里大学 2003年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析
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分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。
問題文の文字起こし
問1画像OCR
検出分野: 図形・三角関数、関数・グラフ、整数、微分・積分、複素数
この線より上には解答を書かないこと。
【 1 】 次の| ” |にあてはまる答を下の解答欄に記せ。
(1) 放物線 =サー4y+4 と直幸で囲まれる図形をのとする。のの面積は | (ア) | のをヵ軸のまわりに1回転してできる回転人
の体積は | (4) |である。
(2) 点 (1,0) を通り傾き の直線と本円 **+ 4y? =4 の2つの共有点の中点を M(X,Y) とおく。ア,Yを太を用いて表すと
x-[@)], Y- CHS. カ が実数全体を動くときぎのとり得る値の範囲は | (オ) | である。
(3) 複素数平面上で 方程式 (1-20z+(1+2)-20 の表す直線を?とする。点 ヶ=*+7) (x+,了は実数) が/上にあるとき, をャで表せ
y= CHS. 原点を中心とする円が直線と点とで接しているならば。 なの表す複素数は。 c = CBS. EI,
このとき 2 次方程式 x**+ px+9=0 (pg9は実数) がcを 1つの解としてもつならば, p= だ である。
(4) 縦列, 横8列, 合計 9つのますの中に黒石 3 つ, 自石 3 つ, 計 6 つの石を置く。1 つのますの
中には。 石は 1 つしか置けない (右図参照)。 IOl@| |
(i) 6つの石の置き方は全部で | (コ) | 通りある。
(ii) RADRR LO 1 列に普場合の総数は | GD | でぁる。 |@|O| |
(iii) 縦のどの列にも黒石と自石が思いてあり, かつ横のどの列にも黒石と自石が置いてある場合の | [@jo|
総数は である。
【 2 】 関数 79 = AV2 (sin x + 008) + cos? 2x- 7 sin® (e+ 2) について次の問に答えよ。
(1) = sinx+cosr とおいたとき, 7 のとり得る値の範囲を求めよ。
Bo
(2) cos?2x を t を用いて表せ。
Me
(3) f@) を t を用いて表せ。
Pe,
(4) (で) の最大値。 最小値を求めよ。
答 最大値 : 3 最小値:
b
(3) 行列 a-(? | は AS =A? を満たし, PO ALE とする。ただし, E は単位行列を表す。
(1) 4 は逆行列をもたないことを示せ。
(2) 4+ の値をすべて求めよ。
a
(3) A がさらに 4介-( を満たすとき, A を求めよ。
Bo

