こんにちは、数強塾代表の藤原進之介です。この記事は、私が普段行っている「情報Ⅰ」の共通テスト対策の授業のうち、ネットワークとプロトコルの回をもとに、Web教材として読めるように再構成した演習版です。講義で扱った要点の整理と、授業で実際に解いてもらっている演習問題を、Web用に作り直したオリジナル問題として収録しています。
共通テスト「情報Ⅰ」は2025年1月から実施されている60分100点の試験で、ネットワーク分野は学習指導要領「情報Ⅰ」の「(4) 情報通信ネットワークとデータの活用」に対応する頻出分野です。TCP/IPやDNSといった用語そのものを問う出題だけでなく、「この状況で通信できるのはどれか」「障害の原因はどこか」を仕組みから絞り込ませる問題が目立ちます。つまり、用語カードの暗記だけでは得点になりません。
この記事では、最初に「試験で使う形」に絞って知識を整理し、後半で演習問題を4テーマ・計10問解きます。所要時間はおよそ40〜60分です。腰を据えて取り組んでください。
要点整理──試験で使う形だけを4枚に圧縮
まず、この分野の知識を「試験で問われる形」に絞って整理します。基礎からの丁寧な解説は『情報Ⅰ 最強120講義』の該当講に譲り、ここでは演習に必要な骨組みだけを並べます。
1枚目 ネットワークの全体像──「誰が作るか」で分ける
| 用語 | 意味 | 試験での急所 |
|---|---|---|
| LAN | 学校・家庭・企業など限られた範囲のネットワーク。自分たちで機器を置いて作る | Local=局所。家のWi-Fiが作るのはLAN |
| WAN | 複数のLANを広域で結ぶネットワーク。通信事業者がサービスとして提供する | Wide=広域。「作る人」がLANと違う |
| インターネット | 世界中のLANやWANを相互接続した、地球規模のネットワークの集合体 | 「単独の巨大ネットワークが存在する」と言い切る選択肢は誤り |
ルータ=ネットワークとネットワークを接続する(外への玄関)。ハブ=1つのLANの中で接続口を増やす(経路は選ばない)。アクセスポイント=有線LANと無線(Wi-Fi)をつなぐ電波の出入口。家庭用の「Wi-Fiルータ」はこの3役が1台に合体した機器で、試験では分解して問われます。無線の電波は誰でも受け取れるため、暗号化の設定(WPA2/WPA3など)とセットで問われる点も押さえてください。
2枚目 プロトコルとTCP/IP──通信の共通語
通信プロトコルとは、データのやり取りの手順や表現形式に関する取り決めのことです。メーカーもOSも違う機器どうしが一発で通じ合えるのは、同じ約束に従っているからです。インターネットの標準はTCP/IPで、役割を階層に分けています。
| 階層 | 名前 | 役割 | プロトコル例 |
|---|---|---|---|
| 第4層 | アプリケーション層 | アプリごとの固有のやり取り | HTTP・SMTP |
| 第3層 | トランスポート層 | 正しく送り届ける(順番・再送) | TCP |
| 第2層 | インターネット層 | 宛先・経路を決める | IP |
| 第1層 | ネットワークインタフェース層 | 通信機器・伝送路に関する処理 | イーサネット |
データは送信前にパケットという小さな単位に分割されます。1本の回線を占有する電話(回線交換)と違い、パケット交換なら1本の回線をみんなで共有できるからです。パケットが届くまでの流れを1枚の図にしておきます。
TCPの仕事は正確さ。分割データに順番の番号を付け、届いたと確認できないものは再送します。IPの仕事は届け先。各パケットに宛先のIPアドレスを付け、経路上のルータがそれを見て運びます。設問の主語がTCPなら「順番・再送」、IPなら「宛先・経路」を選ぶ——これだけで空欄補充の大半が片づきます。
3枚目 IPアドレスとDNS──住所と電話帳
| 用語 | 要点 | 数字で覚える |
|---|---|---|
| IPアドレス | ネットワーク上の機器を区別する番号。ネット上の住所 | IPv4は32ビット(8ビットずつ4つに区切り10進表記) |
| IPv6 | IPv4の枯渇を受けて移行が進む新しい方式 | 128ビット。「32と128」を対で覚える |
| グローバルIP | インターネット上で使う、世界で一意の番号 | 重複禁止 |
| プライベートIP | LANの中だけで通用する番号 | よその家のLANと同じでも衝突しない |
| DNS | ドメイン名とIPアドレスを対応づける仕組み(名前解決) | 人間は名前で呼び、機械は番号で通信する。その橋渡し |
ドメイン名は右から読むのがコツです。たとえば www.aozora-hs.ed.jp なら、右端の jp が国(日本)、ed が組織の種別(初等中等教育機関)、aozora-hs が組織そのものの名前です。住所と逆で、左へ行くほど細かい区分になります。組織種別は ac=大学など・ed=小中高など・co=会社・go=政府機関 の4つを覚えておけば足ります。
もう1つ、転送速度の単位 bps(bits per second)は「1秒間に送れるビット数」です。100Mbpsなら1秒間に1億ビット。bの字はビットであってバイトではないので、バイトで問われたら8で割って換算します。この換算ミスを誘う出題が定番です。
4枚目 電子メール──送りは全部SMTP、取り出しだけPOP/IMAP
演習1 プロトコルとTCP/IPの役割分担
ここからが本編です。以下の演習問題は、実際の入試での出題傾向(大学入試センター試験「情報関係基礎」や各大学の情報入試で繰り返し出ている型)をふまえて、当塾が独自に作成したオリジナル問題です。まず自力で解いてから解説を読んでください。
【問1】次の文章の空欄ア〜オに入る語句を、それぞれの選択肢から1つずつ選べ。
コンピュータどうしがネットワークを通じてデータをやり取りするための、手順やデータ形式に関する共通の取り決めを[ア]という。インターネットで標準的に使われるTCP/IPでは、送信するデータを小さな単位に分割し、TCPが各データに[イ]を付けて送り出す。受信側に届いたことが確認できない分割データがあると、送信側のTCPはそのデータを[ウ]する。一方IPは、分割された各データに[エ]を含む情報を付け加える。経路の途中にある[オ]は、この[エ]を読み取って、次にどの回線へ転送するかを決めている。
ア:⓪ 利用規約 ① 暗号方式 ② プロトコル ③ オペレーティングシステム
イ:⓪ 順番を表す番号 ① 圧縮の方式 ② 暗号の鍵 ③ 有効期限
ウ:⓪ 破棄 ① 再送 ② 複製 ③ 暗号化
エ:⓪ 宛先のIPアドレス ① 宛先のドメイン名 ② 受信者の氏名 ③ パスワード
オ:⓪ ハブ ① アクセスポイント ② モデム ③ ルータ
STEP 1 アは定義文。「共通の取り決め」とくればプロトコルと即決します。利用規約はサービスと利用者の契約、暗号方式は秘匿の技術で、機器どうしの「共通語」ではありません。
STEP 2 イ・ウは主語がTCP。TCPの仕事は「正確さ」でした。分割時に付けるのは順番、届かなければ再送。ここで「暗号化」を選ばせるのが定番の罠ですが、暗号化はTCPの分担ではありません。
STEP 3 エ・オは主語がIP。パケットに入る宛先は番号(IPアドレス)です。ドメイン名のままでは機械は通信できません(後の演習2で効いてきます)。そして宛先を見て経路を選ぶ装置はルータ。ハブは差した機器をまとめるだけで、経路は選びません。
答え ア② イ⓪ ウ① エ⓪ オ③
主語がTCPなら「順番・再送」、IPなら「宛先・経路」。空欄単体で考えず、文の主語を先に確認してから選択肢を見るのがこの型の解き方です。センター試験「情報関係基礎」でも、これとほぼ同じ骨組みの空欄補充が出題されています(2014年本試験)。
演習2 「IPアドレス直打ちなら繋がる」──障害の切り分け
【問2-1】タクミさんが自宅のパソコンで、通っている高校のWebサイト https://www.aozora-hs.ed.jp を開こうとしたところ、エラーが表示されて閲覧できなかった。ところが、学校で配られたプリントに載っていたIPアドレスを使って https://203.0.113.45 と直接入力したところ、同じサイトが正常に表示された。この状況の原因として最も適当なものを選べ。
⓪ 学校のWebサーバが停止している
① タクミさんのパソコンが名前解決に使うDNSの設定・接続に問題がある
② 学校側のセキュリティ設定で、自宅からのアクセスがすべて遮断されている
③ 自宅のWi-Fiの暗号化キーの入力が間違っている
STEP 1 「できたこと」から正常な部分を消します。IPアドレス直打ちで表示できた——ということは、自宅の回線も、途中の経路も、学校のWebサーバも全部生きています。この時点で⓪と②は消えます。
STEP 2 ③なら、そもそもインターネットに出られないので、IP直打ちでも表示できないはずです。これも消えます。
STEP 3 失敗したのは「ドメイン名で開いたとき」だけ。ドメイン名→IPアドレスの変換(名前解決)だけが死んでいる。名前解決の担当はDNSなので、答えは①です。
答え ①
冒頭の「今日の一問」の答え合わせでもあります。症状の差分(名前ではダメ・番号なら通る)が、そのまま故障箇所(名前と番号の変換係)を指している——この切り分けの発想は、2025年の麗澤大学の情報入試でも同じ型で出題されており、共通テストでも障害切り分け問題の基本になっています。
【問2-2】ドメイン名 www.aozora-hs.ed.jp について、「aozora-hs」「ed」「jp」が表すものの組み合わせとして正しいものを選べ。
⓪ aozora-hs:国名 ed:組織名 jp:組織種別
① aozora-hs:組織名 ed:国名 jp:組織種別
② aozora-hs:組織名 ed:組織種別 jp:国名
③ aozora-hs:組織種別 ed:組織名 jp:国名
答え ②
ドメイン名は右から大きい順。jp=国(日本)→ ed=組織種別(小・中・高などの教育機関)→ aozora-hs=組織名の順に細かくなります。ac=大学など、co=会社、go=政府機関もセットで覚えてください。「住所の逆順」と唱えると忘れません。
演習3 メールはどのプロトコルで運ばれるか
【問3-1】生徒会役員のミナトさんは、文化祭への出演依頼のメールを地域の吹奏楽団に送った。メールは次の経路で届く。
ミナトさんのメールソフト →(あ)→ ミナトさんが利用するメールサーバ →(い)→ 吹奏楽団側のメールサーバ →(う)→ 楽団担当者のメールソフト
(あ)〜(う)で使われるプロトコルの組み合わせとして正しいものを選べ。
⓪ あ:SMTP い:SMTP う:SMTP
① あ:SMTP い:SMTP う:POPまたはIMAP
② あ:SMTP い:POPまたはIMAP う:SMTP
③ あ:POPまたはIMAP い:SMTP う:SMTP
STEP 1 図2を思い出します。「送る」向きの矢印は、パソコンからサーバへも、サーバからサーバへも、すべてSMTPです。(あ)(い)はSMTPで確定。
STEP 2 最後の1本(う)だけは性質が違います。メールは担当者の手元に自動で飛び込むのではなく、宛先サーバのメールボックスに保管され、受信者が自分で取りに行きます。この取り出しに使うのがPOPまたはIMAPです。
答え ①
「最後の1本だけPOP/IMAP、それ以外は全部SMTP」。矢印の空欄がいくつあっても、この1行で解けます。麗澤大学の2025年の入試でも、まったく同じ骨組みの出題がありました。
【問3-2】楽団の担当者は、このメールを事務所のパソコンと外出先のスマートフォンの両方で読みたいと考えている。受信に使うプロトコルとして適しているのはPOPとIMAPのどちらか。理由とともに答えよ。
答え IMAP
POPはメールをサーバから端末に取り込み、原則としてサーバ側からは削除します。パソコンで取り込んでしまうと、スマートフォンからはもう読めません。IMAPはメールをサーバに残したまま閲覧するので、複数の端末から同じメールボックスを読めます。「複数の端末で読みたい」というキーワードが出たら答えはIMAP——共通テストでも問われやすい対比です。
演習4 家庭内LANの障害を1か所に絞り込む
最後は、共通テストで実際に出題されている「家庭のネットワーク構成図から障害箇所を絞る」型です。2025年の共通テスト(旧情報)で同型の問題が出ており、今後も形を変えて出続けると私は見ています。以下は当塾のオリジナル設定です。
【設定】ユウキさんの家のネットワークは次のとおり。
- 光回線の終端装置(ONU)と Wi-FiルータRが、LANケーブルXで接続されている
- ルータRのLANポートから有線でデスクトップパソコンPが接続されている
- ルータRの無線(Wi-Fi)でノートパソコンNとネットワークカメラCが接続されている
- カメラCの映像は、インターネット上のクラウド見守りサービスにいったんアップロードされ、各端末はそのサービス経由で映像を見る
- ユウキさんのスマートフォンSは外出中で、携帯電話会社の回線で通信している
【問4-1】ある日、ケーブルXがONUから抜けていた。この状態でも可能なことを、次からすべて選べ。
⓪ PでWebサイトを閲覧する
① PからルータRの設定画面を開く
② NでカメラCの映像を見る
③ SでカメラCの映像を見る
④ SでWebサイトを閲覧する
STEP 1 まず壊れた場所に印を付けます。Xは「家と外の境界」の1本。つまり家の中(LAN内)の通信は無傷、外(インターネット)に出る通信は全滅です。
STEP 2 各選択肢の通り道をなぞり、「インターネットを通るか?」だけで判定します。⓪はXを通って外に出るので不可。①はP→RでLAN内で完結するので可能。ルータの設定画面は家の中にあるのがポイントです。
STEP 3 ②が最大の罠です。NもCも同じ家の中にありますが、映像はいったん外のクラウドサービスに上がってから各端末に配信されます。家から映像をアップロードできない時点で、Nからも(そして③のSからも)見られません。④のSは携帯回線で通信しており、家のLANとは無関係なので可能です。
答え ①と④
「同じ家の中だから直接つながるはず」という生活感覚を、実際の通信経路(クラウド経由)で上書きできるかを試す問題です。経路を図に描いてなぞる習慣があれば確実に取れます。
【問4-2】ケーブルXを差し直して復旧した1週間後、今度はNでWebサイトが閲覧できなくなった。調べると、(1)PからはWebサイトを閲覧できる、(2)カメラCの映像は、PからもSからも見られない、ことが分かった。障害の原因が1か所だとすると、それはどこか。
⓪ Nの無線LAN機能
① ONU
② ルータRの無線アクセスポイント機能
③ Sの携帯電話回線
④ ケーブルXの接続
STEP 1 できたことから消します。PからWebが見られる=外への経路(ONU・X・Rのルータ機能)は正常。①と④が消えます。
STEP 2 できないことの共通点を探します。死んでいるのはN(Web不可)とC(映像を上げられない)。この2台の共通点は「Rに無線でつながっている」ことです。
STEP 3 ⓪N単体の故障では、Cの映像が見られないことを説明できません。③Sの回線が原因なら、PからもCの映像が見られない事実と矛盾します(Pは家の回線で見に行って失敗している)。無線の2台を同時に倒せる1か所——ルータRのアクセスポイント機能。答えは②です。
答え ②
カメラの映像が「見る側」ではなく「上げる側」の障害で全滅する、という因果をつかめたかが勝負です。障害切り分けの手順は毎回同じ——できたことで正常箇所を消し、できないことの共通点で原因を1か所に絞る。この2行は共通テストの構成図問題全般で通用します。
解法の型まとめ──3秒チェック
今日の演習で使った「型」を、即答できる形で並べます。口頭で答えてから開いてください。
Q1 空欄補充で最初に確認するものは?
文の主語。TCPなら「順番・再送」、IPなら「宛先・経路」、装置なら「役割」で決める。
Q2 「ドメイン名では開けないがIP直打ちなら開ける」——原因は?
名前解決(DNS)の障害。できたことから正常箇所を消すのが切り分けの第一手。
Q3 メールの矢印問題の1行ルールは?
送る向きは全部SMTP、受信者が取り出す最後の1本だけPOP/IMAP。複数端末ならIMAP。
Q4 構成図の障害問題で、真っ先にやることは?
壊れた場所に印を付け、各選択肢の通信経路をなぞって「そこを通るか」だけで判定する。クラウド経由のサービスは家の外を通ることに注意。
図1(パケットのⅠ〜Ⅶ)と図2(メール5ステップ)を、何も見ずに白紙へ再現してみてください。描ければこの分野の骨組みは完成です。描けなかった部分が、あなたの復習ポイントです。
よくある質問
この記事の演習問題は実際の入試問題ですか?
いいえ。実際の入試(大学入学共通テスト・センター試験「情報関係基礎」・各大学の情報入試)で出題されてきた「型」を分析したうえで、題材・数値・選択肢を当塾が独自に作成したオリジナル問題です。型は本物、素材はオリジナル——だから安心して演習に使えます。
共通テスト予想問題【ネットワーク・プロトコル 腕試し】——藤原進之介の独自作成問題
実際の共通テスト・試作問題の出題型を分析して作成した、本記事オリジナルの予想問題です(藤原進之介の独自作成問題であり、大学入試センターの問題の転載ではありません)。解答を隠してあるので、まず自力で解いてみてください。無断転載はご遠慮ください。
出題形式・題材の傾向分析は本文の「共通テストではこう出る」を参照。ほかの講の予想問題は予想問題ハブ・シリーズハブからどうぞ。
出典・関連資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」——情報通信ネットワークの仕組み(情報Ⅰ(4))に関する記述
- 大学入試センター 令和7年度・令和8年度 大学入学共通テスト『情報Ⅰ』——実施形式(60分100点)と出題傾向の確認
- 本記事の演習問題は、上記の出題傾向および過去の入試問題(2014年センター試験「情報関係基礎」、2025年麗澤大学、2025年共通テスト「旧情報」等)の型を参考に、数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実際の入試問題の転載は行っていません。
本記事は、藤原進之介の情報Ⅰ共通テスト対策授業「ネットワーク・プロトコル」の回をもとに構成しています。シリーズ『分野別対策演習』の一覧は対策演習ハブ、講義編『最強120講義』の全体像は120講義ハブからご覧いただけます。
共通テスト本番の設問で確認する(全問解説)
問題文・解答・端的な解説・深掘りを設問ごとに掲載しています。本番の出題で理解を確かめてください。
「情報Ⅰ、独学でいけるのか不安」という方へ
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