海城中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
海城中学校(東京都新宿区大久保)は、都内でも屈指の男子難関校です。算数は合否を大きく左右する教科であり、限られた時間で正確さと思考力が求められます。この記事では、学校が公式サイトで公開している募集要項の情報をもとに算数の枠組みを整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問を、考え方・解答・検算つきで掲載します。実在の過去問を書き写したものは一切なく、受験算数の標準的な題材をふまえて数強塾が新しく作った問題です。答えはすべて、正攻法とは別の方法による二重検算で一致を確認しています。
公式募集要項からわかる算数のポイント
- 海城中学校の一般入試は、公式サイトの案内によれば国語・算数・社会・理科の4教科です。
- 算数の試験時間は50分、配点は120点と案内されています(国語も50分・120点、社会・理科は各45分・80点で、算数と国語の配点が高く設定されています)。
- 一般入試は①・②の2回行われ、これに加えて帰国生入試も実施されると案内されています。
- 公式サイトの過去問ダウンロードページでは、問題用紙・解答用紙・解答例が年度・入試回ごとに公開されています。
※試験時間・配点・入試回は執筆時点で公式サイトに掲載の内容です。年度により変わる場合があるため、受験の際は必ず最新の 海城中学校・入試概要(公式) をご確認ください。過去問(問題用紙・解答用紙・解答例)は 公式の過去問ダウンロードページ で公開されています。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。
出題分野の傾向
ここでの記述は特定年度の問題の解説ではなく、算数50分・120点という枠組みと、男子難関校で一般的に問われる力から読み取れる方向づけの整理です。断定は避け、学習の道しるべとしてお読みください。実際の出題形式や難度は公式サイトの過去問でご確認ください。
- 50分120点という時間配分の重さ:算数は国語と並び理科・社会より高い配点です。50分のなかで取れる問題を確実に取り切る「時間の使い方」が得点を左右します。解ける問題から手をつけ、全体を見渡す姿勢が大切です。
- 正確な計算力が土台:どんな難問も途中の計算が正確でなければ得点になりません。毎日、時間を計って計算練習を積み、「速く・正確に」を体にしみこませておくことが難関校対策の第一歩です。
- 思考力を要する応用問題:速さ(旅人算・流水算・ダイヤグラム)、平面図形(面積比・相似)、立体図形(体積・水位)、場合の数、数の性質など受験算数の主要分野を、「なぜその式になるのか」まで理解して使いこなせる状態を目指しましょう。
- 途中式・図を書く習慣:解答用紙が公開されていることからも、考えの過程を整理して書く力が問われる方向と考えられます。線分図・ダイヤグラム・面積図を自分の手でかく習慣が支えになります。
オリジナル類題で対策
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、正攻法で解いたうえで別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。図がなくても読み解けるよう、状況は文章で説明しています。
類題1(場合の数)
【問題】 0,1,2,3,4,5 の数字が1つずつ書かれた6枚のカードから、異なる3枚を選んで左から並べ、3けたの整数を作ります。
(1) 3けたの整数は全部で何個できますか。
(2) そのうち、3の倍数は何個ありますか。
【方針】 (1) は「いちばん左(百の位)に0は置けない」という約束に注意して、位ごとに置ける数の個数をかけ算します。(2) は、3の倍数の見分け方=各位の数の和が3の倍数という性質を使います。まず「和が3の倍数になる3枚の組」を先に見つけ、その組ごとに何通りの並べ方があるかを数えるのが定石です。0を含む組は、百の位に0が来る並べ方を除くことを忘れないようにします。
【解答】 (1) 百の位には0を除く1〜5の5通り。十の位は、残り5枚(0を含む)から5通り。一の位は残り4枚から4通り。よって 5×5×4=100(個)。
(2) まず和が3の倍数になる3枚の組を探します。6枚を3で割った余りで分けると、余り0={0,3}、余り1={1,4}、余り2={2,5}の3つのグループができます。3枚の和が3の倍数になるのは、各グループから1枚ずつ選ぶ場合だけです(同じグループから3枚は選べません)。選び方は 2×2×2=8組。具体的には{0,1,2}{0,1,5}{0,4,2}{0,4,5}{3,1,2}{3,1,5}{3,4,2}{3,4,5}です。
・0を含まない4組({3,1,2}など)は、3枚とも0以外なので並べ方は 3×2×1=6通りずつ。4×6=24(個)。
・0を含む4組({0,1,2}など)は、6通りのうち百の位が0になる並べ方(2×1=2通り)を除いて 6−2=4通りずつ。4×4=16(個)。
合計は 24+16=40(個)。
【別解による検算】 (2) を別の見方で確かめます。8組の和はそれぞれ 3,6,6,9,6,9,9,12 でどれも3の倍数です。0を含む組は「余り0のグループから0を選んだとき」に限られ、8組のうちちょうど半分の4組。0を含まない4組は6通り、含む4組は4通りなので、4×6+4×4=24+16=40(個)。最初の数え方と一致しました。
類題2(速さ・流水算)
【問題】 まっすぐな川に沿って、上流にA地点、下流にB地点があり、AB間の道のりは45kmです。静水(流れのないところ)での船の速さは時速12km、川の流れの速さは時速3kmです。この船がAを出発してBまで下り、Bですぐに折り返してAまで上ります。
(1) 往復にかかる時間は何時間ですか。
(2) この船が、AB間のちょうど真ん中の地点(Aから22.5km)を通過するのは、Aを出発してから何時間何分後ですか。下るときと上るときの2回について答えなさい。
【方針】 流水算では、下りの速さ=静水の速さ+流れの速さ、上りの速さ=静水の速さ−流れの速さが出発点です。まずこの2つの速さを求めれば、あとは「時間=道のり÷速さ」で機械的に計算できます。(2) は、下りと上りで船の速さが変わることに注意し、それぞれの区間を分けて考えます。
【解答】 下りの速さは 12+3=15(km/時)、上りの速さは 12−3=9(km/時)です。
(1) 下り(A→B)にかかる時間は 45÷15=3(時間)。上り(B→A)にかかる時間は 45÷9=5(時間)。よって往復は 3+5=8(時間)。
(2) <下るとき> Aから真ん中(22.5km)までは下りなので、22.5÷15=1.5(時間)=1時間30分後。
<上るとき> 船は出発から3時間後にBに着き、そこから上り始めます。Bから真ん中までの道のりは22.5kmで、上りの速さは9km/時なので 22.5÷9=2.5(時間)かかります。よってAを出発してから 3+2.5=5.5(時間)、すなわち5時間30分後。
【別解による検算】 (1) を道のりの合計から確かめます。下り15km/時で3時間=45km、上り9km/時で5時間=45kmとぴったり分かれ、往復90kmを合計8時間で進んだことになり条件と一致します。
(2) 上るときの時刻をBを基準に確かめます。Bに着くのは3時間後、Aに戻るのは 3+5=8時間後。上りは速さが一定なので、真ん中を通るのは時間の上でもB到着とA到着の中間、(3+8)÷2=5.5(時間後)。5時間30分後で一致しました。
類題3(平面図形・面積比)
【問題】 三角形ABCがあります。辺BC上に点Dを、BD:DC=2:3となるようにとり、頂点Aと点Dを直線で結びます。また、辺ABの真ん中の点をEとし、点Eと頂点Cを直線で結びます。直線ADと直線ECが交わる点をFとします。
(1) 三角形ABDと三角形ADCの面積の比を求めなさい。
(2) AF:FDを求めなさい。
【方針】 (1) は、高さの等しい2つの三角形の面積比は底辺の比に等しい、という基本を使います。(2) は少し工夫が必要です。点FはAD上にあるので、AF:FDは「点Aから直線ECまでの距離」と「点Dから直線ECまでの距離」の比に等しくなります。距離の比は、同じ底辺ECをもつ三角形AECと三角形DECの面積比として求められます。「線分の比を面積の比に置きかえる」発想が難関校の図形で武器になります。
【解答】 (1) 三角形ABDと三角形ADCは、頂点Aから辺BCへ下ろした高さが共通です。底辺の比が BD:DC=2:3 なので、面積比も 2:3。
(2) 三角形ABCの面積を1とします。
・三角形AECは、底辺をAB上のAEと見ると、EはABの中点なのでAE=AB×1/2。高さは三角形ABCと共通なので、三角形AEC=三角形ABC×1/2=1/2。
・三角形DECの面積を、2段階で求めます。まず三角形EBCは、底辺BCが三角形ABCと共通で、高さは三角形ABCの1/2(EがABの中点だから)なので 三角形EBC=1/2。次に三角形DECは、この三角形EBCと頂点Eを共有し、底辺をBC上でとると DC:BC=3:5 なので 三角形DEC=三角形EBC×3/5=1/2×3/5=3/10。
点FはAD上にあり、三角形AECと三角形DECは底辺ECを共有するので、
AF:FD=(三角形AECの面積):(三角形DECの面積)=1/2:3/10=5:3。
よって AF:FD=5:3。
【別解による検算】 座標を使って確かめます。B(0,0)、C(5,0)と置くと、BD:DC=2:3よりD(2,0)。AはBCの上にあればよいのでA(0,6)とします。EはABの中点なのでE(0,3)。
直線ADと直線ECの交点Fを求めると、計算により F(1.25,2.25)となります。AからFまでとFからDまでを横の座標(x)の変化で比べると、A→Fは 0→1.25、F→Dは 1.25→2、その比は 1.25:0.75=5:3。AF:FD=5:3で、面積比による解答と一致しました。
類題4(立体図形・水量)
【問題】 底面が縦20cm・横25cmの長方形で、高さ20cmの直方体の水そうがあります。いま、この水そうに水が深さ12cmまで入っています。
(1) この水の中に、1辺10cmの立方体のおもりを、底に届くように静かに完全に沈めました。水面は何cm上がりますか。ただし水はあふれないものとします。
(2) (1)のあと、毎分500cm³の割合で水を注ぎます。水そうが満水になるのは、水を注ぎ始めてから何分後ですか。
【方針】 (1) は、沈めたおもりの体積のぶんだけ水面が押し上げられる、と考えます。上がった水のかさ(体積)=おもりの体積で、それを水そうの底面積で割れば上がった高さが出ます。(2) は、満水までに残った「空いている部分の体積」を求め、注ぐ割合で割ります。おもりが水面より下に完全にしずんでいるかどうかを確認しておくと安心です。
【解答】 水そうの底面積は 20×25=500(cm²)。
(1) おもり(1辺10cmの立方体)の体積は 10×10×10=1000(cm³)。これが完全にしずむと、水面はおもりの体積ぶんだけ上がります。上がる高さは 1000÷500=2(cm)。これで水の深さは 12+2=14(cm)になり、おもりの高さ10cmは水面(14cm)より下なので、たしかに完全にしずんでいます。
(2) 水そうの高さは20cm、いまの水面は14cmなので、満水まであと 20−14=6(cm)ぶん入ります。この6cmの部分にはおもりはありません(おもりの高さは10cmまでで、14cmより上にはない)から、必要な水は 500×6=3000(cm³)。毎分500cm³で注ぐので 3000÷500=6(分後)。
【別解による検算】 (1) を「全体の体積」で確かめます。はじめの水は 500×12=6000(cm³)。おもりを入れた後の水面の深さを□cmとすると、その空間には水6000cm³とおもり1000cm³の計7000cm³がつまるので 500×□=7000、□=14(cm)。上がった高さは 14−12=2(cm)で一致しました。
(2) 満水を体積で確かめます。満水(深さ20cm)の空間は 500×20=10000(cm³)で、うちおもりが1000cm³なので水は9000cm³。(1)時点の水6000cm³との差は 9000−6000=3000(cm³)。3000÷500=6(分後)で一致しました。
類題5(数の性質・あまり)
【問題】 ある整数について、3で割ると2余り、5で割ると3余り、7で割ると4余ります。
(1) このような正の整数のうち、最も小さいものを求めなさい。
(2) このような整数を小さい順に並べたとき、2026にもっとも近いものを求めなさい。
【方針】 3つの条件を一度に満たす数は、条件を2つずつ合わせながらしぼりこむのが定石です。「3で割ると2余り」かつ「5で割ると3余り」をまず満たす数の並びを見つけ、それが15ごとにくり返すことを利用します。次に「7で割ると4余り」を加えると、答えは3×5×7=105ごとにくり返すことがわかります。(2) は、この105おきの数列のなかで2026をはさむ2つを求め、近い方を選びます。
【解答】 (1) まず「5で割ると3余る数」は 3,8,13,18,23,… です。このうち「3で割ると2余る数」を探すと、3→余り0、8→余り2 ○。よって両方を満たす数は8から始まり、15ごとにくり返して 8,23,38,53,… となります。
次に「7で割ると4余る」条件を加えます。8÷7=1余り1、23÷7=3余り2、38÷7=5余り3、53÷7=7余り4 ○。よって3条件すべてを満たす最小の正の整数は53です。
(確かめ:53÷3=17余り2、53÷5=10余り3、53÷7=7余り4。すべて条件どおり。)
(2) 条件を満たす数は、53から始まり105ごとにくり返します(3・5・7の最小公倍数が105だから)。53,158,263,… です。2026に近いものを探します。2026−53=1973、1973÷105=18余り83 なので、53+105×18=53+1890=1943。その次は 1943+105=2048。2026との差は、1943とは 2026−1943=83、2048とは 2048−2026=22。差が小さいのは2048なので、答えは2048です。
【別解による検算】 (2) の答え2048が3条件を満たすか、直接わり算で確かめます。2048÷3=682余り2 ○、2048÷5=409余り3 ○、2048÷7=292余り4 ○。すべて条件どおりです。もう一方の候補1943も同様に3条件を満たしますが、2026との差は1943が83、2048が22で、2048の方が近いことが確かめられました。よって2048で一致しました。
学習アドバイス
【時期別】
- 6年生の夏まで:計算力と各分野の標準解法を穴なく仕上げることが最優先です。割合・比・速さ・図形・場合の数・数の性質を、この時期に一通り正確にしておきましょう。計算は毎日、時間を計って正確さを鍛えます。
- 秋(9〜11月):応用問題への対応力と、50分という時間配分の感覚を養う時期です。過去問は公式サイトで公開されている問題用紙・解答用紙・解答例や市販の問題集で演習してください。1回分を通しで解き、「どの問題から手をつけるか」「1問にかける時間の上限」を体で覚えていきましょう。
- 直前期(12月〜1月):これまでの問題を反復し、精度と再現性を高める時期です。本記事の【別解による検算】のように、別のルートで自分の答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番での取りこぼしを減らせます。取れる問題を確実に取り切ることを最優先にしましょう。
【分野別】
- 場合の数:「位ごとに数える」「条件を満たす組を先に見つけてから並べ方を数える」順序を身につけましょう(類題1)。倍数判定など数の性質と組み合わせて出されることも多い分野です。
- 速さ:流水算では「下り=静水+流れ」「上り=静水−流れ」がすべての出発点です(類題2)。状況を線分図やダイヤグラムにかいて整理する習慣を大切にしましょう。
- 平面図形:面積比を使って線分の比を求める発想(類題3)は難関校の図形で強力な武器です。「高さが等しい三角形の面積比=底辺の比」を自在に使えるようにしましょう。
- 立体図形・水量:水位の問題は「上がったかさ=入れた物の体積」「全体の体積で考える」の2つの見方を持つと、検算にも使えて安心です(類題4)。
- 数の性質:あまりの条件は「2つずつ合わせてしぼる」「最小公倍数ごとにくり返す」が定石です(類題5)。
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