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【ブリティッシュスクールジャカルタの数学対策】海外インター校生を日本の中学数学でオンライン指導した事例

数強塾グループの一流講師陣 一流のライブ授業×最高品質の映像授業×サボれないコーチング

「海外のインターナショナルスクールに通っているけれど、日本の数学は大丈夫だろうか」。この不安は、駐在や移住でお子さまを海外で育てておられるご家庭に、とても多く共有されているものだと感じています。

今回ご紹介するのは、インドネシアのブリティッシュスクールジャカルタに在籍し、海外で暮らしていた青木結衣さん(仮名)の事例です。時差・停電・度重なる転居という、オンラインならではの難しさを抱えながら、約2年にわたって学習を継続されました。

プライバシーに関する注意書き

本記事に登場する生徒名および保護者名は、プライバシー保護のため仮名に変更しています。学校名、使用した学習内容、指導の経過などは、実際の指導記録および保護者様から共有された情報をもとに構成しています。個人を特定し得る連絡先、Zoom情報、決済情報、詳細な生活情報は一切掲載していません。

また、本事例の生徒さんはご家庭の事情により海外での転居を複数回経験されています。学校名や転居に関する事情を細かく組み合わせると個人が特定される恐れがあるため、教育上の本筋を損なわない範囲で、一部の個人的な事情は表現を調整しています。掲載している会話は、実際の記録の趣旨を変えない範囲で、読みやすさと個人情報保護のため表現を整えています。

なお、本記事は一人の生徒の事例であり、すべての生徒に同様の期間・成果・合格結果を保証するものではありません。

1.ご相談の出発点は「点数」ではなかった

結衣さんが数強塾で学び始めたのは、日本でいう「新中2」に上がる直前でした。ご相談の出発点は、実は「テストで高得点を取りたい」ではありませんでした。お母様が最初に挙げられたご希望は、次のようなものでした。

【保護者様より】

「学習習慣をつけたいです。学習習慣と合わせて、まずは日本の中学校の学年相当の数学の力をつけてもらいたいです」

インターナショナルスクールでは、日本の中学校のような「教科書」や「学校ワーク」が手元にない場合が少なくありません。結衣さんの学校もIB(国際バカロレア)系のプログラムで、日本式の固定教材はありませんでした。授業は英語で進み、扱う順序も日本の教科書とは異なります。そうした環境で、日本の中学数学を体系立てて積み上げていくには、学校の進度をなぞるのではなく、一人ひとりに合わせて設計し直す必要があります

結論から申し上げると、結衣さんは約2年にわたり学習を継続し、その過程で学校の課題で初めての最高点を取り、転校先(IGCSEを導入する学校)の入学審査にも合格しました。ただし、この2年間は決して平坦ではありませんでした。宿題が出せない時期もありましたし、「早くから始めればよかった」と本人が悔しさをにじませた場面もありました。この記事では、成果だけでなく、そこに至るまでの過程を、できるだけ正直にお伝えします。

約2年間の指導経過受講開始から、模試と学校評価の時期、学校課題で初の最高点とIGCSE校合格、全寮制への転居による休学、長期休みでの再開まで、休みを挟みながら学習が継続した経過。約2年間の経過 ― 一直線ではなかった受講開始新中2の直前週2回でスタート夏〜秋模試・学校評価「早く始めればよかった」翌春学校課題で初の最高点IGCSE校の審査に合格夏〜転居・全寮制へいったん休学長期休みに週1回で再開学びは一直線でなくてよい。生活が変わっても、また戻ってこられる場所があること。それも、オンライン指導の大切な価値だと考えています。

図1:約2年間の経過。受講開始から最高点・合格を経て、全寮制への転居でいったん休学し、長期休みに再開しました。一直線ではありませんでした。

数強塾は、点数だけで生徒を評価する塾ではありません。恐怖で縛る指導も行いません。純粋な「わかった」という気持ちを大切にし、生徒が自分から机に向かえるようになることを、遠回りに見えても最優先にしています。オンライン指導であっても、「楽しいから続けられる」状態をつくることが、長い目で見て学力を支えると考えています。

2.生徒プロフィール

項目 内容
仮名 青木結衣さん(仮名)
学校 ブリティッシュスクールジャカルタ(インドネシア在住)
学校区分 海外インターナショナルスクール(IB/MYP系プログラム、のちにIGCSE校へ転校)
学年 受講開始時:新中2(日本の学年相当)/その後、中3へ進級
入塾時期 体験授業を経て、2024年2月ごろ受講開始
受講形式 完全オンラインのマンツーマン指導(Zoom)
受講回数 週2回で開始し、のちに週3回(火・木・土)中心。長期休みの集中受講も実施
使用教材 学校固定の教科書はなし。担当講師が用意した日本の中学数学教材(一次関数・連立方程式・平面図形・空間図形・多項式ほか)、模擬試験、のちにIGCSEに必要な高校数学の基礎範囲
入塾前の課題 学習習慣が定着していない/日本の中学数学を体系的に学ぶ機会がない
指導目標 学習習慣の定着と、日本の中学校の学年相当の数学力をつけること
指導期間 2024年2月ごろ〜(休学期間を挟みつつ)2026年1月現在も長期休みに継続
主な成果 学習習慣の定着/日本の中学数学(中3範囲まで)の積み上げ/学校課題で初めての最高点/転校先(IGCSE校)の入学審査に合格/転居・寮生活を挟んでも学習を継続

情報が確認できない項目については、推測で埋めず記載していません。数値の大きな上昇を示す定期テストの点数などは、記録上に明確な形で残っていないため、本記事では扱っていません。

3.指導開始前の状況 ―― 海外校ならではの3つの難しさ

難しさ① 「教科書」と「学校ワーク」が手元にない

結衣さんの学校はIB系のプログラムで、扱う内容や順序が日本の教科書と一致しません。お母様は率直に、次のように共有してくださいました。

【保護者様より】

「学校ではIBプログラムを受けており、教科書のような教材は手元にはありません。学校の授業内容がわからないときは、その都度、先生にお伝えして解説していただきたいです。基本的には日本の中2の内容を教えていただきたいです」

難しさ② 「体系立てて」学ぶ機会が持ちにくい

単発で分からないところを聞くことはできても、一次関数から連立方程式、平面図形、空間図形へと、順序立てて積み上げていく学びは、意識して設計しなければ手に入りません

難しさ③ 生活リズムが変動しやすい

海外での生活は、旅行や学校行事、家庭の予定などで生活リズムが変動しやすく、家庭学習の時間を毎日一定に確保することが簡単ではありません。お母様のご希望が「まず学習習慣を」というものだったのは、この現実を踏まえてのことでした。

結衣さんは、数学が「まったくできない」という状態ではありませんでした。むしろ、後述するように図形分野では手を動かして粘り強く計算できる場面が多く見られました。一方で、日本の中学数学の基礎的な計算処理——たとえば分数を含む計算や、多項式の計算、途中式に符号を正しくつけること——には、つまずきが残っていました。「解ける単元」と「手が止まる単元」の差がはっきりしていたのです。この差を丁寧に見取ることが、指導の出発点になりました。

4.【解説】海外インター校のカリキュラムと、日本の学年の対応

ここで、ご相談の多い部分を整理しておきます。海外のインターナショナルスクールでよく使われるプログラムと、日本の学年のおおよその対応は次のとおりです。

プログラム おおよその対象年齢 日本の学年の目安 数学の特徴
IB MYP(中等教育プログラム) 11〜16歳(5年間) 中1〜高1相当 単元を横断する探究型。日本の教科書のような直線的な順序ではない
IGCSE 14〜16歳(2年間) 中3〜高1相当 外部試験に向けたシラバス型。範囲が明確で、日本の中学〜高1範囲と重なりが大きい
IB DP(ディプロマ) 16〜19歳(2年間) 高2〜高3相当 AA/AI × HL/SL の4区分。日本の数学II・B・III と重なる部分が多い
A Level 16〜18歳(2年間) 高2〜高3相当 科目を絞って深く学ぶ。数学は日本の理系範囲に近い

【重要】この対応はあくまで目安です。学校ごとに開始学年や進度が異なり、同じ「MYP Year 3」でも扱う内容は学校によって差があります。本記事の指導も、制度の一般論ではなく、実際に生徒が持ち込んだ課題に合わせて行いました。進学・編入をご検討の際は、必ず在籍校および進学先の公表資料をご確認ください。

MYPからIGCSEへの移行が「壁」になる理由

結衣さんが直面したのが、まさにこの移行でした。MYPは探究型で単元を横断的に扱うのに対し、IGCSEは外部試験のシラバスに沿った直線的なカリキュラムです。同じ年齢でも「どこまで習っているか」の前提が揃わないため、転入時に学力審査が入ることがあります。

このとき効いたのが、日本の中学数学を体系立てて積み上げてきたことでした。日本の中学数学は一次関数・連立方程式・図形・多項式と、順序が明確に設計されています。この「日本式の背骨」が、結果としてIGCSEのシラバスに接続する土台になりました。

5.体験授業

数強塾の体験授業は、完全マンツーマンで行います。ノートと筆記用具さえあれば受講でき、授業内容はすべて講師が板書します。板書はスクリーンショットで保存するため、生徒はきれいに写し取ることに気を取られず、「理解する」ことだけに集中できます。カメラは、生徒の反応(表情や手元)が見えるように調整をお願いしています。これは恐怖で縛るためではなく、生徒の「わかった」「わからない」という小さなサインを講師が読み取り、指導をその場で微調整するためです。

結衣さんの体験授業では、日本の中2内容の入り口を扱いました。特別な単元指定はなかったため、学年の最初から順に確認していく方針としました。担当となったのは、女性講師の湯川先生です。湯川先生はスペイン在住で、日本・インドネシア・スペインという三つの時間帯をまたいで授業を組む必要がありましたが、この「距離を感じさせない」オンラインの機動力こそ、海外事例で最も力を発揮する強みでもあります。

日本・インドネシア・スペインの時差日本時間20時は、ジャカルタでは18時、スペインでは冬12時・夏13時にあたる。生徒と講師の双方が毎週続けられる時間帯を最初に決めることが海外指導の要になる。3つの時間帯をまたいで授業を組む同じ「日本時間 20:00」が、それぞれの土地では何時か生徒インドネシア・ジャカルタWIB(UTC+9 の 2時間前)18:00基準日本JST(UTC+9)20:00講師スペインCET/CEST(冬 8時間前・夏 7時間前)12:00/13:00生徒の就寝時刻と講師の生活時間の両方が成り立つ窓は、意外と狭い。だから海外指導では「何時なら毎週続けられるか」を最初に決める。

図2:日本時間20時は、ジャカルタでは18時、スペインでは冬12時・夏13時。生徒の就寝時刻と講師の生活時間の両方が成り立つ窓は、意外と狭いのです。だから海外指導では「何時なら毎週続けられるか」を最初に決めます。

体験授業の日程調整の段階から、やり取りには温かさがありました。お母様が「娘はIBプログラムでスペイン語を選択しています」と伝えると、湯川先生は「スペイン語仲間ですね」と応じ、初回から緊張をほぐす関係づくりが始まっていました。数強塾が大切にしているのは、まさにこうした空気です。オンラインだからこそ、「楽しみにしています」と素直に言い合える関係が、その後の継続を支えます。

6.指導方針

体験授業を経て、次の方針を立てました。

① 週2回で学習頻度を確保し、まず机に向かう回数を増やす。学習習慣づくりが第一目標だったため、内容の難易度よりも「定期的に数学に触れる」ことを優先しました。のちに週3回(火・木・土)へ増やしています。

② 学校の固定教材がないぶん、日本の中学数学教材を講師側で用意し、順序立てて進める。IB系のカリキュラムで扱いにくい「日本式の体系」を、こちらで補います。

③ 授業後に個別課題(宿題)を出し、写真で提出してもらう。提出された答案は講師が確認し、必要に応じて途中式や記述を添削します。量は本人の状況に応じて調整し、固定しません。

④ 「答えが合っているか」だけでなく、「途中式が正しく書けているか」を重視する。途中式に符号(プラス・マイナス)を正しくつける、といった基礎を丁寧に見ます。

⑤ 学校で必要になったこと(模試や学校課題)が出てきたら、その都度優先して対応する。海外校では日本のような定期テストの形が読みにくいため、実際に持ち込まれた課題に柔軟に合わせました。

数強塾は完全マンツーマンです。だからこそ、目標や状況が変わったときに、方針そのものを変更できます。結衣さんの2年間は、この「変更できる強み」が繰り返し生きた歩みでした。

7.指導の具体的な過程

第1段階:日本の中学数学を「体系」として置き直す

最初に取り組んだのは、学校では順序立てて学びにくい日本の中学数学を、一次関数から順に積み上げ直すことでした。一次関数、連立方程式、平面図形(角度・図形の性質)、空間図形(円柱の側面積・体積)など、単元を行き来しながら基礎を固めていきました。

第2段階:計算のつまずきを一つずつ外す

学習を進めるなかで、結衣さんが手を止めやすいポイントが見えてきました。たとえば、一次関数の値を求める過程で「分数の掛け算で止まってしまう」場面がありました。本人からは、こんなSOSも届いています。

【生徒本人より】

「p39のstep2のyがなかなか答えに辿り着けなくて、出し方は多分合ってるんですけど、分数の掛け算で止まっちゃってます……step3も分数の掛け算で止まってます……」

「解き方は分かっているのに、計算の途中で止まる」——これは多くの生徒に共通するつまずきです。湯川先生は、解答を渡して終わりにするのではなく、翌日の授業で一緒に手を動かし、詰まる箇所を具体的に外していきました。多項式の計算でも、一時は「計算が迷子」になる状態がありましたが、少しずつ脱却していきました。それでも講師は油断せず、「不安なので日々3枚ずつくらいやってください。順番は守らなくて大丈夫です」と、無理のない反復を提案しています。

第3段階:文章題と「記述の型」を身につける

模試が近づいた時期には、連立方程式の文章題も扱いました。結衣さんが「模試のときも計算過程を残さないといけないですか?」と質問したのに対し、湯川先生は次のように答えています。

【講師より】

「問題によりますが、記述がなければ答えだけでよいことが多いです。記述なら、連立方程式を書かされる可能性があります。『りんごの数を 個とすると』などを、はじめに書かないといけません。授業でやりましょう」

「答えが出せる」ことと「答案として書ける」ことは別の力です。数強塾では、この記述の型を、実際の問題に沿って身につけていきます。

第4段階:図形分野での粘りを伸ばす

一方で、結衣さんには図形分野で粘り強く手を動かせる力がありました。角度や正三角形を使った問題では、たくさんの計算に自分から取り組む姿が記録に残っています。ある問題では、講師が「たくさん計算したね」「だいぶ角度はできていますね」と、その努力そのものを具体的に認めています。数強塾は、正解・不正解だけでなく、こうした「取り組みの質」を見て、生徒の得意を伸ばします

第5段階:学習習慣が「本人のもの」になっていく

2年間のなかで最も大きな変化は、点数ではなく、学習に向かう姿勢でした。当初は宿題が出せない時期もありました。本人から「宿題出せてなくて、本当にすみません」「提出遅くなって本当にすみません」という連絡が届くこともありました。数強塾は、こうしたとき生徒を頭ごなしに責めません。事実は事実として受け止めつつ、無理のない量に調整し、翌日の授業で一緒に取り戻していきます。

やがて、修学旅行の前に自分から解き直しをしていたり、プロム(学校行事)に出かける前に問題を解いてから行くようになったりと、「予定の合間でも数学に触れる」習慣が本人のものになっていきました。講師が「修学旅行前にえらいね」と声をかけた場面は、その表れの一つです。

第6段階:転校とカリキュラムの切り替えに備える

ご家庭の事情で、結衣さんは学校を変わることになりました。転校先はIGCSEを導入する学校で、これまでのMYP系プログラムとカリキュラムの整合性が問われ、入学審査(審議)にかけられるという緊張の時期もありました。この局面でも学習は止めず、日本の中学数学を仕上げつつ、転校後に必要となる高校数学の基礎(graph of function など)を少しずつ先取りする方針へと切り替えていきました。

【講師より・方針転換の説明】

「日本の数学は中学分野が終わり次第、IGCSEに必要な箇所のみ高校数学から基礎を先取りする形に変えていこうと思います。現在、中3代数範囲までだいぶ進めています」

第7段階:転居・寮生活を挟んでも学びをつなぐ

その後、結衣さんは、ご家庭の転居に伴って生活の拠点を複数回移されました。途中、日本の公立中学校に一時的に通う期間もありました。さらに進学先では全寮制の生活が始まり、寮内ではデジタルデトックスが徹底され、オンラインで学習を続けること自体が難しい環境になりました。そこで一度、授業は休学とし、無理に続けることはしませんでした。

数強塾は、こうした「一度離れる」判断も尊重します。そして、長期休みで環境が許すタイミングで、週1回のペースで受講を再開しました。久しぶりの再会に、講師も「お久しぶりに授業ができて嬉しかったです」と喜んでいます。学びは、一直線でなくてもよいのです。生活が変わっても、また戻ってこられる場所があること。それも、オンライン指導の大切な価値だと考えています。

8.重要な会話

指導記録から、教育的に意味のある場面をいくつか抜き出します。いずれも、実際のやり取りの趣旨を変えない範囲で表現を整えています。

【指導の出発点(お母様より)】

「学習習慣をつけたいです。まずは日本の中学校の学年相当の数学の力をつけてもらいたいです」

点数ではなく習慣を、というご相談から、この2年間は始まりました。

【本人の悔しさ(結衣さんより)】

「早くから始めなかったことを後悔しています……」

この一言は、結衣さんが自分の学習を自分ごととして捉え始めたサインでした。数強塾は、この悔しさを責める材料にはしません。ここからどう積み上げるかを、一緒に考えます。

【初めての最高点(お母様より)】

「先日、学校の課題で、初めて最高点をもらいました。先生のおかげです」

学校評価では8段階で6を取り、本人は7を目指していました。数字の派手な跳ね上がりではありませんが、「初めての最高点」という言葉には、それまでの積み重ねが詰まっています。

【転校先への合格(お母様より)】

「結衣も無事に合格できました。ありがとうございました」

MYPからIGCSEへというカリキュラムの壁を越えての合格でした。

【関係性の変化(お母様より)】

「湯川先生のおかげで、結衣も変わってきています。感謝の思いでいっぱいです」

「点数が変わった」ではなく「本人が変わってきた」。数強塾が最も大切にしているのは、この変化です。

9.学校教材への対応

海外インターナショナルスクールの生徒指導では、「学校指定の教材に対応する」という言葉が、そのままの意味では当てはまりません。結衣さんの学校にはIB系のプログラムがあり、日本のような固定教科書がなかったからです。そこで数強塾では、次のように対応しました。

# 対応 ねらい
1 担当講師が日本の中学数学教材を用意し、単元ごとにプリントや問題を準備 日本式の「体系」を補う
2 学校で分からなかった内容は、その都度共有してもらい個別に解説 学校の授業とのつながりを切らない
3 模試や学校課題など、実際に直面したものを持ち込んでもらい優先対応 「いま必要なこと」を後回しにしない
4 IGCSEへの切り替え時は、必要な高校数学の基礎範囲を先取り 新しいカリキュラムへの橋渡し

つまり、「教材名に対応する」のではなく、「その生徒が今、実際に取り組んでいるもの」に対応する、という姿勢です。答案の写真、間違えた問題、学校で扱った内容——こうした一次情報を、講師が一枚ずつ確認していきました。海外・インター校対応の実際とは、教材のラベルではなく、この地道な確認作業の積み重ねだと考えています。

10.成果までの流れ

結衣さんの2年間を、時期に沿って振り返ります。

受講開始(新中2直前)〜数か月 学習習慣の土台づくりと、日本の中学数学の基礎固めに充てました。夏には模試にも取り組み、本人が「早くから始めればよかった」と悔しさを口にする場面もありました。この時期、宿題が出せないこともありましたが、量を調整しながら継続しました。

 学校の評価が8段階で6という形で返ってきました。本人は7を目指しており、届かなかった悔しさもありましたが、海外校の評価軸のなかで自分の位置を意識できるようになったこと自体が前進でした。

翌年の春 大きな出来事が二つ重なりました。一つは、学校の課題で「初めての最高点」を取ったこと。もう一つは、転校先(IGCSE校)の入学審査に合格したことです。MYPからIGCSEへというカリキュラムの整合性が問われる緊張の局面を越えての合格でした。

その後 日本の中学数学を仕上げつつ、IGCSEに必要な高校数学の基礎を先取りする段階へ移りました。中3の代数範囲まで進み、graph of function など、次の学びへの入り口にも触れています。

夏以降 全寮制の生活が始まり、オンライン受講が難しくなったため、一度休学としました。

冬の長期休み 週1回のペースで受講を再開。久しぶりの授業を、生徒も講師も楽しみに迎えました。

11.成果

この事例で確認できる成果は、次のとおりです。

確認できた成果

  • 学習習慣が本人のものになった。ご相談の第一目標であった学習習慣が、予定の合間にも自分から数学に触れる形で定着しました。
  • 日本の中学数学を体系立てて積み上げた。一次関数・連立方程式・図形・多項式などを経て、中3の代数範囲まで進みました。
  • 学校課題で初めての最高点を取った。学校評価は8段階で6(本人は7を目標)でした。
  • 転校先(IGCSE校)の入学審査に合格した。カリキュラムの切り替えという壁を越えました。
  • 転居・寮生活を挟んでも学びをつないだ。生活拠点が変わっても、長期休みに受講を再開し、関係を継続しました。

念のため申し添えます。これは、定期テストの点数が大きく跳ね上がった、という種類の事例ではありません。数値の派手さよりも、「海外で、教科書のない環境で、生活が何度も変わるなかで、それでも数学の学びを止めなかった」という継続そのものが、この事例のいちばんの成果です。そして、これらの成果は、本人の粘りと、ご家庭の協力と、講師の伴走が重なって生まれたものであり、すべての生徒に同じ結果を保証するものではありません。

12.成果が出た理由

なぜ、これだけ条件の厳しい環境で、学びを続けられたのでしょうか。記録から読み取れる理由を挙げます。

第一に、目標を「点数」ではなく「習慣」と「体系の習得」に置いたこと。海外・インター校では、日本式の点数だけを追うと、かえって学びが空回りしがちです。習慣と体系という土台を先に据えたことが、長続きにつながりました。

第二に、オンラインの機動力を最大限に生かしたこと。日本・インドネシア・スペイン、さらにはその後の転居先と、時間帯をまたぐ調整を、講師と事務局が丁寧に続けました。停電やWi-Fiの不調といったオンライン特有のトラブルも、開始時刻を柔軟にずらすなどして乗り越えました。

第三に、宿題が出せない時期を、責めずに立て直したこと。量を固定せず、本人の状況に合わせて調整し、詰まった箇所は翌日の授業で一緒に外す。この繰り返しが、「難しくても、また戻ってこられる」という安心を生みました。

第四に、「楽しいから続けられる」関係をつくれたこと。スペイン語の話題で打ち解け、努力そのものを具体的に認め、久しぶりの再会を喜ぶ。こうした温かいやり取りが、離れても戻ってくる継続を支えました。AIがどれだけ発達する時代になっても、隣で一緒に手を動かし、「わかった」を分かち合える伴走者の価値は変わらないと、私たちは考えています。

13.【解説】海外在住で日本の数学を続ける、3つの型

ご相談を受けるなかで、海外在住のご家庭の学習設計は、おおむね次の3つに整理できると考えています。結衣さんの事例は②です。

設計 向いているご家庭 注意点
① 日本式に完全準拠 日本の教科書・進度に沿って進め、帰国後の編入や日本の高校受験を見据える 数年以内の帰国が決まっている 学校の学習と二重負担になりやすい
② 日本式で体系を作り、学校の必要に都度対応 日本の中学数学を背骨として積み上げつつ、学校課題や試験は随時持ち込んで対応 帰国時期が未定/学校に固定教材がない 優先順位を毎回決める必要がある
③ 学校カリキュラム準拠 IGCSEやIB DPのシラバスに沿って進め、そのまま海外進学を目指す 海外大進学が明確 日本語での数学用語が抜けやすい

【②を選ぶ利点】日本の中学数学は、一次関数 → 連立方程式 → 図形 → 多項式と、順序が明確に設計されているという強みがあります。探究型のカリキュラムで「どこに穴があるか分からない」状態になりやすい生徒にとって、この背骨があること自体が安心材料になります。結衣さんがMYPからIGCSEへの移行審査を越えられた背景にも、これがあったと考えています。

14.同じ悩みを持つ保護者様へ

海外でお子さまを育てておられるご家庭からは、次のようなご相談をよくいただきます。

  • インターナショナルスクールに通っていて、日本の数学が体系立てて学べているか不安
  • 学校に日本のような教科書やワークがなく、家庭でどう補えばよいか分からない
  • IBやIGCSEなど、日本と異なるカリキュラムに、日本語で対応してくれる塾が見つからない
  • 時差があり、通える塾も対面の家庭教師も現実的でない
  • 転勤・転居が多く、腰を据えて続けられる学習環境をつくりにくい
  • そもそも学習習慣が定着しておらず、まずそこから立て直したい

これらは、どれも「本人の努力不足」ではありません。環境が特殊なだけです。数強塾は、こうした環境の一つひとつに合わせて、指導そのものを設計し直します。教科書がなければ用意し、時差があれば時間を合わせ、生活が変われば一度離れることも尊重し、また戻ってこられるようにします。点数が低いから、習慣がないから相談しにくい、ということは一切ありません。むしろ、そういう状態からのご相談を、私たちは日々お受けしています。

15.数強塾の指導方針

本事例を通じて、数強塾が大切にしている方針を改めてお伝えします。

  • 点数だけで生徒を評価しない
  • 生徒ごとに理解の速さは異なると考える
  • 学校の進度より、本人の理解を優先する場面がある
  • 必要に応じて前の学年や単元まで戻る
  • 「答えが合う」だけでなく「再現できる」「答案として書ける」かを確認する
  • 授業後の板書と個別課題を重視する
  • 宿題の量は固定せず、本人の状況に応じて調整する
  • 保護者様との情報共有と、生徒本人との対話を大切にする
  • 恐怖で縛らず、純粋な「わかった」を大切にする
  • 海外・時差・転居・インター校といった特殊な環境に、柔軟に対応する
  • 中学数学の理解を、その先の高校数学まで見据えて積み上げる

これらは宣伝文句として並べているのではなく、結衣さんの2年間の指導のなかで、実際に一つずつ実践してきたことです。

16.まとめ

海外のインターナショナルスクールに通いながら、日本の中学数学を積み上げる。時差をまたぎ、停電やWi-Fiの不調を乗り越え、度重なる転居や寮生活を挟みながら、それでも学びをつなぐ。青木結衣さん(仮名)の2年間は、決して順風満帆ではありませんでしたが、学習習慣という土台を据え、無理のないペースで続けたことで、学校課題での初めての最高点や、転校先への合格へとつながりました。

大切なのは、派手な数値ではなく、「続けられたこと」そのものです。そして、続けられた背景には、点数で急かさず、詰まったら一緒に外し、離れてもまた戻ってこられる関係がありました。オンラインでも、いえ、オンラインだからこそ、「楽しいから続けられる」学びは十分に成り立ちます。海外で、あるいは特殊な環境で数学に悩んでおられるお子さまがいらっしゃれば、その環境ごと、私たちにご相談いただければと思います。

17.よくある質問

Q. インターナショナルスクールに通っていても受講できますか。

A. はい。本事例のように、日本の固定教科書がないインターナショナルスクールの生徒でも受講いただけます。担当講師が日本の中学数学教材を用意し、体系立てて指導します。学校で分からなかった内容を、その都度共有いただいて解説することも可能です。

Q. 海外在住で時差があっても受講できますか。

A. はい。本事例では、生徒はインドネシア在住、担当講師はスペイン在住という環境で、日本時間を基準に授業を調整して継続しました。時差がある場合も、可能な時間帯を伺いながら日程を組みます。停電やWi-Fiの不調が起きた際も、開始時刻を柔軟にずらすなどして対応します。

Q. 日本の教科書や学校ワークが手元になくても指導してもらえますか。

A. はい。教科書がない場合は、講師が日本の中学数学教材を用意して進めます。学校で扱った内容や、分からなかった問題の写真を共有いただければ、それに合わせて解説することも可能です。

Q. IBやIGCSEなど、日本と異なるカリキュラムにも対応できますか。

A. 本事例では、日本の中学数学を仕上げたうえで、転校先のIGCSEに必要な高校数学の基礎範囲を先取りする形に切り替えました。生徒の在籍校や進学先の状況に合わせて、必要な範囲を先取りするなどの対応を行います。ただし、学校ごとの制度の詳細は、共有いただいた情報の範囲で対応します。

Q. 学習習慣がない状態からでも受講できますか。

A. はい。本事例のご相談も、出発点は「学習習慣をつけたい」というものでした。まずは机に向かう回数を確保することを優先し、無理のないペースから始めます。

Q. 宿題が出せない時期があっても大丈夫ですか。

A. はい。本事例でも、宿題が出せない時期はありました。数強塾では生徒を頭ごなしに責めることはせず、量を調整し、詰まった箇所は次の授業で一緒に立て直します。個別課題の量は固定せず、本人の状況に応じて調整します。

Q. 転居や一時帰国が多くても続けられますか。

A. はい。オンライン指導のため、拠点が変わっても継続しやすい形です。本事例では、複数回の転居や一時帰国を挟みながら、日程を都度調整して継続しました。振替のご相談は、授業日のおよそ1週間前まで受け付けています。

Q. 長期休みだけの集中受講は可能ですか。

A. はい。本事例でも、生活環境の都合で常時の受講が難しくなった時期には一度お休みとし、長期休みに週1回のペースで受講を再開しました。環境に合わせて、集中受講や一時的な休学・再開を柔軟にご相談いただけます。

Q. 講師との相性が合わない場合は変更できますか。

A. はい。相性は学習の継続に大きく関わります。合わないと感じられた場合は、担当講師の変更をご相談いただけます。

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いずれも実際の指導記録をもとに、ご本人・保護者様のご了解のうえ構成したものです。状況も学年も志望校も違いますが、やっていることは同じだと分かっていただけると思います。

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この記事を書いた人

藤原 進之介(ふじわら しんのすけ)/株式会社数強塾 代表取締役・オンライン数学専門塾「数強塾」代表

中高一貫校生を中心に、累計3,500名以上を指導。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。海外・インターナショナルスクール生の数学指導、中高一貫校の数学対策、定期テスト対策、内部進学対策、高校受験・大学受験対策に対応。生徒それぞれの環境や進度を踏まえて指導方針を設計している。数強塾グループでは学生アルバイトを採用せず、プロ講師のみで完全1対1のオンライン指導を行っている。

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