藤原進之介のゼロから始める情報Ⅰ 無料プリント|武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4) 2026 全13問 解答解説

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)『情報Ⅰ』2026の解答解説です。問題 → 解答 → 端的な解説 → 深掘りの順に並べています。まず問題を確認し,答えを見て,短い解説で理解し,余力があれば深掘りタブを開いてください。

このページの内容

  1. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問1 問1
  2. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問1 問2
  3. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問1
  4. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問2
  5. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問3
  6. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問1
  7. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問2
  8. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問3
  9. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問4
  10. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問1
  11. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問2
  12. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問3
  13. 武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問4

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問1 問1

情報1(1)情報社会の問題解決 / ★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第1章 情報社会の問題解決

1問題 — この設問で問われていること

4つの空欄が段階的に配置されている。基本3要素の残り1つ、付加的要素のうち定義文が示された1つ、その2つを共通して守る技術、そして片方を脅かす攻撃の組である。

前半2つを取り違えると、後半2つが芋づる式に外れる。最初の2つを確実に決めることが全体の成否を分ける。

対策技術の選択肢には、可用性を守るもの(多重化、無停電電源装置)や機密性を守るもの(暗号化、アクセス制限)が混ぜられている。「2つの要素を同時に守る」という条件が効いてくる。

2解答

  • 基本3要素の残り → 完全性
  • 付加的要素(主張どおりであることを確実にする) → 真正性
  • 2つを共通して守る技術 → デジタル署名
  • 完全性を脅かす攻撃の組 → なりすまし・Webページの改ざん

デジタル署名が2つを同時に守る仕組みを整理しておく。送信者が秘密鍵で署名を作り、受信者が公開鍵で検証する。検証が通れば、

  • その秘密鍵の持ち主が作ったことが分かる → 真正性
  • 署名後に内容が変わっていないことが分かる → 完全性

の2点が同時に言える。1つの仕組みで2つの性質を担保するため、この設問の条件に合致する。

攻撃の判定は次のとおり。

3解説(端的に)

基本3要素は暗記。 機密性と可用性が示されていれば、残りは完全性しかない。

付加的要素は定義文から引く。 「主張どおりであることを確実にする」という文は真正性の定義そのものである。似た語感の選択肢(保全性、保守性、残存性)はいずれも情報セキュリティの正式な要素ではない。

技術は「守る要素」の対応表で絞る。 求められているのは2つの要素を共通して守るものなので、片方しか守らない技術は落ちる。

攻撃も対応表で判定する。 盗聴は機密性、DoSは可用性を脅かす。完全性を脅かすのは、データを書き換える方向の攻撃である。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

情報セキュリティの要素は、基本の3つ付加的な4つに分かれる。

基本3要素(CIA)

  • 機密性=許可された者だけが情報に到達できる
  • 完全性=情報が本来のものから変わっていない
  • 可用性=使いたいときに使える

付加的な4要素

  • 真正性=利用者・システム・情報が主張どおりのものであることを確実にする
  • 責任追跡性=誰が何をしたかを後から辿れる
  • 否認防止性=行った事実を後から否定できない
  • 信頼性=意図した動作が確実に行われる

真正性の定義文「主張どおりであることを確実にする」は、そのまま覚えておく価値がある。「本物であること」を保証する性質であり、なりすましの反対概念にあたる。

対策技術も、どの要素を守るかで整理できる。デジタル署名は完全性と真正性を同時に守る。署名を検証すれば、改ざんされていないこと(完全性)と、署名者が本人であること(真正性)が同時に確かめられるからである。

検算 — 別の道すじで確かめる

語を思い出す経路とは別に、「その技術が守れない要素は何か」を確かめる。

暗号化を考える。暗号化された通信は盗聴されても中身が読めないので機密性は守れる。しかし、暗号文をそのまま別のものに置き換える攻撃を単独では検知できない。完全性は守れないので、2要素を共通して守るという条件を満たさない。

多重化や無停電電源装置は、機器が故障しても稼働を続けるための仕組みである。データが書き換えられたかどうかとは無関係で、可用性しか守らない。

多要素認証は本人確認を強化するので真正性には効くが、認証を通ったあとのデータが改ざんされていないかは保証しない。完全性には届かない。

こうして1つずつ潰すと、2要素を同時に守るものはデジタル署名だけが残る。選択肢を消去する経路と、対応表から選ぶ経路の両方で同じ結論になった。

攻撃の側も逆から確かめる。 完全性が破られた状態とは、データが本来と違うものになっている状態である。盗聴されても内容は変わらないので完全性は無傷、DoSを受けてもデータ自体は変わらない。内容を変える攻撃だけが完全性を脅かす。改ざんとなりすましがこれにあたる。

ここで効く一般則・学問的背景

基本3要素と付加4要素は分けて覚える。 基本はCIA、付加は真正性・責任追跡性・否認防止性・信頼性。定義文が示されたら、そこから逆引きする。

「主張どおり」=真正性。 この一語で決まる。なりすましの反対概念だと結びつけておく。

対策技術は「守る要素」の対応表で覚える。 暗号化=機密性、多重化=可用性、署名=完全性+真正性。2つ守るものは署名と押さえれば、この型の設問は一撃で決まる。

攻撃は「何が壊れるか」で分類する。 読まれる(機密性)、書き換わる(完全性)、使えなくなる(可用性)。この3分類にすべての攻撃が収まる。

情報Ⅱでは、この整理がセキュリティ設計の出発点になる。守るべき情報資産ごとにどの要素が重要かを決め、それに応じて対策を選ぶ。すべてを最高水準にすると費用も利便性の低下も大きいので、何を優先するかを決めること自体が設計になる。要素の分類は、その優先順位を議論するための言葉である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第1章 情報社会の問題解決 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問1 問2

情報1(1)情報社会の問題解決 / ★★★ / 7分 / 『ゼロから始める情報I』第1章 情報社会の問題解決

1問題 — この設問で問われていること

4つの空欄が段階的に配置されている。著作権の内訳の1つ、産業財産権の4つ目、著作権法の保護対象の具体例、そして特定の産業財産権の保護対象の具体例である。

前半2つは用語の穴埋めだが、後半2つは具体例から権利の種類を判定させる。ここが本番で、選択肢には他の権利で保護されるものや、そもそも保護対象外のものが並ぶ。

2解答

  • 著作権の内訳(財産権でないほう) → 著作者人格権
  • 産業財産権の4つ目 → 実用新案権
  • 著作権法の保護対象 → 風景を撮影した写真
  • 実用新案権の保護対象 → 既存の部品を組み合わせて夜間の視認性を高めた機器

後半2問の判定を整理する。

著作権の保護対象

実用新案権の保護対象

3解説(端的に)

前半は分類の枠組みをそのまま当てる。 著作権が2つに分かれるうちの一方は財産権と明示されているので、残るのは人格的利益を守るほうである。選択肢には「同一性保持権」も並ぶが、これは著作者人格権の下位の権利の一つであって、2分類の一方ではない。階層を取り違えさせる配置になっている。

産業財産権は4つのうち3つが本文に示されているので、残りは消去法で決まる。

後半は「表現かアイデアか」「物品か方法か」で切る。

著作権の保護対象を選ぶ問いでは、まず保護対象外の3つ(アルゴリズム・プログラム言語・プロトコル)を落とす。残りから、他の産業財産権に属するもの(デザイン→意匠権、名称→商標権、技術的仕組み→特許権)を落とす。残ったものが答えになる。

実用新案の保護対象を選ぶ問いでは、物品の形状・構造・組合せという定義に照らす。方法やビジネスモデル、プログラムは物品ではないので落ちる。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

知的財産権は大きく2系統に分かれ、権利の発生の仕方が根本的に違う

著作権系は、創作した瞬間に自動的に発生する(無方式主義)。申請も登録も要らない。内訳は2つある。

  • 著作者人格権=創作者の人格的利益を守る。譲渡できない(公表権・氏名表示権・同一性保持権)
  • 著作権(財産権)=利用をコントロールする経済的な権利。譲渡できる(複製権・譲渡権・貸与権・上映権など)

産業財産権は、関係機関へ申請して認められて初めて権利になる。4つある。

著作権が守るのは表現であって、アイデアそのものではない。アルゴリズム、プログラム言語、プロトコルは保護対象外と法に明記されている。ただしそれらを用いて書かれた個々のプログラムは、表現として保護される。

検算 — 別の道すじで確かめる

分類表を作り直すのではなく、権利の発生の仕方という別の観点で確かめる。

写真は、撮影した瞬間に権利が生じる。特許庁への出願も審査も要らない。この性質は著作権の無方式主義と一致する。一方、車のデザインや製品名称は、出願して登録されなければ権利にならない。「登録が要るかどうか」で振り分けても同じ結論になる。

実用新案の例も同様に確かめる。既存の部品を組み合わせた機器は、その組合せを出願して登録することで保護される。方法やビジネスモデルは物品ではないため、実用新案の定義から外れる。定義文の「物品の形状・構造・組合せ」に照らして、物品と呼べるかを問えば判定できる。

保護対象外の3つも独立に確認する。 アルゴリズムは手順という考え方であり、表現ではない。プログラム言語は表現の道具であって表現そのものではない。プロトコルは約束事である。いずれも著作権法が保護するのは表現であるという原則から外れる。これらが選択肢に3つも並んでいるのは、原則を理解しているかを試すためであり、消去できれば残る候補は大きく減る。

階層の取り違えも検算する。 同一性保持権は著作者人格権に含まれる個別の権利である。もしこれを2分類の一方に選ぶと、「同一性保持権と著作権(財産権)の2つ」という不自然な並びになる。公表権や氏名表示権の居場所がなくなるので、階層が誤っていると分かる。

ここで効く一般則・学問的背景

知的財産権は「登録が要るか」で二分する。 著作権は不要、産業財産権は必要。この一点で系統が決まる。

著作権が守るのは表現であってアイデアではない。 アルゴリズム・プログラム言語・プロトコルは対象外。この3つは繰り返し出題される。

産業財産権の4つは保護対象で覚える。 発明(方法も可)=特許、物品の形状構造組合せ=実用新案、デザイン=意匠、名称マーク=商標。「方法か物品か」で特許と実用新案が分かれるのが最頻出の分岐である。

選択肢に下位概念が混ざる。 同一性保持権のように、正解の内側にある権利を並べてくる。分類の階層を意識して読む。

情報Ⅱでは、この話がソフトウェアの権利処理へ進む。プログラムは著作物として保護されるが、そこに実装された発明は特許になりうる。オープンソースのライセンスは著作権を根拠に利用条件を定める仕組みであり、権利を放棄するのではなく、権利を持ったうえで許諾の条件を設計している。権利の種類を正しく区別できることが、その理解の前提になる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第1章 情報社会の問題解決 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問1

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

4種類の尺度それぞれについて、当てはまる例を選択肢から選ばせる。

選択肢は4つで、各尺度にちょうど1つずつ対応する。数値で表されるものが3つ含まれているのが要点で、「数値だから量的データ」と考えると名義尺度の例を取り違える。

2解答

電話番号が最も紛らわしい。数字で書かれているが、番号の大きい人が何かの点で上位ということはない。単なる識別のための記号である。数字で表されていることと、数として意味を持つことは別だと分かるかが問われている。

震度も注意を要する。数値が大きいほど揺れが強いという順序はあるが、震度は揺れの強さの階級であって等間隔ではない。差を計算する意味がないので順序尺度になる。

3解説(端的に)

数値かどうかではなく、その数値に何をしてよいかで判断する。

各選択肢について、順に問いを立てる。

1. 大小を比べる意味があるか → なければ名義尺度

2. 差を計算する意味があるか → なければ順序尺度

3. 0が「無」を意味するか → 意味しなければ間隔尺度、意味すれば比例尺度

この3段の質問で一意に決まる。質問の順序を守ることが肝心で、いきなり比例かどうかを判定しようとすると迷う。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

データは尺度水準によって4種類に分けられる。分ける基準は「その数値にどんな演算を許してよいか」である。

上の2つが質的データ、下の2つが量的データである。

判別で最も効くのが「0が何もない状態か」という問いである。0が絶対的な無を表すなら比例尺度、単なる目盛りの基準点にすぎないなら間隔尺度になる。

たとえば長さ0は「長さがない」ことを意味するので比例尺度。摂氏0度は「熱がない」ことを意味せず、水が凍る温度という人為的な基準点にすぎないので間隔尺度になる。

検算 — 別の道すじで確かめる

分類を見直すのではなく、その尺度で禁じられている操作を実際に試して破綻するかを確かめる。

電話番号の平均を取ってみる。得られた数値はどの加入者の番号でもなく、何も意味しない。平均という操作が成立しないので、名義尺度で正しい。

震度の差を考える。震度7と震度5の差を「2」としても、それが震度5と震度3の差と同じ揺れの開きを表すわけではない。差の計算が意味を持たないので、順序尺度で正しい。

気温の比を試す。摂氏20度が摂氏10度の2倍暑いと言えるか。同じ状態を華氏で表すと68度と50度になり、比は1.36倍に変わる。単位を変えると比が変わるので、比には意味がない。間隔尺度で正しい。

身長の比も同様に試す。身長160cmと80cmの比は2倍。単位をメートルに変えても1.6と0.8で比は2倍のまま。単位を変えても比が保たれるので比例尺度で正しい。

単位を変えて比が保たれるかどうかは、間隔尺度と比例尺度を分ける決定的な検査になる。

ここで効く一般則・学問的背景

「0が無を意味するか」で間隔と比例を分ける。 摂氏温度と西暦は間隔尺度、長さ・重さ・人数・金額は比例尺度。この対比を覚えておけば大半の例に対応できる。

単位を変えて比が変わるなら間隔尺度。 検算として使える。摂氏と華氏、西暦と和暦で試す。

数字で書かれていても名義尺度のことがある。 電話番号、郵便番号、背番号、学籍番号。識別のための番号は名義尺度である。

階級を表す数値は順序尺度。 震度、震級、満足度の5段階評価。順序はあるが等間隔ではない。

情報Ⅱでは、この分類が分析手法の選択を決める。名義尺度には最頻値しか使えず、順序尺度なら中央値まで、間隔尺度なら平均が使える。尺度水準を誤ると、計算はできるが意味のない統計量が出てしまう。データを受け取ったらまず尺度水準を確認する、というのが分析の第一歩になる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問2

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

4つの空欄が2つの文章に分かれている。前半は尺度水準そのものの尺度水準と、平均が定義できる下限。後半は同じ「年」という単位が文脈によって異なる尺度になることを問う。

すべての空欄に4つの尺度名から選ぶ形式で、同じ選択肢を繰り返し使ってよいと明記されている。したがって消去法は使えず、1つずつ独立に判定する必要がある。

2解答

  • 尺度水準の各項目が持つ尺度 → 順序尺度
  • 平均を定義できる下限 → 間隔尺度
  • ある時点を表す「年」 → 間隔尺度
  • 経過時間を表す「年」 → 比例尺度

各尺度で使える代表値をまとめておく。

平均が使えるのは間隔尺度からである。順序尺度で平均を計算する誤りは実務でも頻出で、5段階評価の平均値がその代表例になる。

同じ「年」の使い分けも整理する。

3解説(端的に)

前半は定義に照らす。 尺度水準の項目に順序はあるか、その間隔は等しいか、と順に問う。順序はあるが間隔が等しいとは言えないので、順序尺度に落ち着く。

平均の下限は、平均を計算する手続きを分解すると決まる。総和を取るには足し算が要る。足し算が意味を持つ最下位の尺度を探せばよい。

後半は「0が何を意味するか」で切る。 同じ「年」でも、時点を指す場合と長さを表す場合で0の意味が変わる。

  • 西暦0年は「時間が存在しない」ことを意味しない → 間隔尺度
  • 経過0年は「まったく経過していない」ことを意味する → 比例尺度
4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

尺度水準そのものをデータとして見る、という一段抽象度の高い問いを扱う。

4つの尺度水準には、比例を最上位、名義を最下位とする順序が定義されている。しかし「間隔尺度と順序尺度の差」と「比例尺度と間隔尺度の差」が等しいとは言えない。順序はあるが間隔に意味がない、というのは順序尺度の定義そのものである。したがって尺度水準の項目それ自体は順序尺度のデータになる。

平均が定義できる下限も押さえる。平均は総和を個数で割るので、足し算が意味を持つ必要がある。足し算が許されるのは間隔尺度以上である。順序尺度では和に意味がないので平均も定義できない。

もう一つ、同じ単位でも尺度が変わるという論点がある。時間を表す「年」は、使い方によって2通りある。

  • ある時点を指す年(西暦など)→ 原点が人為的なので間隔尺度
  • 経過した長さを表す年 → 0が「経過なし」を意味するので比例尺度
検算 — 別の道すじで確かめる

定義を読み返すのではなく、禁じられた操作を試して破綻を見る

尺度水準の項目が順序尺度であることを確かめる。比例と間隔の間の隔たりと、間隔と順序の間の隔たりを比べられるか。前者は「比に意味があるか」の違い、後者は「差に意味があるか」の違いで、質的に別種であり大きさを比べようがない。差が定義できないので間隔尺度ではない。一方、比例が間隔より上位という順序は明確なので名義尺度でもない。順序尺度で正しい。

平均の下限も試す。順序尺度である震度で平均を取る。震度3と震度7の平均を5としても、それは「震度5相当の揺れ」を意味しない。震度は等間隔ではないからである。足し算が破綻するので、順序尺度では平均が定義できない。間隔尺度である摂氏温度なら、10度と20度の平均15度は物理的に意味がある。下限が間隔尺度であることが確認できた。

年の使い分けは、比を取って確かめる。西暦2000年は西暦1000年の2倍の時点か。基準を西暦から別の紀年法に変えれば比は変わるので、比に意味がない。一方、経過20年は経過10年の2倍で、これは基準の取り方によらない。単位や基準を変えても比が保たれるのは比例尺度の性質であり、後者が比例尺度であることが裏づけられる。

ここで効く一般則・学問的背景

平均が使えるのは間隔尺度から。 順序尺度に平均を当てるのが最頻出の誤りである。5段階評価の平均、順位の平均、震度の平均はいずれも意味を持たない。

「0が無を意味するか」で間隔と比例を分ける。 同じ単位でも文脈で変わる。時点は間隔、長さは比例。

単位や基準を変えて比が保たれるかで検算する。 保たれれば比例尺度、変われば間隔尺度。

分類の枠組み自体もデータとして扱える。 尺度水準に順序があるなら、それ自体が順序尺度のデータである。抽象度を一段上げて考える視点が、この設問の面白さである。

情報Ⅱでは、この判断が前処理の設計に直結する。順序尺度の項目を数値に変換して平均を取る処理は簡単に書けてしまうが、出てくる値に意味はない。計算できることと意味があることは別であり、その線引きを担うのが尺度水準の理解である。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問2 問3

情報1(2)コミュニケーションと情報デザイン / ★★★★ / 6分 / 『ゼロから始める情報I』第2章 情報デザイン

1問題 — この設問で問われていること

2つの表で、棒グラフと折れ線グラフそれぞれについて、縦軸・横軸に使える尺度水準の組み合わせが示される。そのうえで具体的なグラフ2件について、どちらの形式が適切かを判定させる。

2件目には軸の割り当てが不自然なものが含まれている。データの組み合わせ自体は自然だが、どちらを縦軸に置くかが逆になっている。表に照らして機械的に判定できるかが問われる。

2解答

1件目:ある県の人口の推移

  • 縦軸の人口 → 0が「誰もいない」を意味するので比例尺度
  • 横軸の西暦 → 0が時間の無を意味しないので間隔尺度

折れ線の表では、縦が比例・横が間隔の交点に○がある。棒グラフの表でも、縦が比例・横が間隔の交点に○がある。したがって どちらでも適切 である。

推移を見せたいなら折れ線、各年の量を比べたいなら棒グラフ、と目的で選べる状況になっている。

2件目:山の標高の比較

  • 縦軸の山の名称 → 順序も差も意味を持たないので名義尺度
  • 横軸の標高 → 比例尺度

折れ線の表では、縦軸が名義の行に○が1つもない。棒グラフの表でも、縦軸に○が付くのは比例の行だけである。どちらの表でも該当する交点に○がない。

したがって どちらも適切ではない

軸を入れ替えて名称を横軸、標高を縦軸にすれば棒グラフとして成立するが、与えられた割り当てのままでは棒を伸ばす方向に量がない

3解説(端的に)

縦軸と横軸それぞれの尺度水準を確定してから、2つの表を引く。 直感でグラフを思い浮かべると、軸の入れ替えを無意識に補ってしまう。

手順を固定する。

1. 縦軸のデータの尺度水準を判定する

2. 横軸のデータの尺度水準を判定する

3. 折れ線の表で該当する交点に○があるか見る

4. 棒グラフの表でも同じことをする

5. ○が付いた形式を答える。両方なければ「どちらも不適切」

軸を入れ替えれば適切になる場合でも、与えられた割り当てで判定する。設問はその割り当てで問うている。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

グラフの選択は好みではなく、軸に置いたデータの尺度水準によって可否が決まる

棒グラフは棒の高さで量を示す。したがって

  • 縦軸には比例尺度が必要。棒の高さが量そのものを表すので、0が「無」を意味しなければ高さの比較が成立しない
  • 横軸はどの尺度でもよい。項目を並べるだけなので、名義尺度でも順序尺度でも構わない

折れ線グラフは点を線でつないで推移を示す。したがって

  • 縦軸は間隔尺度以上。線の上下が変化量を表すので、差に意味がなければならない
  • 横軸も間隔尺度以上。隣り合う点を結ぶには、横方向の距離が等間隔でなければ傾きが意味を持たない

要点は、折れ線は両軸に間隔以上を要求するのに対し、棒グラフは縦軸だけを厳しく制限するという非対称性である。

検算 — 別の道すじで確かめる

表を引き直すのではなく、実際に描こうとして何が起きるかを考える。

2件目を折れ線で描く場合、縦軸に山の名称が並ぶ。点を線で結ぶと、線の傾きは「名称がどれだけ変化したか」を表すことになるが、名称に変化量という概念がない。線を引く操作自体が意味を持たない。

棒グラフで描く場合、棒は縦軸の向きに伸びる。縦軸が名称なので、棒の長さが名称の何かを表すことになる。名称に長さはないので、これも成立しない。

どちらも描画の操作そのものが破綻するので、表の判定と一致する。

1件目も逆から確かめる。 折れ線で描けば、隣り合う年を結んだ線の傾きが人口の増減の速さを表す。横軸の年が等間隔なので、傾きの比較にも意味がある。棒グラフで描けば、各年の人口が高さで比較できる。どちらも意味のある読み取りができるので、両方適切という判定と合う。

表の非対称性も確認する。 棒グラフの表では横軸の全4列に○が付いているのに対し、折れ線の表では横軸の左2列に○がない。これは「棒は項目を並べるだけだが、線は横方向の距離に意味を要求する」という性質を反映しており、定義と整合している。

ここで効く一般則・学問的背景

棒グラフは縦軸に比例尺度を要求し、横軸は問わない。 折れ線は両軸に間隔尺度以上を要求する。この非対称を覚える。

折れ線の横軸が等間隔でなければ、傾きが嘘をつく。 名義や順序のデータを横軸に置いた折れ線は、線の傾きに意味がないのに意味があるように見えてしまう。最も危険な誤用である。

軸の割り当てを勝手に補正しない。 入れ替えれば成立する場合でも、与えられたままで判定する。実務でも、軸を取り違えたグラフは読み手を混乱させる。

「描こうとして手が止まるか」で検算する。 棒の長さが何を表すのか、線の傾きが何を意味するのかを言葉にしてみる。言えなければそのグラフは不適切である。

情報Ⅱでは、この判断が可視化の設計原則として体系化される。データの型からグラフの候補が自動的に絞られ、その中から目的に応じて選ぶ。可視化ツールが尺度水準を推定して候補を提示するのは、この対応関係が機械的に決まるからである。選べる中から選ぶという順序を守ることが、誤解を招くグラフを避ける最も確実な方法になる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第2章 情報デザイン に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問1

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★ / 7分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

具体的な11桁の番号を例に、計算の途中式が並べられている。各項の重みの値が空欄になっており、そこへ入る数値を答えさせる。

途中式は番号を左から書いた順に並んでいる。一方、桁番号は右から数える。したがって式の並び順と桁番号の向きが逆になる。ここが最大の落とし穴で、左の項から桁番号1、2、3…と当てはめると全部ずれる。

合計値が問題文に示されているので、自分の埋めた値で検算できる。

2解答

式は左から11桁目、10桁目、…、1桁目の順に並ぶ。したがって重みは表を右から左へ読んだ並びになる。

重みが 6, 5, 4, 3, 2, 7, 6, 5, 4, 3, 2 と並ぶ。中央で7に跳ね上がり、そこから再び下がる形になる。

合計を11で割った余りは 8、11からこれを引いた 3 が検査用数字である。

3解説(端的に)

桁番号の向きを最初に確定する。 最下位が1桁目なので、11桁の番号なら最上位が11桁目である。式は左から並んでいるので、左端の項が11桁目、右端の項が1桁目に対応する。

重みの規則を表にしておく。

前半は桁番号に1を足し、後半は5を引く。7桁目で2に戻るので、重みは2から7を2周する形になる。

この表を作ってしまえば、あとは式の各項に対応する桁番号を読み、表を引くだけである。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

検査用数字(チェックディジット)は、番号の入力ミスを機械的に検出するために末尾へ付け足す1桁である。

作り方の骨格は共通している。

1. 各桁に桁ごとに異なる重みを掛ける

2. 掛けた結果をすべて足す

3. 合計をある数で割った余りから、検査用数字を決める

桁ごとに重みを変えるのが要点である。すべて同じ重みだと、桁の入れ替えを検出できない。重みが違えば、2つの桁を入れ替えたときに合計が変わるので誤りとして現れる。

本問の方式では、番号の最下位を1桁目として数え、そこから上へ向かって桁番号を振る。重みは桁番号から決まる規則で与えられ、途中で折り返す形になっている。この折り返しがあるため、重みは2から7の範囲に収まる。

最後に、合計を11で割った余りを11から引いて検査用数字とする。ただし余りが小さい場合は0とする例外が置かれている。

検算 — 別の道すじで確かめる

重みを当てはめ直すのではなく、合計が問題文の値に一致するかで確かめる。

各項を計算して足し上げると、6+10+12+12+10+42+42+40+36+3+4=217 となり、問題文に示された合計と一致する。もし桁番号の向きを取り違えていれば、重みの並びが逆になって合計は別の値になる。この一致は、向きの判断が正しかったことの決定的な証拠である。

向きを逆にした場合も試す。 左端を1桁目として重みを 2, 3, 4, 5, 6, 7, 2, 3, 4, 5, 6 と当てると、合計は 2+6+12+20+30+42+14+24+36+5+12=203 になる。示された値と合わない。逆向きが誤りであることが数値で確定する。

余りと検査用数字も確かめる。 217=11×19+8 なので余りは8。118=3 で検査用数字は3となる。余りが1以下ではないので例外規定には該当しない。

重みの表そのものも検算する。 重みの列は2から7まで上がって2へ戻り、また上がる。11桁のうち前半6桁と後半5桁で規則が切り替わるので、7が現れるのは1回だけである。求めた並びでも7は1回しか現れておらず、規則と整合している。

ここで効く一般則・学問的背景

桁番号の向きを最初に確定する。 「最下位を1桁目とする」と書かれていたら、式が左から並んでいても対応は逆になる。この確認を怠ると全項がずれる。

重みの表を先に作る。 桁ごとに規則を適用し直すより、表を1つ作って引くほうが速く、誤りも減る。

合計値が与えられていたら、それが検算になる。 途中式の空欄を埋める問題では、出題者が合計を示していることが多い。必ず足して確かめる。

重みが桁ごとに違う理由を理解する。 同じ重みでは桁の入れ替えを検出できない。重みが異なることが誤り検出能力の源である。

情報Ⅱでは、この仕組みが符号理論の入口になる。検査用数字は誤りを「検出」できるが「訂正」はできない。誤りの位置まで特定して自動的に直すには、より多くの検査桁と巧妙な設計が要る。どれだけの冗長さを加えれば、どこまでの誤りに対処できるかという問いが、そこから先の主題になる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問2

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★ / 8分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

12桁の候補が複数提示され、そのうちありえないものを選ばせる。

各候補は上位11桁と末尾1桁に分かれる。11桁から検査用数字を計算し、末尾と照合する作業を候補の数だけ繰り返す。

候補は互いによく似た並びになっており、目視では区別がつかない。必ず計算する必要がある。

2解答

各候補について計算した結果は次のとおり。

したがって 第3の候補(先頭が2で始まり末尾が6のもの)がありえない番号 である。

第3の候補だけ、計算した検査用数字4と実際の末尾6が食い違う。他の2つは一致するので、形式としては成立する。

第2と第3の候補は先頭の桁だけが違い、末尾は同じである。先頭は最も重みが大きい11桁目にあたるため、そこが1違うと合計が6変わる。合計29と27の差2は、先頭の差1に重み6を掛けた6から、他の桁の違いを差し引いた結果になっている。先頭の1桁の違いが検査用数字を変えることが、この設問の見どころである。

3解説(端的に)

重みの表を1つ作り、すべての候補で使い回す。 候補ごとに規則を適用し直すのは手間で、誤りも増える。

桁番号は最下位から数えるので、11桁の並びを右から読む。重みは前問で作った表をそのまま使う。

各候補について、次の3ステップを機械的に繰り返す。

1. 上位11桁の各桁に重みを掛けて合計する

2. 合計を11で割った余りを求める

3. 11から余りを引いた値を、末尾の桁と比べる

0の桁は計算を飛ばせるので、実際の作業量は見た目より小さい。候補にはいずれも0が多く含まれており、掛け算が必要なのは数箇所だけである。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

検査用数字が付いた番号は、自分自身で正しさを検査できる。上位の桁から検査用数字を計算し直し、実際に付いている末尾の桁と比べればよい。

  • 一致すれば ありうる番号
  • 一致しなければ ありえない番号

この検査は外部の名簿を参照しない。番号の中だけで完結するのが利点で、入力した瞬間にその場で誤りを弾ける。

注意すべきは、この検査が通ったからといって実在する番号とは限らないことである。形式として成立するかを見ているだけで、誰かに割り当てられているかは分からない。設問が「ありえないもの」を選ばせているのは、この区別を踏まえた表現である。

計算そのものは前問と同じ手順を繰り返す。候補ごとに独立に計算するので、作業量は候補の数だけ増える。

検算 — 別の道すじで確かめる

計算を繰り返すのではなく、余りの性質から確かめる。

第3の候補の合計は29である。29=11×2+7 なので余りは7、検査用数字は 117=4 となる。もし末尾が6であるためには、余りが5でなければならない。すなわち合計が11で割って5余る数、つまり27や38である必要がある。実際の合計29は、そのどちらでもない。

合計を1つずつ検算する。 第3の候補で0でない桁は4つだけである。それぞれの寄与は 1×2=21×4=41×5=51×6=6、そして先頭の 2×6=12 で、合計 2+4+5+6+12=29。数え漏らしがないことは、0でない桁の個数を数えて照合すれば確かめられる。

第2の候補との差でも裏を取る。 2つの候補は先頭の桁が1と2で異なり、下位にも1箇所違いがある。先頭の差1は重み6なので合計に6の差を生み、下位の違いが逆向きに効いて、差し引き2の差になる。27+2=29 で計算値と一致する。候補どうしを比べることで、それぞれ独立に計算した結果の整合が取れる。

例外規定の確認も忘れない。 余りが1以下の場合は検査用数字を0とする規定があるが、どの候補も余りは5以上なので該当しない。例外に入る候補がないことを確かめておけば、規定の見落としによる誤りを防げる。

ここで効く一般則・学問的背景

検査用数字は番号の内部だけで検査できる。 外部の名簿を引かずに誤りを弾けるのが最大の利点で、入力時にその場で警告を出せる。

「ありえない」と「実在しない」は違う。 検査を通っても割り当てられているとは限らない。形式の妥当性しか見ていない。

0の桁は飛ばせる。 重み付き和の計算で、0を含む桁は寄与しない。候補に0が多ければ実際の計算量はごく小さい。

候補どうしの差で検算する。 似た番号が並んでいる場合、桁の違いが合計にどう効くかを追えば、独立に計算した値の整合が確かめられる。

情報Ⅱでは、この仕組みが入力検証の設計として扱われる。利用者が番号を打ち間違えたとき、サーバへ送る前に画面上で弾けるかどうかで、システムの使い勝手も負荷も変わる。検査のロジックを利用者側に置くか、サーバ側に置くかという設計判断が、そこから先の論点になる。

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武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問3

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★★★ / 7分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

12桁のうち1桁が伏せられた番号が与えられ、そこへ入る数値を答えさせる。

末尾の検査用数字は伏せられていない。検査用数字が既知であることが、逆算を可能にしている鍵である。

伏せられた位置は上位側にあり、重みの大きい桁にあたる。重みが大きいほど、伏せ字の値が合計に強く効くので、候補が絞られやすい。

2解答

上位11桁のうち0でない桁の寄与を足すと、定数部分は 23 になる。伏せ字は上から4番目の位置にあり、下から数えて8桁目にあたるので、重みは 3 である。したがって合計は

と表せる。

検査用数字は1なので、合計を11で割った余りは 111=10 でなければならない。

231(mod11) なので、

両辺を3で割ると a3(mod11)a は0から9の1桁なので a=3 に決まる。

a を動かしたときの検査用数字の変化を並べておく。

1違うだけで検査用数字が大きく変わる。これが検査用数字の誤り検出能力の源である。

3解説(端的に)

伏せ字を文字で置き、合計を一次式で表す。 数値を当てはめて総当たりする方法もあるが、10通り試すより式を立てるほうが速く確実である。

手順を固定する。

1. 上位11桁のうち、伏せ字以外の桁について重み付きの寄与を計算し、定数部分を出す

2. 伏せ字の桁番号から重みを求め、a の係数とする

3. 検査用数字から、合計が11で割って何余るべきかを逆算する

4. 合同式を解いて a を求める

3が要点である。検査用数字は「11から余りを引いた値」なので、余り=11−検査用数字で戻せる。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

検査用数字の計算は、これまで番号から検査用数字を求める方向で使ってきた。本問はその逆で、検査用数字が分かっている状態から、伏せられた1桁を復元する

逆算が成立するのは、計算の途中に未知数が1つしか入らないからである。伏せられた桁を a と置くと、重み付き合計は

という a の一次式になる。検査用数字が与えられていれば、この合計が11で割ってどんな余りになるべきかが決まる。したがって合同式を1本立てて解けばよい

a は0から9の1桁なので、解が範囲に収まるかも確認する。

検算 — 別の道すじで確かめる

合同式を解き直すのではなく、求めた値を代入して順方向に計算する

a=3 とすると合計は 23+3×3=3232=11×2+10 なので余りは10。1110=1 となり、与えられた検査用数字1と一致する。逆算で求めた値が、順方向の計算でも成立することが確認できた。

前後の値でも試して一意性を見る。 a=2 なら合計29、余り7、検査用数字4となり一致しない。a=4 なら合計35、余り2、検査用数字9で一致しない。0から9の範囲で解は3だけであり、他に候補がないことが確かめられる。

一意性が保証される理由も押さえておく。重み3と法11は互いに素なので、a を0から10まで動かすと 3amod11 は11通りすべてを1回ずつ取る。したがって該当する a は法11の範囲でちょうど1つに決まる。重みが11の倍数であれば a が消えて逆算できなくなるが、重みは2から7の範囲なのでその心配はない。

例外規定の確認も行う。 余りが1以下の場合は検査用数字を0とする規定がある。求めた余りは10なので該当しない。もし検査用数字が0の番号を扱う場合は、余りが0か1のどちらかを特定できず、逆算の解が2つに分かれる可能性がある。今回はその場合に当たらない。

ここで効く一般則・学問的背景

伏せ字は文字で置いて合同式を立てる。 10通りを総当たりするより速い。未知数が1つなら必ず解ける。

検査用数字から余りへ戻す。 「余り=11−検査用数字」。この一手で逆算の目標値が決まる。

重みと法が互いに素なら解は一意。 逆算が成立する根拠であり、検査用数字の設計が満たすべき条件でもある。

求めた値を順方向に代入して検算する。 逆算は符号や余りの扱いを誤りやすいので、必ず元の手順で確かめる。

情報Ⅱでは、この逆算が誤り訂正の考え方につながる。誤りの位置が分かっていれば、正しい値を復元できる。本問は「伏せられた位置が分かっている」状況であり、これは消失誤りの訂正にあたる。位置が分からない誤りを訂正するにはさらに多くの検査桁が必要になる、という発展がそこから見えてくる。

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武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問3 問4

情報1(4)情報通信ネットワークとデータの活用 / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第4章 情報通信ネットワークとデータの活用

1問題 — この設問で問われていること

検査用数字を利用する目的として最も適切なものを、4つの記述から選ばせる。

選択肢には他の検査の説明が並べられている。文字種の検査、桁数の検査、範囲の検査がそれぞれ1つずつ置かれ、正解と合わせて4つになっている。

したがって設問の本体は、検査の種類を区別できているかである。検査用数字の計算方法を知っていても、何のための仕組みかを取り違えると選べない。

2解答

入力したコードの値の誤りを検知する が正答である。

各選択肢の帰属を整理する。

検査用数字が特に強いのは次の2つの誤りである。

  • 1桁の打ち間違い(ある桁を別の数字にしてしまう)
  • 隣接する2桁の入れ替え(続けて打つときに順序が逆になる)

どちらも桁数は変わらず、文字種も正しく、値も範囲に収まる。他の検査をすべて通過してしまうため、検査用数字がなければ検出できない。

3解説(端的に)

各選択肢がどの検査に対応するかを言い当てる。 対応が付いたものは、検査用数字ではないので落ちる。

  • 記号や英字の混入 → 文字種を見る検査
  • 桁数の誤り → 長さを見る検査
  • 値が範囲に収まらない → 大小を見る検査
  • 値そのものの誤り → 検査用数字

検査用数字は、上位の桁から計算した結果と末尾が食い違うかを見る。これは値の整合性の検査であり、文字種でも長さでも範囲でもない。

判断に迷ったら、その誤りが検査用数字で本当に検出できるかを考える。文字が混入していればそもそも重み付きの計算ができない。桁数が違えば重みの割り当て自体が成立しない。計算が成立する前提が崩れている誤りは、検査用数字の守備範囲ではない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

入力データの検査には種類があり、それぞれ検出できる誤りが違う。混同しやすいので、何を見ているかで整理する。

検査用数字が担うのは最後の1つである。桁数も文字種も範囲も正しいのに、値が間違っているという誤りを捕まえる。

具体的には、1桁を打ち間違える誤りと、隣り合う2桁を入れ替える誤りが主な標的である。この2つは入力ミスの大半を占めるうえ、他のどの検査でも検出できない。桁数は変わらず、文字種も変わらず、範囲にも収まってしまうからである。

桁ごとに重みを変えている理由もここにある。重みが同じなら、桁を入れ替えても合計が変わらず、入れ替えを見逃してしまう。

検算 — 別の道すじで確かめる

選択肢を読み比べるのではなく、それぞれの誤りを起こしたときに検査用数字が反応するかを確かめる。

1桁を打ち間違えた場合。 ある桁の値が変われば、その桁の重みを掛けた分だけ合計が変わる。重みは2から7の範囲で11の倍数ではないので、合計の変化が11の倍数になることはなく、余りが必ず変わる。検査用数字が食い違い、誤りが検出される。

隣接2桁を入れ替えた場合。 2つの桁の重みが違うので、入れ替えれば合計が変わる。重みが同じなら変化しないが、本問の方式では隣り合う桁の重みは必ず異なる。入れ替えも検出できる。

文字が混入した場合。 数字でない文字には重みを掛けられず、そもそも計算が始まらない。検査用数字の照合に到達する前に弾かれる。これは形式検査の役割であり、検査用数字の働きではない。

桁数が違う場合。 11桁を前提に重みが割り当てられているので、桁数が変われば対応が崩れる。計算の前提が成立しない。これも別の検査の役割である。

このように、正解とした選択肢だけが「計算が成立したうえで検出できる誤り」を述べており、他の3つは計算の前提が崩れる場面を述べている。守備範囲の切り分けが明確に確認できた。

ここで効く一般則・学問的背景

検査の種類と検出できる誤りを対応表で覚える。 形式・桁数・範囲・検査用数字。選択肢はこの4つから作られることが多い。

検査用数字は「他の検査を全部通ってしまう誤り」を捕まえる。 桁数も文字種も範囲も正しいのに値が違う、という最も気づきにくい誤りが標的である。

重みが桁ごとに違うのは、入れ替えを検出するため。 この理由を言えるかどうかで、仕組みを理解しているかが分かれる。

「計算が成立する前提」を考える。 文字混入や桁数違いは、計算そのものが始まらない。守備範囲外だと判断できる。

情報Ⅱでは、この整理がデータ検証の多層化として扱われる。実際のシステムでは、形式検査・桁数検査・検査用数字・データベースとの照合を段階的に重ねる。軽い検査から順に当てて、重い照合に到達する件数を減らすのが定石であり、検査用数字はその中間に位置する。外部を参照せずに済むという性質が、その位置づけを決めている。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第4章 情報通信ネットワークとデータの活用 に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問1

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★☆☆ / 2分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

コンピュータ内部の表現に用いる記数法の底を、選択肢から選ばせる。

選択肢には2、4、8、10、16、32が並ぶ。8進数と16進数が混ぜられているのが要点で、これらは2進数の桁数をまとめて読みやすくするための表記であって、内部での表現そのものではない。

本文には「0と1で構成される」と明示されているので、この一語で確定する。

2解答

2進数 が答えである。

記数法と使う記号の対応を整理しておく。

2進数の1桁がビットであり、n ビットで 2n 通りを表せる。この関係が、同じ大問の後続設問で扱うダイナミックレンジの計算に直結する。

3解説(端的に)

本文の記述をそのまま読む。 「0と1で構成される」と書かれている以上、使う記号は2種類である。記号が2種類なら底は2に決まる。

念のため他の選択肢を検討しておく。

  • 8進数は0から7の8種類を使う
  • 10進数は0から9の10種類
  • 16進数は0からFの16種類

いずれも0と1だけでは足りない。記号の種類数がそのまま底になるという対応で機械的に排除できる。

8進数や16進数が身近に登場するのは、2進数の桁数が多くなって読みにくいためである。3桁ずつまとめれば8進数、4桁ずつまとめれば16進数になる。あくまで人間が読むための表記であり、内部の表現方法ではない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

コンピュータの内部では、すべてのデータが0と1の2種類の記号だけで表される。2種類の記号で数を表す記数法が2進数である。

なぜ2種類なのか。電気回路で状態を区別するとき、電圧が高いか低いか電流が流れているか否かという2状態は、素子の性能がばらついても確実に判別できる。10段階の電圧を区別しようとすると、わずかな雑音で隣の段階と取り違えてしまう。2状態なら誤りに強いというのが、2進数を採用する理由である。

2進数の1桁をビットと呼ぶ。n ビットで表せる値は 2n 通りになる。「8ビットのデータを扱える」とは、8桁の2進数で表される数、すなわち256通りの値を扱えるという意味である。

この定義は、後続の設問で扱う量子化ビット数やダイナミックレンジの計算の土台になる。

検算 — 別の道すじで確かめる

底を思い出す経路とは別に、8ビットが何通りを表すかという既知の値から逆に確かめる。

8ビットで256通りを表せることはよく知られている。もし底が b なら、8桁で表せるのは b8 通りである。

256通りと一致するのは b=2 のときだけである。既知の値から底が逆算できた。

回路の側からも裏を取る。 もし内部が10進数なら、1本の信号線で10段階の電圧を区別する必要がある。電源電圧が5Vなら、各段階の間隔は0.5V程度になり、雑音や素子のばらつきで容易に隣と混同する。2段階なら間隔は数Vとれるので、多少の雑音では誤らない。誤りに強いという要請から2が選ばれるという説明とも整合する。

本文の記述との照合も行う。 「0と1で構成される」という一文は、使う記号が2種類であることを直接述べている。記号の種類数と底が一致するという定義から、底は2で確定する。

ここで効く一般則・学問的背景

記号の種類数がそのまま底になる。 0と1の2種類なら2進数。この対応を押さえれば迷わない。

8進数・16進数は人間のための表記。 内部の表現ではなく、2進数の桁をまとめて読みやすくしたものである。内部か表記かを区別する問いは頻出する。

n ビットで 2n 通り。 8ビットで256、16ビットで65536。この2つを覚えておけば、底を忘れても逆算できる。

2状態が選ばれる理由は誤りへの強さ。 段階を増やすほど判別が難しくなる。なぜそうなっているかまで言えると、応用問題でも崩れない。

情報Ⅱでは、この土台の上に情報量の定量化が乗る。1ビットは「2つに1つを選ぶ」情報量であり、n ビットあれば 2n 通りを区別できる。逆に N 通りを区別するには log2N ビットが要る。ビット数と場合の数を対数で結ぶという見方が、圧縮や符号化を理解する鍵になる。

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武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問2

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

特定の周波数の音を復元できるサンプリング周波数のうち、最小のものを選ばせる。

選択肢は4つで、いずれも音声機器で実際に使われる値が並ぶ。値は倍々に近い関係で並んでおり、条件を満たす最小のものを選ぶ形式なので、境界の判定が全てになる。

条件を満たすものは複数あるが、問われているのは最小である。条件を満たす最初の1つを見つけて止めるのが正しい読み方になる。

2解答

境界は 2×2000=4000 Hz である。選択肢を小さい順に判定する。

すべての選択肢が条件を満たすが、最小のものは11025Hz である。

実は選択肢の4つはいずれも4000Hzを大きく超えており、境界のすぐ両側に選択肢を置く作りにはなっていない。条件を満たすものが複数ある中で最小を選ぶという読み取りができるかが問われている。

参考までに、これらの値の位置づけを整理しておく。

3解説(端的に)

不等式を立ててから、選択肢を小さい順に当てる。

必要な条件は fs>2f である。記録したい周波数は2000Hzなので、

この境界値4000Hzを先に出しておけば、あとは選択肢と比べるだけで済む。各選択肢について半分を計算する方法もあるが、境界を1度出すほうが計算が1回で済む。

選択肢を小さい順に見て、4000Hzを超える最初のものを選ぶ。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

標本化定理は、アナログ信号を標本化して元に戻せる条件を与える。

本問の文中では「サンプリング周波数の半分未満の周波数までの信号であれば元に戻せる」と定義されている。記録したい信号の周波数を f、サンプリング周波数を fs とすると、

厳密な不等号である点に注意する。「以下」ではなく「未満」なので、ちょうど半分に等しい場合は含まれない。fs=2f では復元できない。

直感的な理由は、1回の振動を捉えるには山と谷で最低2回測る必要があるからである。ちょうど2回だと、測る位置によっては常に同じ値を拾ってしまい波が消える。だから2倍より大きくなければならない。

検算 — 別の道すじで確かめる

不等式を立て直すのではなく、最小とした値の1つ下がないかを確かめる。

選択肢の中で11025Hzより小さいものは存在しない。したがって、条件を満たすかどうかを確かめれば足りる。11025の半分は5512.5Hzで、記録したい2000Hzはこれを下回る。条件を満たす。

仮に境界付近の値があったらどうなるかも考えておく。もし4000Hzという選択肢があれば、半分はちょうど2000Hzとなり「未満」の条件を満たさないので不可となる。4001Hzなら半分が2000.5Hzで、2000Hzはこれを下回るので可となる。等号を含むかどうかで結論が変わるので、定義文の「未満」を読み落とせない。

逆向きでも確かめる。 11025Hzで標本化した場合、復元できるのは5512.5Hz未満の成分である。2000Hzの音はこの範囲に十分収まっており、余裕がある。もし記録したい音が6000Hzなら11025Hzでは足りず、22050Hzが必要になる。記録したい周波数を変えたときに答えが変わることを確認すれば、判定の仕組みが正しく効いていると分かる。

ここで効く一般則・学問的背景

標本化定理は fs>2f 記録したい周波数の2倍より大きいサンプリング周波数が要る。境界を先に計算してから選択肢に当てる。

「未満」か「以下」かを必ず確認する。 定義文の一語で境界の扱いが変わる。出題者が境界上に選択肢を置いてきたら、そこが分岐点になる。

「最小のもの」を問われたら、条件を満たすものが複数あることを前提に読む。 条件を満たす1つを見つけて満足せず、それより小さい候補がないかを確かめる。

44.1kHzという値の由来を押さえる。 可聴域の上限約20kHzを覆うには40kHz超が必要で、余裕を見た値が採用された。標本化定理から実際の規格が決まっているという実例である。

情報Ⅱでは、この定理の裏返しとして折り返し雑音が扱われる。サンプリング周波数の半分を超える成分が混じっていると、それが低い周波数の偽の信号として現れ、元になかった音が聞こえる。これを防ぐため、標本化の前段で高い成分を除くフィルタを入れる。定理は「何が記録できるか」だけでなく「何を先に捨てるべきか」も規定している。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問3

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★★ / 5分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

「ある大きさの音を最大として音割れなく記録でき、かつ最小の音も記録できる」という条件で、必要な最小のビット数を選ばせる。

条件が2つ並んでいるが、実質は1つである。最小の音が0dBと定められているので、記録すべき範囲の幅は、最大とする音の大きさそのものになる。

選択肢は偶数のビット数が並ぶ。必要な値がちょうど選択肢の値になるとは限らず、それ以上の最小の選択肢を選ぶ形になる。

2解答

最大とする音は大声の会話で、最小の音との差は80dBである。最小の音は0dBなので、記録すべき範囲の幅は

必要なビット数を n とすると、

n は整数なので切り上げて n=14。選択肢の中に14があるので、14ビット が答えである。

境界の両側を確認する。

12ビットでは72dBしか表現できず、80dBの音は上限を超えて音割れする。14ビットなら84dBまで表現でき、80dBが収まる。

3解説(端的に)

必要な幅を出し、それを6で割ってビット数の下限を求める。

手順は3つである。

1. 記録すべき範囲の幅を求める(最大の音 − 最小の音)

2. 幅を6で割り、必要なビット数を求める

3. 端数が出たら切り上げる

3が要点である。ビット数は整数なので、割り切れなければ切り上げる。切り捨てると必要な幅に届かず、音割れが起きる。

「最小のビット数」を問われているので、条件を満たす中で最も小さい選択肢を選ぶ。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

音の大きさを表すデシベルは相対的な単位である。基準となる音との差を表すので、「何dBの音」という言い方は基準を決めて初めて意味を持つ。

本問では、人間が聞こえる最小の音を0dBとし、そこからの差で各種の音の大きさを定めている。会話の大きさは、ささやき声から大声まで20dB刻みで並ぶ。

一方、デジタル信号が表現できる最小の音と最大の音の差は、量子化ビット数で決まる。本問の定義では

となる。1ビット増えるごとに6dB広がる、という関係である。8ビットで48dB、16ビットで96dBという値がこの式と一致する。

表現できる差を超える音を記録しようとすると音割れが起きる。 したがって、記録したい音の範囲がすべて収まるだけのビット数が必要になる。

検算 — 別の道すじで確かめる

割り算をやり直すのではなく、候補を代入して両側で条件が切り替わるかを確かめる。

14ビットのとき表現できる差は 6×14=84 dB。記録したい80dBはこれを下回るので、音割れは起きない。条件を満たす。

12ビットのとき表現できる差は 6×12=72 dB。記録したい80dBはこれを上回るので、上端が切り捨てられて音割れが起きる。条件を満たさない。

満たす最小が14、その1つ下の選択肢12で破れているので、境界がここにあると確定する。

与えられた値でも検算する。 定義では8ビットが48dB、16ビットが96dBとされている。6×8=486×16=96 でどちらも一致する。式が問題文の値と整合していることが確かめられ、6を掛けるという方針が正しいと分かる。

切り捨てた場合も試す。 80÷6=13.33 を切り捨てて13とすると、表現できる差は78dBとなり80dBに2dB足りない。上端の音が割れてしまう。切り上げでなければならない理由が数値で示せる。

なお選択肢に13が無く14が用意されているのは、13.33を切り上げた13ではなく、選択肢の中で条件を満たす最小を選ばせるためである。計算値と選択肢が一致しない場合の扱いも問われている。

ここで効く一般則・学問的背景

必要な幅 ÷ 6 を切り上げてビット数を出す。 1ビット=6dBの関係は暗記事項である。8ビット48dB、16ビット96dBを起点に覚えると確実になる。

容量を求める問題での端数は必ず切り上げ。 収まりきらなければ意味がないので、切り捨ては誤りになる。「最大何個入るか」を問う問題では逆に切り捨てになるので、どちら向きの問いかを見極める

境界の両側を代入して確かめる。 求めた値とその1つ下で条件が切り替わることを見れば、切り上げ・切り捨ての判断ミスが構造的に潰せる。

問題文が与えた具体値で式を検算する。 8ビットと16ビットの値が示されているのは、解答者が式を確かめられるようにするためである。

情報Ⅱでは、この話が録音の実務につながる。楽器の演奏は静かな部分と大きな部分の差が大きく、16ビットでは足りない場面がある。24ビットで録音して編集し、最終的に16ビットへ落とす、という工程が取られるのはこのためである。途中の計算で精度を落とさないという考え方は、数値計算全般に通じる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

武蔵野大学 一般選抜A日程(2/4)2026 大問4 問4

情報1(3)コンピュータとプログラミング / ★★☆ / 4分 / 『ゼロから始める情報I』第3章 コンピュータとプログラミング

1問題 — この設問で問われていること

解像度に関する4つの記述から、適切でないものを1つ選ばせる。

3つは正しい記述で、解像度を下げる方法、上げる方法、そして記録できる細かさの限界を述べている。残る1つに、用語の向きを逆にした記述が仕込まれている。

「適切でないものを選ぶ」形式なので、3つが正しいと確認できれば残りが答えになる。逆に、1つだけおかしいものを見つけて即答することもできる。

2解答

「解像度を下げると画素が小さくなり鮮明な画像になる」という記述が適切でない。

正しくは、解像度を下げると画素の数が減り、1画素が受け持つ範囲が広がって、粗い画像になる。

各記述の判定を整理する。

用語の対応を表にしておく。

3解説(端的に)

「解像度を下げる」と「画素が小さくなる」が両立するかを検査する。

各記述について、解像度の変化と画素の大きさ・鮮明さの対応が正しいかを確かめる。

  • 複数の画素を平均してまとめる → 画素数が減る → 解像度が下がる。整合する
  • 増える画素を周囲から計算する → 画素数が増える → 解像度が上がる。整合する
  • 画素より小さい模様は記録できない → 1画素が最小単位なので当然。整合する
  • 解像度を下げると画素が小さくなり鮮明になる → 向きが2箇所とも逆

最後の記述は、解像度を下げれば画素は大きくなり、絵は粗くなる。下がる・小さくなる・鮮明という3語の組み合わせが成立しない。

4 さらに深掘りするなら(使う道具・検算・学問的背景)
この設問で使う道具

デジタル画像は、色の情報を格子状のマス目に並べたものである。このマス目を画素、画素の数を解像度と呼ぶ。

ここで用語の向きを正確に押さえる。

  • 解像度を上げる → 画素の数が増える → 1画素が受け持つ範囲が狭くなる → 細かく写る
  • 解像度を下げる → 画素の数が減る → 1画素が受け持つ範囲が広くなる → 粗くなる

「画素が小さくなる」という表現は、同じ大きさの絵を細かく分けるという意味なので、解像度を上げたときに起きる。下げたときに起きることではない。ここが取り違えの温床になる。

解像度の変換についても押さえる。下げる方向は、複数の画素をまとめて1つにするので情報を捨てるだけでよい。上げる方向は、増える画素の値をどこかから作らねばならず、周囲の画素から計算して補う。この補間で新しい情報が生まれるわけではないので、元になかった細部が復活することはない

検算 — 別の道すじで確かめる

記述を読み比べるのではなく、極端な値を入れて何が起きるかを確かめる。

解像度を極端に下げ、画像全体を4つの画素で表したとする。1画素が画像の4分の1を受け持つので、それぞれが巨大な色の塊になる。細部は完全に失われ、何が写っているかも分からない。鮮明になるどころか、最も粗い状態になる。 誤りの記述と正反対の結果である。

逆に解像度を極端に上げれば、1画素が受け持つ範囲は微小になり、細部まで写る。「小さくなる」のは解像度を上げたときの画素であり、記述は向きを取り違えている。

残る3つが正しいことも独立に確認する。 平均してまとめる操作は、4つの画素を1つにすれば画素数が4分の1になり、確かに解像度が下がる。周囲から計算して補う操作は、間に新しい画素を挟むので画素数が増える。画素より小さい模様については、1つの画素が単一の色しか持てない以上、その内部の変化は表現しようがない。3つとも成立する。

拡大の限界についても裏を取る。 補間で画素を増やしても、値は周囲から計算した推測値である。元の撮影時に記録されなかった細部が現れることはない。したがって拡大表示の鮮明さには限界があるという記述は正しく、これと矛盾する選択肢が誤りだと分かる。

ここで効く一般則・学問的背景

解像度・画素数・画素の大きさ・鮮明さの向きを一括で覚える。 解像度が上がる=画素数が増える=1画素の受け持つ範囲が狭い=鮮明。この4つは常に連動する。

「適切でないもの」を選ぶ設問では、向きを逆にした記述を探す。 用語の対応関係を反転させるのが、この形式の定番の作り方である。

極端な値を入れて確かめる。 画素4つの画像を想像すれば、粗くなることは一目瞭然である。抽象的に考えるより速い。

補間は情報を増やさない。 拡大しても元になかった細部は出てこない。この原則は画像だけでなく、データ全般に通じる。

情報Ⅱでは、この話が標本化の一般論として整理される。音声を時間方向に標本化するのと、画像を空間方向に標本化するのは同じ操作である。画素より小さい模様が記録できないのは、標本化の間隔より細かい変化が失われるということであり、音声で高い音が失われるのと同じ現象にあたる。次元が違っても原理は共通という視点が、そこで得られる。

📕 『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA) 第3章 コンピュータとプログラミング に対応します。この設問でつまずいたら,まず該当章を読み直してください。

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この解説は、オンライン数学専門塾数強塾の情報科目専門塾「情報ラボ」が制作しています。監修は藤原進之介(株式会社数強塾 代表取締役/『藤原進之介の ゼロから始める情報I』KADOKAWA 著者)。共通テスト「情報Ⅰ」で得点するための解き方を、方針・解答・独立した検算・一般則の順で示しています。

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