同じ年の本試験は2024年 情報関係基礎 全問解説、翌年は2025年(旧情報関係基礎)にあります。情報Ⅰ対策としては情報Ⅰ 最強120講義もご利用ください。
一次資料は、大学入試センターの令和6年度 追・再試験の問題、正解・補足説明です。記事末尾の著書情報は学研出版の公式書誌で確認しています(2026年8月7日確認)。
第1問 問1 文字コードと知的財産権(ア〜カ)
文字ごとに数値を割り当てた体系が文字コードで、世界中の言語を統一的に扱うことを目指したものがUnicodeです。
権利の分類は階層で整理すると確実です。
- 知的財産権(総称)
- 著作権 ── 創作した時点で自動的に発生(無方式主義)
- 産業財産権 ── 申請・登録が必要。意匠権・特許権・実用新案権・商標権
生体認証の特徴は本人しか持ち得ない複製困難な情報を利用すること。記憶する必要がない一方、漏えい時にはパスワードのように容易に変更できない点にも注意が必要です。
この方法でうまく解ける理由は、用語を「表現の仕組み」「権利の総称と分類」「認証の特徴」に分けると、似た選択肢を役割で区別できるからです。
検算:意匠権と特許権はいずれも産業財産権であり、著作権の支分権である複製権・公衆送信権とは分類が異なります。
よくある誤り:Unicodeと文字コードを同じ階層の別概念として扱わないこと。Unicodeは文字コードの体系の一つです。
第1問 問2 ビット数・解像度・場合の数(キ〜セソ)
a 階調とビット数。0〜100の101段階を表すには、2⁶=64では足りず2⁷=128で足りるので 7ビット。「101段階」を「100」と読み違えても7ビットで変わりませんが、境界の考え方は押さえておきます。
b 印刷サイズ。1000dpiは1インチあたり1000ドット。縦4800ドットなら
4800 ÷ 1000 = 4.8インチ → 4.8 × 2.5 = 12cm
c パスコードの総数。4桁すべて異なる数字なので、順列の考え方で
10 × 9 × 8 × 7 = 5040通り
0が入力できなくなると使える数字は9種類になり
9 × 8 × 7 × 6 = 3024通り
損失した割合は (5040 − 3024) ÷ 5040 = 2016 ÷ 5040 = 40%
使える数字が1種類減ると各桁の候補数が連続して減るため、設定可能数は4割減少します。
この方法でうまく解ける理由は、階調は2の累乗、印刷長は「ドット数÷dpi」、重複なしパスコードは順列として、それぞれ対応する数量関係へ置き換えられるからです。
検算:2⁶<101≤2⁷、4800÷1000×2.5=12、3024÷5040=0.6なので、失われた割合は1−0.6=0.4です。
よくある誤り:先頭の0も使用できます。4桁の整数ではなく、0を含められる4文字のパスコードとして数えます。
第1問 問3 アンケート・動画・グラフの読み取り(タ〜テ)
質問紙の留意事項は回答データの取扱いに関する説明を明記する。他の選択肢は、複数の論点を1問にまとめる(ダブルバーレル質問)、誘導的な説明、主観を問わない設問──いずれも調査として不適切です。
動画のファイルサイズを小さくする方法として適当でないのは「圧縮される度合いを下げる」。圧縮を弱めればサイズは増えます。
グラフの読み取りは選択肢を1つずつ検証します。公開動画数の合計は 58+92+185+148 = 483件。
| 選択肢 | 検証 |
|---|---|
| 最多ジャンルが5割以上 | 観光185 ÷ 483 = 38% → 誤り |
| 最少ジャンルの月間差が同程度 | グルメは1→2月・2→3月とも同程度 → 正しい |
| 1→2月の差最大が2倍以上 | 2倍には遠い → 誤り |
| 2→3月の差最小が公開数最少 | 差が最小なのはファッション、最少はグルメ → 誤り |
1動画あたりの平均再生回数は再生回数 ÷ 公開動画数。3月の値でおよそ計算すると
グルメ 590÷58 ≒ 10.2、ファッション 470÷92 ≒ 5.1、観光 610÷185 ≒ 3.3、カルチャー 455÷148 ≒ 3.1
公開数が最も少ないグルメが、1本あたりの平均再生回数では最も大きくなります。総数と平均で結論が逆転する典型例です。
この方法でうまく解ける理由は、各選択肢をグラフの数値で個別に確かめ、最後に「総再生回数÷公開動画数」で同じ基準へそろえられるからです。
検算:公開動画数は58+92+185+148=483本で、最多の観光でも185/483≈0.383となり5割未満です。
よくある誤り:総再生回数が多いジャンルと、1動画あたりの平均再生回数が多いジャンルを混同しないようにします。
第2問 タイピングの誤入力を分析する(ア〜ナ)
問1 誤入力回数の数え方
各位置で「正しい文字を打つまでに打った誤りの回数」を数えます。「interface」に「ibntrterfacde」と入力した記録を1文字ずつ追跡します。
| 位置 | 必要 | 入力 | 誤入力 |
|---|---|---|---|
| 1 | i | i | 0 |
| 2 | n | b → n | 1 |
| 3 | t | t | 0 |
| 4 | e | r → t → e | 2 |
| 5〜8 | r,f,a,c | そのまま | 0 |
| 9 | e | d → e | 1 |
合計 4回。同様に「root」に「rpoort」なら位置2で1回、位置4で1回の計2回です。
問2 累計誤入力回数の集計
合計誤入力回数は program 14 が最多、次いで algorithm 13。字数が多い technology が6と少ないことから、字数ではなく含まれる英字で決まると推測できます。
表3は英字ごとの集計です。newton の「n」は位置1と位置6にあるので 1+2 = 3、algorithm の「m」は位置9の 6。
algorithm と technology の共通英字(g・h・l・o)で差を比べると、g は 0 と 3、o は 4 と 1 で、最大の差は 3。同じ英字でも単語によって誤りやすさが違うと分かります。
「o」1個あたりで見ると program が 5 ÷ 1 = 5.0 で最多。loop は5回でも2個あるので2.5です。
列ごとの合計を取ると 1位が o(20回)、2位が m(11回)。両方を含む単語は form だけです。
問3 先行英字による分析
「o」の直前の文字(先行英字)ごとに誤入力を集計します。ここで分母は「その先行英字に続いてoが出現した回数の累計」である点が重要です。
| 先行英字 | 該当箇所 | 誤入力合計 | 出現回数 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| g | algorithm | 3 | 10 | 0.3 |
| l | log・loop・technology | 1+4+1=6 | 30 | 0.2 |
| r | program | 7 | 10 | 0.7 |
| t | newton | 3 | 10 | 0.3 |
「l」は3つの単語に出現するので分母が30になります。ここを10のままにすると割合を3倍に誤ります。
最大は r(0.7)、次点は g と t(ともに0.3)。0.7 ≧ 0.3×2 = 0.6 なので「2倍以上」の条件を満たし、r に o が続く単語すなわち rough を練習することになります。
この方法でうまく解ける理由は、誤入力を「位置別→英字別→直前の英字別」と段階的に集計すると、何を分子・分母にするかを保ったまま分析できるからです。
検算:rootは2回、interfaceは4回です。先行英字別の割合はg=0.3、l=0.2、r=0.7、t=0.3となり、rが次点の2倍以上です。
よくある誤り:先行英字lに続くoは3語にあるため、10回ずつの練習では分母が30です。誤入力回数だけを比べず、出現回数で割ります。
第3問(選択)連結リストで手番を管理する
プレイヤーの順番を、配列の並び順とは無関係に自由に設定できるようにする──いわゆる連結リストを扱う問題です。
問1 「次」を指すデータ構造
Player[行番号, 列番号] で、列1に名前、列2に次のプレイヤーの行番号を格納します。手番は 高橋(5)→石村(3)→天野(2)→小池(1)→渡辺(4)→高橋(5) の循環。
石村の次は天野なので行 2、渡辺の次は先頭の高橋なので行 5。
名前を手番順に表示する手続きは、現在位置 p を辿るだけです。
Player[p,1] を表示する / p ← Player[p,2]
問2 追加と削除
追加(高橋と石村の間に三田)で重要なのは順序です。
Player[tuika,2] ← Player[x,2] ← 先に新しいノードを後続へ繋ぐ
Player[x,2] ← tuika ← その後で既存のリンクを張り替える
n ← n + 1
逆順にすると Player[x,2] が上書きされ、後続のプレイヤー全員が辿れなくなります。連結リスト操作で起こりやすい典型的な誤りです。
削除(渡辺が抜ける)は、配列から消すのではなく参照を飛ばす方式。渡辺の前は小池なので、小池の次を高橋に付け替えます。
p ← sento
Player[p,2] ≠ nuke の間, p ← Player[p,2] ← 抜ける人の「一つ前」を探す
Player[p,2] ← Player[nuke,2]
n ← n - 1
単方向リストでは「前」を直接知る方法がないので、先頭から探索する必要がある点がポイントです。
問3 「前」も持たせる(双方向リスト)
列3に前のプレイヤーの行番号を追加します。石村の前は高橋で 5、渡辺の前は小池で 1。高橋の前は渡辺(行4)なので Player[5,3] に4を格納します。
列3を自動生成する手続きは、列2を辿りながら逆向きの矢印を書き込んでいく発想です。
q ← Player[p,2] ← 次のプレイヤー
Player[q,3] ← p ← その「前」は今いる自分
列3があると削除処理が簡潔になります。探索が不要になり、前後を直結させるだけです。
mae ← Player[nuke,3] / tugi ← Player[nuke,2]
Player[mae,2] ← tugi ← 前の人の「次」を書き換え
Player[tugi,3] ← mae ← 次の人の「前」を書き換え
問2で必要だった探索ループが消えています。データ構造に情報を足すと処理が単純になるという、アルゴリズム設計の本質がそのまま出題されています。
この方法でうまく解ける理由は、配列の行順ではなく「次を指す番号」をたどると、並び替え・追加・削除をリンクの付け替えとして考えられるからです。
検算:追加後は5→6→3→2→1→4→5と一周し、渡辺(4)を削除すると1の次が5になって5人の循環へ戻ります。
よくある誤り:追加では新しい要素の次を先に保存します。既存リンクを先に上書きすると、その先の要素をたどれなくなります。
第4問(選択)パンの移動販売を表計算で分析する
問1 利益の計算と集計
以下の数式では、試験冊子で「~」と示されるセル範囲を、実際の表計算ソフトで使うコロン「:」で表記します。
1個あたりの利益は「価格 −(原価 + 包装費)」なので B4-(C4+B$1)。あんぱんなら 160 −(70 + 5)=85円です。
包装費はセルB1にあり、D5〜D9へ縦にのみ複写するので行だけ固定すれば足ります。
日ごとの利益は「販売個数 × 1個あたり利益」。
販売記録!C2 * VLOOKUP(C$1, パン単価!$A$4:$D$9, 4)
パンの種類は1行目にあるので行を固定し C$1。利益は検索範囲A〜Dの4列目です。検算すると 79個 × 85円 = 6,715円 でシート3と一致します。
問2 場所と曜日を組み合わせて検索する
VLOOKUPは1つのキーで検索するため、場所と曜日を連結して1つのキーにするのが基本的な方法です。
A2&B2 → 「東」+「月」=「東月」
利益一覧では、場所は列を固定した $A2、曜日は行を固定した B$1 を連結します。こうすると縦横どちらに複写しても正しいキーが組み上がります。
各曜日の1位に◎、2位に○を付けるのは RANK の入れ子IFです。
IF(RANK(利益一覧!B2, 利益一覧!B$2:B$6)=1, "◎", IF(RANK(...)=2, "○", ""))
順位を取る範囲はその曜日の列の中(B2〜B6)なので、行を固定して列は動かします。
問3 ロット数とセット販売
ロット数のルールは2段構えです。
ROUNDUP(B3/10,0) + IF(OR(B3=MAX($B3:$G3), MOD(B3,10)=0), 1, 0)
「販売個数が同じ曜日の中で最大」または「10の倍数」なら1ロット追加します。検算します。
| 曜日・種類 | 個数 | 切上げ | 追加条件 | ロット |
|---|---|---|---|---|
| 月・あん | 52 | 6 | 最大 → +1 | 7 |
| 月・ジャム | 49 | 5 | なし | 5 |
| 火・カレー | 40 | 4 | 10の倍数 → +1 | 5 |
| 水・カレー | 60 | 6 | 最大かつ10の倍数 → +1 | 7 |
シート6の値がすべて再現できます。両方に当てはまっても加算は1回だけ(ORなので)という点に注意してください。
セット販売は、残り個数の多い順に2種類を組み合わせ、少ない方の個数だけセットを作る貪欲法です。
| 段階 | あん | ジャム | メロン | カレー | チーズ | ピザ | 組合せ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 作成前 | 7 | 2 | 3 | 2 | 5 | 4 | あん×チーズ → 5 |
| 第1後 | 2 | 2 | 3 | 2 | 0 | 4 | ピザ×メロン → 3 |
| 第2後 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | あん×ジャム → 2 |
| 第3後 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | カレー×ピザ → 1 |
第3セットでは残り個数が2のパンが3種類(あん・ジャム・カレー)並びます。ここで同数のときは左にあるものを優先という規則により、あんぱんとジャムパンが選ばれます。
残り個数を更新する式は、そのパンがセットに使われたかを判定します。
IF(OR(B$2=$H3, B$2=$I3), B3-$J3, B3)
セットにするパンの種類(H列・I列)とセット数(J列)は同じ行の左側を見るので列を固定し、行は複写に応じて動かします。
この方法でうまく解ける理由は、複写方向ごとに固定する行・列を決め、表の各段階を実データで再現すると、参照式と更新式を同じ手順で検証できるからです。
検算:79×85=6715円です。セット販売は、あん×チーズ5、ピザ×メロン3、あん×ジャム2、カレー×ピザ1の順で表と一致します。
よくある誤り:セル範囲はコロン「:」で記述します。また最大かつ10の倍数でも、OR条件なので追加するロットは1つです。
この回の総評
追試験らしく、同じ題材を段階的に発展させる構成が徹底されていました。
第2問は「誤入力を数える」だけの単純な定義から出発し、単語ごとの集計、英字ごとの集計、そして先行英字ごとの割合へと分析の粒度を上げていきます。分母の取り違え(lの30回)がそのまま失点になる設計です。
第3問は連結リストの単方向 → 双方向という発展で、「データ構造に情報を足すと探索が消える」というアルゴリズムの核心を体験させます。
第4問は複写方向と絶対参照が全体を貫くテーマ。特にキー連結 $A2&B$1 は、縦横両方向の複写を1つの式で成立させる技法として重要です。
※本記事の解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答ではありません(すべての設問について大学入試センター公表の正解と照合しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
情報Ⅰを得点源にしたい方へ
追試験は「考え方の発展」がそのまま出ます
連結リストや絶対参照は、情報Ⅰの第3問・第4問でも問われる中核です。情報ラボでは、著書『きめる!共通テスト情報Ⅰ』の藤原進之介がマンツーマンで指導します。