確率の応用の特訓道場|独立試行・反復試行・条件付き確率30題と全解説



今日の一問
第21問
さいころを5回投げ、3以上の目が出る回数を
X
とする。
X
= 3 となる確率を求めよ。また、
X
のうちもっとも起こりやすいのはどれか。
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

確率の応用でつまずくのは、公式ではありません。「かけていいのか、足していいのか」の判断です。

独立なら確率をかけられる。独立でないなら、1回目の結果を受けて2回目の確率が変わる。この20題では、その判断を毎回はっきりさせてから式を立てます。

この道場の使い方

黒板の中が問題、その下が解説です。確率では、迷ったら数え上げに戻ってください。さいころ2個なら36通り、コイン5回なら32通り。全部数えれば必ず答えは出ます。

独立試行・反復試行・条件付き確率に絞った20題です。数え方と確率の基本は場合の数・確率の特訓道場【第1章】順列と組合せ第2章以降にあります。

第1章 独立試行と反復試行

第1問

さいころを2個投げるとき、次の確率を求めなさい。

(1) 両方とも6の目が出る (2) 1個目が偶数で、2個目が5以上

使う道具互いに影響しない試行(独立)では、確率をかけられる

(1)

(2) 1個目が偶数は 、2個目が5以上は なので

たしかめ 全36通りのうち条件をみたすのは6通り。 で一致します。

答 (1)  (2)

ひとこと2個のさいころは互いに影響しません。だからかけ算でよい。「独立かどうか」を口に出してから式を書く——この一手間が、あとの問題で効いてきます。

第2問

硬貨を5回投げるとき、表がちょうど3回出る確率を求めなさい。

使う道具反復試行——同じ試行をくり返すときは、回数の選び方をかける

5回のうちどの3回が表かの選び方は 通り。それぞれの並びが起こる確率は なので

たしかめ 全32通りのうち表3回は10通り。合っています。

答 

ひとこと「どの回に起こるか」の選び方を忘れるのが最大の失点です。 だけでは1つの並びの確率にしかなりません。

第3問

さいころを4回投げるとき、1の目がちょうど2回出る確率を求めなさい。

01234

使う道具反復試行の公式 

たしかめ 全1296通りのうち150通り。合っています。

図との対応 棒グラフを見ると、1が出る回数は0回がいちばん多く、回数が増えるほど急に小さくなります。

答 

ひとこと公式の3つの部分を分けて書く——「選び方」「起こる分」「起こらない分」。指数の和が必ず になるかを確かめてください()。

第4問

さいころを3回投げるとき、少なくとも1回は6の目が出る確率を求めなさい。

使う道具「少なくとも1回」は余事象(1回も出ない)から

1回も6が出ない確率は

したがって

たしかめ 全216通りのうち6を含むのは91通り。合っています。

答 

ひとこと「少なくとも」を見たら余事象——1回・2回・3回と場合分けするより圧倒的に速いです。余事象は「1回も〜ない」と読みかえてください。

第5問

さいころを4回投げるとき、1の目が出る回数を とします。 の確率をそれぞれ求め、どちらが大きいか答えなさい。

使う道具反復試行の公式を ごとに計算する

なので のほうが大きくなります。

答  のほうが大きい

ひとこと期待値は で1より小さいので、0回がいちばん起こりやすくなります。分母を1296にそろえて比べると、大小がすぐ分かります。

第6問

10本のくじに当たりが3本あります。2本続けて引くとき、両方とも当たりである確率を求めなさい。引いたくじは戻さないものとします。また、戻す場合と比べなさい。

使う道具戻さないと、2本目の確率が変わる(独立でない)

戻さない場合 1本目が当たりの確率は 。そのあと残り9本中2本が当たりなので

戻す場合 毎回 なので

なので、戻さないほうが小さくなります。

答 戻さない場合 、戻す場合 。戻さないほうが小さい

ひとこと当たりを1本引いてしまうと、残りの当たりが減るので確率が下がります。「戻すか戻さないか」は必ず問題文で確認してください。書かれていなければ戻さないのが普通です。

第7問

数直線上の原点に点Pがあります。硬貨を投げて表なら 、裏なら 動かします。4回投げたあと、点Pが原点にある確率を求めなさい。

使う道具原点に戻るには、表と裏が同じ回数

4回で原点に戻るのは表2回・裏2回のときなので

たしかめ 全16通りのうち、和が0になるのは6通り。合っています。

答 

ひとこと「どういう出方なら条件をみたすか」を先に決めるのが、この型の要点です。奇数回では原点に戻れません——移動の合計が奇数になるからです。

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第2章 条件付き確率

第8問

さいころを1個投げます。出た目が偶数だったとき、その目が4以上である確率を求めなさい。

使う道具条件付き確率——条件を新しい全体とみなす

偶数は の3通り。そのうち4以上は の2通りなので

定義で計算しても なので

答 

ひとこと条件が与えられたら、その条件をみたすものだけを新しい全体にする——これが条件付き確率のいちばん分かりやすい理解です。分母が6から3に変わりました。

第9問

赤玉3個、白玉2個が入った袋から、続けて2個取り出します(戻しません)。1個目が赤だったとき、2個目も赤である確率を求めなさい。

3/52/52/42/43/41/43/103/103/101/10

使う道具1個目を取り出したあとの状態を考える

1個目が赤なら、残りは赤2個・白2個の計4個。したがって

定義で計算しても 両方赤の確率は 、1個目が赤は なので

答 

ひとこと 図の樹形図で、赤へ進んだあとの枝が になっているのがこの確率です。各分かれ道で、枝の確率の合計は必ず1——図で確かめられます。

第10問

第9問の設定で、次の確率を求めなさい。

(1) 2個とも赤 (2) 2個目が赤

使う道具乗法定理 

(1)

(2) 1個目が赤の場合と白の場合を足して

答 (1)  (2)

ひとこと(2)は1個目の確率 と同じになりました。中身を見ずに引くなら、何番目でも赤である確率は変わりません(第19問)。樹形図では「枝をたどってかけ、経路を足す」だけです。

第11問

赤玉3個、白玉2個の袋から2個取り出すとき、2個とも赤である確率を、戻す場合と戻さない場合で比べなさい。

使う道具戻せば独立、戻さなければ条件付き

戻す場合

戻さない場合

差は で、戻すほうが大きくなります。

答 戻す場合 、戻さない場合 。戻すほうが大きい

ひとこと戻さないと、赤を引いたぶん赤が減るので確率が下がります。第6問と同じ構造です。玉の総数が多いほど、この差は小さくなります

第12問

袋Aには赤玉3個と白玉1個、袋Bには赤玉1個と白玉3個が入っています。どちらかの袋を等しい確率で選び、そこから1個取り出したところ赤玉でした。選んだのが袋Aである確率を求めなさい。

使う道具「原因のほうの確率」を求める。まず全経路を書き出す

袋Aを選んで赤

袋Bを選んで赤

赤が出る確率は 。求める確率は

答 

ひとこと結果(赤だった)から原因(どちらの袋か)をさかのぼっています。手順は「経路ごとの確率を出す → 目的の経路 ÷ 全部の和」。袋Bだった確率 と足すと1になることを確かめてください。

第13問

ある病気にかかっている人は全体の1%です。検査では、病気の人が陽性になる確率が99%、健康な人が陽性になる確率が5%です。検査で陽性だった人が実際に病気である確率を求めなさい。

使う道具第12問と同じ手順で、経路を2つ書き出す

病気かつ陽性

健康かつ陽性

陽性になる確率は なので

答 

ひとこと検査の精度が99%でも、陽性の人の6人に1人しか病気ではありません。もともと病気の人が少ないので、健康な人の5%(人数では多い)が結果を押し下げます。「もとの割合」を無視すると直感が外れる——確率のいちばん有名な落とし穴です。

第14問

さいころを2個投げます。次の2つの事象は独立かどうか調べなさい。

(1) 「1個目が偶数」と「2個の和が偶数」 (2) 「1個目が偶数」と「2個の和が7」

使う道具独立とは が成り立つこと

(1)。両方みたすのは9通りで

一致するので独立

(2) 和が7は6通りで 。両方みたすのは3通りで

一致するので独立

答 (1)(2)とも独立

ひとこと関係がありそうに見えても、確率の上では独立ということがあります。「和が7」は1個目が何であっても2個目が1通りに決まるので、1個目の偶奇に影響されません。見た目でなく式で判定することが大切です。

第3章 総合

第15問

3人がじゃんけんを1回します。あいこにならない(勝負がつく)確率を求めなさい。

使う道具全事象を数えて、あいこを引く

3人の手の出し方は 通り。あいこになるのは

合わせて9通りなので、勝負がつくのは 通り。

答 

ひとこと「あいこ」は2種類ある——全員同じと全員バラバラ。片方を忘れるのが定番の失点です。勝負がつくのは「ちょうど2種類の手が出る」場合と言いかえられます。

第16問

3枚のカードから1枚を引く操作を5回くり返します(毎回戻します)。特定の1枚をちょうど2回引く確率と、少なくとも1回引く確率を求めなさい。

使う道具反復試行()と余事象

ちょうど2回

少なくとも1回 1回も引かない確率が なので

答 ちょうど2回 、少なくとも1回

ひとこと「戻します」と書かれていれば毎回同じ確率なので、反復試行の公式がそのまま使えます。「少なくとも」は余事象(第4問)。

第17問

さいころを2個投げます。出た目の和が7だったとき、少なくとも一方が3である確率を求めなさい。

使う道具条件をみたす場合だけを新しい全体にする(第8問)。

和が7になるのは の6通り。そのうち3を含むのは の2通りなので

定義で計算しても

答 

ひとこと条件がつくと全体が36通りから6通りに縮みます。この6通りを実際に書き出すのがいちばん確実で速いです。

第18問

さいころを4回投げるとき、少なくとも1回は6の目が出る確率を求めなさい。

使う道具余事象(第4問と同じ)。

1回も6が出ない確率は

したがって

これは約0.518で、半分より少し大きい確率です。

答 

ひとこと4回投げてやっと半々をこえます。3回では で半分未満(第4問)。「6回投げれば1回は出る」わけではない——実際に計算すると約0.665です。

第19問

5本のくじに当たりが1本あります。5人が順に1本ずつ引くとき、1番目に引く人と3番目に引く人で、当たる確率に違いがあるか答えなさい。

使う道具すべての引き方を並べて数える

5人の引き方は 通り。当たりくじがどの人に渡るかは、どの位置も同じ確からしさなので、何番目でも

3番目で計算しても 1番目と2番目がはずれで3番目が当たりだから

答 違いはない。どちらも

ひとことくじは引く順番によらず公平です。あとの人は「前の人がはずれた」という条件がつくぶん確率が上がりますが、そこまでたどりつく確率が下がるので、かけ算するとちょうど打ち消し合います。

第20問

次の確率を求めなさい。

(1) 硬貨を6回投げて表がちょうど3回出る (2) さいころを2回投げて少なくとも1回は6が出る

使う道具(1)は反復試行、(2)は余事象

(1)

(2)

答 (1)  (2)

ひとこと(1)は第2問(5回で3回)と同じ になりました。偶然の一致ですが、答えを覚えるのではなく毎回公式から出す習慣をつけてください。

解き終えた人へ

20題で使った判断を4つにまとめます。

  • 独立ならかけ算(第1問・第14問)——互いに影響しないかを口に出して確かめる。
  • 反復試行は「選び方 × 起こる分 × 起こらない分」(第2問・第3問・第16問)——選び方を忘れない。
  • 「少なくとも」は余事象(第4問・第16問・第18問・第20問)——場合分けより速い。
  • 条件がついたら全体を縮める(第8問・第17問)、結果から原因をさかのぼるなら経路を全部書く(第12問・第13問)。

迷ったときは、樹形図を書いて枝に確率を入れてください。枝をたどってかけ、経路を足す——これですべての問題が解けます。各分かれ道で枝の合計が1になるかが検算になります。

第13問のように、直感と答えが食い違う問題こそ確率の本領です。式が正しければ、直感のほうを修正してください。

次に解くもの

数え方の基本は場合の数・確率の特訓道場【第1章】、順列は第2章、組合せは第3章、PとCで解く確率は第4章にあります。

期待値と二項分布は統計的な推測、条件の整理は集合と命題へ。

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この回で手が止まったら、同じ単元の「基本」の回が無いかを索引で確かめてください。逆に楽に解けたなら、難問の回か、次の学年の回へ進めます。

仕上げの10題|第21問〜第30問(オリジナル)

上の20題を解き終えた人のための、もう10題です。章立ては本編と同じ3つ(独立試行と反復試行/条件付き確率/総合)にそろえてあるので、どの章で手が止まったかが、そのまま復習すべき場所になります。

確率でまちがえるのは、たいてい「全体」を取りちがえたとき
条件付き確率がむずかしく感じるのは、公式のせいではありません。分母(何を全体とみなすか)が途中ですり替わるからです。
・ふつうの確率:分母は起こりうる全部
・条件付き確率:分母は条件を満たすものだけ
だから条件付き確率の問題では、まず条件を満たす場合を全部書き出して分母を作る。そのあとで分子を数える。この順番を守るだけで、第24問(両面カード)も第25問(3つの扉)もただの数え上げになります。
そしてもう1つ。「感覚と合わない」ときは、たいてい感覚のほうが誤りです。第24問の答えは 12 ではなく 23、第26問では検査の精度が99%でも1回の陽性では 16 にしかなりません。数えた結果を信じてください。
反復試行のほうは道具が1つだけ。nCkpk(1 − p)nk「少なくとも1回」は余事象——この2つで第1章は通ります。

第1章(復習) 独立試行と反復試行

第21問 さいころを5回投げ、3以上の目が出る回数を X とする。X = 3 となる確率を求めよ。また、X のうちもっとも起こりやすいのはどれか。
使う道具反復試行の公式を k ごとに全部出す。合計が1になるかで検算できる

3以上の目は {3, 4, 5, 6} の4通りなので p = 46 = 23
P(X = 3) = 5C3233132 = 10 × 827 × 19 = 80243
すべて出すと(分母はそろえて243)
 X = 0:1243、1:10243、2:40243
 X = 3:80243、4:80243、5:32243
X = 3 と X = 4 が同じ値で最大
検算:1 + 10 + 40 + 80 + 80 + 32 = 243 で合計1 ◯
5 × 23 = 103 ≒ 3.33 が「平均の回数」なので、最頻値が3と4なのは自然です ◯

よくある誤答3以上を「4, 5, 6」の3通りとして p = 12 とする
3も含みます。「3以上」と「3より大きい」は別)/最大が1つだと決めつけて X = 3 だけ答える(同じ値が2つあります)
答え P(X = 3) = 80243。最頻は X = 3 と X = 4

第22問 A と B が交互に的を撃ち、先に当てたほうを勝ちとする。A の命中率は 13、B の命中率は 12 で、A から始める。A が勝つ確率を求めよ。
使う道具1巡で決着がつかない確率を公比にする

1巡(A → B)で決着がつかないのは、両方外すとき
 23 × 12 = 13
A が勝つのは、1巡目・2巡目・… と無限に足して
 P(A) = 131 − 13 = 1323 = 12
検算:B が勝つ確率は 23 × 12 = 13 を初項として
 1323 = 12 で、合計 1 ◯
命中率では B が上なのに、先攻の分でちょうど互角になりました ◯
A の命中率が 13 より高ければ A 有利、低ければ B 有利です。

よくある誤答「命中率が高い B のほうが有利」と決めつける
先に撃てる分だけ A が得をしています。この設定ではちょうど釣り合います)/1巡目だけ計算して 13 と答える
答え P(A) = 12(B も 12

第23問 さいころを n 回投げるとき、1の目が少なくとも1回出る確率が0.9 以上になるような最小の n を求めよ。ただし log102 = 0.3010、log103 = 0.4771 とする。
使う道具「少なくとも1回」は余事象。指数の不等式は常用対数で解く

1回も出ない確率は (56n なので
 1 − (56n ≥ 0.9 → (56n ≤ 0.1
両辺の常用対数をとると(log は負なので不等号が逆になる)
 n(log105 − log106) ≤ −1
log105 = 1 − log102 = 0.6990、log106 = 0.3010 + 0.4771 = 0.7781
 n(−0.0791) ≤ −1 → n10.0791 ≒ 12.64
よって最小の n13
検算:(5612 ≒ 0.1122 で 0.1 を超える(確率 0.888 < 0.9)◯
5613 ≒ 0.0935 で 0.1 以下(確率 0.907 ≥ 0.9)◯

よくある誤答対数をとるときに不等号の向きを変え忘れる
(0.1 も 56 も1より小さいので、log は両辺とも負。負の数で割ると向きが変わります)/12.64 を四捨五入して13ではなく13でよい理由を書かない(n ≥ 12.64 を満たす最小の整数は13)
答え n = 13

第2章(復習) 条件付き確率

第24問 3枚のカードがある。1枚は両面とも赤、1枚は両面とも白、1枚は片面が赤で片面が白である。無作為に1枚選んで机に置き、上の面を見たら赤だった。このとき裏も赤である確率を求めよ。
使う道具カードではなく「面」を数える。赤い面は全部で3つある

赤い面に①②③と名前をつける
 両面赤のカード:赤①・赤②
 赤白のカード:赤③
上を見て赤だったとき、その面は①②③のどれかで、3通りとも同じ確からしさ
このうち裏も赤なのは①②の2通り(両面赤のカードのとき)
よって求める確率は 23
検算:乗法定理でも
 P(両面赤 かつ 上が赤) = 13 × 1 = 13
 P(上が赤) = 13 × 1 + 13 × 1213 × 0 = 12
 1312 = 23
実際に3枚のカードで何度も試すと、赤が見えた回のうちおよそ3分の2で裏も赤になります ◯

よくある誤答「残るのは両面赤か赤白の2枚だから 12」とする
カードを数えてはいけません。両面赤のカードは赤い面を2つ持っているので、「赤が見えた」という状況になりやすいのです)
答え 23

第25問 3つの扉のうち1つに賞品がある。あなたが1つ選んだあと、中身を知っている司会者が、残り2つのうちハズレの扉を1つ開けて見せる。ここで選び直したほうが得か、そのままがよいか。確率で答えよ。
使う道具最初の選択が当たりかどうかで場合分け。司会者は中身を知っているのがポイント

最初に選んだ扉が当たりである確率は 13
(i) 最初が当たり(確率 13)→ 変更するとハズレ
(ii) 最初がハズレ(確率 23)→ 残る1つは必ず当たりなので、変更すると当たり
 (司会者はハズレを開けるしかないため)
よって
 変更する:23変更しない:13
変更したほうが2倍得
検算:司会者が扉を開けても、最初に選んだ扉が当たりである確率は 13 のまま変わりません(司会者は必ずハズレを開けられるので、新しい情報が入っていない)。
残りの確率 23 が、開かれなかった1つの扉にまるごと集まるのです ◯
扉が100個で98個開けられる場合を考えると、991001100 で直感とも合います ◯

よくある誤答「残り2つだから 12 ずつ」とする
司会者が中身を知っていることが効いています。もし司会者が知らずに開けて偶然ハズレだったなら、そのときは本当に 12 ずつになります)
答え 変更する 23、変更しない 13(変更したほうが得)

第26問 第13問と同じ検査(有病率1%、病気の人が陽性になる確率99%、健康な人が陽性になる確率5%)を考える。1回目が陽性だった人がもう一度同じ検査を受け、また陽性だった。この人が病気である確率を求めよ(2回の検査結果は、病気かどうかが決まれば独立とする)。
使う道具1回目の答えを、2回目の「事前確率」として使う

第13問より、1回目の陽性のあとで病気である確率は 16
これを新しい出発点にして、もう一度同じ計算をする
 病気かつ陽性:16 × 99100 = 99600
 健康かつ陽性:56 × 5100 = 25600
 2回目も陽性になる確率:99 + 25600 = 124600
求める確率は 99600124600 = 99124 ≒ 0.798
検算:最初から2回ぶんまとめて計算しても同じ
 病気かつ2回陽性:1100 × (991002
 健康かつ2回陽性:99100 × (51002
 比は 9801 : 2475 = 99 : 25 で、99124
1回では 16 ≒ 0.167 だったものが、2回で 約80% まで上がりました。再検査に意味があるのはこのためです。

よくある誤答「99%の検査を2回だから 0.99 × 0.99」とする
求めているのは「陽性の人が病気である確率」で、検査の精度そのものではありません)/1回目の答え 16 を使わずに、また有病率1%から出発する
答え 99124(≒ 0.798)

第3章(復習) 総合

第27問 5本のくじのうち2本が当たりである。A、B、C がこの順に1本ずつ引く(引いたくじは戻さない)。3人の当たる確率がすべて等しいことを示せ。
使う道具「引く順番」を全部並べて数える。5本を1列に並べたと考えるのが速い

5本を1列に並べ、前から順に A、B、C が取ると考える
A が当たる確率:25(当たりは2本)
B が当たる確率:
 A が当たり → 25 × 14 = 220
 A がはずれ → 35 × 24 = 620
 合計 820 = 25
C も同様に計算すると 25
よって3人とも 25等しい
検算:5本の並べ方 5! = 120 通りを総当たりしても、1番目・2番目・3番目が当たりになるのはそれぞれ48通りで同じ ◯
考え方:「何番目に引くか」は当たりの位置と無関係。くじを引く順番で有利不利は生まれません ◯

よくある誤答「先に引くほうが当たりやすい」と考える
順番は関係ありません。これは実際に数えて確かめるべきところです)/B の確率を 14 とする(A の結果で場合分けが要ります)
答え 3人とも 25 で等しい

第28問 袋に赤玉3個、白玉2個が入っている。1個取り出して色を見たあと、その玉を戻し、さらに同じ色の玉を1個追加する。この操作を2回行うとき、2回目に赤が出る確率を求めよ。
使う道具1回目の結果で袋の中身が変わるので場合分け

1回目が(確率 35
 → 袋は赤4・白2 の6個。2回目に赤は 46 = 23
1回目が(確率 25
 → 袋は赤3・白3 の6個。2回目に赤は 36 = 12
したがって
 35 × 2325 × 12 = 2515 = 35
検算:1回目に赤が出る確率とまったく同じ 35 になりました ◯
3回目も、4回目も 35 です(有利な色が増えるぶんと、その色が出にくかった場合がちょうど釣り合う)。
この仕組みはポリアの壺と呼ばれます。

よくある誤答「赤が増えるから2回目は赤が出やすい」と考えて 23 と答える
1回目が白の場合を忘れています。両方を確率で重みづけして足すと、もとに戻ります)/戻さない問題(第6問)と混同する
答え 35(1回目と同じ)

第29問 3人が独立に的を撃つ。命中する確率はそれぞれ 121314 である。ちょうど1発だけ命中したとき、それが1人目である確率を求めよ。
使う道具「ちょうど1発」の3通りを全部書き出して分母にする

1人目だけ命中:12 × 23 × 34 = 624
2人目だけ命中:12 × 13 × 34 = 324
3人目だけ命中:12 × 23 × 14 = 224
ちょうど1発命中する確率は 6 + 3 + 224 = 1124
求める確率は 6241124 = 611
検算:3人の確率の比は 6 : 3 : 2 で、合計11。条件付き確率は、この比をそのまま読むだけ
命中数が0発の確率は 12 × 23 × 34 = 14、3発は 12 × 13 × 14 = 124

よくある誤答分母を1にして 624 と答える
条件がついているので、分母は「ちょうど1発」の 1124)/「1人目の命中率が 12 だから 12」とする
答え 611

第30問 n 人が集まったとき、同じ誕生日の人が少なくとも2人いる確率が 12 を超えるのは、n がいくつ以上のときか。1年は365日、どの日も等しく起こるとする。
使う道具「少なくとも2人」は余事象——全員の誕生日がすべて違う確率から入る

全員の誕生日が違う確率は
 Q(n) = 365365 × 364365 × 363365 × … × 365 − n + 1365
求める確率は 1 − Q(n)
順に計算すると
 n = 10:0.1169 n = 20:0.4114
 n = 22:0.4757(まだ 12 未満)
 n = 23:0.5073(初めて超える)
よって n = 23 以上
検算:22人のとき、誕生日の組は 22C2 = 231通り。1組が一致する確率は 1365 なので、だいたい 231365 ≒ 0.63 … これは重複を数えすぎた見積もりですが、「意外に多い」ことの目安になります ◯
23人でもクラス1つぶん。365日あるのに23人で半々というのは、比べる組の数が人数の2乗で増えるからです。

よくある誤答「365日あるから、183人くらい必要」と考える
比べるのは「人と日」ではなく「人と人の組」。23人でも組は231通りあります)/余事象を使わずに直接数えようとする(「少なくとも2人」は場合分けが爆発します
答え n = 23 以上

この10題で確認したこと

  • 反復試行は nCkpkqnk
  • 合計が1になるかで検算できる
  • 「3以上」に3は入る
  • 最頻値は2つ並ぶことがある
  • 交互に撃つ問題は1巡の確率を公比に
  • 先攻には先攻の利がある
  • 「少なくとも1回」は余事象
  • 指数の不等式は常用対数(負の数で割ると不等号が逆)
  • 条件付き確率は分母を先に作る
  • 両面カードはカードでなく面を数える
  • 3つの扉は司会者が知っていることが効く
  • 1回目の答えを2回目の事前確率にする
  • くじは引く順番で有利不利が生まれない
  • 袋の中身が変わる問題は1回目で場合分け
  • 「ちょうど1つ」は3通り全部を分母に
  • 確率の比をそのまま読むと条件付き確率になる
  • 誕生日は人と人の組で数える(23人で半々)
採点の目安
8題以上:この単元は仕上がっています。確率漸化式の特訓道場 へ進んでください。「n 回後」を扱う道具がそろいます。
5〜7題:間違えた章だけを本編の該当章に戻って解き直す。
4題以下:詰まっているのは確率ではなく数え上げであることが多いです。条件付き確率は「条件を満たすものを全部書き出す」作業で、書き出せなければ分母が作れません重複組合せと組分けの特訓道場 で数える力を固めてから戻ってきてください。
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数強塾オリジナル 追加演習4題——直感と食い違ったら、直感のほうを直す

解き終えた人へ、の最後にこうありました。

直感と答えが食い違う問題こそ確率の本領です。式が正しければ、直感のほうを修正してください。

この 題は、全部そういう問題です。答えを見る前に、まず「だいたいこれくらい」と予想してから解いてください。

検算はいつも同じ つ。樹形図の各分かれ道で枝の合計が になるかと、全部の場合を書き出して数えた結果と合うか

追加第1問(第10問と同型:くじの順番)

本のくじのうち 本が当たりです。 人が順に 本ずつ引き、引いたくじは戻しません。

(1) 番目の人が当たる確率を求めなさい。

(2) 番目の人が当たる確率を求めなさい。

(3) 番目の人がハズレだったと分かっているとき、 番目の人が当たる確率を求めなさい。

解答

(1)

(2) これも です。

理由は、 本を一列に並べたときに当たりが 番目に来る確率を考えれば分かります。どの位置も対等なので、当たりが来る確率はどこも同じ。

実際に か所から当たり 本の位置を選ぶ 通りを全部数えると、どの位置も 通りで当たり。

か所すべてで同じ値になります。

(3) こちらは変わります。残りは 本で当たりは 本のまま。

から 上がりました。

「順番は関係ない」が成り立つのは、途中の結果を知らないときだけです。情報が入った瞬間、確率は変わります。

ここが条件付き確率の入口です。「引く前」と「 人目の結果を見たあと」では、立っている場所がちがいます。

そして 番目が当たりだったなら、 番目は に下がります。知らないままなら 、知ってしまえば なぜ条件付き確率では分母が変わるのか)。

検算:もとの値に戻りました。

追加第2問(第12問・第13問と同型:結果から原因へ)

ある工場では、製品の が不良品です。検査機は

・不良品なら の確率で「不良」と判定する

・良品でも の確率で「不良」と判定してしまう

検査機が「不良」と判定した製品が、本当に不良品である確率を求めなさい。

解答

万個で考えるのがいちばん速いです。

  • 不良品: 個 → そのうち「不良」判定は
  • 良品: 個 → そのうち「不良」判定は

「不良」と判定されたのは合わせて 個。そのうち本当の不良品は 個。

およそ です。

の精度で「不良」と出たのに、本当に不良である確率は ここが直感といちばん食い違うところです。

なぜこうなるのか。もともと不良品が少なすぎるからです。

良品が 個もあるので、たとえ の誤判定でも 個が「不良」に紛れこみます。本物の 個は、その中に埋もれてしまう。

「もとの割合()を無視して、検査の精度()だけを見る」のが誤りの正体です(なぜベイズの定理で「原因の確率」が求まるのか)。

もし不良品率が だったらどうなるか。 万個なら不良 万個・良品 万個で、「不良」判定は 。本物は 個なので約 もとの割合が変わると答えが大きく動きます。

追加第3問(第2問・第4問と同型:反復試行)

さいころを 回投げます。

(1) の目がちょうど 回出る確率を求めなさい。

(2) の目が少なくとも 回出る確率を求めなさい。

解答

(1) 選び方 × 起こる分 × 起こらない分

(2) 「少なくとも」は余事象 回も出ない確率を引きます。

回投げれば 回くらい出る」は正しくありません。ちょうど 回は 割、 回も出ないことが 回に 回あります。

分の 回だから確実」と感じるのは、期待値と確率を混ぜているからです。

出る回数の平均(期待値)はたしかに 回。しかし「平均が 回」と「 回以上出る」は別のことです(なぜ期待値は「値×確率」の和なのか)。

検算をします。出る回数ごとの確率を全部足すと

回数 以上
確率

合計はちょうど そして (2) は と一致しますなぜ排反なら確率を足してよいのか)。

追加第4問(第1問と同型:全部書き出す)

人が 回じゃんけんをします。全員がグー・チョキ・パーを同じ確からしさで出すとします。

(1) あいこになる確率を求めなさい。

(2) 人のときと比べなさい。

解答

(1) 全部で 通り。勝負がつくのは、出た手がちょうど 種類のときです。

手の組を選ぶのが 通り。その 種類を 人に割りふるのは 通りですが、全員同じになる 通りを除きます。

あいこは 通り。

(2) 人なら全部で 通り。勝負がつくのは 通りなので、あいこは 通り。

人数が増えるとあいこが増えます。

人だとほぼ半分があいこ。「 回で決まらないのは運が悪いから」ではなく、そういうものです。

理由は「勝負がつく=手がちょうど 種類」という条件が、人数が増えるほど難しくなるからです。 人全員が 種類に収まる必要があります。

ここでも全部書き出すのがいちばん確実でした。 通りを実際に数えても 通りになります(なぜ確率は場合の数の割り算で求められるのかなぜ独立な試行では確率を掛けるのか)。

直感がずれる4つの型

直感 実際 ずれの原因
「順番で有利不利がある」 どこも 情報がなければ全員対等
当たる検査なら もとの割合を無視している
回投げれば出る」 期待値と確率の混同
「あいこはめずらしい」 人でほぼ半分 条件が厳しくなるのを見落とす

つとも「分母を作り直す」ことで解けました。くじは残り 本、検査は判定された 個、じゃんけんは 通り。

採点欄には「条件付き確率は『条件を満たすものを全部書き出す』作業で、書き出せなければ分母が作れません」とありました。

この記事の 題も、やったことは分母を正しく作るだけです。直感がずれるのは、頭の中で勝手に別の分母を使っているから

予想を書いてから解いてください。ずれた回数だけ、確率の感覚は正確になります。

次に読むもの

次の段階は確率漸化式の特訓道場、数え上げを固めるなら重複組合せと組分けの特訓道場へ。ほかの疑問はなぜ?数学辞典から引けます。

この単元を、章ぜんぶで確かめる

この道場は1つの技能を反復して固めるためのページです。一通りできるようになったら、章の内容がひととおり混ざった状態で解いてみてください。そこで初めて「どこが弱いか」が見えます。

体系数学3 論理・確率編 第2章「場合の数と確率」 章末テスト(全20問・100点) ── 条件付き確率・期待値まで。採点したあと、どこに戻ればよいかもページの最後に書いてあります。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:確率 にまとめてあります。

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