情報Ⅰ ネットワークの頻出パターン演習|TCP/IP4階層の並び・IPv6が128ビットになった理由【パターン攻略8】

情報の学びを図でつかむ
通信を、4つの役割に分ける。
通信を、4つの役割に分ける。 TCP/IPの4階層で役割を分担し、データを包んで渡す。アプリケーショントランスポートインターネットネットワークインタフェース
アプリの仕事相手へ届ける隣へ送る
TCP/IPの4階層で役割を分担し、データを包んで渡す。図は学習内容を示す模式図です。

こんにちは、数強塾代表・情報Ⅰ専門塾「情報ラボ」主宰の藤原進之介です。この記事は、共通テスト情報Ⅰの頻出出題パターンを小問単位で総ざらいするシリーズ『頻出パターン攻略』の第8回、情報通信ネットワークの回です。

この記事は、私の著書『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』の第1章で扱っている出題パターンをもとに、Web向けに問題を新しく作り直し、解説を大幅に増補したものです。書籍の問題そのものは掲載していません(すべて書き下ろしのオリジナル問題です)。

共通テスト「情報Ⅰ」は2025年1月から実施されている60分100点の試験で、ネットワーク分野は学習指導要領の「(4) 情報通信ネットワークとデータの活用」に対応します。この分野の知識小問には、はっきりした特徴があります。問われる中身がほぼ4つの型に集中しているのです。用語の即答、TCP/IPの4階層の空欄補充、各層と代表プロトコルの対応、そしてIPv6が128ビットで必要になった理由。この4つを潰しておけば、ネットワークの知識問題で立ち止まる時間はほぼ消えます。

なお、当サイトには大問形式で実戦演習をする『分野別対策演習』の第1回 ネットワークとプロトコルもあります。あちらの主役はDNSの障害切り分けや家庭内LANの構成図といった「考えて絞り込む」実戦問題です。本記事の主役はその手前、4階層の役割と並びを正確に即答できるようにする知識型パターンです。土台を本記事で固め、実戦は対策演習で積む——この順番で使ってください。

パターン1 説明文からネットワーク用語を即答する

パターン解説——用語は「決め手の一言」で覚える

ネットワーク分野の語句問題は、1〜2行の説明文を読んで用語を答える形で出ます。共通テストはマーク式なので選択肢から選ぶ形になりますが、説明文だけを見て用語が言える状態まで仕上げておくと、選択肢に紛らわしい語が並んでいても迷いません。頻出の5語を、説明文のどこで決めるかという「決め手の一言」とセットで整理します。

用語 意味 説明文の中の「決め手」
IPアドレス インターネット上のコンピュータや通信機器を識別するために割り当てられる番号 「識別するため」「一意に割り当てられた番号
LAN 学校・家庭・会社など、限られた範囲で機器を接続したネットワーク 狭く限られた範囲」。自分たちで機器を置いて作る
WAN 離れた場所にあるLANどうしを結ぶ広域のネットワーク 広域」「遠隔地間」。通信事業者の回線で結ぶ
アプリケーション層 Web閲覧やメールなど、利用者が使うサービスのやり取りを定める層 ユーザが利用する具体的なサービス
トランスポート層 データの分割・順序管理・再送で、端末間の転送の信頼性を確保する層 確実に届ける」「信頼性」

ここで最重要の対比がLANとWANです。範囲の広い・狭いだけで覚えると、「学校全体のネットワークは広いからWAN?」のような迷い方をします。急所は「誰が作るか」です。LAN(Local Area Network)は、教室・家庭・オフィスといった限られた範囲に、利用者が自分たちで機器を置いて作るネットワーク。家庭のWi-Fiルータにスマートフォンとプリンタをつないだら、それはもう立派なLANです。一方WAN(Wide Area Network)は、本社と支社のように離れた場所にあるLANどうしを、通信事業者が提供する回線で結んだ広域ネットワークです。敷地の中は自前のLAN、敷地の外へ出たら事業者のWAN——「狭い・自分たちで=LAN、広域・事業者=WAN」と対で覚えてください。

もう1つ、IPアドレスの説明文にある「一意」という言葉にも立ち止まっておきましょう。一意とは「重複がなく、ただ1つに定まる」という意味です。郵便が住所の重複を許さないのと同じで、インターネット上で機器を特定するには、番号の重複があってはなりません。この「番号で、しかも一意」という2点が、後のパターン4(アドレスの個数の話)まで一直線につながっていきます。

オリジナル類題で確認

【問1】次の⑴〜⑸の説明に当てはまる語句をそれぞれ答えよ。

⑴ インターネット上のコンピュータや通信機器を互いに識別するために、機器に一意に割り当てられる番号。
⑵ TCP/IPの階層構造のうち、Webページの閲覧や電子メールの送受信など、ユーザが利用する具体的なサービスのデータのやり取りを定める層。
⑶ 教室や職場、家庭など、狭く限られた範囲の中でコンピュータや周辺機器を接続して作るネットワーク。
⑷ TCP/IPの階層構造のうち、データを分割したり順序を整理したりして、送信元と宛先の間で確実にデータを届ける役割を担う層。
⑸ 複数の拠点や地域を結び、遠隔地間を通信回線で接続する広域のネットワーク。

STEP 1 説明文の中から「決め手の一言」に印を付けます。⑴「識別するために一意に割り当てられる番号」、⑵「ユーザが利用する具体的なサービス」、⑶「狭く限られた範囲」、⑷「確実にデータを届ける」、⑸「遠隔地間」「広域」。

STEP 2 決め手から用語へ変換します。番号→IPアドレス、サービス→アプリケーション層、狭い→LAN、確実(信頼性)→トランスポート層、広域→WAN。⑵と⑷は「〜を定める」と聞かれているので、答えにも必ず「層」まで付けます。

答え ⑴ IPアドレス ⑵ アプリケーション層 ⑶ LAN ⑷ トランスポート層 ⑸ WAN

⑴で「ドメイン名」と答えるのが典型的なミスです。ドメイン名は www.example.jp のような人間向けの名前であって、番号ではありません。説明文が「番号」と言い切っている以上、答えは番号であるIPアドレス一択です。また、機器そのものに固有の番号としてMACアドレスを思い浮かべた人は良い勘をしていますが、MACアドレスは製造段階で機器(正確にはネットワークインタフェース)に付けられる番号で、「インターネット上で識別するために割り当てられる」という説明文には合いません。迷ったら「インターネット上で」という限定に注目してください。

パターン2 TCP/IP4階層の空欄補充——「ア・ト・イン・ネ」

パターン解説——4階層は「役割分担の設計図」

インターネットでは、メーカーもOSも異なる機器どうしが当たり前のように通信します。それができるのは、すべての機器が共通の取り決め——プロトコル——に従っているからです。そしてインターネットの標準は、複数のプロトコルを役割ごとに束ねたTCP/IPという体系です。TCP/IPは仕事を4つの階層に分けています。これが本パターンの主役、TCP/IPの4階層です。

TCP/IPの4階層——上から「ア・ト・イン・ネ」 アプリケーション層 サービスごとのやり取りを定義(Web・メール) HTTP・HTTPS SMTP トランスポート層 転送の信頼性を確保(順序の管理・再送) TCP UDP イン インターネット層 宛先の番号と経路——目的地まで運ぶ仕組み IP ネットワークインタフェース層 直接つながった機器どうしの転送 イーサネット 左の「層の名前」と右の「個別プロトコル」を混同させるのが定番の罠 送信側は上から下へ処理して送り出し、受信側は下から上へ開いていく

図1 TCP/IPの4階層の積み木図。左の積み木(階層名)と右の札(代表プロトコル)を分けて覚える

4つの層の役割を、上から順に1つずつ言葉にします。

最上位はアプリケーション層。Webページの閲覧、電子メールの送受信といった、利用者が直接使うサービスごとのデータのやり取りを定めます。サービスの種類だけ個別のプロトコル(HTTPやSMTPなど)がある、いわば窓口の階です。

2番目はトランスポート層。送るデータを分割して番号を付け、届いた順序を整え、届かなかった分を再送する——つまり端末間の転送の信頼性を確保する層です。どのサービスのデータかにかかわらず、「確実に運ぶ」という共通の仕事を引き受けます。

3番目はインターネット層。宛先のIPアドレスをもとに、複数のネットワークをまたいでデータを目的地まで運ぶ仕組みを定めます。経路の途中にあるルータたちは、この層の情報を読んで「次にどの回線へ渡すか」を決めています。

最下位はネットワークインタフェース層。ケーブルや無線で物理的に直接つながった機器どうしがデータを受け渡すための手順を定めます。有線LANの標準規格であるイーサネットがこの層の代表です。

並びは「ア・ト・イン・ネ」——手紙にたとえて一本化

4階層は、上からプリケーション層→ランスポート層→インターネット層→ットワークインタフェース層。頭文字をとって「ア・ト・イン・ネ」です。ただの語呂で終わらせず、手紙のたとえで意味を通しておきましょう。手紙の本文を書く(アプリケーション層)→封筒に入れて通し番号を振る(トランスポート層)→宛先の住所を書く(インターネット層)→実際にトラックや飛行機で隣の集配所まで運ぶ(ネットワークインタフェース層)。内容→確実さ→宛先→物理的な運搬の順に、人間の作業から機械の作業へ降りていく——この流れが腑に落ちていれば、並べ替えを問われても順番を再現できます。目を閉じて「ア・ト・イン・ネ」と4つの層の正式名称を空で言えるか、いま試してみてください。

オリジナル類題で確認

【問2】次の文章の空欄ア〜オに入れるのに最も適当なものを、後の⓪〜⑧のうちから一つずつ選べ。

メーカーもOSも異なる機器どうしが世界中で通信できるのは、すべての機器が共通の取り決めに従っているからである。インターネットの通信は、複数のプロトコルを役割ごとに束ねた[ア]と呼ばれる体系に従って行われ、その役割は4つの階層に整理されている。最上位の[イ]層は、Webページの閲覧や電子メールなど、利用者が使うサービスごとのデータのやり取りの方法を定める。その下の[ウ]層は、データの分割や順序の管理、再送によって、端末間の転送の信頼性を確保する。さらにその下の[エ]層は、宛先の番号をもとにネットワークをまたいでデータを目的地まで運ぶ経路の仕組みを定める。最下位の[オ]層は、ケーブルや無線で直接接続された機器どうしがデータを転送するための手順を定める。

⓪ アプリケーション ① インターネット ② トランスポート ③ ネットワークインタフェース
④ HTTP ⑤ SMTP ⑥ TCP/IP ⑦ UDP ⑧ プロバイダ

STEP 1 まず選択肢を2つのグループに仕分けます。⓪〜③は階層の名前。④〜⑧はそうではないもの——④HTTP・⑤SMTP・⑦UDPは個別のプロトコル名、⑥TCP/IPはプロトコルの体系(集まり)の名前、⑧プロバイダは接続サービスを提供する事業者です。「〜層」と読める空欄(イ〜オ)に④〜⑧を入れた瞬間、「HTTP層」「プロバイダ層」という存在しない日本語が生まれます。この仕分けだけで、イ〜オの候補は⓪〜③の4つに絞れます。

STEP 2 アは「複数のプロトコルを束ねた体系」。個別プロトコル1本の名前であるHTTPやUDPでは「複数を束ねた」に合いません。事業者であるプロバイダは論外。答えは⑥TCP/IPです。

STEP 3 イ〜オは役割のキーワードで決めます。「利用者が使うサービス」→アプリケーション層、「転送の信頼性」→トランスポート層、「目的地まで運ぶ経路」→インターネット層、「直接接続された機器どうし」→ネットワークインタフェース層。埋めたら最後に、上から「ア・ト・イン・ネ」の並びになっているか検算します。

答え ア⑥ イ⓪ ウ② エ① オ③

この型の出題では、ダミーの選択肢に意味があります。1つずつ正体を確認しておきましょう。HTTPはWebページのデータの送受信に使われるアプリケーション層の個別プロトコル、SMTPは電子メールの送信・転送に使われるアプリケーション層の個別プロトコル、UDPは確認や再送を省いて速度を重視するトランスポート層のプロトコル、プロバイダ(ISP)はインターネット接続サービスを提供する事業者で、プロトコルですらありません。つまりダミーの正体を答えられること自体が次のパターン3の練習になっています。大学入試の情報でも、この「階層名と個別プロトコル名を同じ選択肢群に混ぜる」型は繰り返し出題されています。

パターン3 各層の代表プロトコルを対応させる

パターン解説——名前の意味から層が引ける

パターン2が「層の名前と役割」を問うのに対し、こちらは具体的なプロトコルがどの層に属するかを問う型です。覚えるべき代表選手は6つだけ。まず一覧で整理します。

プロトコル・規格 名前の意味 役割 属する層
HTTP/HTTPS HyperText Transfer Protocol(+Secure) Webページのデータの送受信。HTTPSは通信を暗号化したもの アプリケーション層
SMTP Simple Mail Transfer Protocol 電子メールの送信・サーバ間の転送 アプリケーション層
TCP Transmission Control Protocol(転送制御) 順序の管理と再送で確実に届ける トランスポート層
UDP User Datagram Protocol 確認・再送を省き、速さを優先して送る トランスポート層
IP Internet Protocol 宛先のアドレスを付け、経路上を目的地まで運ぶ インターネット層
イーサネット 有線LANの標準規格 直接つながった機器の間の転送 ネットワークインタフェース層

丸暗記に見えますが、実は名前の中に層のヒントが埋まっています。IPはInternet Protocolですから、そのままインターネット層。TCPのTransmission Controlは「転送の制御」、つまり確実に運ぶ仕事でトランスポート層。TCP/IPという体系の名前自体が、中核であるトランスポート層のTCPとインターネット層のIPの2つを取って付けられています。HTTPとSMTPは、どちらも「Webページ」「メール」という具体的なサービスの名前が言える時点でアプリケーション層です。

注意したいのが2つ。1つ目はHTTPSの扱いです。HTTPSはHTTPに暗号化を加えたもので、暗号化されても仕事は「Webページのやり取り」のまま。したがって層はHTTPと同じアプリケーション層です(ブラウザの鍵マークとhttpsの関係は鍵マークの正体で詳しく解説しています)。2つ目はTCPとUDPの対比です。同じトランスポート層に、性格の正反対な2人がいます。TCPは届いたかを確認し、欠けたら再送する「確実さ担当」。UDPは確認や再送を省いて、とにかく速く送り続ける「速さ担当」で、動画のストリーミング配信や通話のように、少しの欠けより遅延のほうが困る用途で使われます。「UDPは信頼性が低いから欠陥品」ではなく、用途に応じた使い分けだという点まで押さえると、正誤問題でぶれません。

オリジナル類題で確認

【問3】次のA〜Fを、TCP/IPの4階層(アプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・ネットワークインタフェース層)のいずれかにそれぞれ分類せよ。

A HTTPS(Webページの暗号化された送受信)
B イーサネット(有線LANの標準規格)
C UDP(確認を省き速度を優先する転送)
D SMTP(電子メールの送信・転送)
E IP(宛先アドレスと経路の仕組み)
F TCP(順序の管理と再送)

STEP 1 「サービスの名前が言えるか」でまず窓口の階を確定します。A(Web)とD(メール)は具体的なサービスなのでアプリケーション層。暗号化のSが付いていても層は変わりません。

STEP 2 「運び方の性質」を定めるのがトランスポート層。確実さ担当のF(TCP)と速さ担当のC(UDP)はセットでトランスポート層です。

STEP 3 残りは名前で即決。E(IP)はInternet Protocolでインターネット層。B(イーサネット)は物理的に直接つながった機器間の規格なのでネットワークインタフェース層です。

答え アプリケーション層=A・D/トランスポート層=C・F/インターネット層=E/ネットワークインタフェース層=B

仕分けの手順は毎回同じです。①サービス名が言えるならアプリケーション層 ②運び方(確実さ・速さ)の話ならトランスポート層 ③宛先と経路ならインターネット層 ④物理的な直結の話ならネットワークインタフェース層。この順に問いかければ、初見のプロトコル名が混ざっていても、説明文から層を推定できます。逆に、表の6つのどれかを「どの層のプロトコルか」と単独で聞かれる出題もあるため、表は縦(層→プロトコル)と横(プロトコル→層)の両方向で言えるようにしておきましょう。

パターン4 IPv6が128ビットで必要になった理由を選ぶ

パターン解説——「232=約43億」を自力で出す

このパターンは、共通テスト情報Ⅰで実際に出題された型です。「近年、128ビットで構成されるIPアドレスが利用されるようになった理由」を選ばせる——知識としては1行ですが、なぜそうなるかを数で説明できるかが、ひっかけ選択肢を切る力の差になります。

出発点はパターン1で確認した事実です。IPアドレスは機器を識別する番号で、重複が許されません。従来のIPv4では、この番号を32ビット、つまり0と1を32個並べて表します。1ビットにつき0か1の2通りなので、作れる番号の総数は2を32回かけた232です。

232がどれくらいの数か、概算してみましょう。210=1,024はおよそ1,000=103です。すると

232=22×230=4×(210)3≒4×(103)3=4×109

つまり約40億個。正確に計算すると4,294,967,296個、約43億個です。43億は大きな数に見えますが、世界の人口はおよそ80億人。1人に1個ずつ配ることすらできません。しかも現代は、1人がスマートフォン・パソコン・タブレットを持ち、さらにエアコンや監視カメラ、センサーといった機器(IoT機器)までインターネットに直接つながる時代です。インターネットに直接接続する機器が急増した結果、IPv4のアドレスは足りなくなりました。これがIPアドレスの枯渇問題です。

そこで、番号の桁数そのものを増やした新しい方式がIPv6です。IPv6はアドレスを128ビットで表すため、作れる番号は2128個。およそ3.4×1038個(340澗個——「澗(かん)」は1036を表す単位)という途方もない数で、地球上の全人類が1人あたり何十億個ずつ使っても尽きない規模です。試験対策としては「IPv4=32ビット=約43億個、IPv6=128ビット」を対で記憶し、43億の根拠である232の概算を一度は手で再現しておくことです。

誤答を切る軸——「アドレスは数の問題」

この型の誤答選択肢は、毎回よく似た顔ぶれです。「大容量データに対応するため」「通信を高速化するため」→それは回線や機器の性能(転送速度、bps)の話で、宛先ラベルの桁数を増やしてもデータは大きく・速くなりません。「無線LANに対応するため」→有線か無線かは物理的な接続方式(ネットワークインタフェース層の世界)の話で、無線LANの機器にもIPv4のアドレスは普通に割り当てられます。「日本語のドメイン名に対応するため」→ドメイン名は人間向けの名前でDNSの世界の話。番号であるIPアドレスの桁数とは無関係です。IPv6の128ビット化は、速度でも文字でもなく「作れる番号の個数」の問題——この1軸を持っていれば、選択肢の言い回しが変わっても切れます。

オリジナル類題で確認

【問4】従来の32ビットのIPアドレス(IPv4)に代わって、128ビットで構成されるIPアドレス(IPv6)の利用が進んでいる。その理由として最も適当なものを、次の⓪〜④のうちから一つ選べ。

⓪ 動画配信の普及により、大容量データの送受信に対応する必要が生じたため。
① スマートフォンや家電など、インターネットに直接接続する機器が急増し、割り当てられる番号が不足したため。
② 無線LANで接続する機器にもアドレスを割り当てられるようにするため。
③ 日本語など英数字以外の文字を用いたドメイン名に対応するため。
④ 通信内容の盗聴を防ぐため、アドレスを長くして解読されにくくするため。

STEP 1 問われているのは「ビット数を32から128に増やした理由」。ビット数が増えて変わるのは作れる番号の個数です。この軸で選択肢を見ます。

STEP 2 個数の話をしているのは①だけ。「直接接続する機器の急増」→「番号の不足」という因果も、232=約43億個という上限の事実と合致します。

STEP 3 残りを理由ごと切ります。⓪は転送速度・容量の話でアドレスの桁数とは無関係。②は接続方式の話で、無線の機器にもIPv4は割り当て可能。③はドメイン名(名前)の話で、番号の桁数とは別世界。④はもっともらしいですが、IPアドレスは通信の宛先として公開されて使われる番号であり、長くして隠す暗号ではありません。盗聴対策は暗号化(httpsなど)の役割です。

答え ①

共通テスト情報Ⅰでも、これと同じ「IPv6が必要になった理由」を選ばせる問題が出題されています。本問の④のような「セキュリティ風」の誤答は今後も形を変えて出るはずです。アドレスの桁数=個数の問題、速度=bpsと回線の問題、暗号化=httpsなど別の仕組みの問題と、話題の担当をはっきり分けておくことが最大の防御になります。なお冒頭の黒板の問いの答え合わせをしておくと——32ビットで作れる番号は232=約43億個。「足りなくなる」とは、この個数が、インターネットに直接つながる機器の数に追い越されるということです。

即答チェック8問——3秒で言えたら合格

仕上げに、今日の4パターンを即答形式で総ざらいします。口頭で答えてから開いてください。

Q1 TCP/IPの4階層を上から順に言え。

アプリケーション層→トランスポート層→インターネット層→ネットワークインタフェース層。「ア・ト・イン・ネ」。

Q2 「狭い範囲で自分たちで作る」ネットワークと、「広域を事業者の回線で結ぶ」ネットワークは?

前者がLAN、後者がWAN。範囲の広さと「誰が作るか」の2軸で対比する。

Q3 HTTPとSMTPが属する層と、それぞれの仕事は?

どちらもアプリケーション層。HTTPはWebページの送受信、SMTPは電子メールの送信・転送。

Q4 TCPとUDPの違いを一言で。

TCPは順序管理と再送で「確実さ」担当、UDPは確認を省く「速さ」担当。どちらもトランスポート層。

Q5 IPの仕事と属する層は?

宛先のIPアドレスをもとに、ネットワークをまたいで目的地までデータを運ぶ経路の仕組み。インターネット層。

Q6 イーサネットはどの層の規格?

ネットワークインタフェース層。物理的に直接つながった機器どうしの転送を定める有線LANの標準規格。

Q7 IPv4のアドレスは何ビットで、作れる番号は約何個?

32ビットで232=約43億個。210≒103を使えば4×109と概算できる。

Q8 IPv6が128ビットで必要になった理由を一言で。

インターネットに直接接続する機器が急増し、約43億個では番号が足りなくなったから。速度や文字の問題ではない。

仕上げの1歩

図1の積み木図を、何も見ずに白紙へ再現してみてください。4つの層の名前と並び、右の札(HTTP・HTTPS・SMTP/TCP・UDP/IP/イーサネット)まで描ければ、この分野の知識問題は完成です。描けなかった場所が、そのままあなたの復習ポイントです。仕上がったら、対策演習 第1回でDNSの障害切り分けなどの実戦問題に進んでください。

よくある質問

Q.この記事の問題は書籍『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』と同じですか?

いいえ。書籍の第1章で扱っている出題パターンの分類だけを参照し、題材・文言・選択肢はすべてWeb向けに新しく作り直した当塾のオリジナル問題です。書籍と併用すれば、同じパターンを別の問題でもう1周でき、定着の確認に使えます。

共通テスト予想問題【ネットワーク 仕上げ】——藤原進之介の独自作成問題

実際の共通テスト・試作問題の出題型を分析して作成した、本記事オリジナルの予想問題です(藤原進之介の独自作成問題であり、大学入試センターの問題の転載ではありません)。解答を隠してあるので、まず自力で解いてみてください。無断転載はご遠慮ください。

問1 TCP/IPの4階層を上位から順に並べたものはどれか。

① アプリケーション層→トランスポート層→インターネット層→ネットワークインタフェース層
② インターネット層→トランスポート層→アプリケーション層→ネットワークインタフェース層
③ ネットワークインタフェース層→インターネット層→トランスポート層→アプリケーション層は誤りで、逆順が正しい
④ 階層に順序はない

解答・解説を見る

正解:。上から「用途ごとの会話(アプリケーション)」「確実に届ける(トランスポート)」「宛先まで運ぶ(インターネット)」「物理的に送る(ネットワークインタフェース)」です。名前と役割を1対1にしてから順序を固定するのが確実です。

問2 HTTPとIPは、それぞれTCP/IP4階層のどの層のプロトコルか。

① HTTPはアプリケーション層、IPはインターネット層
② HTTPはインターネット層、IPはアプリケーション層
③ どちらもトランスポート層
④ どちらもネットワークインタフェース層

解答・解説を見る

正解:。Webという用途の会話の作法がHTTP(最上位)、宛先まで運ぶ共通の土台がIP(下から2番目)です。「プロトコル名→層」の対応は、HTTP・SMTP・TCP・IPの4つを置けるようになれば大半の設問に対応できます。

問3 IPv4のアドレスは32ビットで約43億個である。IPv6が128ビットに拡張された主な理由として最も適当なものはどれか。

① 接続する機器の爆発的な増加でIPv4のアドレスが足りなくなったから
② 通信速度を4倍にするため
③ 電波を強くするため
④ アドレスを短く覚えやすくするため

解答・解説を見る

正解:。2の32乗=約43億は、全人類が何台もの機器を持ちIoT機器まで網につながる時代には足りません。128ビットなら2の128乗個——「桁を増やす=指数的に増える」という2進法の性質が、制度変更の理由そのものになっています。

問4 データを送るとき、アプリケーションのデータに各層でヘッダが順に付け加えられていく処理の名称はどれか。

① カプセル化
② 正規化
③ 標本化
④ 抽象化

解答・解説を見る

正解:。手紙(データ)を封筒(ヘッダ)に入れ、さらに宅配の伝票を貼る——層ごとに包んでいくのがカプセル化です。受信側は逆順に開けていく。②〜④は別分野の用語で、「〜化」の語の振り分けは選択肢作りの定番です。

問5 自宅のルータの説明として最も適当なものはどれか。

① 家庭内のネットワークとプロバイダ側のネットワークの境界に立ち、パケットの行き先を振り分ける
② パソコンの画面を表示する装置である
③ 文字を入力する装置である
④ 電気を蓄える装置である

解答・解説を見る

正解:。ルータは「網と網の境目」の装置です。家の中の機器どうしの通信は内側で完結させ、外に出るべきパケットだけをプロバイダへ送る——境界に立つという位置づけが分かれば、構成図のどこに置くかも即答できます。

出題形式・題材の傾向分析は本文の「共通テストではこう出る」を参照。ほかの講の予想問題は予想問題ハブシリーズハブからどうぞ。

出典・関連資料

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」——情報通信ネットワークの仕組み(情報Ⅰ(4))に関する記述
  • 大学入試センター 大学入学共通テスト『情報Ⅰ』——実施形式(60分100点)とIPv6に関する出題(同型の出題)の確認
  • 藤原進之介『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』——本記事の出題パターン分類のベース
  • 本記事の演習問題は、上記のパターン分類をもとに数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。書籍・入試問題の転載は行っていません。

シリーズ『頻出パターン攻略』の一覧はパターン攻略ハブから。講義編『最強120講義』の全体像は120講義ハブからご覧いただけます。

「情報Ⅰ、独学でいけるのか不安」という方へ

数強塾では数学と情報Ⅰの両方に対応したオンライン個別指導を行っています。学習相談は無料、体験授業は3,000円(税込)でお受けしています。

体験授業のご案内つまずき診断(無料・約2分)

情報Ⅰ・情報Ⅱの勉強で詰まっていませんか

この記事を書いているのは、情報Ⅰ専門のオンライン個別指導「情報ラボ」(数強塾グループ)です。講義も過去問も無料で公開しているので、まず全部使ってみてください。

情報Ⅰについて相談する(無料)体験授業(3,000円)

お問い合わせの際は、内容欄に「情報Ⅰ希望」とご記入ください。担当者が直接お返事します。

数強塾オンラインのご案内

体験授業に申し込む入塾受け入れ状況(残席)数学つまずき診断(無料)体験授業の事前案内保護者の方へ高1・高2の方へ医学部志望の方へ保護者様からの声料金・指導システム指導事例・合格実績大学受験 合格実績(集計ルール開示)数強塾グループの理念学校別の数学対策数学の勉強法(記事一覧)数強塾プレミアム(映像授業)獣医学部専門コース鉄緑会・SAPIX等との併用サポート過去問解説・数学問題集毎日の数学(1日1枚 無料プリント)毎日の数学EX(難関大の名問を1日1問)共通テスト・センター数学の全問解説共通テスト「情報Ⅰ」の全問解説情報Ⅰ・情報Ⅱ専門「情報ラボ」情報の過去問アーカイブ(無料PDF)解法テクニック事典(公式・裏ワザ)入試数学の定石(解き方の型・全27章)数学の要点辞典まとめ(中1〜数学III)中1数学の要点辞典(全7単元)中2数学の要点辞典(全6単元)中3数学の要点辞典(全8単元)数学I・Aの要点辞典(全9単元)数学II・B・Cの要点辞典(全12単元)数学IIIの要点辞典(全7単元)論理と証明の要点辞典(全8章)2026年 夏期講習会2026年 冬期講習会代表・藤原進之介について
お問い合わせはこちら 学習相談は無料です