情報Ⅰ 最強120講義

情報Ⅱの全体像|情報Ⅰ 最強120講義 第109講

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今日の一問
次の問いに答えなさい。
問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む共通必履修科目としての「情報Ⅰ」を設けるとともに、「情報Ⅰ」において培った基礎の上に、問題の発見・解決に向けて、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力やコンテンツを創造する力を育む「情報Ⅰ」の発展的な選択科目としての「情報Ⅱ」を設けた。なお、標準単位数はいずれも2単位である。
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」平成30年7月
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

情報Ⅱは「難しくなった情報Ⅰ」ではありません。同じ道具を、別の役割で使い直す科目です。この講では、国の一次資料だけを使って情報Ⅱの全体像を組み立て、情報Ⅰとの関係が ①名前がつく ②使い道が変わる ③そこで終わる の3つの型に分かれることを、語の出現回数という数字で示します。

こんにちは、数強塾グループ代表の藤原進之介です。本記事は参考書『藤原進之介の最強120講義』第109講のWeb版で、第6部「情報Ⅱへの橋」の1本目にあたります。共通テスト重要度はC──情報Ⅱは共通テストの出題範囲外だからです。それでも本書がここに12講を割くのは、情報Ⅱを知ると情報Ⅰの理解が確実に深くなるからです。

1. この講の問い と 結論

問いは1行です。情報Ⅱとは「情報Ⅰの続き」なのか。

結論を先に書きます。違います。情報Ⅱは情報Ⅰの続きではなく、同じ道具の役割が変わる科目です。共通テストには出ません。学校で開講されないことも多い。ただし国が作った教材が全章まるごと無料で公開されているので、取れない生徒でも独学の材料は手に入ります。

2. まず制度の事実を、原文で押さえる

情報Ⅱの話は、ネット上に年度のずれた記述が大量に流れています。だから最初に原文を置きます。学習指導要領解説 情報編(平成30年7月)は、科目構成の改訂をこう書いています。

問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む共通必履修科目としての「情報Ⅰ」を設けるとともに、「情報Ⅰ」において培った基礎の上に、問題の発見・解決に向けて、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力やコンテンツを創造する力を育む「情報Ⅰ」の発展的な選択科目としての「情報Ⅱ」を設けた。なお、標準単位数はいずれも2単位である。文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」平成30年7月

ここから確定するのは3つです。

  • 情報Ⅰ=共通必履修科目、情報Ⅱ=発展的な選択科目
  • 標準単位数はどちらも2単位(情報Ⅱのほうが単位数が多いわけではありません)
  • 情報Ⅱは「情報Ⅰにおいて培った基礎の上に」置かれている

履修の順序も条文にあります。学習指導要領 第3款(3)は「『情報Ⅱ』については、『情報Ⅰ』を履修した後に履修させることを原則とすること」と書き、解説はその理由を「後に履修する科目の内容が前に履修する科目の内容を前提として定められていることによる」と説明しています。「原則」であって絶対の禁止ではありませんが、内容上の前提関係が根拠だと明記されている点は押さえておきたいところです。

情報Ⅱの内容は5項目

情報Ⅰが4項目なのに対し、情報Ⅱは5項目あります。正式名称で並べます。

情報Ⅰ(4項目) 情報Ⅱ(5項目)
(1) 情報社会の問題解決 情報社会の進展と情報技術
(2) コミュニケーションと情報デザイン コミュニケーションとコンテンツ
(3) コンピュータとプログラミング 情報とデータサイエンス
(4) 情報通信ネットワークとデータの活用 情報システムとプログラミング
(5) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究

番号だけ見ると (1) と (2) は似ていますが、中身の重心は違います。そして (5) には情報Ⅰに対応する項目がありません。教員研修用教材の序章は、この (5) を「この科目のまとめとして位置付けられており」と書いています。

目標の文言は、たった2か所しか違わない

情報Ⅰと情報Ⅱの目標(柱書)を並べると、差はごくわずかです。

  • 情報Ⅰ … 情報と情報技術を「適切かつ効果的に活用し、情報社会に主体的に参画する」ための資質・能力
  • 情報Ⅱ … 情報と情報技術を「適切かつ効果的、創造的に活用し、情報社会に主体的に参画し、その発展に寄与する」ための資質・能力

教員研修用教材の序章も、この差を自分で名指ししています。原文は「『情報Ⅰ』と比較すると、『適切かつ効果的』に加えて『創造的に』という文言が加わり、『参画』だけではなく『発展に寄与』といった文言が加わっている」。

足された語は「創造的に」と「発展に寄与」の2つだけ。これが情報Ⅱの性格をほぼ決めています。情報Ⅰは「与えられたものを正しく使えるか」、情報Ⅱは「自分で作って世に出せるか」。この違いが、後で出てくる3つの型のすべてに効いてきます。

3. 本書の発見──情報Ⅰと情報Ⅱの関係には3つの型しかない

ここからが本講の中心です。本書は第37講から第108講まで、情報Ⅰの各項目について「情報Ⅱでどうなるか」を一次資料に当てて確かめてきました。その結果、関係は次の3つの型に分類できることが分かりました。

情報Ⅰ 情報Ⅱ トレース デバッグ工程 単体テスト 型1 名前がつく やり方はあるが名前が無い → 正式な工程になる パケット 運ぶ単位 パケット 通す/止める単位 型2 使い道が変わる 道具は同じ。間違えたときの被害が変わる シミュレー ション 型3 そこで終わる 情報Ⅱ教材では独立項目にならない (58回 → 5回)

型1 情報Ⅰで名前が無いものに、情報Ⅱで名前がつく

情報Ⅰでは「やり方」として存在するのに、名前も手順も与えられていない。それが情報Ⅱで正式な工程になります。

  • トレース → デバッグ・単体テスト。情報Ⅰの一次資料には「トレース」という語がありません。情報Ⅱの教材は「変数の値を表示してチェックする簡便な方法」やデバッガ、命令網羅・分岐網羅・同値分割・境界値分割まで書きます(第54講 プログラムのトレース)。
  • 表を分ける → 関係データベースとSQL。情報Ⅰの教材は「更新・挿入・削除の不整合が起きるので表を分ける」と教えますが、第一〜第三正規形の手順は書きません。情報Ⅱは「RDBを操作するためにはSQLを使う」と書き、実際にSQL文を書かせます(第90講 データベースの基礎)。
  • プログラムを書く → 設計する。「モジュール」「要件定義」という語が、情報Ⅰ側ではほぼ出てこないのに情報Ⅱの第4章で一気に増えます。

型2 同じ道具の使い道が変わる

道具は同じ。使う場面と、間違えたときの被害が変わります。

  • 論理演算:情報Ⅰでは半加算器を組む(ハードウェアの文脈)。情報Ⅱでは行を絞り込む条件になる(データの文脈)。誤ると「回路が動かない」ではなく「間違った母集団を分析する」
  • パケット:情報Ⅰでは「運ぶ単位」で、ヘッダは必ず損をするオーバーヘッド。情報Ⅱでは「パケットのヘッダーを見て、許可されたパケットだけを通過させる」=検査して通す/止める単位になる。損だったヘッダが、セキュリティ設計の足場に変わります。
  • シミュレーション:情報Ⅰでは時間を1ステップずつ動かす。情報Ⅱでは回帰式の上で説明変数を動かして最適点を探す。動かす軸そのものが変わります。
  • 個人情報:これは本講で新しく確認したものです。情報Ⅰの教材では「匿名加工情報」がデータを利活用するための制度として6回登場します。ところが情報Ⅱの教材には「匿名加工情報」が一度も出てきません。情報Ⅱ側で「個人情報」が出てくるのは、情報セキュリティポリシーの策定、USBメモリの紛失、メールの宛先の誤り──つまり漏洩させない運用の対象としてです。同じ語で、立場が「使う側」から「守る側」へ入れ替わっています。

型3 情報Ⅰで終わるものもある

「情報Ⅰの全部が情報Ⅱへ伸びる」と書いたら、その本は嘘になります。実測すると、情報Ⅱ側で消えるものがはっきり存在します。

  • シミュレーション:情報Ⅰの教材で58回出るのに、情報Ⅱの教材では全7分冊あわせて5回しかない。独立した学習項目として存在しません。
  • 整列(ソート):情報Ⅱの教材に0回。情報Ⅱは表計算ライブラリの並べ替え1行で済ませ、中身を書きません。
  • 交絡・因果:解説が情報Ⅰと情報Ⅱの両方で「交絡因子」を名指ししているのに、情報Ⅱの教材本文には「交絡」も「因果」も0回(第86講 散布図と相関係数で扱った論点の続きです)。
  • 標本化・量子化:情報Ⅰの教材に登場するのに、情報Ⅱの教材には0回。

この3類型こそが、本書が読者に渡したい地図です。「情報Ⅱは難しい情報Ⅰ」ではない。伸びるもの・役割が変わるもの・そこで終わるものが混在している。ここを誤魔化さないのが、本書の立場です。

4. 分水嶺を数字で見る

型の話を印象で終わらせないために、語を数えました。方法は単純で、3つの一次資料PDFをテキスト化し、空白を除いて語の出現回数を数えるだけです(当方で2026年8月3日に実施)。

  • ① 学習指導要領解説 情報編(空白除去後 192,787字)
  • ② 情報Ⅰ 教員研修用教材 第1〜4章(同 170,959字)
  • ③ 情報Ⅱ 教員研修用教材 序章+第1〜5章(同 249,585字)

情報Ⅱ側で立ち上がる語

①解説 ②情報Ⅰ教材 ③情報Ⅱ教材
主成分 0 0 161
モジュール 10 8 143
プロトタイプ 1 20 90
ニューラルネットワーク 0 1 63
重回帰 3 0 45
クラスタリング 3 0 45
寄与率 0 2 41
要件定義 2 0 30
単体テスト 0 0 24
画像認識 3 0 24
SQL 0 8 21
残差 0 6 20
結合テスト 0 0 18
次元削減 0 0 11
自由度(統計の用法) 0 1 21

情報Ⅰ側で終わる語

①解説 ②情報Ⅰ教材 ③情報Ⅱ教材
シミュレーション 47 58 5
個人情報保護法 0 11 0
匿名加工情報 0 6 0
交絡 2 4 0
因果 2 3 0
量子化 3 2 0
標本化 3 1 0
整列(ソートの用法) 2 1 0

数え方には罠があります。単純に数えると誤読する語が、今回2つ見つかりました。

  • 「自由度」は全体では情報Ⅰ教材4回・情報Ⅱ教材25回ですが、統計の自由度なのは情報Ⅰ第4章の1回と情報Ⅱ第3章前半の21回だけです。残りは「テーマの自由度を高くすると」という日常語でした。
  • 「整列」は情報Ⅰ教材で4回ヒットしますが、そのうち3回は第2章の情報デザインの「整列(Alignment)」、つまり「近接・整列・反復・対比」というレイアウト原則のことで、ソートとは無関係でした。ソートの意味で使われているのは第3章の1回(二分探索の前提として並べ替えが要る、という注意)だけです。

同じ2文字が、章をまたぐと別の意味になる。機械的な検索の結果をそのまま信じてはいけない、という実例としても覚えておいてください。

5. 国自身が「どこがどこに繋がるか」を書いている

3つの類型は本書が見つけたものですが、大枠の対応関係は教員研修用教材の序章に書いてあります。序章「『情報Ⅱ』の概要と研修の進め方」は、各章の説明の中で「これらの学習を行うことで、情報Ⅰの◯◯で身に付けた資質・能力を伸ばす」と明記しています。整理するとこうなります。

情報Ⅱ 序章が名指しする土台
(1) 情報社会の進展と情報技術 「情報Ⅰ」の各項目を振り返る
(2) コミュニケーションとコンテンツ 情報Ⅰ (2) で身に付けたメディアの特性・コミュニケーション手段の特徴・情報デザインの考え方
(3) 情報とデータサイエンス 情報Ⅰ (3) のモデル化やプログラミング、(4) のデータの種類や特性及び活用。加えて「数学B」の (2) 統計的な推測
(4) 情報システムとプログラミング 情報Ⅰ (3)・(4)、および情報Ⅱ (3)
(5) 探究 情報Ⅰ及び情報Ⅱの (1)〜(4) すべて

見どころは (4) です。情報Ⅱ (4) の土台に、情報Ⅱ (3) が入っています。情報Ⅱの中にも順序があり、データサイエンスをやってからシステム開発に進む設計になっている。独学するときの読む順番は、この行が決めてくれます。

6. 教科書は3社3点しかない

供給側の事実も1つ置いておきます。文部科学省「高等学校用教科書目録(令和8年度使用)」(令和7年4月)を見ると、

  • 情報Ⅰ … 7社17点(東京書籍・実教出版・開隆堂・大修館・数研出版・日本文教出版・第一学習社)
  • 情報Ⅱ … 3社3点(東京書籍・実教出版・日本文教出版)。いずれも検定済年は令和4年、定価は3点とも1,211円

情報Ⅰ側には令和7年検定済の改訂版が並ぶのに対し、情報Ⅱは3点とも令和4年のまま据え置かれています。科目としての厚みの差が、目録の行数にそのまま出ています。

7. 実際にどれだけ履修されているか(数え方に罠がある)

文部科学省「令和7年度公立高等学校等における教育課程の編成・実施状況調査」(2026年2月2日公表)に情報Ⅱの数字があります。ただしこの調査には性質の違う2つの表があり、混ぜると必ず間違えますので、定義から書きます。

「6. 科目の開設状況」──注記は「各課程における科目の開設状況について、学科ごとの割合を示している」「令和7年度入学者に適用される3年間の教育課程を対象としている」。つまり学校(課程・学科)を数えた割合で、これから3年間で置く予定を含みます。

  • 全日制 普通科等の情報Ⅱ:1年次 0.3%/2年次 2.7%/3年次 14.4%/単位制 3.6%
  • 全日制 総合学科:21.1%
  • 比較のため情報Ⅰ(全日制 普通科等):1年次 68.5%/2年次 28.2%/3年次 5.1%

「9. 科目の履修状況」──注記は「各課程・学科に在籍する最終学年の生徒を対象として、入学年次から現在までの履修状況について科目別に集計している」「最終学年の全生徒数を分母とし、その内、各科目を履修した生徒数を分子として算出」。つまり生徒を数えた割合で、対象は令和7年度の最終学年、すなわち入学が数年前の学年です。

  • 情報Ⅱ:全日制 普通科等 2.3%/専門学科 0.2%/総合学科 2.5%/定時制 普通科等 8.6%/通信制 普通科等 4.1%

そして調査自身が、この2つを割り算するなと書いています。注記の原文は「各科目の開設状況に対する履修割合ではないということに留意が必要」。数える単位(学校か生徒か)も、対象の学年(令和7年度入学者か最終学年か)も違うのですから、当然です。

読み方はこうなります。「3年次に情報Ⅱを置いている学校は14.4%」と「実際に情報Ⅱを履修して卒業していく生徒は2.3%」は、どちらも正しく、比べてはいけない。この2つを並べて「開設したのに履修されていない」と書いてある記事を見かけますが、原典はその読み方を明示的に禁じています。

いずれにせよ、大多数の高校生にとって情報Ⅱは「学校では受けられない科目」です。だから次の節が重要になります。

8. 手で確かめる──情報Ⅱの教材は全部無料で読める

情報Ⅱが取れなくても、国が作った教員研修用教材が全章PDFで無料公開されています。教員向けですが、内容は生徒が読んでも分かるように書かれており、演習とサンプルコードが付きます。

文部科学省「高等学校情報科『情報Ⅱ』教員研修用教材(本編)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00742.html
(発行 令和2年3月/PDF公開は令和2年6月9日、第3章前半のみ7月2日)

以下の対応表は、実際に7本すべてのPDFを開いて目次と本文を確認したうえで作りました(2026年8月3日に取得。全7本ともHTTP 200、合計およそ47MB)。ファイル名はすべて 20200609-mxt_jogai01-000007843_◯◯◯.pdf の形で、第3章前半だけ日付部分が 20200702 です。

PDF 収録範囲 ここで学べること(実物にもとづく)
_001
約2.8MB
p.1-12
表紙・目次・序章「『情報Ⅱ』とは何か?」 情報Ⅱのねらいと3つの柱、情報Ⅰとの縦の連携、各章が情報Ⅰのどこを土台にするかの明記、教材の使い方。まずここだけ読めば全体像が掴めます
_002
約8.9MB
p.13-66
第1章 情報社会の進展と情報技術
学習1〜6
情報社会の発達/情報セキュリティの必要性/コミュニケーション手段の多様化/コンテンツの創造と活用の意義/人に求められる資質・能力の変化/将来の情報技術と社会。AI・IoT・5G・ユニバーサルデザインの語が集中する章
_003
約10.1MB
p.67-104
第2章 コミュニケーションとコンテンツ
学習7〜10
コンテンツの分析とメディアの組み合わせ/プロトタイプの作成/コンテンツの制作と改善/発信と改善。ペーパープロトタイピングで、ICT環境に頼らず制作の流れを体験させる設計
_004
約9.2MB
p.105-143
第3章 情報とデータサイエンス 前半
学習11〜14
データと関係データベース(SQL・データ型)/大量のデータの収集と整理・整形(pandas・欠損値・基準化)/重回帰分析とモデルの決定(自由度調整済み決定係数・変数選択・特性要因図)/主成分分析による次元削減(表計算のソルバー)
_007
約8.0MB
p.144-178
第3章 情報とデータサイエンス 後半
学習15〜18
分類による予測(決定木・近傍法)/クラスタリング(k-means)/ニューラルネットワークとその仕組み/テキストマイニングと画像認識(MeCab・Word2vec・YOLO)
_005
約4.3MB
p.179-240
第4章 情報システムとプログラミング
学習19〜25
情報システム全体の情報の流れ(3層クライアントサーバ)/情報セキュリティ(パケットフィルタリング・DMZ)/表し方(ユースケース図・シーケンス図・DFD)/分割と設計(モジュール)/制作と単体テスト結合テスト/評価・改善(プロジェクト・マネジメント)
_006
約4.2MB
p.241-末尾
第5章 探究+巻末 活動例1 情報社会と情報技術/2 コミュニケーションのための情報技術の活用/3 データを活用するための情報技術の活用/4 コンピュータや情報システムの基本的な仕組みと活用。有識者名簿・学会等連絡先

独学で読むなら、順番はこれを勧めます。

  1. _001 の序章(12ページ。全体像がここで揃う)
  2. _004 の第3章前半(情報Ⅰの相関・回帰の続きが読める。一番手が動く)
  3. _005 の第4章(情報Ⅰのプログラミングの続き)
  4. 余力があれば _007 の第3章後半(機械学習)

語数調査を自分でやる

第4節でやったことは、道具さえあれば誰でも再現できます。

pdftotext -layout 20200609-mxt_jogai01-000007843_005.pdf ch4.txt
grep -o 'モジュール' ch4.txt | wc -l

pdftotext は Poppler というPDFツール集に入っています。空白や改行がPDFの都合で語の途中に入ることがあるので、空白を全部除いてから数えると数字が安定します(本記事の表はその方式です)。

この作業の値打ちは、「教科書に書いてあるか」を人に聞かずに自分で確かめられるようになることにあります。情報Ⅰ・情報Ⅱの一次資料は全部PDFで公開されているので、噂ではなく原文で決着がつきます。

9. 共通テストではこう出る

この講は共通テストへの接続がありません。情報Ⅱは出題範囲外です。

これも一次資料で確認しておきます。大学入試センターのプレス発表資料「令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の出題方法等及び問題作成方針について」(令和7年6月6日)を見ると、教科「情報」の欄にある出題科目は 『情報Ⅰ』のみ、60分(100点)。備考に「『 』は大学入学共通テストにおける出題科目を表し、「 」は高等学校学習指導要領上設定されている科目を表す」とあり、この文書の全文に「情報Ⅱ」は一度も現れません

だから情報Ⅱを勉強しても、共通テストの得点には直接は効きません。それでも本書が情報Ⅱを扱うのは、情報Ⅰの理解が深くなるからです。実例を3つ挙げます。

(1) 「相関係数を求めよ」で終わらなくなる

情報Ⅰの回帰直線は、表計算の「近似曲線の追加」で引いて終わりになりがちです。ところが情報Ⅱの重回帰分析では、説明変数を増やすと決定係数は必ず上がります。だから「上がったから良くなった」が使えなくなり、自由度で調整した指標が要る。この一段があると、情報Ⅰの「相関が強い=良い分析」という素朴な感覚が壊れます。共通テストで「相関係数が高いから因果関係がある」型の引っかけに引っかからなくなるのは、この壊れ方を知っているからです。

(2) 「表を分ける理由」が腹落ちする

情報Ⅰでは「1枚の表に詰めると更新・挿入・削除の不整合が起きる」と習います。理屈は分かるが、実感が湧かない。情報Ⅱで実際に表を分けてSQLで結合し直すと、分けた表を1枚に戻す操作にコストがかかることが分かります。「分けたほうが良い」ではなく「分けるコストと不整合のコストを天秤にかける」という理解になる。共通テストのデータベース問題で、選択肢の言い回しの微妙な差を切れるようになります。

(3) 「バグを見つける」が運任せでなくなる

情報Ⅰの一次資料には「トレース」という語すらありません。だから多くの受験生は、第3問のプログラムを勘で追っています。情報Ⅱの第4章には、どこを見ればバグが見つかるかの方法が書いてあります。命令網羅・分岐網羅・同値分割・境界値分割──これは要するに「どのデータで試せば十分か」の理屈で、共通テストの穴埋めで「どの値を入れて確かめるか」を決めるときにそのまま使えます。

10. 第110〜120講で何を扱うか

本講そのものが情報Ⅱの話なので、このブロックは第6部の残り11講の予告に充てます。第5節で見たとおり、情報Ⅱの中にも順序があります(データサイエンス → システム開発)。本書もその順に並べてあります。

主題 情報Ⅱのどこ 情報Ⅰのどこから来るか
110 データサイエンスのワークフロー (3) 学習12 データの活用の全過程
111 匿名加工とデータ利活用の実際 (1)(3) 個人情報の保護
112 重回帰分析 (3) 学習13 相関係数・回帰直線
113 主成分分析と次元削減 (3) 学習14 分散・標準偏差・標準化
114 クラスタリング(k-means) (3) 学習16 代表値・データの可視化
115 ニューラルネットワークと画像認識 (3) 学習17・18 論理回路・画像のデジタル化
116 アルゴリズムの選択と計算量 (3)(4) 探索・整列・計算量
117 システム開発とプロジェクトマネジメント (4) 学習19〜25 流れ図・TCP/IP・トレース
118 データベース設計とSQL (3) 学習11 表計算のデータ整理・主キー
119 コンテンツ制作と効果測定 (2) 学習7〜10 情報デザイン・プロトタイプ
120 情報Ⅱと進路──情報系・データサイエンス系へ (5)

まとめ

  • 情報Ⅰ=共通必履修、情報Ⅱ=発展的な選択科目。標準単位数はどちらも2単位。履修は情報Ⅰ→情報Ⅱの順が原則
  • 目標の文言の差は「創造的に」と「発展に寄与」の2語だけ。だが科目の性格はこれで決まる
  • 情報Ⅰと情報Ⅱの関係は3類型。①名前がつく ②使い道が変わる ③そこで終わる
  • 「シミュレーション」58回→5回、「主成分」0回→161回。分水嶺は数えれば見える
  • 共通テストの出題科目は『情報Ⅰ』のみ(令和9年度の出題方法等でも情報Ⅱの語は0件)
  • 学校で開設していなくても、教員研修用教材が全7分冊 無料公開されている。独学の材料はある

基礎からの積み上げは第40講 基数変換から、シリーズ全体は『藤原進之介の最強120講義』目次およびカテゴリ一覧から読めます。

出典(すべて2026年8月3日に取得)

執筆:藤原進之介(数強塾グループ代表)

オンライン数学専門塾「数強塾」代表。累計3,500名以上の中高一貫校生を指導。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。情報Ⅰの参考書を複数執筆しており、KADOKAWA『ゼロから始める情報I』、Gakken『きめる!共通テスト 情報Ⅰ』などがあります。本記事は参考書『藤原進之介の最強120講義』第109講のWeb版です。

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