広島市立大学 情報科学部の後期日程は、個別学力検査が「情報」1科目だけという、全国でも珍しい入試です。配点は300点。共通テストの「情報」200点と合わせると、総合900点のうち500点、つまり全体の55%が情報の得点で決まります。
さらにこの大学は、実施済みの入試問題を解答つきで公開し、導入前には模擬問題まで出しています。情報Ⅰを武器にする受験生にとって、いま最も対策しやすい国公立といっていい環境です。
基準日:2026年9月5日/科目・配点・試験時間・出題範囲は2027年度入学者選抜要項にもとづきます。一般選抜の学生募集要項は11月下旬に公表予定とされていますので、出願前に必ず大学公式でご確認ください。
配点——情報が900点中500点を占める
| 日程 | 共通テスト | 個別学力検査 | 総合点 | 情報が占める点数 |
|---|---|---|---|---|
| 後期日程 (募集人員35名) |
600点 数学200/情報200/外国語200 |
300点 情報のみ |
900点 | 500点/900点=約55% |
| 前期日程 (募集人員115名) |
800点 数学200/理科200/情報200/外国語200 |
400点 数学のみ |
1,200点 | 200点/1,200点=約17% |
後期日程は、共通テストが3教科(数学・情報・外国語)だけという点も大きな特徴です。国語も理科も地歴公民も要りません。数学と情報と英語の3本に資源を集中できる——この設計は、科目を絞りたい受験生にとって非常に相性がよくなります。
前期日程は個別が数学のみですが、共通テストで情報が200点あります。前期・後期のどちらを狙うにしても、情報Ⅰの学習は無駄になりません。前期で不合格になっても後期でそのまま戦える、という点も見逃せない利点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 90分 |
| 出題形式 | 筆記(記述式かマーク式かは要確認。公開されている過去問で確認できます) |
| 募集単位 | 情報科学部として一括募集。学科配属は2年次進級時 |
出題範囲の限定が、この大学の最大の特徴
選抜要項には、出題範囲が次のように書かれています。
情報Ⅰの全範囲(「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」)から出題します。ただし、「コミュニケーションと情報デザイン」については「情報のデジタル化」の範囲から出題します。
この但し書きは、対策上とても重要です。情報Ⅰの「コミュニケーションと情報デザイン」には、次のような内容が含まれています。
| この単元に含まれる内容 | 広島市立大の扱い |
|---|---|
| アナログとデジタル、標本化・量子化・符号化 | 出題対象(「情報のデジタル化」の範囲) |
| 2進法、文字コード、色の表現、画像・音・動画のデジタル化 | |
| データ量の計算、圧縮(可逆・非可逆) | |
| 誤り検出(パリティなど) | |
| コミュニケーション手段の特徴とメディアの分類 | この但し書きの読み方では対象外と考えられる(ただし断定はできません) |
| 情報デザイン、ユニバーサルデザイン、配色や書体の工夫 | |
| ピクトグラム、インフォグラフィックス、抽象化・可視化・構造化 |
※上表の右列は、選抜要項の但し書きから数強塾が整理したものです。学習の優先順位づけの目安としてご利用ください。範囲の最終的な解釈は募集要項および大学へのお問い合わせでご確認ください。
つまりこの大学の情報の試験は、デザインや表現より、計算と論理に寄っているということです。デジタル化の計算、プログラミング、ネットワークとデータ——この3本柱を厚くするのが正解になります。
公開されている過去問と模擬問題
広島市立大学は、次の2種類を公式に公開しています。情報入試を実施している大学の中でも、素材の充実ぶりは屈指です。
順番が大事です
- 模擬問題の「出題意図」から読む。大学が何を測ろうとしているかが言葉で書かれています。ここを読まずに問題から入ると、対策の方向がぶれます。
- 模擬問題を解く。本試験より前に作られたものなので、まずここで形式に慣れます。
- 2025年度を時間を計って解く。90分。解答と突き合わせて、失点の型(計算ミスか、知識の穴か、説明不足か)を分類します。
- 2026年度は直前まで取っておく。本番形式で通せる素材は貴重です。使い切らないでください。
前期と後期、どちらで出願するか
| 前期日程 | 後期日程 | |
|---|---|---|
| 募集人員 | 115名 | 35名 |
| 共通テストの科目数 | 数学・理科・情報・外国語 | 数学・情報・外国語の3教科 |
| 個別試験 | 数学(400点) | 情報(300点) |
| 向いている人 | 数学の記述で得点できる。理科も仕上がっている。 | 情報Ⅰが強い。理科に時間を割けない。前期で他大学を受ける。 |
後期日程は募集人員が35名と少なく、前期で他大学を受けた受験生が集まるため、倍率は前期より高くなりやすい日程です。ただし個別試験が情報1科目という特殊性から、対策の密度がそのまま順位に反映されやすい面もあります。「情報だけは誰にも負けない」状態を作れるなら、後期は非常に狙い目です。
オリジナル類題4題(数強塾作成)
以下は数強塾が作成したオリジナル問題です。実際の入試問題ではありません。出題範囲の但し書きに合わせ、「情報のデジタル化」「プログラミング」「データの活用」を厚めに構成しています。数値はすべて計算機で検算済みです。
類題1|画像のデジタル化
幅8インチ、高さ10インチの原稿を、解像度600dpi(1インチあたり600画素)でスキャンする。1MB=106バイトとする。
(1) 総画素数を求めよ。
(2) 1画素24ビットのフルカラーで保存すると、データ量は何MBか。
(3) 1画素8ビットのグレースケールで保存すると、データ量は何MBか。
(4) 解像度を300dpiに落とすと、フルカラーでのデータ量は何MBになるか。またなぜその値になるのかを説明せよ。
解答・解説
(1) 横は 8 × 600 = 4,800画素、縦は 10 × 600 = 6,000画素。総画素数は 4,800 × 6,000 = 28,800,000画素。
(2) 24ビット = 3バイトなので 28,800,000 × 3 = 86,400,000バイト = 86.4MB。
(3) 8ビット = 1バイトなので 28,800,000 × 1 = 28.8MB。フルカラーのちょうど3分の1です。
(4) 300dpiでは横2,400画素・縦3,000画素で、総画素数は 7,200,000画素。フルカラーなら 7,200,000 × 3 = 21.6MB。
解答例:解像度を半分にすると、縦と横の画素数がそれぞれ半分になるため、総画素数は2分の1×2分の1で4分の1になる。したがってデータ量も4分の1になる。
「解像度が半分=データ量が半分」ではありません。面積で効くので4分の1です。ここは頻出の引っかけどころです。
類題2|2進法と負の数の表現
コンピュータで負の整数を表す方法のひとつに「2の補数」がある。
(1) 10進数の37を8ビットの2進数で表せ。
(2) 8ビットの2の補数表現で −37 を表せ。求め方の手順も書け。
(3) (2)で得たビット列を、符号なしの2進数として10進数に読み替えるといくつになるか。またその値と256との関係を述べよ。
(4) 8ビットの2の補数で表せる整数の範囲を答えよ。
解答・解説
(1) 37 = 32+4+1 なので 00100101。
(2) 手順は「すべてのビットを反転し、1を足す」。
00100101 → 反転 → 11011010 → 1を足す → 11011011。
(3) 11011011 = 128+64+16+8+2+1 = 219。
解答例:219 = 256 − 37 である。8ビットで表せる数は256通りなので、2の補数は「256から元の数を引いた値」に一致する。これが「補数」と呼ばれる理由である。
(4) 最上位ビットを符号に使うので、表せるのは −128 以上 127 以下。
負の側が1つ多いのは、0の表現が1通りしかない(00000000)ためです。
類題3|ユークリッドの互除法
次のプログラムは、2つの正の整数の最大公約数を求めるものである(ユークリッドの互除法)。
b = 462
b != 0 の間繰り返す:
| amari = a % b
| a = b
| b = [ ア ]
表示する(a)
ただし a % b は a を b で割った余りを表す。
(1) 空欄アに入るものを答えよ。
(2) 繰り返しのたびに a と b がどう変化するかを表にまとめ、表示される値を答えよ。
(3) 繰り返しは何回行われるか。
(4) この方法が、1から順に約数を調べていく方法より速い理由を説明せよ。
解答・解説
(1) ア=amari。
(2) 変化は次のとおりです。
| 回 | 開始時の a | 開始時の b | amari(a を b で割った余り) | 終了時の a | 終了時の b |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1071 | 462 | 1071 − 462×2 = 147 | 462 | 147 |
| 2 | 462 | 147 | 462 − 147×3 = 21 | 147 | 21 |
| 3 | 147 | 21 | 147 − 21×7 = 0 | 21 | 0 |
b が0になったので繰り返しを抜け、表示されるのは 21。実際 1071 = 21×51、462 = 21×22 で、21が最大公約数です。
(3) 3回。
(4) 解答例:1から順に調べる方法では、小さいほうの数まで最大462回の割り算が必要になる。互除法では1回の割り算で数が余りの大きさまで一気に小さくなるため、3回で終わる。数が大きくなるほど差は開く。
「1回の操作でどれだけ問題が小さくなるか」——アルゴリズムの速さを説明するときは、この視点で書くと伝わります。
類題4|度数分布と代表値
40人が受けたテストの得点を、10点ごとの階級に分けて集計したところ次のようになった。
| 階級(点) | 50以上60未満 | 60以上70未満 | 70以上80未満 | 80以上90未満 | 90以上100未満 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数(人) | 4 | 9 | 12 | 10 | 5 | 40 |
(1) 各階級の相対度数を小数第3位まで求めよ。
(2) 累積相対度数を求めよ。
(3) 中央値が含まれる階級はどれか。理由とともに答えよ。
(4) この表からは平均値を正確に求めることができない。その理由と、近似的に求める方法を述べよ。
解答・解説
(1)(2) 度数を40で割ります。
| 階級 | 50〜60 | 60〜70 | 70〜80 | 80〜90 | 90〜100 |
|---|---|---|---|---|---|
| 度数 | 4 | 9 | 12 | 10 | 5 |
| 相対度数 | 0.100 | 0.225 | 0.300 | 0.250 | 0.125 |
| 累積相対度数 | 0.100 | 0.325 | 0.625 | 0.875 | 1.000 |
(3) 70点以上80点未満の階級。
理由:40人の中央値は20番目と21番目の平均にあたります。累積相対度数が0.5(=20人)を初めて超えるのは3番目の階級(0.625)なので、20番目も21番目もこの階級に入ります。
(4) 解答例:度数分布表では各人の実際の得点が失われており、階級の中のどこに何人いるかが分からないため、正確な平均値は計算できない。近似的には、各階級の階級値(中央の値。たとえば50以上60未満なら55)を代表として、階級値×度数の合計を総度数で割って求める。
この方法で計算すると (55×4+65×9+75×12+85×10+95×5) ÷ 40 = 3,030 ÷ 40 = 75.75点となります。あくまで近似値である点に注意してください。
学習計画
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高3の春〜夏 | 情報Ⅰを一周。「情報のデジタル化」の計算(画像・音・文字・圧縮・誤り検出)は、単位変換込みで反射的に解ける状態まで。 |
| 高3の夏 | 大学公開の模擬問題を、出題意図から読んで解く。プログラミングはトレース表を書く習慣をつける。 |
| 高3の秋 | 2025年度の過去問を時間を計って解き、失点を「計算ミス/知識の穴/説明不足」に分類する。共通テスト対策(数学・情報・英語の3教科)と並行。 |
| 共通テスト後 | 前期の結果を待ちながら、2026年度の過去問と類題で90分の通し演習。後期は個別が情報だけなので、この時期の伸びがそのまま点になります。 |
- 情報Ⅰ 過去問解説・無料プリントのハブ
- 共通テスト「情報Ⅰ」試作問題 全問解説
- 共通テスト2026 本試験「情報Ⅰ」全問解説
- 情報関係基礎 2024年度 全問解説
- 情報Ⅰ オリジナル予想問題
- 情報Ⅰ 最強120講義
よくある質問
Q. 後期日程は倍率が高いと聞きますが、それでも狙う価値はありますか。
A. 募集人員35名に対して、前期で他大学を受けた受験生も出願するため、倍率は前期より高くなりやすい日程です。ただし個別が情報1科目という条件は、対策した人としていない人の差がそのまま出る構造でもあります。倍率という平均値より、自分が情報でどれだけ書けるかで判断してください。
Q. 「情報のデジタル化」の範囲に限定されるなら、情報デザインは勉強しなくてよいですか。
A. 出題範囲の但し書きから読むかぎり、情報デザインの表現論は優先度が下がります。ただし共通テストでは出題されます(後期日程でも共通テストの情報は200点あります)。個別対策としては後回しでよい、という程度にとどめてください。
Q. 前期で数学、後期で情報という組み合わせは大変ではないですか。
A. 実は相性がよい組み合わせです。共通テストで数学・情報・外国語が必要なので、後期の3教科は前期の準備に完全に含まれます。追加で必要になるのは個別試験用の情報Ⅰの記述力だけです。前期の数学対策と並行しやすい設計になっています。
個別が情報1科目——ここまで対策が点に直結する入試は多くありません。
数強塾ではオンライン個別指導で情報Ⅰを扱っています。公開されている過去問と模擬問題の使い切り方、デジタル化の計算の型づくり、記述答案の書き方まで伴走します。全国どこからでも受講できます。
免責:本ページは入試情報の整理と学習支援を目的としたもので、合否を保証するものではありません。掲載した類題はすべて数強塾のオリジナルであり、実際の入試問題ではありません。出題範囲の内訳について本ページで整理した内容は、選抜要項の記載にもとづく数強塾の解釈であり、大学の公式見解ではありません。配点・試験時間・出題範囲は各年度の入学者選抜要項・学生募集要項が正本です。出願前に必ず大学公式でご確認ください。誤りにお気づきの場合はお問い合わせよりご指摘ください。