確率の応用でつまずくのは、公式ではありません。「かけていいのか、足していいのか」の判断です。
独立なら確率をかけられる。独立でないなら、1回目の結果を受けて2回目の確率が変わる。この20題では、その判断を毎回はっきりさせてから式を立てます。
この道場の使い方
黒板の中が問題、その下が解説です。確率では、迷ったら数え上げに戻ってください。さいころ2個なら36通り、コイン5回なら32通り。全部数えれば必ず答えは出ます。
独立試行・反復試行・条件付き確率に絞った20題です。数え方と確率の基本は場合の数・確率の特訓道場【第1章】、順列と組合せは第2章以降にあります。
第1章 独立試行と反復試行
第1問
さいころを2個投げるとき、次の確率を求めなさい。
(1) 両方とも6の目が出る (2) 1個目が偶数で、2個目が5以上
使う道具互いに影響しない試行(独立)では、確率をかけられる。
(1)
(2) 1個目が偶数は 、2個目が5以上は なので
たしかめ 全36通りのうち条件をみたすのは6通り。 で一致します。
答 (1) (2)
ひとこと2個のさいころは互いに影響しません。だからかけ算でよい。「独立かどうか」を口に出してから式を書く——この一手間が、あとの問題で効いてきます。
第2問
硬貨を5回投げるとき、表がちょうど3回出る確率を求めなさい。
使う道具反復試行——同じ試行をくり返すときは、回数の選び方をかける。
5回のうちどの3回が表かの選び方は 通り。それぞれの並びが起こる確率は なので
たしかめ 全32通りのうち表3回は10通り。合っています。
答
ひとこと「どの回に起こるか」の選び方を忘れるのが最大の失点です。 だけでは1つの並びの確率にしかなりません。
第3問
さいころを4回投げるとき、1の目がちょうど2回出る確率を求めなさい。
使う道具反復試行の公式 。
たしかめ 全1296通りのうち150通り。合っています。
図との対応 棒グラフを見ると、1が出る回数は0回がいちばん多く、回数が増えるほど急に小さくなります。
答
ひとこと公式の3つの部分を分けて書く——「選び方」「起こる分」「起こらない分」。指数の和が必ず になるかを確かめてください()。
第4問
さいころを3回投げるとき、少なくとも1回は6の目が出る確率を求めなさい。
使う道具「少なくとも1回」は余事象(1回も出ない)から。
1回も6が出ない確率は
したがって
たしかめ 全216通りのうち6を含むのは91通り。合っています。
答
ひとこと「少なくとも」を見たら余事象——1回・2回・3回と場合分けするより圧倒的に速いです。余事象は「1回も〜ない」と読みかえてください。
第5問
さいころを4回投げるとき、1の目が出る回数を とします。 の確率をそれぞれ求め、どちらが大きいか答えなさい。
使う道具反復試行の公式を ごとに計算する。
なので のほうが大きくなります。
答 が 、 が 。 のほうが大きい
ひとこと期待値は で1より小さいので、0回がいちばん起こりやすくなります。分母を1296にそろえて比べると、大小がすぐ分かります。
第6問
10本のくじに当たりが3本あります。2本続けて引くとき、両方とも当たりである確率を求めなさい。引いたくじは戻さないものとします。また、戻す場合と比べなさい。
使う道具戻さないと、2本目の確率が変わる(独立でない)。
戻さない場合 1本目が当たりの確率は 。そのあと残り9本中2本が当たりなので
戻す場合 毎回 なので
、 なので、戻さないほうが小さくなります。
答 戻さない場合 、戻す場合 。戻さないほうが小さい
ひとこと当たりを1本引いてしまうと、残りの当たりが減るので確率が下がります。「戻すか戻さないか」は必ず問題文で確認してください。書かれていなければ戻さないのが普通です。
第7問
数直線上の原点に点Pがあります。硬貨を投げて表なら 、裏なら 動かします。4回投げたあと、点Pが原点にある確率を求めなさい。
使う道具原点に戻るには、表と裏が同じ回数。
4回で原点に戻るのは表2回・裏2回のときなので
たしかめ 全16通りのうち、和が0になるのは6通り。合っています。
答
ひとこと「どういう出方なら条件をみたすか」を先に決めるのが、この型の要点です。奇数回では原点に戻れません——移動の合計が奇数になるからです。
第2章 条件付き確率
第8問
さいころを1個投げます。出た目が偶数だったとき、その目が4以上である確率を求めなさい。
使う道具条件付き確率——条件を新しい全体とみなす。
偶数は の3通り。そのうち4以上は の2通りなので
定義で計算しても、 なので
答
ひとこと条件が与えられたら、その条件をみたすものだけを新しい全体にする——これが条件付き確率のいちばん分かりやすい理解です。分母が6から3に変わりました。
第9問
赤玉3個、白玉2個が入った袋から、続けて2個取り出します(戻しません)。1個目が赤だったとき、2個目も赤である確率を求めなさい。
使う道具1個目を取り出したあとの状態を考える。
1個目が赤なら、残りは赤2個・白2個の計4個。したがって
定義で計算しても 両方赤の確率は 、1個目が赤は なので
答
ひとこと 図の樹形図で、赤へ進んだあとの枝が になっているのがこの確率です。各分かれ道で、枝の確率の合計は必ず1——図で確かめられます。
第10問
第9問の設定で、次の確率を求めなさい。
(1) 2個とも赤 (2) 2個目が赤
使う道具乗法定理 。
(1)
(2) 1個目が赤の場合と白の場合を足して
答 (1) (2)
ひとこと(2)は1個目の確率 と同じになりました。中身を見ずに引くなら、何番目でも赤である確率は変わりません(第19問)。樹形図では「枝をたどってかけ、経路を足す」だけです。
第11問
赤玉3個、白玉2個の袋から2個取り出すとき、2個とも赤である確率を、戻す場合と戻さない場合で比べなさい。
使う道具戻せば独立、戻さなければ条件付き。
戻す場合
戻さない場合
差は で、戻すほうが大きくなります。
答 戻す場合 、戻さない場合 。戻すほうが大きい
ひとこと戻さないと、赤を引いたぶん赤が減るので確率が下がります。第6問と同じ構造です。玉の総数が多いほど、この差は小さくなります。
第12問
袋Aには赤玉3個と白玉1個、袋Bには赤玉1個と白玉3個が入っています。どちらかの袋を等しい確率で選び、そこから1個取り出したところ赤玉でした。選んだのが袋Aである確率を求めなさい。
使う道具「原因のほうの確率」を求める。まず全経路を書き出す。
袋Aを選んで赤
袋Bを選んで赤
赤が出る確率は 。求める確率は
答
ひとこと結果(赤だった)から原因(どちらの袋か)をさかのぼっています。手順は「経路ごとの確率を出す → 目的の経路 ÷ 全部の和」。袋Bだった確率 と足すと1になることを確かめてください。
第13問
ある病気にかかっている人は全体の1%です。検査では、病気の人が陽性になる確率が99%、健康な人が陽性になる確率が5%です。検査で陽性だった人が実際に病気である確率を求めなさい。
使う道具第12問と同じ手順で、経路を2つ書き出す。
病気かつ陽性
健康かつ陽性
陽性になる確率は なので
答
ひとこと検査の精度が99%でも、陽性の人の6人に1人しか病気ではありません。もともと病気の人が少ないので、健康な人の5%(人数では多い)が結果を押し下げます。「もとの割合」を無視すると直感が外れる——確率のいちばん有名な落とし穴です。
第14問
さいころを2個投げます。次の2つの事象は独立かどうか調べなさい。
(1) 「1個目が偶数」と「2個の和が偶数」 (2) 「1個目が偶数」と「2個の和が7」
使う道具独立とは が成り立つこと。
(1)、。両方みたすのは9通りで 。
一致するので独立。
(2) 和が7は6通りで 。両方みたすのは3通りで 。
一致するので独立。
答 (1)(2)とも独立
ひとこと関係がありそうに見えても、確率の上では独立ということがあります。「和が7」は1個目が何であっても2個目が1通りに決まるので、1個目の偶奇に影響されません。見た目でなく式で判定することが大切です。
第3章 総合
第15問
3人がじゃんけんを1回します。あいこにならない(勝負がつく)確率を求めなさい。
使う道具全事象を数えて、あいこを引く。
3人の手の出し方は 通り。あいこになるのは
合わせて9通りなので、勝負がつくのは 通り。
答
ひとこと「あいこ」は2種類ある——全員同じと全員バラバラ。片方を忘れるのが定番の失点です。勝負がつくのは「ちょうど2種類の手が出る」場合と言いかえられます。
第16問
3枚のカードから1枚を引く操作を5回くり返します(毎回戻します)。特定の1枚をちょうど2回引く確率と、少なくとも1回引く確率を求めなさい。
使う道具反復試行()と余事象。
ちょうど2回
少なくとも1回 1回も引かない確率が なので
答 ちょうど2回 、少なくとも1回
ひとこと「戻します」と書かれていれば毎回同じ確率なので、反復試行の公式がそのまま使えます。「少なくとも」は余事象(第4問)。
第17問
さいころを2個投げます。出た目の和が7だったとき、少なくとも一方が3である確率を求めなさい。
使う道具条件をみたす場合だけを新しい全体にする(第8問)。
和が7になるのは の6通り。そのうち3を含むのは の2通りなので
定義で計算しても。
答
ひとこと条件がつくと全体が36通りから6通りに縮みます。この6通りを実際に書き出すのがいちばん確実で速いです。
第18問
さいころを4回投げるとき、少なくとも1回は6の目が出る確率を求めなさい。
使う道具余事象(第4問と同じ)。
1回も6が出ない確率は
したがって
これは約0.518で、半分より少し大きい確率です。
答
ひとこと4回投げてやっと半々をこえます。3回では で半分未満(第4問)。「6回投げれば1回は出る」わけではない——実際に計算すると約0.665です。
第19問
5本のくじに当たりが1本あります。5人が順に1本ずつ引くとき、1番目に引く人と3番目に引く人で、当たる確率に違いがあるか答えなさい。
使う道具すべての引き方を並べて数える。
5人の引き方は 通り。当たりくじがどの人に渡るかは、どの位置も同じ確からしさなので、何番目でも
3番目で計算しても 1番目と2番目がはずれで3番目が当たりだから
答 違いはない。どちらも
ひとことくじは引く順番によらず公平です。あとの人は「前の人がはずれた」という条件がつくぶん確率が上がりますが、そこまでたどりつく確率が下がるので、かけ算するとちょうど打ち消し合います。
第20問
次の確率を求めなさい。
(1) 硬貨を6回投げて表がちょうど3回出る (2) さいころを2回投げて少なくとも1回は6が出る
使う道具(1)は反復試行、(2)は余事象。
(1)
(2)
答 (1) (2)
ひとこと(1)は第2問(5回で3回)と同じ になりました。偶然の一致ですが、答えを覚えるのではなく毎回公式から出す習慣をつけてください。
解き終えた人へ
20題で使った判断を4つにまとめます。
- 独立ならかけ算(第1問・第14問)——互いに影響しないかを口に出して確かめる。
- 反復試行は「選び方 × 起こる分 × 起こらない分」(第2問・第3問・第16問)——選び方を忘れない。
- 「少なくとも」は余事象(第4問・第16問・第18問・第20問)——場合分けより速い。
- 条件がついたら全体を縮める(第8問・第17問)、結果から原因をさかのぼるなら経路を全部書く(第12問・第13問)。
迷ったときは、樹形図を書いて枝に確率を入れてください。枝をたどってかけ、経路を足す——これですべての問題が解けます。各分かれ道で枝の合計が1になるかが検算になります。
第13問のように、直感と答えが食い違う問題こそ確率の本領です。式が正しければ、直感のほうを修正してください。
次に解くもの
数え方の基本は場合の数・確率の特訓道場【第1章】、順列は第2章、組合せは第3章、PとCで解く確率は第4章にあります。
数強塾では、中学受験算数から中高一貫校の数学まで、個別指導を行っています。いま解けなかった問題の場所から立て直します。
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この回で手が止まったら、同じ単元の「基本」の回が無いかを索引で確かめてください。逆に楽に解けたなら、難問の回か、次の学年の回へ進めます。
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- 計算の裏技・速算辞典(6部40技) ── 解き方は合うのに時間がかかるとき
仕上げの10題|第21問〜第30問(オリジナル)
上の20題を解き終えた人のための、もう10題です。章立ては本編と同じ3つ(独立試行と反復試行/条件付き確率/総合)にそろえてあるので、どの章で手が止まったかが、そのまま復習すべき場所になります。
条件付き確率がむずかしく感じるのは、公式のせいではありません。分母(何を全体とみなすか)が途中ですり替わるからです。
・ふつうの確率:分母は起こりうる全部
・条件付き確率:分母は条件を満たすものだけ
だから条件付き確率の問題では、まず条件を満たす場合を全部書き出して分母を作る。そのあとで分子を数える。この順番を守るだけで、第24問(両面カード)も第25問(3つの扉)もただの数え上げになります。
そしてもう1つ。「感覚と合わない」ときは、たいてい感覚のほうが誤りです。第24問の答えは 12 ではなく 23、第26問では検査の精度が99%でも1回の陽性では 16 にしかなりません。数えた結果を信じてください。
反復試行のほうは道具が1つだけ。nCkpk(1 − p)n−k。「少なくとも1回」は余事象——この2つで第1章は通ります。
第1章(復習) 独立試行と反復試行
P(X = 3) = 5C3(23)3(13)2 = 10 × 827 × 19 = 80243
すべて出すと(分母はそろえて243)
X = 0:1243、1:10243、2:40243
X = 3:80243、4:80243、5:32243
X = 3 と X = 4 が同じ値で最大
検算:1 + 10 + 40 + 80 + 80 + 32 = 243 で合計1 ◯
5 × 23 = 103 ≒ 3.33 が「平均の回数」なので、最頻値が3と4なのは自然です ◯
よくある誤答3以上を「4, 5, 6」の3通りとして p = 12 とする
(3も含みます。「3以上」と「3より大きい」は別)/最大が1つだと決めつけて X = 3 だけ答える(同じ値が2つあります)
答え P(X = 3) = 80243。最頻は X = 3 と X = 4
23 × 12 = 13
A が勝つのは、1巡目・2巡目・… と無限に足して
P(A) = 131 − 13 = 1323 = 12
検算:B が勝つ確率は 23 × 12 = 13 を初項として
1323 = 12 で、合計 1 ◯
命中率では B が上なのに、先攻の分でちょうど互角になりました ◯
A の命中率が 13 より高ければ A 有利、低ければ B 有利です。
よくある誤答「命中率が高い B のほうが有利」と決めつける
(先に撃てる分だけ A が得をしています。この設定ではちょうど釣り合います)/1巡目だけ計算して 13 と答える
答え P(A) = 12(B も 12)
1 − (56)n ≥ 0.9 → (56)n ≤ 0.1
両辺の常用対数をとると(log は負なので不等号が逆になる)
n(log105 − log106) ≤ −1
log105 = 1 − log102 = 0.6990、log106 = 0.3010 + 0.4771 = 0.7781
n(−0.0791) ≤ −1 → n ≥ 10.0791 ≒ 12.64
よって最小の n は 13
検算:(56)12 ≒ 0.1122 で 0.1 を超える(確率 0.888 < 0.9)◯
(56)13 ≒ 0.0935 で 0.1 以下(確率 0.907 ≥ 0.9)◯
よくある誤答対数をとるときに不等号の向きを変え忘れる
(0.1 も 56 も1より小さいので、log は両辺とも負。負の数で割ると向きが変わります)/12.64 を四捨五入して13ではなく13でよい理由を書かない(n ≥ 12.64 を満たす最小の整数は13)
答え n = 13
第2章(復習) 条件付き確率
両面赤のカード:赤①・赤②
赤白のカード:赤③
上を見て赤だったとき、その面は①②③のどれかで、3通りとも同じ確からしさ
このうち裏も赤なのは①②の2通り(両面赤のカードのとき)
よって求める確率は 23
検算:乗法定理でも
P(両面赤 かつ 上が赤) = 13 × 1 = 13
P(上が赤) = 13 × 1 + 13 × 12 + 13 × 0 = 12
1312 = 23 ◯
実際に3枚のカードで何度も試すと、赤が見えた回のうちおよそ3分の2で裏も赤になります ◯
よくある誤答「残るのは両面赤か赤白の2枚だから 12」とする
(カードを数えてはいけません。両面赤のカードは赤い面を2つ持っているので、「赤が見えた」という状況になりやすいのです)
答え 23
(i) 最初が当たり(確率 13)→ 変更するとハズレ
(ii) 最初がハズレ(確率 23)→ 残る1つは必ず当たりなので、変更すると当たり
(司会者はハズレを開けるしかないため)
よって
変更する:23、変更しない:13
変更したほうが2倍得
検算:司会者が扉を開けても、最初に選んだ扉が当たりである確率は 13 のまま変わりません(司会者は必ずハズレを開けられるので、新しい情報が入っていない)。
残りの確率 23 が、開かれなかった1つの扉にまるごと集まるのです ◯
扉が100個で98個開けられる場合を考えると、99100 対 1100 で直感とも合います ◯
よくある誤答「残り2つだから 12 ずつ」とする
(司会者が中身を知っていることが効いています。もし司会者が知らずに開けて偶然ハズレだったなら、そのときは本当に 12 ずつになります)
答え 変更する 23、変更しない 13(変更したほうが得)
これを新しい出発点にして、もう一度同じ計算をする
病気かつ陽性:16 × 99100 = 99600
健康かつ陽性:56 × 5100 = 25600
2回目も陽性になる確率:99 + 25600 = 124600
求める確率は 99600124600 = 99124 ≒ 0.798
検算:最初から2回ぶんまとめて計算しても同じ
病気かつ2回陽性:1100 × (99100)2
健康かつ2回陽性:99100 × (5100)2
比は 9801 : 2475 = 99 : 25 で、99124 ◯
1回では 16 ≒ 0.167 だったものが、2回で 約80% まで上がりました。再検査に意味があるのはこのためです。
よくある誤答「99%の検査を2回だから 0.99 × 0.99」とする
(求めているのは「陽性の人が病気である確率」で、検査の精度そのものではありません)/1回目の答え 16 を使わずに、また有病率1%から出発する
答え 99124(≒ 0.798)
第3章(復習) 総合
A が当たる確率:25(当たりは2本)
B が当たる確率:
A が当たり → 25 × 14 = 220
A がはずれ → 35 × 24 = 620
合計 820 = 25
C も同様に計算すると 25
よって3人とも 25 で等しい
検算:5本の並べ方 5! = 120 通りを総当たりしても、1番目・2番目・3番目が当たりになるのはそれぞれ48通りで同じ ◯
考え方:「何番目に引くか」は当たりの位置と無関係。くじを引く順番で有利不利は生まれません ◯
よくある誤答「先に引くほうが当たりやすい」と考える
(順番は関係ありません。これは実際に数えて確かめるべきところです)/B の確率を 14 とする(A の結果で場合分けが要ります)
答え 3人とも 25 で等しい
→ 袋は赤4・白2 の6個。2回目に赤は 46 = 23
1回目が白(確率 25)
→ 袋は赤3・白3 の6個。2回目に赤は 36 = 12
したがって
35 × 23 + 25 × 12 = 25 + 15 = 35
検算:1回目に赤が出る確率とまったく同じ 35 になりました ◯
3回目も、4回目も 35 です(有利な色が増えるぶんと、その色が出にくかった場合がちょうど釣り合う)。
この仕組みはポリアの壺と呼ばれます。
よくある誤答「赤が増えるから2回目は赤が出やすい」と考えて 23 と答える
(1回目が白の場合を忘れています。両方を確率で重みづけして足すと、もとに戻ります)/戻さない問題(第6問)と混同する
答え 35(1回目と同じ)
2人目だけ命中:12 × 13 × 34 = 324
3人目だけ命中:12 × 23 × 14 = 224
ちょうど1発命中する確率は 6 + 3 + 224 = 1124
求める確率は 6241124 = 611
検算:3人の確率の比は 6 : 3 : 2 で、合計11。条件付き確率は、この比をそのまま読むだけ ◯
命中数が0発の確率は 12 × 23 × 34 = 14、3発は 12 × 13 × 14 = 124 ◯
よくある誤答分母を1にして 624 と答える
(条件がついているので、分母は「ちょうど1発」の 1124)/「1人目の命中率が 12 だから 12」とする
答え 611
Q(n) = 365365 × 364365 × 363365 × … × 365 − n + 1365
求める確率は 1 − Q(n)
順に計算すると
n = 10:0.1169 n = 20:0.4114
n = 22:0.4757(まだ 12 未満)
n = 23:0.5073(初めて超える)
よって n = 23 以上
検算:22人のとき、誕生日の組は 22C2 = 231通り。1組が一致する確率は 1365 なので、だいたい 231365 ≒ 0.63 … これは重複を数えすぎた見積もりですが、「意外に多い」ことの目安になります ◯
23人でもクラス1つぶん。365日あるのに23人で半々というのは、比べる組の数が人数の2乗で増えるからです。
よくある誤答「365日あるから、183人くらい必要」と考える
(比べるのは「人と日」ではなく「人と人の組」。23人でも組は231通りあります)/余事象を使わずに直接数えようとする(「少なくとも2人」は場合分けが爆発します)
答え n = 23 以上
この10題で確認したこと
- 反復試行は nCkpkqn−k
- 合計が1になるかで検算できる
- 「3以上」に3は入る
- 最頻値は2つ並ぶことがある
- 交互に撃つ問題は1巡の確率を公比に
- 先攻には先攻の利がある
- 「少なくとも1回」は余事象
- 指数の不等式は常用対数(負の数で割ると不等号が逆)
- 条件付き確率は分母を先に作る
- 両面カードはカードでなく面を数える
- 3つの扉は司会者が知っていることが効く
- 1回目の答えを2回目の事前確率にする
- くじは引く順番で有利不利が生まれない
- 袋の中身が変わる問題は1回目で場合分け
- 「ちょうど1つ」は3通り全部を分母に
- 確率の比をそのまま読むと条件付き確率になる
- 誕生日は人と人の組で数える(23人で半々)
8題以上:この単元は仕上がっています。確率漸化式の特訓道場 へ進んでください。「n 回後」を扱う道具がそろいます。
5〜7題:間違えた章だけを本編の該当章に戻って解き直す。
4題以下:詰まっているのは確率ではなく数え上げであることが多いです。条件付き確率は「条件を満たすものを全部書き出す」作業で、書き出せなければ分母が作れません。重複組合せと組分けの特訓道場 で数える力を固めてから戻ってきてください。
- 確率漸化式の特訓道場|n 回後の確率を求める30題
- 確率の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例
- 重複組合せと組分けの特訓道場|分母を作る力を固める30題
- 統計的な推測の特訓道場|確率のばらつきを数で扱う
- 場合の数と確率 学習ロードマップ|樹形図から確率漸化式までの地図
- 解法パターン事典(全49単元618型)|解けなかった問題の「型」を引く
数強塾オリジナル 追加演習4題——直感と食い違ったら、直感のほうを直す
解き終えた人へ、の最後にこうありました。
直感と答えが食い違う問題こそ確率の本領です。式が正しければ、直感のほうを修正してください。
この 題は、全部そういう問題です。答えを見る前に、まず「だいたいこれくらい」と予想してから解いてください。
検算はいつも同じ つ。樹形図の各分かれ道で枝の合計が になるかと、全部の場合を書き出して数えた結果と合うか。
追加第1問(第10問と同型:くじの順番)
本のくじのうち 本が当たりです。 人が順に 本ずつ引き、引いたくじは戻しません。
(1) 番目の人が当たる確率を求めなさい。
(2) 番目の人が当たる確率を求めなさい。
(3) 番目の人がハズレだったと分かっているとき、 番目の人が当たる確率を求めなさい。
解答
(1) 。
(2) これも です。
理由は、 本を一列に並べたときに当たりが 番目に来る確率を考えれば分かります。どの位置も対等なので、当たりが来る確率はどこも同じ。
実際に か所から当たり 本の位置を選ぶ 通りを全部数えると、どの位置も 通りで当たり。
か所すべてで同じ値になります。
(3) こちらは変わります。残りは 本で当たりは 本のまま。
から へ上がりました。
「順番は関係ない」が成り立つのは、途中の結果を知らないときだけです。情報が入った瞬間、確率は変わります。
ここが条件付き確率の入口です。「引く前」と「 人目の結果を見たあと」では、立っている場所がちがいます。
そして 番目が当たりだったなら、 番目は に下がります。知らないままなら 、知ってしまえば か (なぜ条件付き確率では分母が変わるのか)。
検算:。もとの値に戻りました。
追加第2問(第12問・第13問と同型:結果から原因へ)
ある工場では、製品の が不良品です。検査機は
・不良品なら の確率で「不良」と判定する
・良品でも の確率で「不良」と判定してしまう
検査機が「不良」と判定した製品が、本当に不良品である確率を求めなさい。
解答
万個で考えるのがいちばん速いです。
- 不良品: 個 → そのうち「不良」判定は 個
- 良品: 個 → そのうち「不良」判定は 個
「不良」と判定されたのは合わせて 個。そのうち本当の不良品は 個。
およそ です。
の精度で「不良」と出たのに、本当に不良である確率は 。ここが直感といちばん食い違うところです。
なぜこうなるのか。もともと不良品が少なすぎるからです。
良品が 個もあるので、たとえ の誤判定でも 個が「不良」に紛れこみます。本物の 個は、その中に埋もれてしまう。
「もとの割合()を無視して、検査の精度()だけを見る」のが誤りの正体です(なぜベイズの定理で「原因の確率」が求まるのか)。
もし不良品率が だったらどうなるか。 万個なら不良 万個・良品 万個で、「不良」判定は 。本物は 個なので約 。もとの割合が変わると答えが大きく動きます。
追加第3問(第2問・第4問と同型:反復試行)
さいころを 回投げます。
(1) の目がちょうど 回出る確率を求めなさい。
(2) の目が少なくとも 回出る確率を求めなさい。
解答
(1) 選び方 × 起こる分 × 起こらない分。
(2) 「少なくとも」は余事象。 回も出ない確率を引きます。
「 回投げれば 回くらい出る」は正しくありません。ちょうど 回は 割、 回も出ないことが 回に 回あります。
「 分の を 回だから確実」と感じるのは、期待値と確率を混ぜているからです。
出る回数の平均(期待値)はたしかに 回。しかし「平均が 回」と「 回以上出る」は別のことです(なぜ期待値は「値×確率」の和なのか)。
検算をします。出る回数ごとの確率を全部足すと
| 回数 | 以上 | |||
|---|---|---|---|---|
| 確率 |
合計はちょうど 。そして (2) は と一致します(なぜ排反なら確率を足してよいのか)。
追加第4問(第1問と同型:全部書き出す)
人が 回じゃんけんをします。全員がグー・チョキ・パーを同じ確からしさで出すとします。
(1) あいこになる確率を求めなさい。
(2) 人のときと比べなさい。
解答
(1) 全部で 通り。勝負がつくのは、出た手がちょうど 種類のときです。
手の組を選ぶのが 通り。その 種類を 人に割りふるのは 通りですが、全員同じになる 通りを除きます。
あいこは 通り。
(2) 人なら全部で 通り。勝負がつくのは 通りなので、あいこは 通り。
人数が増えるとあいこが増えます。
人だとほぼ半分があいこ。「 回で決まらないのは運が悪いから」ではなく、そういうものです。
理由は「勝負がつく=手がちょうど 種類」という条件が、人数が増えるほど難しくなるからです。 人全員が 種類に収まる必要があります。
ここでも全部書き出すのがいちばん確実でした。 通りを実際に数えても 通りになります(なぜ確率は場合の数の割り算で求められるのか、なぜ独立な試行では確率を掛けるのか)。
直感がずれる4つの型
| 直感 | 実際 | ずれの原因 |
|---|---|---|
| 「順番で有利不利がある」 | どこも | 情報がなければ全員対等 |
| 「 当たる検査なら 」 | もとの割合を無視している | |
| 「 回投げれば出る」 | 期待値と確率の混同 | |
| 「あいこはめずらしい」 | 人でほぼ半分 | 条件が厳しくなるのを見落とす |
つとも「分母を作り直す」ことで解けました。くじは残り 本、検査は判定された 個、じゃんけんは 通り。
採点欄には「条件付き確率は『条件を満たすものを全部書き出す』作業で、書き出せなければ分母が作れません」とありました。
この記事の 題も、やったことは分母を正しく作るだけです。直感がずれるのは、頭の中で勝手に別の分母を使っているから。
予想を書いてから解いてください。ずれた回数だけ、確率の感覚は正確になります。
次に読むもの
- なぜ確率は場合の数の割り算で求められるのか——分母と分子の意味
- なぜ条件付き確率では分母が変わるのか——追加第1問・第2問の土台
- なぜベイズの定理で「原因の確率」が求まるのか——追加第2問の一般形
- なぜ独立な試行では確率を掛けるのか——反復試行の根拠
- なぜ確率論は賭博から生まれたのか——直感が当てにならないと分かった歴史
次の段階は確率漸化式の特訓道場、数え上げを固めるなら重複組合せと組分けの特訓道場へ。ほかの疑問はなぜ?数学辞典から引けます。
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この道場は1つの技能を反復して固めるためのページです。一通りできるようになったら、章の内容がひととおり混ざった状態で解いてみてください。そこで初めて「どこが弱いか」が見えます。
体系数学3 論理・確率編 第2章「場合の数と確率」 章末テスト(全20問・100点) ── 条件付き確率・期待値まで。採点したあと、どこに戻ればよいかもページの最後に書いてあります。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:確率 にまとめてあります。

