「どうせ自分には地頭がないから」——模試の結果を見たあと、こんな言葉を心の中でつぶやいたことはありませんか。問題が解けないたびに、頭の良し悪しのせいにしてしまう。僕も受験生のころ、まったく同じことを思っていました。でも今だからこそ言えるんです。「自分には地頭がない」と信じ込むのは、本当にもったいないことだと。今日はその話をしたいと思います。
なぜ「自分には地頭がない」と思ってしまうのか
そもそも「地頭」って、すごくあいまいな言葉だと思いませんか。明確な定義があるわけでもなく、テストで数値化されるわけでもない。それなのに、多くの受験生がこの言葉に苦しめられています。
僕が思うに、「自分には地頭がない」と感じてしまう一番の原因は、他人との比較です。同じ授業を受けているのに、隣の友達はすぐに理解する。自分は何度も読み返してやっと分かる。その差を見て「自分は頭が悪いんだ」と結論づけてしまう。
でも、ここには大きな見落としがあります。その友達は、あなたが見ていないところで、すでに似た問題を何度も解いていたかもしれない。中学のときの土台がしっかりしていただけかもしれない。つまり、見えているのは「結果」であって、「地頭」ではないんです。スタート地点も、これまでの積み重ねも違うのに、今この瞬間だけを切り取って「自分には地頭がない」と判断するのは、少し早すぎると僕は思います。
2浪した僕が「地頭」を言い訳にしていた話
正直に告白すると、僕は2浪を経験しています。現役のときも、1浪目のときも、成績はなかなか伸びませんでした。そのころの僕の口ぐせが、まさに「自分には地頭がない」でした。
数学の問題を見て、解法が思い浮かばない。「ああ、やっぱり自分は数学的なセンスがないんだ」と。英語の長文を読んで内容が頭に入ってこない。「自分は言語のセンスがないんだ」と。何かにつまずくたびに、すべてを「地頭」のせいにしていたんです。
でも、ある時ふと気づきました。僕は「センスがない」と言いながら、実は正しいやり方で十分な量をこなしていなかったんです。数学の解法が思い浮かばないのは当たり前でした。だって、その解法のパターンを一度も自分の手で再現したことがなかったから。長文が読めないのも当然で、構文の基礎を曖昧なままにしていたからでした。
そこで僕は方針を変えました。「地頭」のことは一旦忘れて、ただ目の前の一問を、解説を見ずに自力で再現できるまで繰り返す。それだけを徹底しました。すると不思議なことに、2浪目の後半から成績がぐんと伸び始めたんです。あのとき「自分には地頭がない」と信じ込んだまま諦めていたら、今の僕はいません。塾を創業することも、本を書くこともなかったと思います。
「地頭」の正体と、誰でも成績が伸びる理由
「地頭がいい」は結果論にすぎない
塾を創業して何年も受験生を見てきて、僕がはっきり言えることがあります。それは、いわゆる「地頭がいい」と言われる子の多くが、効率のいい勉強のやり方を、無意識のうちに身につけているだけだということです。
たとえば、新しい公式を習ったときに「これはあの公式と似ているな」と関連づけて覚える。間違えた問題を「なぜ間違えたのか」まで掘り下げて分析する。こういう習慣は、生まれつきの才能ではなく、あとから身につけられる技術です。つまり「地頭」だと思われているものの正体は、多くの場合「勉強の型」なんです。
伸びる人は「やり方」を変えられる人
僕の塾でも、最初は「自分には地頭がない」と落ち込んでいた生徒が、半年で偏差値を10以上伸ばすことは珍しくありません。彼らに共通しているのは、頭の良さではなく、素直にやり方を変えられたことです。
「解説を読んで分かった気になる」のをやめて、必ず自力で解き直す。「たくさんの参考書に手を出す」のをやめて、一冊を完璧にする。こうした小さな変化の積み重ねが、結果として大きな差を生みます。地頭ではなく、行動が変わったから伸びたんです。
情報Iや新課程の時代こそ「考える型」が武器になる
僕が専門としている情報Iも同じです。新しい科目だからこそ、過去問の蓄積がない。だからこそ「暗記が得意か」ではなく「仕組みを理解して考えられるか」が問われます。これは決して才能の話ではありません。論理を一つずつ追っていく「考える型」さえ身につければ、誰でも対応できる科目だと僕は感じています。
AIがどんどん発展していく今の時代も、本当に大切なのは生まれつきの地頭ではなく、「分からないことに向き合い、自分の頭で考え続ける力」です。これは練習でいくらでも鍛えられます。だから「自分には地頭がない」と決めつけて、その力を磨く前に立ち止まってしまうのは、本当にもったいないんです。
まとめ:地頭を言い訳にして、可能性を閉じないでほしい
「自分には地頭がない」という言葉は、ときに自分を守るための言い訳になります。「才能がないんだから仕方ない」と思えば、努力しなくて済むし、傷つかなくて済むから。僕自身、2浪のころはそうやって逃げていました。
でも、本当に変わりたいなら、一度その言葉を脇に置いてみてほしいんです。地頭の有無を考えるより先に、「やり方は正しいか」「量は足りているか」を見直す。それだけで、見える景色は大きく変わります。あなたが今つまずいているのは、頭が悪いからではなく、ただまだ正しい道を歩いていないだけかもしれない。僕はそう信じています。
「自分には地頭がない」——その思い込みを手放した瞬間から、あなたの本当の成長が始まると、僕は思っています。
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