藤原進之介のゼロから始める情報Ⅰ 無料プリント|京都産業大学 公募推薦入試 2026 全12問 解答解説

京都産業大学 公募推薦入試『情報Ⅰ』2026の解答解説です。問題 → 解答 → 端的な解説 → 深掘りの順に並べています。まず問題を確認し,答えを見て,短い解説で理解し,余力があれば深掘りタブを開いてください。

このページの内容

  1. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅰ 設問1
  2. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅰ 設問2
  3. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(A)
  4. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(B)
  5. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(C)
  6. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(A)
  7. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(B)
  8. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(C)
  9. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(D)
  10. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(A)
  11. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(B)前半
  12. 京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(B)後半

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅰ 設問1

情報1(1)情報社会の問題解決 / ★☆☆ / 2分 / 『ゼロから始める情報I』第1章 情報社会の問題解決

1問題 — この設問で問われていること

3つの性質のうち2つ(機密性・完全性)が本文に明示され、残る1つを解答群から選ばせる形。あわせて、完全性の定義文の空欄も問われる。つまり「名前を1つ思い出す」問題ではなく、「定義文と名前を正しく対応づける」問題になっている。

解答群には「安全」「絶対」「独立」といった、それらしいが専門用語ではない語が並べられている。ここが引っかけの本体である。

2解答

  • 3要素の空欄 → 可用
  • 完全性の定義文の空欄 → 改ざん

対応関係を整理すると次のようになる。

3解説(端的に)

定義文から逆に名前を引く。本文で機密性は「許可された人だけがアクセスできること」、残る一方は「いつでも使える状態を保つこと」と書かれている。後者はそのまま可用性の定義文である。

完全性の空欄は、完全性が何を否定する概念かを考える。完全性が壊れる典型は、第三者による書き換え、すなわち改ざんである。「消失」ではない点に注意したい。データが消えるのは可用性側の事故として扱われる。

「安全」を選びたくなるが、情報セキュリティの定義に安全性という要素は無い。日常語と専門用語を区別できるかが問われている。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

情報セキュリティは「守る」という漠然とした話ではなく、守るべき性質を3つに分解した設計概念である。英語の頭文字からCIAと呼ぶ。

  • 機密性(Confidentiality)=許可された者だけが中身に到達できる
  • 完全性(Integrity)=中身が本来のものから変わっていない
  • 可用性(Availability)=使いたいときに使える

この3分割が効くのは、対策が三者三様に別物だからである。機密性はアクセス制御と暗号化、完全性はハッシュ値と改ざん検知、可用性は冗長化とバックアップ。どれか1つを固めても他2つは守られない。暗号化を完璧にしてもサーバが落ちれば可用性は失われる。

検算 — 別の道すじで確かめる

解答を定義文に戻さず、事故の側から逆に確かめる

ランサムウェアでファイルが暗号化され業務が止まった事故を考える。データは残っており中身も書き換わっていないが、使えない。壊れたのは可用性だけである。ここで「可用性」という語が3要素に無ければ、この事故を分類できない。よって可用性は3要素に必要。

改ざんについても同様に、Webサイトの内容を書き換えられた事故を置く。見られてはいけない情報が漏れたわけでも、サイトが落ちたわけでもない。この事故を受け止める枠が完全性であり、その定義語は改ざんでなければ辻褄が合わない。

ここで効く一般則・学問的背景

3要素は「どの事故が起きたか」を分類する物差しとして覚える。 語を暗記するのではなく、手元の事故例を3つのどれかに割り振る訓練をしておくと、定義文からの逆引きにも耐えられる。

情報Ⅱではここに真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性を加えた7要素が扱われ、電子署名が「完全性+否認防止」を同時に満たす仕組みとして再登場する。3要素はその土台である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第1章 情報社会の問題解決 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅰ 設問2

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★☆ / 3分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

2つの空欄が入れ子になっている。前半でCPU内部の一時記憶の総称を問い、後半で「次の命令の取り出し番地を指定するものも、その一種である」として具体例を問う。

つまり上位概念と下位概念を2段で答えさせる形であり、片方だけ知っていても両方は埋まらない。解答群には主記憶装置・SSD・HDD・キャッシュメモリのような記憶装置が混ぜてあり、「CPUの内部か外部か」で切れるかが分かれ目になる。

2解答

  • 総称の空欄 → レジスタ
  • 具体例の空欄 → プログラムカウンタ

記憶装置を速度順に並べると位置関係がはっきりする。

上ほど速く、上ほど小さい。この並びは容量と速度が両立しないという物理的制約から来ている。

3解説(端的に)

「CPU内部にある」「数個から数十個」「一時的に記憶する」の3条件で絞る。

SSD・HDD・外部記憶装置はCPUの外であり、個数も容量も桁が違う。主記憶装置もCPUの外である。キャッシュメモリは紛らわしいが、これは主記憶へのアクセスを速くするための緩衝装置であって、「数個から数十個」と数えるものではなく、容量もKB〜MB単位である。残るのはレジスタ

後半は「次の命令の取り出し番地を指定する」という機能定義がそのまま名称に対応する。候補としてスタックポインタが並んでいるが、これはスタック領域の先頭位置を指すレジスタであって、次の命令の位置ではない。求められているのはプログラムカウンタである。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

CPUの内部には、演算の途中経過や次に読むべき命令の位置を置いておくための極小の記憶装置が数個から数十個ある。これをレジスタと呼ぶ。

レジスタが主記憶(メインメモリ)と決定的に違うのは、CPUの外にあるか中にあるかである。主記憶はCPUの外にありバス経由で読み書きするため、CPUの動作速度から見ると待ち時間が長い。レジスタはCPU内部にあり、演算回路が直接つながっているため待ちがほぼ無い。その代わり容量は数十バイト程度しかない。

レジスタには役割ごとに名前が付いている。中でもプログラムカウンタは、次に実行する命令が主記憶のどの番地にあるかを保持する専用レジスタである。CPUは「プログラムカウンタが指す番地から命令を取り出す→プログラムカウンタを次に進める→命令を実行する」を延々と繰り返す。これが命令実行サイクルの正体で、プログラムカウンタはその歩幅を決めている。

検算 — 別の道すじで確かめる

名称を思い出す経路とは別に、プログラムカウンタを取り除いた場合に何が起きるかで確かめる。

もしCPUが「次の命令の番地」を保持していなければ、1つの命令を実行し終えた時点で次にどこを読むべきかが失われる。プログラムが1命令で停止してしまい、順次実行が成立しない。よって次の番地を保持する専用レジスタは必須であり、その役割を担うものがこの設問の答えでなければならない。

さらに分岐命令を考えると裏が取れる。if文やループが機械語で実現できるのは、この番地を書き換えられるからである。書き換え対象として指定できる記憶がCPU内部に無ければ分岐は作れない。スタックポインタを書き換えても分岐は起きないので、答えがスタックポインタでないことも確認できる。

ここで効く一般則・学問的背景

記憶装置の問題は「CPUの内か外か」「容量の桁」の2軸で切ると、名称を覚えていなくても候補が2つまで絞れる。 そのうえで機能定義の一文と照合すれば確定する。

情報Ⅱではこの話がパイプライン処理へ接続する。命令を取り出す段と実行する段を並行に動かすと、分岐が起きたときにプログラムカウンタの書き換えが間に合わず、先読みした命令が無駄になる。この無駄をどう減らすかが分岐予測であり、出発点は本設問のプログラムカウンタである。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(A)

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★☆ / 3分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

センサから測定装置を経てサーバへデータを送る構成が図で与えられ、装置側の暗号化用の鍵とサーバ側の復号用の鍵に別々のものを使う、という条件が示される。

そのうえで3つの空欄が、①方式名 ②装置側の鍵の名前 ③サーバ側の鍵の名前の順に並ぶ。さらに「装置側の鍵は利用者に見られても問題が起こらないようにしたい」という条件が付されている。この一文が答えを一意に決める鍵になっている。

2解答

  • 方式名 → 公開鍵暗号
  • 測定装置側の鍵 → 公開鍵
  • サーバ側の鍵 → 秘密鍵

情報の流れとして並べると次のようになる。

`

測定装置 ──[公開鍵で暗号化]──> ネットワーク ──> サーバ ──[秘密鍵で復号]──> 分析

(触られる可能性あり/隠す必要のない鍵) (管理された場所/隠すべき鍵)

`

3解説(端的に)

まず方式名。暗号化と復号で別の鍵を使うと明記されている時点で、共通鍵暗号は消える。換字式暗号・シーザー暗号は共通鍵暗号の古典的な一種にすぎず、これも消える。残るのは公開鍵暗号

次に装置側。測定装置は屋外や利用者拠点に置かれ、物理的に触れられる可能性がある。「見られても問題が起こらない鍵」とは、公開を前提に設計された鍵、すなわち公開鍵である。装置には暗号化しかさせないので、これで足りる。

最後にサーバ側。公開鍵で暗号化されたものを復号できるのは対の秘密鍵だけである。サーバは管理された環境にあるため、秘密鍵を置く場所として妥当である。

「平文」「暗号文」も解答群にあるが、これらは鍵ではなくデータの状態を指す語なので、鍵を問う空欄には入らない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

暗号方式は、暗号化に使う鍵と復号に使う鍵が同じか違うかで二分される。

共通鍵暗号は両者が同一の鍵である。処理が速い代わりに、その鍵を相手に渡す経路自体を安全にしなければならない(鍵配送問題)。

公開鍵暗号は数学的に対になった2つの鍵を作り、公開鍵で暗号化したものは対応する秘密鍵でしか復号できないという非対称性を使う。公開鍵は誰に見られてもよく、秘密鍵だけを手元に隠す。鍵配送問題が消える代わり、処理は共通鍵より遅い。

ここで押さえるべきは鍵の置き場所と役割の対応である。暗号化する側が持つのが公開鍵、復号する側が持つのが秘密鍵。逆に置くと仕組みが崩れる。

検算 — 別の道すじで確かめる

鍵の対応を思い出す経路とは別に、逆に置いた場合を実際に破ってみることで確かめる。

仮に装置側へ秘密鍵を置いたとする。装置は利用者拠点にあり、中身を読み出される恐れがある。秘密鍵が1台からでも漏れれば、攻撃者はそれ以降ネットワーク上を流れる全データを復号できてしまう。これでは暗号化した意味が消える。よって装置側に秘密鍵を置く設計は成立しない。

逆向きにも確かめる。装置側を公開鍵にした場合、鍵が漏れても攻撃者にできるのは「そのサーバ宛の暗号文を作ること」だけで、既存の通信を読むことはできない。被害が拡大しない。したがって公開鍵を装置側に置く設計だけが条件を満たす。

ここで効く一般則・学問的背景

公開鍵暗号の設問は「守りにくい場所に置く鍵は公開鍵」と覚えると、方向を間違えない。 鍵の名前ではなく設置場所の安全度から逆算するのが確実である。

情報Ⅱではこの非対称性を裏返した使い方、すなわち電子署名が出てくる。秘密鍵で処理し公開鍵で検証することで、「送信者が本人であること」を示す。同じ鍵ペアが、向きを変えるだけで秘匿から認証へ用途を変える点が要である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(B)

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

センサ1個あたりの発生量が1分あたりで与えられ、センサの個数と日数が示されて、1か月にモバイル回線を流れる合計量をMBで答えさせる。

解答欄は桁数が固定された数値マーク式で、桁が足りない場合は上位に0を詰める指定がある。つまり答えの桁数そのものが検算のヒントになっている。

2解答

センサは3個、1個あたり毎分20KBなので、

  • 1分あたり:20 × 3 = 60 KB/分
  • 1日あたり:60 × 1440 = 86,400 KB/日
  • 30日で:86,400 × 30 = 2,592,000 KB
  • MBへ:2,592,000 ÷ 1000 = 2,592 MB

よって解答は 2592(4桁ちょうどなので上位に0を詰める必要はない)。

各段階の値を並べておく。

3解説(端的に)

掛け算を一息に済ませず、単位を書きながら段階を踏む。単位を書けば、掛けるべきか割るべきかで迷わない。

1. センサ1個の1分あたりの量 × センサ個数 → 1分あたりの合計

2. × 1440分 → 1日あたり

3. × 30日 → 1か月あたり(KB)

4. ÷ 1000 → MBへ換算

順序を変えても結果は同じだが、この順なら各段階の数値が現実的な大きさに収まり、桁の異常に気づきやすい。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

データ量の計算は、単位時間あたりの量に時間を掛けるだけの一次式である。難しいのは計算ではなく、単位の桁を取り違えないことに尽きる。

本問では冒頭で 1MB = 1000KB と明示されている。この明示があるかどうかで答えが変わる。1MB = 1024KB とする流儀もあり、通信容量の文脈では1000、記憶容量の文脈では1024が使われることが多い。問題文が定義を与えている場合は必ずそちらに従う

もう一つの落とし穴は時間の換算である。「1分あたり」で与えられた量を「1か月」に伸ばすには、分→日→月と2段階を経る。1日 = 24時間 × 60分 = 1440分。この1440という数は覚えておくと速い。

検算 — 別の道すじで確かめる

上と同じ掛け算を辿り直しても誤りは見つからないので、掛ける順序を入れ替えた独立な経路で確かめる。

先に月あたりの総分数を出す。30日 × 1440分 = 43,200分。これに毎分の合計60KBを掛けて 43,200 × 60 = 2,592,000 KB。先の値と一致する。

さらに桁の妥当性を粗く見積もる。毎分60KBはおよそ毎時3.6MB、1日で約86MB。ひと月ではその30倍だから、2,000MB台後半に落ち着くはずである。得られた2,592MBはこの見積もりの範囲に入っている。もし単位換算を1段飛ばしていれば259.2や25,920となり、この概算から外れるので気づける。

ここで効く一般則・学問的背景

単位を数値に添えたまま計算し、最後に一度だけ換算する。 途中でKBとMBを行き来すると、÷1000を二重に掛けたり忘れたりする事故がほぼ必ず起きる。

また 1日=1440分1か月(30日)=43,200分 は暗記に値する。データ量・通信量の設問はこの2つで大半が片付く。

情報Ⅱではこの計算が帯域設計へ発展する。平均値ではなくピーク時の瞬間流量で回線を選ぶ必要があり、平均2,592MB/月でも、同時送信が重なる瞬間の速度が回線容量を超えれば破綻する。平均と最大を分けて考える視点がそこで要求される。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅱ 設問(C)

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

1日あたりの通信量に上限が課され、センサ1個あたりの発生量は設問(B)と同じ条件が引き継がれる。その下で設置できるセンサ個数の最大値を答えさせる。

解答欄は桁数固定で、2桁に満たない場合は上位に0を詰める指定がある。この指定は、答えが1桁になり得ることを出題者が想定していることを示しており、桁数の見当をつける材料になる。

2解答

センサ1個は毎分20KBなので、1日(1440分)では

上限を100MB = 100,000KB として不等式を立てる。

n は整数なので最大値は 3。解答欄は2桁指定のため 03 とマークする。

3解説(端的に)

センサ個数を n とし、不等式を立ててから解く

センサ1個が1日に生む量を求め、それを n 倍したものが上限以下、という形にする。上限は1日あたり100MBなので、単位をKBに揃えて 100,000KB とする。設問(B)で1MB = 1000KB と定義されていることに従う。

これを n について解き、得られた値以下の最大の整数を取る。ここで切り上げないことが肝心である。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

設問(B)が「与えられた構成から量を求める」順方向の計算だったのに対し、本問は上限が先に決まっていて、その中に何個収まるかを求める逆方向の計算である。

逆方向の計算で必ず問われるのが端数の扱いである。「合計を上限以下に抑える」という制約の下では、割り算の商に端数が出たとき必ず切り捨てる。切り上げれば上限を超えてしまい、制約違反になる。個数を求める問題で四捨五入を使うと事故になるのはこのためである。

つまりこの手の設問の骨は、割り算そのものではなく「等号を含む不等式を立て、整数解の最大値を取る」という手続きにある。

検算 — 別の道すじで確かめる

割り算を再実行しても同じ誤りを繰り返すだけなので、候補を上限に代入して直接判定するという別経路で確かめる。

3個の場合、28.8 × 3 = 86.4MB。100MBを下回るので条件を満たす。

4個の場合、28.8 × 4 = 115.2MB。100MBを超えるので条件を満たさない。

満たす最大が3、その次の4で破れているので、境界がここにあることが確定する。割り算の商3.47…を切り捨てた結果と一致した。

さらに設問(B)との整合も見ておく。(B)ではセンサ3個で1日86,400KB = 86.4MBだった。本問の上限100MBはこの値のすぐ上にあり、3個までは通るが4個は通らないという構図になる。(B)の結果をそのまま流用できる位置に上限が設定されており、出題の意図とも合う。

ここで効く一般則・学問的背景

「最大何個か」を問われたら、割り算で終わらせず不等式に戻して境界の両側を試す。 nn+1 の2点を代入し、片方が通り片方が破れることを見れば、切り捨て・切り上げの判断ミスが構造的に潰せる。

もう一つ、前の設問の数値は使い回せるように残しておく。本問は設問(B)の「1個あたり28,800KB/日」をそのまま使える設計になっている。大問内の設問は独立ではなく積み上げになっていることが多い。

情報Ⅱではこの発想がキャパシティプランニングになる。平均流量で個数を決めると、送信タイミングが重なった瞬間に破綻する。実務ではピーク係数を掛けて余裕を持たせるが、その出発点が本問のような平均値での上限計算である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(A)

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

関数の中身が3行ほど示され、乱数を曲番号に変換する式の足す数と割る数の2箇所が空欄になっている。

前提として、乱数生成関数の返す範囲(0以上の広い範囲の整数を等確率で返すこと)と、曲番号が1から100であることが本文で与えられている。範囲の下限が0、目標の下限が1という食い違いが、そのまま設問の急所になっている。

解答群には割る数の候補として99・100・101が、足す数の候補として0・1・2などが並ぶ。境界を1つずらす誤りを狙った配置である。

2解答

  • 足す数 → 1
  • 割る数 → 100

すなわち曲番号は 1+(乱数mod100) で得られる。

対応関係を端で確かめると次のようになる。

余りの取り得る100通りが、曲番号の100通りに漏れなく重複なく対応している。

3解説(端的に)

個数から決める。 曲番号は1から100まで、すなわち100通り。剰余で100通りを作るには100で割るしかない。99で割れば99通り、101で割れば101通りになり、曲数と合わない。よって割る数は100と確定する。

次に起点をそろえる。 100で割った余りは0から99。欲しいのは1から100。両者は全体が1だけずれているので、1を足せば重なる。

この順序で考えれば、2つの空欄を独立に決められる。逆に「なんとなく+1」と当てにいくと、割る数を99にする誤りと組み合わさったときに気づけない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

擬似乱数を「欲しい範囲の整数」に変換する操作は、プログラミングの定番手続きである。使う道具は剰余演算(%)ひとつでよい。

整数 r に対して rmodm は、必ず 0 以上 m1 以下の整数を返す。これは割り算の余りの定義そのもので、返る値の個数がちょうど m 通りである点が重要になる。

したがって 1 から m までの m 通りが欲しければ、0 起点の結果を 1 だけずらせばよい。

「何通り欲しいか」で割る数が決まり、「どこから始めたいか」で足す数が決まる。 この2段構えが本問の骨格である。

検算 — 別の道すじで確かめる

式を再計算しても同じ思い込みを繰り返すだけなので、両端と個数という別の観点から確かめる

まず下端。余りが取り得る最小値は0であり、このとき曲番号は1になる。曲番号の最小は1なので一致する。

次に上端。余りの最大値は99であり、このとき曲番号は100になる。曲番号の最大は100なので一致する。

最後に個数。余りは0から99の100通り、曲番号は1から100の100通り。どちらも100通りで、上の対応は一対一である。もし割る数を99にしていれば曲番号は1から99にしかならず100番の曲が永久に選ばれない。101にすれば101番という存在しない曲が出る。いずれも上端の確認で弾ける。

なお、乱数の上限が100の倍数ちょうどでない場合、剰余の分布はごくわずかに偏る。ただし本問の乱数の範囲は曲数100に対して十分大きく、選択肢を決める判断には影響しない。

ここで効く一般則・学問的背景

剰余で範囲を作る問題は「割る数=欲しい個数」「足す数=欲しい下限」と機械的に分解する。 a 以上 b 以下の整数が欲しければ a+(rmod(ba+1)) である。この一般形を覚えておけば、境界の1ずれで迷うことがなくなる。

検算は必ず両端を代入する。範囲の問題の誤りは中央では現れず、端でしか現れない。

情報Ⅱではここが乱数の質の議論に接続する。剰余を取る方法は実装が簡単な反面、乱数の範囲が欲しい個数で割り切れないとき小さい値がわずかに出やすくなる。シミュレーションの精度が問われる場面では、この偏りを避ける生成法が選ばれる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(B)

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★★ / 5分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

乱数で曲番号を1000回求めて出力し、そのうち「1つ前と同じ曲番号だった回数」を数えて最後に表示する、というプログラムが与えられる。

空欄は2箇所。①if文の比較演算子②else側に置かれる代入文 である。カウンタを増やす行は与えられており、それがif側にあることが読み取れる。つまりif側が「一致した場合」だと確定している状態で、演算子と、else側でやるべき後始末を答えさせる形になっている。

解答群には比較演算子が6種、代入文が6種並ぶ。代入文の候補には、左辺と右辺を入れ替えたものや、+1が付いたものが混ぜてある。

2解答

  • 比較演算子 → 等値比較(==)
  • else側の代入 → 前回用の変数に今回の曲番号を代入する

処理の流れを表にすると次のようになる。

if側で前回用を更新していない点が気になるかもしれないが、if側に入るのは両者が等しいときなので、更新してもしなくても前回用の中身は変わらない。したがってelse側だけの更新で正しく動く。

3解説(端的に)

与えられている行から逆算する。 if側にカウンタを増やす処理があり、その行には「1つ前の曲と同じ場合」と示されている。したがってif文の条件は「今回と前回が等しい」でなければならない。比較演算子は等値比較に決まる。

次にelse側。else側は「今回と前回が異なる」場合である。ここで何をすべきかは、次の周回のことを考えれば分かる。次の周回で正しく比較するには、前回用の変数が今回の値になっていなければならない。よってelse側には前回用への代入が入る。

方向を間違えないよう注意する。更新するのは前回用であって今回用ではない。今回用は次の周回の先頭で新しい乱数に上書きされるため、ここで書き換えても意味がない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

「直前の値と比べる」処理には決まった型がある。今回の値を入れる変数と、前回の値を保存しておく変数の2つを用意し、ループの中で比較してから前回用を更新する、という形である。

`

for 繰り返し

今回 = 新しい値を得る

if 今回 と 前回 を比較

(一致したときの処理)

else

(一致しなかったときの処理)

end

end

`

この型で事故が起きるのは決まって更新の位置である。比較より前に前回用を書き換えると、常に自分自身と比べることになって比較が無意味になる。比較したあとに更新するという順序が守られているかどうかが、この型の急所になる。

もう一点、カウンタは0で初期化する。数え上げる対象がまだ1つも見つかっていない状態が0だからである。

検算 — 別の道すじで確かめる

条件文を読み直す経路とは別に、具体的な数列を手で流して出力を確かめる

曲番号が順に 5, 5, 7, 7, 7, 2 と出たとする。前回用の初期値は曲番号として現れない値であるとして追跡する。

「1つ前と同じ」だったのは2回目・4回目・5回目の3回であり、カウンタの最終値3と一致する。3連続の箇所が2回分として数えられている点も、定義どおりである。

更新をelse側からif側へ移した場合も試す。 2回目で前回用が更新されず初期値のままになり、3回目の比較が「7と初期値」になる。以降ずれ続けて数え落としが出る。よって更新位置はelse側でなければならない。

ここで効く一般則・学問的背景

「直前と比較する」処理は、比較→更新の順序が全てである。 更新を先に書いた瞬間、条件は常に真か常に偽に退化する。トレース表を3〜4行書けば必ず露見するので、この型が出たら手を動かして流すのが速い。

検算では同じ値が3つ以上続く列を必ず混ぜる。2つ続きだけで試すと、数え方の差(連続をまとめて1回と数えるのか、隣接ごとに数えるのか)が判別できない。

情報Ⅱではこの型が状態を持つ処理の入口になる。前回の値を保持することは、プログラムに1段階分の記憶を持たせることに等しい。保持する幅を1から k に広げれば、直近 k 件との比較になり、配列やキューでの管理が必要になる。同じ大問の後続設問がまさにその拡張になっている。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(C)

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★★★ / 7分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

直近10曲と重複しない再生順を1000回分出力するプログラムが与えられ、空欄が2箇所ある。

1つは候補曲の最終再生番号を取り出す式で、これは離れた2行に現れ、同じ記述が入ると明示されている。片方は判定のための読み出し、もう片方は採用が決まったあとの書き込みである。読み出しと書き込みで同じ場所を指すことが、この空欄の要点になっている。

もう1つは直近に再生済みでないことの判定条件である。プログラムには「まだ10曲分再生していない冒頭」を別扱いする分岐があらかじめ用意されており、この空欄はその後段、すなわち冒頭を過ぎたあとの一般の判定を担う。

2解答

  • 最終再生番号を指す式 → 候補の曲番号から1を引いた添字の配列要素songs[numberSong - 1]
  • 直近に再生済みでないことの判定 → 現在の再生番号 − 最終再生番号 ≧ 直近とみなす曲数listNum - prevSong >= range

配列の初期値は−1であり、これは「まだ一度も再生されていない」ことを表す番兵として使われている。冒頭の分岐がこの−1を見て採用を決めるため、一般の判定条件は冒頭を過ぎた場合だけを引き受ければよい。

3解説(端的に)

まず配列の添字。配列は0から99の100個で初期化されており、曲番号は1から100である。添字=曲番号−1とそろえるほかない。よって空欄には、候補の曲番号から1を引いたものを添字とする配列要素が入る。

同じ記述が2箇所に入るという条件が、この判断を裏づける。採用時に書き込む先と、次回以降に読み出す先が同じ欄でなければ、記録が機能しない。

次に判定条件。配列から取り出した値は「その曲が最後に再生されたときの再生番号」である。現在の再生番号との差が10以上あれば、直近10曲の中に入っていない。よって現在の再生番号から最終再生番号を引いた値が、直近とみなす曲数以上という不等式になる。

引く向きを逆にすると常に負となって条件が成立しなくなる。新しいほうから古いほうを引くと押さえておく。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

「直近 k 件に含まれていないものを選ぶ」という条件は、過去 k 件を並べて全部と突き合わせるのではなく、それぞれが最後に現れた時刻を記録しておき、今との差を見るほうが速い。

曲番号を添字とする配列に「その曲が最後に再生された再生番号」を入れておけば、判定は引き算1回で済む。現在の再生番号を L、候補曲の最終再生番号を P とすると、

配列の添字と曲番号の関係にも注意が要る。曲番号が1から100、配列の添字が0から99なら、添字は曲番号から1を引いた値になる。ここを揃え損ねると、1番の曲の記録が100番の欄に入るような1ずれが起きる。

検算 — 別の道すじで確かめる

条件式を読み直すのではなく、具体的な再生番号を入れて境界の両側を判定する

直近とみなす曲数を10、現在の再生番号を50とする。

境界が最終再生番号40と41の間にあり、「直近10曲」の定義と一致している。もし不等号を「>」にしていれば、ちょうど10曲前の曲まで却下してしまい、除外範囲が11曲に広がる。等号を含める必要があることが、この表から確認できる。

引く向きを逆にした場合も試す。最終39、現在50で 39 − 50 = −11 となり、10以上にならない。どの候補も採用されずwhileから抜けられなくなる。向きが逆でないことも裏づけられた。

ここで効く一般則・学問的背景

「直近 k 件と重複させない」は、履歴を並べるのではなく最終出現時刻を記録して差を取る。 配列1本と引き算1回で済み、k が大きくなっても手間が増えない。

配列の添字と番号の起点が1ずれていないかは、初期化ループの範囲を見て確かめる。 0から始まる初期化なら添字は0起点であり、1起点の番号をそのまま使ってはいけない。

情報Ⅱではこの構造がキャッシュの置き換え方式へつながる。最終使用時刻を記録して最も古いものを追い出すLRUは、本問と同じ「最終出現時刻を配列に持つ」設計そのものである。

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京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅲ 設問(D)

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

設問(C)のプログラムから、冒頭を別扱いしていた入れ子の分岐が取り除かれ、判定が一本化された改良版が与えられる。変わったのは配列の初期値だけであり、その初期値が空欄になっている。

解答群には、直近とみなす曲数に−1を掛けたもの、それに1を足したもの、0、小さな正の数、直近曲数そのもの、といった値が並ぶ。1つずらした値が複数混ぜてあるので、感覚で選ぶと確実に外れる。

2解答

初期値 → 直近とみなす曲数に −1 を掛けた値(-1) * range、すなわち −10)

各候補を冒頭(現在の再生番号が0)で判定すると次のようになる。

−10 だけが冒頭で条件を満たす。1つでも大きいと、開始直後にどの候補も却下されwhileから永久に抜けられなくなる。

3解説(端的に)

求めるべきは「冒頭でも一般の判定式が真になる初期値」である。 一般の判定式は設問(C)で確定しており、

である。ここに冒頭の状況を代入する。最も厳しいのは一番最初、現在の再生番号が0のときである。このとき候補曲はどれも未再生であり、最終再生番号は初期値そのものである。

初期値を s、直近とみなす曲数を k とすると、冒頭で採用されるためには

が必要になる。解答群の中でこれを満たす最大のもの、すなわち s=k が答えになる。

なぜ最大を取るかというと、番兵は条件をぎりぎり満たす値にしておくのが定石だからである。必要以上に小さくしても動作は同じだが、意図が読み取りにくくなる。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

プログラムの分岐が増える主因の多くは、処理の開始直後だけ状況が違うことにある。履歴を見て判断する処理では、履歴がまだ溜まっていない冒頭で通常の判定が使えず、専用の分岐を足すことになる。

これを消す常套手段が番兵(sentinel)である。「まだ無い」状態を、通常の判定式に入れても正しい答えが出るような値であらかじめ埋めておく。すると冒頭も一般の場合と同じ式で処理でき、分岐が1つ消える。

番兵の値は感覚で決めてはならない。通常の判定式に代入し、冒頭で望む結果になる条件を不等式として解く。この手順を踏めば必ず一意に決まる。

検算 — 別の道すじで確かめる

初期値を代入し直す経路とは別に、再生が進んだあとで番兵が悪さをしないかを確かめる。改良の妥当性は、冒頭だけでなく途中でも壊れないことまで見て初めて言える。

再生番号が5まで進んだ時点で、まだ一度も選ばれていない曲を候補にしたとする。最終再生番号は初期値の −10 のままなので、5(10)=15 となり10以上を満たす。未再生の曲は常に採用可能であり、これは望ましい動作である。

次に、再生済みの曲が誤って採用されないかを見る。再生番号3で選ばれた曲を、再生番号5の時点で再び候補にすると 53=2 で10未満となり却下される。直近10曲の制約は保たれている。

最後に、設問(C)の元のプログラムと同じ出力になるかを冒頭数回で照合する。元は「再生番号が10未満なら最終再生番号が−1かどうかで判定」していた。未再生の曲はどちらの版でも採用され、再生済みの曲はどちらの版でも却下される。冒頭10回の挙動が一致するので、分岐の削除は出力を変えていない。

ここで効く一般則・学問的背景

番兵の値は「通常の判定式に代入して、冒頭で望む結果になる」という不等式を解いて決める。 感覚で −1 や 0 を置くと、条件が「以上」か「より大きい」かの違いで1ずれる。解答群に1違いの値が並んでいたら、出題者はまさにそこを狙っている。

特殊ケース用の分岐を見たら、番兵で消せないかを疑う。 分岐が減ればバグの入る場所も減る。これはプログラムを短くする小技ではなく、状態の数を減らすという設計上の改善である。

情報Ⅱではこの発想がデータ構造の設計に現れる。連結リストの先頭に番兵ノードを置くと「先頭を削除する場合」の特別扱いが消える。境界条件を値の側に吸収させて処理を一様にする、という同じ考え方である。

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京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(A)

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

2種類のグラフが与えられる。一方は各手が勝った対戦回の累積数を1000回まで追ったもので、最終値が手ごとに数値で示されている。もう一方はある手を出した対戦回の中での勝ち・負け・あいこの割合の推移で、こちらも最終値が示されている。

問われるのは、パーについて①出た対戦回の総回数②あいこになった対戦回数である。いずれも、どちらか一方のグラフだけでは求まらない。設問文が「2つのグラフから」と断っているのは、2つを掛け合わせる/割り合わせる操作が必要だという誘導である。

解答は50刻みの範囲で選ばせる形なので、概算で足りる。

2解答

パーが勝った対戦回は362回、パーを出した中での勝ちの割合は0.54なので、

よって①は 650〜700回 の範囲。

あいこの割合は0.27なので、

よって②は 150〜200回 の範囲。

パーを出した670回の内訳は次のようになる。

3解説(端的に)

分母を先に復元する。 2つ目のグラフの割合は「パーを出した対戦回の中での比率」であり、分母はパーが出た回数そのものである。これは未知だが、分子にあたる「パーが勝った回数」は1つ目のグラフに実数で出ている。

したがって、

で分母が復元できる。これが①の答えになる。

②はその分母が分かってしまえば掛け算で済む。

順序が肝心である。先に割って分母を出し、次に掛ける。 いきなり1000回にあいこの割合を掛けると、分母を「全対戦回」と取り違えることになり誤答する。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

シミュレーション結果のグラフを読む問題では、そのグラフの縦軸が「実数」か「割合」かを最初に確かめる。両者は掛け算・割り算で行き来できるが、向きを間違えると答えが桁ごとずれる。

割合には必ず分母がある。割合が与えられていても、その分母が何かを取り違えると使えない。「全体に対する割合」なのか「ある条件を満たしたものの中での割合」なのかで、意味はまったく変わる。

本問で使う関係は次の一本である。

実数が分かっていて分母が未知なら割り算、分母が分かっていて実数が未知なら掛け算になる。どちらが未知かを見てから式を選ぶ

検算 — 別の道すじで確かめる

割り算と掛け算をやり直しても同じ誤りを繰り返すだけなので、使っていない3つ目の割合(負け)を使って閉じるかで確かめる。

負けの割合0.19から負け回数を出すと 670.4 × 0.19 = 127.4 ≈ 127回。勝ち・あいこ・負けを合計すると 362 + 181 + 127 = 670 となり、復元した分母と一致する。3つの割合の和が1.00(0.54 + 0.27 + 0.19)であることとも整合しており、分母の取り方が正しかったことが裏づけられる。

分母を全対戦回と誤った場合も試しておく。 1000 × 0.27 = 270回となり、これは「150〜200」の範囲から外れて「250〜300」に入る。解答群に250〜300が用意されているのは、この誤りを拾うためである。誤答が選択肢として実在することが、分母の確認を怠ってはいけない証拠になっている。

さらに大きさの妥当性も見る。2人が対戦するので1回の対戦で手は2つ出る。パーが片方でも出る対戦が全体の約3分の2というのは、各自が3手を偏りなく出すなら 1(2/3)20.56 程度、パー寄りの偏りがあればもう少し高い。670回はこの見当の範囲に収まる。

ここで効く一般則・学問的背景

割合を見たら、まず「分母は何か」を口に出して確かめる。 グラフの軸ラベルや本文中の「〜の中での」という限定句が分母を指定している。ここを読み飛ばすと、正しい掛け算をしても答えが合わない。

実数と割合が別々のグラフで与えられたら、割って分母を復元してから掛ける。 この二段構えは、シミュレーション結果の読み取りで繰り返し使う型である。

検算には使い残した割合を使う。3つの割合のうち2つで答えを出したなら、残る1つで合計が閉じるかを見る。独立な検算になっているうえ、計算量もほとんど増えない。

情報Ⅱではこの読み取りがモデルの妥当性検証へ進む。シミュレーションの出力が理論値と合うかを比べ、ずれが乱数由来の揺らぎの範囲かどうかを判断する。本問で見た「割合の和が1に閉じるか」は、その最も基本的な確認である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(B)前半

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

3行3列に並べられたグラフ群のうち、1つが空欄になっている。その位置に入るべきグラフを4つの候補から選ばせる。

候補には、軸の組み合わせが違うものと、軸は正しいが線の伸び方が違うものが混ぜられている。したがって判定は2段階になる。まず軸で絞り、残ったものを線の終点で判定する。

空欄の位置は2行1列目である。行と列の規則から、縦軸と横軸が何であるべきかは周囲のグラフから読み取れる。

2解答

各候補を2段階で判定する。

正答は (3) である。

(1)は軸のラベルこそ合っているが、線が縦に長く伸びて横には150程度しか進んでいない。これは対戦者2のチョキのほうが対戦者1のグーより多く出たことを意味し、周囲のグラフから読める実際の値と矛盾する。

3解説(端的に)

軸を先に確定し、次に終点を見る。 この順序なら、線の形を細かく比べる作業が最小限で済む。

第1段階:軸の特定。 空欄と同じ行にある他のグラフの縦軸、同じ列にある他のグラフの横軸を見る。空欄の縦軸は「対戦者2のチョキの総回数」、横軸は「対戦者1のグーの総回数」でなければならない。ここで軸が違う候補はすべて落ちる。

第2段階:終点の照合。 周囲のグラフから、各手の総回数はすでに読み取れる。対戦者1のグーは約470回、対戦者2のチョキは約190回である。したがって正しいグラフは、右端が横軸470付近、上端が縦軸190付近で止まっていなければならない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

累積値どうしを対戦回ごとに組にして打った点を線でつないだグラフは、散布図の形をしているが中身は時系列である。1回目から最終回まで進むにつれて、点は原点から右上へ向かって伸びていく。

このグラフには2つの読みどころがある。

終点の座標は、それぞれの累積の最終値そのものである。横軸の終点が一方の総回数、縦軸の終点がもう一方の総回数を表す。

傾きは、2つの累積が増える速さの比である。両者が一定の確率で独立に増えていくなら、線はほぼ直線になり、その傾きは

に近づく。片方が出やすければ線は寝るか立つかする。

行と列で総当たりに並べたグラフ群では、同じ行のグラフは縦軸が共通、同じ列のグラフは横軸が共通になる。この規則を使えば、空欄のグラフがどの軸を持つべきかは周囲から確定できる。

検算 — 別の道すじで確かめる

軸を見比べるのではなく、周囲のグラフから各手の総回数を独立に読み取り、整合するかを確かめる。

グラフ群の終点から読み取れる値は次のとおり。

どちらの合計も対戦回数1000にほぼ一致する。各対戦者は毎回必ず1つの手を出すので、3つの総回数の和は対戦回数に等しくなければならない。 この一致は、読み取りが正しいことの強い裏づけになる。

この表から、空欄のグラフの終点は横軸が対戦者1のグー約470、縦軸が対戦者2のチョキ約190となる。傾きはおよそ 190/4700.4 で、寝た直線になるはずである。候補(3)の線は緩やかに右上がりで、この見積もりと合う。

候補(1)との差も数値で確認する。 (1)の傾きはおよそ 470/1503.1 で、立った直線である。これが正しいとすれば対戦者2のチョキが470回、対戦者1のグーが150回となり、上の表と真っ向から食い違う。軸のラベルが同じでも、線の向きで判別できることがここで確定する。

ここで効く一般則・学問的背景

総当たりに並べたグラフ群は、行で縦軸・列で横軸が共通する。 空欄の軸は周囲から必ず決まるので、当てずっぽうで選ぶ必要はない。

累積のグラフは終点を読む。 終点の座標がそれぞれの合計値であり、そこから傾きも見積もれる。線の途中の形は判定に使わない。

「合計が全体と一致するか」で読み取りを検算する。 各対戦者の3つの手の総回数を足せば対戦回数になる。この制約を使えば、読み取り値が大きくずれていないかを自分で確かめられる。

軸のラベルが同じ候補が複数あるときは、必ず線の向きで決める。 出題者は軸を合わせたうえで縦横を入れ替えた候補を用意してくる。

情報Ⅱでは、この形式が散布図行列として扱われる。多変量のデータで全変数の組を一覧し、相関のある組を目視で探す手法である。本問のグラフ群はその最小構成であり、「どの組が強く関係しているか」を並べて比べるという発想が共通している。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

京都産業大学 公募推薦入試 2026 大問Ⅳ 設問(B)後半

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

グラフ群から各手の総回数を読み取り、そこから対戦者それぞれの手の出し方の確率を推定させる。

解答群には6つの比が並び、対戦者ごとに1つずつ選ぶ。候補には均等に近いもの、極端に偏ったもの、正解に近いが1項目だけ違うものが混ぜられている。2つの対戦者で別の候補を選ぶ必要がある点にも注意する。

2解答

グラフ群の終点から読み取った総回数と、そこから求めた比は次のとおり。

解答群と照合すると、

  • 対戦者10.45 : 0.15 : 0.40
  • 対戦者20.35 : 0.20 : 0.45

が最も近い。

対戦者1はチョキの値が0.15でぴったり一致し、グーとパーがそれぞれ0.02程度の差にとどまる。対戦者2も各項目の差が0.02以内に収まる。両者とも、他のどの候補よりも差が小さい。

均等に近い比(0.33 : 0.33 : 0.34)は、対戦者1のチョキが0.15と大きく外れるため落ちる。チョキに極端に偏った比も、実測と正反対なので落ちる。

3解説(端的に)

総回数を読み取り、1000で割って比に直し、最も近い候補を選ぶ。 これだけである。

手順を固定する。

1. グラフ群の終点から、各対戦者の3つの手の総回数を読む

2. 3つの合計が試行回数に近いことを確認する(読み取りの検算)

3. それぞれを試行回数で割り、小数第2位までの比にする

4. 解答群の中で最も近いものを対戦者ごとに選ぶ

3で得られる値は端数を持つので、候補との差が最小のものを選ぶ。複数の候補が近い場合は、差が最も大きい項目で比較すると判別しやすい。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

シミュレーションの出力から入力の設定値を推定する、という逆向きの問いである。

原理は単純で、十分な回数を繰り返せば、実際に起きた割合は設定した確率に近づく(大数の法則)。したがって、

として推定できる。1000回という試行回数は、確率の第2位までを見当づけるには十分な大きさである。

ただし完全には一致しない。乱数による揺らぎがあるため、実測値は設定値の周りにばらつく。したがって選択肢から選ぶ際は、最も近いものを選ぶという判断になる。ぴったり一致するものを探すと、どれも当てはまらないという結論になってしまう。

制約も使える。3つの手の確率は足して1になり、3つの総回数は足して試行回数になる。この制約を満たさない候補は即座に落とせる。

検算 — 別の道すじで確かめる

比を求め直すのではなく、推定した確率から勝敗の割合を計算し、別に与えられている実測値と突き合わせる

パーはグーに勝つので、パーが勝つ確率は「対戦者1がパーかつ対戦者2がグー」と「対戦者1がグーかつ対戦者2がパー」の和になる。推定値を代入すると

1000回では約343回となる。別に与えられているパーの勝利回数は362回であり、乱数の揺らぎの範囲で一致する。

あいこの確率も確かめる。同じ手が出る確率の和なので、

約368回。実測では勝敗のついた回数が645回だったので、あいこは355回である。こちらも近い。

確率の推定とは独立な経路(勝敗の実測値)から裏が取れたので、選んだ組み合わせは妥当である。

合計による確認も行う。 読み取った総回数の合計はどちらの対戦者も約990で、試行回数1000にほぼ一致する。もし1つの手を読み違えていれば、合計が大きく外れて気づける。

ここで効く一般則・学問的背景

シミュレーションの出力から入力を推定するときは、実測の割合をそのまま確率とみなす。 試行回数が十分なら、これで小数第2位までは信頼できる。

完全一致を求めない。 乱数による揺らぎがあるので、最も近い候補を選ぶ。ぴったり合う選択肢を探すのは、この種の設問では誤った態度である。

確率の和が1、回数の和が試行回数。 この制約は読み取りの検算に使える。合計が合わなければ、どこかの読み取りが誤っている。

推定値を使って別の量を計算し、実測と比べる。 本問なら勝敗の回数がそれにあたる。推定に使わなかった情報で裏を取るのが、最も強い検算になる。

情報Ⅱでは、この作業がモデルの推定と検証として扱われる。観測データからモデルの母数を推定し、そのモデルが別の観測を再現できるかを確かめる。揺らぎの大きさを見積もり、「この差は偶然の範囲か」を判断する統計的な枠組みが、そこで加わる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

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この解説は、オンライン数学専門塾数強塾の情報科目専門塾「情報ラボ」が制作しています。監修は藤原進之介(株式会社数強塾 代表取締役/『藤原進之介の ゼロから始める情報I』KADOKAWA 著者)。共通テスト「情報Ⅰ」で得点するための解き方を、方針・解答・独立した検算・一般則の順で示しています。

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