武蔵野大学全学部統一選抜2026年度の「情報」から、全12問の解答解説を掲載します。いずれも設問の構造・方針・解答・独立した検算まで示しています。問題文そのものは掲載していませんので、大学公表の問題と併せてご利用ください。
このページの内容
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問1
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問2
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問3
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問4
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問5
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問6
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(初期パラメータ表の完成)
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(初期方策の計算)
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(行動回数の集計)
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(方策パラメータの更新)
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(移動処理の穴埋め)
- 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(総ステップ数)
問1 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問1
まず自分で解いてみる
10個の空欄が、3つの軸の説明文にまたがって配置されている。同じ記号が複数の軸の説明に登場するため、1つの空欄を確定させると他の軸での位置づけも決まる。
選択肢には型の名称(マスコミ、逆マスコミ、同期、非同期)と、具体的な媒体・行為(テレビ、新聞、食事会、ビデオ会議、アンケート、SNS)が混在している。名称を答える空欄と具体例を答える空欄が入り混じっていることに注意する。
ヒント:この設問で使う道具
コミュニケーションは、3つの独立した軸で分類される。軸が独立しているとは、片方の値からもう片方が決まらないという意味である。
軸1:発信者と受信者の人数
| 型 | 構成 | 例 |
|---|---|---|
| 個別型 | 1対1 | 電話、対面の会話 |
| マスコミ型 | 1対多 | テレビ、新聞 |
| 逆マスコミ型 | 多対1 | アンケート、投票 |
| 会議型 | 多対多 | 会議、SNS |
軸2:位置関係 — 直接(対面)か間接(離れている)か。
軸3:同期性 — すぐ反応が返る同期型か、相手がいつ受け取るか分からない非同期型か。
この3軸が独立していることが要点である。たとえばテレビは「マスコミ型・間接・同期」、新聞は「マスコミ型・間接・非同期」で、同じ人数構成でも同期性が違う。ここを取り違えると芋づる式に崩れる。
解答・解説を開く
🧭 方針
型の名称から先に埋める。 定義文がそのまま与えられているので迷いがない。1対多はマスコミ型、多対1は逆マスコミ型、すぐ反応が返るのが同期型、いつ受信したか分からないのが非同期型。
次に制約が最も強い空欄を探す。「2人で行く」と「友人4〜5人で行く」の両方で使われている空欄は、人数によって型が変わる行為でなければならない。会食のような行為がこれにあたる。
残りは複数の軸を突き合わせて絞る。ある空欄が「マスコミ型」かつ「間接」かつ「同期」なら、条件を全部満たすものは1つに決まる。1つの軸だけで決めようとすると候補が2つ残るように作られている。
✍️ 解答
各空欄と、それが満たす条件を整理する。
| 空欄 | 答え | 決め手 |
|---|---|---|
| 1対多の型名 | マスコミ | 定義そのまま |
| 多対1の型名 | 逆マスコミ | 定義そのまま |
| マスコミ型・間接・同期 | テレビ | 同期である点で新聞と分岐 |
| マスコミ型・間接・非同期 | 新聞 | 非同期である点でテレビと分岐 |
| 人数で型が変わる・直接・同期 | 食事会 | 2人なら個別型、複数なら会議型 |
| 会議型・間接・非同期のSNS | X(旧Twitter) | SNSという限定 |
| 逆マスコミ型・研究や調査 | アンケート | 多数から1つへ集まる |
| すぐ反応がある型名 | 同期 | 定義そのまま |
| 受信時期が不明な型名 | 非同期 | 定義そのまま |
| 間接かつ同期 | ビデオ会議 | 離れていて即応 |
テレビと新聞はどちらもマスコミ型で間接だが、同期性で分かれる。放送は流れている時に見るので同期、新聞は読み手の都合で読むので非同期である。
最後の空欄は「間接かつ同期」という組み合わせで、対面せずに即座にやり取りする手段を指す。近年広まったという記述とも合う。
✅ 検算
割り当てを見直すのではなく、3軸すべての表を作り、矛盾する組がないかを確かめる。
| 項目 | 人数 | 位置 | 同期性 |
|---|---|---|---|
| テレビ | マスコミ型 | 間接 | 同期 |
| 新聞 | マスコミ型 | 間接 | 非同期 |
| 食事会(2人) | 個別型 | 直接 | 同期 |
| 食事会(4〜5人) | 会議型 | 直接 | 同期 |
| X | 会議型 | 間接 | 非同期 |
| アンケート | 逆マスコミ型 | 間接 | 非同期 |
| ビデオ会議 | 会議型 | 間接 | 同期 |
本文の各記述と突き合わせる。「マスコミ型の例」に挙げられた2つはどちらもマスコミ型欄がマスコミ型で一致。「直接コミュニケーション」に挙げられたものは位置が直接で一致。「同期型」に挙げられた2つは同期性が同期で一致。「非同期型」に挙げられた2つは非同期で一致。すべての記述が表と矛盾しない。
入れ替えを試して破綻を確認する。 テレビと新聞を逆にすると、非同期型の例に「テレビ」が入ることになる。放送は流れている時にしか見られないので、これは同期性の定義と食い違う。逆向きでも成立しないことが確かめられ、割り当てが一意であると分かる。
💡 ここで効く一般則
分類の軸は独立していると仮定して、軸ごとに表を作る。 人数・位置・同期性の3列を作り、候補を全部埋めてから照合する。頭の中だけで対応させると、2軸目で必ず混乱する。
同じ空欄が複数の軸で言及されていたら、そこが最も情報量が多い。 制約が重なる空欄から埋めれば、候補が一意に絞れる。
テレビと新聞、電話と手紙のように「同じ人数構成で同期性が違う対」を押さえる。 この対比が設問の中心になることが多い。
情報Ⅱでは、この分類が情報デザインの設計指針として使われる。伝えたい内容と相手の人数、即応性の要否からメディアを選ぶ。同期型は相手の時間を拘束する代わりに認識のずれをその場で修正でき、非同期型は相手の都合を尊重する代わりに誤解が残りやすい。どちらが優れているかではなく、目的に応じた使い分けが問われるようになる。
問2 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問2
まず自分で解いてみる
サンプリング周波数を高くする/低くすると何が変わるかを、4つの記述から選ばせる。
選択肢は2×2の総当たりで作られている。「高くする/低くする」と「高い音/大きい音」の組み合わせで、正しいものは1つだけである。つまり軸の対応を取り違えると、必ず用意された誤答に着地する。
ヒント:この設問で使う道具
音の性質と、デジタル化の設定値との対応を正確に押さえる。混同が起きやすいのは、音の「高さ」と「大きさ」がまったく別の物理量だという点である。
- 高さ(音程)=波の振動数で決まる。1秒あたりの振動が多いほど高い音
- 大きさ(音量)=波の振幅で決まる。振れ幅が大きいほど大きい音
デジタル化の2つの設定値は、この2つに別々に対応する。
- サンプリング周波数は横軸(時間)方向の細かさ → 高さの再現範囲を決める
- 量子化ビット数は縦軸(振幅)方向の細かさ → 大きさの再現精度を決める
サンプリング周波数について、標本化定理が成り立つ。記録できる音の最高の振動数は、サンプリング周波数の半分までである。1回の振動を捉えるには山と谷で最低2回測る必要がある、と考えれば直感的に納得できる。
解答・解説を開く
🧭 方針
まず「どちらの軸の話か」を決める。 サンプリング周波数は時間方向の細かさなので、関係するのは音の高さである。音の大きさに言及した選択肢は、この時点ですべて落ちる。
次に向きを決める。 細かく測るほど速い振動を捉えられるので、サンプリング周波数を高くすれば高い音まで記録できる。逆に低くすれば、高い音が失われる。
この2段階で一意に定まる。軸で半分、向きで半分を落とす構造になっている。
✍️ 解答
正しいのは、サンプリング周波数を高くするとより高い音を記録できるようになるという記述である。
各選択肢の誤りを整理する。
| 記述の型 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 低くすると小さい音を記録できる | 誤り | 軸が違う(大きさは量子化ビット数の担当) |
| 高くすると高い音を記録できる | 正しい | 標本化定理どおり |
| 高くすると大きい音を記録できる | 誤り | 軸が違う |
| 低くすると低い音を記録できる | 誤り | 向きが逆。低くしても低音の記録能力は上がらない |
4つ目は特に紛らわしい。「低くする→低い音」と語感が揃っているが、サンプリング周波数を下げても低い音の再現が良くなるわけではない。下がるのは記録できる上限だけで、低音側は元から記録できている。
✅ 検算
定義を読み直すのではなく、具体的な数値を入れて限界を計算する。
サンプリング周波数44100Hzの場合、標本化定理より記録できる上限は
人間の可聴域の上限がおよそ20000Hzなので、この設定は可聴域全体をちょうど覆う。CDのサンプリング周波数が44.1kHzに決められたのは、この上限を確保するためであり、設定値と再現できる音の高さが直結していることの実例になっている。
逆向きでも確かめる。 サンプリング周波数を8000Hzに落とすと上限は4000Hzになる。電話の音声がこの程度で、声は聞き取れるが楽器の高音や子音の鋭さが失われる。実際に「高い音が失われる」という現象が起き、選択肢の主張と一致する。
軸の取り違えを試す。 もしサンプリング周波数が音の大きさを決めるなら、周波数を変えたときに音量が変わるはずである。しかし実際には、周波数を落として起きるのは音のこもりであって音量の低下ではない。この観察からも、担当する軸が高さであることが確認できる。
💡 ここで効く一般則
サンプリング周波数は横軸=時間=音の高さ、量子化ビット数は縦軸=振幅=音の大きさ。 この対応を図で覚える。波形のグラフを思い浮かべ、横に細かく切るのがサンプリング、縦に細かく刻むのが量子化、と結びつける。
記録できる最高の音は、サンプリング周波数の半分。 標本化定理。この一文を覚えていれば、具体的な数値を問われても答えられる。
選択肢が2×2で作られていたら、まず軸で半分を落とす。 「高い音」と「大きい音」のどちらの話かを見極めれば、検討対象は2つに減る。
語感が揃っている選択肢を警戒する。 「低くする→低い音」のような対句は、読み手の直感に訴えるために用意された誤答であることが多い。
情報Ⅱでは、この話がサンプリング定理と折り返し雑音へ進む。サンプリング周波数の半分を超える成分が含まれていると、それが低い周波数の偽の音として現れる。これを防ぐため、デジタル化の前段で高い成分を除くフィルタをかける。設定値を決めることは、何を捨てるかを決めることでもある、という視点がそこで加わる。
問3 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問3
まず自分で解いてみる
量子化ビット数とデジタル音声の特性の関係を、4つの記述から選ばせる。
選択肢は向きを反転させたものと、影響を否定するもので構成されている。多い場合と少ない場合の両方が並び、さらに「まったく影響しない」という極端な記述も置かれている。
「アナログ音声に近づける」という表現を使った選択肢もあり、忠実度と段階数の関係を正しく理解しているかも同時に問われる。
ヒント:この設問で使う道具
量子化ビット数は、波の高さ(振幅)を何段階で表すかを決める。 ビットなら 段階になる。
- 4ビット → 16段階
- 8ビット → 256段階
- 16ビット → 65536段階
段階が細かくなると何が良くなるのか。ここが問われる。目盛りが細かいほど、元のアナログ波形との差(量子化誤差)が小さくなる。この誤差は再生時に雑音として聞こえるので、ビット数を増やすと雑音が小さくなる。
言い換えると、記録できる最も小さい音と最も大きい音の幅が広がる。最大の音の大きさは目盛りの上限で決まり、最小の音は1目盛り分の大きさで決まる。目盛りを細かくすれば、上限を保ったまま最小単位が小さくなるので、両者の比が大きくなる。この比をダイナミックレンジと呼ぶ。
解答・解説を開く
🧭 方針
段階数が増えたら何が起きるかを、極端な例で考える。
ビット数を極端に減らして1ビット(2段階)にした場合を想像する。波の高さは「上」か「下」かの2通りにしか表せない。元の波形とはかけ離れ、再生音は原形をとどめない。逆にビット数を増やせば目盛りが細かくなり、元の波形に近づく。
したがって「少ないほうがアナログに近い」「まったく影響しない」という記述は、この思考実験だけで落ちる。
残るのは向きの判断である。目盛りが細かい=最小単位が小さい=表現できる幅が広いという連鎖を追えば、多いほうが幅を大きくできると分かる。
✍️ 解答
正しいのは、量子化ビット数がより多ければ、記録できる最も小さい音と最も大きい音の差をより大きくすることができるという記述である。
各選択肢の判定は次のとおり。
| 記述の型 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 多ければ幅を大きくできる | 正しい | 目盛りが細かくなり最小単位が小さくなる |
| 少なければ幅を大きくできる | 誤り | 向きが逆 |
| 少なくするとアナログに近づく | 誤り | 段階が粗くなり誤差が増える |
| 忠実度にまったく影響しない | 誤り | 量子化誤差の大きさを直接左右する |
ビット数と段階数、そして表現できる幅の関係を並べておく。
| 量子化ビット数 | 段階数 | ダイナミックレンジの目安 |
|---|---|---|
| 4 | 16 | 約24dB |
| 8 | 256 | 約48dB |
| 16 | 65536 | 約96dB |
1ビット増えるごとに約6dB広がる。 段階数が2倍になり、最小単位が半分になるためである。
✅ 検算
説明を読み直すのではなく、具体的な段階数で最小単位を計算して比べる。
表現できる音の大きさの上限を1として、目盛りを等間隔に刻む。
- 4ビットなら16段階なので、1目盛りの大きさは
- 16ビットなら65536段階なので、1目盛りは
上限はどちらも1で変わらないが、表現できる最小の値が約4000分の1になっている。最大と最小の比は、4ビットで16、16ビットで65536。ビット数が多いほうが圧倒的に広い。数値の上でも、多いほうが幅を大きくできることが確認できた。
アナログとの差でも確かめる。 ある時点の実際の波の高さが0.7だったとする。4ビットでは最も近い目盛りが0.6875か0.75で、誤差は最大0.03程度になる。16ビットなら誤差は0.00001程度に収まる。段階が多いほど元の値に近いので、「少ないほうがアナログに近い」という記述が誤りであることも同時に示せる。
「影響しない」の反例も明示できる。 上の計算で、ビット数によって誤差の大きさが3桁以上変わっている。影響がないという主張は成り立たない。
💡 ここで効く一般則
量子化ビット数 → 段階数 → 最小単位は 。 この連鎖を1本で覚える。段階数だけでなく「最小単位がどれだけ小さくなるか」まで押さえると、幅の話に直結する。
1ビット増えるとダイナミックレンジは約6dB広がる。 16ビットで約96dBという値は、CDの音質を語るときの基準になる。
極端な値を入れて考える。 1ビットにしたらどうなるかを想像すれば、向きの判断は迷わない。選択肢の向きを反転させた誤答は、この思考実験で必ず落ちる。
「まったく影響しない」という選択肢は、ほぼ常に誤り。 設定値として存在する以上、何かに影響している。
情報Ⅱでは、この話が非可逆圧縮の設計につながる。人間の聴覚は大きな音の直後の小さな音を聞き取れない(マスキング)ため、そこには細かい目盛りを割り当てなくてよい。一律に細かくするのではなく、聞こえる部分に精度を集中させるという発想が、MP3などの方式の中核になっている。
問4 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問4
まず自分で解いてみる
秒数・サンプリング周波数・量子化ビット数・チャンネル数がすべて与えられ、データ量を選択肢から選ばせる。
選択肢は倍数関係で並んでいるのが特徴である。正解に対して、チャンネル数を掛け忘れた値、秒数を掛け忘れた値といった、特定の因子を1つ落とした値が用意されている。したがって、どの因子を落としたかで誤答先が決まる。
ヒント:この設問で使う道具
PCM方式で記録した音声のデータ量は、4つの量の単純な積で決まる。
それぞれの意味を単位付きで押さえる。
- サンプリング周波数[回/秒]=1秒間に波の高さを測る回数
- 量子化ビット数[ビット/回]=1回の測定値を何ビットで表すか
- チャンネル数=独立に記録する系統の数(ステレオなら2)
- 秒数[秒]
単位を並べると となり、掛け算だけで答えの単位に到達する。どれか一つでも掛け忘れれば単位が合わなくなるので、単位を書きながら進めれば抜けに気づける。
解答・解説を開く
🧭 方針
単位を書きながら順に掛ける。 途中で暗算に切り替えず、因子を1つずつ確実に処理する。
1. 1チャンネル1秒あたり:サンプリング周波数 × 量子化ビット数
2. ステレオ分:× チャンネル数
3. 全体:× 秒数
この順なら、各段階の値が意味を持つ(1秒あたりのビットレート、など)ので、途中でおかしな桁になれば気づける。
計算そのものは大きな数の掛け算になるが、4桁×2桁を2回に分けて処理すれば手計算でも収まる。
✍️ 解答
与えられた値は、サンプリング周波数44100Hz、量子化ビット数16ビット、2チャンネル、10秒である。
1チャンネル1秒あたり
2チャンネル分
10秒分
したがって 14112000ビット。
因子を落とした場合にどの選択肢へ着地するかも見ておく。
| 落とした因子 | 得られる値 |
|---|---|
| なし(正解) | 14112000 |
| 秒数(10)を忘れる | 1411200 |
| チャンネル数と秒数を忘れる | 705600 |
選択肢には、正解の10分の1にあたる値が実際に置かれている。 秒数の掛け忘れを狙った配置である。
✅ 検算
同じ掛け算を繰り返しても同じ抜けを繰り返すので、掛ける順序を変えた独立な経路で確かめる。
先に秒数とチャンネル数を処理する。
同じ値に到達した。この経路では「総サンプル数」という意味のある中間値が現れるので、それ自体も妥当性を判断できる。10秒で約88万回の測定というのは、毎秒4万4千回を2系統で10秒行った結果として自然である。
桁の概算でも確かめる。 サンプリング周波数は約4.4万、これに16を掛けると約70万、2チャンネルで約140万、10秒で約1400万。得られた1411万2千はこの見積もりと一致する。桁が1つずれていれば概算で即座に気づける。
バイト換算でも整合を見る。 14112000ビットを8で割ると1764000バイト、すなわち約1.76MB。CD音質の音声が1秒あたり約176KBという広く知られた値と一致する。10秒でその10倍になっており、実感とも合う。
💡 ここで効く一般則
PCMのデータ量は4因子の積。単位を書きながら掛ける。 サンプリング周波数・量子化ビット数・チャンネル数・秒数のどれか1つを落とすのが典型的な誤りで、選択肢はその落とし方に対応して用意されている。
選択肢が倍数関係で並んでいたら、因子の掛け忘れを狙っている。 正解の2倍、10倍、20倍といった値が並んでいれば、どの因子を落とすとその値になるかを逆算できる。
掛ける順序を変えて検算する。 同じ順序で再計算しても抜けは見つからない。順序を変えれば、抜けた因子がどこかで顔を出す。
CD音質=44.1kHz・16ビット・2ch=毎秒約1.4Mビット は覚えておくと概算が速い。
情報Ⅱではこの計算が圧縮の必要性の議論につながる。非圧縮では3分の曲で約30MBになり、配信にも保存にも重い。人間の聴覚が感知しにくい成分を削る非可逆圧縮によって10分の1程度まで落とせる。元のデータ量を計算できることが、圧縮率の意味を理解する前提になっている。
問5 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問5
まず自分で解いてみる
具体的な標本化の条件が与えられたうえで、4種類の音声のうちランレングス法で最も効率よく圧縮できるものを選ばせる。
選択肢には、複雑な楽曲、単一の楽器の音、無音、といった「単調さ」の度合いが異なるものが並ぶ。ここで「単調な音=圧縮しやすい」と短絡すると、一定の高さの楽器音を選んでしまう。
なお、与えられた標本化の条件(サンプリング周波数・量子化ビット数・秒数)は答えの選択には使わない。データ量を計算させる設問との違いに注意する。
ヒント:この設問で使う道具
ランレングス法は、同じ値が連続する箇所を「値と連続回数の組」に置き換える可逆圧縮である。
たとえば同じ値が100個続く区間は、「その値」と「100」の2つの情報で表せる。元が100個分だったものが2個分になるので、大幅に縮む。
この方式の性質は単純である。
- 同じ値が長く続くほど、よく縮む
- 値が毎回変わると、まったく縮まない(むしろ回数の情報が増えて膨らむ)
したがってランレングス法が最も効くのは、データが一定である場合である。音声データで言えば、波形が変化しない状態、すなわち無音がこれにあたる。
注意すべきは、音として単調であることと、データとして一定であることは違うという点である。同じ高さの音が鳴り続けていても、波形は上下に振動しているので、標本化して得られる数値は毎回変わる。音が単調でも値は一定にならない。
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🧭 方針
「標本化した結果、同じ数値が並ぶのはどれか」だけを考える。 音の印象ではなく、数値の列を思い浮かべる。
各選択肢について、波形を標本化したときの数値列がどうなるかを想像する。
- 複雑な楽曲 → 波形が激しく変化し、数値は毎回変わる
- 単一の高さの楽器音 → 一定の周期で振動するので、数値は上下を繰り返す。同じ値は連続しない
- 無音 → 振動がないので、波形は一定。数値がずっと同じ
無音だけが「同じ値の連続」を生む。したがって、これが最もよく縮む。
✍️ 解答
5秒間ずっと完全な無音 が正答である。
各選択肢の数値列の様子を整理する。
| 音声 | 標本化した数値の様子 | ランレングス法の効き |
|---|---|---|
| 複雑な楽曲(アニメソング) | 毎回大きく変化 | ほぼ効かない |
| 複数の音が重なる曲(ギター) | 毎回変化 | ほぼ効かない |
| 完全な無音 | ずっと同じ値 | 最大限に効く |
| 一定の高さのピアノの音 | 周期的に上下し、値は変化し続ける | ほとんど効かない |
無音の場合、5秒間の全標本が同じ値になる。したがって「その値」と「標本の総数」の2つで表せてしまう。
一定の高さのピアノの音が最も紛らわしい。「一定」という語に引きずられるが、一定なのは音の高さであって、波形の振幅は絶えず上下している。標本化すれば数値は毎回変わるので、同じ値の連続はほとんど生じない。
✅ 検算
選択肢を読み比べるのではなく、実際の標本数を計算して圧縮後の大きさを見積もる。
与えられた条件では、標本の総数は
無音であれば、この40000個すべてが同じ値である。ランレングス法では「値」と「40000」の2つの情報で表せるので、40000分の1に近い圧縮率になる。
一定の高さの音の場合と比べる。 仮に440Hzの音なら、1秒間に440回振動する。1回の振動の中で波形は上昇と下降を繰り返すので、標本化した値は連続しない。1回の振動あたりの標本数は 個で、その18個はすべて異なる値になる。同じ値が2個以上続くことはほぼ起きないため、ランレングス法では縮まない。
この比較から、無音とそれ以外では圧縮率が桁違いであることが数値の上で確認できる。
方式の性質からも裏を取る。 ランレングス法が縮めるのは「連続する同一値」だけである。音の複雑さや単調さではなく、値の連続性だけが効く。無音以外の3つはいずれも値が変化し続けるので、この基準では横並びで縮まない。選択肢が1つだけ質的に異なるという構造も、答えが無音であることを支持する。
💡 ここで効く一般則
ランレングス法は「同じ値の連続」だけに効く。 音の単調さ、絵の地味さといった印象ではなく、データの値が繰り返すかどうかで判断する。
「一定の高さの音」は値が一定ではない。 高さが一定でも波形は振動している。音の性質とデータの性質を切り分けることが、この設問の核心である。
画像なら白地の背景、音声なら無音が、ランレングス法の得意分野。 逆に写真やノイズはまったく縮まない。方式ごとに得意なデータの型があるという理解が要る。
問題文の数値がすべて答えに使われるとは限らない。 本問の標本化条件は、圧縮率を実感するための材料であって、選択には不要である。与えられた数値を全部使おうとすると迷う。
情報Ⅱでは、この話が圧縮方式の選択として整理される。ランレングス法、辞書式(同じパターンの位置を記録する方式)、エントロピー符号化(頻出パターンに短い符号を割り当てる方式)は、それぞれ得意なデータの性質が違う。実際の圧縮形式は複数の方式を組み合わせていることが多く、どの段階でどれを使うかが設計になる。
問6 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問2 問6
まず自分で解いてみる
非可逆圧縮の説明として最も適切なものを4つから選ばせる。
選択肢は次のように作られている。可逆圧縮の説明を混ぜたもの、正しい説明、捨てているのに元と同じになると述べる矛盾したもの、そして圧縮とは呼べない別の処理を述べたもの。
3つ目が最も注意を要する。前半は非可逆圧縮の説明として正しいが、後半で「元の音声と全く同じになる」と述べており、自己矛盾している。前半だけを読んで丸をつけると外す。
ヒント:この設問で使う道具
圧縮は元に戻せるかどうかで二分される。
可逆圧縮は、圧縮して展開すると元のデータと完全に一致する。データの冗長さ(同じ値の連続、繰り返すパターン、偏った出現頻度)を、数学的な性質だけを使って詰めている。情報は1ビットも捨てていないので、縮む度合いには限界がある。
非可逆圧縮は、展開しても元と完全には一致しない。人間が知覚しにくい成分を意図的に捨てることで、可逆圧縮では届かない圧縮率を実現する。音声なら、大きな音に隠れて聞こえない小さな音や、可聴域を外れた成分が捨てられる。
用途で使い分ける。プログラムや文書は1ビットの違いが致命的になるので可逆圧縮を使う。音楽や写真は、人が気づかない程度の劣化と引き換えに大幅な軽量化を選ぶ。
「捨てている」ことを認める記述かどうかが、非可逆圧縮の説明を見分ける鍵になる。
解答・解説を開く
🧭 方針
「元と同じになるか」で二分する。 非可逆である以上、答えは「同じにはならない」と述べていなければならない。ここで半分が落ちる。
残ったものについて、理由が正しいかを見る。非可逆圧縮が元と違う結果になるのは、人間が知覚しにくい成分を捨てているからである。数学的な性質だけを使う方式は、捨てていないので可逆になる。
最後に、そもそも圧縮の説明になっているかを確かめる。楽曲から楽譜を起こすような処理は、データの表現をまったく別のものに置き換える変換であって、圧縮の説明ではない。
✍️ 解答
人間があまり認識できない音を削って圧縮するため、展開後は元の音声と全く同じにはならない が正答である。
各選択肢の判定は次のとおり。
| 記述の型 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 数学的性質による圧縮/展開後も全く同じ | 誤り | これは可逆圧縮の説明 |
| 知覚しにくい音を削る/全く同じにはならない | 正しい | 非可逆圧縮の定義そのもの |
| 知覚しにくい音を削る/元と全く同じになる | 誤り | 削っておいて同じになるのは矛盾 |
| 楽曲から楽譜を作ってデジタル化する | 誤り | 圧縮ではなく別種の変換 |
2つの方式を対比して整理しておく。
| 可逆圧縮 | 非可逆圧縮 | |
|---|---|---|
| 展開後 | 元と完全一致 | 元とは異なる |
| 捨てるもの | 何も捨てない | 知覚しにくい成分 |
| 圧縮率 | 限界がある | 大幅に縮む |
| 主な用途 | プログラム、文書、記録用の音源 | 配信用の音楽、写真、動画 |
✅ 検算
選択肢を読み比べるのではなく、「捨てる」と「同じになる」が両立するかを論理として確かめる。
情報を捨てた場合、捨てた分を復元する手立ては残っていない。展開時に補われるのは、あくまで捨てる前の値の推測であって、元の値そのものではない。したがって捨てたのに完全に一致するという状態はありえない。矛盾した選択肢は、この一点だけで排除できる。
逆向きでも確かめる。 展開後に元と完全に一致するなら、それは何も捨てていないということであり、定義上その方式は可逆圧縮である。「非可逆圧縮の説明」として問われている以上、一致すると述べる選択肢はすべて対象外になる。
圧縮率の観点からも裏を取る。 可逆圧縮で音楽データを縮められるのはせいぜい数割程度である。配信で使われる形式が元の10分の1程度まで縮んでいるのは、可逆な方法だけでは説明がつかない。大幅に縮むという事実そのものが、何かを捨てている証拠になる。
楽譜への変換についても考える。 楽譜からは演奏者の音色や強弱の微妙な違いを復元できない。これは圧縮というより、別の情報体系への置き換えである。そもそも汎用の音声データに適用できる方法ではない。
💡 ここで効く一般則
圧縮の設問は「元に戻せるか」でまず二分する。 可逆か非可逆かが決まれば、選択肢の半分は消える。
選択肢の前半と後半を別々に検査する。 前半が正しくても後半で矛盾している、という誤答は頻出である。通しで1つの主張として成立しているかを確かめる。
「捨てる」と「同じ」は両立しない。 論理の矛盾は、知識がなくても見抜ける。この種の設問では、知識より読解のほうが効く場面がある。
大幅に縮むなら何かを捨てている。 圧縮率から方式の種類を推測できる。
情報Ⅱでは、この話が知覚符号化として掘り下げられる。人間の聴覚には、大きな音の直後や近い周波数の音が聞こえなくなる性質(マスキング)がある。どの成分なら捨てても気づかれないかを聴覚のモデルから判断し、残す部分に情報量を集中させる。人間の知覚の限界を利用した工学という点が、単なるデータ処理と異なる面白さである。
問7 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(初期パラメータ表の完成)
まず自分で解いてみる
3×3の迷路図と、初期パラメータの表が与えられる。表はほとんど埋まっているが、中央のマスと上段中央のマスの行が空欄になっている。
この2マスは迷路の中で最も隣接数が多い位置にあり、周囲の壁をすべて把握しないと埋まらないように配置されている。ゴールのマスはすべて NaN と指定されているので、そこからの推論はできない。
ヒント:この設問で使う道具
迷路を状態と行動の表に落とす、というのが強化学習の第一歩である。
9マスの迷路なら、各マスが状態 、上下左右への移動が行動 になる。この問題では上を 、右を 、下を 、左を と決めている。
初期パラメータ は、その方向へ進めるかどうかだけを表す。進めるなら1、進めないなら NaN(非数)とする。壁の情報を、そのまま表の形に写し取る作業である。
ここで決定的に重要なのが壁の対称性である。 から へ進めないなら、 から へも進めない。したがって表の既知の欄から、未知の欄が芋づる式に決まる。図を読み違えても、この対称性で検算できる。
外周も壁として扱う。最下段のマスは下へ進めず、最左列のマスは左へ進めない。
解答・解説を開く
🧭 方針
表の既知の欄から、対称性で埋められるものを先に埋める。 図を読むのは最後でよい。
マスの配置は、下段が左から 、中段が 、上段が である。
中央のマス の隣接は、上が 、右が 、下が 、左が 。
- 右: の左が NaN → 壁があるので NaN
- 下: の上が1 → 通れるので1
- 左: の右が1 → 通れるので1
- 上: の行が空欄なので、表からは決まらない → 図を見る
上段中央のマス の隣接は、左が 、右が 、下が 。上は外周。
- 上:外周 → NaN
- 左: の右が1 → 通れるので1
- 右: はゴールで全欄 NaN のため推論できない → 図を見る
- 下: の上と同じ壁 → 図を見る
図で確認すべきは2箇所だけに絞られた。
✍️ 解答
図を見ると、上段中央と右上の間に縦の壁があり、その壁は中段まで伸びて中央と中段右の間も塞いでいる。上段左の下側にだけ横の壁があり、上段中央と中央の間には壁がない。
これで2箇所が確定する。
中央のマス
| 方向 | 値 |
|---|---|
| 上() | 1 |
| 右() | NaN |
| 下() | 1 |
| 左() | 1 |
上段中央のマス
| 方向 | 値 |
|---|---|
| 上() | NaN |
| 右() | NaN |
| 下() | 1 |
| 左() | 1 |
注目すべきは、 から右のゴールへ進めないことである。 から上へ進んで 、さらに左へ進んで という経路は行き止まりになる。エージェントはこの袋小路を試行の中で経験し、避けるように学習していく。
✅ 検算
図を読み直すのではなく、通れる辺をすべて列挙して、経路が存在するかを確かめる。
通れる辺は次の8本になる。
スタートからゴールへ辿れるかを見る。 で到達できる。6手で解ける迷路として成立している。
から上へ向かう枝も追う。 で止まり、 から出る辺は へ戻るものしかない。行き止まりであることが確認できる。行き止まりが存在することは、探索を学習させる題材として自然であり、読み取りが妥当であることを支持する。
対称性でも全欄を検査する。 求めた の上が1、 の下が1で一致。 の右が NaN、 の左が NaN で一致。 の下が1、 の上が1で一致。 の左が1、 の右が1で一致。 の左が1、 の右が1で一致。矛盾する組は1つもない。
💡 ここで効く一般則
壁は対称。片側が分かればもう片側も決まる。 表形式の迷路問題では、この性質だけで大半の空欄が埋まる。図を精読する前に、まず表の中だけで詰められるところを詰める。
外周は必ず進めない。 端のマスの外向きは自動的に NaN になる。ここを数え忘れると行の合計が合わなくなる。
ゴールの行は情報を持たない。 すべて NaN と定められている場合、隣接マスの推論には使えない。ゴールに隣接するマスの向きだけは、必ず図で確かめる必要がある。
通れる辺を列挙してから経路の存在を確かめる。 表を埋めただけでは正しさが分からない。迷路として解けることが最終的な検算になる。
情報Ⅱでは、この表が環境のモデルにあたる。強化学習では、エージェントは最初この表を知らず、試行錯誤を通じて「どの行動が良いか」を学ぶ。本問は壁の情報を最初から与えているが、実際の応用では壁の位置すら未知のことが多く、経験からしか環境を知りえないという点が本質になる。
問8 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(初期方策の計算)
まず自分で解いてみる
初期パラメータの表から、初期方策の表を作る。多くの行はすでに埋まっており、中央のマスと上段中央のマスの行だけが空欄になっている。
例として、進める方向が2つある状態の計算が本文で丁寧に示されている。この例と同じ手順を、進める方向が3つの場合にも適用できるかが問われている。
計算そのものは指数関数を含むが、値は1か NaN しかないので、 が約分されて簡単な分数になる。
ヒント:この設問で使う道具
パラメータ を確率に変換する式が与えられている。状態 で行動 を選ぶ確率は
で定める。分子がその行動の値、分母がその状態で取りうる4方向すべての合計である。
この形はソフトマックス関数と呼ばれ、次の2つの性質を持つ。
1. すべての値が0以上になる(指数関数は必ず正)
2. 同じ状態の4つを足すと必ず1になる(分母がその合計だから)
つまり、どんな を入れても自動的に確率の条件を満たす。これがソフトマックスを使う理由である。
本問では と定めている。進めない方向は分子も分母への寄与も0になり、確率0として扱われる。結果として、進める方向にだけ確率が等しく割り振られる。
解答・解説を開く
🧭 方針
進める方向の数を数えるだけでよい。 これがこの設問の要点である。
の値は1か NaN の2種類しかない。、 なので、進める方向が 個あれば、
となる。 は必ず約分されて消えるので、指数関数の値を求める必要はない。
したがって手順は次の2つだけになる。
1. その行に1がいくつあるかを数える
2. 1の位置に を、NaN の位置に0を置く
✍️ 解答
中央のマス
初期パラメータは上・下・左が1、右が NaN。進める方向は3つである。
| 方向 | 上 | 右 | 下 | 左 |
|---|---|---|---|---|
| 確率 | 1/3 | 0 | 1/3 | 1/3 |
小数では約0.33ずつになる。
上段中央のマス
初期パラメータは下・左が1、上・右が NaN。進める方向は2つである。
| 方向 | 上 | 右 | 下 | 左 |
|---|---|---|---|---|
| 確率 | 0 | 0 | 0.50 | 0.50 |
初期状態では、進める方向のどれを選ぶかに差がない。エージェントは壁にぶつからないことだけを知っており、どちらが近道かはまだ知らない。この状態から出発して、経験によって確率を偏らせていくのが学習である。
✅ 検算
計算をやり直すのではなく、確率の性質が満たされているかを2点で確かめる。
行の合計が1になるか。 中央のマスは 、上段中央は 。どちらも1になる。ソフトマックスの定義から必ずこうなるはずなので、合計が1でなければ計算を誤っている。
すでに埋まっている行と整合するか。 表の他の行を見ると、進める方向が1つの状態では確率が1、2つの状態では0.50が2つ並んでいる。「進める方向の数の逆数」という規則が全行で成り立っている。求めた2行もこの規則に従っており、他の行と同じ扱いになっている。
NaN の扱いも確かめる。 進めない方向の確率が0でなければ、エージェントが壁に向かって進もうとしてしまう。求めた表では、初期パラメータが NaN の位置がすべて0になっている。表1と表2の NaN・0 の配置が完全に一致することを目視で確認できる。
極端な場合でも検算できる。 ゴールのマスは全方向が NaN なので、確率はすべて0になる。合計が1にならないが、これはゴールに到達したら移動しないためであり、表でもすべて0になっている。矛盾ではない。
💡 ここで効く一般則
値が同じソフトマックスは、単なる等確率になる。 分子と分母の指数関数が約分されるので、 に落ちる。指数を計算しようとすると時間を失う。
確率の行は必ず合計1で検算する。 ソフトマックスは定義上そうなるので、合計が1でなければ計算ミスが確定する。最も安く確実な検算である。
すでに埋まっている行から規則を読み取る。 表形式の問題では、空欄以外の行が規則の実例になっている。自分の求めた値が同じ規則に従うかを見れば、方針の誤りに気づける。
初期方策が等確率であることには意味がある。 何も学習していない段階では、どの行動が良いか分からない。等確率から出発して偏らせていくのが学習の姿である。
情報Ⅱでは、この先に方策勾配法が来る。ゴールまでのステップ数が少なかったときに選んだ行動の を大きくし、確率を高める。少ない手数で到達した経験を強めることで、等確率だった方策が最短経路に沿って偏っていく。成功体験の重みづけという直感を、式として表現したものが更新式である。
問9 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(行動回数の集計)
まず自分で解いてみる
1回分の試行結果として、訪れた状態の列と選んだ行動の列が与えられる。そこから集計表を作らせる。
表はほとんど埋まっており、特定の2つの状態の行だけが空欄になっている。この2つは試行の中で繰り返し訪れた状態であり、同じ行動を何度も選んでいるため、数え漏らしが起きやすい。
ヒント:この設問で使う道具
方策を更新するには、その試行で「どの状態でどの行動を何回選んだか」を数える必要がある。集計する量は2つある。
- = 状態 で行動 を選んだ回数
- = 状態 で行動した回数の合計
後者は前者の行方向の合計であり、 が必ず成り立つ。この関係が最良の検算になる。
集計の材料は、1回の試行で記録された状態の履歴と行動の履歴である。両者は対になっており、 番目の状態で 番目の行動を選んだ、と読む。
注意点が2つある。状態の履歴は行動の履歴より1つ長い(最初の状態が余分にある)こと、そして最後の状態はゴールなので行動を伴わないことである。ここを揃え損ねると、すべての集計が1つずつずれる。
解答・解説を開く
🧭 方針
履歴を1対1の組に直してから数える。 状態と行動を頭の中で対応させると必ずずれる。
手順を固定する。
1. 状態の履歴の先頭から最後の1つ手前までを取り、行動の履歴と順に組にする
2. 組を上から順に見て、該当する欄に印を付ける
3. 各行の合計を出し、それが行動した回数の合計と一致することを確認する
4. 全欄の総和が総ステップ数と一致することを確認する
3と4を必ず行う。集計の誤りは、合計を取った瞬間に露見する。
✍️ 解答
履歴を組にして数えると、空欄の2行は次のようになる。
中段左のマス
| 行動 | 上 | 右 | 下 | 左 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 回数 | 0 | 2 | 5 | 0 | 7 |
このマスは試行中に7回訪れており、下へ戻る行動を5回、右へ進む行動を2回選んでいる。下へ戻る回数のほうが圧倒的に多い。スタート地点との間を往復し続けていた様子が数値に表れている。
中央のマス
| 行動 | 上 | 右 | 下 | 左 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 回数 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 |
このマスは2回しか訪れておらず、1回目は左へ戻り、2回目に下へ進んでゴールへの経路に乗っている。右は壁なので選ばれず、上も一度も選ばれていない。
✅ 検算
数え直すのではなく、2種類の合計で確かめる。
行ごとの合計。 求めた行の合計はそれぞれ7と2であり、表の合計欄と一致する。1つでも数え漏らせばここが合わなくなる。
全体の合計。 表に現れるすべての回数を足す。
これは総ステップ数18と一致する。1回の試行で行った行動の総数は、当然ながらステップ数に等しい。この一致は、全部の欄が過不足なく数えられたことの証明になる。
壁の情報とも突き合わせる。 中央のマスの右は壁なので、そこへ向かう行動が選ばれることはありえない。集計値は0であり矛盾しない。同様に、中段左のマスの上と左も壁であり、どちらも0になっている。進めない方向に0以外の値が立っていたら、その時点で集計が誤っている。
訪問回数とも整合する。 状態の履歴に中段左のマスが現れる回数を数えると7回、中央のマスは2回である。ゴール以外の状態では「訪れた回数=行動した回数」なので、行の合計と一致するはずであり、実際に一致している。
💡 ここで効く一般則
履歴を組にしてから数える。 状態と行動を別々に眺めて対応させようとすると、必ずどこかでずれる。ペアの一覧を作る手間を惜しまない。
状態の履歴は行動の履歴より1つ長い。 最後の状態はゴールで、そこでは行動しない。長さの違いに気づかないと、末尾で1つずれる。
全欄の総和が総ステップ数に一致する。 これが最も強い検算である。行ごとの合計だけでは、別の行へ誤って計上した場合を検出できない。
進めない方向の回数は必ず0。 壁の情報と集計表を突き合わせれば、対応の取り違えが見つかる。
情報Ⅱでは、この集計が経験の記録にあたる。強化学習では、エージェントが実際に取った行動とその結果を蓄積し、そこから方策を改善する。ここで数えている回数は、次の更新式で「どの行動をどれだけ強めるか」を決める材料になる。多く選ばれた行動が必ず良いとは限らない点が次の設問の焦点であり、この集計はその判断材料にすぎない。
問10 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(方策パラメータの更新)
まず自分で解いてみる
集計表と更新式から、更新後のパラメータ表を作る。表の多くは埋まっており、数箇所だけが空欄になっている。
空欄には、値が変わらない欄とわずかに増減する欄の両方が含まれている。すべてが変化するわけではない点が押さえどころになる。
注記として「式の中の NaN は0として計算し、計算結果の0は NaN と表記する」と指定されている。計算時と表記時で扱いが違うので、ここを読み飛ばすと表記を誤る。
ヒント:この設問で使う道具
方策のパラメータを、試行の結果に応じて更新する。式は次の2本である。
分子の意味が要点である。 は「その行動が、現在の確率どおりなら選ばれたはずの回数」を表す。したがって分子は
すなわち期待より多く選んだか、少なく選んだかを表している。多く選んだ行動は が正になり確率が上がり、少なく選んだ行動は負になり確率が下がる。
分母の は総ステップ数である。手数が少ない試行ほど が小さく、1回の更新の効き目が大きくなる。良い試行ほど強く反映される仕組みがここに入っている。
は更新の強さを調整する係数で、小さくすると変化がゆるやかになる。
解答・解説を開く
🧭 方針
変化しない欄を先に見抜く。 分子が0になる場合を探せば、計算せずに埋まる。
分子が0になるのは次の2つの場合である。
- その状態を一度も訪れていない( かつ )→ 分子は
- 実際の回数が期待どおり()→ 分子は0
前者は上段のマスのように、試行中に通らなかった状態が該当する。後者は、選べる方向が1つしかない状態が該当する。
残った欄だけ、式に代入して計算する。値は と を使うので、 を求めてから を掛け、元の値に足す。小数第4位まで求める必要があるので、分数のまま計算して最後に小数化すると誤差が出ない。
✍️ 解答
変化しない欄
一度も訪れていない上段中央のマスでは、、 となり分子が0になる。したがって元の値がそのまま残り、1 のままである。
スタートのマスの進めない方向は、元の値を0として計算しても分子が0になるので、結果も0、表記は NaN になる。
変化する欄
中段左のマスの右向き。実際に選んだ回数は2、確率は0.50、その状態で行動した回数の合計は7なので、
中央のマスの下向きと左向き。どちらも実際の回数は1、確率は0.33、合計は2なので、
まとめると次のようになる。
| 欄 | 更新後 | 意味 |
|---|---|---|
| スタートの進めない方向 | NaN | 変化なし |
| 中段左の右向き | 0.9917 | 期待より少なく選んだので減少 |
| 中央の下向き | 1.0019 | 期待より多く選んだので増加 |
| 中央の左向き | 1.0019 | 同上 |
| 上段中央の下向き | 1 | 未訪問なので変化なし |
✅ 検算
計算を繰り返すのではなく、増減の向きが意味と合っているかを確かめる。
中段左のマスでは、下へ戻る行動を5回、右へ進む行動を2回選んでいた。確率はどちらも0.50だったので、期待される回数はそれぞれ3.5回である。下は期待より多く、右は期待より少ない。したがって下向きの値は増え、右向きの値は減るはずである。
表に示されている下向きの値は1.0083で、元の1より大きい。求めた右向きの値は0.9917で、元の1より小さい。向きが一致した。
さらに、増加分と減少分が釣り合うかを見る。下向きの増加は 、右向きの減少は で、絶対値が等しい。これは偶然ではない。同じ状態内で分子を合計すると
となり、1つの状態の中では増減が必ず打ち消し合う。この性質は全状態で成り立つので、強力な検算になる。
中央のマスでも確かめる。下と左がそれぞれ 増えており、合計 。一方、上向きは表に0.9963と示されており である。端数処理の範囲で釣り合っている。
未訪問の状態で値が動いていないことも確認する。一度も通っていない状態について経験は存在しないので、そこから学べることは何もない。値が変わっていたら式の適用を誤っている。
💡 ここで効く一般則
更新式の分子は「実際 − 期待」。 この読み方さえ掴めば、増減の向きは計算前に予測できる。予測と計算結果が食い違えば、その時点で誤りに気づける。
同じ状態内の増減は打ち消し合う。 行の中で を合計すると0になる。計算した値の妥当性を、行単位で瞬時に検査できる。
未訪問の状態は変化しない。 経験がなければ更新もない。表の中で「動くはずのない欄」を先に確定させると、計算する欄が大幅に減る。
分母の総ステップ数は、試行の良し悪しを反映する。 手数が少ない試行ほど更新が大きく効く。これが「良い試行を強く学ぶ」という設計の中核である。
情報Ⅱでは、これが方策勾配法の最も簡単な形にあたる。1回の更新では小数第3位程度しか動かないが、試行を何百回と重ねると遠回りの行動の確率が下がり、最短経路へ集中していく。1回の変化の小ささと繰り返しによる収束の対比が理解の鍵になる。
問11 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(移動処理の穴埋め)
まず自分で解いてみる
行動の番号に応じて次の状態を計算する関数と、ゴールまで動かし続ける処理が与えられ、3箇所が空欄になっている。
空欄は移動量が1つ、行動の番号が1つ、繰り返しの終了条件が1つである。4つの行動のうち3つ分は既に書かれているので、残る1つを消去法で特定できる構造になっている。
ヒント:この設問で使う道具
2次元の格子を1次元の番号で管理する、というのがこの処理の骨格である。
3列の格子でマスに0から順に番号を振ると、位置と番号の対応は次のようになる。
この振り方をすると、移動が番号の足し引きだけで表せる。
| 移動 | 番号の変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 上 | 1行上がると列数分だけ番号が増える | |
| 右 | 隣の列へ | |
| 下 | 1行下がる | |
| 左 | 前の列へ |
行方向の移動量が列数と一致するのが要点である。3列なら 、5列なら になる。座標を2つ持たずに済むので、表も配列も1次元で扱える。
繰り返しの終了条件も押さえる。ゴールに着いたら止まるので、条件は状態がゴールの番号になるまでである。
解答・解説を開く
🧭 方針
書かれている分岐から、対応表を復元する。 4つの行動それぞれに移動量が対応するので、3つ分かれば残り1つは自動的に決まる。
書かれているのは、行動1が 、行動3が 、そしてもう1つの分岐が である。行動0の移動量と、 に対応する行動番号が空欄になっている。
行動の定義は本文で与えられている。上が0、右が1、下が2、左が3。
- 行動1(右)が ✓ 定義と一致
- 行動3(左)が ✓ 定義と一致
- は下向きなので、対応する行動番号は2
- 残った行動0(上)の移動量は
終了条件は、ゴールの番号を入れる。9マスでスタートが0番なので、ゴールは8である。
✍️ 解答
- 行動0のときの移動量 → 3(
next_state = state + 3) - に対応する行動番号 → 2
- 繰り返しの終了条件 → 状態が 8 になるまで
完成した対応は次のとおり。
| 行動番号 | 向き | 移動量 |
|---|---|---|
| 0 | 上 | |
| 1 | 右 | |
| 2 | 下 | |
| 3 | 左 |
上下が 、左右が という対称な形になる。番号の振り方が下段を0から始めているため、上が正・下が負になる点に注意したい。上を負と勘違いすると、すべての移動が逆向きになる。
✅ 検算
対応表を作り直すのではなく、実際に与えられた実行結果の履歴を、この対応表で辿れるかを確かめる。
問題文には1回分の実行結果として、訪れた状態の列と選んだ行動の列が示されている。先頭から順に照合する。
| 手 | 状態 | 行動 | 移動量 | 次の状態 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 0(上) | 3 | ○ | |
| 2 | 3 | 2(下) | 0 | ○ | |
| 3 | 0 | 0(上) | 3 | ○ | |
| … | |||||
| 16 | 1 | 1(右) | 2 | ○ | |
| 17 | 2 | 0(上) | 5 | ○ | |
| 18 | 5 | 0(上) | 8 | ○ |
履歴の全18手が、この対応表で矛盾なく辿れる。 最後に状態8へ到達して終わっており、終了条件が8であることも裏づけられる。
移動先が壁を越えていないかも確かめる。 履歴に現れる移動は、いずれも先に求めた「通れる辺」の一覧に含まれている。、、、、、 はすべて通行可能な辺である。壁を通り抜ける移動が1つもないので、対応表と迷路の読み取りが両方とも正しいことが同時に確認できる。
符号を逆にした場合も試す。 上を とすると、最初の手で状態0から となり負の番号になる。存在しないマスを指すので、その時点で破綻する。符号の向きが確定する。
💡 ここで効く一般則
2次元の格子を1次元の番号で扱うとき、行方向の移動量は列数に等しい。 3列なら 。この対応を押さえれば、座標を2つ管理せずに済む。
番号の振り始めがどこかで符号が変わる。 下段から振れば上が正、上段から振れば上が負になる。問題文の図でスタートとゴールがどこにあるかを必ず確認する。
分岐が4つあって3つ書かれていたら、残り1つは消去法で決まる。 全体の対応表を作ってから空欄を埋めるほうが速く、確実である。
与えられた実行結果は最良の検算材料。 自分の対応表で履歴を全部辿れるかを見れば、符号の誤りも対応の取り違えも一度に検出できる。
情報Ⅱでは、この設計が状態空間の表現として扱われる。状態を整数1つで表せると、方策や価値を配列で持てるので実装が単純になる。しかし状態数が増えると配列は爆発的に大きくなり、表で持ちきれなくなる。表による表現から関数による近似へという発展が、そこから先の話になる。
問12 武蔵野大学 全学部統一選抜 2026 大問3(総ステップ数)
まず自分で解いてみる
1回の試行の実行結果として、状態の配列と行動の配列が具体的に示され、ゴールまでに何ステップかかったかを答えさせる。
配列は数十個の要素を持ち、同じ値が繰り返し現れる。目視で数えると1つずれやすい長さに設定されている。選択肢には正解の前後の値が並ぶと予想され、1のずれがそのまま誤答になる。
ヒント:この設問で使う道具
繰り返し処理の実行結果から回数を読み取るとき、配列の長さと繰り返し回数の関係を正確に押さえる必要がある。
本問の処理では、繰り返しに入る前に開始状態が状態の配列へ入れられている。その後、1回の繰り返しごとに
- 移動後の状態が状態の配列へ追加される
- 選んだ行動が行動の配列へ追加される
したがって、 ステップ動いたとき
となる。状態の配列だけが1つ多い。開始状態は移動の結果ではないからである。
ステップ数を問われたら、行動の配列の長さをそのまま読むのが最も安全である。状態の配列を使う場合は1を引く。
解答・解説を開く
🧭 方針
行動の配列の要素数を数える。 これが直接ステップ数である。
数えるときは、5個ずつ区切って印を付けながら進む。まとめて目で追うと必ずずれる。
数え終えたら、状態の配列の長さと照合する。両者の差がちょうど1になっていなければ、どちらかの数え間違いである。この照合を必ず行う。
✍️ 解答
行動の配列の要素数を数えると 18 個ある。状態の配列は19個で、差がちょうど1になっている。
したがってゴールまで 18ステップ かかった。
この試行の内訳を見ると、動きの偏りがはっきり分かる。
| 状態 | 行動した回数 |
|---|---|
| スタート | 6 |
| 中段左 | 7 |
| 中央 | 2 |
| その他3マス | 各1 |
| 合計 | 18 |
スタートと中段左だけで13回、すなわち全体の7割を占めている。この2マスの間を往復し続けていたことが数値に表れている。最短経路は6ステップなので、18ステップは3倍かかった計算になる。
初期方策では進める方向が等確率なので、こうした無駄な往復が頻繁に起きる。学習前だからこそ遠回りするという状況が、この数値の意味である。
✅ 検算
数え直すのではなく、状態ごとの行動回数を合計するという別経路で確かめる。
集計表の全欄を足すと、6 + 1 + 1 + 7 + 2 + 1 + 0 + 0 + 0 = 18 となる。行動の配列を直接数えた結果と一致した。配列を端から数える方法と、状態ごとに分類して数える方法は独立なので、両方が18になったことは強い裏づけになる。
経路としても辿れるか確かめる。 開始状態から行動の対応表に従って18回移動すると、状態の配列の最後の要素に到達する。その値はゴールの番号であり、繰り返しの終了条件と一致する。19番目の状態でゴールに着いたので、移動回数は18で正しい。
最短経路と比べる。 この迷路の最短経路は6ステップである。18ステップはその3倍で、往復を繰り返した試行として妥当な大きさに収まっている。もし6未満の値を得ていれば、それは物理的にありえないので誤りだと即座に分かる。下限を知っていることが検算になる。
💡 ここで効く一般則
状態の履歴は行動の履歴より必ず1つ長い。 開始状態が移動の結果ではないためである。どちらを数えるかで答えが1ずれるので、行動の配列を数えると決めておく。
長い配列は5個ずつ区切って数える。 目視でまとめて追うと必ずずれる。区切りを入れる手間のほうが安い。
独立な2通りで数えて一致を見る。 端から数える方法と、分類して合計する方法。どちらも18になれば安心してよい。
最短経路の長さを下限として持っておく。 得られた値が下限を割っていれば、計算するまでもなく誤りである。
情報Ⅱでは、このステップ数が学習の進み具合を測る指標になる。試行を繰り返すたびにステップ数を記録し、グラフにすれば、方策が改善しているかが一目で分かる。初期は大きくばらつき、学習が進むと最短経路の長さへ収束していく。このグラフが下がらないなら、学習率や更新式に問題があると判断できる。指標を持つこと自体が、機械学習を扱う際の基本姿勢になる。