2025年度(令和7年度)大学入学共通テスト『情報Ⅰ』本試験の全問解説です。問題 → 解答 → 端的な解説 → 深掘りの順に並べています。まず問題を読み,答えを確かめ,短い解説で理解し,余力があれば深掘りタブを開いてください。解答・配点はすべて大学入試センター公表の正解表と照合済みです。
このページの内容
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問1
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問2
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問3
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問4
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問1
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問2
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問3
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問4
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問1
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問2
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問3
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問1
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問2
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問3
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問1
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問2
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問3
- 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問4
問1 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問1
1問題
a 次の文章中の空欄[ア]に入れるのに最も適当なものを、後の⓪〜④のうちから一つ選べ。
インターネットで情報をやり取りする際、発信者が本人であることを確認するためにデジタル署名が利用できる。また、デジタル署名を用いると、その情報が[ア]を確認できる。
⓪ 複製されていないか ① 暗号化されているか ② 改ざんされていないか ③ どのような経路で届いたか ④ 盗聴されていないか
b 近年、128ビットで構成されるIPアドレスが利用されるようになった理由の一つとして最も適当なものを、次の⓪〜④のうちから一つ選べ。[イ]
⓪ 有線LANだけでなく無線LANにも対応するため。 ① 大容量データの送受信に対応するため。 ② インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため。 ③ 漢字など英数字以外の文字で表されるドメイン名に対応するため。 ④ HTMLの仕様変更に対応するため。
2解答
[ア]=②(配点2点) [イ]=②(配点2点)
3解説(端的に)
a. デジタル署名がしてくれる仕事は2つだけです。「この人が本当に送った」(本人確認)と、「途中で中身が書き換えられていない」(改ざん検出)。署名は文書全体から計算した要約値(ハッシュ値)をもとに作られるので、1文字でも変われば署名の検証に失敗します。よって②。
b. 128ビットのIPアドレスとはIPv6のことです。従来のIPv4は32ビットで約43億個。しかしスマートフォン・家電・センサなど、インターネットに直接つながる機器が爆発的に増え、43億個では足りなくなりました。これを解決するために桁数を増やしたのがIPv6です。よって②。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
ハッシュ関数…データを入れると決まった長さの「要約値」が出てくる関数。元データが1ビットでも変わると要約値がガラリと変わる。
公開鍵暗号方式…「鍵ペア(秘密鍵・公開鍵)」を使う仕組み。デジタル署名では、送信者が自分の秘密鍵でハッシュ値を暗号化して署名を作り、受信者が送信者の公開鍵で復号する。復号できた=秘密鍵の持ち主が作った=本人である。復号したハッシュ値と、受信データから自分で計算したハッシュ値が一致すれば=改ざんされていない。
IPアドレスのビット数…IPv4は32ビットで 232≒43億個。IPv6は128ビットで 2128≒3.4×1038個。
検算 — 別の道すじで確かめる
a の誤答チェック。⓪ 複製…署名付きデータはそのままコピーできてしまうので、複製は防げも検出もできない。① 暗号化されているか…署名は「内容を隠す」処理ではないので、暗号化の有無は分からない。③ 経路…署名には経路の記録は一切含まれない。④ 盗聴…盗み見を防ぐのは暗号化の役目で、署名の役目ではない。残るのは②だけ。
b の誤答チェック。⓪ 有線か無線かはLANの配線方式(下位の層)の話で、アドレスの長さとは無関係。① 大容量データを速く送れるかは通信回線の速度・帯域の話で、アドレス長では変わらない。③ 日本語ドメイン名はPunycodeという変換で処理され、IPアドレスとは別レイヤーの話。④ HTMLはWebページの記述形式で、通信の宛先とは無関係。残るのは②。
数で確かめる。232=4,294,967,296(約43億)。世界人口約80億人が1人1台スマホを持っただけでもう足りません。2128は約340澗(かん)=3.4×1038個で、地球上の砂粒より桁違いに多い個数です。
ここで効く一般則・学問的背景
デジタル署名=「認証(本人確認)」+「完全性(改ざん検出)」。機密性(盗み見防止)は暗号化の担当。
署名は「秘密鍵で作り、公開鍵で検証する」。暗号化は「公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号する」。鍵の使う向きが逆。
IPv4=32ビット=約43億個、IPv6=128ビット=約3.4×1038個。
学問的背景。公開鍵暗号は1976年のディフィー=ヘルマン、1977年のRSAによって実用化された比較的新しい技術で、「鍵を安全に渡す方法がない」という何千年来の暗号の難問を数学(素因数分解や離散対数の困難さ)で解決しました。一方IPv4アドレスは2011年に世界の在庫(IANAプール)が枯渇し、NAT(1つのグローバルアドレスを複数機器で共有する技術)で延命しつつIPv6への移行が進んでいます。IoT機器がすべて直接インターネットにつながる社会では、機器ごとに固有アドレスを与えられるIPv6が前提になります。情報Ⅱではこうしたネットワーク設計やセキュリティ設計をより体系的に扱います。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問2 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問2
1問題
次の文章を読み、空欄[ウ]〜[カ]に当てはまる数字をマークせよ。
図1に示した部品は、棒状の7個のLEDⓐ〜ⓖを使って数字や一部のアルファベットを表示するものである。この部品を7セグメントLEDと呼び、例えば数字の0〜9は図2のようにLEDを点灯させて表示することができる。
【図1】7セグメントLEDの外観図。「8」の字状に配置された7本の棒状LEDに、上辺ⓐ、右上ⓑ、右下ⓒ、下辺ⓓ、左下ⓔ、左上ⓕ、中央の横棒ⓖとラベルが付いている。(原図は問題冊子PDFを参照)
【図2】7セグメントLEDで0〜9の数字を表示した様子。上段に0,1,2,3,4、下段に5,6,7,8,9が並び、点灯セグメントが白、消灯セグメントが灰色で描かれている。(原図は問題冊子PDFを参照)
7セグメントLEDにおける、ⓐ〜ⓖを点灯させる組合せは、すべてのLEDが消灯している状態を含めて全部で[ウ][エ][オ]通りである。
図1に示した部品は、アルファベットとして図3に示す13種類を表示できる。
【図3】7セグメントLEDで表示できる13種類のアルファベット。左から A, b, c, d, E, F, H, J, L, n, P, U, y(b・c・d・n・y は小文字)。(原図は問題冊子PDFを参照)
これらの大文字8種類、小文字5種類のアルファベットに加え、数字10種類を用いて、ある製品のエラーコードを表示する。図4のように、1桁目を大文字のアルファベット、2桁目を小文字のアルファベット、3桁目以降の桁については数字のみを用いる場合、図1の7セグメントLEDの部品が全部で少なくとも[カ]個あれば5,000種類のエラーコードを表示することができる。
【図4】7セグメントLEDの部品を横に並べてエラーコードを表示した様子。左から「A」「b」と表示され、3桁目以降は波線で省略されている。(原図は問題冊子PDFを参照)
2解答
[ウ][エ][オ]=128([ウ]=1、[エ]=2、[オ]=8/配点3点)
[カ]=5(配点3点)
3解説(端的に)
[ウ][エ][オ]。LEDは1本ごとに「点灯」「消灯」の2通り。それが独立に7本あるので、組合せは 2×2×2×2×2×2×2=27=128通り。「全部消灯も含めて」とあるので、余計な引き算はいりません。
[カ]。1桁目は大文字8種、2桁目は小文字5種、3桁目以降は数字10種ずつ。数字の桁数を n とすると総数は 8×5×10n=40×10n。これが5,000以上になればよいので 10n≧125、つまり n=3(102=100では足りず、103=1000なら足りる)。全体の桁数は 2+3=5桁。7セグメントLEDは1桁につき1個必要なので、5個。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
2択がn個 → 2n通り。これは情報Ⅰの背骨です。「1ビット=2通り」「nビット=2n通り」とまったく同じ考え方で、7セグメントLEDは実質「7ビットの情報」を表示していることになります。
積の法則。1桁目にA通り、2桁目にB通り、3桁目にC通り…の選び方があるとき、全体は A×B×C×… 通り。桁ごとに使える文字の種類が違っても、掛け算でつなぐだけです。
2の累乗は覚えておく。21=2, 22=4, 23=8, 24=16, 25=32, 26=64, 27=128, 28=256, 29=512, 210=1024。
検算 — 別の道すじで確かめる
[カ]を「桁数を1つずつ増やして試す」やり方で確かめる。
・全体3桁(大1・小1・数1)→ 8×5×10=400種類 → 5,000に足りない。
・全体4桁(大1・小1・数2)→ 8×5×10×10=4,000種類 → まだ足りない(あと1,000足りない)。
・全体5桁(大1・小1・数3)→ 8×5×10×10×10=40,000種類 → 5,000を超える。OK。
「4桁では4,000で足りない/5桁なら40,000で足りる」と両側から挟めば、答えが5個であることが確定します。「少なくとも」=条件を満たす最小の個数なので、6個や7個と答えてはいけません。
[ウ][エ][オ]でやりがちなミス。「全消灯を除いて127通り」としてしまう誤りが典型です。問題文に「すべてのLEDが消灯している状態を含めて」とはっきり書いてあるので、128でよい。また「表示できる文字は数字10+アルファベット13=23種類だから…」と考えてしまうのも誤りです。ここで聞かれているのは意味のある文字になるかどうかに関係なく、点灯パターンが何通りあるかです。
ここで効く一般則・学問的背景
「独立な2択がn個」なら必ず 2n 通り。ビット数と表現できる情報量の関係そのもの。
桁ごとに使える種類が違う場合は、各桁の種類数をすべて掛ける(積の法則)。
「少なくとも○個」は、条件を満たす最小値。1つ下の値で足りないことまで確認して初めて確定する。
学問的背景。7セグメントLEDは、電卓・デジタル時計・家電の表示部として1970年代から使われてきた最も基本的な出力装置です。実際の回路では「BCD-7セグメントデコーダ」というIC(論理回路)が、0〜9を表す4ビットの2進数を受け取って、ⓐ〜ⓖの7本それぞれを点灯させるかどうかの信号に変換します。つまり「4ビットの入力→7ビットの出力」という変換器で、情報が意味を保ったまま形を変える「符号化(エンコード)」の身近な例です。なお5,000種類の情報を表すのに理論上必要なビット数は log25000≒12.3、すなわち13ビットですが、本問では「1桁目は大文字だけ」といった使い方の制約があるため、7×5=35本ものLEDを使うことになります。制約が増えるほど効率が落ちる——これは情報Ⅱで学ぶ符号化・データ圧縮の出発点となる感覚です。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問3 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問3
1問題
次の文章を読み、空欄[キ]に当てはまる数字をマークせよ。また、空欄[ク]に入れるのに最も適当なものを、後の解答群のうちから一つ選べ。
チェックディジットは、書籍のISBNコードなどで数字の入力ミスを検出するためなどに利用されている。ここでは、5桁の数字(N5N4N3N2N1)の利用者IDに、チェックディジット1桁(C)を加えた6桁の識別番号(N5N4N3N2N1C)を考える。チェックディジットの生成方法として、次の2種類を考える。
【生成方法A】 利用者IDの各桁の値を足し合わせ、10で割った余りRを求め、10からRを引いた値をチェックディジットとする。
【生成方法B】 利用者IDの各奇数桁(N5, N3, N1)の値をそれぞれ3倍にした値と、各偶数桁(N4, N2)の値を足し合わせ、10で割った余りRを求め、10からRを引いた値をチェックディジットとする。
なお、いずれの生成方法も、Rが0の場合は、チェックディジットを0とする。
例えば、ある利用者IDが「22609」の場合にチェックディジットを計算すると、生成方法Aでは「1」になり、生成方法Bでは「[キ]」となる。
これらのチェックディジットでは、1桁の入力ミスは検出できても、2桁の入力ミスは、検出できないことがある。生成方法Bはこの点について多少検出できるように工夫されている。例えば、[ク]入力ミスをした場合は、生成方法Aでは検出できることはないが、生成方法Bでは検出できることがある。
[ク]の解答群
⓪ 奇数桁の数字を二つ間違える ① 連続する二つの桁の数字をそれぞれ間違える ② 奇数桁のうちの二つの桁の数字の順序を逆にする ③ 連続する二つの桁の数字の順序を逆にする
2解答
[キ]=7(配点2点) [ク]=③(配点3点)
3解説(端的に)
[キ]。ID「22609」は右端から N1=9, N2=0, N3=6, N4=2, N5=2。生成方法Bでは奇数桁(N5,N3,N1)=2,6,9 を3倍して 6+18+27=51、偶数桁(N4,N2)=2,0 で 2。合計53。53÷10の余りR=3。10-3=7。
[ク]。生成方法Aはただの足し算です。足し算は順序を変えても答えが変わらないので、「桁の順序を入れ替えるミス」は絶対に検出できません。ここが狙われています。
一方Bは、奇数桁だけ3倍という桁ごとに違う重みを付けています。連続する2桁は必ず「奇数桁と偶数桁」の組なので、入れ替えると重みが3と1で入れ替わり、合計が変わる→検出できることがある。よって③。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
剰余(あまり)。「10で割った余り」は、数字の一の位を取り出す操作とほぼ同じです。53÷10=5あまり3なので R=3。
桁の番号の付き方。本問の N5N4N3N2N1 は右端が N1です。「22609」なら左から N5=2, N4=2, N3=6, N2=0, N1=9。ここを取り違えると全滅するので、必ず右端から番号を振る癖をつけましょう。
重み付き和。各桁に係数(重み)を掛けて足す計算。生成方法Bの重みは右端から 3, 1, 3, 1, 3 です。
検算 — 別の道すじで確かめる
[キ]を生成方法Aと並べて確認。A:2+2+6+0+9=19 → 19÷10の余り9 → 10-9=1。問題文の「Aでは1」と一致するので、桁の読み取り方も計算手順も正しいと確認できます。同じIDでBは53 → 余り3 → 10-3=7。
[ク]③を具体例で確かめる。ID「22609」の下2桁「09」を逆に打って「22690」としてしまったとします。
・A:2+2+6+9+0=19 → 余り9 → C=1。元と同じ1なので検出できない。
・B:奇数桁 N5=2, N3=6, N1=0 → 3倍して 6+18+0=24。偶数桁 N4=2, N2=9 → 11。合計35 → 余り5 → C=5。元の7と違うので検出できる。③が条件どおりに働きます。
②が誤りである理由も具体例で。奇数桁どうし、N5=2 と N1=9 を入れ替えて「92602」にしてみます。
・A:9+2+6+0+2=19 → C=1(変わらない、検出不可)。
・B:奇数桁 9,6,2 → 3倍して 27+18+6=51。偶数桁 2,0 → 2。合計53 → C=7(これも変わらない)。
奇数桁どうしはどちらも重みが3で同じなので、入れ替えても合計が動かない。Bでも検出できないので②は不適。
⓪・①が誤りである理由。問題文の条件は「Aでは検出できることはない」です。⓪や①のように数字そのものを間違えるミスは、合計値が変わればAでも検出できてしまいます(例:3を4に、5を6に打ち間違えれば和が2増え、Aで検出される)。「Aでは絶対に検出できない」と言い切れるのは、和がまったく変わらない順序の入れ替えだけ。よって残るのは②か③で、②はBでも検出できないから③に決まります。
ここで効く一般則・学問的背景
単純な足し算は「順序」に鈍感。桁を入れ替えるミス(転倒誤り)を原理的に検出できない。
桁ごとに異なる重みを掛けると、順序の入れ替えが合計に効くようになり、検出できるようになる。
チェックディジットは誤りを「検出」する仕組みであり、「訂正」はできない。また100%検出できるわけでもない。
学問的背景。生成方法Bは、現実のISBN-13(書籍のバーコード番号)のチェックディジットとまったく同じ設計です。ISBN-13は各桁に 1, 3, 1, 3, … と交互の重みを掛けて足し、10で割った余りRから 10-R を求めます。クレジットカード番号で使われるLuhnアルゴリズムも、1桁おきに2倍するという同種の工夫です。なぜ「隣どうしの入れ替え」を特別扱いするのかというと、人間の入力ミスの統計で最も多いのが「1桁の打ち間違い」、その次に多いのが「隣り合う2桁の入れ替え(transposition error)」だからです。つまりこれは、人間の誤りの傾向を測ったうえで設計された人間工学に基づく符号なのです。より進んだ分野では、誤りを検出するだけでなく自動的に訂正できるハミング符号やリード・ソロモン符号(QRコードやCD、衛星通信で使用)へと発展します。情報Ⅱで扱うデータの品質管理・信頼性設計の入口です。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問4 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第1問 問4
1問題
次の文章を読み、後の問い(a・b)に答えよ。
マウスカーソルをメニューやアイコンなどの対象物に移動する操作をモデル化し、Webサイトやアプリケーションのユーザインタフェースをデザインする際に利用されている法則がある。この法則では、次のことが知られている。
・対象物が大きいほど、対象物に移動するときの時間が短くなる。
・対象物への距離が短いほど、対象物に移動するときの時間が短くなる。
a 次の文章中の空欄[ケ]に入れるのに最も適当なものを、図5の⓪〜③のうちから一つ選べ。
この法則では、PCなどでマウスを操作する場合、マウスカーソルはディスプレイの端で止まるため、ディスプレイの端にある対象物は実質的に大きさが無限大になると考える。
この法則に基づくと、図5の⓪〜③で示した対象物のうち、現在ディスプレイ上の黒矢印で示されているマウスカーソルの位置から、最も短い時間で指し示すことができるのは[ケ]である。
【図5】ディスプレイを正面から描いた図。⓪は画面左寄りにある小さな角丸四角形、①は画面中央にある⓪より大きい角丸四角形、②は画面右上の角に接した横長の四角形、③は画面右下の角に接した横長の四角形。画面右側にマウスカーソル(黒矢印)が描かれ、②の方が③より近い位置にある。(原図は問題冊子PDFを参照)
b 次の文章中の空欄[コ]・[サ]に入れるのに最も適当なものを、後の解答群のうちから一つずつ選べ。
操作時間を短くするためにこの法則を適用した事例として、利用頻度に基づいてメニュー項目を配置する方法がある。
ここでは、マウスを右クリックした際に、マウスカーソルに対して図6に示すような位置で表示されるメニュー項目の配置について考える。マウスカーソルで選択できる各メニュー項目の大きさは同じであるとし、この法則のみに沿って設計されたとすると、「項目5」は、他の項目と比べ利用頻度が[コ]項目なので、意図的に[サ]に配置されていると考えられる。
【図6】縦に5段積み重なった同じ大きさの長方形のメニュー項目。上から「項目1」「項目2」「項目3」「項目4」「項目5」。メニューの左上隅の外側にマウスカーソル(黒矢印)が描かれている。(原図は問題冊子PDFを参照)
[コ]の解答群
⓪ 低い ① 同程度の ② 高い
[サ]の解答群
⓪ メニューの中で一番目立つ場所 ① マウスカーソルの位置から遠い場所 ② マウスで素早く選択できる場所
2解答
[ケ]=②(配点2点)
[コ]=⓪ [サ]=①([コ]・[サ]で配点3点)
3解説(端的に)
この「法則」はフィッツの法則です。ルールはたった2つ、「大きいほど速い」「近いほど速い」。
a. ⓪と①は画面の内側にある普通の大きさの対象物。②と③は画面の端(角)に接しているので、カーソルが端で止まってくれる分「実質的に大きさが無限大」、つまり最強の当てやすさになります。あとは②と③のうちカーソルから近い方を選べばよく、図5では②。よって②。
b. 図6ではカーソルはメニューの左上にあります。したがって項目1が最も近く(速い)、項目5が最も遠い(遅い)。この法則だけで設計したなら、よく使う項目ほど近くに置くはずです。一番遠い項目5は利用頻度が低い(⓪)から、意図的にマウスカーソルの位置から遠い場所(①)に置かれている、と読めます。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
フィッツの法則。ある対象物を指し示すのにかかる時間 MT は、対象までの距離 D が大きいほど長く、対象の幅 W が大きいほど短くなります。式で書くと MT = a + b・log2(2D/W)。式そのものは共通テストで問われませんが、「D(距離)が分子、W(大きさ)が分母」と押さえておけば、「遠いと遅い・大きいと速い」が一発で出てきます。
画面の端=無限に大きな標的。マウスをどれだけ勢いよく動かしてもカーソルは画面の外に出られません。だから端にある対象は「行き過ぎる」心配がなく、狙いを定めなくても当たる。式のうえでは W が無限大になり、log の中身が0に近づくので MT が最小になります。とくに角は縦横2方向で止まるので最強です(マジックコーナーと呼ばれます)。
検算 — 別の道すじで確かめる
a の4つを条件で絞る。まず「端に接しているか」で分けると、⓪①は内側、②③は端。端にあれば実質無限大なので、大きさの勝負では②③の勝ち。⓪は小さいうえに遠いので論外、①は少し大きいが端ではないので②③には勝てません。残る②と③はどちらも実質無限大なので、決め手は距離だけ。図5でカーソルに近いのは②。よって②。
b の誤答チェック。[コ]①「同程度の」…同程度なら、わざわざ一番遠い位置に置く理由が説明できません。②「高い」…よく使う項目を一番遠くに置くのは、操作時間を短くするというこの設計方針と正反対です。よって⓪。
[サ]⓪「一番目立つ場所」…目立ち方(視覚的な目立ちやすさ)は色や大きさの話で、フィッツの法則が扱う「距離と大きさによる操作時間」とは別の観点。問題文が「この法則のみに沿って設計されたとすると」とわざわざ限定しているので、法則の外の理由を持ち出す⓪は選べません。②「素早く選択できる場所」…それはカーソルに近い場所のことで、一番下にある項目5には当てはまりません。よって①。
逆から確かめる。もし項目5が最も使う項目だとしたら、設計者はそれを項目1の位置(カーソル直下)に置いたはずです。そうしなかった=あまり使わないから遠くでよい、という論理です。
ここで効く一般則・学問的背景
フィッツの法則=「対象が大きいほど速い」「対象が近いほど速い」。この2つだけで判断する。
画面の端・角にある対象は、カーソルが止まるため実質的に大きさが無限大。角は2方向で止まるので最強。
よく使う機能は近く・大きく、使わない機能や危険な機能は遠く・小さく。これがメニュー設計の基本方針。
学問的背景。フィッツの法則は1954年、心理学者ポール・フィッツが「人が手を伸ばして目標に触れる」実験から導いた、人間の運動の法則です。もともとコンピュータとは無関係でしたが、マウスの登場後にHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)研究へ取り込まれ、いまやUIデザインの最重要法則の一つになりました。macOSがメニューバーを画面の最上端にぴったり貼り付けているのも、Windowsがスタートボタンを左下の角に置いているのも、この法則の応用です。逆に「削除」のような取り返しのつかない操作をあえて押しにくい位置・押しにくい大きさにするのも同じ法則の裏返しの使い方で、こちらは誤操作を防ぐデザインと呼ばれます。情報Ⅰでは、こうした使う人の身体や認知の特性に合わせて設計するという発想が、ユニバーサルデザインやユーザビリティ評価とつながっていきます。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第2章 情報デザイン に対応します。
問A1 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問1
1問題
高校生のYさんは,職業体験のため全国チェーンの総合スーパーマーケット「LikeWing」駒谷南店を訪れている。レジを担当したYさんと店長の会話文を読み,後の問い(問1~4)に答えよ。
Yさん:レシートにはたくさんの情報が印字されていますね(図1)。このレシートには「ポイント会員ID」が載っていますが,ポイントカードは店側にとってどんなよいことがあるのですか?
店 長:LikeWingでは,ポイントカードを作成する際に,お客様の名前,性別,生年の三つの属性情報をポイント会員情報として登録してもらっています。そして,(A)ポイント会員情報とレシートに印字されている情報を組み合わせて分析することで販売促進につなげています。
Yさん:それらの情報には大切な情報も多いですよね。どう管理されているのですか?
店 長:はい。ポイント会員情報とレシートに印字されている情報は,LikeWingの本部の情報システムで一括して管理しています。(B)本部,各店舗,商品を製造するメーカー,商品を店舗に配送する配送センターの間で情報をやり取りしていて,商品は本部が一括して発注し,配送の指示を出します。
Yさん:LikeWingのネットショッピングサイトは有名ですね。そのネットショッピングサイトと,この情報システムはつながっているのですか?
店 長:今まさに,連携を検討しているところです。これらが(C)連携するメリットは多くあります。
【図1】レシートの例。縦長のレシートが1枚描かれ,上から順に,店名「LikeWing」「駒谷南店」,「登録番号:T9999999999999」,「電話:0XX-XXX-XXX」「店コード:3333」,住所「AAA県AAA町AA1−1」,「2025年1月xx日(月)」「17:55」,「レジ:#2 2001」「責:渡辺」,「【領収書】」と印字されている。続いて明細が3行,「005011 除菌シート 1個 132」「011221 コミック 1個 836」「001561 スナック菓子 1個 225軽」。その下に「合計 ¥1,193」,内訳として「(内消費税等 ¥104)」「(10%対象 ¥968)」「(内消費税額 ¥88)」「(8%対象 ¥225)」「(内消費税額 ¥16)」,「点数 3個」「上記領収いたしました」「お預かり合計 ¥1,500」「お釣 ¥307」「軽印は軽減税率対象商品です」。最後に破線をはさんで「ポイント会員ID ************1111」「買上ポイント 10P」「利用可能ポイント 247P」が印字されている。
レシートの左右には引き出し線でラベルが付いており,丸数字が付くのは次の9か所である。
⓪ 店コード(「店コード:3333」)/① レジの番号(「レジ:#2 2001」)/② 担当店員名(「責:渡辺」)/③ 商品コード,購入商品名(「005011 除菌シート」などの明細行の左側)/④ 購入した商品の個数(各明細行の「1個」)/⑤ 購入した商品の合計金額(「¥1,193」)/⑥ 購入した商品の個数の合計(「3個」)/⑦ お預かり合計金額(「¥1,500」)/⑧ ポイントカードの利用可能ポイント数(「247P」)。
これとは別に,丸数字ではなく太字のラベルが2か所ある。「購入日,曜日」(「2025年1月xx日(月)」を指す)と「購入時刻」(「17:55」を指す)である。(原図は問題冊子PDFを参照)
問1 次の文章を読み,空欄[ア]~[ウ]に入れるのに最も適当なものを,図1の⓪~⑧のうちから一つずつ選べ。ただし,空欄[イ]・[ウ]の解答の順序は問わない。
LikeWing全体での「時間帯ごとの総売上額(消費税込)」の比較を行うには,図1の「購入時刻」と「[ア]」に表されている情報から分析する。また,「曜日別の各商品の購買の状況」を把握するには,図1の「購入日,曜日」と「[イ]」と「[ウ]」に表されている情報から分析する。
⓪ 店コード ① レジの番号 ② 担当店員名 ③ 商品コード,購入商品名 ④ 購入した商品の個数 ⑤ 購入した商品の合計金額 ⑥ 購入した商品の個数の合計 ⑦ お預かり合計金額 ⑧ ポイントカードの利用可能ポイント数
2解答
[ア]=⑤(購入した商品の合計金額) ……2点
[イ]=③(商品コード,購入商品名),[ウ]=④(購入した商品の個数) ……2点(イ・ウの解答の順序は問わない)
3解説(端的に)
集計したいものを「切り口(グループ分けの軸)」と「集計する値」に分けて考えるのがコツです。
「時間帯ごとの総売上額(消費税込)」は,切り口が購入時刻,集計する値が売上金額。レシートで消費税込みの売上金額を表すのは⑤「合計 ¥1,193」です。⑦「お預かり合計 ¥1,500」はお客さんが差し出したお金であって売上ではありません(お釣¥307が含まれます)。また「LikeWing全体での比較」なので,店舗を区別する⓪店コードは要りません。
「曜日別の各商品の購買の状況」は,切り口が購入日・曜日とどの商品か,集計する値が何個売れたか。よって③商品コード・購入商品名と④購入した商品の個数の二つが必要です。⑥は「点数 3個」というレシート1枚ぶんの合計なので,商品ごとの数量には分解できません。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
レシートのデータは,1行が「いつ・どこで・だれが・何を・いくつ・いくらで買ったか」を表すトランザクションデータ(取引データ)です。表計算ソフトのピボットテーブルを思い浮かべると分かりやすく,
- 行/列に置くもの=グループ分けの軸(時間帯,曜日,商品名)
- 値に置くもの=合計したい数(金額,個数)
という対応になります。設問文の「〇〇ごとの△△」という言い回しは,そのまま「〇〇=軸/△△=値」と読み替えられます。
検算 — 別の道すじで確かめる
「その項目を消したら目的の集計ができなくなるか?」を一つずつ試すと確実です。
- ⑤を消すと,時間帯ごとにレシートを集めても金額が分からず売上額が出せない → 必要。
- ⑦お預かり合計だけがあると,¥1,500のうち¥307はお釣なので売上を過大に見積もってしまう → 誤り。
- ③を消すと「どの商品か」が分からず,商品別に分けられない → 必要。
- ④を消すと「1個ずつ買った」と仮定するしかなく,まとめ買いを取りこぼす → 必要。
- ⑥(点数3個)はレシート1枚の合計個数なので,除菌シート/コミック/スナック菓子のどれが何個かは復元できない → 誤り。
- ⓪店コードは店舗別に比べるときには要るが,今回は「全体での比較」なので不要 → 誤り。
金額側も確かめておきます。明細の 132+836+225 = 1,193 で「合計 ¥1,193」に一致し,¥1,500 −¥1,193 = ¥307 でお釣とも一致します。⑤が消費税込みの売上金額であることが,レシートの数字だけで確認できます。
ここで効く一般則・学問的背景
- 集計は「軸(ディメンション)」と「値(メジャー)」に分解して考える。
- 「合計金額」と「お預かり金額」は別物。売上として使えるのは前者。
- 粒度(細かさ)が足りないデータは,後から細かくできない。レシート単位の合計点数から商品別の数量は作れない。
- 問われている集計単位(全体か店舗別か)を読み取り,不要な項目は選ばない。
学問的背景。スーパーやコンビニのレジは単なる計算機ではなくPOS(Point of Sale=販売時点情報管理)システムの端末です。日本では1980年代にコンビニ業界が本格導入し(セブン-イレブンの全店導入が1982年),「何が・いつ・いくつ売れたか」を売れた瞬間に記録することで,勘に頼っていた発注を数字に基づく判断へ変えました。ここで作られる「軸と値に分けて集計する」考え方は,データベースのGROUP BY句,表計算のピボットテーブル,そして情報Ⅱで扱うデータウェアハウス(多次元データ分析)まで一直線につながります。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問A2 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問2
1問題
会話文中の下線部(A)は次のとおりである。
店 長:LikeWingでは,ポイントカードを作成する際に,お客様の名前,性別,生年の三つの属性情報をポイント会員情報として登録してもらっています。そして,(A)ポイント会員情報とレシートに印字されている情報を組み合わせて分析することで販売促進につなげています。
【図1】レシートの例(問A1の図1と同じ)。購入日・曜日,購入時刻,店コード,レジの番号,担当店員名,商品コード・購入商品名,購入した商品の個数,合計金額,点数,お預かり合計,お釣,ポイント会員ID,買上ポイント,利用可能ポイントが印字されている。(原図は問題冊子PDFを参照)
問2 下線部(A)の分析によって得られない情報として最も適当なものを,次の⓪~③のうちから一つ選べ。[エ]
⓪ 顧客が商品を購入した理由。
① 同じ顧客に,繰り返し購入される傾向がある商品。
② ある商品を多く購入している顧客の年齢層。
③ 年齢や性別の違いによる,来店する時間帯の傾向。
2解答
[エ]=⓪(顧客が商品を購入した理由) ……2点
3解説(端的に)
手元にあるデータは「会員情報=名前・性別・生年」と「レシート情報=会員ID・購入日・購入時刻・店コード・商品・個数・金額」だけです。これらは「何が起きたか」の記録であって,お客さんの頭の中(動機・気持ち)は一切記録されていません。だから⓪「購入した理由」は,どれだけ集計しても出てきません。
他の三つは,会員IDでレシートどうしをつなげれば計算できます。①は同じ会員IDのレシートを並べて,同じ商品コードが何度も出てくるかを数えるだけ。②は生年から年齢を求め,その商品を買った人の年齢を集計すれば年齢層が出ます。③は年齢・性別と購入時刻をクロス集計すれば傾向が見えます。
「データから分かるのは事実の傾向まで。なぜ買ったかはアンケートやインタビューでないと分からない」——これが答えの核心です。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
データ分析では,手持ちのデータを「何が記録されているか」で棚卸しします。
- 属性データ(会員情報)…名前・性別・生年。人そのものの性質。
- 行動データ(レシート情報)…いつ・どこで・何を・いくつ買ったか。人の行動の結果。
- 意識データ…なぜ買ったか,満足したか。→ 今回のシステムには存在しない。
会員IDは,バラバラのレシートを「同じ人のもの」としてつなぐキー(結合のためのかぎ)の役割を果たします。これがあるからこそ①②③のような「人単位の分析」が可能になります。
検算 — 別の道すじで確かめる
各選択肢について「その答えを出す計算手順が書けるか」を確かめます。
- ① 会員IDでレシートをまとめ,商品コードごとに登場回数を数える → 手順が書ける。
- ② 商品コードでレシートを絞り,そのIDの生年から年齢を計算して分布を見る → 手順が書ける。
- ③ 生年と性別で会員をグループ分けし,購入時刻の分布を比べる → 手順が書ける。
- ⓪ 「理由」を格納した項目がどこにも無いので,計算手順が書けない → これが正解。
なお②③で使う「年齢層」は,生年しか登録していなくても「今年 − 生年」でおよその年齢が求まる点に注意。誕生日までは分からないので厳密な年齢は出ませんが,10代・20代といった年齢層を見るには十分です。設問が「年齢」ではなく「年齢層」「年齢の違い」と書いているのは,この精度に配慮した表現です。
ここで効く一般則・学問的背景
- データに記録されていないことは,どんな高度な分析でも取り出せない。
- 相関は分かっても因果や動機は分からない。「夕方に高齢層が多い」は分かるが「なぜ夕方なのか」は分からない。
- IDは複数の記録を同一人物に結び付けるキーであり,分析の幅を決定づける。
- 定量データ(購買ログ)と定性データ(アンケート・インタビュー)は役割が違う。
学問的背景。購買ログのように,本来の目的(会計)のついでに貯まるデータを副産物データ(exhaust data)と呼びます。安価で大量に得られる一方,「なぜ」を欠くのが宿命で,企業はこれを補うためアンケートやユーザーインタビューを併用します。一方,会員IDで行動を長期に追えることは,個人が特定されうる個人情報を扱っているということでもあります。日本の個人情報保護法は,こうした購買履歴の利活用に対して利用目的の特定・明示や適切な管理を求めており,「分析でできること」と「してよいこと」は別問題である,という視点も情報Ⅰの重要テーマです。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問A3 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問3
1問題
会話文中の下線部(B)は次のとおりである。
店 長:ポイント会員情報とレシートに印字されている情報は,LikeWingの本部の情報システムで一括して管理しています。(B)本部,各店舗,商品を製造するメーカー,商品を店舗に配送する配送センターの間で情報をやり取りしていて,商品は本部が一括して発注し,配送の指示を出します。
問3 図2は,下線部(B)に示すLikeWingの情報システムにおける主な情報の流れと商品の流れを表している。なお,顧客は必ずポイントカードを提示して商品を購入するものとする。
【図2】「LikeWingの情報システムにおける主な情報の流れと商品の流れ」を示す模式図。左上に凡例があり,濃い灰色の太い矢印が「情報の流れ」,白抜きの矢印が「商品の流れ」を表す。図の中には,灰色の楕円で「LikeWing配送センター」(左上)・「LikeWing店舗」(中央上)・「LikeWing本部」(中央下)が置かれている。このうち配送センターと店舗は楕円が3枚重ねて描かれており,複数の拠点があることを表すのに対し,本部は重なりのない単一の楕円で描かれている(本部が一つであることは,会話文の「本部の情報システムで一括して管理」「商品は本部が一括して発注」と対応する)。このほか,白い長方形(重ねて描かれ複数社を表す)で「メーカー」(左下),3人の人型の図で「顧客」(右)が置かれている。矢印は次の7本である。
・メーカー →(白抜き・「商品」)→ LikeWing配送センター(下から上へ)
・LikeWing配送センター →(白抜き・「商品」)→ LikeWing店舗(左から右へ)
・LikeWing店舗 →(白抜き・「商品」)→ 顧客(左から右へ)
・顧客 →(濃い灰色・ラベル「(う)」)→ LikeWing店舗(右から左へ)
・LikeWing店舗 →(濃い灰色・ラベル「(い)」「売上・購買情報など」)→ LikeWing本部(上から下へ)
・LikeWing本部 →(濃い灰色・ラベル「(あ)」「配送情報など」)→ LikeWing配送センター(右下から左上へ)
・LikeWing本部 →(濃い灰色・「発注情報など」)→ メーカー(右から左へ)
(原図は問題冊子PDFを参照)
図2の中で,次のI・IIの情報のそれぞれが必要とされる情報の流れ(図2のあ~う)を過不足なく含むものを,後の⓪~⑥のうちから一つずつ選べ。
I 店コード [オ]
II ポイント会員ID [カ]
⓪ あ ① い ② う ③ あ,い ④ あ,う ⑤ い,う ⑥ あ,い,う
2解答
[オ]=③(あ,い) [カ]=⑤(い,う) ……オ・カ合わせて3点
3解説(端的に)
矢印を「送り手 → 受け手」と読み,受け手がその情報を使わないと仕事ができないかを考えます。
I 店コード(=どの店舗かを表す番号)
・い(店舗→本部):本部は全国の店舗の売上・購買情報を集めます。どの店の売上か分からなければ集計できないので必要。
・あ(本部→配送センター):本部は「どの店に何を何個届けるか」という配送情報を指示します。届け先を示す店コードが必要。
・う(顧客→店舗):顧客が店に渡すのはポイントカードの情報。目の前の店に「あなたは3333番の店です」と伝える意味はないので不要。
→ あ,い = ③
II ポイント会員ID(=どのお客さんかを表す番号)
・う(顧客→店舗):顧客がポイントカードを提示することで会員IDが店に伝わるので必要。
・い(店舗→本部):本部は会員情報と購買情報を結び付けて一括管理するので必要。
・あ(本部→配送センター):配送先は店舗であり,個人には届けません。誰が買ったかは配送に無関係なので不要。
→ い,う = ⑤
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
図2のような図をDFD(データフロー図)的な図と考えると読みやすくなります。ポイントは3つ。
- 矢印には向きがある。「あ」は本部から配送センターへの一方通行で,逆向きではありません。
- 矢印の種類を区別する。白抜きはモノの流れ,濃い灰色は情報の流れ。設問で問われているのは「情報の流れ(あ~う)」だけです。
- コードは「何を指すID」かを言葉にする。店コード=店舗の識別子,ポイント会員ID=顧客の識別子。「その識別子が指す相手を,受け手が区別する必要があるか?」が判断基準になります。
検算 — 別の道すじで確かめる
「その情報が無かったら何が起きるか」を想像する背理法で確かめましょう。
- い に店コードが無い → 本部に「除菌シートが1個売れた」とだけ届く。どの店の在庫が減ったのか分からず補充の指示が出せない。破綻するので必要。
- あ に店コードが無い → 配送センターは荷物をどこへ送ればよいか分からない。破綻するので必要。
- う に店コードが無い → レジは自分の店コードを最初から知っているので何も困らない。不要。
- う に会員IDが無い → ポイントが誰にも付かず,レシートの「ポイント会員ID」欄も印字できない。破綻するので必要。
- い に会員IDが無い → 本部は「誰が買ったか」を失い,問2の①②③のような会員単位の分析が一切できなくなる。会話文の「一括して管理」に反する。必要。
- あ に会員IDが無い → 配送センターは店舗に商品を運ぶだけ。誰も困らない。不要。
ここで「あ」に会員IDまで流してしまうと,配送業務に不要な個人情報を余計な相手に渡すことになります。「過不足なく」という設問の言葉は,足りないのもダメ,多すぎるのもダメという意味だと押さえてください。
ここで効く一般則・学問的背景
- 情報の流れは「送り手→受け手」で読み,受け手の仕事に必要かで判定する。
- 識別子(コード・ID)は「区別する必要がある相手」がいるところにだけ流れる。
- 必要最小限の情報だけを渡す(データ最小化の原則)。不要な個人情報を広く流さない。
- モノの流れと情報の流れは別々に追う。両者が逆向きになることも多い(商品は下流へ,発注情報は上流へ)。
学問的背景。この図はいわゆるサプライチェーン(メーカー→配送センター→店舗→顧客)と,それを制御する情報の流れを重ねたものです。1980年代以降,日本の流通業はPOSで集めた売上情報を本部に集約し,発注・配送を一括制御することで在庫を最小化してきました(多頻度小口配送・ジャストインタイム)。ここで鍵になるのが,商品コード(JANコード)・店コード・会員IDといった共通の識別子です。異なる組織が同じ番号体系を共有しているからこそ,データを突き合わせて一つの流れとして扱えます。情報Ⅱのデータベース分野で学ぶ「主キー」「外部キー」による表の結合は,まさにこの考え方を形式化したものです。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問A4 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問A 問4
1問題
会話文中の下線部(C)は次のとおりである。
Yさん:LikeWingのネットショッピングサイトは有名ですね。そのネットショッピングサイトと,この情報システムはつながっているのですか?
店 長:今まさに,連携を検討しているところです。これらが(C)連携するメリットは多くあります。
問4 下線部(C)の連携するメリットとして,次のI~IIIが考えられる。これらを実現するために,後の【条件】あ~うのうち,LikeWingの情報システムに求められる条件はどれか。空欄[キ]~[ケ]のそれぞれについて,【条件】あ~うを過不足なく含むものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。なお,LikeWingのポイント会員であるか否かにかかわらず,ネットショッピングを利用する顧客は,ネットショッピングのアカウントを作成して,宅配のための自宅の住所を登録するものとする。
| 連携するメリット | 条 件 |
|---|---|
| I 顧客がネットショッピングサイトにログインしたときに,現在のポイントカードのポイント数と自宅に近い実店舗の広告チラシが自動的に表示される。 | [キ] |
| II 顧客がネットショッピングで商品を購入しようとするとき,その顧客がポイントカードをよく利用する実店舗のうちで,その商品の在庫がある実店舗の情報が表示される。 | [ク] |
| III 顧客がネットショッピングサイトにログインしたときに,商品の購入傾向が実店舗も含めて類似している他の顧客の購入履歴をもとに,おすすめ商品を画面に表示する。 | [ケ] |
【条件】
あ ポイント会員IDとネットショッピングのアカウントが対応付けられている。
い ネットショッピングで扱われている商品に実店舗で用いられている商品コードが割り当てられている。
う 商品コードと店コードから実店舗における商品の在庫数を調べることができる。
[キ]~[ケ]の解答群
⓪ あ ① い ② う ③ あ,い ④ あ,う ⑤ い,う ⑥ あ,い,う
2解答
[キ]=⓪(あ) ……2点
[ク]=⑥(あ,い,う) ……2点
[ケ]=③(あ,い) ……2点
3解説(端的に)
3つの条件を役割で覚えます。あ=人をつなぐ/い=商品をつなぐ/う=在庫が分かる。
I(ポイント数+自宅に近い店のチラシ)…必要なのは「ログインしている人=どの会員か」を知ること。ポイント数は会員IDから引けます。自宅住所はネットのアカウントに登録済みと明記されているので,そこから近い店を選べば十分。商品の話も在庫の話も出てきません。→ あ だけ=⓪
II(よく利用する店のうち,その商品の在庫がある店を表示)…「よく利用する実店舗」を知るには会員の購買履歴が要るのであ。ネットで見ている商品と実店舗の商品を同じものだと判断するためにい。その店に在庫があるか調べるためにう。→ あ,い,う=⑥
III(似た人のおすすめ商品)…「実店舗も含めて」履歴を合わせるので同一人物の紐付けあが必要。ネットと実店舗の商品を同一視して比較するのでいも必要。在庫数は関係ないのでうは不要。→ あ,い=③
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
2つのシステム(実店舗の情報システムとネットショッピング)をつなぐとき,「何と何を同じものと見なすか」を決める作業が必要です。これを名寄せ・マスタ統合と呼びます。
- あ=人の名寄せ(ポイント会員ID ↔ ネットアカウント)
- い=商品の名寄せ(ネットの商品 ↔ 実店舗の商品コード)
- う=在庫という新しい情報が引けること(商品コード+店コード → 在庫数)
そして各メリットについて,「その画面を作るのに人・商品・在庫のどれが要るか」を順に確認すれば機械的に解けます。
検算 — 別の道すじで確かめる
逆向きに「その条件が無くても実現できるか」を確かめます。
- Iで い は不要か? チラシは店舗単位で用意されたもので,個々の商品をネットの商品と対応づける必要はありません。ポイント数の表示にも商品コードは不要。→ 不要。
- Iで う は不要か? 「在庫がある商品だけ載せたチラシ」とは書かれていません。表示するのは既存の広告チラシです。→ 不要。よってキは⓪。
- IIで あ は必要か? 「その顧客がポイントカードをよく利用する実店舗」を知るには,ログイン中のネットアカウントがどの会員IDかを特定しないと履歴にたどり着けません。→ 必要。
- IIで い は必要か? ネットの商品ページを見ている状態で実店舗の在庫を引くには,実店舗側の商品コードに変換する必要があります。条件うも「商品コードと店コードから」と書かれており,商品コードが前提です。→ 必要。よってクは⑥。
- IIIで う は必要か? 「おすすめ商品を表示する」だけで,「在庫のある店を案内する」とは書かれていません。→ 不要。よってケは③。
設問文の一語一語(「よく利用する」「在庫がある」「実店舗も含めて」)が,そのまま必要条件のスイッチになっている点に注目してください。共通テストは,こうした条件を過不足なく選ぶ形式を好みます。
ここで効く一般則・学問的背景
- システム連携の第一歩は,人と物の識別子を共通化すること。
- 「過不足なく」=必要十分。不足も過剰も誤り。迷ったら「無くても実現できるか」で切る。
- 設問文に書かれていない機能を勝手に足さない。「在庫」の語が無ければ在庫条件は不要。
- すでに前提として与えられている情報は,条件として数えない。自宅住所はネットアカウントに登録済みと明記されている。
学問的背景。実店舗とネット販売を一つの顧客体験としてつなぐ考え方をオムニチャネルと呼び,2010年代以降の小売業の中心的テーマになりました。技術的には,顧客マスタと商品マスタを統合し(マスタデータ管理),在庫をリアルタイムで参照できるAPIを用意することで実現されます。IIIのしくみは協調フィルタリング——「あなたと似た買い方をした人が買った物」を薦める推薦アルゴリズム——で,1990年代の研究に始まり,いまや動画配信や音楽配信の中核技術です。ここで扱う商品コードは日本ではJANコードとして標準化されており,「標準化された共通の番号があるからデータをつなげる」という情報社会の基盤思想を体現しています。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問B1 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問1
1問題
Mさんは,あるグループの会計係をしており10人のメンバーから一人6,000円ずつ集めることになった。Mさんは,以前集金をしたときにおつりに困ったことがあったので,メンバー全員におつりを渡すための千円札を何枚用意しておくのがよいか,次の条件でシミュレーションすることにした。
- グループのメンバーは,来た順番に一人ずつMさんにお金を支払う。
- メンバーは,必ず千円札6枚(6,000円)または一万円札(10,000円)のいずれかでMさんに支払う。
- メンバーが一万円札で支払った場合,おつりの4,000円は千円札4枚で渡す。
- メンバーが千円札6枚で支払う確率を30%,一万円札で支払う確率を70%と考える。
シミュレーションは表計算ソフトウェアで1以上10以下の整数が同じ確率で出現する乱数rを用い,次のように考えて行った。
問1 次の文章を読み,空欄[コ]~[セ]に当てはまる数字をマークせよ。
Mさんの手元の千円札の枚数を最初0枚として,シミュレーションをした結果,表1のようになった。
表1 乱数rの値と手元の一万円札,千円札の枚数変化
| 乱数rの値 | 手元の一万円札の枚数 | 手元の千円札の枚数 | |
|---|---|---|---|
| 初期値 | (斜線) | 0 | 0 |
| 1人目 | 8 | 1 | − 4 |
| 2人目 | 1 | 1 | 2 |
| 3人目 | 6 | 2 | − 2 |
| 4人目 | 10 | 3 | − 6 |
| 5人目 | 9 | ? | ? |
| 6人目 | 4 | [コ] | ? |
| 7人目 | 5 | ? | ? |
| 8人目 | 3 | ? | −[サ][シ] |
| 9人目 | 7 | ? | ? |
| 10人目 | 2 | ? | ? |
【表1の吹き出し】表の右側に吹き出しが2つあり,それぞれ「手元の千円札の枚数」欄の値を指している。1人目の「−4」を指す吹き出し:「1人目が一万円札で支払ったので,おつりとして渡す千円札4枚が不足する。」2人目の「2」を指す吹き出し:「2人目が千円札6枚で支払ったので,不足していた1人目のおつりを渡し,千円札2枚が残る。」表の下には「(表の一部を“?”で隠してある)」と注記があり,5人目以降の多くのセルが“?”になっている。また初期値の行の「乱数rの値」欄には斜線が引かれている。(原図は問題冊子PDFを参照)
なお,この表の「手元の千円札の枚数」が負の数の場合,Mさんが渡さなければならないおつりの千円札が,その数の絶対値の枚数分不足していることを意味する。そこでMさんは,「手元の千円札の枚数」の最小値を調べ,その絶対値の枚数の千円札を事前に準備しておけば,おつりに困らないと考えた。この考えによると,今回行った1回のシミュレーションの場合,千円札[ス][セ]枚を事前に準備しておけば,一度も千円札が不足することなく集金できることになる。
2解答
[コ]=5 ……3点
[サ][シ]=1,2(つまり −12) ……3点
[ス][セ]=1,8(つまり 18枚) ……3点
3解説(端的に)
ルールはたった2つ。r≦3(千円札払い)→ 千円札 +6,r≧4(一万円払い)→ 一万円札 +1,千円札 −4。あとは表を上から順に埋めるだけです。
6人目はr=4なので一万円払い。一万円札は3→4→5と増えて[コ]=5。8人目はr=3なので千円札払い,−18+6=−12で[サ][シ]=1,2。
千円札の枚数の最小値は7人目の−18。あらかじめ18枚持っていれば,どの時点でも0枚を下回らないので[ス][セ]=1,8です。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
乱数で確率を作るしくみ:1〜10の整数が等確率で出る乱数を使い,1・2・3の3通りを「千円札払い」に割り当てれば 3/10 = 30%,4〜10の7通りを「一万円払い」に割り当てれば 7/10 = 70%。問題文の確率設定がそのまま境界値3に対応しています。
負の数を「不足」として扱う工夫:本当は「千円札が−4枚」など存在しませんが,あえて負のまま計算を続けることで,あとから「一番へこんだところ=最も不足した瞬間」が一目で分かります。実際に必要な準備枚数は,この最小値の絶対値です。
検算 — 別の道すじで確かめる
①人数から検算する。r≦3だったのは2人目(r=1),8人目(r=3),10人目(r=2)の3人。残り7人が一万円払いです。
・一万円札の最終枚数=7枚(表の10人目と一致)。
・千円札の最終枚数=(+6)×3 +(−4)×7 = 18 − 28 = −10(表の10人目と一致)。
・金額でも確認:集めた総額は 6,000×10 = 60,000円。手元は一万円札7枚=70,000円と千円札−10枚=−10,000円で,合計60,000円。ぴったり合います。
②最小値の場所だけを絞り込む。千円札の枚数は一万円払いで−4,千円札払いで+6と動きます。ということは,最小値の候補は「初期値」と「一万円払いが続いた区間の終わりの値」だけに絞れます(区間の途中はまだ−4される余地が残っており,千円札払いの直後は+6されて増えるだけだから)。初期値を候補から落とさないことが要注意点です。1人目が千円札払いなら最初の一歩は+6で,そこから先が初期値を下回らないまま終わることがあります(例:千,万,千,万,…と交互に並ぶと 0→6→2→8→4→10→6→12→8→14→10 となり,一万円払い区間の終わりの値は 2, 4, 6, 8, 10 ですが,最小値はそれらではなく初期値の0です)。
今回のrの列 8, 1, 6, 10, 9, 4, 5, 3, 7, 2 で一万円払い(r≧4)なのは1,3,4,5,6,7,9人目。連続する区間は〈1人目〉〈3〜7人目の5連続〉〈9人目〉の三つで,各区間の終わりの値はそれぞれ −4,−18,−16。これに初期値0を加えた四つを比べるだけで,最小は −18 と確定します。
なお「連続が長いほど小さい」とは限りません(その区間に入る直前の水準にもよります)ので,必ず区間の終わりの値そのものを比べてください。
③[ス][セ]の考え方を確かめる。最初に18枚持っていた場合の推移は 18→14→20→16→12→8→4→0→6→2→8。7人目でちょうど0になり,一度もマイナスになりません。17枚だと7人目で−1となり不足するので,18枚が必要最小限です。
ここで効く一般則・学問的背景
- シミュレーションは「状態」と「更新ルール」で書ける。状態=手元の枚数,ルール=乱数による+6/−4。
- 乱数の値域を分割して,任意の確率を再現できる。10通りの乱数なら10%刻みの確率が作れる。
- 不足を負の数で表すと,必要量は「最小値の絶対値」で求まる。
- 累積の途中経過を追うときは,最終値ではなく最小値・最大値に注目する。
- 個数の合計や金額の合計で全体を検算する。
学問的背景。乱数を大量に発生させて確率的な現象を調べる手法をモンテカルロ法といい,第二次大戦中のロスアラモス研究所で中性子の拡散を解析するために考案されました(名はカジノの街モンテカルロに由来)。この問題のように「途中で資金が尽きないか」を調べる構造は,確率論ではランダムウォークと破産問題として知られ,銀行のATMの現金補充計画や,企業のキャッシュフロー管理,在庫の安全在庫量の設計にそのまま応用されています。1回の試行では結論を出せず,多数回の試行の分布を見る——これが次の問2につながる考え方です。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問B2 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問2
1問題
(前提)メンバー10人が来た順に一人6,000円ずつ支払う。支払いは必ず千円札6枚か一万円札1枚のいずれか。千円札6枚で支払う確率30%,一万円札で支払う確率70%。一万円札で支払われたらおつりの千円札4枚を渡す。「手元の千円札の枚数」が負のときは,その絶対値の枚数だけ千円札が不足していることを意味する。
問2 Mさんは,1回のシミュレーション結果では判断できないと考え,このシミュレーションを10,000回行った。図3は,各シミュレーションでの「手元の千円札の枚数」の最小値を横軸に,その回数を縦軸に表したものである。この結果に関する考察として最も適当なものを,次の⓪~③のうちから一つ選べ。 [ソ]
⓪ 全員が一万円札で支払うケースはなかった。
① 最後まで千円札が不足しなかったのは,全回数の1割以下である。
② 別の乱数を使って10,000回シミュレーションを行っても,最終的な結果のグラフはまったく同じになる。
③ 全員が千円札でお金を支払ったケースが1回以上ある。
【図3】「手元の千円札の枚数」の最小値の回数を表す縦棒グラフ。縦軸のラベルは「回数」で,0から1600まで200刻みの目盛りが付き,200から1600までの各目盛りに水平な破線のグリッド線が引かれている(0の位置は破線ではなく横軸の実線)。横軸のラベルは「『手元の千円札の枚数』の最小値」で,右端が0,そこから左へ −4,−8,−12,−16,−20,−24,−28,−32,−36,−40 と4刻みの目盛り数値が付いている。
棒は横軸の目盛り数値の位置だけでなく,その中間(−30,−26 などの偶数値)にも立っており,全部で19本ある。棒が立つ位置は,左端の −40 から右端の 0 まで,−40,−36,−32,−30,−28,−26,−24,−22,−20,−18,−16,−14,−12,−10,−8,−6,−4,−2,0 の19か所である。−38 と −34 の位置だけ棒が無く,左寄りの部分に他より広い空きができている。
棒の高さについて,図から確実に読み取れることを挙げると,最も高いのは −20 の棒で,1400 と 1600 のグリッド線の間まで伸びている。次に高いのは −10 の棒(1000 の線より上)で,−30 の棒がそれに続く(800 の線より上,1000 の線より下)。右端 0 の棒は 800 のグリッド線あたりの高さで,1000 のグリッド線には届いていない。左端 −40 の棒は 200 と 400 のグリッド線の間にある。それ以外の棒の高さは目盛り線との位置関係でしか判断できないため,ここでは個々の数値は挙げない(原図は問題冊子PDFを参照)。
2解答
[ソ]=①(最後まで千円札が不足しなかったのは,全回数の1割以下である) ……3点
3解説(端的に)
「最後まで千円札が不足しなかった」=一度も負にならなかった=最小値が0ということ。全10,000回の1割は1,000回で,これは縦軸の1000のグリッド線に対応します。グラフの右端,最小値0の棒は1000のグリッド線に届いていないので,1割以下。よって①が正しい。
⓪ 全員が一万円札なら千円札は−4ずつ10回で最小値−40。グラフの左端−40の位置には棒が立っている(高さは0ではない)ので,「なかった」は誤り。
② 乱数は毎回ちがう値が出るので,グラフの形は似てもまったく同じにはならない。「まったく同じ」と言い切っている時点で誤り。
③ 全員が千円札なら最小値は0ですが,最小値が0だった回のすべてが「全員千円札」とは限りません。むしろ千円札払いが4人以上いて先に手元が潤えば,一万円札が混ざっても0を下回らずに済みます。0の棒の中身がどちらなのかはグラフからは区別できないので,「1回以上ある」とは断定できません。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
図3は度数分布(ヒストグラム)です。読み方の基本は次の3点。
- 横軸が何を表すか…1回のシミュレーションから得た「最小値」という1個の代表値。10,000回ぶんが集計されています。
- 縦軸が何を表すか…その最小値になった回数。19本の棒の高さを合計すると10,000になります。
- 端(両端)の意味…右端0は「一度も不足しなかった」,左端−40は「全員が一万円札だった」。極端なケースは端に現れます。
棒が偶数の位置にしか立たないのも道理です。千円札の枚数は+6と−4の足し引きだけで動くので,どの時点の値も必ず偶数になります。−38・−34に棒が無いのも,10人ぶんの+6/−4の組合せではその値が最小値になり得ないからです。
また,選択肢を判定するときは「グラフから読み取れること」と「グラフでは区別できないこと」を切り分ける必要があります。
検算 — 別の道すじで確かめる
①の検算。1割=1,000回。縦軸には200刻みで破線が引かれているので,1000の破線が「ちょうど1割」のラインです。最小値0の棒はこの破線に届いていないので,1割以下。→ 正しい。棒の高さを何回と読み取る必要はなく,1000の線を越えているかどうかだけを見れば判定できます。
⓪の検算。最小値が−40になるのは,10人全員が一万円札を出したときだけ(−4×10)。それより小さい値は原理的に存在しないので,−40がグラフの左端になります。その左端に棒が立っている以上,「なかった」は成り立ちません。理論の側からも押さえておくと,10人全員が一万円札を出す確率は 0.7¹⁰ ≒ 0.0282 で,10,000回なら期待回数は約282回。これは「まず起こらない」量ではなく,何百回か現れて当然の頻度です。
②の検算。乱数を使ったシミュレーションの結果は試行ごとにばらつきます。回数を増やせば分布の形は安定していきますが(大数の法則),19本の棒の高さが1本残らず一致することはありません。「まったく同じ」は言い過ぎです。
③の検算。まず,千円札払いの人数を b 人とすると,10人ぶん終えた時点の千円札の枚数は 6b −4(10−b) = 10b −40。最小値は最終値以下ですから,最小値が0になるには 10b −40 ≧ 0,すなわち b ≧ 4 が必要です。逆に b≧4 なら並び順しだいで最小値0が実現できます。例えば〈千・千・千・千・万・万・万・万・万・万〉なら
6 → 12 → 18 → 24 → 20 → 16 → 12 → 8 → 4 → 0
と,一度も負にならず最小値0で終わります。つまり最小値0の棒には,一万円札の人が6人も混ざったケースがふつうに含まれるのです。
一方,全員が千円札で支払う確率は 0.3¹⁰ ≒ 0.0000059。10,000回試しても期待回数はおよそ0.06回で,ほぼ起こりません。「最小値0の棒がそれなりの高さで立っている」ことと,「全員千円札が1回以上ある」ことは全くの別物であり,グラフから③は断定できません。
⓪と③を見比べると差がはっきりします。⓪の「全員一万円札」は最小値−40というその原因でしか生じない値に対応するので,−40の棒の有無だけで判定できます。ところが③の「全員千円札」は最小値0という他の原因でも生じる値に紛れ込むので,0の棒を見ても中身は分かりません。結果の値と原因が1対1に対応するかどうか——ここが⓪と③の分かれ目です。
ここで効く一般則・学問的背景
- シミュレーションは1回では判断できない。複数回の分布で評価する。
- 乱数を使う以上,結果は毎回ばらつく。「必ず同じ」と言う選択肢は誤り。
- ヒストグラムの端(最大・最小)には極端なケースが対応する。
- 「結果が同じ」でも「原因が同じ」とは限らない。最小値0=全員千円札,とは言えない。
- グラフの値は目分量で数値を断定せず,目盛り線との上下関係で判定する。共通テストの選択肢は「1割以下か」のように,線を越えるか越えないかで決着がつくように作られている。
学問的背景。試行回数を増やすほど実際の割合が理論上の確率に近づくことを大数の法則といい,モンテカルロ法が信頼できる根拠になっています。一方で,どれだけ回数を増やしても結果は完全には一致しません。そこで研究や実務では,乱数の出発点(乱数の種/シード)を記録し,同じ種を与えれば同じ結果を再現できるようにします。これを再現性の確保といい,科学的なデータ分析の基本作法です。コンピュータの乱数が実は計算式で作られた疑似乱数であることも,ここに関係しています。「別の乱数なら結果は変わる/同じ種なら再現できる」——この二面性を理解しておくと,②のような選択肢は即座に切れます。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問B3 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第2問B 問3
1問題
(前提)メンバー10人が来た順に一人6,000円ずつ支払う。支払いは必ず千円札6枚か一万円札1枚のいずれか。一万円札で支払われたらおつりとして千円札4枚を渡す。
問3 次にMさんは,事前に千円札を20枚用意した場合について考えた。この場合,メンバー10人から順に集金した際に起こることがないケースを,次の⓪~③のうちから一つ選べ。 [タ]
⓪ 最初の1人が千円札で支払ったとしても,途中でおつりの千円札が不足するケース。
① 用意された千円札をまったく使うことなく全員からの集金を終えるケース。
② 千円札で支払った人が5人いて,途中でおつりの千円札が不足するケース。
③ 一万円札で支払った人が8人いて,途中でおつりの千円札が不足せず全員からの集金を終えるケース。
2解答
[タ]=②(千円札で支払った人が5人いて,途中でおつりの千円札が不足するケース) ……3点
3解説(端的に)
手元の千円札は20枚スタート。千円札払いで+6,一万円払いで−4です。
②が起こらない理由:千円札払いが5人なら一万円払いも5人。最悪の順番=一万円払い5人が先に来る場合を考えると,20 −4×5 = 0。ちょうど0で止まり,マイナスにはなりません。一万円払いは全部で5人しかいないので,どんな順番でも減る量は最大20枚。よって絶対に不足しない。→ これが正解。
他は起こりえます。
⓪ 1人目が千円札(20→26),残り9人が全員一万円札 → 26 −36 = −10。途中の8人目で−2となり不足する。
① 全員が千円札6枚で払えば,おつりを渡す場面が一度もない → 用意した20枚は手つかず。
③ 一万円札8人・千円札2人で,千円札の2人が先に来た場合 → 20+12=32,そこから −4×8 = 0。不足せず完了できる。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
「起こることがない」を示すには,すべての順番を調べても一度も起きないことを言う必要があります。全部書き出すのは大変なので,最悪ケース(ワーストケース)だけを調べるのがコツです。
- 千円札が最も減るのは,−4(一万円払い)をできるだけ先にまとめた順番。
- 逆に「不足しない例がある」ことを示すには,都合のよい順番を1つ見つければ十分(実例の提示)。
つまり,「必ず起きない」の証明は最悪ケース,「起こりうる」の証明は具体例1つ,と方針を使い分けます。
検算 — 別の道すじで確かめる
②を式で確かめる。ある時点までに一万円払いがa人,千円札払いがb人いたとすると,手元は 20 −4a +6b 枚。最小になるのは b=0 のときで,しかも a は最大5人(千円札払いが5人いる=一万円払いも5人)。よって最小値は 20 −4×5 = 0。0以上なので不足は起こりません。
他の選択肢の具体例を示す。
境界に注意。②の最悪ケースも③の例も,途中や最後で「ちょうど0」になります。0は「持っている千円札を全部使い切った」状態であって,不足ではありません。この0と−1の境目を見誤ると②と③の判断が入れ替わってしまうので,「不足=負の数」と定義に忠実に読むことが決め手です。
ここで効く一般則・学問的背景
- 「必ず起きない」を示すには最悪ケースを調べる。「起こりうる」を示すには実例を1つ挙げる。
- 累積量の最小値は,減少ステップを前に集めたときに現れる。
- 境界値(ちょうど0,ちょうど20)で判定がひっくり返る。定義を厳密に読む。
- 順序が結果を左右する問題では,合計だけでなく途中経過を追う。
学問的背景。「途中で残高が0を下回らないか」を問うこの構造は,アルゴリズム論の最悪計算量の考え方と同じ発想です——平均ではなく,一番都合の悪い入力でどうなるかを保証する。実務では,ATMやレジに用意する釣銭の量,銀行の準備金,サーバのバッファサイズなど,「最悪でも足りる量」を見積もる場面で日常的に使われます。なお「合計は同じでも並び順しだいで途中の残高が負になったりならなかったりする」という構造は,確率論では投票問題(開票の途中で一方が常にリードし続ける確率)として古くから研究され,反射原理という数え上げの技法で扱われます。歩幅が±1で本数も等しいという特別な場合には,その並べ方の総数がカタラン数で与えられることも知られています(本問は+6と−4で歩幅が異なり,初期値も20なので,そのままカタラン数にはなりません)。合計は同じでも過程が違えば結果が違う——シミュレーションを学ぶ意味は,まさにここにあります。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問1 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問1
1問題
次の文章を読み,後の問い(問1~3)に答えよ。(配点 25)
Kさんが所属する工芸部では毎年,文化祭に向けた集中製作合宿を開催し,複数の工芸品を部員全員で分担して製作している。Kさんは今年,工芸品を製作する担当の割当て作業を行うことになった。
問1 次の文章を読み,空欄[ア]~[オ]に当てはまる数字をマークせよ。
表1は今年製作する各工芸品(1から順に番号を振る。)の製作日数である。製作日数は部員によって変わることはなく,例えば工芸品1の製作日数はどの部員が製作しても4日である。なお,一つの工芸品の製作は一人の部員が担当し,完了するまでその部員は他の工芸品の製作には取り掛からない。
表1 各工芸品の製作日数
| 工芸品 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製作日数 | 4 | 1 | 3 | 1 | 3 | 4 | 2 | 4 | 3 |
Kさんは図1の割当図を作成し,今年の工芸部の部員3名について,工芸品の番号順に割当てを決めていくことにした。
【図1 割当図(工芸品4まで)】最上段の見出しが「日付(日目)」で,その右に 1・2・3・4・5・6・7・8・9・10 と日付の列が並び,右端に「…」が続く。その下に「部員1」「部員2」「部員3」の3行がある。部員1の行には1日目の左端から4日目の右端まで伸びる両矢印があり,その上に工芸品番号「1」。部員2の行には1日目の1マス分の両矢印に「2」,2日目の1マス分の両矢印に「4」。部員3の行には1日目の左端から3日目の右端まで伸びる両矢印に「3」。矢印の掛かっているマスは灰色に塗られており,部員1は5日目以降,部員2は3日目以降,部員3は4日目以降が白いまま(割当てなし)である。(原図は問題冊子PDFを参照)
図1では,最上段に日付を合宿初日から順に1日目,2日目,…と表して記載している。その下に各部員(1から順に番号を振る。)に割り当てた工芸品の番号を,その製作期間を表す矢印とともに記載している。例えば,工芸品4は部員[ア]が[イ]日目から1日間製作することが,図1から読み取れる。
図1では工芸品4までが割り当てられており,部員1が5日目で割当てがない。このことを,部員1は5日目で空きであるという。
Kさんは各工芸品の担当と期間を割り当てていく際,次の規則を用いた。
【規則】最も早く空きになる部員(複数いる場合はそのうち最小の番号の部員)が,空きになった日付から次の工芸品を担当する。
Kさんは,工芸品5以降についても上の規則を用いて割り当て,各工芸品の担当と期間を一覧にした図2のような文面のメールを部員全員に送信した。
工芸品2 … 部員2:1日目~1日目
工芸品3 … 部員3:1日目~3日目
工芸品4 … 部員[ア]:[イ]日目~[イ]日目
工芸品5 … 部員[ウ]:[エ]日目~[オ]日目
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
工芸品9 … 部員1:7日目~9日目
【図2 各工芸品の担当と期間を一覧にしたメールの文面】角丸の枠で囲まれたメール本文。工芸品1から工芸品5までの5行が並び,その下が横一本の波線(省略記号)で区切られ,波線の下に「工芸品9 … 部員1:7日目~9日目」の1行だけが記されている。(原図は問題冊子PDFを参照)
以上を手作業で作成するのが手間だと感じたKさんは,図2のような文面を自動的に表示するプログラムを作成しようと考えた。
2解答
[ア]=2(配点1点) [イ]=2(配点1点) [ウ]=2(配点2点) [エ]=3(配点2点) [オ]=5(配点2点)
工芸品4 … 部員2:2日目~2日目/工芸品5 … 部員2:3日目~5日目(問1の小計8点)
3解説(端的に)
[ア][イ]は図1を読むだけです。部員2の行は1日目のマスに工芸品2,2日目のマスに工芸品4。よって工芸品4は部員2が2日目から1日間です。
[ウ]~[オ]は規則を1回だけ適用します。図1(工芸品4まで割当済み)の時点で,次に空きになる日は部員1が5日目(1~4日目が工芸品1),部員2が3日目(2日目で工芸品4が終わる),部員3が4日目(1~3日目が工芸品3)。いちばん早いのは3日目の部員2なので[ウ]=2,開始は[エ]=3日目。
工芸品5の製作日数は表1より3日。ここで終了日=開始日+日数-1を使い,3+3-1=5日目。よって[オ]=5です。「3日目から3日間」を3・4・5日目と指折り数えても同じです。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
使う道具は2つだけです。
(1) 「空きになる日付」という考え方。各部員について「いま抱えている仕事が終わって,次の仕事に取りかかれる最初の日」を1つの数で持っておきます。図1を見ると,部員1は1~4日目が灰色に埋まっているので空きは5日目,部員2は2日目までなので空きは3日目,部員3は3日目までなので空きは4日目。3人分をまとめて書くと (5, 3, 4) です。この「3つの数」だけ見れば,割当図全体を見なくても次の担当が決まります。
(2) 期間と日数の関係。ここが初学者のいちばんの落とし穴です。「3日目から3日間」は3・4・5日目であって,3日目から6日目ではありません。終了日=開始日+日数-1,逆に次に空く日=開始日+日数。この「-1があるかないか」を,問3の[サ][シ]でもう一度問われます。ここで身体に入れておくと後がラクです。
検算 — 別の道すじで確かめる
問題文の最後の行「工芸品9 … 部員1:7日目~9日目」を使って,最後まで通しで検算できます。空き日を (部員1, 部員2, 部員3) と書いて追いかけます。
工芸品1(4日)→ 部員1が1~4日目 → (5, 1, 1)
工芸品2(1日)→ 部員2が1~1日目 → (5, 2, 1)
工芸品3(3日)→ 部員3が1~3日目 → (5, 2, 4)
工芸品4(1日)→ 部員2が2~2日目 → (5, 3, 4) ←図1の状況
工芸品5(3日)→ 部員2が3~5日目 → (5, 6, 4)
工芸品6(4日)→ 部員3が4~7日目 → (5, 6, 8)
工芸品7(2日)→ 部員1が5~6日目 → (7, 6, 8)
工芸品8(4日)→ 部員2が6~9日目 → (7,10, 8)
工芸品9(3日)→ 部員1が7~9日目 → (10,10,8)
最後が「部員1:7日目~9日目」となり,図2の最終行とぴったり一致しました。途中で1つでも数え違えるとここがズレるので,一致したこと自体が全体の検算になっています。
よくある誤答も潰しておきます。まず図1の読み取りです。3日目のマスがまだ灰色である点に注意します。灰色はまだ工芸品3を作っている日という意味なので,部員3が空くのは3日目ではなく4日目です。ただし,仮に空き日を (5, 3, 3) と誤読しても,問1の答えは変わりません。工芸品5では最小値3が部員2と部員3の同点になり,「複数いる場合は最小の番号」の規則で結局部員2が選ばれるので,[ウ]=2・[エ]=3・[オ]=5はそのままです。ずれるのは次の工芸品6で,正しくは部員3が4~7日目のところを3~6日目としてしまいます(工芸品7以降はまた正しい割当てに戻ります)。この読み取り自体は問2の[カ]=4で直接問われるので,灰色=作業中の日という対応はここで固めておきましょう。[オ]を6としてしまうのは,終了日=3+3としてしまう「-1忘れ」。[ウ]を1としてしまうのは,同点でなくても番号の小さい部員を優先してしまう思い込みです。番号の小ささが効くのは空き日が同点のときだけです。
ここで効く一般則・学問的背景
・状態は「次に動ける時刻」に圧縮できる。過去に何を作ったかは,次の割当てには影響しません。必要なのは「いつ空くか」だけです。
・区間の長さと端点。「開始日~終了日」で表す閉じた区間の日数は 終了日-開始日+1。だから終了日=開始日+日数-1。
・同点のときのルール(タイブレーク)を必ず決めておく。決めておかないと,答えが人によって変わってしまいます。
・貪欲法(greedy)。「そのとき一番早く空く人に渡す」と目先で決め切り,後で見直さない解き方です。
学問的背景。この問題は,計算機科学ではスケジューリング問題,特に「同一性能の機械が m 台あり,各仕事の処理時間が決まっていて,仕事を並べ替えずに順番に空いた機械へ流す」というリスト・スケジューリングそのものです。1966年にR.グレアムが,この単純な貪欲法でも全体の完了時刻が最適解の (2 − 1/m) 倍を超えないことを証明しました。「完璧でなくても,どれくらい悪くならないかを保証する」という近似アルゴリズムの出発点になった有名な結果です。実際,OSが複数のCPUコアにプロセスを割り振る仕組みや,工場の生産計画,クラウドのジョブ配分も同じ骨格をしています。情報Ⅱでは,この「空き日の最小値をすばやく取り出す」部分を優先度付きキュー(ヒープ)というデータ構造で高速化する話につながります。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問2 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問2
1問題
問2 次の文章を読み,空欄[カ],[ク]に当てはまる数字をマークせよ。また,空欄[キ]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つ選べ。
Kさんはまず,次の規則(再掲)に従い,いくつかの工芸品がすでに割り当てられた状況で,その次の工芸品の担当部員を表示するプログラムを作ることにした。
【規則(再掲)】最も早く空きになる部員(複数いる場合はそのうち最小の番号の部員)が,空きになった日付から次の工芸品を担当する。
最も早く空きになる部員の番号を求めるために,各部員が空きになる日付を管理する配列 Akibi を用意する。この配列の添字(1から始まる。)は部員の番号であり,要素はその部員が空きになる日付である。
例えば,図1の状況では,配列 Akibi は図3のようになる。図1で部員1は5日目に空きになるため,図3で要素 Akibi[1]は5となる。同様に要素 Akibi[3]は[カ]となる。
【図1 割当図(工芸品4まで)(再掲)】最上段の見出しが「日付(日目)」で,右に 1・2・3・4・5・6・7・8・9・10 と並び,右端に「…」。部員1の行に1日目の左端から4日目の右端までの両矢印と工芸品番号「1」,部員2の行に1日目の1マス分の両矢印「2」と2日目の1マス分の両矢印「4」,部員3の行に1日目の左端から3日目の右端までの両矢印「3」。矢印の掛かるマスは灰色。(原図は問題冊子PDFを参照)
【図3 図1の状況に対応する配列 Akibi】上段に「添字」と書かれ,その右に 1・2・3 が横に並ぶ。その下の行に「Akibi」とラベルが付き,3つの正方形のマスが横に並んで,左から順に 5,3,[カ]が入っている。(原図は問題冊子PDFを参照)
図3において,要素 Akibi[[ウ]]が配列 Akibi の最小の要素であることから,部員[ウ]が最も早く空きになることがわかる。
この考え方に基づき,Kさんは配列 Akibi の要素と,部員数が代入された変数 buinsu を用いて,次に割り当てる工芸品の担当部員を表示するプログラムを作成した(図4)。ここでは例として,(01)行目で図3のように配列 Akibi を設定している。
(02) buinsu = 3
(03) tantou = 1
(04) buin を 2 から buinsu まで 1 ずつ増やしながら繰り返す:
(05) │ もし [キ] ならば:
(06) └ └ tantou = buin
(07) 表示する(“次の工芸品の担当は部員”, tantou, “です。”)
【図4 次に割り当てる工芸品の担当部員を表示するプログラム】角丸の枠に囲まれた疑似コード。(04)行目の下に縦線が引かれ,(05)行目がその内側,(06)行目がさらに内側と,繰り返しと分岐の入れ子構造が罫線で示されている。(原図は問題冊子PDFを参照)
仮に部員数が変わったとしても,配列 Akibi と変数 buinsu を適切に設定すれば,このプログラムを用いることができる。部員が5名に増えた場合,(01)行目を例えば Akibi = [5, 6, 4, 4, 4] に,(02)行目を buinsu = 5 に変更して図4のプログラムを実行すると,(06)行目の代入が[ク]回行われ,「次の工芸品の担当は部員3です。」と表示される。
[キ]の解答群
⓪ buin < tantou ① Akibi[buin] < Akibi[tantou] ② buin > tantou ③ Akibi[buin] > Akibi[tantou]
2解答
[カ]=4(配点2点) [キ]=①(配点3点) [ク]=1(配点2点)
[キ]は Akibi[buin] < Akibi[tantou]。[ク]は代入が1回。(問2の小計7点)
3解説(端的に)
[カ]:図1で部員3は1~3日目が灰色,つまり工芸品3を製作中なので,空きになるのは4日目。Akibi[3]=4です。
[キ]:このプログラムは配列の最小値を探す定番の型です。tantou に「今のところ最小の要素がある添字」を入れておき,2番目以降を順に見て今より小さければ乗り換える。よって条件は Akibi[buin] < Akibi[tantou](①)。不等号が < であって ≦ でないのがポイントで,同じ値のときは乗り換えないため,自動的に最小の番号の部員が残ります。規則の「複数いる場合は最小の番号」がここで実現されています。
[ク]:Akibi=[5, 6, 4, 4, 4],tantou は1から出発。buin=2は6<5が偽,buin=3は4<5が真でtantou=3(代入1回目),buin=4は4<4が偽,buin=5も4<4が偽。代入は1回だけで,表示は部員3です。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
(1) 配列と添字。Akibi[3] は「配列 Akibi の3番目の箱」です。この問題では添字=部員の番号,要素=その部員が空きになる日付と決めています。「番号で引くと情報が出てくる」ようにデータを並べるのが配列の使い方です。ここで大事な注意を一つ。添字が何番から始まるかは,言語の常識ではなく問題文の断り書きで決まります。この設問では「この配列の添字(1から始まる。)は部員の番号であり」とわざわざ書かれており,問3の配列 Nissu にも「(添字は1から始まる。)」と改めて断りが置かれています。共通テストのプログラム表記では添字が0から始まる設問もありますから,「共通テストは必ず1始まり」と覚え込むのは危険です。問題を開いたらまず添字の断り書きを探す——これを毎回の手順にしてください。
(2) 最小値探索の3点セット。どの言語でも同じ形をしています。①暫定チャンピオンを最初の要素に決める(tantou = 1)/②2番目から順に挑戦者と比べる(buin を 2 から buinsu まで)/③挑戦者の方が小さければ王座交代(tantou = buin)。図4はこの型そのままです。なお②の出発点が「2」なのも,この設問が添字1始まりだからで,0始まりの設問なら「1」から回すことになります。ここでも断り書きが効いています。
(3) 「値」を持つか「場所」を持つか。ここで tantou に入れているのは最小値そのものではなく最小値がある場所(添字=部員番号)です。知りたいのが「何日目か」ではなく「誰か」だからです。この使い分けは初学者がよく混乱するところなので,意識して読みましょう。
検算 — 別の道すじで確かめる
[ク]は表で完全に追跡できます。Akibi=[5, 6, 4, 4, 4],buinsu=5。
buin=3: Akibi[3]=4 < Akibi[1]=5 ? → 真 tantou = 3【代入 1回目】
buin=4: Akibi[4]=4 < Akibi[3]=4 ? → 偽 tantou は 3 のまま
buin=5: Akibi[5]=4 < Akibi[3]=4 ? → 偽 tantou は 3 のまま
→ 代入は 1 回,表示は「次の工芸品の担当は部員3です。」
問題文が結果を「部員3です。」と教えてくれているので,自分の追跡がその通りになれば条件式の選択([キ])も同時に正しいと確認できます。答えが与えられている部分を使って,自分の解釈を検証するのは共通テストで非常に有効な技です。
誤答の吟味も大切です。③ Akibi[buin] > Akibi[tantou] にすると最大値の場所を探すことになり,[5,6,4,4,4]では tantou=2(部員2)と表示されて問題文と食い違います。⓪ buin < tantou と② buin > tantou は添字どうしの比較で,空き日付をまったく見ていません。⓪は buin が常に tantou 以上なので一度も成立せず,答えは常に部員1。②は毎回成立してしまい,答えは常に最後の部員(ここでは部員5)。どちらも「部員3」になりません。
さらに,もし条件を ≦ にしたらどうなるかも考えてみてください。[5,6,4,4,4] では buin=4のときも buin=5のときも成立してしまい,最終的に tantou=5(部員5)。規則の「最小の番号」に反します。不等号1文字が仕様を左右するのがプログラミングの怖さであり,面白さです。
ここで効く一般則・学問的背景
・最小値探索は「暫定王者 vs 挑戦者」の総当たり1周。要素が n 個なら比較は n−1 回で必ず終わります。
・< と ≦ の違いは「同点時にどちらを残すか」を決める。< なら先に見つけた方(=番号の小さい方)が残る。これを安定性といいます。
・添字の起点は仕様であって常識ではない。0始まりか1始まりかは,問題文(実務なら言語仕様やドキュメント)で確認する。思い込みで読むと,ループの範囲も境界も全部ずれます。
・変数には「値」ではなく「位置」を持たせた方が便利なことがある。位置がわかれば値はいつでも取り出せます。
・プログラムは部品化して再利用する。図4の(03)~(06)行目は,問3の図5の(06)~(09)行目にそのまま埋め込まれます。
学問的背景。「n個の中から最小値を見つけるには n−1 回の比較が必要で,それ以下では不可能」ということは厳密に証明できます。トーナメントで優勝者を決めるには必ず n−1 試合が要る(1試合で1人が脱落するから)のと同じ論法です。こうした「これ以上速くはできない」という主張を計算量の下界といい,アルゴリズム理論の中心的なテーマの一つです。一方で,最小値を何度も取り出したい場合(この問題のように工芸品を9個割り当てるなら9回)は,毎回1周する代わりにヒープ(優先度付きキュー)を使えば1回あたり log n 程度の手間で済みます。情報Ⅱやデータ構造の授業で扱うこの発想は,OSのプロセススケジューラやネットワークのパケット制御など,実世界のシステムを支えています。なお,配列の添字を0から始めるか1から始めるかは歴史的にも流儀が分かれ,C言語やPythonは0始まり,FORTRANやMATLABは1始まりと,言語ごとに設計思想が異なります。共通テストのプログラム表記は「その都度明示する」立場をとっているので,読み手はまず宣言を確認する,という作法が身につくようになっています。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問3 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第3問 問3
1問題
問3 次の文章を読み,空欄[ケ]~[シ]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。
次にKさんは,工芸部の部員数と,表1のような各工芸品の製作日数を用いて,図2のような一覧を表示するプログラムを作ることにした。
表1 各工芸品の製作日数(再掲)
| 工芸品 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製作日数 | 4 | 1 | 3 | 1 | 3 | 4 | 2 | 4 | 3 |
工芸品2 … 部員2:1日目~1日目
工芸品3 … 部員3:1日目~3日目
工芸品4 … 部員[ア]:[イ]日目~[イ]日目
工芸品5 … 部員[ウ]:[エ]日目~[オ]日目
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
工芸品9 … 部員1:7日目~9日目
【図2 各工芸品の担当と期間を一覧にしたメールの文面(再掲)】角丸の枠に囲まれたメール本文。工芸品1から工芸品5までの5行の下が横一本の波線(省略記号)で区切られ,その下に「工芸品9 … 部員1:7日目~9日目」の1行が置かれている。(原図は問題冊子PDFを参照)
表1をプログラムで扱うために,Kさんは工芸品の番号順に製作日数を並べた配列 Nissu(添字は1から始まる。)を用意した。さらに,工芸品数9が代入された変数 kougeihinsu,各部員が空きになる日付を管理する配列 Akibi,部員数3が代入された変数 buinsu を用いて,図2の一覧を表示するプログラムを作成した(図5)。最初はどの部員も合宿初日すなわち1日目で空きであるため,(03)行目で配列 Akibi の各要素を1に設定している。
工芸品の番号を表す変数 kougeihin を用意し,(05)~(11)行目で各工芸品に対して順に担当と期間を求めていく。破線で囲まれた(06)~(09)行目は問2における図4の(03)~(06)行目と同じもので,次に割り当てる工芸品の担当部員の番号を変数 tantou に代入する処理を行う。(10)行目で図2の1行分を表示し,(11)行目で担当部員が空きになる日付を更新する。
(02) kougeihinsu = 9
(03) Akibi = [1, 1, 1]
(04) buinsu = 3
(05) [ケ]を1から[コ]まで1ずつ増やしながら繰り返す:
(06) │ tantou = 1
(07) │ buin を 2 から buinsu まで 1 ずつ増やしながら繰り返す:
(08) │ │ もし [キ] ならば:
(09) │ └ └ tantou = buin
(10) │ 表示する(“工芸品”, kougeihin, ” … “,
│ ”部員”, tantou, “:”,
│ Akibi[tantou], “日目~”,
│ Akibi[tantou] + [サ], “日目”)
(11) └ Akibi[tantou] = Akibi[tantou] + [シ]
【図5 各工芸品の担当と期間の一覧を表示するプログラム】角丸の枠に囲まれた疑似コード。(05)行目の下に縦線が引かれて(06)~(11)行目が内側にあり,そのうち(06)~(09)行目が破線の長方形で囲まれて,問2の図4の(03)~(06)行目と同じ処理であることが示されている。(10)行目は表示する(…)の引数が4行に折り返して書かれている。(原図は問題冊子PDFを参照)
[ケ]・[コ]の解答群
⓪ buin ① kougeihin ② tantou ③ buinsu ④ kougeihinsu
[サ]・[シ]の解答群
⓪ Nissu[kougeihin] ① Nissu[tantou] ② Nissu[kougeihin] – 1 ③ Nissu[tantou] – 1 ④ Nissu[kougeihin – 1] ⑤ Nissu[tantou – 1]
2解答
[ケ]=①(kougeihin)(配点2点) [コ]=④(kougeihinsu)(配点2点) [サ]=②(Nissu[kougeihin] – 1)(配点3点) [シ]=⓪(Nissu[kougeihin])(配点3点)
(問3の小計10点/第3問の合計25点)
3解説(端的に)
[ケ][コ]:この繰り返しは「工芸品1から工芸品9まで,1個ずつ担当を決めていく」ためのものです。問題文にも「工芸品の番号を表す変数 kougeihin」とあります。よってkougeihin を 1 から kougeihinsu まで。[ケ]=①,[コ]=④です(9と直接書かないのは,工芸品数が変わっても使えるようにするため)。
[サ]:(10)行目は「Akibi[tantou] 日目~ Akibi[tantou]+[サ]日目」と表示します。Akibi[tantou] は開始日なので,[サ]に入るのは「日数-1」。製作日数は工芸品ごとに決まるので添字は kougeihin,つまり Nissu[kougeihin] – 1(②)。
[シ]:(11)行目は担当部員が次に空きになる日への更新です。終了日の翌日なので,開始日+日数。よって Nissu[kougeihin](⓪)。[サ]と[シ]で「-1」の有無が入れ替わるところが最大の勝負どころです。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
(1) 二重ループの読み方。図5は外側(05)と内側(07)の二重構造です。外側は「工芸品を1個ずつ処理する」ループ,内側は「その1個について,誰が担当かを部員全員から探す」ループ。外側=処理したい対象の列,内側=1件を処理するための探索という役割分担を意識すると,どの変数がどこで動くのかがすっきりします。tantou を毎回(06)行目で1に戻しているのは,工芸品ごとに探索をやり直すためです。
(2) 添字の主語をそろえる。Nissu の添字は工芸品の番号,Akibi の添字は部員の番号です。だから Nissu[tantou] は「部員番号を工芸品番号として使う」ことになり,意味が通りません。配列ごとに『添字は何を表すか』を言葉で言えるかを確認する習慣をつけましょう。これだけで①③⑤は一瞬で消えます。
(3) 「今日から n 日間」の算数。開始日を s,日数を n とすると,終了日=s+n−1,次に空く日=s+n。日めくりカレンダーを n 枚めくるのではなく,n−1 枚めくるのが終了日です。
(4) 定数を直接書かない。[コ]に「9」ではなく kougeihinsu を使うのは,工芸品数が変わってもプログラム本体を書き換えずに済ませるためです。問2で「部員が5名に増えても使える」と述べていたのと同じ思想です。
検算 — 別の道すじで確かめる
実際に工芸品1から4まで手で走らせてみます。初期状態 Akibi=[1, 1, 1],Nissu=[4, 1, 3, 1, 3, 4, 2, 4, 3]。
最小値探索:Akibi=[1,1,1] → 同点なので tantou = 1
表示:1日目 ~ 1 + (4−1) = 4日目 … 図2の1行目と一致
更新:Akibi[1] = 1 + 4 = 5 → Akibi=[5,1,1]
◆kougeihin = 2(Nissu[2] = 1日)
最小値探索:5,1,1 → tantou = 2(2と3が同点なので小さい番号)
表示:1日目 ~ 1 + (1−1) = 1日目 … 図2の2行目と一致
更新:Akibi[2] = 1 + 1 = 2 → Akibi=[5,2,1]
◆kougeihin = 3(Nissu[3] = 3日)
最小値探索:5,2,1 → tantou = 3
表示:1日目 ~ 1 + (3−1) = 3日目 … 図2の3行目と一致
更新:Akibi[3] = 1 + 3 = 4 → Akibi=[5,2,4]
◆kougeihin = 4(Nissu[4] = 1日)
最小値探索:5,2,4 → tantou = 2
表示:2日目 ~ 2 + (1−1) = 2日目 … 問1の[ア][イ]と一致
更新:Akibi[2] = 2 + 1 = 3 → Akibi=[5,3,4]
図2にすでに印刷されている3行と完全に一致しました。しかも工芸品4まで進めたあとの Akibi=[5, 3, 4] は,問2の図3に載っている配列(左から 5,3,[カ]=4)そのものです。図5を4周させると図3の状態が再現される,というわけです。さらに問1で作った表を最後まで追うと,工芸品9で「部員1:7日目~9日目」となり,図2の最終行とも一致します。問題文に与えられた出力例は,自分の式が正しいかを試す『テストケース』です。プログラム問題では必ずこれで確かめてください。
誤答の吟味です。[サ]に⓪ Nissu[kougeihin] を入れると,工芸品1が「1日目~5日目」となり,4日間のはずが5日間に見えてしまいます(図2は4日目)。[シ]に② Nissu[kougeihin] – 1 を入れると,Akibi[1]=1+3=4となり,工芸品1がまだ4日目を使っているのに次の仕事を4日目から入れてしまう二重予約が起きます。④ Nissu[kougeihin – 1] は「一つ前の工芸品の日数」を見てしまい,しかも kougeihin=1のときは Nissu[0] を参照することになります。この問題では「Nissu(添字は1から始まる。)」と宣言されているので Nissu[0] という箱は用意されておらず,これは範囲外参照です(実際の言語ではエラーや異常動作の原因になります)。①③⑤の Nissu[tantou] 系は,先ほど述べた「添字の主語違い」です。たとえば工芸品6を部員3が担当する場面では Nissu[3]=3となり,本来の Nissu[6]=4と食い違います。
ここで効く一般則・学問的背景
・ループ変数は「何を1つずつ進めているか」で選ぶ。工芸品を進めたいなら kougeihin,部員を進めたいなら buin。
・終端はマジックナンバーではなく変数で書く。9 ではなく kougeihinsu と書けば,データが変わってもそのまま動きます(保守性)。
・配列の添字が何を意味するかを常に言語化する。「Nissu の添字は工芸品番号」「Akibi の添字は部員番号」。そして添字が何番から始まるかは問題文の宣言で確認する。この設問では両方とも1から始まると明示されています。
・閉区間 [s, e] の要素数は e − s + 1。だから e = s + n − 1,次の開始は e + 1 = s + n。
・状態更新は「使い終わった直後」に行う。(10)で表示してから(11)で Akibi を更新する順序を逆にすると,表示が壊れます。
学問的背景。「終了日=開始日+日数−1」でつまずく間違いは,計算機科学でオフバイワンエラー(off-by-one error)と呼ばれ,実務でも最も頻出のバグの一つです。エドガー・ダイクストラは1982年の短いノートで「区間は下端を含み上端を含まない half-open 表記 [s, s+n) で書くべきだ」と論じました。この書き方なら長さがそのまま n になり,区間をつなげたときの境界も自然に一致するからです。実際,Pythonの range(0, n) や多くの言語の配列スライスがこの流儀を採用しています。この問題の図5は日本語の「〜日目~〜日目」という閉区間表記なので −1 が必要になり,一方で次の空き日(=次の区間の開始)は −1 が不要という,両方の流儀が同居した良い教材になっています。また,(06)~(09)行目を「問2の図4と同じもの」として再利用している点も重要で,これは処理をひとまとまりの部品にする関数化・モジュール化という考え方の入口です。情報Ⅱでは,こうした部品化とテストケースによる検証(単体テスト)が,ソフトウェア開発の基礎として本格的に扱われます。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。
問1 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問1
1問題
旅行が好きなUさんは,観光庁が公開している旅行・観光消費動向調査のデータのうち,2019年の結果を用いて,さまざまな観点で旅行に関する実態を分析してみることにした。なお,以下では延べ旅行者数を旅行者数と呼ぶ。
表1には,地方ごとに,その地方を主な目的地として宿泊旅行をした旅行者数がまとめられている。また,この表では,旅行の目的を出張等,帰省等,観光等の三つに分け,それぞれの旅行者数とその合計が集計されている。
表1 地方ごとの旅行者数と旅行目的別の内訳(抜粋)
| 番号 | 地方 | 旅行者数(千人) | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 出張等 | 帰省等 | 観光等 | 合計 | ||
| 1 | 北海道 | 3652 | 5052 | 9768 | 18472 |
| 2 | 東北 | 6161 | 9410 | 12365 | 27936 |
| 3 | 関東 | 14401 | 19138 | 45943 | 79482 |
| 〜〜〜〜〜(中略)〜〜〜〜〜 | |||||
| 10 | 沖縄 | 662 | 1127 | 5446 | 7235 |
問1 次の文章を読み,空欄[ア]〜[エ]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。ただし,空欄[ウ]・[エ]の解答の順序は問わない。
Uさんは,表1を見せながら,T先生に相談した。
Uさん:この表からわかる情報を把握しやすくするために,グラフを作ろうと思っています。
T先生:グラフを作る前に,表の各項目の尺度水準を確認してみましょう。地方については,どの尺度水準だと思いますか。
Uさん:郵便番号などと同じで,[ア]だと思います。
T先生:そうですね。では,番号と地方以外の項目については,どうでしょうか。
Uさん:これらの項目は旅行者数を示すので,[イ]でしょうか。
T先生:はい,そのとおりです。それでは,地方による旅行者数の違いがわかりやすくなるように,棒グラフと帯グラフを作ってみましょう。
Uさんは,図1のグラフを作成した。これらのグラフから,[ウ]ことや[エ]ことなど,地方による傾向の違いを読み取ることができた。
【図1(a) 棒グラフ】縦軸は「旅行者数(千人)」で,目盛りは0・10000・20000・30000・40000・50000。横軸は北海道・東北・関東・北陸信越・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の10地方で,各地方に「出張等」(濃い灰色)・「帰省等」(斜線)・「観光等」(薄い灰色)の3本の棒が並ぶ。
棒の高さそのものは目盛りラベルの間を目測することになるので,ここでは高さの大小関係だけを挙げる。観光等の棒は関東が他のどの棒よりも突出して高い。帰省等(斜線)の棒どうしを見比べると,最も高いのは関東で,2位以下をはっきり引き離している。出張等の棒も関東が最も高い。沖縄は,出張等・帰省等の2本は10地方の中で最も低い。一方,沖縄の観光等の棒は関東など上位の地方に比べればかなり低いものの最下位ではなく,四国の観光等の棒よりは高い。(正確な値は表1と原図=問題冊子PDFで確認のこと)
【図1(b) 帯グラフ】縦に同じ10地方が上から北海道・東北・関東・北陸信越・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の順に並び,各地方の旅行目的別の構成比を長さ100%の横棒で示す。横軸の目盛りは0・25・50・75・100(%)。左から「出張等」「帰省等」「観光等」の順に積み上げられている。
この図も区間の長さを目測する図なので,選択肢の判定に必要な長さの比較だけを挙げる。観光等(いちばん右の区間)が最も長いのは沖縄。出張等(いちばん左の区間)は,東北の方が関東より長い。観光等の区間は,中部の方が近畿より長い(中部は帰省等の終わる位置が近畿より左にあり,そのぶん観光等が長く残る)。(原図は問題冊子PDFを参照)
図1 表1のデータに基づいて作成した棒グラフと帯グラフ
[ア]・[イ]の解答群
⓪ 比例尺度 ① 間隔尺度 ② 順序尺度 ③ 名義尺度
[ウ]・[エ]の解答群
⓪ 帰省等を目的とする旅行者数がすべての地方の中で最も多い地方は関東である
① 観光等を目的とする旅行者数がすべての地方の中で最も多い地方は沖縄である
② 地方ごとの旅行者数の合計に対する出張等の旅行者数の割合は,関東よりも東北の方が高い
③ 地方ごとの旅行者数の合計に対する観光等の旅行者数の割合は,中部よりも近畿の方が高い
2解答
[ア]=③(名義尺度) [イ]=⓪(比例尺度) ……[ア][イ]合わせて3点
[ウ]=⓪,[エ]=②(解答の順序は問わない) ……各2点(計4点)
問1 合計 7点
3解説(端的に)
[ア]「北海道」「東北」…は区別するための名前にすぎず,大小も差も比も意味を持ちません。郵便番号と同じ仲間なので名義尺度(③)です。
[イ]旅行者数は「0人」が本当に“いない”を意味する絶対原点をもち,「2倍多い」と言えます。だから比例尺度(⓪)です。
[ウ][エ]は「棒グラフ=実数」「帯グラフ=割合」の使い分けが勝負です。⓪は棒グラフの帰省等の棒を見比べると関東が最も高いので正しい(表1でも関東は19138千人)。②は表1から出張等の割合を計算でき,東北 6161÷27936≒22.1%,関東 14401÷79482≒18.1%で東北が上,帯グラフでも出張等の区間は東北の方が長いので正しい。①は帯グラフで沖縄の観光等の“割合”が最大なだけで,“人数”は関東(45943千人)が最大なので誤り。③は帯グラフで観光等の区間を比べると中部の方が近畿より長いので誤りです。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
尺度水準(scale of measurement)は,データが「どこまで計算していい数値か」を4段階に分けた考え方です。下から順に並べると次のようになります。
・名義尺度…ただのラベル。血液型,性別,郵便番号,学籍番号。等しいか違うかしか言えない。
・順序尺度…並び順に意味がある。震度,成績のA/B/C,アンケートの5段階。ただし「間隔」は等しくない(震度5と6の差が震度6と7の差に等しい,とは言えない)。
・間隔尺度…目盛りの間隔が等しい。ただし0が「無」を意味しない。摂氏温度,西暦。だから「20℃は10℃の2倍暑い」は言えない。
・比例尺度…間隔が等しく,かつ0が「無」。長さ,重さ,時間,人数,金額。「2倍」が言える。
判定のコツは2つの質問だけです。「引き算に意味があるか?」→ないなら名義か順序。「0が“何もない”を意味するか?」→YESなら比例,NOなら間隔。旅行者数は0千人=旅行者ゼロなので比例尺度です。なお,この設問の解答群では番号の付き方が上の並びと逆(⓪比例/①間隔/②順序/③名義)になっているので,マークするときは番号を必ず読み直してください。
もう一つの道具がグラフの読み分けです。棒グラフは量そのものを,帯グラフ(100%積み上げ)は構成比を表します。この問題は「実数の話か,割合の話か」を選択肢ごとに切り替えて読ませる作りになっています。
検算 — 別の道すじで確かめる
抜粋されている4地方については,表1の数値で直接検算できます。グラフの目測に頼らずに済むところは,必ず表で確かめるのが安全です。
⓪ 帰省等:表1に載っている範囲では 北海道5052,東北9410,関東19138,沖縄1127。関東が抜けて多く,棒グラフでも帰省等の棒は関東が最も高くて2位以下をはっきり引き離しています。→正しい。
② 出張等の割合:東北 6161÷27936=0.2205…(約22.1%),関東 14401÷79482=0.1812…(約18.1%)。東北>関東。帯グラフでも出張等の区間は東北の方が長く,同じ結論になります。→正しい。
① 観光等の人数:関東45943千人 vs 沖縄5446千人。45943÷5446≒8.4なので8倍以上の開きがあり,関東の方が多い。沖縄が1位なのはあくまで帯グラフ上の割合(5446÷7235≒75.3%)です。「割合1位」を「人数1位」とすり替えた誤答で,これが本問の最大の引っかけです。
③ 観光等の割合:中部・近畿は抜粋表に数値が載っていないので,帯グラフを見ないと判定できない設計になっています。ただし必要なのは長さの比較だけで,何%かを読み取る必要はありません。中部の帯は帰省等が終わる位置が近畿より左にあり,そのぶん右端まで残る観光等の区間が長くなっています。したがって観光等の割合は中部>近畿で,「近畿の方が高い」は誤り。
ここで面白いのは,棒グラフを見ると中部と近畿の観光等の棒の高さには大きな差がないのに,帯グラフでの割合にははっきり差が出ている点です。実数がほぼ同じでも,母数(合計)が違えば割合の順位は変わるという構図になっています。「表にない=グラフで読め」という合図として覚えておきましょう。
ここで効く一般則・学問的背景
・尺度水準は「許される演算」を決める。名義=カウントのみ,順序=中央値まで,間隔=平均・標準偏差OK,比例=比率・変化率までOK。
・0が「無」なら比例,0が「基準点」なら間隔。
・棒グラフは量,帯グラフは割合。「最も多い」なのか「割合が最も高い」なのかで見るグラフが変わる。
・「割合1位」と「実数1位」は一致しない。母数(合計)が違えば順位はひっくり返る。
・グラフからは「大小関係」を読む。目盛りラベルのない位置の値を目測で断定しない。選択肢は必ず比較の形で書かれているので,長さや高さを比べれば足りる。
・選択肢の主語を必ず確認する。「旅行者数が最も多い」か「合計に対する割合が高い」かで正誤が反転する。
学問的背景。尺度水準は1946年に心理学者スタンレー・スティーヴンズが『Science』誌で提唱した分類で,「その数値にどんな統計処理を施してよいか」を型として定めた点が画期的でした。プログラミングの型システムが「文字列に足し算はできない」と守るのと同じ発想で,データにも“型”があるという考え方です。実務でもこれは生きていて,pandas の category 型や統計ソフトの変数属性は尺度水準そのものですし,可視化ライブラリはこの型を見てグラフの種類を自動で選びます。名義尺度に平均を取ってしまう(例:都道府県コードの平均を出す)のは典型的な誤りで,情報Ⅱのデータサイエンス分野では最初に叩き込まれる作法です。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問2 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問2
1問題
問2 次の文章を読み,空欄[オ]・[カ]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
続いてUさんは,都道府県ごとの旅行者数と旅行目的別の内訳が集計されている表2をもとに,さらに詳細な分析を進めることにした。
Uさんはここで,目的別の旅行者数の間にどのような関係があるかについて関心をもった。そこでUさんは,図2のように,各目的の旅行者数を組み合わせた散布図を作成し,相関係数を求めた。
これらの散布図と相関係数のみから読み取れることは,[オ]ことや,[カ]ことなどである。
表2 都道府県ごとの旅行者数と旅行目的別の内訳(抜粋)
| 番号 | 都道府県 | 旅行者数(千人) | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 出張等 | 帰省等 | 観光等 | 合計 | ||
| 1 | 北海道 | 3652 | 5052 | 9768 | 18472 |
| 2 | 青森県 | 1015 | 1566 | 1097 | 3678 |
| 3 | 岩手県 | 1158 | 1537 | 1606 | 4301 |
| 〜〜〜〜〜(中略)〜〜〜〜〜 | |||||
| 47 | 沖縄県 | 662 | 1127 | 5446 | 7235 |
【図2】目的の組合せによる散布図と相関係数(3枚)。47都道府県が1点ずつ打たれており,どの点にも都道府県名のラベルは付いていない。各図の左上に相関係数の値が印字されている。
(左上)横軸「帰省等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・2000・4000・6000。縦軸「出張等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000。相関係数 0.84。点の大半は原点に近い左下にかたまり,全体としては右上がりに散らばる。右上方向へ大きく離れた点が数個ある。ここで,横軸2000・縦軸3000の目盛りの交点と,横軸4000・縦軸6000の目盛りの交点を結び,そのまま原点まで延ばした直線を引いてみると,左下の密集部を含めて47点すべてがその直線の下側(右下側)にある。なお「直線に近い」には二つの意味があり,混同しないよう書き分けておく。傾き(縦÷横の比)が1.5に最も近いのは,右上方向へ大きく離れた点のうち横軸が6000の目盛りのあたり,縦軸が9000の目盛りに少し届かない位置にあるものである。一方,図の見た目で直線との距離が最も小さいのは,左下の密集部にある点である。どちらの意味で見ても,すべての点が直線の下側にとどまっている。
(右上)横軸「観光等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000・12000。縦軸「出張等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000。相関係数 0.67。やはり左下に密集し,右上方向へ離れた点が数個ある。左上の図と縦軸が同じである点に注意。
(下)横軸「観光等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000・12000。縦軸「帰省等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000。相関係数 0.79。左下に密集する一方,横軸の右端付近には縦軸の値が大きく異なる点が上下に離れて並んでおり,その中には縦軸3000の目盛り線を下回る点がある。また横軸が3000と6000の目盛り線の間にも,縦軸3000の目盛り線を上回る点がある。(各点の座標は目測になるため記さない。原図は問題冊子PDFを参照)
図2 目的の組合せによる散布図と相関係数
[オ]・[カ]の解答群
⓪ 二つの都道府県を比較して,観光等の旅行者数が多い方の都道府県は帰省等の旅行者数も必ず多い
① すべての都道府県で,出張等の旅行者数は帰省等の旅行者数の1.5倍を下回る
② それぞれの散布図で最も上に位置する都道府県は異なる
③ ある目的の旅行者数が多い都道府県ほど,他の目的の旅行者数も多くなる傾向にある
④ 各都道府県で観光地をアピールすることで観光等の旅行者数を増やすことができれば,帰省等と出張等のいずれの旅行者数も増える
2解答
[オ]=①,[カ]=③(解答の順序は問わない)
配点:各2点(計4点)
3解説(端的に)
キーワードは「散布図と相関係数のみから読み取れること」。この一文が正誤の物差しです。
③が正しい:3つの相関係数はすべて正で0.67〜0.84(0.67は0.7に近い中程度,0.79・0.84は強い)。いずれも正の相関がはっきり認められるので「一方の目的の旅行者が多い県は,他の目的の旅行者も多い傾向」と言えます。
①が正しい:帰省等を横軸,出張等を縦軸にした左上の散布図で,直線 y=1.5x を思い浮かべます。この直線は目盛りの交点(2000, 3000)と(4000, 6000)をちょうど通るので線が引きやすく,原点まで延ばして見比べると,すべての点がその下側に収まることが確認できます。
誤答:⓪は「必ず」が言い過ぎ。下の散布図には,観光等が多いのに帰省等はそれほど多くない点があり,逆に観光等が少なめでも帰省等が多い点があります。②は,左上と右上の散布図がどちらも縦軸「出張等」なので,最も上の点は「出張等が最大の同じ県」に決まります。よって「異なる」は誤り。④は相関を根拠に「増やせば増える」という因果関係を主張していて誤りです。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
散布図は2つの量を横軸・縦軸にとり,1つの対象(ここでは1つの都道府県)を1つの点で表した図です。点の並びが右上がりなら正の相関,右下がりなら負の相関,バラバラなら無相関。
相関係数 r は,その「直線的な関係の強さと向き」を −1 〜 +1 の1つの数にまとめたものです。目安は,|r|が0.7以上で強い相関,0.4〜0.7で中程度,0.2以下でほとんど相関なし。今回の3つをこの目安に当てはめると,0.67は中程度(0.7にかなり近い中程度),0.79と0.84は強い正の相関にあたります。いずれも符号は正なので,「一方が多い県は他方も多い」という向きの傾向は3組すべてに共通しています。
そしてこの設問の本体は,実は統計計算ではなく「そのグラフから言えることの範囲」を見極める力です。散布図が持っている情報は「点の位置」と「軸が何を表すか」。持っていない情報は,(1)どの点がどの県か,(2)なぜそうなるのかという理由・原因,の2つ。選択肢がこの“持っていない情報”に踏み込んだ瞬間,それは誤答です。逆に,軸の構成から論理だけで確定できること(②がまさにそれ)は,県名がわからなくても判定できます。
もう一つ大事なのが読み取りの粒度です。散布図から確実に読めるのは「どちらが右か/上か」「基準線のどちら側か」という位置関係であって,個々の点の座標値ではありません。共通テストの選択肢はすべてこの位置関係だけで判定できるように作られているので,値を目測しようとしないことが正確さにも速さにもつながります。
検算 — 別の道すじで確かめる
①の検算:「出張等 < 帰省等×1.5」は「点が直線 y=1.5x より下」と同じ意味です。ここで大事なのは,個々の点の比を1つずつ目測するのではなく,1本の直線を引いて全点をまとめて判定すること。
直線 y=1.5x は,(2000, 3000)・(4000, 6000)・(6000, 9000)を通ります。左上の散布図では 2000 と 4000 が横軸の目盛り,3000 と 6000 が縦軸の目盛りなので,目盛りの交点を2つ結ぶだけでこの直線が引けます。引いてみると,右上に大きく離れた数個の点はいずれもこの直線より下側にあることが見て取れます。
注意したいのは左下の密集部です。ここを「小さい範囲にかたまっているから直線より下」と片づけてはいけません。y=1.5x の高さは帰省2000のとき3000ですが,帰省800なら1200,帰省400なら600しかなく,原点に近づくほど直線も低くなるからです。たとえば「帰省400・出張1400」という県が仮にあったとすると,帰省2000以下・出張1500以下という“小さい範囲”に入っていながら直線の上に来てしまいます。密集部の判定は,直線を原点まで延ばして各点と見比べるのが正しい手順です。実際に原点まで引いた直線と見比べると,密集部の点もすべて直線の下側にあり,①は正しいと確認できます。
⓪の反例:⓪は「観光等が多い方は帰省等も多い」という主張なので,反例は観光等を横軸・帰省等を縦軸にした「下」の散布図から探します。
この図で横軸の右端付近にある点のうち,縦軸3000の目盛り線を下回っている点に注目してください。一方,横軸が3000と6000の目盛り線の間にも縦軸3000の目盛り線を上回る点があります。この2県を比べると,観光等は前者の方がずっと多いのに,帰省等は前者の方が少ない。これで「必ず多い」は崩れます。同じ図の右端では,横軸がほぼ同じ位置にありながら縦軸の高さが大きく違う点も上下に並んでいます。相関が強い=例外がない,ではありません。
②が「誤り」と確定できる理由:ここが本問で一番おいしいところです。3枚の散布図のうち,左上と右上は縦軸がどちらも「出張等の旅行者数」です。同じ量を縦軸にとっている以上,「最も上に位置する点」はどちらの図でも出張等が最大の都道府県——つまり同じ1県です。座標を読む必要はなく,軸のラベルを見るだけで決着します。したがって「それぞれの散布図で最も上に位置する都道府県は異なる」は成り立たず,明確に偽。
注意したいのは,これを「県名がわからないから判定不能」と処理してはいけないことです。個体名が不明でも,軸の構成から論理的に確定するタイプの判断で,同じ論法は問3[キ]でも使います。
④の落とし穴:相関があるのは「観光が多い県は出張も多い」という並び方の話。その裏には「人口・経済規模が大きい県は,観光地も企業も多い」という共通の第三の要因(交絡因子)が潜んでいます。観光PRで観光客を増やしても,企業数が増えるわけではないので出張は増えません。相関≠因果の典型例です。
ここで効く一般則・学問的背景
・相関関係は因果関係を意味しない(correlation is not causation)。
・相関は「傾向」であり,「必ず」「すべての組で」は保証しない。ただし①のように「すべての点が直線の片側」という幾何的な事実は,散布図から直接読み取れるので保証できる。
・比の条件は,1点ずつ割り算せず「境界の直線」を引いて処理する。y=1.5x のように目盛りの交点を通る直線は特に引きやすい。ただし直線は原点まで延ばして,原点付近の点も同じ線で判定すること。「小さい範囲に収まっているから安全」は成り立たない。
・散布図から読むのは座標値ではなく位置関係。「右か左か」「上か下か」「線のどちら側か」で解ける作りになっている。
・軸の構成が同じなら,個体名がわからなくても結論が確定することがある。「わからない」と決めつける前に,論理で詰められないか確かめる。
・「〜のみから読み取れること」は出題者の合図。情報源を限定する条件文は必ず正誤の基準になる。
学問的背景。相関係数は19世紀末にフランシス・ゴルトンが親子の身長の関係を調べる中で着想し,カール・ピアソンが1896年に数式として定式化しました(ピアソンの積率相関係数)。その直後の1903年にユール,さらに時代が下って1951年にシンプソンが,全体で見た相関がグループごとに見ると逆転しうることを指摘し,これは今日シンプソンのパラドックスと呼ばれています。こうした知見の積み重ねから「相関だけで因果を語ってはいけない」という統計学の鉄則が確立しました。現代では,この壁を越えるためにランダム化比較試験(A/Bテスト)や,ジューディア・パールが体系化した因果推論(因果ダイアグラム,do演算子)が使われます。情報Ⅱの「データサイエンス」ではまさにこの「相関から因果へ」の方法論を扱いますし,機械学習モデルが“それらしい予測”を出しても介入の効果を保証しないのは同じ理由です。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問3 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問3
1問題
問3 次の文章を読み,空欄[キ]・[ク]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。
Uさんは,各都道府県の出張等と観光等の旅行者数の関係に着目し,縦軸と横軸の値が等しい直線を記入した散布図(図3)を作成した。この散布図中に完全に重なっている点はないが,多くの都道府県が観光等の旅行者数が3000千人以下の範囲に集中しているため,異なる指標を使った散布図も作成することにした。
Uさんは,人口が多い都道府県には旅行の目的地になる場所(企業や観光名所など)が多く,旅行先になりやすいのではないかと考え,「出張等と観光等の旅行者数を,旅行先の各都道府県の人口で割った値」を指標とし,それぞれを出張/人口,観光/人口と呼ぶことにした。これらの指標は,旅行先の人口を基準として相対的に各目的の旅行者が多いか少ないかの程度を示すことになる。そこでUさんは,総務省統計局が公開している2019年度の都道府県ごとの人口のデータ(表3)を入手し,「出張/人口」と「観光/人口」の組合せについて,縦軸と横軸の値が等しい直線を記入した散布図(図4)を作成した。なお,この散布図中に完全に重なっている点はない。
図3と図4のいずれの散布図にも,直線の上側に白抜きの丸で示した二つの点がある。各図の白抜きの二つの点について,[キ]。
また,これらの散布図上にある点Xと点Yは,それぞれ同じ都道府県を示している。二つの散布図でこれらの点について,縦軸と横軸の両方で値の大小が逆転している理由は,点Xの都道府県よりも点Yの都道府県の方が[ク]ためである。
表3 都道府県ごとの人口(抜粋)
| 番号 | 都道府県 | 人口(千人) |
|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 5259 |
| 2 | 青森県 | 1253 |
| 3 | 岩手県 | 1226 |
| 〜〜〜〜〜(中略)〜〜〜〜〜 | ||
| 47 | 沖縄県 | 1462 |
【図3 出張等と観光等の旅行者数の組合せによる散布図】横軸「観光等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000・12000。縦軸「出張等の旅行者数(千人)」,目盛りは0・3000・6000・9000。原点から右上へ縦軸と横軸の値が等しい直線(y=x)が引かれている。
多くの点は原点付近に密集しており,その一角が点線の四角で囲まれて,図の左上に「拡大図」として引き出されている。拡大図の中では,y=x の直線のまわりに黒丸が多数あり,直線の上側(左側)に白抜きの丸が2つ並んでいる。
本体の図には吹き出しラベルXとYが1つずつあり,それぞれ1点を指している。XとYはどちらも直線の下側にあり,Xの方がYより右かつ上(観光等・出張等ともXが大きい)。また直線から下へ離れている度合いはXの方が大きい。(各点の座標は目測になるため記さない。原図は問題冊子PDFを参照)
【図4 「出張/人口」と「観光/人口」の組合せによる散布図】横軸「観光/人口」,目盛りは0.0・1.0・2.0・3.0・4.0・5.0・6.0。縦軸「出張/人口」,目盛りは0.0・0.5・1.0・1.5(枠の上端は1.5)。原点から右上へ縦軸と横軸の値が等しい直線(y=x)が引かれている。この図では縦軸を大きく引き伸ばしてあるため,y=x の直線は急な傾きに見える。
図の中ほど(横軸が1.0の目盛りの前後,縦軸が1.0の目盛りの少し下あたり)の一角が点線の四角で囲まれ,図の右上に「拡大図」として引き出されている。この四角はy=x の直線をまたぐ位置にあり,拡大図の中には直線が斜めに走っていて,直線の上側(左側)に白抜きの丸が2つと,直線の下側(右側)に黒丸が数個ある。
本体の図には吹き出しラベルXとYが1つずつあり,図3と同じ都道府県を指している。ここではYの方がXより右かつ上で,図3とは大小関係が入れ替わっている。(各点の座標は目測になるため記さない。原図は問題冊子PDFを参照)
[キ]の解答群
⓪ 両方の図で同じ二つの都道府県を示している
① 一つは両方の図で同じ都道府県を示し,もう一つは異なる都道府県を示している
② 両方の図で異なる二つの都道府県を示している
③ これらの図からだけでは,同じ都道府県であるかはわからない
[ク]の解答群
⓪ 出張等の旅行者数が多い
① 観光等の旅行者数と出張等の旅行者数の差が大きい
② 観光等の旅行者数を出張等の旅行者数で割った値が小さい
③ 人口が少ない
2解答
[キ]=⓪(両方の図で同じ二つの都道府県を示している) ……2点
[ク]=③(人口が少ない) ……3点
問3 合計 5点
3解説(端的に)
[キ]「縦軸と横軸の値が等しい直線」= y=x。その上側にある点は「縦軸の値 > 横軸の値」を意味します。図3では出張等 > 観光等,図4では出張/人口 > 観光/人口。ところが図4は,図3の両方の値を同じ人口(正の数)で割っただけ。不等式は正の数で割っても向きが変わらないので,「出張等>観光等」と「出張/人口>観光/人口」はまったく同じ条件です。よって直線の上側に来る県の顔ぶれは完全に一致し,どちらも2つなら同じ2県。答えは⓪。
[ク]図3ではXが両軸ともYより大きいのに,人口で割った図4では逆にYが両軸ともXより大きくなりました。ここで割っているのは同じ「人口」という量ですが,割る数そのものは県ごとに違います(Xは PX,Yは PYで割っている)。同じ正の数で割れば大小は絶対にひっくり返らない——それが直前の[キ]の話です。逆転が起きたのは割る数が県ごとに違い,Yの分母の方が小さいから。よってYの都道府県の方が人口が少ない(③)。
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
y=x の直線(45度線)は,「縦軸と横軸のどちらが大きいか」を一瞬で判定する道具です。点が線より上なら縦軸の勝ち,下なら横軸の勝ち,線上なら同点。今回は「出張等と観光等,どちらが多い県か」を目で仕分けています。
なお図4は縦軸の目盛りの上端(1.5)に対して横軸が6.0まであるため,y=x の直線は45度ではなく急な傾きに見えます。見た目の角度ではなく「縦の値と横の値が等しい点の集まり」という定義で捉えてください。
不等式と正の数の割り算:a > b のとき,正の数 p で両辺を割っても a/p > b/p。向きは変わりません(負の数で割ると逆転する,というのが中学数学の対応する規則)。人口は必ず正なので安全に割れます。ここが[キ]の核心です。
実数 vs 人口あたり(正規化):47都道府県のように「規模がバラバラな対象」を比べるとき,実数のままだと人口の多い県が常に上位になり,各地域の“濃さ”が見えません。そこで人口で割って1人あたりの値にそろえるのが正規化です。問題文の「旅行先の人口を基準として相対的に…示す」がまさにこの説明です。
検算 — 別の道すじで確かめる
[キ]の検算(式で確認):ある県の人口を P(P>0),出張等を S,観光等を K とすると,
図3で直線の上側 ⟺ S > K。
図4で直線の上側 ⟺ S/P > K/P ⟺ (両辺に P を掛けて)S > K。
条件が完全に一致するので,該当県の集合も一致します。両図とも白抜きが2つなら同じ2県です。→⓪。
誤答の潰し方:①②は「一致しない県がある」と主張しますが,上の同値変形がそれを禁じます。③「わからない」は,図に県名が無いから一見もっともらしい。しかし県名がわからなくても「同じ集合である」ことは論理的に確定するので誤りです。問2の②と同じ発想が使われています。
[ク]の検算(不等式だけで証明する):ここも数値を読み取る必要はありません。図から読むのは「どちらが右か・上か」だけで足ります。
Xの県の人口を PX,観光等を KX,出張等を SXとし,Yも同様に置きます。図から読めるのは次の4つの位置関係です。
図3(実数)… KX > KY かつ SX > SY
図4(人口あたり)… KX/PX < KY/PY かつ SX/PX < SY/PY
観光等の式を変形します。KX/PX < KY/PY の両辺は正なので,
PX/PY > KX/KY
と書き換えられます。ところが図3から KX/KY > 1 なので,PX/PY > 1,すなわち PX > PY。Yの県の方が人口が少ない,と確定します。出張等の式からも同じ結論が出るので,2通りで検算できたことになります。→人口が少ない(③)。
言葉で言えば,「分子(旅行者数)ではXの方が大きいのに,割った後はYの方が大きい。ならば分母(人口)は,分子の比 KX/KY を上回る比でXの方が大きいはずだ」ということ。ここで比べるのは差ではなく比です。割り算で大小がひっくり返るのは PX/PY > KX/KY,すなわち分母の比が分子の比を上回るとき,かつそのときに限ります(上の変形はそのまま同値なので,逆も成り立ちます)。「分母の差が分子の差より大きいとき」ではないことに注意してください。たとえば KX=1000,KY=900(分子の差100),PX=100,PY=50(分母の差50)なら,分母の差の方が小さいのに 10 < 18 で逆転します(分母の比2は分子の比約1.11を上回っている)。
他の選択肢の潰し方(いずれも位置関係だけで判定できます):
⓪「出張等の旅行者数が多い」…図3の縦軸が出張等で,XはYより上。つまり出張等が多いのはXの方なので,「Yの方が多い」は事実と逆。
①「観光等と出張等の差が大きい」…図3で y=x の直線から下へどれだけ離れているかが,そのまま「観光等−出張等」の大きさにあたります。直線からの離れ具合はXの方が明らかに大きいので,差が大きいのもXの方。これも事実と逆。
②「観光等÷出張等が小さい」…この比は人口で割っても変わりません(分母の人口が約分で消えるため,(K/P)÷(S/P)=K/S)。なお図3・図4はどちらも横軸が観光,縦軸が出張なので,原点とその点を結ぶ直線の傾きは (縦)÷(横)=出張÷観光であり,②の量「観光÷出張」はその逆数にあたります(傾きが小さい点ほど観光÷出張は大きい)。いずれにせよ正規化してもこの比は変わらず,XもYも y=x の同じ側(下側)に位置し続けます。比が変わらない量は,正規化で順位が入れ替わる理由になり得ません。両方の座標を同時に押し上げ/押し下げできるのは,共通の分母である人口だけです。
ここで効く一般則・学問的背景
・y=x の直線は「2つの量のどちらが大きいか」を可視化する仕切り線。軸の目盛り幅が違えば見た目の傾きは45度にならないので注意。
・正の数で両辺を割っても不等号の向きは変わらない。だから「実数の大小関係」は「1人あたりの大小関係」と一致する(同じ分母で割る場合)。
・比 y/x は共通の分母で割っても変わらない。だから「比が違うから」は正規化前後の逆転の説明にならない。
・規模の違う対象を比べるときは人口・面積・売上などで割って正規化する。感染者数→10万人あたり,GDP→1人あたり,と同じ発想。
・正規化で大小が逆転したら,原因は必ず分母にある。分子の大小がそのままなら,逆転させられるのは分母の比だけ。
・「図からはわからない」を選ぶ前に,論理だけで確定しないか確かめる。個体名が不明でも,集合の一致は証明できることがある。
学問的背景。ここで行われているのは正規化(normalization),統計学の言葉では率(rate)への変換です。人口という共通の分母で割ることで,規模効果を取り除いて「密度」を比べています。疫学の罹患率,経済学の1人あたりGDP,情報分野ならサーバの「リクエスト数/CPUコア数」など,あらゆる分野で使われる基本操作です。一方で率には固有の落とし穴もあり,分母が小さい地域では分子のわずかな変動で率が跳ね上がる小地域問題(small-number problem)が知られています。図4で横軸の右のほうに離れて位置する点が現れるのも,人口の少ない県では同じ旅行者数でも指標が大きく出るためです。情報Ⅱのデータ分析では,こうした正規化と,Zスコア・偏差値のような標準化を使い分ける力が問われます。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
問4 2025年度 共通テスト『情報Ⅰ』第4問 問4
1問題
問4 次の文章を読み,空欄[ケ]に当てはまる数字をマークせよ。また,空欄[コ]〜[シ]に入れるのに最も適当なものを,後の解答群のうちから一つずつ選べ。
Uさんは,「出張/人口」と「観光/人口」の関係について,より詳しく分析することにした。そこで,図4の散布図の各軸に沿って各指標の分布を表す箱ひげ図(外れ値は○で表記)を併記したもの(図5)を作成した。
図5を見ると,例えば,観光等の旅行者が人口の4倍以上訪れる都道府県を表す点の数は[ケ]個である。このように,指標の値を見ることで,都道府県の人口に対して目的別の旅行者数がどの程度であったかを知ることができる。
そこでUさんは,今回の分析において,「出張/人口」がその第3四分位数より大きい都道府県を出張等が多めの都道府県,「観光/人口」がその第3四分位数より大きい都道府県を観光等が多めの都道府県と呼ぶことにした。このように決めた場合,[コ]が最も多い。
Uさんは,「出張等も観光等も多めの都道府県」と,「出張等は多めではないが観光等は多めの都道府県」がなぜそのような状況になっているのかに興味をもった。図5においてA〜Fで示した都道府県のうち,「出張等も観光等も多めの都道府県」は[サ]である。一方,「出張等は多めではないが観光等は多めの都道府県」は複数あるが,その中で「出張/人口」を「観光/人口」で割った値が最も小さい都道府県を考えると,[シ]となる。
【図5】「出張/人口」と「観光/人口」の組合せによる散布図に,各軸に沿って箱ひげ図を併記した図。横軸「観光/人口」の目盛りは0.0〜6.0(1.0刻み),縦軸「出張/人口」の目盛りは0.0〜1.2(0.2刻み)。図4と同じデータだが,縦軸の目盛りの取り方が図4(0.0〜1.5)とは異なる点に注意。47点が打たれ,そのうち6点にA〜Fの吹き出しラベルが付いている。
A〜Fの位置は,目盛りおよび併記された箱ひげ図の箱の端との前後関係で示すと次のとおり。
A・B・C…3点とも縦軸(出張/人口)が0.8の目盛りより上で,縦の箱ひげ図の箱の上端よりはっきり上にある。横方向に並べるとAが最も左,次がB,Cはさらに右。AとBはどちらも横の箱ひげ図の箱の右端よりはっきり左(Aは箱の左端=第1四分位数のほぼ真上,Bはそれより少し右だがまだ箱の中の線=中央値より左で,箱の左寄りにある)で,Cだけが箱の右端よりはっきり右にある(A・B・Cはいずれも横軸3.0の目盛りより左に収まっているが,この3点のうち箱の右端を越えているのはCだけである)。
D・E…どちらも横軸4.0の目盛りより右(Dが左,Eが右)で,横の箱ひげ図ではひげの右端よりさらに右=外れ値の○として描かれた2点にあたる位置。当然どちらも箱の右端より右である。縦軸はどちらも0.6の目盛りに届かず,縦の箱の上端より下(EはDよりさらに下で,縦の箱の下端よりも下)。
F…左下の隅にあり,横軸は横の箱の左端より左,縦軸は縦の箱の下端より下。
なお,横軸4.0の目盛り線より右にある点は図全体でD・Eの2点だけで,目盛り線上に乗っている点はない。
縦軸の左側には「出張/人口」の縦向きの箱ひげ図があり,下から順にひげの下端・箱の下端(第1四分位数)・箱の中の線(中央値)・箱の上端(第3四分位数)・ひげの上端が並ぶ。箱の上端は0.6と0.8の目盛りの間にある。外れ値の○はない。
横軸の下側には「観光/人口」の横向きの箱ひげ図があり,左からひげの左端・箱の左端(第1四分位数)・箱の中の線(中央値)・箱の右端(第3四分位数)・ひげの右端が並ぶ。箱の右端は2.0と3.0の目盛りの間(2.0寄り)にある。ひげの右端よりさらに右に,外れ値の○が2つある。(各点の座標は目測になるため記さない。原図は問題冊子PDFを参照)
図5 「出張/人口」と「観光/人口」の組合せによる散布図(各軸に沿って,各指標の分布を表す箱ひげ図を併記)
[コ]の解答群
⓪ 出張等も観光等も多めの都道府県
① 出張等は多めではないが観光等は多めの都道府県
② 出張等は多めだが観光等は多めではない都道府県
③ 出張等も観光等も多めではない都道府県
[サ]・[シ]の解答群
⓪ Aの都道府県 ① Bの都道府県 ② Cの都道府県
③ Dの都道府県 ④ Eの都道府県 ⑤ Fの都道府県
2解答
[ケ]=2(2個) ……2点
[コ]=③(出張等も観光等も多めではない都道府県) ……3点
[サ]=②(Cの都道府県) ……2点
[シ]=④(Eの都道府県) ……2点
問4 合計 9点
3解説(端的に)
[ケ]「観光等の旅行者が人口の4倍以上」=観光/人口 が4.0以上。散布図で横軸4.0の目盛り線より右にある点を数えると,DとEの2個だけです(目盛り線上に乗っている点はありません)。
[コ]47都道府県のうち「第3四分位数より大きい」のは上位およそ4分の1。「出張等が多め」も「観光等が多め」もそれぞれ11県程度なので,どちらか一方でも多めの県は多くても22県ほど。残る「どちらも多めではない」は25県以上となり,これが最多です(③)。
[サ]基準は箱の端=第3四分位数。縦の箱の上端より上,かつ横の箱の右端より右にある点を探します。A・B・Cは縦の箱の上端を超えていますが,横の箱の右端より右にあるのはCだけ。D・Eは横は超えても縦が箱の上端に届きません。→②
[シ]「観光だけ多め」はA〜Fの中ではDとE。(出張/人口)÷(観光/人口)は,散布図では原点とその点を結ぶ直線の傾きにあたります。EはDより右かつ下にあるので傾きは確実にEの方が小さい。→④
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具
四分位数は,データを小さい順に並べて4等分する3つの区切りです。第1四分位数(Q1)=下から25%地点,第2四分位数=中央値(50%),第3四分位数(Q3)=下から75%地点。「Q3より大きい」は上位25%を指します。
箱ひげ図は,この区切りを図にしたもの。箱の左端(下端)がQ1,箱の中の線が中央値,箱の右端(上端)がQ3。箱の長さ(Q3−Q1)を四分位範囲(IQR)と呼び,データの散らばり具合を表します。ひげの先は,多くの流儀で「Q1−1.5×IQR 〜 Q3+1.5×IQR の範囲に入る最も端のデータ」。そこから外れたものが外れ値として○で個別に描かれます。
本問の最重要ポイントは,「箱の端の位置から横軸・縦軸に線を延ばし,散布図の点がその線のどちら側にあるかを見る」という往復作業です。散布図の各軸に箱ひげ図を添えた図(マージナルボックスプロット)は,この往復をさせるための出題で,Q3が何という値かを読み取る必要はありません。箱の端から引いた線とA〜Fの点の左右・上下だけで決着します。
検算 — 別の道すじで確かめる
[ケ]の検算:設問が求めているのは「観光/人口 が4.0以上の点の個数」です。4.0は目盛りラベルのある位置なので,そこに縦線を引いて右側の点を数えるだけ。境界を含む「以上」なので線上の点があれば数に入れますが,今回そのような点はなく,右側にあるのはDとEの2点。→2個。
ここでやってはいけないのが「横軸の箱ひげ図の外れ値の○が2つだから2個」という数え方です。外れ値かどうかは Q3+1.5×IQR というデータの散らばりから決まる境界で判定されるもので,設問の「人口の4倍」という意味から決まる境界とは別の概念です。今回はたまたま両者の該当点が一致しているにすぎません。「外れ値=4倍以上」と覚えると,境界がずれた問題で必ず外します。散布図の点を横軸の目盛り線で直接数えるのが正しい手順で,外れ値の個数は答え合わせの補助として眺める程度にとどめましょう。
[コ]の検算(集合の数え上げ):47県のうちQ3より大きいのは,上位25%にあたるので 47×0.25≒11.75,実際には11県ほどです。
・出張等が多め ≒ 11県,観光等が多め ≒ 11県。
・「どちらか一方でも多め」の県数は,多くても 11+11=22県(両方に該当する県があればもっと少ない)。
・よって「どちらも多めではない」は少なくとも 47−22=25県。
一方,⓪・①・②はいずれも11県以下にしかなり得ません。25県には遠く及ばないので③が最多で確定です。
考え方のコツ:「上位25%かつ上位25%」は多くても25%,「片方だけ上位」も25%以下,残る「どちらも下位」は必ず50%以上になる。つまり2つの条件で4分割したとき,「どちらも下位」のグループが最大になることだけは,データによらず必ず成り立つということです。図を数え上げるまでもなく答えが決まる,という点がこの設問のうまさです。
[サ]の検算(A〜F総当たり) 基準:出張/人口が縦の箱の上端より上,かつ 観光/人口が横の箱の右端より右。箱の端から点線を引いて,各点がどちら側かを見ます。
A:縦○(箱の上端より上)/横×(箱の右端より左) → 出張だけ多め
B:縦○/横× → 出張だけ多め
C:縦○/横○ → 両方多め=正解②
D:縦×(箱の上端に届かない)/横○ → 観光だけ多め
E:縦×/横○ → 観光だけ多め
F:縦×/横× → どちらも多めではない
AとBは縦軸ではかなり高い位置にあり「なんとなく多そう」に見えますが,横軸では箱の右端に届いていないのが決め手です。“見た目の高さ”ではなく“箱の端から引いた線のどちら側か”で判定するのが鉄則。逆にDとEは横軸では飛び抜けていますが,縦軸では箱の上端に届いていません。
[シ]の検算:A〜Fのうち「出張等は多めではないが観光等は多め」に当てはまるのはDとE。求めるのは(出張/人口)÷(観光/人口)で,これは (S/P)÷(K/P)=S/K=出張等÷観光等,つまり人口が約分で消えた「出張と観光の実数の比」そのものです。
図形的には,原点とその点を結んだ直線の傾きを比べればよいことになります。EはDより右(分母が大きい)かつ下(分子が小さい)にあるので,分数として確実にEの方が小さい。割り算をしなくても,位置関係だけで決着します。→④。
選択肢がA〜Fに限られているので,この2点の比較で十分です。「傾きが最も寝ている点を選ぶ」と言い換えておくと,同種の設問で迷いません。
ここで効く一般則・学問的背景
・箱ひげ図の箱の両端はQ1とQ3,中の線は中央値。箱の長さがIQR。
・「第3四分位数より大きい」=上位およそ25%。n×0.25 で県数の見当をつける。
・「上位25%」という2つの条件で4分割すると,「両方とも下位」は必ず50%以上を占め,最も多いグループになる。一方,「両方とも上位」が最小とは限らない(2つの指標が完全に正相関していれば,「両方とも上位」が25%で「片方だけ上位」が0%になる)。定理として使えるのは“どちらも下位が最大”のほうだけ。
・外れ値の境界(Q3+1.5×IQR)と,設問が定める境界は別物。たまたま一致しても混同しない。
・比 y/x は,原点とその点を結ぶ直線の傾き。散布図上で比の大小は“傾きの寝かせ具合”で読める。右かつ下にある点は,比が確実に小さい。
・同じ分母で割った2指標の比は,分母が約分されて元の量の比に戻る。
・箱ひげ図と散布図を並べた図では,箱の端から線を延ばして「どちら側か」を見る。Q1やQ3の値そのものを目測で読む必要はない。
・同じデータでも図によって軸の目盛りの取り方は変わる。図4(縦軸0.0〜1.5)と図5(縦軸0.0〜1.2)のように,見比べるときは必ず目盛りを確認する。
学問的背景。箱ひげ図は1970年代に統計学者ジョン・テューキーが著書『Exploratory Data Analysis(探索的データ解析)』で提案した図です。それまでの統計学が「仮説を立てて検定する」確証的な方向に偏っていたのに対し,テューキーは「まずデータを絵にして眺め,そこから問いを見つける」というEDAの流儀を打ち立てました。平均と標準偏差ではなく中央値と四分位数を使うのは,少数の極端な値に引きずられない頑健性(ロバストネス)を重視したためで,今回のように極端な値を示す県が混じるデータではこの性質が効いてきます。散布図の各軸に箱ひげ図やヒストグラムを添える表現はマージナルプロットと呼ばれ,Python の seaborn(jointplot)や R の ggplot2 で標準的に描けます。情報Ⅱでは,このEDAの手順(要約統計量→可視化→仮説→検証)をそのまま実データに適用する力が問われます。
📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。
この試験で問われた単元を、基礎から学び直す
解けなかった設問は「知識が無い」のではなく「その単元の型を知らない」だけのことが多いです。該当する講義で型を入れてから戻ってきてください。
第3問(プログラミング)を基礎から
- アルゴリズムと流れ図第47講
- 共通テスト用プログラム表記③ 条件分岐第50講
- 共通テスト用プログラム表記④ 反復第51講
- 共通テスト用プログラム表記⑤ 配列第52講
- ユーザ定義関数と引数第53講
- トレース──プログラムを手で追う第54講
- 線形探索と二分探索
- 整列(ソート)の違いと比較回数
第4問(データの活用)を基礎から
- データの整理・整形(欠損値・外れ値)第82講
- 代表値(平均値・中央値・最頻値)第83講
- 散らばり(分散・標準偏差・四分位)第84講
- ヒストグラムと箱ひげ図第85講
- 散布図と相関係数第86講
- 相関と因果は違う第87講
- 回帰直線と最小二乗法第88講
第1問・第2問(小問集合)の分野を基礎から
情報ラボの学習コンテンツ
- 2026年度 共通テスト「情報Ⅰ」本試験 全問解説全18問・問題文つき
- 令和7年度 共通テスト「情報Ⅰ」試作問題 全問解説全19問・問題文つき
- 2025年度 共通テスト「情報Ⅰ」追試験 全問解説全19問・問題文つき
- 2026年度 共通テスト「情報Ⅰ」追試験 全問解説全24問・問題文つき
- 令和7年度 共通テスト「情報」サンプル問題 全問解説全11問・問題文つき
- 共通テスト「情報Ⅰ」オリジナル予想問題全10問・問題文つき
- 大学入試「情報」過去問プリント 一覧12大学・全149問
- 情報Ⅰ 最強120講義単元別の体系学習
- 情報Ⅰ・情報関係基礎の過去問PDF一覧共通テスト・私大
- 情報ラボとは(情報Ⅰ・Ⅱ専門オンライン個別指導)
- 情報ラボの料金とご利用の流れ
大学別「情報」過去問 解答解説
- 日本大学 文理学部 公開問題 2025全3問
- 北海道情報大学 一般選抜 サンプル問題 2025全14問
- 東北学院大学 一般選抜 サンプル問題 2025全12問
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026全12問
- 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4) 2026全13問
- 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/6) 2026全14問
- 京都産業大学 公募推薦入試 2026全12問
- 京都産業大学 一般選抜入試(前期日程) 2026全25問
- 京都産業大学 情報入試模擬試験 2024全7問
- 明治大学 情報コミュニケーション学部 情報総合問題 2020全7問
- 慶應義塾大学 SFC 総合政策学部 2019全15問
- 慶應義塾大学 SFC 環境情報学部 2019全15問
この解説は,オンライン数学専門塾数強塾の情報科目専門塾「情報ラボ」が制作しています。監修は藤原進之介(株式会社数強塾 代表取締役/『藤原進之介の ゼロから始める情報I』KADOKAWA 著者)。解答・配点は大学入試センター公表の正解表と全記号を照合済みです。
解き終えたら、同じ型のオリジナル予想問題へ
この年度の出題を含む公表6セットを分析し、同じ形式・同じ配点で作った完全オリジナルの予想問題です。過去問を解き切ってしまった人の演習材料に。
第3問(プログラミング)予想問題 大問10回分 / 第4問(データの活用)予想問題 大問10回分 / 第1問・第2問(小問集合)予想問題 4回分
他の回の全問解説
共通テスト「情報Ⅰ」の本試験・追試験・試作問題と、情報関係基礎の全問解説を1ページにまとめています。市販の演習材料が少ない科目なので、公開分を全部使い切るのが確実です。
共通テスト「情報Ⅰ」・情報関係基礎の全問解説(一覧) / 情報Ⅰ 最強120講義で用語に戻る / 共通テスト数学の全問解説
