【本記事について】本記事は、数強塾グループのプロ講師による実際の授業録画・書き起こしをもとに、個人が特定されないよう一部の表現を編集して再構成したものです。
こんにちは。株式会社数強塾 代表の藤原進之介です。
授業のこだわり実例シリーズ、今回は地理です。数強塾は数学指導からスタートした塾ですが、グループとして全科目のプロ講師陣を揃えています。「数学以外の科目はどうなの?」というご質問をよくいただくので、今回はグループの地理講師による共通テスト地理対策講座・東南アジア各国の鉱工業の回の授業録画を、書き起こしをもとに再構成してお届けします。
地理は「暗記科目」と思われがちです。しかしこの90分を通して一貫していたのは、知識を丸暗記させず、「なぜそうなったのか」というつながりで覚えさせるという方針でした。
シンガポール──「なぜ金融センターなのか」を一本の線でつなぐ
授業はシンガポールから始まりました。いち早く輸出指向型の工業化に踏み切り、韓国・台湾・香港と並ぶアジアNIEsの一員となったこと。その結果、一人当たりGNIは東南アジアで1位になったこと。ここまでは教科書どおりですが、講師はそこで止まりません。
なぜシンガポールが世界の金融センターになれたか。英語が4つの公用語の一つだから、というのが大きいんです。世界中とお金のやり取りをするのに、英語が通じる国は強い。
さらにハブ空港の説明では、空港ランキングで7年連続1位に選ばれたという話に続けて、講師自身が昨年ギリシャからの帰路にシンガポールを経由して帰国したという実体験が語られました。実際に「ハブ」を使った人の話として聞くと、「乗り継ぎの拠点」という言葉が一気に具体的になります。
マレーシア・タイ・インドネシア──「日本とのつながり」で覚える
マレーシアは、日本や韓国をお手本にしたルックイースト政策で工業化を進め、半導体産業が集積した国。そして天然ガスは、オーストラリアに次いで日本の輸入先2位。単なる産業の羅列ではなく、「日本から見た相手」として位置づけることで、データ問題で出会ったときに思い出せる形にしていきます。
タイは自動車産業。日本の自動車メーカーが多く進出し、バンコクは日本人の多さから「東京24区」と揶揄されるほど、という小話を挟みつつ、「アジアのデトロイト」という呼び名につなげます。さらに天然ゴムの生産1位という知識は、「ゴムといえばタイヤ、タイヤといえばタイ」と自動車産業に関連付けて覚える記憶術まで添えられました。
インドネシアは人口2億超の人口ボーナス期にあり、GDPはASEAN1位。石油・天然ガスに加えて、講師いわく「地味に忘れがち」な石炭の輸出が大きいことも押さえます。受験生が落としやすいポイントを、経験に基づいてピンポイントで補強していく授業でした。
ベトナム──「中国と似ている」で腑に落ちる
この日の白眉はベトナムでした。社会主義国であるがゆえに「頑張っても頑張らなくても平等」となり、労働のモチベーションが下がって工業化が遅れた。そこで打ち出されたのが、社会主義体制を維持したまま市場を開放するドイモイです。ここで講師はこう続けます。
これ、中国の改革開放とそっくりなんです。社会主義のまま市場を開く。国旗も赤地に星で似ているでしょう。セットで覚えてください。
ドイモイと改革開放を別々に暗記するのではなく、共通点でまとめて記憶する。国旗という視覚的なフックまで添える。こうした「つながり」の設計が随所にありました。
ベトナムが衣類・履物といった労働集約的な軽工業の拠点である理由も、「君が履いている靴もおそらくベトナム製ですよ」という身近な例から入り、賃金の差については次のようなイメージで説明されました。
横浜の人間1人と、ホーチミンの人間10人が同じ賃金。教室にいる10人と、体育館にいる100人が同じ給料だと考えてみて。工場を移す理由、分かるよね。
ASEANは最初「経済連合」ではなかった
後半はASEANの成り立ちです。ASEANはもともと経済連合ではなく、社会主義(つまり当時のベトナム)に対抗するための政治的な枠組みでした。だから原加盟5カ国にベトナムは入っていない。1991年に冷戦が終結すると対立の意味が薄れ、AFTAが発足して経済的なつながりへと性格を変え、ベトナムも加盟。さらに2025年には東ティモールが加盟した、という最新の動きまで押さえます。
そしてEUとの違いとして、労働者の移動の自由が一部に限られる点を確認。「ベトナムがなぜ原加盟国でないのか」という一つの問いから、冷戦・AFTA・EUとの比較までが一本の物語として語られました。
知識は過去問で「使って」完成する
授業の最後は、学んだ知識をその場で使う時間です。共通テストの過去問(2018年地理A追試)を実際に解きました。ASEANに関する選択肢を消去法で検討し、「一般の人々がパスポートを提示せずに出入国できる」が誤り──まさに直前に確認したEUとの違いそのもの──だと判定します。
もう1問は、一人当たりGDPと輸出に占める工業製品割合の推移からシンガポール・タイ・ベトナムを判別する問題。ドイモイ後のベトナムの工業化の伸びに着目すれば解ける、という形で、この日の内容がそのまま得点に直結することを示して授業は締めくくられました。
余談ですが、授業中にカメラが落ちるトラブルもありました。それでも講師は動じず、続きから丁寧に再開。オンライン指導の現場らしい一幕も、そのまま記録に残っています。
数学だけではない、全科目この水準で
丸暗記を「なぜ」でつなぎ直し、実体験や身近な物で具体化し、最後は過去問で使って定着させる。数強塾グループの授業は、数学だけでなく地理のような社会科目でも同じ思想で設計されています。共通テストの社会でお困りの方も、ぜひ一度授業をご覧ください。
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