立命館大学の「情報型」は、学部個別配点方式のなかに用意された入試区分です。英語・国語(または数学)と並ぶ3教科のひとつとして情報Ⅰが必須になります。
2027年度に大きな動きがありました。産業社会学部に〈情報型(文系)〉が拡大し、情報Ⅰの配点が200点になっています。英語150点・国語150点と並べると、3教科のうち情報がいちばん重いという配点です。文系学部の一般入試で情報が最大配点、というのは全国的にも例が少ない設計です。
基準日:2026年9月5日/2027年度の配点は入試ガイド2027、情報理工学部の配点・試験時間は2026年度一般選抜入学試験要項にもとづきます。2027年度の一般選抜入学試験要項は11月公開予定です。実施学部の網羅性や細部は要項が正本ですので、出願前に必ず大学公式でご確認ください。
「情報型」と「情報活用型」は別物です
立命館大学には、情報を使う入試方式が2つあります。名前が似ているので、最初にここを分けておきます。
| 情報型 | 情報活用型 | |
|---|---|---|
| 方式の位置づけ | 学部個別配点方式の一区分 | 共通テスト併用方式 |
| 情報の試験 | 大学独自の「情報」を受験する | 共通テストの「情報Ⅰ」の得点を使う |
| 試験日 | 2月7日 | — |
| 実施学部(2027年度) | 情報型(文系)=産業社会・デザイン、アート・映像/情報型(理系)=情報理工 ほか要確認 | 産業社会・文・政策科学 |
※実施学部の一覧は年度と資料によって記載が揺れています。上表は入試ガイド2027の記載をもとに整理したものですが、学部の網羅性は要確認です。11月公開予定の入学試験要項で必ずご確認ください。
大学独自の「情報」を書く必要があるのは情報型のほうです。このページは情報型を中心に扱います。
配点——産業社会学部は情報Ⅰが200点
| 学部・区分 | 科目と配点 | 満点 | 情報の比率 |
|---|---|---|---|
| 産業社会学部 情報型(文系) |
英語150/国語150/情報Ⅰ 200 | 500点 | 40% |
| 情報理工学部 情報型(理系)2026年度実績 |
英語150(80分)/数学150(100分)/情報 100(80分) | 400点 | 25% |
この配点をどう読むか
産業社会学部の情報型は、情報Ⅰが3教科中で最大配点です。私立文系の一般的な組み合わせ(英語+国語+地歴公民)と比べると、次のような違いが生まれます。
- 暗記量が減る。日本史探究・世界史探究の学習量と比べれば、情報Ⅰの範囲は圧倒的に狭くなります。
- 共通テスト対策と重なる。共通テストで情報Ⅰを受ける受験生なら、学習が二重に効きます。
- 競争相手が少ない。情報型は導入から日が浅く、対策の蓄積も薄い段階です。「先に手をつけた人が有利」という時期にあります。
ただし、配点が重いということは失敗したときの傷も深いということです。200点を落とすと、英語と国語で満点近くを取っても届きません。保険として持つのではなく、主力として仕上げる覚悟が要る配点です。
出題範囲は情報Ⅰのみ。情報Ⅱは入りません
立命館の「情報」の出題範囲は情報Ⅰです。慶應義塾大学SFCや東京都市大学のように情報Ⅱまで含む大学とは、ここが大きく違います。
| 大学 | 出題範囲 |
|---|---|
| 立命館大学 | 情報Ⅰのみ |
| 東京都市大学 | 情報Ⅰ・情報Ⅱ |
| 慶應義塾大学SFC | 情報Ⅰ・情報Ⅱ |
| 電気通信大学 | 情報Ⅰ(特に「コンピュータとプログラミング」中心) |
| 広島市立大学 | 情報Ⅰ(「コミュニケーションと情報デザイン」は「情報のデジタル化」の範囲) |
情報Ⅱを開講していない高校が多いなかで、範囲が情報Ⅰに収まっているのは実務上とても大きな利点です。教科書と共通テスト対策の延長線上で戦えるということになります。
試験時間は80分。情報理工学部の2026年度では15時40分から17時までの実施でした。
公式が問題・講評・解答例を公開しています
立命館大学は、2026年度の一般選抜(2月7日 学部個別配点方式)で出題された「情報」の問題と講評、そして解答例を公式サイトで公開しています。
「講評」は必ず読んでください。問題と解答だけを見ると「解けた/解けなかった」で終わりますが、講評には出題者側の狙いと、受験生がどこでつまずいたかが書かれています。次に何を練習すべきかは、正誤表ではなく講評から分かります。
1年分では演習量が足りないので、共通テストの試作問題・本試験・追試験、旧課程「情報関係基礎」、他大学の公開問題で補ってください。公開されている問題の一覧は情報Ⅰの個別入試を課す大学まとめにあります。
オリジナル類題4題(数強塾作成)
以下は数強塾が作成したオリジナル問題です。実際の入試問題ではありません。範囲が情報Ⅰのみであることを踏まえ、文系学部からの受験でも扱える題材で構成しています。数値はすべて計算機で検算済みです。
類題1|共通鍵暗号と公開鍵暗号
ある組織の100人が、互いに暗号通信を行いたい。
(1) 共通鍵暗号方式を使い、2人の組ごとに別の鍵を用意する場合、鍵は全部で何本必要か。
(2) 公開鍵暗号方式を使う場合、必要な鍵ペアはいくつか。また各人が管理する鍵はどれか。
(3) 実際の通信では、公開鍵暗号と共通鍵暗号を組み合わせる方式(ハイブリッド方式)が広く使われている。その理由を説明せよ。
解答・解説
(1) 100人から2人を選ぶ組み合わせの数なので 100 × 99 ÷ 2 = 4,950本。
一般に n 人なら n(n−1)/2 本です。人数が増えると鍵の本数は人数の2乗に比例して増える——これが共通鍵方式の弱点です。
(2) 鍵ペアは1人につき1組なので 100組(公開鍵100個・秘密鍵100個)。
各人は自分の秘密鍵だけを厳重に管理し、公開鍵は誰に配ってもかまいません。鍵の総数は人数に比例するだけなので、100人でも200個で済みます。
(3) 解答例:公開鍵暗号は鍵の配送問題を解決できるが、計算に時間がかかる。共通鍵暗号は高速だが鍵をどう安全に渡すかが問題になる。そこで、共通鍵を公開鍵暗号で安全に相手へ渡し、実際のデータのやり取りは高速な共通鍵暗号で行う。両方の長所を組み合わせているため、ハイブリッド方式が使われる。
類題2|分散と標準偏差
8人の小テストの得点が次のようになった。
(1) 平均値を求めよ。
(2) 分散と標準偏差を求めよ。
(3) 採点調整のため全員に一律5点を加えた。加点後の平均値と標準偏差を求めよ。
(4) 別のクラスでは、全員の得点をちょうど2倍にした。このとき平均値と標準偏差はどうなるか。理由とともに述べよ。
解答・解説
(1) 合計は 2+4+4+4+5+5+7+9 = 40。平均値は 40 ÷ 8 = 5.0。
(2) 各データの偏差(データ − 平均)は −3, −1, −1, −1, 0, 0, 2, 4。偏差の2乗は 9, 1, 1, 1, 0, 0, 4, 16 で合計32。
分散は 32 ÷ 8 = 4.0、標準偏差はその平方根で 2.0。
(3) 平均値は 10.0、標準偏差は 2.0(変わりません)。
全員に同じ値を足しても、データ同士の間隔は変わりません。散らばりの指標である標準偏差が動かないのはそのためです。
(4) 解答例:平均値は2倍の10.0、標準偏差も2倍の4.0になる。すべての値を2倍にすると偏差も2倍になり、偏差の2乗は4倍、分散は4倍になる。標準偏差はその平方根なので2倍になる。
「足し算では散らばりは変わらず、かけ算では散らばりも同じ倍率で変わる」——この対比を押さえておくと、標準化(偏差値)の理解にそのままつながります。
類題3|二分探索のトレース
昇順に並んだ配列 Data から値 79 を二分探索で探す。配列の添字は0から始まる。
n = 9
lo = 0
hi = n – 1
mitsuketa = -1
lo ≦ hi の間繰り返す:
| mid = (lo + hi) ÷ 2 の商
| もし Data[mid] == 79 ならば:
| | mitsuketa = mid
| | 繰り返しを抜ける
| そうでなくもし Data[mid] < 79 ならば: | | lo = [ ア ] | そうでなければ: | | hi = [ イ ] 表示する(mitsuketa)
(1) 空欄ア・イに入るものを答えよ。
(2) 繰り返しのたびの lo、hi、mid、Data[mid] を表にまとめよ。
(3) 表示される値と、比較(Data[mid] と 79 の比較)の回数を答えよ。
(4) アを lo = mid、イを hi = mid に変えると不具合が起きる。どのような不具合か説明せよ。
解答・解説
(1) ア=mid + 1、イ=mid − 1。
(2) 追跡すると次のようになります。
| 回 | lo | hi | mid | Data[mid] | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 8 | 4 | 58 | 58 < 79 → lo = 5 |
| 2 | 5 | 8 | 6 | 79 | 一致 → 繰り返しを抜ける |
(3) 表示されるのは 6(添字)。比較の回数は 2回。9個のデータを線形探索すると最悪9回なので、大幅に減っています。
(4) 解答例:Data[mid] が目的の値と一致しない場合でも mid が探索範囲に残り続けるため、lo と hi が更新されずに同じ mid を繰り返し調べる状態に陥り、無限ループになることがある。一致しなかった要素は範囲から必ず外す必要がある。
境界の ±1 は「書き忘れても動くように見えて、特定の入力で止まらなくなる」型の不具合です。手で1回トレースすると必ず気づけます。
類題4|色の表現
ディスプレイでは、赤・緑・青の3つの成分の組み合わせで色を表す(RGB)。各成分は8ビットで表されるものとする。
(1) 赤204・緑102・青51の色を、16進数6桁の表記で書け。
(2) この方式で表せる色は全部で何色か。
(3) 各成分を8ビットから4ビットに減らすと、表せる色数は何色になるか。またそのとき起こる見た目の変化を説明せよ。
(4) 光の三原色を混ぜると白に近づくのに対し、絵の具の三原色を混ぜると黒に近づく。この違いを説明せよ。
解答・解説
(1) 204 = 16×12+12 = CC、102 = 16×6+6 = 66、51 = 16×3+3 = 33。よって #CC6633。
10進数を16で割った商と余りを16進の桁に直す、という手順です。
(2) 各成分が8ビットなので、合計24ビット。224 = 16,777,216色(約1,678万色)。
(3) 各成分4ビットで合計12ビットなので 212 = 4,096色。
解答例:表現できる階調が粗くなるため、空や肌のようになめらかに色が変化する部分で、段差のような縞模様(階調飛び)が見えるようになる。
(4) 解答例:光の三原色(赤・緑・青)は光を足し合わせる加法混色で、重ねるほど明るくなり白に近づく。絵の具の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)は、当たった光の一部を吸収して残りを反射する減法混色で、重ねるほど吸収される光が増えて暗くなり黒に近づく。
学習計画
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高3の春〜夏 | 情報Ⅰを一周する。産業社会学部の情報型を狙うなら、この段階で「情報を主力にする」と決めて時間配分を組む。 |
| 高3の夏 | 立命館が公開している2026年度の問題を、講評とセットで読む。共通テストの試作問題・本試験・追試験に着手。 |
| 高3の秋 | 入学試験要項(11月公開予定)で配点と実施学部を確認し、出願方式を確定する。旧課程「情報関係基礎」でアルゴリズムの量を確保。 |
| 共通テスト後〜2月7日 | 80分の通し演習。英語・国語(または数学)との時間配分を体に入れる。 |
- 情報Ⅰ 過去問解説・無料プリントのハブ
- 共通テスト「情報Ⅰ」試作問題 全問解説
- 共通テスト2026 本試験「情報Ⅰ」全問解説
- 情報関係基礎 2024年度 全問解説
- 情報Ⅰ オリジナル予想問題
- 情報Ⅰ 最強120講義
よくある質問
Q. 文系ですが、情報型で本当に戦えますか。
A. 範囲が情報Ⅰのみで、必要なのはプログラミングの読み書き・デジタル化の計算・データの読み取りです。数学Ⅲのような抽象度は求められません。ただし産業社会学部では情報が200点と最大配点なので、「なんとなく分かる」水準では届きません。主力科目として時間を確保できるかどうかが判断基準になります。
Q. 情報型と情報活用型、どちらで出願すべきですか。
A. 大学独自の「情報」を書けるなら情報型、共通テストの情報Ⅰで安定して得点できるなら情報活用型、というのが基本の考え方です。ただし実施学部が異なるので、志望学部でどちらが使えるかを先に確認してください。実施学部は年度によって変わります。
Q. 情報Ⅱも勉強しておくべきですか。
A. 立命館の出題範囲は情報Ⅰのみなので、立命館対策としては不要です。ただし東京都市大学や慶應義塾大学SFCを併願する場合は情報Ⅱまで必要になります。併願校の範囲を先に確認してから決めてください。
文系学部で情報Ⅰが200点——この配点を活かせる受験生は、まだ多くありません。
数強塾ではオンライン個別指導で情報Ⅰを扱っています。公開問題と講評の読み込み、プログラミングの読み書き、80分の時間配分まで、志望方式に合わせて設計します。全国どこからでも受講できます。
免責:本ページは入試情報の整理と学習支援を目的としたもので、合否を保証するものではありません。掲載した類題はすべて数強塾のオリジナルであり、実際の入試問題ではありません。実施学部・配点・試験時間・出題範囲は各年度の一般選抜入学試験要項が正本です。2027年度の要項は11月公開予定ですので、出願前に必ず大学公式でご確認ください。誤りにお気づきの場合はお問い合わせよりご指摘ください。