教育コラム

解説を読んで分かった気になるのは、勉強ではなく娯楽だ

参考書の解説を読んで「あ、なるほど!」とスッキリした。そんな経験、君にもあるよね。でも、いざ似たような問題が出ると、また手が止まってしまう。「あれだけ理解したはずなのに、なんで解けないんだろう」って、自分にがっかりする。
実はこれ、君の頭が悪いわけじゃない。原因はもっと別のところにある。今日はその話をしたいと思う。

「分かった気になる」のは、なぜ起きるのか

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解説を読んで分かった気になるのは、勉強ではなく娯楽だ。少し厳しい言い方かもしれないけれど、僕は本気でそう思っている。

なぜなら、解説を読んでいるときの君の脳は、ほとんど「受け身」になっているからだ。よくできた解説は、つまづくポイントを先回りして、論理の道筋をきれいに整えてくれている。だから読んでいて気持ちがいい。スッと頭に入ってくる。その「スッと入ってくる快感」を、僕たちはつい「理解した」と勘違いしてしまう。

でもそれは、面白い映画を観て「いい話だったなあ」と満足するのと、構造としてはほとんど同じなんだ。映画を観終わったあと、その物語を一から自分で語り直せるかというと、案外できない。解説も同じで、読んで納得することと、自分で再現できることのあいだには、想像以上に大きな壁がある。この壁を意識していない受験生が、本当に多いと感じている。

僕が2浪して気づいた「娯楽としての勉強」

正直に言うと、これは過去の僕自身の話でもある。

僕は2浪を経験している。1浪目の僕は、まさに「解説を読んで分かった気になる」典型だった。分厚い数学の問題集を買って、問題をパッと見て、5分くらい考えて、手が止まったらすぐ解説を読む。読むと「ああ、そうやって解くのか」と納得して、赤ペンで線を引いて、次の問題へ進む。1日に20問くらい「進んだ」気になっていた。

ノートはどんどん埋まっていく。やった気分は最高だ。でも、模試になると点が取れない。偏差値はちっとも上がらない。当時の僕は「こんなにやっているのに、なんでだ」と本気で悩んだ。今思えば答えは単純で、僕は問題集を「読んでいた」だけで、「解いていなかった」んだ。

2浪目に入って、ある先生に言われた一言で目が覚めた。「君、その問題、解説を見ないで最後まで書ける?」と聞かれて、僕はまったく書けなかった。あれだけ「理解した」はずの問題が、白紙の状態からは一行も出てこない。そのとき初めて、自分のやってきたことが勉強ではなく、娯楽だったと気づいたんだ。

そこから僕は勉強のやり方を変えた。結果的に成績は伸び、その後21歳で塾を創業することになった。今こうして数強塾でたくさんの受験生を見ているけれど、成績が伸び悩む子の多くが、かつての僕と同じ罠にハマっている。

「分かる」を「できる」に変える具体的な方法

では、どうすればいいのか。解説を読んで分かった気になる勉強から抜け出すために、僕が大切だと思っていることを3つ伝えたい。

1. 解説を閉じて、自分の手で再現する

一番大事なのはこれだ。解説を読んで「なるほど」と思ったら、必ず一度それを閉じてほしい。そして、何も見ないで、その問題を最初から最後まで自分の手で解き直す。途中で詰まったら、そこが君の本当の弱点だ。

解説を読んでいるときに分かった気になっていた部分と、実際に手が止まる部分は、驚くほどズレている。この「ズレ」を一つひとつ潰していくことこそが勉強だ。読むだけでは絶対に見つからない。手を動かして初めて、自分が何を分かっていないかが見えてくる。

2. 「人に説明できるか」を基準にする

もう一つの目安は、「この問題、友達に説明できるかな」と自分に問いかけることだ。なぜその式を立てるのか、なぜそこで場合分けするのか。言葉にして説明できないなら、それは「分かった気」の段階にとどまっている。

僕は授業で生徒に「先生役をやってみて」とよく頼む。説明しようとすると、自分の理解の穴がはっきり見える。声に出して説明できたとき、初めてその知識は君のものになる。これは数学でも情報Iでも、国語の記述でもまったく同じだ。

3. 翌日にもう一度、白紙から解く

分かったその日に解けても、それで終わりにしないでほしい。人間は忘れる生き物だ。だからこそ、翌日にもう一度、白紙の状態から同じ問題を解いてみる。ここでスラスラ書けたら、本物の「できる」に近づいている。書けなかったら、まだ「娯楽」の段階だったということ。落ち込む必要はない。それが分かっただけで、君は一歩前進している。

大切なのは、進んだ量ではなく、「白紙から再現できる問題が何問増えたか」だ。1日に20問読むより、3問を完璧に再現できるようにするほうが、ずっと成績は伸びる。これは僕自身が遠回りして学んだことだ。

まとめ:気持ちよさに逃げないこと

解説を読んで分かった気になるのは、勉強ではなく娯楽だ。もう一度言うけれど、これは君を責める言葉じゃない。むしろ、かつての僕がそうだったように、まじめで一生懸命な子ほどこの罠にハマりやすい。たくさん読んで、たくさん線を引いて、やった気になってしまうからだ。

でも、本当の勉強は気持ちのいいものばかりじゃない。手を止めて、白紙とにらめっこして、思い出せなくて悔しい思いをする。その地味で苦しい時間にこそ、君の力は育っていく。気持ちよさに逃げず、ほんの少しだけ自分に厳しく手を動かしてみてほしい。きっと、模試の点数が変わってくるはずだと、僕は思っている。


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