北海道情報大学一般選抜 サンプル問題2025年度の「情報」から、全14問の解答解説を掲載します。いずれも設問の構造・方針・解答・独立した検算まで示しています。問題文そのものは掲載していませんので、大学公表の問題と併せてご利用ください。
このページの内容
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問1
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問2
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問2 (3)〜(6)
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問3
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問4
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問5
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問1
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問2
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問3
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問3
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問4 問1・問2
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問4 問3〜問5
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問5 問1
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問5 問2
問1 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問1
まず自分で解いてみる
4つの小問が、社会区分・例外規定・権利の発生方式・ライセンスの仕組みという順に並ぶ。
2つ目だけがすべて選ぶ形式で、他は1つ選ぶ形式である。すべて選ぶ設問では、1つでも取りこぼすと不正解になるため、境界の判定が重要になる。
選択肢には、権利の名称と仕組みの名称が混在している。問われているのが権利か仕組みかを読み分ける必要がある。
ヒント:この設問で使う道具
社会の段階区分 — 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会と続いてきた流れの次に位置づけられる構想がある。仮想空間と現実空間を高度に融合させ、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会を指し、第5段階として番号が振られている。
著作権の例外規定 — 著作権は強い権利だが、無制限ではない。一定の条件を満たせば、著作者の許諾なしに利用できる場面が個別に定められている。
| 認められる例 | 条件の要点 |
|---|---|
| 私的な範囲での複製 | 家庭内など限られた範囲での使用 |
| 引用 | 主従関係・出所明示・必要な範囲 |
| 教育機関での複製 | 授業の過程で必要な限度 |
| 図書館での複製 | 調査研究のため一部分など |
営利目的での利用は例外に含まれない。 商品の宣伝に使うような用途は、権利者の利益を直接損なうため、許諾が必要になる。
無方式主義 — 権利の発生に登録や出願を要しない考え方である。著作権はこれにあたり、創作した瞬間に自動的に発生する。一方、産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)はすべて出願と登録を経て初めて権利になる。
再利用の意思表示の仕組み — 著作者が「この条件なら自由に使ってよい」とあらかじめ示すための共通ライセンスがある。権利を放棄するのではなく、権利を持ったまま許諾の条件を定型化して公開する点が要点である。
解答・解説を開く
🧭 方針
社会区分は、番号が付いた構想として覚える。他の候補は技術の名称や産業の段階であり、社会の段階を指す語ではない。
例外規定は、「権利者の利益を直接損なうか」を基準に切る。私的な範囲、引用、教育、図書館はいずれも限定された条件下での利用であり、権利者の市場を奪わない。営利目的の宣伝利用だけが、本来なら対価を支払うべき場面にあたる。
無方式主義は、登録が要るかどうかで決まる。産業財産権はすべて登録が必要なので、残るものが答えになる。4つが同じ性質を持ち、1つだけ違うという構造を見抜けば即決できる。
ライセンスの仕組みは、選択肢のうち権利の名称でないものを探す。他の候補は権利や、著作権表示の記号を指す語である。
✍️ 解答
- 情報社会に続く人間中心の社会 → Society 5.0
- 著作権の例外規定に当てはまるもの → 私的利用の複製・引用・教育機関での複製・図書館での複製(営利目的の使用は含まない)
- 無方式主義の権利 → 著作権
- 再利用を許可する意思表示の仕組み → クリエイティブ・コモンズ
権利の発生方式を対比する。
| 権利 | 発生 |
|---|---|
| 著作権 | 創作した時点で自動的に(無方式主義) |
| 特許権・実用新案権・意匠権・商標権 | 出願して登録されて |
✅ 検算
語を当てはめ直すのではなく、制度の趣旨から逆に確かめる。
例外規定について。 もし営利目的の宣伝利用が例外に含まれるなら、著作物を使った広告に一切許諾も対価も不要になる。権利者は自分の作品が勝手に商業利用されるのを止められない。著作権を認める意味が失われるので、この用途が例外に入らないことが確認できる。
逆に、私的な複製まで許諾が必要だとすると、家庭内で音楽を録音することさえ違法になる。実務上も追跡不可能で、制度が機能しない。限定された範囲での利用を認めることには合理性がある。
無方式主義について。 もし著作権にも登録が必要だとしたら、子どもが描いた絵や個人のメモにまで手続きが要ることになる。創作は日常的に無数に行われるため、登録を前提とする制度は成立しない。日常的に発生する権利だからこそ、無方式でなければならない。
一方、産業財産権は同じ発明が同時期に複数生まれうるため、誰が先に出願したかを公的に記録する必要がある。この違いが、方式の有無を分けている。
ライセンスの仕組みについて。 他の候補を当てはめると、権利の名称や表示記号になってしまい、「意思表示をおこなうことができる仕組み」という説明と噛み合わない。仕組みを問われているのに権利名を答えるのがこの型の典型的な誤りである。
💡 ここで効く一般則
著作権の例外は「権利者の市場を奪わないか」で判定する。 私的・引用・教育・図書館は限定条件下、営利の宣伝利用は対価が必要な場面である。
無方式主義は著作権だけ。産業財産権はすべて登録が必要。 この一線で切れる設問は頻出する。
「すべて選べ」は取りこぼしが致命的。 境界にある選択肢を必ず個別に判定する。
権利の名称と仕組みの名称を区別する。 説明文が「仕組み」「制度」と述べていたら、権利名は答えにならない。
社会の段階区分は番号付きの構想として覚える。 技術名や産業の段階と混同しない。
情報Ⅱでは、この枠組みがオープンな共有の設計として発展する。共通ライセンスは、利用条件を人にも機械にも読める形で定型化することで、大量の作品の再利用を可能にした。権利を主張することと、共有を促すことは両立しうる——その具体例として位置づけられる。
問2 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問2
まず自分で解いてみる
前半は3つの空欄に階層の各段階を当てる。後半は能力の名称を選ばせる。
前半の解答群には、階層の3段階に加えて、媒体を指す語と大量のデータを指す語が混ぜられている。階層のどこにも当てはまらない語を除けば、残りを順に当てるだけになる。
後半の選択肢は、いずれも情報教育で扱われる重要語である。どれも正しい概念だが、説明文に対応するのは1つだけという構成になっている。
ヒント:この設問で使う道具
データ・情報・知識の階層 — 3つは段階的に積み上がる関係にある。
| 段階 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| データ | 事象を数字・文字・記号で表しただけのもの | 気温の測定値の羅列 |
| 情報 | データに意味や価値を与えたもの | 「今日は平年より5度高い」 |
| 知識 | 情報を分析・体系化し、問題解決に使える形にしたもの | 「この気温なら熱中症対策が要る」 |
下から上へ行くほど、人の解釈が加わり、行動に結びつく。データそのものは意味を持たず、意味は受け取る側の文脈から生まれる。
区別の要点は、「そのままでは使えないか、使えるか」である。数値の羅列を見ても判断できないが、意味づけされれば読み取れ、体系化されれば別の場面にも応用できる。
メディアリテラシー — 情報を鵜呑みにせず、真偽を見極めて活用する能力を指す。必要な情報を探し出すこと、内容の偏りを見抜くこと、信頼性を判断することを含む。
紛らわしい語との違いを押さえる。
| 語 | 指すもの |
|---|---|
| 情報モラル | 情報社会で適切に行動するための態度・規範 |
| 情報セキュリティ | 情報を守るための技術と管理 |
| デジタルデバイド | 情報technologyを使える人と使えない人の格差 |
| メディアリテラシー | 情報を読み解き活用する能力 |
解答・解説を開く
🧭 方針
前半は説明文の動詞をたどる。
- 「事象を数字・文字・記号で表したもの」 → 加工前の素材
- 「人間にとって意味や価値のあるものにしたもの」 → 意味づけの結果
- 「分析し、体系化して問題解決に活用できるようにしたもの」 → 応用可能な形
説明文が3段階の加工の度合いをそのまま述べているので、順に当てはめればよい。媒体を指す語は伝える手段であって加工の段階ではなく、大量のデータを指す語は規模の話で階層とは別軸である。
後半は説明文の限定句を拾う。 「真偽を判断し」「適切な情報を取り出し」「活用できる」という3つがすべて含まれる語を選ぶ。態度を指す語では判断能力を説明できず、技術を指す語では活用の側面が抜け、格差を指す語は能力そのものではない。
✍️ 解答
- 事象を記号で表したもの → データ
- 意味や価値を与えたもの → 情報
- 体系化して問題解決に使える形にしたもの → 知識
- 真偽を判断し適切に活用する能力 → メディアリテラシー
階層を1つの例で通して見る。
| 段階 | 具体例 |
|---|---|
| データ | 各日の来店者数の数値 |
| 情報 | 「週末は平日の2倍来店する」 |
| 知識 | 「週末に人員を増やせば待ち時間を減らせる」 |
同じ数値でも、意味づけと体系化を経て初めて行動につながる。 データを集めるだけでは何も変わらない、というのがこの階層の含意である。
✅ 検算
語を当てはめ直すのではなく、段階を入れ替えたら説明文が成立するかで確かめる。
最上段と最下段を入れ替えて読むと、「事象を数字・文字・記号で表したものを知識と呼び、それを分析・体系化したものをデータという」となる。加工の向きが逆転し、体系化した結果が素材に戻ることになって意味をなさない。
媒体を指す語を階層に入れた場合も試す。媒体は情報を伝える手段であり、加工の段階ではない。「事象を媒体で表す」とは言えても「媒体を分析して体系化する」とは言えないので、階層の位置に収まらない。
後半も限定句で確かめる。 説明文には「真偽を判断し」とある。態度や規範を指す語は、何をすべきかの規範であって判断能力ではない。技術と管理を指す語は、守ることが目的で読み解くことではない。格差を指す語は状態を表し、能力ではない。3つの限定句をすべて満たすのは1つだけである。
逆から確かめる。 メディアリテラシーが欠けていると何が起きるか。偏った情報や誤った情報をそのまま受け入れ、判断を誤る。これは説明文が挙げる「内容に偏りがあったり、信憑性が保証されていない情報」という状況への対処能力そのものであり、対応が確認できる。
💡 ここで効く一般則
データ→情報→知識は、加工の度合いで積み上がる。 素材、意味づけ、体系化。この3語の順序は固定である。
説明文の動詞が段階を示す。 「表したもの」「意味を与えたもの」「体系化したもの」。動詞をたどれば順に当てはまる。
似た重要語は「何を指すか」で区別する。 態度、技術、格差、能力。指すものの種類が違えば、説明文との対応で切れる。
「すべての限定句を満たすか」で選ぶ。 説明文に3つの要素があれば、3つとも説明できる語を選ぶ。
情報Ⅱでは、この階層がデータ活用の設計として実務に接続する。大量のデータを集めても、意味づけと体系化の工程を設計しなければ行動には結びつかない。どの段階で誰が何を判断するかを決めることが、分析基盤を作る際の中心的な課題になる。データを集めること自体が目的化する失敗を避けるための枠組みでもある。
問3 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問2 (3)〜(6)
まず自分で解いてみる
4つの小問が、通信の同期性・メールの宛先欄・視覚記号・Web記述言語という順に並ぶ。
1つ目だけがすべて選ぶ形式で、残りは1つ選ぶ形式である。すべて選ぶ設問は取りこぼしが致命的になるため、境界にある候補を個別に判定する必要がある。
選択肢には、正解と同じ分野の紛らわしい語が並ぶ。特に視覚記号の設問では、デザインや利用しやすさに関わる語が複数混ぜられている。
ヒント:この設問で使う道具
同期型と非同期型 — 相手と時間を共有するかどうかで分かれる。
- 同期型 … 送り手と受け手が同時にやり取りする。相手の都合を拘束する代わりに、その場で確認や修正ができる
- 非同期型 … 送り手が発信した後、受け手が都合のよいときに受け取る。相手の時間を拘束しないが、誤解が残りやすい
判定の決め手は「相手がその場にいる必要があるか」である。声や映像でやり取りするものは同期型、書いて残すものは非同期型になる傾向がある。
電子メールの送り先欄 — 3種類あり、宛先の見え方が違う。
| 欄 | 他の受信者から見えるか |
|---|---|
| 主たる宛先 | 見える |
| 参考として送る欄 | 見える |
| 秘密の参考欄 | 見えない |
同じ内容を複数人へ送りつつ、互いのアドレスを知らせたくない場合は、秘密の参考欄を使う。多数へ一斉送信する際にこれを誤ると、全員のアドレスが互いに漏れる事故になる。
ピクトグラム — 言語に頼らず、対象を抽象化した図で意味を伝える記号である。非常口や案内表示に使われ、言語が通じなくても意味が伝わることを狙っている。
構造と装飾の分離 — Webページでは、文書の骨組みを記す言語と、見た目を記す言語を分ける。装飾を担うのが後者である。
解答・解説を開く
🧭 方針
同期性は「相手がその場にいる必要があるか」で切る。 声や映像でやり取りするものは相手の同席が要る。書いて送るものは要らない。
メールの宛先欄は「他の受信者に見えるか」で決める。 説明文が「知らせることなく」と明示しているので、見えない欄を選ぶ。
視覚記号は説明文の限定句で絞る。 「言語に頼らず」「抽象化して」という2点を満たす語を選ぶ。企業や商品を識別する図案は言語に依存しないが、抽象化して意味を伝えるものではない。利用しやすさや操作方式を指す語は、記号そのものではない。
Web記述言語は役割で切る。 構造を記すものと装飾を記すものは別である。他の候補は仕組みの名称や、文書内の部品を指す語である。
✍️ 解答
- 非同期型のもの → 電子メール・手紙・電子掲示板(電話とビデオ通話は同期型)
- 互いのアドレスを知らせず送る欄 → BCC
- 言語に頼らない抽象化した記号 → ピクトグラム
- 装飾を定義する記述言語 → CSS
同期性の分類を整理する。
| 手段 | 同期性 | 理由 |
|---|---|---|
| 電話 | 同期 | 双方が同時に応対する |
| ビデオ通話 | 同期 | 同上 |
| 電子メール | 非同期 | 受け手の都合で読む |
| 手紙 | 非同期 | 届くまで時間差がある |
| 電子掲示板 | 非同期 | 書き込みが残り後から読まれる |
電子掲示板が非同期である点に注意したい。画面上でやり取りするので同期的に見えるが、書き込みは残り、相手が同時にいる必要はない。
✅ 検算
判定を読み返すのではなく、「相手が不在でも成立するか」という一問で確かめる。
電話とビデオ通話は、相手が出なければ成立しない。相手の同席が必須である。
電子メール・手紙・電子掲示板は、相手が不在でも送信・投函・投稿が完了する。受け手は後から確認すればよい。成立に同席を要しない。
この基準で5つとも一貫して判定でき、取りこぼしがないことが確認できる。
メールの欄も逆から確かめる。 もし主たる宛先や参考欄に多数を並べれば、受信者全員が他の全員のアドレスを見ることになる。これは個人情報の漏洩にあたる。「知らせることなく」という条件を満たすのは、見えない欄だけである。
視覚記号も限定句で再検査する。 非常口の表示は、文字が読めなくても走る人の図で意味が伝わる。これが「言語に頼らず抽象化して伝える」ことの実例になる。企業の図案は識別が目的で、意味の伝達が目的ではない。目的の違いで切り分けられる。
記述言語も役割で確かめる。 構造を記す言語で色や配置を指定することも技術的には可能だが、それでは表示を切り替えたり読み上げに対応したりできない。分離することに意味があるという原則から、装飾専用の言語が存在する理由が説明できる。
💡 ここで効く一般則
同期か非同期かは「相手の同席が必要か」で決まる。 電子掲示板は画面上のやり取りでも非同期である。
BCCは他の受信者から見えない。 多数への一斉送信で誤ると全員のアドレスが漏れる。実務上の重大事故として頻出する。
ピクトグラムは言語に依存せず意味を伝える。 識別が目的の図案とは目的が違う。
「すべて選べ」は境界の候補を個別に判定する。 1つの取りこぼしで不正解になる。
構造と装飾は別の言語で書く。 分離することで表示の切り替えと読み上げ対応が可能になる。
情報Ⅱでは、これらが情報デザインの評価軸として統合される。誰に、どの手段で、どんな形式で伝えるか——同期性の選択、宛先の設計、記号の使用、構造の記述は、すべて「受け手にとって理解しやすいか」という一つの問いの別の側面である。手段の特性を知ることが、設計の選択肢を増やす。
問4 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問3
まず自分で解いてみる
8つの空欄が、閲覧用ソフト → 記法の名称 → 名前の部分 → 番号の呼称 → ページの部分 → 運ぶ単位 → 制御情報 → 変換の仕組みという順に並ぶ。
具体的な文字列が例として示され、下線で3つの部分に区切られている。どの部分が何と呼ばれるかを、例と対応づけながら答える構成になっている。
同じ語が複数回登場する空欄もあり、一度確定すれば後の空欄も連鎖して決まる。
ヒント:この設問で使う道具
Webページを見に行くとき、内部では3つの層の仕組みが順に働く。
① 場所を指定する記法 — 見たいページの所在を1本の文字列で表す。この文字列は3つの部分からなる。
| 部分 | 役割 |
|---|---|
| 先頭 | どんな手順でやり取りするかの取り決め |
| 中央 | どの機器かを人間が読める名前で示す |
| 末尾 | その機器の中のどのページかを示す |
中央の部分は人間向けの名前であり、機器が実際に通信に使う番号とは別物である。
② 名前を番号に変換する仕組み — 通信の相手は数字の並びで指定される。人間が覚えやすい名前から、この数字を引く仕組みが必要になる。通信を始める前に、まずこの変換を済ませる。
③ データを運ぶ単位 — やり取りは細かく分割されて運ばれる。その1つ1つの先頭には制御情報が付き、そこに相手の番号が書き込まれる。
この3層が揃って初めて、名前を打ち込むだけでページが表示される。どこか1つでも欠けると通信は成立しない。
解答・解説を開く
🧭 方針
例示された文字列の区切りを手がかりに、部分の名称から埋める。
先頭が手順の取り決め、中央が名前、末尾がページの指定である。中央の名前は人が読める形、それに対応する番号は数字の並びという対比を押さえる。
変換の向きに注意する。 人間が指定するのは名前で、通信に使うのは番号である。したがって変換は名前から番号へという向きになる。逆向きに読み違えると、仕組みの説明が成立しない。
運ぶ単位と制御情報は、本文が「通信の最小単位」「先頭部分にある」と述べているので、その説明にそのまま対応する語を選ぶ。
同じ語が繰り返される空欄を先に確定させると、残りが埋まりやすい。番号の呼称は3箇所に登場し、いずれも同じ語が入る。
✍️ 解答
| 空欄 | 答え |
|---|---|
| 閲覧に用いるソフトウェア | Webブラウザ |
| 場所を指定する記法 | URL |
| 中央の部分の呼称 | ホスト名(ドメイン名) |
| 通信に使う番号の呼称 | IP |
| 末尾の部分の呼称 | パス |
| 通信の最小単位 | パケット |
| その先頭にある制御情報 | ヘッダ |
| 名前から番号へ変換する仕組み | DNS |
処理の流れを順に追うと次のようになる。
1. 利用者が閲覧用ソフトに記法で場所を指定する
2. 中央の名前を、変換の仕組みに問い合わせて番号を得る
3. 得た番号を制御情報に書き込み、運ぶ単位を組み立てて送る
4. 末尾の指定に従って、相手の機器が該当ページを返す
名前を番号に変換する工程が、通信の開始前に挟まる点がこの流れの要である。
✅ 検算
語を当てはめ直すのではなく、各層が欠けたら何が起きるかで確かめる。
変換の仕組みが止まったら。 名前を打ち込んでも番号が分からず、通信を始められない。一方、番号を直接指定すればページは表示される。この非対称が、変換の仕組みが独立した層であることの証拠になる。実際、変換の仕組みだけが不調になると「名前では繋がらないが番号なら繋がる」という現象が起きる。
制御情報が無かったら。 運ぶ単位に相手の番号が書かれていないので、途中の機器がどこへ渡すか判断できない。最初の中継点で止まる。宛先を書く場所が必要であることが確認できる。
末尾の指定が無かったら。 機器までは届くが、その中のどのページかが決まらない。機器の特定とページの特定は別の情報であり、両方が要る。
変換の向きも逆から確かめる。 もし番号から名前へ変換する仕組みだとすると、利用者が最初に番号を知っている前提になる。しかし利用者が入力するのは名前である。入力が名前である以上、変換は名前を起点にする。
例示された文字列との対応も確認する。 先頭は手順の取り決めで、中央は人が読める文字列、末尾は階層を表す形式になっている。3つの部分が異なる性質を持つことが、それぞれ別の名称を持つ理由になっている。
💡 ここで効く一般則
場所の指定は「手順・機器・ページ」の3部構成。 それぞれ役割が違い、名称も違う。
人間向けの名前と、通信用の番号は別物。 両者を繋ぐ変換の仕組みが独立して存在する。
変換は名前から番号へ。 利用者が入力するのは名前だから、その向きになる。
「名前では繋がらないが番号なら繋がる」は変換の仕組みの不調。 障害の切り分けに直結する知識である。
運ぶ単位の先頭に制御情報、そこに宛先の番号。 宛先を書く場所がなければ中継できない。
情報Ⅱでは、この積み重ねが通信の階層構造として整理される。各層が下の層の詳細を知らずに働けることで、仕組みの一部を差し替えても全体が壊れない。番号の体系が新しい規格へ移行しても、上位の記法や閲覧用ソフトを作り替えずに済むのは、この分離のおかげである。役割を分けることが、変化に耐える設計を生む。
問5 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問4
まず自分で解いてみる
6つの空欄が、ビット数から状態数・状態数からビット数・10進から2進・2進から10進・2進から16進・16進から2進という順に並ぶ。
各変換が往復の対になっているのが特徴で、片方向だけ覚えていても半分しか埋まらない。すべての方向を機械的に処理できるかが問われている。
ヒント:この設問で使う道具
ビット数と状態数 — ビットで表せる状態は 通りである。逆に、 通りを表すのに必要なビット数は、 を満たす最小の になる。
| ビット数 | 状態数 |
|---|---|
| 3 | 8 |
| 7 | 128 |
| 8 | 256 |
10進数と2進数の往復 — 10進数から2進数へは、2で割り続けて余りを下から並べる。2進数から10進数へは、1が立っている桁の重み(下位から1, 2, 4, 8, …)を足す。
2進数と16進数の往復 — なので、2進数の4桁が16進数の1桁に対応する。下位から4桁ずつ区切って読み替えるだけでよく、10進数を経由する必要はない。
| 2進4桁 | 16進 | 2進4桁 | 16進 |
|---|---|---|---|
| 1010 | A | 1101 | D |
| 1011 | B | 1110 | E |
| 1100 | C | 1111 | F |
区切りは必ず下位から行う。上位から区切ると、最上位の組の桁数が足りずにずれる。
解答・解説を開く
🧭 方針
変換の種類ごとに手順を固定する。
- ビット数 → 状態数:2を掛け合わせる
- 状態数 → ビット数:2で何回割れるかを数える
- 10進 → 2進:2で割った余りを下から並べる
- 2進 → 10進:1の桁の重みを足す
- 2進 ↔ 16進:下位から4桁ずつ区切る
16進が絡む変換だけは、10進を経由してはいけない。4桁ずつの対応を使えば一手で済むところを、10進を経由すると計算が増えて誤りやすくなる。
✍️ 解答
ビット数と状態数
10進 ↔ 2進
12を2で割り続ける。、、、。余りを下から並べて 1100。
2進の1001は、重みが8と1の桁に1が立っているので 。
2進 ↔ 16進
00101011を下位から4桁ずつ区切ると 0010 と 1011。それぞれ2とBなので 2B。
E5は、Eが1110、5が0101。並べて 11100101。
変換の対応を一覧にする。
| 空欄 | 答え |
|---|---|
| 3ビットの状態数 | 8 |
| 128通りに必要なビット数 | 7 |
| 10進12の2進表現 | 1100 |
| 2進1001の10進表現 | 9 |
| 2進00101011の16進表現 | 2B |
| 16進E5の2進表現 | 11100101 |
✅ 検算
変換をやり直すのではなく、逆向きに戻して元の値に一致するかで確かめる。
1100を10進へ。 重みが8と4の桁に1が立っているので 。元の値と一致する。
9を2進へ。 、、、。余りを下から並べて1001。一致する。
2Bを2進へ。 2が0010、Bが1011。並べて00101011。一致する。
11100101を16進へ。 下位から区切ると 1110 と 0101。EとFではなくEと5なので E5。一致する。
ビット数も逆向きに確かめる。 7ビットなら で、与えられた状態数と一致する。3ビットの8も、2を3回掛けて到達する。
16進を10進経由で検算する。 2Bは 。2進の00101011は 。別経路でも同じ値に到達した。4桁ずつの区切りが正しく働いていることが確認できる。
区切りの向きも試す。 もし上位から区切れば 0010・1011 ではなく別の分かれ方になり、値が変わる。8桁なのでこの例では上位から切っても同じ結果になるが、桁数が4の倍数でない場合はずれる。習慣として下位から切る。
💡 ここで効く一般則
ビットで 通り。、、。 この3つを起点に覚える。
2進 ↔ 16進は4桁ずつ。10進を経由しない。 だからこの対応が成り立つ。8進なら3桁ずつになる。
区切りは必ず下位から。 桁数が4の倍数でないときは上位に0を補う。
逆向きに戻して検算する。 変換問題は必ずこれで確かめられる。一致しなければどこかで誤っている。
A〜Fは10〜15。 この対応を誤ると全桁がずれる。
情報Ⅱでは、この対応がデータの実際の見え方として現れる。メモリの内容や通信の中身を確認するとき、2進数では桁が多すぎて読めないため16進数で表示するのが慣例である。4桁ずつまとめることで、機械の表現を保ったまま人が読める形になる。10進数に変換してしまうと桁の境界が見えなくなるため、この用途では使われない。
問6 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問1 問5
まず自分で解いてみる
前半で用語を3つ、後半で回数と安定性の関係を答えさせる。
用語は「モデルを計算機上で動かす実験」「確率的な方法」「等確率の乱数」という説明文とともに示されるので、定義から引ける。
後半は、同じ乱数を少ない回数と多い回数で発生させたときに、どちらの頻度分布のばらつきが小さいかを問う。直感で答えられるが、その根拠を法則として言えるかが理解の分かれ目になる。
ヒント:この設問で使う道具
モデルとシミュレーション — 現実の現象から本質的な関係だけを取り出し、図や数式で表したものがモデルである。そのモデルを計算機の上で動かし、現象を人工的に再現する実験がシミュレーションにあたる。
実物で試せない場合(費用が大きい、危険、時間がかかりすぎる)に、モデルの上で試すことで見通しを立てる。
確率を使う方法 — シミュレーションには、方程式を解いて答えを求める確定的な方法と、乱数を使って何度も試す確率的な方法がある。後者をモンテカルロ法という。
手続きは単純である。
1. 乱数を発生させる
2. モデルに代入して結果を得る
3. これを何度も繰り返し、結果を集計して推定値とする
一様乱数 — どの値も等しい確率で現れる乱数である。特定の値が出やすい偏った乱数と区別する。モンテカルロ法では、まず一様乱数を発生させ、必要に応じて別の分布へ変換する。
大数の法則 — 試行回数を増やすほど、実際に観測される割合は理論上の確率に近づく。回数が多いほど、結果のばらつきは小さくなる。
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🧭 方針
用語は説明文の限定句をそのまま拾う。
- 「計算機上で行う現象の人工的な再現実験」 → 再現実験を指す語
- 「確率的な方法として知られる」 → 乱数を使う方法の名称
- 「どの値も等しい確率で発生する」 → 偏りのない乱数の名称
回数と安定性は、極端な場合を考える。
3種類の値が等確率で出る乱数を考える。理論上はそれぞれ約3分の1ずつになるはずである。
- 10個しか発生させない場合 … 3で割り切れないので、必ずどれかが多くなる。たまたま同じ値が続けば、比率が大きく偏る
- 10,000個発生させた場合 … 個々の偏りが打ち消し合い、比率は3分の1に近づく
したがって、ばらつきが小さくなるのは回数が多いほうである。
✍️ 解答
- 計算機上での再現実験 → シミュレーション
- 確率的な方法 → モンテカルロ法
- 等確率で発生する乱数 → 一様乱数
- ばらつきが小さくなるのは → 10,000個発生させた場合
回数による違いを整理する。
| 発生回数 | 各値の期待回数 | ばらつき |
|---|---|---|
| 10 | 約3.3回 | 大きい |
| 10,000 | 約3,333回 | 小さい |
期待回数そのものは回数に比例して増えるが、比率のばらつきは減る。 ここが直感と食い違いやすい点である。回数が増えれば絶対的なずれの幅は広がりうるが、全体に対する割合で見れば安定していく。
✅ 検算
判断を読み返すのではなく、極端な場合を代入して破綻を見る。
乱数を1個だけ発生させた場合。 出た値の頻度が100%、他の2つが0%になる。理論上の3分の1とはかけ離れる。1回では確率をまったく推定できない。
乱数を3個発生させた場合。 3つとも同じ値になる確率も無視できない。その場合も100%対0%対0%となり、やはり大きく偏る。
回数を増やしていくと。 100個なら各33個前後、10,000個なら各3,333個前後に落ち着く。回数を増やすほど3分の1に近づくことが確認できる。
逆向きの主張も試す。 もし「回数が少ないほうがばらつきが小さい」とすれば、1個だけ発生させたときに最も安定することになる。しかし1個では偏りが最大になる。明らかに成り立たない。
用語も逆から確かめる。 モンテカルロ法が乱数を使わないとすれば、確率的な方法とは呼べない。一様乱数が偏っているとすれば、「どの値も等しい確率」という説明と矛盾する。説明文の限定句がそのまま用語の定義になっている。
💡 ここで効く一般則
試行回数を増やすほど、観測される割合は理論上の確率に近づく。 これが大数の法則であり、シミュレーションの信頼性の根拠になる。
回数が少ないと結果は当てにならない。 10回程度の試行から確率を推定してはいけない。極端な場合(1回、3回)を思い浮かべれば直感的に納得できる。
モンテカルロ法は「乱数を発生させて繰り返す」。 方程式を解くのではなく、試行の集計で答えに近づける。
一様乱数は等確率。 偏った分布が必要なら、一様乱数から変換して作る。
「絶対的なずれ」と「割合のばらつき」を混同しない。 回数が増えれば前者は広がりうるが、後者は縮む。
情報Ⅱでは、この考え方が推定の精度として定量化される。試行回数を4倍にすると、割合のばらつきはおよそ半分になる。すなわち精度を2倍にするには回数を4倍にする必要があり、精度を上げるほど計算量が急激に増える。どこまで回せば十分かを見積もることが、シミュレーションを設計する際の実務的な判断になる。
問7 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問1
まず自分で解いてみる
5つの空欄が、3属性のうち2つ・色相を環にしたもの・環上の2つの位置関係という順に並ぶ。
明度は本文に示されているので、残る2つの属性を答えることになる。選択肢は5つで空欄も5つなので、すべて使い切る形になる。
位置関係を問う2つは、向かい合う/となり合うという語で区別されている。この2語を取り違えると、両方とも外れる。
ヒント:この設問で使う道具
色は3つの属性で表される。それぞれ独立に変えられるので、この3軸で色空間が張られる。
| 属性 | 表すもの | 変えると |
|---|---|---|
| 色相 | 赤・黄・緑といった色合い | 色味そのものが変わる |
| 明度 | 明るさ | 白寄りか黒寄りかが変わる |
| 彩度 | 鮮やかさ | 鮮やかか、灰色っぽいかが変わる |
色相だけを環状に並べたものを色相環という。色相は赤から橙・黄・緑・青・紫と連続的に変化し、紫から再び赤へ戻る。始点と終点がつながるため、直線ではなく環で表すのが自然になる。
色相環上の位置関係が、そのまま色の組み合わせの効果を決める。
- 向かい合う位置(180度)にある色を補色という。互いに最も対照的で、隣り合わせると強く目立つ
- となり合う位置にある色を類似色という。色味が近いのでまとまりが出る
つまり、目立たせたいなら補色、統一感を出したいなら類似色という使い分けになる。
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🧭 方針
3属性は「何を変える軸か」で覚える。 色味を変えるのが色相、明るさが明度、鮮やかさが彩度。明度が示されているので、残りは色相と彩度である。
どちらがどちらかは、後続の文で決まる。本文が「赤・黄・緑などの色合いのこと」と説明しているので、そこが色相にあたる。残る位置に彩度が入る。
環にしたものは、色相を並べたものである。明度や彩度は連続的な量であって環にならない。環にできるのは、端がつながる性質を持つ色相だけである。
位置関係は角度で押さえる。 向かい合う=180度離れている=最も対照的、となり合う=角度が小さい=色味が近い。この対応から、対照的なほうが補色、近いほうが類似色と決まる。
✍️ 解答
- 赤・黄・緑などの色合い → 色相
- 3属性の残る1つ → 彩度
- 色相を環状に並べたもの → 色相環
- 環で向かい合う位置にあるもの → 補色
- 環でとなりにあるもの → 類似色
色の3属性と、環上の関係を整理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 3属性 | 色相・明度・彩度 |
| 環にできるもの | 色相のみ |
| 向かい合う(180度) | 補色 — 対比が強く目立つ |
| となり合う | 類似色 — まとまりが出る |
補色は目立たせるため、類似色はまとまりを出すために使う。この使い分けが、配色を設計する際の出発点になる。
✅ 検算
語を当てはめ直すのではなく、具体的な色で確かめる。
色相環上の関係を確認する。 赤の向かいには青緑がある。赤い文字を青緑の地に置くと非常に目立つ。一方、赤のとなりには橙がある。赤と橙を並べると穏やかにまとまる。向かい合うほうが対比が強いことが実感として確認できる。
環にできるのが色相だけであることも確かめる。 明度を環にしようとすると、最も明るい白と最も暗い黒がつながることになる。しかし白と黒は連続していない。彩度も同様で、最も鮮やかな色と灰色はつながらない。端がつながるのは色相だけであり、だから色相環という語だけが存在する。
属性の入れ替えも試す。 もし「赤・黄・緑などの色合い」を彩度と読むと、彩度を変えれば赤が緑になることになる。実際には彩度を下げても赤は灰色がかった赤のままで、緑にはならない。色味が変わるのは色相を動かしたときだけである。
位置関係を逆にした場合も見る。 向かい合う色を類似色とすると、最も対照的な組を「似ている」と呼ぶことになり、語義と矛盾する。
💡 ここで効く一般則
色の3属性は色相・明度・彩度。 色味・明るさ・鮮やかさ。この対応で覚える。
環にできるのは色相だけ。 端がつながる性質を持つのが色相しかないため。
向かい合う=補色=目立つ、となり合う=類似色=まとまる。 角度と効果が対応している。
具体的な色で検算する。 赤と青緑、赤と橙を思い浮かべれば、対比の強さの違いが直感的に分かる。
属性は独立に変えられる。 彩度を変えても色相は変わらない。この独立性が3軸で色を指定できる根拠になる。
情報Ⅱでは、この理解が配色の設計として実務に接続する。強調したい要素に補色を使うのは効果的だが、多用すると画面が騒がしくなる。基調を類似色でまとめ、要点にだけ補色を差すという配分が定石になる。加えて、色覚の特性によっては特定の補色の組が区別しにくいため、色だけに頼らず形や位置でも差をつける必要がある。アクセシビリティの観点が、配色の自由を制約する形で加わってくる。
問8 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問2
まず自分で解いてみる
5つの空欄が、接点 → その質 → 利用可能な範囲 → 障壁の除去 → 最初からの設計という順に並ぶ。
選択肢は5つで空欄も5つなので、すべて使い切る。1つ取り違えると、玉突きでもう1つも外れる構造になっている。
特に紛らわしいのが後半3つで、いずれも「多様な人が使えること」に関わる。問われている側面が違うことを読み分ける必要がある。
ヒント:この設問で使う道具
利用者と機器・サービスの関わりをめぐる用語は、指しているものの層が違う。層で整理すると混同しない。
接点そのもの — 画面のボタン、入力欄、操作パネルなど、利用者がやり取りする部分をユーザインタフェースという。物や仕組みそのものを指す語である。
その接点の質 — 使いやすさをユーザビリティという。同じ接点でも、配置や表現によって使いやすさは変わる。評価される性質を指す。
利用できる範囲の広さ — 心身の機能に制約のある人でも問題なく利用できることをアクセシビリティという。使いやすさ以前に、そもそも到達できるかを問う概念である。
環境から障壁を取り除く工夫 — 段差をなくす、点字を付けるなど、生活上の障壁を取り除くことをバリアフリーという。既にある障壁を後から除くという発想である。
最初から誰にでも — はじめから多様な人が使えるよう設計することをユニバーサルデザインという。障壁を作らないという発想であり、後から除くバリアフリーと対になる。
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🧭 方針
説明文の主語と述語から、その語が何を指すかを決める。
- 「やり取りを行う部分」 → 物・仕組みを指す
- 「その使いやすさ」 → 性質を指す
- 「問題なく利用できること」 → 到達可能性を指す
- 「障壁を取り除く工夫」 → 事後の対処を指す
- 「誰にでも使いやすくデザインすること」 → 事前の設計を指す
後半3つの区別は、時点と対象で切る。
| 語 | 時点 | 対象 |
|---|---|---|
| アクセシビリティ | — | 利用できるかという状態 |
| バリアフリー | 事後 | 既存の障壁を除く |
| ユニバーサルデザイン | 事前 | 最初から障壁を作らない |
「取り除く」なら事後、「デザインする」なら事前——動詞が時点を教えている。
✍️ 解答
- 利用者とやり取りする部分 → ユーザインタフェース
- その使いやすさ → ユーザビリティ
- 制約のある人でも利用できること → アクセシビリティ
- 障壁を取り除く工夫 → バリアフリー
- 誰にでも使いやすく設計すること → ユニバーサルデザイン
3つの関係を階層で整理する。
| 段階 | 問い |
|---|---|
| アクセシビリティ | そもそも使えるか |
| ユーザビリティ | 使えるとして、使いやすいか |
アクセシビリティのほうが土台にある。使えなければ、使いやすさを論じる段階に至らない。
✅ 検算
語を当てはめ直すのではなく、その語が欠けた状態を想像して確かめる。
接点と質の関係。 画面の配置を変えても、やり取りする部分そのものは存在し続ける。変わるのは使いやすさのほうである。片方は物、片方は性質という区別が確認できる。
アクセシビリティとユーザビリティの順序。 読み上げに対応していないページは、視覚に頼れない利用者にとってそもそも内容に到達できない。この段階では、ボタンの配置が良いか悪いかを論じても意味がない。到達可能性が先、使いやすさが後という順序が確かめられる。
バリアフリーとユニバーサルデザインの時点の違い。 既存の建物に後からスロープを付けるのが前者、設計段階から段差を作らないのが後者である。同じ結果に見えても、いつ対処したかが違う。 本文の「取り除く工夫」と「デザインすること」という動詞が、この違いを示している。
入れ替えて読むと破綻する。 「誰にでも使いやすく取り除くこと」「障壁をデザインすること」——いずれも日本語として成立しない。動詞と語の対応が固定されていることが確認できる。
💡 ここで効く一般則
インタフェースは物、ユーザビリティは性質。 何を指す語かで区別する。
アクセシビリティが土台、ユーザビリティがその上。 使えるかが先、使いやすいかが後。順序を逆にしない。
バリアフリーは事後、ユニバーサルデザインは事前。 「取り除く」か「最初から作らない」か。動詞が時点を教える。
説明文の述語に注目する。 「〜する部分」なら物、「〜であること」なら状態、「〜する工夫」なら対処。
選択肢と空欄が同数なら、すべて使い切る。 1つの取り違えが玉突きで別の誤りを生む。
情報Ⅱでは、これらが設計の評価基準として統合される。アクセシビリティには達成すべき具体的な項目(文字と背景の明度差、キーボードだけでの操作、代替テキスト)が定められており、満たしたかどうかを検証できる形になっている。心構えではなく検証可能な条件として扱うことで、設計の良し悪しを議論できるようになる。ユニバーサルデザインの発想は、その条件を後から満たすのではなく最初から織り込むことに対応している。
問9 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問2 問3
まず自分で解いてみる
友人同士のやり取りが示され、その中から加害者にならないために気をつけるべきだった点を選ばせる。
会話は一見すると穏やかで、誰かを攻撃する場面も、悪意ある嘘も出てこない。問題のある発言が1箇所だけ、さりげなく紛れている構成になっている。
選択肢はいずれもSNS上の加害類型として妥当なものだが、この会話で実際に起きたのは1つだけである。
ヒント:この設問で使う道具
SNSでの加害は、悪意がなくても成立する。この設問が扱うのはその型である。
情報を発信する側が負う責任は、大きく分けて2つある。
内容の正しさに対する責任 — 確かめずに断定したことが誤っていれば、それを信じた相手に不利益が生じる。悪意の有無は関係ない。
他者に関わる情報の扱いに対する責任 — 本人の同意なく第三者の事情を広めない。
前者で問題になるのが無責任な発言である。特徴は次の3点になる。
1. 自分は確かな根拠を持っていない
2. にもかかわらず断定的に答える
3. 面倒だから、その場をしのぐためといった理由で
結果的に正しかったかどうかは、責任の有無を左右しない。 確かめずに答えた時点で、誤りを生む可能性を相手に押し付けている。たまたま当たっただけである。
紛らわしい他の類型と区別しておく。
| 類型 | 特徴 |
|---|---|
| 無責任な発言 | 確認せず断定する |
| デマの拡散 | 誤情報と知りうる情報を広める |
| 個人情報の流出 | 他人の情報を同意なく出す |
| 誹謗中傷・攻撃 | 相手を傷つける意図がある |
解答・解説を開く
🧭 方針
発言を1つずつ見て、「確かめずに断定していないか」を検査する。
会話の中に、第三者から質問を受けて答えている場面がある。そこで注目すべきは、
- 答えた本人が、その内容を確かめていたか
- 答えた動機は何だったか
の2点である。確かめていないのに断定し、しかも動機が「面倒だったから」であれば、無責任な発言にあたる。
他の類型が起きていないことも確認する。第三者の事情を勝手に広めた場面があるか、相手を傷つける発言があるか、誤情報と知りながら広めた場面があるか——いずれも見当たらなければ、残る1つが答えになる。
✍️ 解答
無責任な発言をしない が答えである。
会話の中で、第三者から尋ねられたことに対し、確認しないまま断定的に答えている場面がある。しかもその動機は「面倒だったから」であり、内容の正しさを確かめる努力をしていない。
その後、たまたま答えが実際と一致していたことが判明する。しかしこれは偶然にすぎない。確かめずに答えた時点で、誤った情報を渡す危険を相手に負わせている。
他の類型が該当しない理由も整理する。
| 類型 | この会話で起きたか |
|---|---|
| 無責任な発言 | 起きた |
| デマの拡散 | 誤情報と知って広めた場面はない |
| 個人情報の流出 | 第三者の事情を勝手に広めていない |
| 誹謗中傷 | 相手を傷つける発言はない |
| 攻撃的な発言 | 攻撃の意図はない |
✅ 検算
選択肢を読み比べるのではなく、もし答えが実際と違っていたら何が起きたかを考える。
確かめずに「ない」と答えた内容が、実際には「ある」だったとする。それを信じた相手は必要な準備をせず、不利益を被る。答えた側は、その結果に対して責任を負うことになる。
ここで重要なのは、この責任は結果が判明する前から発生しているという点である。確かめずに断定した瞬間に、誤りを生む可能性が作られている。結果的に当たったかどうかは、後から分かることにすぎない。
会話の当事者自身が「嘘をつくところだった」と述べているのも、この危うさを本人が認識したことを示している。危うさを認識できたのは結果が出た後であり、発言の時点では認識していなかった。
他の類型が成立しないことも個別に確かめる。 第三者の体調に関する話題が出るが、それを別の誰かへ広めた場面はない。したがって個人情報の流出は起きていない。誤情報と知りながら広めた形跡もないので、デマの拡散にもあたらない。相手を貶める表現も見当たらない。
選択肢が5つあって該当が1つという構造も、この検査で確認できる。
💡 ここで効く一般則
確かめずに断定することが、それ自体で加害になりうる。 悪意も、結果としての誤りも必要ない。
結果的に正しかったことは免責にならない。 発言の時点で根拠を持っていたかどうかが問われる。
「分からない」と答えるのは無責任ではない。 分からないことを分からないと伝えるのは、むしろ誠実な対応である。断定することだけが責任を生む。
加害の類型は、意図の有無で分かれる。 誹謗中傷や攻撃には意図があるが、無責任な発言やデマの拡散は意図がなくても成立する。意図がないぶん、自覚されにくい。
会話文の設問では、問題のある発言は1箇所だけ紛れている。 穏やかな会話の中に埋もれているので、発言を1つずつ検査する。
情報Ⅱでは、この論点が情報の信頼性の連鎖として扱われる。一人が確かめずに答えた内容が、次の人に転送され、さらに広がる過程で「複数の人が言っている」という見かけの裏付けを得てしまう。発信の容易さと、訂正の届きにくさが釣り合っていないことが、SNSにおける情報の質を難しくしている構造的な要因である。
問10 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問3
まず自分で解いてみる
3つの小問が段階的に並ぶ。
1つ目は横方向の画素数の概数、2つ目は縦方向の倍率、3つ目は画面の実寸を求めさせる。
1つ目と2つ目は、呼称の数字がそのまま倍率になるかどうかを問うている。呼称は横方向の概数なので、縦横それぞれの倍率は呼称の比と一致する。ただし総画素数の比は一致しないという点が、理解の確認になっている。
3つ目は記述式で、計算の過程まで書かせる形になっている。
ヒント:この設問で使う道具
映像の規格に付く「K」は、横方向の画素数がおよそ何千かを表す呼び方である。
| 呼称 | 横の画素数 | 縦の画素数 |
|---|---|---|
| 2K | 1,920(約2千) | 1,080 |
| 4K | 3,840(約4千) | 2,160 |
| 8K | 7,680(約8千) | 4,320 |
呼称の数字が2倍になると、縦横それぞれが2倍になる。したがって画素の総数は 倍になる。呼称は横方向だけを表しており、総画素数の比ではない点に注意が要る。
もう一つ、画面の実寸を求める関係も押さえる。
同じ画素数でも、1画素が大きければ画面は大きくなる。画素数と画面の大きさは別の量であり、両者を結ぶのが1画素あたりの寸法になる。
解答・解説を開く
🧭 方針
呼称の意味に立ち返る。 「K」は横方向の画素数の概数を千単位で表したものである。したがって8Kなら横は約8千画素になる。
縦の倍率は、呼称の比と同じである。4Kから8Kへは呼称が2倍なので、縦横それぞれ2倍になる。ここで「呼称が2倍だから総画素数も2倍」と考えると誤る。総画素数は縦横の積なので4倍である。
実寸は掛け算1回で済む。 1画素の幅に横の画素数を掛ける。単位をミリメートルでそろえておけば、そのまま答えになる。
計算の過程を書く設問では、使った数値の根拠も添えると誤解がない。4Kの横が3,840画素であることは会話文で示されている。
✍️ 解答
8Kの横方向の画素数
呼称の「K」は横方向の画素数の概数なので、8Kは約 8,000画素 である。実際の値は7,680画素で、これを千単位で丸めた呼び方になっている。
8Kの縦方向は4Kの何倍か
呼称が2倍になると縦横それぞれが2倍になるので、縦方向は 2倍 である。
| 4K | 8K | 倍率 | |
|---|---|---|---|
| 横 | 3,840 | 7,680 | 2倍 |
| 縦 | 2,160 | 4,320 | 2倍 |
| 総画素数 | 約830万 | 約3,320万 | 4倍 |
縦横それぞれは2倍だが、総画素数は4倍になる。
4Kテレビの画面の幅
1画素の1辺が0.5mm、4Kの横方向は3,840画素なので、
画面の幅は 1,920mm(約1.92m) となる。
✅ 検算
計算をやり直すのではなく、別の経路と、値の妥当性の2つで確かめる。
別の経路で幅を求める。 1画素が0.5mmということは、2画素で1mmになる。したがって3,840画素は mm。掛け算ではなく割り算の形で処理しても同じ値に到達した。
値の妥当性を見る。 1,920mmは約1.9mである。一般的なテレビの横幅としては非常に大きい。実際の4Kテレビでは1画素がもっと小さく、55型なら1画素の1辺は約0.3mm程度になる。本問の0.5mmという設定は、計算を簡単にするための仮定であり、実機の値ではない。この確認により、答えの桁が計算通りであることと、現実との差の理由の両方が説明できる。
倍率も逆から確かめる。 8Kの縦4,320を4Kの縦2,160で割ると2になる。呼称から導いた倍率と一致する。
総画素数の誤解を試す。 もし「8Kは4Kの2倍の画素数」と考えると、総画素数は約1,660万になる。しかし実際は縦横それぞれが2倍なので約3,320万である。呼称の比と総画素数の比が一致しないことが数値で確認できる。
💡 ここで効く一般則
「K」は横方向の画素数の概数。 2Kが約2千、4Kが約4千、8Kが約8千。縦の値ではない。
呼称が2倍なら縦横それぞれ2倍、総画素数は4倍。 面積として効くので、比が二乗になる。ここを取り違えるのが最頻出の誤りである。
画面の幅=1画素の幅×横の画素数。 画素数と画面の大きさは別の量で、1画素の寸法が両者を結ぶ。
0.5mmなら2画素で1mm。 割り算に読み替えると暗算しやすい。
得られた値が現実的かを確認する。 桁は合っていても、設定が仮定であることを見抜けると理解が深まる。
情報Ⅱでは、この関係がデータ量と伝送の議論につながる。8Kは4Kの4倍の画素数を持つので、非圧縮なら必要な伝送速度も4倍になる。放送や配信で実用に耐えるには、それに見合った圧縮技術が前提になる。表示できる細かさと、運べるデータ量の釣り合いが、規格の普及を左右してきた。
問11 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問4 問1・問2
まず自分で解いてみる
まず暗号化を、次に復号を行わせる。
暗号化の問題では、平文と鍵が与えられる。復号の問題では、暗号文と鍵が与えられる。同じ規則を逆向きに使えるかが問われている。
いずれも文字数が10なので、5文字ずつ2つの塊に分けて処理する。塊をまたいで文字が移動することはない。
ヒント:この設問で使う道具
文字を別の文字に置き換えるのではなく、並び順だけを入れ替える方式を転置式暗号という。使われる文字の種類も個数も変わらないのが特徴である。
本問の方式は次の形になる。
1. 1から5を並べ替えた5桁の数を鍵とする
2. 平文を5文字ずつの塊に区切る
3. 各塊の中で、鍵に従って文字の位置を入れ替える
最も重要なのは、入れ替えの向きを正確に押さえることである。「鍵の数字の位置へ動かす」のか「鍵の数字の位置から持ってくる」のかで、結果がまったく変わる。
向きは、与えられた例から復元するのが確実である。平文と暗号文が対応づけて示されていれば、1文字ずつ照合して規則を確定できる。
本問の例で確かめると、規則は
すなわち鍵の 番目の数字が指す位置から、文字を持ってくる形になっている。
復号はこの逆で、 と読み替えればよい。
解答・解説を開く
🧭 方針
規則の向きを、例から必ず復元してから作業に入る。
例に示された平文と暗号文を1文字ずつ照合し、暗号文の各位置がもとの何番目から来たかを調べる。その並びが鍵と一致すれば、向きが確定する。
確定したら、次の手順で機械的に処理する。
暗号化する場合
1. 平文を5文字ずつに区切る
2. 各塊について、鍵の数字を順に見て、その位置の文字を書き写す
復号する場合
1. 暗号文を5文字ずつに区切る
2. 各塊について、鍵の 番目の数字が指す平文の位置に、暗号文の 番目の文字を置く
復号は「置く先が決まる」形になるため、空欄を用意してから埋めるとよい。
✍️ 解答
暗号化
鍵の並びに従って、平文から順に文字を拾う。
前半の塊では、1番目・3番目・5番目・2番目・4番目の順に取り出す。後半の塊も同じ操作を行う。
得られる暗号文は エツニベシシッロノポ となる。
復号
暗号文の 番目の文字を、鍵の 番目が指す平文の位置へ戻す。
前半の塊を処理すると次のようになる。
| 暗号文の位置 | 鍵の数字 | 戻す先 |
|---|---|---|
| 1 | 3 | 平文の3番目 |
| 2 | 2 | 平文の2番目 |
| 3 | 5 | 平文の5番目 |
| 4 | 1 | 平文の1番目 |
| 5 | 4 | 平文の4番目 |
後半の塊も同様に処理する。復元されるメッセージは ハッピーバースデー! である。
誕生日を祝う言葉になっており、意味の通る日本語になったこと自体が、復号が正しく行われた証拠になる。
✅ 検算
作業をやり直すのではなく、逆向きに戻して一致するかで確かめる。
暗号化の検算。 得られた暗号文に復号の手順を適用すると、もとの平文が復元されるはずである。実際に戻すと、地名を表す元のメッセージに一致する。往復して元に戻ることが、向きを取り違えていない証拠になる。
復号の検算。 復元したメッセージに暗号化の手順を適用すると、与えられた暗号文に戻る。こちらも一致する。
文字の種類と個数でも確かめる。 転置式暗号では、使われる文字の種類も個数も変わらない。暗号文に現れる文字を数え、復号結果と一致するかを見る。もし文字が増減していれば、どこかで書き写しを誤っている。
塊をまたいでいないかも確認する。 前半の塊の文字が後半に混ざっていないか、逆もないかを見る。5文字ずつ独立に処理する方式なので、塊を越えた移動は起こりえない。
意味による確認。 復号結果が意味の通る日本語になっているかを見る。転置式暗号では、向きを取り違えると文字は正しくても並びが崩れ、意味をなさない文字列になる。日本語として読めたことが、最も分かりやすい検算になっている。
💡 ここで効く一般則
転置式暗号は文字の種類も個数も変えない。 置換式(文字を別の文字に替える)との違いを押さえる。文字を数えることが検算になるのはこの性質による。
入れ替えの向きは、与えられた例から復元する。 「どこへ動かす」か「どこから持ってくる」かで結果が変わる。思い込みで決めない。
暗号化と復号は、同じ対応表を逆に読む。 別の規則を覚える必要はない。
往復して元に戻るかで検算する。 暗号化したものを復号して一致すれば、向きは正しい。
復号結果が意味を持つかを見る。 意味の通る文になれば、ほぼ確実に正解である。
情報Ⅱでは、この方式の弱さが論点になる。文字の種類と個数が変わらないため、日本語の文字の出現頻度がそのまま残る。頻出する文字を手がかりに解読を試みることができ、鍵を知らなくても推測の糸口になる。現代の暗号が置換と転置を何重にも組み合わせるのは、この種の手がかりを消すためである。単純な操作は分かりやすいが、それゆえに破られやすい。
問12 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問4 問3〜問5
まず自分で解いてみる
3つの小問が段階的に難しくなる。
鍵の総数を数える問題、桁数を増やしたときの困難さの倍率を求める問題、そして方式そのものの弱点と改善策を記述する問題である。
最後の問いは記述式で、問題点の指摘と改善の提案の両方が求められる。片方だけでは不十分になる。
ヒント:この設問で使う道具
鍵の総数 — 転置式暗号の鍵は「1から までを並べ替えたもの」なので、その総数は順列の数になる。
| 鍵の総数 | |
|---|---|
| 5 | 120 |
| 6 | 720 |
総当たりの困難さは、鍵の総数に比例する。鍵を1つずつ試すなら、候補が多いほど時間がかかる。
を1増やすと総数は 倍になる。5から6へ増やせば 6倍 である。桁数を1つ増やすだけで、桁違いに困難になるという性質がここに現れている。
鍵配送の問題 — 暗号の安全性は、暗号方式そのものだけでは決まらない。鍵をどうやって相手に渡すかが同じくらい重要になる。
暗号文と鍵を同じ経路で送ると、その経路を盗み見られた時点で両方が漏れる。暗号化した意味が失われる。これを鍵配送問題という。
共通鍵暗号(送り手と受け手が同じ鍵を使う方式)は必ずこの問題を抱える。公開鍵暗号は、暗号化用の鍵を公開してよい設計にすることで、この問題を回避している。
解答・解説を開く
🧭 方針
総数は順列として数える。 1から5を並べ替える方法は 通り。ただし、並べ替えが起こらないもの(もとの順のまま)は暗号として機能しないので除く。
倍率は、総数の比を取る。 6桁の場合と5桁の場合で総数を求め、割り算する。引き算ではなく割り算である点に注意する。
弱点の指摘では、方式ではなく運用に目を向ける。 転置の仕組み自体にも弱さはあるが、この設問で問われているのはやり取りの手順である。暗号文と鍵をどう送っているかを追えば、問題が見える。
改善策は、問題点と対応している必要がある。同じ経路で送ることが問題なら、経路を変えるか、そもそも鍵を送らずに済む方式にする、という方向になる。
✍️ 解答
鍵の総数
1から5を並べ替える方法は
このうち、もとの順のまま(並べ替えが起こらないもの)を除くので、
桁数を増やしたときの倍率
6桁の場合の総数は
5桁の120通りと比べると
理由:鍵の候補を1つずつ試すのだから、必要な試行回数は候補の数に比例する。 を1増やすと総数は 倍になるため、5から6へ増やせば6倍の試行が必要になる。
方式の問題点と改善策
問題点は、暗号文と鍵を同じ経路(電子メール)で送っていることである。1通目を盗み見た第三者は、同じ手段で2通目も盗み見られる可能性が高い。両方を入手されれば、暗号化した意味が完全に失われる。
加えて、鍵の候補が119通りしかないため、鍵を知らなくてもすべて試せば必ず解読できる。計算機を使えば一瞬で終わる規模である。
改善策として、次の方向が考えられる。
| 対処 | 内容 |
|---|---|
| 経路を分ける | 鍵は電話や対面など、別の手段で伝える |
| 事前に共有する | 会ったときに鍵を決めておき、通信では送らない |
| 鍵を長くする | 桁数を増やして総当たりを困難にする |
| 方式を変える | 公開鍵暗号を使い、鍵を送らずに済むようにする |
最も根本的なのは方式の変更である。公開鍵暗号なら、暗号化用の鍵は公開してよいので、秘密の鍵を経路に乗せる必要がなくなる。
✅ 検算
計算をやり直すのではなく、小さな場合で数え上げて確かめる。
3つの数を並べ替える場合を考える。手で書き出すと6通りになり、 と一致する。4つなら24通りで 。階乗が並べ替えの数を正しく表していることが確認できる。
倍率も別経路で確かめる。 は に6を掛けたものである。
したがって比を取るまでもなく6倍だと分かる。割り算で求めた結果と一致する。
引き算で答えた場合も試す。 となるが、これは「何回多く試す必要があるか」であって「何倍困難か」ではない。問われているのが倍率であることを確認する。
問題点の指摘も逆から検査する。 もし鍵を別の経路で送っていたら、1通目を盗んだだけでは解読できない。経路を分けるだけで安全性が大きく変わることから、同じ経路で送ることが問題の中心だと確認できる。
ただし経路を分けても、鍵の候補が119通りしかない以上、総当たりで破られる。改善策として鍵の長さにも触れる必要があることが、この確認から導ける。
💡 ここで効く一般則
並べ替えの総数は階乗。、。 桁を1つ増やすと 倍になる。
「何倍困難か」は割り算、「何回多いか」は引き算。 問われ方を確認する。
総当たりの手間は候補の数に比例する。 これが鍵を長くする理由である。
暗号の安全性は、方式と鍵の受け渡しの両方で決まる。 どんなに強い方式でも、鍵が漏れれば意味がない。
暗号文と鍵を同じ経路で送らない。 これが鍵配送問題の最も基本的な形である。
記述式では、問題点と改善策を対応させる。 指摘した問題に効かない改善策を書くと、対応が取れていないと判断される。
情報Ⅱでは、この論点が公開鍵暗号の必要性として位置づけられる。共通鍵暗号は処理が速い一方で、鍵配送問題を構造的に抱える。公開鍵暗号は鍵配送を解決するが処理が遅い。実際の通信では、公開鍵暗号で共通鍵を安全に渡し、以降は共通鍵で高速にやり取りするという組み合わせが使われる。両方式の長所を取る設計が、現在の暗号通信の標準になっている。
問13 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問5 問1
まず自分で解いてみる
プログラムの骨組みが与えられ、初期値・ループ範囲・条件式・更新式・平均の計算が空欄になっている。
初期値の空欄は2つあり、片方は大きい値、もう片方は小さい値を選ぶ。同じ選択肢群から選ぶので、向きを取り違えると両方外れる。
条件式も2つあり、不等号の向きが逆になる。ここも対で押さえる必要がある。
平均の空欄には、要素数から1を引いたり足したりした候補や、掛け算にした候補が並ぶ。割る数を正確に選べるかが問われる。
ヒント:この設問で使う道具
配列から最小値・最大値・平均を求める処理は、1回の走査でまとめて行える。3つとも「全要素を一度ずつ見る」だけで済むからである。
最小値・最大値の求め方は、次の型に従う。
1. 記録用の変数を、あり得ない極端な値で初期化する
2. 要素を順に見て、記録より小さければ(大きければ)記録を更新する
初期値の選び方が要点になる。最小値を求めるなら、想定される値より十分大きい値で初期化する。そうしないと、最初の要素が記録を更新できず、初期値が残ってしまう。最大値なら逆に十分小さい値を置く。
平均の求め方は、走査中に合計を積み上げ、最後に要素数で割る。
合計用の変数は0で初期化する。まだ何も足していない状態が0だからである。
ループの範囲も定型がある。配列の添字が0から始まるなら、範囲は 0から(要素数−1)までになる。要素数そのものを上限にすると、存在しない位置を読むことになる。
解答・解説を開く
🧭 方針
初期値は「更新されうるか」で決める。
最小値を求める変数に小さい値を入れてしまうと、どの要素もそれより大きいので一度も更新されず、初期値のまま残る。必ず更新されるよう、想定される値より極端な側に置く。
気温を扱うので、実際の値は概ね 度から 度程度に収まる。したがって
- 最小値用 → その範囲より十分大きい値
- 最大値用 → その範囲より十分小さい値
ループ範囲は添字の規則から決める。 添字が0から始まるので、最後の要素の添字は要素数から1を引いた値になる。
条件式は「更新すべき場合」を言語化してから書く。 記録している最小値より小さい要素が来たら更新する。すなわち「記録 > 要素」のとき更新する。最大値なら「記録 < 要素」になる。
合計の更新は足し算。 現在の合計に要素を加える形にする。
✍️ 解答
| 空欄 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 最小値の初期値 | 100 | 想定範囲より十分大きく、必ず更新される |
| 最大値の初期値 | −100 | 想定範囲より十分小さく、必ず更新される |
| ループ範囲 | 0から要素数−1まで | 添字が0起点だから |
| 最小値の更新条件 | 記録 > 要素 | 記録より小さい要素が来たら更新 |
| 最小値の更新 | 要素の値を代入 | 新しい記録にする |
| 最大値の更新条件 | 記録 < 要素 | 記録より大きい要素が来たら更新 |
| 最大値の更新 | 要素の値を代入 | 同上 |
| 合計の更新 | 合計 + 要素 | 積み上げる |
| 平均 | 合計 ÷ 要素数 | 定義どおり |
初期値の2つは、必ず逆向きの極端な値になる。 最小値用に大きい値、最大値用に小さい値。ここが直感と逆に感じられる箇所である。
条件式の不等号も対になっている。最小値は「>」、最大値は「<」で、記録側が左辺にある形で統一されている。
✅ 検算
条件式を読み直すのではなく、具体的な数列を通して結果を追う。
気温が順に 12.3、12.8、13.0 と並ぶ場合を考える。
| 要素 | 最小の記録 | 最大の記録 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 開始前 | 100 | −100 | 0 |
| 12.3 | 12.3 | 12.3 | 12.3 |
| 12.8 | 12.3 | 12.8 | 25.1 |
| 13.0 | 12.3 | 13.0 | 38.1 |
最初の要素で両方の記録が更新されるのが正しい動作である。初期値100は12.3より大きいので最小の記録が更新され、初期値−100は12.3より小さいので最大の記録も更新される。
平均は で、3つの値の真ん中あたりに来る。妥当である。
初期値を逆にした場合を試す。 最小値用に−100を置くと、どの気温もそれより大きいので一度も更新されない。表示される最低温度が−100になってしまう。明らかに誤った結果が出るので、向きの取り違えは即座に露見する。
ループ範囲を誤った場合も見る。 上限を要素数そのものにすると、最後に存在しない位置を読むことになる。逆に要素数−2までにすると、最後の要素が処理されず、最大値も合計も取りこぼす。
平均の割る数も検算する。 3つの値の合計を2で割れば19.05となり、どの気温よりも大きくなってしまう。4で割れば9.5で、どの気温よりも小さい。平均は最小値と最大値の間に必ず収まるので、この範囲から外れたら割る数が誤っている。
💡 ここで効く一般則
最小値を求めるなら大きい値で、最大値なら小さい値で初期化する。 直感と逆になるが、「必ず更新されるように」と考えれば導ける。
合計は0で初期化。 まだ何も足していない状態が0である。
添字が0起点なら、上限は要素数−1。 二重ループでも単一ループでも共通する。
平均は最小値と最大値の間に必ず入る。 範囲外なら割る数を誤っている。最も安い検算である。
最初の要素で両方の記録が更新されるかを確かめる。 初期値の妥当性はこれで判定できる。
条件式は「更新すべき場合」を日本語にしてから記号に直す。 不等号の向きを直感で決めない。
情報Ⅱでは、この処理が1回の走査で複数の統計量を得るという考え方に発展する。最小・最大・合計は同時に求められるが、中央値は全体を並べ替える必要があるため1回の走査では求まらない。どの統計量が1回の走査で得られ、どれが得られないかという区別は、大量のデータを扱う際の設計判断に直結する。
問14 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題『情報Ⅰ』2025 大問5 問2
まず自分で解いてみる
前問のプログラムに、間引きの機能を追加した形になっている。
追加されたのは3箇所である。判定の条件式、個数を数える更新、そして平均の計算式。前問との差分がそのまま設問になっている。
条件式の選択肢には、剰余と商を入れ替えたもの、割る向きを逆にしたものが並ぶ。演算子と被除数・除数の順序を正確に選ぶ必要がある。
平均の選択肢には、要素数で割るもの、個数から1を引いたもの、掛け算にしたものが並ぶ。何で割るかを取り違えると、値が大きくずれる。
ヒント:この設問で使う道具
一定間隔で要素を間引くには、剰余演算を使う。添字を で割った余りが0のときだけ処理すれば、 個おきに拾える。
なら偶数番目だけ、 なら3つおきになる。 を変えるだけで間隔を切り替えられるのが、この書き方の利点である。
ここで割り算と剰余を混同しない。 は商、 は余りである。判定に使うのは余りのほうで、商ではない。
平均の分母が変わる点が本問の急所になる。間引くと、合計に加えた要素の個数は配列全体の要素数より少なくなる。したがって
でなければならない。配列全体の要素数で割ると、間引いた分だけ小さい値が出てしまう。
そこで、合計を更新するたびに個数を数える変数も1増やす。合計と個数を同じ場所で更新すれば、両者が食い違うことがない。
解答・解説を開く
🧭 方針
追加された3箇所を、役割ごとに独立に決める。
判定の条件式 — 「添字を で割った余りが0」をそのまま式にする。余りを求める演算子を使い、添字を で割る向きにする。 を添字で割る形にすると、意味がまったく変わる。
個数の更新 — 数えるのは回数であって値ではない。したがって1ずつ増やす。観測値そのものを足すと合計と同じものになってしまい、個数として機能しない。
平均の計算 — 分母は実際に加えた個数である。配列全体の要素数ではない。問題文自身が「合計を求めるのに使った観測値の個数を間違えずに数えること」と注意を促しており、そこが答えを示している。
✍️ 解答
| 空欄 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 使う観測値かの判定 | 添字 % m == 0 | 個おきに拾う |
| 個数の更新 | 個数 + 1 | 回数を数える |
| 平均の計算 | 合計 ÷ 個数 | 実際に加えた分で割る |
のときに拾われる添字を並べると、0、2、4、6、… となる。偶数番目だけが処理されることが確認できる。
前問との違いを整理する。
| 前問 | 本問 | |
|---|---|---|
| 使う要素 | すべて | 個おき |
| 平均の分母 | 要素数 | 実際に加えた個数 |
分母が変わることが、この改造の最も重要な帰結である。処理する要素を減らしたのだから、割る数も減らさなければ辻褄が合わない。
✅ 検算
条件式を読み直すのではなく、小さな例を通して個数と平均を追う。
要素が6個あり、 とする。添字は0から5である。
| 添字 | 余り | 使うか | 個数 |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | ○ | 1 |
| 1 | 1 | × | 1 |
| 2 | 0 | ○ | 2 |
| 3 | 1 | × | 2 |
| 4 | 0 | ○ | 3 |
| 5 | 1 | × | 3 |
6個のうち3個が使われ、個数は3になる。 平均はこの3で割ることになる。
要素数で割った場合を試す。 3個分の合計を6で割れば、実際の平均のちょうど半分になる。気温の平均が半分の値で表示されるので、明らかにおかしいと分かる。平均は使った値の最小と最大の間に入るはずであり、この範囲から外れることで誤りが露見する。
割る向きを逆にした場合も見る。 を添字で割る形にすると、添字が0のとき0で割ることになり、計算が成立しない。最初の要素で破綻するので即座に気づける。
商と剰余を取り違えた場合も確かめる。 商を使って「」とすると、これが成り立つのは が より小さいときだけである。 なら添字0と1しか拾われず、以降がすべて無視される。配列の先頭だけを処理して終わるという、間引きとは全く違う動作になる。
個数の更新も検査する。 1を足す代わりに観測値を足せば、個数が合計と同じ値になる。平均が1に近い値になり、気温としてありえない結果が出る。
💡 ここで効く一般則
個おきに拾うなら「添字 % m == 0」。 剰余が0かで判定する。 を変えるだけで間隔を変えられる。
商と剰余を混同しない。 判定に使うのは余り。商を使うと全く違う動作になる。
間引いたら、平均の分母も変える。 使った個数で割る。要素数で割ると間引いた分だけ小さくなる。
合計と個数は同じ場所で更新する。 離れた場所で更新すると、片方だけ通る経路ができて食い違う。
平均は使った値の最小と最大の間に入る。 範囲外なら分母が誤っている。最も安い検算である。
問題文の注意書きは答えの手がかり。 「個数を間違えずに数えること」と書かれていれば、そこが問われる箇所である。
情報Ⅱでは、この操作が標本の間引きと情報の損失として扱われる。観測間隔を長くすればデータ量は減るが、細かい変動は捉えられなくなる。どこまで間引いても目的を果たせるかは、捉えたい変化の速さによって決まる。音声の標本化定理と同じ考え方が、ここでも働いている。