情報関係基礎は2025年1月の実施が最後です。令和7年度は「旧情報関係基礎」として旧課程履修者向けに出題され、令和8年度の問題一覧には同科目は掲載されていません。判定図・手続き・表計算には、情報Ⅰでも必要になるプログラム読解やデータ活用と重なる考え方があります。情報Ⅰ 最強120講義、情報Ⅰ 過去問(無料PDF)もあわせてご利用ください。
一次資料は、大学入試センターの令和7年度 本試験の問題と令和7年度 本試験の正解です。記事末尾の著書情報は学研出版の公式書誌で確認しています(2026年8月7日確認)。
| 大問 | 選択 | 配点 | テーマ |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 必答 | 40 | 情報セキュリティ/アクセス権限/判定図(オートマトン) |
| 第2問 | 必答 | 30 | 推薦ルールと2種類の割合/計算量の削減 |
| 第3問 | 選択 | 30 | 出店候補地の探索とアルゴリズム |
| 第4問 | 選択 | 30 | 表計算(COUNTIF・IF・VLOOKUP) |
第1問 問1 情報セキュリティと通信量(ア〜サ)
会話a(パスワード)。偽サイトへ誘導して認証情報を盗むのはフィッシング、メールに書かれた変更用ページの場所はURL、Webの送受信プロトコルはHTTPで、SSL/TLS と組み合わせると通信が暗号化されます。指紋や静脈パターンを使うのは生体認証。
会話b(Webページ)。JPEGと並ぶ画像形式はPNG、人工衛星の電波で位置情報を得るのはGPS。撮影位置が残ると自宅の場所が知られる恐れがあるのでプライバシーの侵害。読み上げソフトで内容が伝わるようにする配慮はアクセシビリティの向上です。
コサ(通信速度)。通信速度は単位をそろえて計算します。1G=1000Mとするので
0.6 Gバイト = 600 Mバイト = 600 × 8 = 4800 Mビット
4800 Mビット ÷ 50秒 = 96 Mbps
バイトとビットの変換(×8)を忘れると 12 になります。単位の取り違えが最も多い失点です。
この方法でうまく解ける理由は、会話中の役割を「攻撃」「通信」「画像」「位置情報」「利用しやすさ」に分け、通信量だけを同じ単位へ変換できるからです。
検算:0.6×1000×8=4800Mビット、4800÷50=96Mbpsとなり、コサ=96です。
よくある誤り:GバイトからMビットへ直すときは1000倍に加えて8倍します。また、メール内のリンクをそのまま開くことと、公式ブックマークから開くことを区別します。
第1問 問2 アクセス権限をビット列で管理する(シス〜ナ)
「クラス」「その他」に対して「閲覧」「意見」を設定するので、チェックの組合せは 2⁴ = 16通り。
ただし「閲覧できない記事へ意見の書込みを許可する」設定はできません。クラス側で(閲覧,意見)=(0,1)を除くと3通り、その他側も同様に3通り。よって
3 × 3 = 9通り
生徒Fの「自分のクラスにだけ閲覧を許可し、だれにも意見を書き込ませない」は、図2の並び(クラス閲覧・クラス意見・その他閲覧・その他意見)に当てはめて 1000。
「他クラスの生徒に感想を書き込んでもらう」には、その他の閲覧と意見の両方が必要なので下2桁が11。表1で該当するのは 記事3(1011)。「他人に見せたくない個人メモ」は全員に何も許さない 記事6(0000)です。
ナは設定できないものを選びます。「その他」は作成者のクラス以外の校内生徒全員を指す一括りの区分なので、その中からクラス3-1だけを取り出すことはできません。よって③が正解です。
この方法でうまく解ける理由は、各対象の権限を「不可・閲覧のみ・閲覧と意見」の3状態に整理すると、許可できる組合せを3×3で数えられるからです。
検算:4個のチェックだけなら2⁴=16通り、禁止状態を除くと3²=9通りです。生徒Fの条件はクラス閲覧だけが1なので1000です。
よくある誤り:「その他」は他クラスの生徒全体を一括指定します。特定の1クラスだけを除外・許可する設定はできません。
第1問 問3 判定図(オートマトン)(ニ〜フ)
この問題では、図の矢印に従って状態遷移を正確に追います。本文の例から遷移を逆算するのが確実です。
例「うふふう」→ ABCCB から、次の4本が確定します。
| 現在 | 読む文字 | 移動先 |
|---|---|---|
| A | う | B |
| B | ふ | C(二重丸) |
| C | う | B |
| C | ふ | C |
これで「うふうふふ」を追うと A→B→C→B→C→C、すなわち ABCBCC。
合格判定は「読み終えたときCにいるか」。選択肢を順に追うと、うふふうふ が A→B→C→C→B→C でCに到達するのでヌ = ②。
文字列群5つでは「うふうふ」(→C)と「うふふふ」(→C)の2個が合格。「ううふ」はBから う に対応する矢印がなく、その時点で不合格です。
数字列の図4は「1〜9 → 0〜9 → 以降0〜9を繰り返す」型なので、先頭が0でない2桁以上が条件。「89」「301」「2025」の3個が該当します。
時と分の判定図は、余計な0を許さない条件が重要です。
- ハ:十の位が1のとき、時は12までなので一の位は 0〜2
- ヒ:分が2桁のとき、59までなので十の位は 1〜5
- フ:1桁の分のうち、1〜5 は2桁の可能性があるためE側へ回す必要があり、Fへ直行できるのは 0 と 6〜9
特に判断しにくいのはフです。6〜9は分の十の位になれず、次の数字を待たずに1桁の分だと確定するため、Fへ直接移動させます。
この方法でうまく解ける理由は、図を遷移表へ直し、1文字読むごとに現在地を更新すれば、長い文字列でも同じ操作を繰り返して判定できるからです。
検算:「うふうふふ」はABCBCCで二重丸Cに到達します。5文字列中の合格は2個、数字列群では「89」「301」「2025」の3個です。
よくある誤り:自分自身を指す矢印でも移動は1回として記録します。対応する矢印がない場合は、その時点で不合格です。
第2問 推薦ルールと2つの割合(ア〜ツ)
動画配信サービスで「作品xを観たがyを観ていない会員にyを薦める」ルールを設計する問題。100名の視聴実績(表1)が出発点です。
問1 割合P ── 全体に対する割合
割合P は「xとyの両方を視聴した会員数 ÷ 調査した会員数 × 100」。調査は100名なので、両方視聴した人数がそのまま%になります。
B→C:BとCの両方は「A B C」10+「B C」15+「B C D」10 = 35%
C→A:CとAの両方は「A B C」10+「A C」25+「A C D」15 = 50%
12個の候補すべてを求めると 20, 50, 15, 20, 35, 15, 50, 35, 25, 15, 15, 25。上位1/3(4個)は 50, 50, 35, 35 なので
ルールセット1 = {A→C, C→A, B→C, C→B}
Cだけを観た会員には、C→A と C→B が適用されて AとB を薦めることになります。
問2 割合Q ── xを観た人に対する割合
割合Q は「両方視聴 ÷ xを視聴した会員数 × 100」。分母が変わる点が本質です。
B→C:Bの視聴者は 10+10+15+10+5 = 50名。両方は35名なので 35/50 = 70%
各作品の視聴者数は A:60、B:50、C:75、D:40。全12候補のQを計算して50%以上を拾うと
ルールセット2 = {A→C(83.3%), B→C(70%), C→A(66.7%), D→C(62.5%)}
セット1と比べると、共通は A→C・B→C・C→A の3個、セット1のみが C→B、セット2のみが D→C。少なくとも一方に含まれるのは 3+1+1 = 5個です。
問3 計算量を減らす
作品が9個なら候補は 9 × 8 = 72個。しかし割合Pはxとyを入れ替えても値が同じなので、組合せの数 ₉C₂ = 36回で済みます。
次にPとQの関係。分子は同じで、分母は「全会員数 ≧ xの視聴者数」。分母が大きいほど値は小さいので
割合P ≦ 割合Q
したがって P が50%以上なら、計算せずともQも50%以上と判断できます。
Pが50%以上の候補数を M、ルールセット1の個数を N とすると
- M ≧ N のとき:ルールセット1(Pの上位N個)はすべてP≧50%なので、Qの計算は 0回
- N > M のとき:上位N個のうちP≧50%はM個だけ。残りを確かめる必要があり N−M回
この方法でうまく解ける理由は、PとQは分子が同じで分母だけが異なり、Pはxとyを入れ替えても同じになるため、大小関係と対称性で計算回数を減らせるからです。
検算:P上位4件はA→C、C→A、B→C、C→Bです。Qが50%以上なのはA→C、B→C、C→A、D→Cで、共通3件・和集合5件となります。
よくある誤り:x→yとy→xは推薦ルールとしては別物です。一方、割合Pの値だけは両方向で等しいため、72候補を36組で計算できます。
第3問(選択)出店候補地の探索
問1 2つの条件で候補地を絞る
条件Aは「半径400m以内のビルが3以上」。表1で各行の400以下を数えると、候補地3は2個、4は1個、5は3個、6は3個。よって条件Aを満たすのは 候補地1・5・6。
条件Bは「そのビルにとって、どの競合店よりも自店が近くなるビルがある」。まず表2で各ビルの最寄り距離を確定します。
| ビル | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 最寄り距離 | 100 | 230 | 100 | 100 | 140 | 220 |
候補地ごとに「距離 < 最寄り距離」となるビルがあるか調べると、候補地1はビル2(210<230)、候補地2はビル6(200<220)、候補地5はビル2(150<230)で成立。条件Bは候補地1・2・5。
両方を満たすのは候補地1と 候補地5 です。
問2 条件Aを判定する手続き
二重ループで全候補地×全ビルの距離を見て、400以下なら近隣ビル数を1増やします。
もし H1[i,j] ≦ 400 ならば Kinrin[i] ← Kinrin[i] + 1
そのあと各候補地について Kinrin[i] ≧ 3 を判定し、ZyokenA[i] に 1 または 0 を格納します。Kinrin の初期値が0であること、添字が候補地番号 i であることが手掛かりです。
問3 最寄り距離を求めて両条件を判定する
前半は最小値を求める定型処理です。まず競合店1との距離で初期化し、2番目以降と比べて小さければ更新します。
Moyori[i] ← H2[1,i] / もし Moyori[i] > H2[j,i] ならば Moyori[i] ← H2[j,i]
ここで i はビル、j は競合店。H2 の添字が[競合店, ビル]の順なので H2[j,i] となる点に注意してください。
後半は条件Aを満たす候補地だけを対象に、条件Bを確かめます。フラグ m を0で初期化し、
もし H1[i,j] < Moyori[j] ならば m ← 1
一つでも該当ビルがあれば m は1になり、候補地番号 i を表示します。
この方法でうまく解ける理由は、条件Aを近隣ビルの個数、条件Bを競合店までの最短距離との比較に分け、最後に両方の候補番号の共通部分を取れるからです。
検算:条件Aは候補地1・5・6、条件Bは1・2・5なので、両方を満たすのは1・5です。
よくある誤り:条件Bは候補地からの距離が競合店の最寄り距離より小さい「<」です。またH1とH2では添字の役割が異なります。
第4問(選択)表計算で花壇を管理する
問1 必要数と不足数を求める
必要数は配置シートでその花が何区画使われているかなので COUNTIF(配置!A$1:E$5, A2)。D3〜D14 へ縦方向にのみ複写するため、行だけ固定すれば足ります。
不足数は「在庫が足りていれば0、足りなければ必要数−在庫数」なので
IF(C2>=D2, 0, D2-C2)
検算:配置シートで花bを数えると 2+2+0+2+2 = 8区画。在庫2なので不足6、140円×6 = 840円。シート4の値と一致します。
問2 予定表と観賞区画数
シート5では、月(C$1)が開始月(花種!$D2)以上かつ終了月(花種!$E2)以下なら花色(花種!$B2)を、種まき月(花種!$C2)と一致するなら◎を表示します。
行方向と列方向の両方に複写するため、月は行を固定して C$1、花種側は列を固定して $D2 のように、絶対参照の付け方が設問ごとに変わります。ここは行・列の固定を取り違えやすいため、特に注意が必要です。
シート6では、予定シートが空白または◎なら0、そうでなければ区画数を表示します。
IF(OR(予定!C2="",予定!C2="◎"), 0, 予定!$B2)
観賞区画率は各月の合計を25で割ります。C15〜M15へ横方向に複写するので行番号は変わらず、相対参照 B2:B14 で問題ありません。
問3 VLOOKUP で月から逆引きする
シート7は、配置シートの各セルの花名で花種シートを検索し、種まき月が指定月と一致すれば花名を表示します。
VLOOKUP(配置!A1, 花種!$A$2:$C$14, 3)
検索範囲は花名(A列)から種まき月(C列)までで、種まき月は範囲内の3列目。範囲は複写しても動かさないので完全な絶対参照にします。
シート8は予定シートを引きますが、月と列番号の対応が要点です。予定シートはC列が1月なので、n月は n+2 列目。したがって
VLOOKUP(配置!A1, 予定!$A$2:$N$14, $A$1+2)
結果が◎(種まき月)なら観賞できないので空白、そうでなければ花色を表示します。
この方法でうまく解ける理由は、式を複写する方向に合わせて固定する行・列を決め、検索範囲と列番号を別々に確認できるからです。
検算:配置シートの花bは8区画、在庫2、不足6で、購入金額は140×6=840円となりシート4と一致します。
よくある誤り:セル範囲はコロン「:」で記述します。縦複写では行、横複写では列、縦横複写では参照先に応じて行・列を固定します。
この回の総評
全体として「定義を正確に読み、機械的に適用する」力が問われました。第1問の判定図は矢印を眺めても解けませんが、本文の例1つから遷移表を復元すれば以降は作業になります。第2問は分母の違いだけでPとQの大小関係が決まり、それが計算量の削減に直結する構成でした。
第4問の表計算は、どちら方向に複写するかで絶対参照の付け方が変わるという一点に集約されます。縦だけなら行を、横だけなら列を、両方なら両方を固定する──この判断を設問ごとに繰り返す訓練が有効です。
情報Ⅰでも、第3問のプログラム読解と第4問のデータ活用で同じ思考が要求されます。第3問(プログラム)の解き方、第4問(データ分析)の解き方も参考にしてください。
※本記事の解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答ではありません(すべての設問について大学入試センター公表の正解と照合しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
情報Ⅰを得点源にしたい方へ
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プログラム読解と表計算は、情報Ⅰの第3問・第4問とほぼ同じ思考を使います。情報ラボでは、著書『きめる!共通テスト情報Ⅰ』の藤原進之介がマンツーマンで指導します。