確率とは|定義・基本性質・余事象をわかりやすく解説【数学用語】
定義
確率とは、あることがら(事象)の起こりやすさを、\(0\) から \(1\) までの数で表したものです。すべての起こり方が同じ程度に確からしいとき、事象 \(A\) の確率は次で計算します。
\[ P(A)=\frac{A \text{ の起こる場合の数}}{\text{起こりうるすべての場合の数}} \]
たとえばサイコロで偶数が出る確率は、全6通りのうち偶数は3通りなので \( \dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{2} \) です。
① 確率の意味|0で「起こらない」、1で「必ず起こる」
確率の値は必ず \(0\) 以上 \(1\) 以下になります。\(0\) に近いほど起こりにくく、\(1\) に近いほど起こりやすいことを表します。両端は特別な意味を持ちます。
- \( P(A)=0 \):その事象は決して起こらない(空事象)。
- \( P(A)=1 \):その事象は必ず起こる(全事象)。
確率は割合なので、百分率になおすと「50%」のように直感的に読めます。\( \dfrac{1}{2}=0.5=50\% \) はすべて同じ意味です。
② 基本性質と余事象
「少なくとも1回」を余事象で求める方法は反復試行の確率の例題10問で詳しく確認できます。
確率にはいくつかの基本性質があります。とくに余事象(「\(A\) が起こらない」という事象、記号 \( \overline{A} \))を使うと、「少なくとも1つ」型の問題が一気に楽になります。
| 性質 | 式 |
|---|---|
| 確率の範囲 | \( 0\leqq P(A)\leqq 1 \) |
| 余事象の確率 | \( P(\overline{A})=1-P(A) \) |
| 和事象(排反のとき) | \( P(A\cup B)=P(A)+P(B) \) |
「少なくとも1つ〜」を直接数えると場合分けが増えがちですが、余事象 \( 1-P(\overline{A}) \) を使うと、「1つも起こらない」1通りだけ考えればよく、計算がぐっと簡単になります。
③ 条件付き確率(ひとこと)
公式の分母、表・樹形図、独立性、ベイズの定理は条件付き確率の例題10問で段階的に確認できます。
「事象 \(A\) が起こったとわかっているうえで、事象 \(B\) が起こる確率」を条件付き確率といい、\( P(B\mid A)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)} \) で表します。情報が追加されると確率が更新される、という考え方の入り口です。
④ 具体例(検算つき)
例1:1個のサイコロで、3以上の目が出る確率
全部で6通り、3以上は \(3,4,5,6\) の4通りです。
\[ P=\frac{4}{6}=\frac{2}{3} \]
検算:余事象「2以下(\(1,2\))」は \( \dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3} \)。\( 1-\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3} \) と一致するので正しいと確認できます。答えは \( \dfrac{2}{3} \)。
例2:2個のサイコロで、少なくとも1個は6が出る確率
「少なくとも1個」は余事象「2個とも6以外」で考えます。各サイコロで6以外は \( \dfrac{5}{6} \) なので、
\[ P=1-\left(\frac{5}{6}\right)^2=1-\frac{25}{36}=\frac{11}{36} \]
検算:6を含む出目は「片方が6」型を直接数えると \( 6+6-1=11 \) 通り、全 \( 36 \) 通りで \( \dfrac{11}{36} \)。余事象での結果と一致します。答えは \( \dfrac{11}{36} \)。
⑤ よくある失敗
- 分母(全体)の数え方がずれる:分子と分母は、同じ数え方(区別する・しない)でそろえます。片方だけ順序を区別すると誤ります。
- 「少なくとも1つ」を直接数える:場合分けが増えて間違えやすいので、余事象 \( 1-P(\overline{A}) \) を使いましょう。
- 確率が1を超える/負になる:\( 0\leqq P\leqq1 \) を外れたら、どこかで数え間違いです。必ず範囲を確認します。
- 排反でないのに単純に足す:\( A,\ B \) が同時に起こりうるときは \( P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B) \) です。重なりを引き忘れないようにします。
⑥ よくある質問(FAQ)
Q. 確率と場合の数はどう違いますか?
Q. 余事象を使うと、なぜ計算が楽になるのですか?
「少なくとも1つ起こる」を直接数えると、1つ・2つ・…と多くの場合に分かれて手間がかかります。一方、その反対の「1つも起こらない」はふつう1通りの状況しかないため、\( P(A)=1-P(\overline{A}) \) を使うと計算量が大きく減ります。「少なくとも」という言葉が出てきたら、まず余事象を考えるのが定石です。
Q. 確率は必ず分数で書くのですか?
分数・小数・百分率のどれで書いても構いません。\( \dfrac{1}{2} \) と \(0.5\) と \(50\%\) は同じ値です。答案では約分した分数で書くのが一般的ですが、問題文で「百分率で答えよ」と指定されたらそれに従います。いずれの表し方でも \(0\) 以上 \(1\) 以下(百分率なら0%以上100%以下)に収まっているかを確認しましょう。
関連用語:確率(単元・詳しい解説)|場合の数|順列と組合せ|辞典トップ
監修・執筆:藤原進之介(オンライン数学専門塾 数強塾)
数強塾オリジナル 追加演習4題——分母を、どう取るか
⑤の1番目に、こう書きました。
分母(全体)の数え方がずれる:分子と分母は、同じ数え方(区別する・しない)でそろえます。片方だけ順序を区別すると誤ります
確率でいちばん多い間違いです。ところが④の具体例は、例1が1個のサイコロ、例2が2個のサイコロ。どちらも自然に区別されていて、「ずれる」場面が起きません。⑤の4番目に書いた \(P(A \cup B) = P(A)+P(B)-P(A \cap B)\) も、②の表は「排反のとき」だけで使う例がありません。
この4題は、すべて「分母をどう取るか」の話です。定義の一文「すべての起こり方が同じ程度に確からしいとき」——ここを外すと、計算が全部正しくても答えが間違います。
追加第1問 区別するか、しないかで答えが変わる
赤玉 \(3\) 個と白玉 \(2\) 個が入った袋から、同時に \(2\) 個取り出す。2個とも赤である確率を求めよ。
よくある誤答 色だけで見れば「赤赤・赤白・白白」の \(3\) 通り。そのうち赤赤は \(1\) 通りだから \(\dfrac13\)。
なぜ誤りか
\(3\) 通りは同じ程度に確からしくありません。赤玉が \(3\) 個ある以上、「赤赤」の起こり方は1通りではないからです。
同じ色の玉にも番号をつけてすべて区別します。5個から2個を選ぶので、全体は \({}_5\mathrm{C}_2 = 10\) 通り。赤3個から2個を選ぶのは \({}_3\mathrm{C}_2 = 3\) 通り。
\[ P = \frac{3}{10} \]
| 色の組 | 場合の数 | 確率 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 赤赤 | \(3\) | \(\tfrac{3}{10}\) | 赤1赤2/赤1赤3/赤2赤3 |
| 赤白 | \(6\) | \(\tfrac{6}{10}\) | \(3 \times 2 = 6\) 通り |
| 白白 | \(1\) | \(\tfrac{1}{10}\) | 白1白2 のみ |
| 合計 | \(10\) | \(1\) |
「同様に確からしい」を作るために区別する——これが区別の目的です。区別すると場合の数は増えますが、増えた1つ1つが同じ重さになります。色だけで数えた \(3\) 通りは、重さが \(3:6:1\) でばらばらでした。
検算
3つの確率を全部足すと \(\dfrac{3}{10}+\dfrac{6}{10}+\dfrac{1}{10} = 1\)。○ すべての場合の確率を足して \(1\) になるか——これが確率の検算の基本形です。
誤答の側で同じことをすると \(\dfrac13+\dfrac13+\dfrac13 = 1\) となり、和は合ってしまいます。和が \(1\) でも「同様に確からしい」かどうかは別なので、そこは分けて確かめてください。赤白が赤赤の2倍出やすいことは、実際に袋から取り出せば分かります。
追加第2問 分母を「和の種類」で取ってはいけない
大小2個のサイコロを投げる。出た目の和が \(5\) になる確率を求めよ。
よくある誤答 和は \(2\) から \(12\) までの \(11\) 通り。そのうち和が \(5\) は \(1\) 通りだから \(\dfrac{1}{11}\)。
なぜ誤りか
これも追加第1問と同じで、\(11\) 通りが同じ程度に確からしくありません。和が \(2\) になるのは \((1,1)\) の1通りだけですが、和が \(7\) は \(6\) 通りもあります。
同様に確からしいのは目の組そのもので、\(6 \times 6 = 36\) 通り。和が \(5\) になるのは \((1,4),\ (2,3),\ (3,2),\ (4,1)\) の \(4\) 通り。
\[ P = \frac{4}{36} = \frac19 \]
もう1つのよくある誤りは、\((1,4)\) と \((4,1)\) を同じとみなして \(2\) 通りと数えることです。分母を \(36\)(区別あり)で取ったなら、分子も区別ありで数えなければいけません。⑤の1番目が言う「片方だけ順序を区別すると誤ります」は、これのことです。
検算
和ごとの場合の数を全部書き出して、合計が \(36\) になるかを見ます。
和 \(2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12\) に対して \(1,2,3,4,5,6,5,4,3,2,1\) 通り
合計は \(36\)。○ \(11\) 種類あるのに合計が \(11\) ではないことが、「和の種類」を分母にできない理由そのものです。
この表からは、和が \(7\) がいちばん出やすい(\(\dfrac{6}{36} = \dfrac16\))ことも読み取れます。両端が薄く真ん中が厚い——これが2個のサイコロの和の形です。
追加第3問 排反でない2つを足すとき
\(1\) から \(100\) までの整数から \(1\) つを選ぶ。\(3\) の倍数または \(5\) の倍数である確率を求めよ。
よくある誤答 \(P(3\text{の倍数}) = \dfrac{33}{100}\)、\(P(5\text{の倍数}) = \dfrac{20}{100}\) だから、足して \(\dfrac{53}{100}\)。
なぜ誤りか
②の表にある \(P(A \cup B) = P(A)+P(B)\) は、「排反のとき」と但し書きがついています。ところが \(15\) の倍数(\(15,\ 30,\ 45,\ 60,\ 75,\ 90\) の \(6\) 個)は、3の倍数でもあり5の倍数でもあるので、2回数えられています。⑤の4番目の式を使います。
\[ P(A \cup B) = P(A)+P(B)-P(A \cap B) = \frac{33}{100}+\frac{20}{100}-\frac{6}{100} = \frac{47}{100} \]
⑤の4番目は式だけが書かれていて、使う例がありません。使いどころの見分け方は簡単で、「両方に当てはまるものがあるか」を1つでも挙げられたら排反ではない——今回なら \(15\) を思いつけば、その時点で引き算が必要だと分かります。
検算
個数で数え直します。\(3\) の倍数は \(100 \div 3 = 33\) 余り \(1\) で \(33\) 個、\(5\) の倍数は \(20\) 個、\(15\) の倍数は \(6\) 個。\(33+20-6 = 47\) 個。○
反対側からも確かめられます。「\(3\) の倍数でも \(5\) の倍数でもない」のは \(100-47 = 53\) 個。実際に \(1\) から \(15\) までで数えると \(1,2,4,7,8,11,13,14\) の \(8\) 個で、これが \(15\) ごとにくり返されます。\(100 = 15 \times 6 + 10\) なので \(8 \times 6 = 48\)、残り \(91\) から \(100\) までが \(91,92,94,97,98\) の \(5\) 個。合わせて \(53\) 個。○
足しすぎたときは \(1\) を超えることもあります。⑤の3番目が言うとおり、\(0 \leqq P \leqq 1\) を外れたら必ずどこかで数えすぎです。
追加第4問 情報が入ると、分母が変わる
大小2個のサイコロを投げたところ、少なくとも一方は \(3\) だったと分かった。
このとき、2個の目の和が \(7\) である確率を求めよ。
よくある誤答 一方が \(3\) なのだから、和が \(7\) になるにはもう一方が \(4\) であればよい。だから \(\dfrac16\)。
なぜ誤りか
③の式 \(P(B \mid A) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}\) を見てください。分母が \(P(A)\) に変わっています。もう全体は \(36\) 通りではありません。
「少なくとも一方が \(3\)」を満たす出方は、余事象「どちらも \(3\) でない」が \(5 \times 5 = 25\) 通りなので
\[ 36-25 = 11\ \text{通り} \]
この \(11\) 通りが新しい全体です。そのうち和が \(7\) になるのは \((3,4)\) と \((4,3)\) の \(2\) 通り。
\[ P = \frac{2}{11} \]
条件なしなら和が \(7\) の確率は \(\dfrac{6}{36} = \dfrac16 \fallingdotseq 0.167\)。情報が入ると \(\dfrac{2}{11} \fallingdotseq 0.182\) に上がりました。③が「情報が追加されると確率が更新される」と書いたのは、このことです。誤答の \(\dfrac16\) は、分母を \(36\) のままにしているのと同じです(なぜ条件付き確率では分母が変わるのか)。
検算
\(11\) 通りなので全部書けます。
\((3,1),(3,2),(3,3),(3,4),(3,5),(3,6),(1,3),(2,3),(4,3),(5,3),(6,3)\)
数えると \(11\) 通り。○ \((3,3)\) を2回数えていないことも確認できます(大が3・小が3は1つの出方)。そのうち和が \(7\) は \((3,4)\) と \((4,3)\) の \(2\) 通り。○
条件付き確率は、書き出せる大きさなら書き出すのがいちばん確実です。とくに「少なくとも」がついた条件は、\((3,3)\) のような重なりを二重に数えやすいので注意してください。
4題とも、分母の話だった
| 場面 | まちがえた分母 | 正しい分母 | 答え | |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 同じ色の玉 | 色の組(\(3\)通り) | 1つ1つの玉(\(10\)通り) | \(\tfrac{3}{10}\) |
| 第2問 | 2個のサイコロ | 和の種類(\(11\)通り) | 目の組(\(36\)通り) | \(\tfrac19\) |
| 第3問 | 重なりのある2つ | 単純に足す | 重なりを1回引く | \(\tfrac{47}{100}\) |
| 第4問 | 情報が与えられた | 全体(\(36\)通り) | 条件を満たすもの(\(11\)通り) | \(\tfrac{2}{11}\) |
確率の間違いは、計算ではなく分母の取り方で起きます。定義の一文「すべての起こり方が同じ程度に確からしいとき」に戻れるかどうか——それだけです。
この4題で確認したこと
- 同じ色・同じ形のものもすべて区別して数える。区別は「同様に確からしい」を作るための手続き(追加第1問)。
- 分母を「和の種類」のようなまとめた単位で取らない。まとめると重さがばらばらになる(追加第2問)。
- 分母を区別ありで取ったら、分子も区別ありで数える。
- 「両方に当てはまるもの」を1つでも挙げられたら排反ではない。重なりを引く(追加第3問)。
- 情報が与えられたら分母がその情報を満たすものに置きかわる(追加第4問)。
- 検算はすべての場合の確率を足して \(1\)/書き出せる大きさなら書き出す/\(0 \leqq P \leqq 1\) を外れていないか。
数え方そのものを固めるなら 場合の数とは(「引く」数え方の追加演習つき)、順列と組合せとは(1対1対応の追加演習つき)へ。学習順の全体は 場合の数と確率 学習ロードマップ|中学受験算数の樹形図から確率漸化式まで にあります。
手を動かすなら 場合の数・確率の特訓道場【第1章】数え方と確率の基本(全35問)、確率の応用の特訓道場|独立試行・反復試行・条件付き確率20題(追加第4問の続きです)、型で見渡すなら 確率の解法パターン全12型 と 条件付き確率・独立・反復試行の解法パターン全12型 へ。
道具の「なぜ」は、なぜ確率は場合の数の割り算で求められるのか、なぜ排反なら確率を足してよいのか、なぜ「少なくとも1つ」は余事象で考えると速いのか、なぜ条件付き確率では分母が変わるのか、なぜ独立な試行では確率を掛けるのか にまとめてあります。用語の一覧は 数学用語辞典 にあります。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:確率 にまとめてあります。


