こんにちは、数強塾代表・情報Ⅰ専門塾「情報ラボ」主宰の藤原進之介です。この記事は、共通テスト情報Ⅰの頻出出題パターンを小問単位で総ざらいするシリーズ『頻出パターン攻略』の第8回、情報通信ネットワークの回です。
この記事は、私の著書『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』の第1章で扱っている出題パターンをもとに、Web向けに問題を新しく作り直し、解説を大幅に増補したものです。書籍の問題そのものは掲載していません(すべて書き下ろしのオリジナル問題です)。
共通テスト「情報Ⅰ」は2025年1月から実施されている60分100点の試験で、ネットワーク分野は学習指導要領の「(4) 情報通信ネットワークとデータの活用」に対応します。この分野の知識小問には、はっきりした特徴があります。問われる中身がほぼ4つの型に集中しているのです。用語の即答、TCP/IPの4階層の空欄補充、各層と代表プロトコルの対応、そしてIPv6が128ビットで必要になった理由。この4つを潰しておけば、ネットワークの知識問題で立ち止まる時間はほぼ消えます。
なお、当サイトには大問形式で実戦演習をする『分野別対策演習』の第1回 ネットワークとプロトコルもあります。あちらの主役はDNSの障害切り分けや家庭内LANの構成図といった「考えて絞り込む」実戦問題です。本記事の主役はその手前、4階層の役割と並びを正確に即答できるようにする知識型パターンです。土台を本記事で固め、実戦は対策演習で積む——この順番で使ってください。
パターン1 説明文からネットワーク用語を即答する
パターン解説——用語は「決め手の一言」で覚える
ネットワーク分野の語句問題は、1〜2行の説明文を読んで用語を答える形で出ます。共通テストはマーク式なので選択肢から選ぶ形になりますが、説明文だけを見て用語が言える状態まで仕上げておくと、選択肢に紛らわしい語が並んでいても迷いません。頻出の5語を、説明文のどこで決めるかという「決め手の一言」とセットで整理します。
| 用語 | 意味 | 説明文の中の「決め手」 |
|---|---|---|
| IPアドレス | インターネット上のコンピュータや通信機器を識別するために割り当てられる番号 | 「識別するため」「一意に割り当てられた番号」 |
| LAN | 学校・家庭・会社など、限られた範囲で機器を接続したネットワーク | 「狭く限られた範囲」。自分たちで機器を置いて作る |
| WAN | 離れた場所にあるLANどうしを結ぶ広域のネットワーク | 「広域」「遠隔地間」。通信事業者の回線で結ぶ |
| アプリケーション層 | Web閲覧やメールなど、利用者が使うサービスのやり取りを定める層 | 「ユーザが利用する具体的なサービス」 |
| トランスポート層 | データの分割・順序管理・再送で、端末間の転送の信頼性を確保する層 | 「確実に届ける」「信頼性」 |
ここで最重要の対比がLANとWANです。範囲の広い・狭いだけで覚えると、「学校全体のネットワークは広いからWAN?」のような迷い方をします。急所は「誰が作るか」です。LAN(Local Area Network)は、教室・家庭・オフィスといった限られた範囲に、利用者が自分たちで機器を置いて作るネットワーク。家庭のWi-Fiルータにスマートフォンとプリンタをつないだら、それはもう立派なLANです。一方WAN(Wide Area Network)は、本社と支社のように離れた場所にあるLANどうしを、通信事業者が提供する回線で結んだ広域ネットワークです。敷地の中は自前のLAN、敷地の外へ出たら事業者のWAN——「狭い・自分たちで=LAN、広域・事業者=WAN」と対で覚えてください。
もう1つ、IPアドレスの説明文にある「一意」という言葉にも立ち止まっておきましょう。一意とは「重複がなく、ただ1つに定まる」という意味です。郵便が住所の重複を許さないのと同じで、インターネット上で機器を特定するには、番号の重複があってはなりません。この「番号で、しかも一意」という2点が、後のパターン4(アドレスの個数の話)まで一直線につながっていきます。
オリジナル類題で確認
【問1】次の⑴〜⑸の説明に当てはまる語句をそれぞれ答えよ。
⑴ インターネット上のコンピュータや通信機器を互いに識別するために、機器に一意に割り当てられる番号。
⑵ TCP/IPの階層構造のうち、Webページの閲覧や電子メールの送受信など、ユーザが利用する具体的なサービスのデータのやり取りを定める層。
⑶ 教室や職場、家庭など、狭く限られた範囲の中でコンピュータや周辺機器を接続して作るネットワーク。
⑷ TCP/IPの階層構造のうち、データを分割したり順序を整理したりして、送信元と宛先の間で確実にデータを届ける役割を担う層。
⑸ 複数の拠点や地域を結び、遠隔地間を通信回線で接続する広域のネットワーク。
STEP 1 説明文の中から「決め手の一言」に印を付けます。⑴「識別するために一意に割り当てられる番号」、⑵「ユーザが利用する具体的なサービス」、⑶「狭く限られた範囲」、⑷「確実にデータを届ける」、⑸「遠隔地間」「広域」。
STEP 2 決め手から用語へ変換します。番号→IPアドレス、サービス→アプリケーション層、狭い→LAN、確実(信頼性)→トランスポート層、広域→WAN。⑵と⑷は「〜を定める層」と聞かれているので、答えにも必ず「層」まで付けます。
答え ⑴ IPアドレス ⑵ アプリケーション層 ⑶ LAN ⑷ トランスポート層 ⑸ WAN
⑴で「ドメイン名」と答えるのが典型的なミスです。ドメイン名は www.example.jp のような人間向けの名前であって、番号ではありません。説明文が「番号」と言い切っている以上、答えは番号であるIPアドレス一択です。また、機器そのものに固有の番号としてMACアドレスを思い浮かべた人は良い勘をしていますが、MACアドレスは製造段階で機器(正確にはネットワークインタフェース)に付けられる番号で、「インターネット上で識別するために割り当てられる」という説明文には合いません。迷ったら「インターネット上で」という限定に注目してください。
パターン2 TCP/IP4階層の空欄補充——「ア・ト・イン・ネ」
パターン解説——4階層は「役割分担の設計図」
インターネットでは、メーカーもOSも異なる機器どうしが当たり前のように通信します。それができるのは、すべての機器が共通の取り決め——プロトコル——に従っているからです。そしてインターネットの標準は、複数のプロトコルを役割ごとに束ねたTCP/IPという体系です。TCP/IPは仕事を4つの階層に分けています。これが本パターンの主役、TCP/IPの4階層です。
4つの層の役割を、上から順に1つずつ言葉にします。
最上位はアプリケーション層。Webページの閲覧、電子メールの送受信といった、利用者が直接使うサービスごとのデータのやり取りを定めます。サービスの種類だけ個別のプロトコル(HTTPやSMTPなど)がある、いわば窓口の階です。
2番目はトランスポート層。送るデータを分割して番号を付け、届いた順序を整え、届かなかった分を再送する——つまり端末間の転送の信頼性を確保する層です。どのサービスのデータかにかかわらず、「確実に運ぶ」という共通の仕事を引き受けます。
3番目はインターネット層。宛先のIPアドレスをもとに、複数のネットワークをまたいでデータを目的地まで運ぶ仕組みを定めます。経路の途中にあるルータたちは、この層の情報を読んで「次にどの回線へ渡すか」を決めています。
最下位はネットワークインタフェース層。ケーブルや無線で物理的に直接つながった機器どうしがデータを受け渡すための手順を定めます。有線LANの標準規格であるイーサネットがこの層の代表です。
4階層は、上からアプリケーション層→トランスポート層→インターネット層→ネットワークインタフェース層。頭文字をとって「ア・ト・イン・ネ」です。ただの語呂で終わらせず、手紙のたとえで意味を通しておきましょう。手紙の本文を書く(アプリケーション層)→封筒に入れて通し番号を振る(トランスポート層)→宛先の住所を書く(インターネット層)→実際にトラックや飛行機で隣の集配所まで運ぶ(ネットワークインタフェース層)。内容→確実さ→宛先→物理的な運搬の順に、人間の作業から機械の作業へ降りていく——この流れが腑に落ちていれば、並べ替えを問われても順番を再現できます。目を閉じて「ア・ト・イン・ネ」と4つの層の正式名称を空で言えるか、いま試してみてください。
オリジナル類題で確認
【問2】次の文章の空欄ア〜オに入れるのに最も適当なものを、後の⓪〜⑧のうちから一つずつ選べ。
メーカーもOSも異なる機器どうしが世界中で通信できるのは、すべての機器が共通の取り決めに従っているからである。インターネットの通信は、複数のプロトコルを役割ごとに束ねた[ア]と呼ばれる体系に従って行われ、その役割は4つの階層に整理されている。最上位の[イ]層は、Webページの閲覧や電子メールなど、利用者が使うサービスごとのデータのやり取りの方法を定める。その下の[ウ]層は、データの分割や順序の管理、再送によって、端末間の転送の信頼性を確保する。さらにその下の[エ]層は、宛先の番号をもとにネットワークをまたいでデータを目的地まで運ぶ経路の仕組みを定める。最下位の[オ]層は、ケーブルや無線で直接接続された機器どうしがデータを転送するための手順を定める。
⓪ アプリケーション ① インターネット ② トランスポート ③ ネットワークインタフェース
④ HTTP ⑤ SMTP ⑥ TCP/IP ⑦ UDP ⑧ プロバイダ
STEP 1 まず選択肢を2つのグループに仕分けます。⓪〜③は階層の名前。④〜⑧はそうではないもの——④HTTP・⑤SMTP・⑦UDPは個別のプロトコル名、⑥TCP/IPはプロトコルの体系(集まり)の名前、⑧プロバイダは接続サービスを提供する事業者です。「〜層」と読める空欄(イ〜オ)に④〜⑧を入れた瞬間、「HTTP層」「プロバイダ層」という存在しない日本語が生まれます。この仕分けだけで、イ〜オの候補は⓪〜③の4つに絞れます。
STEP 2 アは「複数のプロトコルを束ねた体系」。個別プロトコル1本の名前であるHTTPやUDPでは「複数を束ねた」に合いません。事業者であるプロバイダは論外。答えは⑥TCP/IPです。
STEP 3 イ〜オは役割のキーワードで決めます。「利用者が使うサービス」→アプリケーション層、「転送の信頼性」→トランスポート層、「目的地まで運ぶ経路」→インターネット層、「直接接続された機器どうし」→ネットワークインタフェース層。埋めたら最後に、上から「ア・ト・イン・ネ」の並びになっているか検算します。
答え ア⑥ イ⓪ ウ② エ① オ③
この型の出題では、ダミーの選択肢に意味があります。1つずつ正体を確認しておきましょう。HTTPはWebページのデータの送受信に使われるアプリケーション層の個別プロトコル、SMTPは電子メールの送信・転送に使われるアプリケーション層の個別プロトコル、UDPは確認や再送を省いて速度を重視するトランスポート層のプロトコル、プロバイダ(ISP)はインターネット接続サービスを提供する事業者で、プロトコルですらありません。つまりダミーの正体を答えられること自体が次のパターン3の練習になっています。大学入試の情報でも、この「階層名と個別プロトコル名を同じ選択肢群に混ぜる」型は繰り返し出題されています。
パターン3 各層の代表プロトコルを対応させる
パターン解説——名前の意味から層が引ける
パターン2が「層の名前と役割」を問うのに対し、こちらは具体的なプロトコルがどの層に属するかを問う型です。覚えるべき代表選手は6つだけ。まず一覧で整理します。
| プロトコル・規格 | 名前の意味 | 役割 | 属する層 |
|---|---|---|---|
| HTTP/HTTPS | HyperText Transfer Protocol(+Secure) | Webページのデータの送受信。HTTPSは通信を暗号化したもの | アプリケーション層 |
| SMTP | Simple Mail Transfer Protocol | 電子メールの送信・サーバ間の転送 | アプリケーション層 |
| TCP | Transmission Control Protocol(転送制御) | 順序の管理と再送で確実に届ける | トランスポート層 |
| UDP | User Datagram Protocol | 確認・再送を省き、速さを優先して送る | トランスポート層 |
| IP | Internet Protocol | 宛先のアドレスを付け、経路上を目的地まで運ぶ | インターネット層 |
| イーサネット | 有線LANの標準規格 | 直接つながった機器の間の転送 | ネットワークインタフェース層 |
丸暗記に見えますが、実は名前の中に層のヒントが埋まっています。IPはInternet Protocolですから、そのままインターネット層。TCPのTransmission Controlは「転送の制御」、つまり確実に運ぶ仕事でトランスポート層。TCP/IPという体系の名前自体が、中核であるトランスポート層のTCPとインターネット層のIPの2つを取って付けられています。HTTPとSMTPは、どちらも「Webページ」「メール」という具体的なサービスの名前が言える時点でアプリケーション層です。
注意したいのが2つ。1つ目はHTTPSの扱いです。HTTPSはHTTPに暗号化を加えたもので、暗号化されても仕事は「Webページのやり取り」のまま。したがって層はHTTPと同じアプリケーション層です(ブラウザの鍵マークとhttpsの関係は鍵マークの正体で詳しく解説しています)。2つ目はTCPとUDPの対比です。同じトランスポート層に、性格の正反対な2人がいます。TCPは届いたかを確認し、欠けたら再送する「確実さ担当」。UDPは確認や再送を省いて、とにかく速く送り続ける「速さ担当」で、動画のストリーミング配信や通話のように、少しの欠けより遅延のほうが困る用途で使われます。「UDPは信頼性が低いから欠陥品」ではなく、用途に応じた使い分けだという点まで押さえると、正誤問題でぶれません。
オリジナル類題で確認
【問3】次のA〜Fを、TCP/IPの4階層(アプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・ネットワークインタフェース層)のいずれかにそれぞれ分類せよ。
A HTTPS(Webページの暗号化された送受信)
B イーサネット(有線LANの標準規格)
C UDP(確認を省き速度を優先する転送)
D SMTP(電子メールの送信・転送)
E IP(宛先アドレスと経路の仕組み)
F TCP(順序の管理と再送)
STEP 1 「サービスの名前が言えるか」でまず窓口の階を確定します。A(Web)とD(メール)は具体的なサービスなのでアプリケーション層。暗号化のSが付いていても層は変わりません。
STEP 2 「運び方の性質」を定めるのがトランスポート層。確実さ担当のF(TCP)と速さ担当のC(UDP)はセットでトランスポート層です。
STEP 3 残りは名前で即決。E(IP)はInternet Protocolでインターネット層。B(イーサネット)は物理的に直接つながった機器間の規格なのでネットワークインタフェース層です。
答え アプリケーション層=A・D/トランスポート層=C・F/インターネット層=E/ネットワークインタフェース層=B
仕分けの手順は毎回同じです。①サービス名が言えるならアプリケーション層 ②運び方(確実さ・速さ)の話ならトランスポート層 ③宛先と経路ならインターネット層 ④物理的な直結の話ならネットワークインタフェース層。この順に問いかければ、初見のプロトコル名が混ざっていても、説明文から層を推定できます。逆に、表の6つのどれかを「どの層のプロトコルか」と単独で聞かれる出題もあるため、表は縦(層→プロトコル)と横(プロトコル→層)の両方向で言えるようにしておきましょう。
パターン4 IPv6が128ビットで必要になった理由を選ぶ
パターン解説——「232=約43億」を自力で出す
このパターンは、共通テスト情報Ⅰで実際に出題された型です。「近年、128ビットで構成されるIPアドレスが利用されるようになった理由」を選ばせる——知識としては1行ですが、なぜそうなるかを数で説明できるかが、ひっかけ選択肢を切る力の差になります。
出発点はパターン1で確認した事実です。IPアドレスは機器を識別する番号で、重複が許されません。従来のIPv4では、この番号を32ビット、つまり0と1を32個並べて表します。1ビットにつき0か1の2通りなので、作れる番号の総数は2を32回かけた232個です。
232がどれくらいの数か、概算してみましょう。210=1,024はおよそ1,000=103です。すると
232=22×230=4×(210)3≒4×(103)3=4×109
つまり約40億個。正確に計算すると4,294,967,296個、約43億個です。43億は大きな数に見えますが、世界の人口はおよそ80億人。1人に1個ずつ配ることすらできません。しかも現代は、1人がスマートフォン・パソコン・タブレットを持ち、さらにエアコンや監視カメラ、センサーといった機器(IoT機器)までインターネットに直接つながる時代です。インターネットに直接接続する機器が急増した結果、IPv4のアドレスは足りなくなりました。これがIPアドレスの枯渇問題です。
そこで、番号の桁数そのものを増やした新しい方式がIPv6です。IPv6はアドレスを128ビットで表すため、作れる番号は2128個。およそ3.4×1038個(340澗個——「澗(かん)」は1036を表す単位)という途方もない数で、地球上の全人類が1人あたり何十億個ずつ使っても尽きない規模です。試験対策としては「IPv4=32ビット=約43億個、IPv6=128ビット」を対で記憶し、43億の根拠である232の概算を一度は手で再現しておくことです。
この型の誤答選択肢は、毎回よく似た顔ぶれです。「大容量データに対応するため」「通信を高速化するため」→それは回線や機器の性能(転送速度、bps)の話で、宛先ラベルの桁数を増やしてもデータは大きく・速くなりません。「無線LANに対応するため」→有線か無線かは物理的な接続方式(ネットワークインタフェース層の世界)の話で、無線LANの機器にもIPv4のアドレスは普通に割り当てられます。「日本語のドメイン名に対応するため」→ドメイン名は人間向けの名前でDNSの世界の話。番号であるIPアドレスの桁数とは無関係です。IPv6の128ビット化は、速度でも文字でもなく「作れる番号の個数」の問題——この1軸を持っていれば、選択肢の言い回しが変わっても切れます。
オリジナル類題で確認
【問4】従来の32ビットのIPアドレス(IPv4)に代わって、128ビットで構成されるIPアドレス(IPv6)の利用が進んでいる。その理由として最も適当なものを、次の⓪〜④のうちから一つ選べ。
⓪ 動画配信の普及により、大容量データの送受信に対応する必要が生じたため。
① スマートフォンや家電など、インターネットに直接接続する機器が急増し、割り当てられる番号が不足したため。
② 無線LANで接続する機器にもアドレスを割り当てられるようにするため。
③ 日本語など英数字以外の文字を用いたドメイン名に対応するため。
④ 通信内容の盗聴を防ぐため、アドレスを長くして解読されにくくするため。
STEP 1 問われているのは「ビット数を32から128に増やした理由」。ビット数が増えて変わるのは作れる番号の個数です。この軸で選択肢を見ます。
STEP 2 個数の話をしているのは①だけ。「直接接続する機器の急増」→「番号の不足」という因果も、232=約43億個という上限の事実と合致します。
STEP 3 残りを理由ごと切ります。⓪は転送速度・容量の話でアドレスの桁数とは無関係。②は接続方式の話で、無線の機器にもIPv4は割り当て可能。③はドメイン名(名前)の話で、番号の桁数とは別世界。④はもっともらしいですが、IPアドレスは通信の宛先として公開されて使われる番号であり、長くして隠す暗号ではありません。盗聴対策は暗号化(httpsなど)の役割です。
答え ①
共通テスト情報Ⅰでも、これと同じ「IPv6が必要になった理由」を選ばせる問題が出題されています。本問の④のような「セキュリティ風」の誤答は今後も形を変えて出るはずです。アドレスの桁数=個数の問題、速度=bpsと回線の問題、暗号化=httpsなど別の仕組みの問題と、話題の担当をはっきり分けておくことが最大の防御になります。なお冒頭の黒板の問いの答え合わせをしておくと——32ビットで作れる番号は232=約43億個。「足りなくなる」とは、この個数が、インターネットに直接つながる機器の数に追い越されるということです。
即答チェック8問——3秒で言えたら合格
仕上げに、今日の4パターンを即答形式で総ざらいします。口頭で答えてから開いてください。
Q1 TCP/IPの4階層を上から順に言え。
アプリケーション層→トランスポート層→インターネット層→ネットワークインタフェース層。「ア・ト・イン・ネ」。
Q2 「狭い範囲で自分たちで作る」ネットワークと、「広域を事業者の回線で結ぶ」ネットワークは?
前者がLAN、後者がWAN。範囲の広さと「誰が作るか」の2軸で対比する。
Q3 HTTPとSMTPが属する層と、それぞれの仕事は?
どちらもアプリケーション層。HTTPはWebページの送受信、SMTPは電子メールの送信・転送。
Q4 TCPとUDPの違いを一言で。
TCPは順序管理と再送で「確実さ」担当、UDPは確認を省く「速さ」担当。どちらもトランスポート層。
Q5 IPの仕事と属する層は?
宛先のIPアドレスをもとに、ネットワークをまたいで目的地までデータを運ぶ経路の仕組み。インターネット層。
Q6 イーサネットはどの層の規格?
ネットワークインタフェース層。物理的に直接つながった機器どうしの転送を定める有線LANの標準規格。
Q7 IPv4のアドレスは何ビットで、作れる番号は約何個?
32ビットで232=約43億個。210≒103を使えば4×109と概算できる。
Q8 IPv6が128ビットで必要になった理由を一言で。
インターネットに直接接続する機器が急増し、約43億個では番号が足りなくなったから。速度や文字の問題ではない。
図1の積み木図を、何も見ずに白紙へ再現してみてください。4つの層の名前と並び、右の札(HTTP・HTTPS・SMTP/TCP・UDP/IP/イーサネット)まで描ければ、この分野の知識問題は完成です。描けなかった場所が、そのままあなたの復習ポイントです。仕上がったら、対策演習 第1回でDNSの障害切り分けなどの実戦問題に進んでください。
よくある質問
Q.この記事の問題は書籍『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』と同じですか?
いいえ。書籍の第1章で扱っている出題パターンの分類だけを参照し、題材・文言・選択肢はすべてWeb向けに新しく作り直した当塾のオリジナル問題です。書籍と併用すれば、同じパターンを別の問題でもう1周でき、定着の確認に使えます。
共通テスト予想問題【ネットワーク 仕上げ】——藤原進之介の独自作成問題
実際の共通テスト・試作問題の出題型を分析して作成した、本記事オリジナルの予想問題です(藤原進之介の独自作成問題であり、大学入試センターの問題の転載ではありません)。解答を隠してあるので、まず自力で解いてみてください。無断転載はご遠慮ください。
出題形式・題材の傾向分析は本文の「共通テストではこう出る」を参照。ほかの講の予想問題は予想問題ハブ・シリーズハブからどうぞ。
出典・関連資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」——情報通信ネットワークの仕組み(情報Ⅰ(4))に関する記述
- 大学入試センター 大学入学共通テスト『情報Ⅰ』——実施形式(60分100点)とIPv6に関する出題(同型の出題)の確認
- 藤原進之介『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』——本記事の出題パターン分類のベース
- 本記事の演習問題は、上記のパターン分類をもとに数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。書籍・入試問題の転載は行っていません。
シリーズ『頻出パターン攻略』の一覧はパターン攻略ハブから。講義編『最強120講義』の全体像は120講義ハブからご覧いただけます。
「情報Ⅰ、独学でいけるのか不安」という方へ
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