こんにちは、数強塾代表・情報Ⅰ専門塾「情報ラボ」主宰の藤原進之介です。この記事は、共通テスト情報Ⅰの知識問題を出題パターン単位で総ざらいするシリーズ『頻出パターン攻略』の第9回、テーマは図や表の読み取りです。
この記事は、私の著書『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』の第1章で扱っている出題パターンをもとに、Web向けに問題を新しく作り直し、解説を大幅に増補したものです。書籍の問題そのものは掲載していません(すべて書き下ろしのオリジナル問題です)。
図表の読み取りは、学習指導要領「情報Ⅰ」の「(4) 情報通信ネットワークとデータの活用」に対応する分野で、共通テストでは第4問(データ分析)を中心に、他の大問の中でも資料の形でくり返し登場します。大学入試センターが公表した試作問題でも、箱ひげ図から読み取れることを判定させる問題が出題されました。この分野の特徴は、計算がほとんど要らないのに、正答率が割れることです。差がつく理由ははっきりしていて、出題者が「グラフから読み取れること」と「読み取れそうで読み取れないこと」の境界線上に選択肢を並べてくるからです。境界線を知らない人は、もっともらしい文に○を付けて失点します。
なお、5数要約を自分で計算したり、分散・標準偏差を求めたりする「計算する側」の練習は対策演習 第6回(データの活用)で大問形式で扱いました。今回はその手前、図を見て「言えるか・言えないか」を判定する目を作ることに絞ります。問われ方を4つのパターンに分解し、それぞれ「パターンの解説→オリジナル類題→解き方と誤答の切り方」の順で潰していきます。演習は大問5つ・小問17問、仕上げの即答チェック8問です。図が多いので、所要時間は20分前後を見てください。
パターン1 グラフの使い分けを答える
パターンの中身──グラフは「データの種類」ではなく「見たいこと」で決まる
最初のパターンは、「◯◯を調べたい。最も適切なグラフはどれか」という出題です。教科書に載っているグラフの一覧を丸暗記しようとすると苦しくなりますが、実はこの問題、覚えるべきなのはグラフの側ではありません。「何を見たいか」という目的の側に6つの類型がある——そう捉え直すと、対応は一気に単純になります。
| 見たいこと | キーワード | グラフ | そのグラフである理由 |
|---|---|---|---|
| 全体に占める内訳 | 割合 | 円グラフ | 円全体を100%とみなし、扇形の角度で割合を表すから |
| 項目ごとの大小 | 差・比較 | 棒グラフ | 棒の長さがそのまま量。長さの差が一目で比べられるから |
| 時間にともなう増減 | 変化 | 折れ線グラフ | 隣り合う時点を線で結ぶので、傾きが変化の向きと速さを表すから |
| 2つの量の関係 | 相関 | 散布図 | 1件のデータを1つの点で打つので、点の並びが関係の形になるから |
| データの散らばり | 分布 | ヒストグラム・箱ひげ図 | 値を階級・区間に区切って、どこに多く集まるかを見る図だから |
| 複数項目のつり合い | バランス | レーダーチャート | 多角形の形と大きさで、項目間の偏りが一目で分かるから |
この表に、もう1つ足しておきたいのが帯グラフです。帯グラフは円グラフと同じ「割合」担当ですが、長方形なので複数のグループを縦に並べて割合どうしを比較できるのが強みです(この性質はパターン4で主役になります)。また、棒グラフとヒストグラムは見た目が似ていますが、棒グラフの横軸が「部活動名」のような項目なのに対し、ヒストグラムの横軸は「0分以上10分未満」のような数量の階級です。横軸を見れば区別できます。
覚え方としては、表の「キーワード」の列だけで十分です。割合・差・変化・相関・分布・バランス。問題文からこの6語のどれかを拾い出し、対応するグラフに変換する——これがこのパターンの解き方のすべてです。
問1 「何を見たいか」からグラフを選ぶ(オリジナル問題・6問)
【問1】次の(1)〜(6)の目的に最も適したグラフを、あとの⓪〜⑤から1つずつ選べ。ただし、同じ選択肢は1回しか使えないものとする。
(1) 文化祭の模擬店の売上金額全体のうち、各メニューが占める割合を見たい。
(2) 5つの部活動の部員数を比べて、どの部とどの部にどれくらい差があるかを見たい。
(3) 図書室の貸出冊数が、4月から翌年3月にかけてどのように増減したかを見たい。
(4) 1日の学習時間と定期テストの得点に、どのような関係があるかを見たい。
(5) 学年全員の50m走の記録が、どのあたりにどれくらい散らばっているかを見たい。
(6) ある生徒の5教科の得点に偏りがないか、バランスを見たい。
⓪ 円グラフ ① 棒グラフ ② 折れ線グラフ ③ 散布図 ④ ヒストグラム ⑤ レーダーチャート
STEP 1 各文からキーワードを拾います。(1)「割合」、(2)「差」、(3)「増減(変化)」、(4)「関係(相関)」、(5)「散らばり(分布)」、(6)「バランス」。6語がそのまま埋まっています。
STEP 2 キーワードをグラフに変換します。割合→円、差→棒、変化→折れ線、相関→散布図、分布→ヒストグラム、バランス→レーダーチャート。
答え (1)⓪ (2)① (3)② (4)③ (5)④ (6)⑤
迷いやすいのは(3)と(5)です。(3)は月ごとの貸出冊数を棒グラフで描くことも可能ですが、見たいのは月々の量そのものではなく「増減の変化」なので、傾きで変化を表せる折れ線グラフが最適です。「描けるか」ではなく「目的に最も合うか」で選ぶのがこの型の約束です。(5)は「50m走の記録」という連続的な数量を階級に区切って人数の分布を見るので、ヒストグラムです。棒グラフと迷ったら横軸を思い浮かべてください——横軸が数量の階級ならヒストグラムです。(6)のような教科ごとの得点を折れ線で結ぶのは不適切です。国語と数学の間に「時間的な連続性」はないので、線でつなぐ意味がありません。順序のない項目を線で結ばない、という感覚も問われどころです。
パターン2 箱ひげ図から読み取れることを判定する
パターンの中身──すべては「約25%ずつ」という1つの原理から
ここからが本題です。箱ひげ図の問題は、「次のうち、この箱ひげ図から読み取れることはどれか」という正誤判定の形で出ます。大学入試センターの試作問題でも、日本大学の情報入試でも、この型が出題されました。そして選択肢の作り方には、はっきりした癖があります。読み取れないことを、読み取れるかのように言わせるのです。
まず、読み取れる側の原理を固めます。箱ひげ図は、データを小さい順に並べて4等分する位置の値——最小値・第1四分位数・中央値(第2四分位数)・第3四分位数・最大値の5つ(5数要約)を1枚にした図です。「4等分する位置」で区切っているのだから、図は次の性質を持ちます。
ひげの端から箱、箱から反対側のひげの端まで、図は4つの区間に分かれます。どの区間にも、全データのおよそ25%ずつが入ります(データの個数によって多少前後します)。だから、箱の中(第1四分位数〜第3四分位数)は約50%、中央値から片側は約25%。冒頭の「今日の一問」の答えです。そして箱の長さは四分位範囲(=第3四分位数−第1四分位数)を表します。
この「各区間25%」から、少し意外な結論が出ます。区間の幅が狭いほど、データは密集しているのです。どの区間も持っているデータの量は同じ約25%。同じ量が狭い範囲に押し込まれていれば、そこは混み合っています。逆に、長く伸びたひげは「データが多い」のではなく、同じ25%が広い範囲にまばらに散っていることを意味します。ひげが長い区間を「データが多い区間」と読んでしまうのが、初学者の典型的な誤読です。
次に、読み取れない側です。箱ひげ図は、もとのデータを5つの値まで要約した図です。要約とは情報を捨てることですから、捨てた情報は図からは復元できません。何を捨てたのかを一覧にしておきます。
| 箱ひげ図から—— | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 最小値・最大値・中央値・四分位数 | 読み取れる | この5つを描いた図だから |
| 範囲・四分位範囲 | 読み取れる | 5数の引き算で出る(ひげ全体の長さ・箱の長さ) |
| 各区間のデータの割合(約25%) | 読み取れる | 四分位数の定義そのもの |
| 平均値 | 読み取れない | 5数要約に含まれない(+印で別に描き込む流儀もある) |
| 分散・標準偏差 | 読み取れない | 全データの平均からの離れ具合が必要。5数からは計算できない |
| データの個数 | 読み取れない | 10人分でも1万人分でも、5数が同じなら同じ図になる |
| 分布の山の形(山が1つか2つか) | 読み取れない | 形の情報はヒストグラムの担当。要約の段階で失われている |
出題者が○×の境界に置いてくる文は、だいたい次の3類型です。類型1:要約で捨てた情報を聞く——「平均値は◯点である」「受験者は◯人である」。図に描かれていない量を、さも読めるかのように断定します。類型2:割合と個数をすり替える——「この区間のデータの個数が最も多い」。割合なら言えても、個数は総数が分からない限り言えません。類型3:似た量に飛躍する——「箱が長いから分散も大きい」。箱の長さが表すのは四分位範囲であって、分散は別の物差しです。四分位範囲は真ん中50%の広がりしか見ていないので、両端のデータの散り方しだいで、四分位範囲が大きくても分散が小さいことはあり得ます。判定に迷ったら、こう自問してください——「この文は、5つの値と『各区間約25%』だけから導けるか?」。導けるなら○、個数・平均・分散・山の形が必要なら、その時点で×です。
問2 箱ひげ図の○×判定(オリジナル問題・4問)
【問2】図1は、あるクラスで実施した数学と英語の小テスト(いずれも20点満点)の得点を、教科ごとに箱ひげ図にまとめたものである。次のア〜エの各記述について、図1から正しいと判断できるものには○を、誤っているか、図1からは判断できないものには×を付けよ。
ア 四分位範囲は、数学の方が英語よりも大きい。
イ 数学の得点が最も集中している(単位幅あたりのデータが最も多い)のは、8点から10点までの区間である。
ウ 数学の得点の分散は、英語の得点の分散よりも大きい。
エ 図1から、数学の小テストを受けた人数を求めることができる。
STEP 1 図から5数を読み出します。数学は最小値4・第1四分位数8・中央値10・第3四分位数15・最大値19。英語は最小値6・第1四分位数10・中央値13・第3四分位数15・最大値20。○×判定は、この10個の数字と「各区間約25%」だけを武器に行います。
STEP 2 各記述に「読み取れる側の話か、捨てられた側の話か」のラベルを貼ります。ア=四分位範囲(読み取れる側)。イ=集中の度合い(25%ルールで判定できる側)。ウ=分散(捨てられた側)。エ=人数(捨てられた側)。この時点でウ・エは×の疑いが濃厚です。
答え ア○ イ○ ウ× エ×
ア:○。四分位範囲は箱の長さです。数学は15−8=7点、英語は15−10=5点なので、数学の方が大きい。図の上では「箱が長い方が四分位範囲が大きい」と、計算せず目で判定できます。
イ:○。数学の4区間の幅は、4〜8点が4、8〜10点が2、10〜15点が5、15〜19点が4。どの区間にも約25%ずつ入っているのだから、最も幅の狭い8〜10点の区間が最も密集しています。仮に受験者が40人なら、幅2点の中に約10人がひしめいている計算です。
ウ:×。これが類型3の罠です。「数学の方が箱が長い(四分位範囲が大きい)」は正しくても、そこから「分散も大きい」へは飛べません。分散はすべてのデータの平均からの離れ具合で決まる量で、箱ひげ図が捨てた情報を必要とします。同じ箱でも、データが箱の両端に張り付いているか中央値付近に固まっているかで分散は変わります。箱ひげ図から分散の値は分からない——この1行はそのまま試験で使えます。
エ:×。類型1の罠です。箱ひげ図は5数の位置しか描いていないので、人数の情報を持ちません。10人の小テストでも400人の模試でも、5数が同じなら図はまったく同じになります。「15点以上はおよそ25%」という割合なら言えますが、「15点以上は◯人」という個数は言えない——割合と個数の線引きが、このパターンの核心です。
パターン3 ヒストグラムから中央値の階級を求める
パターンの中身──「中央値そのもの」は分からないが、「いる場所」は分かる
ヒストグラムの定番は、「中央値が含まれる階級はどれか」という出題です。北海道情報大学の情報入試では、中央値が含まれる階級の階級値を答えさせる同型の問題が出題されています。ここでも「読み取れる/読み取れない」の線引きが効いています。ヒストグラムは個々の値を階級にまとめた図なので、中央値そのものの値(たとえば33.5分)は読み取れません。しかし、中央値がどの階級に入っているかは、次の手順で必ず特定できます。
データの個数(度数の合計)をNとします。中央値は小さい方からおよそN/2番目の値です(Nが偶数ならN/2番目と(N/2+1)番目の平均)。そこで、左の階級から度数を足していき(累積度数)、初めてN/2番目に到達する階級を探します。その階級が中央値の居場所です。なぜこれで見つかるかというと、累積度数は「その階級までに何番目のデータまでが入っているか」を教えてくれる数だからです。N/2番目をまたいだ瞬間の階級に、真ん中の人が立っています。
この型の誤答には決まった顔ぶれがあります。最大の罠は、度数が最も大きい階級(山の頂上)を選んでしまうことです。山の頂上は「最頻値の階級」であって、中央値の階級とは別物です。分布の山が左に寄っていれば、真ん中の人は頂上より右にいます。もう1つの罠は、横軸の真ん中あたりの階級を感覚で選ぶことです。中央値は「値の真ん中」ではなく「順位の真ん中」——数えて見つけるものです。
問3 通学時間400人のヒストグラム(オリジナル問題・2問)
【問3】図2は、ある高校の全校生徒400人の通学時間を、10分ごとの階級に区切ってまとめたヒストグラムである。
(1) 通学時間の中央値が含まれる階級を、次の⓪〜③から1つ選べ。
⓪ 20分以上30分未満 ① 30分以上40分未満 ② 40分以上50分未満 ③ この図からは判断できない
(2) 通学時間の中央値を、それが含まれる階級の階級値で推定するとき、推定値として最も適当なものを次の⓪〜③から1つ選べ。
⓪ 25分 ① 30分 ② 35分 ③ 45分
STEP 1 N=400なので、中央値は小さい方から200番目と201番目の平均です。探すのは「200番目・201番目の人がいる階級」です。
STEP 2 左から累積度数を作ります。表にすると次のとおりです。
| 階級(分) | 0〜10 | 10〜20 | 20〜30 | 30〜40 | 40〜50 | 50〜60 | 60〜70 | 70〜80 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数(人) | 30 | 70 | 90 | 80 | 60 | 40 | 20 | 10 |
| 累積度数(人) | 30 | 100 | 190 | 270 | 330 | 370 | 390 | 400 |
STEP 3 累積度数が「20分以上30分未満」まででは190人。まだ200番目に届きません。「30分以上40分未満」まで足すと270人。ここで初めて200を超えました。つまり191番目から270番目の人がこの階級におり、200番目も201番目もここにいます。
答え (1)① (2)②
(1)の最大の誤答は⓪です。度数最大の階級(20分以上30分未満・90人)は山の頂上、すなわち最頻値の階級であって、中央値の階級ではありません。この分布は山が左に寄っている(右にすそが長い)ため、真ん中の人は頂上より右の階級にいます。③を選んだ人は「ヒストグラムから中央値は分からない」と過剰に慎重になったパターンですが、値そのものは分からなくても、含まれる階級は累積度数で特定できます。「どこまで読み取れるか」の線を正確に引けるかが問われているわけです。(2)は、30分以上40分未満の階級の真ん中の値(階級値)なので、(30+40)÷2=35分。①の30分は階級の端の値で、階級値ではありません。なお、同じ発想で「階級値×度数」を合計して平均値を推定させる出題もあります。ヒストグラムから正確な平均値は分かりませんが、階級値で代表させた推定ならできる——ここでも「分かる/分からない/推定ならできる」の3段階を区別してください。
パターン4 棒グラフと帯グラフの併読・相関係数の解釈
パターンの中身──実数の軸と割合の軸を分けて持つ
共通テスト情報Ⅰでは、1種類のグラフを読ませるだけでなく、棒グラフ(実数)と帯グラフ(割合)を並べて出し、両方を行き来させる問題が出題されています。この型の選択肢の文は、実は3種類しかありません。
| 文のタイプ | 例 | 使うグラフ |
|---|---|---|
| 実数の比較 | 「利用者数が最も多いのは◯◯だ」 | 棒グラフだけ |
| 割合の比較 | 「◯◯目的の割合が最も高いのは◯◯だ」 | 帯グラフだけ |
| 割合×実数の比較 | 「◯◯目的の人数が最も多いのは◯◯だ」 | 両方(掛け算が必要) |
判定の手順は、文中の量に下線を引くことから始まります。その量は人数(実数)ですか、割合ですか。人数なら棒、割合なら帯。そして「◯◯目的の人数」のように内訳の実数が出てきたら、それはどちらのグラフにも直接は描かれていません。全体の実数(棒)×内訳の割合(帯)という掛け算で自分が作る量です。ここで手を動かさず、「割合が高いのだから人数も多いだろう」と雰囲気で流すと、出題者の思うつぼです。割合の1位と人数の1位は、母数が違えば平気で食い違います。
問4 図書館の利用者数と利用目的(オリジナル問題・4問)
【問4】ある市の3つの地区(中央・東・西)にはそれぞれ市立図書館が1つずつある。図3は、地区ごとの図書館の年間利用者数を棒グラフで、利用目的の内訳の割合を帯グラフで表したものである。次のア〜エの各記述について、図3から正しいと判断できるものには○を、誤っているか、図3からは判断できないものには×を付けよ。
ア 学習(自習)を目的とする利用の割合が最も高いのは、東地区である。
イ 学習(自習)を目的とする利用者の人数が最も多いのも、東地区である。
ウ 貸出を目的とする利用者の人数は、東地区の方が西地区よりも多い。
エ 帯グラフだけが与えられた場合でも、貸出を目的とする利用者の人数が最も多い地区を特定できる。
STEP 1 各記述の量にラベルを貼ります。ア=「割合」→帯だけ。イ=「人数」しかも学習目的という内訳→両方+掛け算。ウ=「人数」の内訳→両方+掛け算。エ=帯だけで人数が分かるか、というグラフの能力そのものを問う文です。
STEP 2 掛け算が必要なイ・ウは、実際に計算します。学習目的の人数:中央=12万×0.30=3.6万人、東=8万×0.40=3.2万人、西=5万×0.20=1.0万人。貸出目的の人数:中央=12万×0.55=6.6万人、東=8万×0.40=3.2万人、西=5万×0.60=3.0万人。
答え ア○ イ× ウ○ エ×
ア:○。割合の比較なので帯グラフだけで決着します。学習の割合は東40%・中央30%・西20%で、東が最高です。
イ:×。ここが本丸です。割合1位の東は8万人×40%=3.2万人。一方、割合では2位の中央は、母数が大きいので12万人×30%=3.6万人。人数の1位は中央地区です。「割合が最も高い=人数も最も多い」という直感を、掛け算が裏切ります。
ウ:○。貸出の割合は西60%>東40%ですが、人数は東3.2万人>西3.0万人。今度は割合の大小と人数の大小が逆転する例です。イとウをセットで体験しておくと、「割合と人数は別の土俵」という感覚が身につきます。
エ:×。帯グラフが持っているのは割合の情報だけです。各地区の全体の人数(棒グラフの実数)がなければ、割合をいくら眺めても人数は出てきません。パターン2の「箱ひげ図から人数は分からない」と同じく、そのグラフが何の情報を持っていて、何を捨てているかを問う文でした。
相関係数の解釈──数字が語ること・語らないこと
図表読み取りの締めくくりとして、散布図とセットで問われる相関係数の解釈を1問やります。相関係数は2つの量の間の直線的な関係の強さと向きを、−1以上1以下の1つの数字に要約したものです。要約であるからには、ここにも「語れること/語れないこと」の線があります。語れるのは2つ——絶対値が1に近いほど、散布図の点の並びは1本の直線に近づくこと。そして符号が正なら右上がり、負なら右下がりの傾向であること。語れないことの筆頭が因果関係です。相関係数がどれほど1に近くても、「一方が他方の原因だ」とは、その数字からは一切言えません。
【問5】相関係数について述べた文として最も適当なものを、次の⓪〜③から1つ選べ。
⓪ 相関係数が正であれば、散布図の点はすべて右上がりの1本の直線上に並ぶ。
① 相関係数の絶対値が1に近いほど、散布図の点の並びは直線に近づく。
② 2つの量の相関係数が0.9であれば、一方の量が他方の量の原因であると判断できる。
③ 相関係数は負の値をとることはない。
答え ①
⓪は「正=右上がりの傾向」を「直線上に並ぶ」に強めた誤りです。点がすべて直線上に乗るのは相関係数がちょうど1(または−1)のときだけで、正というだけなら点は散らばっていて構いません。②が最重要の誤りです。たとえば「気温」と「アイスの売上」の相関が強くても、アイスを売れば気温が上がるわけではありませんし、2つの量の背後に共通の原因(第3の変数)が隠れていることもあります。相関は「一緒に動く」ことしか語らず、因果は語らない——共通テストが繰り返し突いてくる論点です。③は定義違反で、相関係数は−1以上1以下。負の値は右下がりの傾向を表します。この論点の掘り下げは講義編に譲ります。
即答チェック8問──3秒で答える
仕上げです。声に出して即答してから、答えを開いてください。
Q1 2つの量の関係(相関)を見たいときに使うグラフは?
散布図。割合なら円・帯、差なら棒、変化なら折れ線、分布ならヒストグラム・箱ひげ図、バランスならレーダーチャート。
Q2 箱ひげ図の「箱」の中には全データの約何%が入る? 箱の長さは何を表す?
約50%。箱の長さは四分位範囲(第3四分位数−第1四分位数)。
Q3 ひげと箱で区切られた4つの区間には、それぞれ約何%ずつ入る?
約25%ずつ。四分位数が「4等分する位置の値」だから。
Q4 箱ひげ図で、データが最も集中している区間の見つけ方は?
最も幅の狭い区間を探す。同じ約25%が狭い範囲に詰まっているほど密度が高い。ひげが長い=データが多い、ではない。
Q5 箱ひげ図から、分散の値とデータの個数は読み取れる?
どちらも読み取れない。箱ひげ図は5数要約の図で、要約で捨てた情報は復元できない。
Q6 度数の合計がNのヒストグラムで、中央値の階級を見つける手順は?
左から累積度数を足していき、初めてN/2番目に到達する階級を選ぶ。度数最大の階級(最頻値の階級)と混同しない。
Q7 帯グラフだけから「◯◯目的の人数」は求められる?
求められない。帯グラフは割合だけ。人数には全体の実数(棒グラフなど)との掛け算が必要。
Q8 相関係数の「絶対値」と「符号」はそれぞれ何を語る? 因果は?
絶対値は直線への近さ、符号は右上がりか右下がりかの向き。因果関係は相関係数からは分からない。
このパターンは完成です。数日おいてこの8問だけ回し直すと、記憶が長期化します。あやふやだった問いは該当パターンに戻り、「なぜ25%きざみなのか」「なぜ要約から復元できないのか」という理由から確認してください。理由ごと理解した線引きは、初見の図でもそのまま機能します。
よくある質問
Q.この記事の問題は書籍『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』と同じものですか?
いいえ。書籍第1章の出題パターンの分類だけを土台に、図・数値・題材・選択肢をすべて新しく書き下ろした当塾のオリジナル問題です。書籍と併用すれば、同じパターンを別の問題で2周でき、定着の確認に役立ちます。
共通テスト予想問題【図表読み取り 仕上げ】——藤原進之介の独自作成問題
実際の共通テスト・試作問題の出題型を分析して作成した、本記事オリジナルの予想問題です(藤原進之介の独自作成問題であり、大学入試センターの問題の転載ではありません)。解答を隠してあるので、まず自力で解いてみてください。無断転載はご遠慮ください。
出題形式・題材の傾向分析は本文の「共通テストではこう出る」を参照。ほかの講の予想問題は予想問題ハブ・シリーズハブからどうぞ。
出典・関連資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」——「(4) 情報通信ネットワークとデータの活用」のデータの収集・整理・分析に関する記述
- 大学入試センター 大学入学共通テスト『情報Ⅰ』試作問題・本試験——箱ひげ図・複数グラフの読み取りの出題の型を参照
- 藤原進之介『共通テストパターンドリル情報Ⅰ』——本記事のパターン分類の元になった著書(問題の転載はありません)
- 本記事の演習問題(問1〜問5・即答チェック)と図1〜図3のデータは、上記の出題傾向および同型の入試出題(大学入試センター試作問題、日本大学・北海道情報大学の情報入試等)の型を参考に、数強塾が独自に作成したオリジナル問題・オリジナルデータです。
シリーズ『頻出パターン攻略』の一覧はパターン攻略ハブから。講義編『最強120講義』の全体像は120講義ハブ、大問形式の実戦演習は分野別対策演習ハブからご覧いただけます。
「情報Ⅰ、独学でいけるのか不安」という方へ
数強塾では数学と情報Ⅰの両方に対応したオンライン個別指導を行っています。学習相談は無料、体験授業は3,000円(税込)でお受けしています。