鎌倉学園中学校 2025年度(一次)算数の傾向と解答・解説【数強塾オリジナル】
鎌倉学園中 2025年度(一次)算数の傾向(公式公開PDFにもとづくまとめ)
- 形式:試験時間50分。問題冊子の注意事項に「試験問題は8題」と明記され、円周率は3.14を使います。解答らんは全部で25か所なので、1問4点前後の均等配点と考えられます。
- 出題分野:2025年度一次は、四則計算と計算の工夫が4問、逆算・あまりのある分数のわり算・平均・時計算の小問4問、角度とおうぎ形の面積の図形小問2問、そして総合問題として「整数の数字を1桁ずつ並べる数列」「足すと数字の並びが逆になる2整数」「各位の数字をかけ続ける操作」「正五角形へのひもの巻きつけ」「立方体をくり抜いた容器と水」という構成でした。数の性質を軸にした総合問題が3題並ぶのが今年の特徴といえそうです。
- 合否を分けそうな一問:大問3(2)のおうぎ形の面積です。等積変形に気づかないと算数の道具では前に進めない設計です。また大問8(2)の「容器を傾けて水をこぼす」問題も、断面図をかけるかどうかで大きく差がつくと考えられます。
- 時間配分の考え方:大問1〜3の10問を15分前後で確実におさえ、大問4〜8に残り時間を配分するのが現実的です。総合問題は(1)(2)が誘導になっていることが多く、(3)が難しくても(1)(2)だけ拾う姿勢が有効でしょう。
問題の原本は鎌倉学園中学校の公式サイトで公開されています → 鎌倉学園中学校 入試問題ダウンロード(公式)
※以下の解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(学校公表の模範解答ではありません。公開資料に模範解答は同梱されていません)。全問、受験算数の正攻法と別解(方程式・全探索・シミュレーション等)による二重検算を行っています。問題文・図は掲載していませんので、鎌倉学園公式サイト公開のPDFをお手元にご用意ください。
大問1(計算) 答:(1) 76 (2) 15 (3) 3/4 (4) 10
整数の四則混合、小数と分数の混合計算、分数のたし算の工夫、小数のかけ算の工夫、の4問です。
【📖大切な考え方】計算問題は「かっこの中→かけ算・わり算→たし算・ひき算」の順序が絶対です。(3)(4)は左から力ずくで計算せず、「共通のかたまり」を見ぬけるかを試しています。
解答:
(1) かっこの中は 3×4−1=11。わり算を先にして 40÷8=5。
よって 48−5+3×11=48−5+33=76。
(2) 前半:2−1.28=0.72、3.6÷0.72=5、5÷2=2.5。
後半:2/7−1/6=12/42−7/42=5/42。3×5/42×7÷(1/5)=(3×5×7×5)/42=525/42=12.5。
合計 2.5+12.5=15。
(3) 分母に注目すると 242=2×121、726=6×121、1452=12×121。121をかけると分母の121が消えて、
与式=1/2+1/6+1/12=6/12+2/12+1/12=9/12=3/4。
(4) 0.875=7/8、0.625=5/8、0.375=3/8 と「8分の」の形にそろえます。
与式=30×7/8−20×5/8−10×3/8=(210−100−30)÷8=80÷8=10。
【✅検算】4問とも分数計算のプログラムで左から計算し直し、76・15・3/4・10 と一致しました。
大問2(小問集合) 答:(1) 5/14 (2) 8/21 L (3) 71点 (4) 13と11/13分後
(1) 逆算:3/4から「かたまり」を引くと1/3になる空らんつきの式です。
解答:(かたまり)=3/4−1/3=5/12。これは「1/4×(2と6/7−空らん)÷1と1/2」なので、
(2と6/7−空らん)=5/12×1と1/2×4=5/12×3/2×4=5/2。
空らん=20/7−5/2=40/14−35/14=5/14。代入すると式の値はちょうど1/3に戻ります。
(2) あまりのある分数のわり算:7と5/7Lのジュースを2/3Lずつビンに分けたときのあまりを求めます。
【👀ここに注目】「何本できるか」ではなく「何Lあまるか」。わり算の商を整数で止めてあまりを出すのがポイントです。分母を21にそろえると、7と5/7L=162/21L、ビン1本分=14/21L。
解答:162÷14=11あまり8 なので、11本に分けられて、あまりは21分の1Lが8個分=8/21L。(検算:2/3×11+8/21=154/21+8/21=162/21 ✓)
(3) 平均:4教科の合計は323点。算数以外の3教科の平均は78点、理科以外の3教科の平均は83点、社会と算数は同じ点数で、国語を求めます。
解答:算数以外の3教科の合計=78×3=234点 だから、算数=323−234=89点。
理科以外の3教科の合計=83×3=249点 だから、理科=323−249=74点。
社会=算数=89点。よって国語=323−89−74−89=71点。
(4) 時計算:3時ちょうどから、長針と短針が「3の方向」をはさんで同じ角度になる時刻を求めます。
【📖大切な考え方】3時のとき、長針は「3の方向」まであと90度の位置(12の方向)にあり、毎分6度で近づきます。短針は「3の方向」から毎分0.5度ずつはなれていきます。2つの角度が等しくなるのは、長針の残り角度が短針の進んだ角度と等しくなる瞬間です。
解答:長針が進んだ角度+短針が進んだ角度=90度 になればよいので、
90÷(6+0.5)=90÷6.5=180/13=13と11/13分後。
【✅検算】180/13分後の長針は6×180/13=83.1度、短針は90+0.5×180/13=96.9度の位置。3の方向(90度)からの角度はどちらも約6.9度で一致しました。
大問3(平面図形の小問) 答:(1) 45度 (2) 37.68cm²
(1) 角度:一直線上にB、D、Cが並び、三角形ABCは角Aが直角、角Bが30度。AC=CDで、辺AB上の点EとC、D、Aが結ばれ、CEと底辺の角が15度のとき、角x(角EDB)を求めます。
【👀ここに注目】「等しい長さ」を追いかけると、二等辺三角形が次々に見つかる問題です。カギはAC=AD=AEがすべて等しくなることです。
方針・解答:三角形ABCで、角A=90度・角B=30度だから角ACB=60度。
①AC=CDで、はさむ角ACD=60度。頂角60度の二等辺三角形は正三角形なので、三角形ACDは正三角形。よって AD=AC、角ADC=60度。
②角ECD=15度だから、角ECA=60−15=45度。EはAB上の点なので角EAC=90度。三角形AECは角A=90度・角C=45度の直角二等辺三角形となり、AE=AC。
③①②より AD=AE。角EAD=角EAC−角DAC=90−60=30度。二等辺三角形AEDの底角は (180−30)÷2=75度、つまり角ADE=75度。
④Dのまわりで、角BDE=180−(角ADC)−(角ADE)=180−60−75=45度。
【✅検算】座標計算(三角比を使った数値計算)でも角EDB=45.000度。角Aが直角、AC=CD=1になることも同時に確認しました。
(2) おうぎ形の等積変形:半径12cmの四分円(中心O、半径OA・OBが直角)の弧ABを3等分し、3等分点から半径OBに垂直な線を引いてできる、まん中の帯状の部分の面積を求めます。
【📖大切な考え方】3等分点をAに近い方からP、Qとすると、Pは「Aから30度」、Qは「Aから60度=Bから30度」の位置。30度の角をもつ直角三角形は正三角形の半分なので、PからOAまでの高さは半径の半分の6cm、QからOBまでのきょりも同じく6cmです。
方針・解答:たての半径OB上に、Pと同じ高さの点S、Qと同じ高さの点Tをとります。斜線部分はS・T・Q・(弧)・Pで囲まれた帯です。
・帯に三角形OSPを下からくっつけた図形は、「たて線O→T、横線T→Q、弧Q→P、半径P→O」で囲まれます。
・おうぎ形OPQに三角形OTQをくっつけた図形も、まったく同じ囲みになります。
・三角形OSP(たてOS=6cm・横SP)と三角形OTQ(たてOT・横TQ=6cm)は、PとQが45度の線をはさんで対称の位置にあることから、たてと横が入れかわっただけの合同な直角三角形です。
よって 斜線部分=おうぎ形OPQ=12×12×3.14×30/360=144×3.14÷12=37.68cm²。
【✅検算】コンピュータの数値積分で帯の面積は37.699…cm²(円周率をそのまま使った値)。円周率3.14に直すとちょうど37.68cm²で一致しました。
【💡ポイントコラム】「曲線で囲まれた面積が、なぜかぴったりおうぎ形になる」のは偶然ではなく、対称な三角形の付けかえ(等積変形)が背後にあります。斜線部分がそのままでは求められないときは、「同じ面積の三角形を出し入れできないか」を疑うのが鎌倉学園の図形攻略の定石です。
大問4(規則性・数字の並び) 答:(1) 3 (2) 16回 (3) 907
1、2、3、…と整数を並べ、2桁以上の整数は数字を1桁ずつばらして並べる数列(1, 2, …, 9, 1, 0, 1, 1, 1, 2, …)の問題です。
【📖大切な考え方】この型は「1桁の整数で9個」「2桁の整数は1個につき2個」「3桁は1個につき3個」と、ブロックごとに個数を数えるのが定石です。
解答:
(1) 1〜9で9個。50番目まで残り41個は2桁の整数20個(10〜29)で40個使い、41個目は30の十の位。よって50番目の数は3。
(2) 100番目まで:9+91個。91=2×45+1なので、10〜54の45個と、55の十の位「5」まで。つまり1〜54の数字がすべてと「5」が1個。
2が現れるのは、一の位が2(2、12、22、32、42、52)で6回、十の位が2(20〜29)で10回、合計16回。
(3) 1〜99で 9+180=189個。数字の和は、1〜9が45、10〜99は十の位の和450+一の位の和405=855。
残り11個は100・101・102の9個(和は1+1+1+1+2=6)と、103の「1」「0」の2個(和1)。
合計 45+855+6+1=907。
【✅検算】実際に数列を200個作るプログラムで、50番目は3、100番目までの2は16個、200個の和は907。すべて一致しました。
大問5(数の性質・逆順の2整数) 答:(1) 9と9 (2) 3と24 (3) 47
足した答えとかけた答えの「数字の並びが逆」になる2つの整数を考える問題です(例:2と497 → 和499、積994)。和や積が1桁になる場合は除きます。
【👀ここに注目】和と積を「十の位」「一の位」の関係で見比べます。1桁どうしなら和は最大18。調べる範囲がせまいことに気づけば全探索も立派な正攻法です。
解答:
(1) 2つとも1桁なら、和は10〜18のどれか。並びを逆にした積の候補は「01〜81」ですが、積が2桁になる必要があるので、和18・積81の組を調べると 9+9=18、9×9=81 でぴったり。よって9と9。(和10〜17に対応する積01〜71で作れる組がないことも確かめられます)
(2) 和が27なら積は72。和27・積72となる2数は、72=1×72=2×36=3×24=4×18=6×12=8×9 の中から和が27になる組をさがして3と24。
(3) もう1つの整数を□(2桁)とすると、和=□+2、積=□×2。積は和の2倍より4小さいことに注目します。和を「十の位s・一の位t」とすると、積は「十の位t・一の位s」なので、
10×t+s=(10×s+t)×2−4 → 8×t=19×s−4。
sに1から順に入れると、19×s−4が8の倍数になるのはs=4のとき(t=9)だけ。和=49、□=49−2=47。(確認:2+47=49、2×47=94 ✓。例の497と同じく「4…7」の形になるのが面白いところです)
【✅検算】(1)は45通り、(3)は2桁の整数90通りをコンピュータで全探索し、条件を満たすのがそれぞれ「9と9」「47」だけであることを確認しました。(2)も和27の組を全探索して3と24のみでした。
大問6(数の操作・各位の積) 答:(1) 0 (2) 24個 (3) 77
整数の各位の数字をかけ合わせ、結果が2桁以上ならまた各位をかける…をくり返し、1桁になったらその値をAとする操作の問題です(例:246→48→32→6)。
解答:
(1) 87→8×7=56→5×6=30→3×0=0。操作3回で終わり、A=0。
(2) A=0になるのは、操作の途中で「一の位が0の2桁の数」(10、20、30…)が現れるときです。2桁の整数を分類すると、
・一の位が0:10、20、…、90の9個(1回で0)。
・積が10になる25・52、積が20になる45・54、積が25→10となる55、積が30になる56・65、積が40になる58・85、積が45→20となる59・95。ここまで5がらみで11個。
・積が54→20となる69・96、積が56→30となる78・87 の4個。
合計 9+11+4=24個。
(3) 操作の回数が多い数は、積がなかなか1桁にならない数。77→49→36→18→8 で4回かかります。ほかの2桁はどれも3回以下(たとえば88→64→24→8の3回)なので、答は77。
【✅検算】10〜99の90個すべてをコンピュータで操作し、A=0は上の24個、操作回数の最大は4回で77だけでした。
【💡ポイントコラム】この操作は数学の世界で「乗法的persistence(しつこさ)」と呼ばれ、77が2桁チャンピオンであることは有名です。入試では知識ではなく「もれなく分類して数え上げる」腕前が問われます。A=0の分類では『5と偶数が同居すると一の位が0になる』という感覚が効きます。
大問7(図形の移動・ひもの巻きつけ) 答:(1) 25cm (2) 141.3cm² (3) 23.75cm
1辺5cmの正五角形ABCDEの頂点Aにひもをつけ、ひもはA→Bの向きにまっすぐのばした位置から、たるまないように反時計回りに動かして五角形に巻きつけていきます。ひもの先たんがFです。
【📖大切な考え方】巻きつけ問題では、ひもは「頂点を中心とするおうぎ形」を順にえがきます。回転の角度は正五角形の外角=180−108=72度ずつ。中心がB→C→D→Eと移るたびに、半径は5cmずつ短くなります。
解答:
(1) ひもはBを中心に72度、次にCを中心に72度…と巻きつき、最後はEを中心に回ってひも全体が五角形の辺にそいます。FがちょうどAに重なるのは、A→B→C→D→Eの4辺(20cm)を巻き取ったあと、残りがEA間の5cmぴったりのとき。よってひもの長さ=20+5=25cm。
(2) ひもの長さが20cmのとき、「AB上にひもがある」段階=Bを中心とする回転です。動くのはBより先の部分(20−5=15cm)で、回転角は72度。ひもAF全体が通過するのは半径15cmのおうぎ形なので、
面積=15×15×3.14×72/360=225×3.14÷5=45×3.14=141.3cm²。
(3) 同じくBを中心とする72度の回転で、Fが動くきょりは半径を□cmとすると 2×□×3.14×72/360=2×□×3.14÷5。これが23.55cmだから、
□=23.55×5÷(2×3.14)=117.75÷6.28=18.75cm。
ひもの長さ=AB+□=5+18.75=23.75cm。
【✅検算】(1)は正五角形の座標を使った巻きつけシミュレーションで、ひも25cmのとき最終位置のFとAのきょりが0.000になることを確認。(3)は逆に半径18.75cmで弧の長さを計算し直すと 2×3.14×18.75÷5=23.55cm でぴったりでした。
大問8(立体図形・容器を傾ける) 答:(1) 216cm³ (2)① 108cm³ ② 3cm
1辺9cmの立方体から、上の1つの角にそって1辺6cmの立方体をくり抜いたような形の、上面が開いた容器です(内側のくぼみは、たて・よこ6cm、深さ6cm。まわりの壁とゆかの厚みは3cm)。面ABCDは、上のふちの辺ABと、ななめ反対側の底の辺CDを含む長方形の面です。
【👀ここに注目】(2)は「ABの方向から容器を真横に見た断面図」で考えるのが決め手です。くぼみの断面は1辺6cmの正方形になります。
解答:
(1) 水が入るのはくぼみの部分だけなので、容積=6×6×6=216cm³。
(2)① 面ABCDが水平になるのは、容器をちょうど45度傾けたときです。真横から見ると、くぼみの正方形の断面(1辺6cm)も45度傾き、水面はこの正方形の対角線の位置まで下がります(水面は、くぼみの内側の上のふちと、ゆかの外側のふちを通ります)。つまり残る水は正方形の半分。
残った水=216÷2=108cm³、こぼれた水=216−108=108cm³。
② 元に戻すと、水108cm³が6×6の底に広がるので、深さ=108÷36=3cm。ちょうどくぼみの深さの半分です。
【✅検算】容器を45度傾けた状態を座標で表し、乱数200万点による体積測定を行ったところ、残る水は約107.9cm³で、計算値108cm³と一致。戻したときの深さ108÷36=3cmも割り切れる値になりました。
【💡ポイントコラム】「傾けた容器」は、立体のまま考えると手も足も出ませんが、傾きの軸に垂直な断面を切り出せば平面図形の問題に変わります。45度傾けたときに直角二等辺三角形や対角線が現れるのは定番の展開。断面図に「水面は必ず水平」と書きこむ習慣をつけましょう。
2025年度(一次)から学ぶ教訓
今年のセットは、数の性質の総合問題が3題(大問4・5・6)並んだ一方、どれも「小さく調べて規則を見つける」姿勢で(1)(2)までは確実に取れる作りでした。差がつくのは、大問3(2)の等積変形、大問5(3)の位の関係の式化、大問8(2)の断面図化といった「言いかえの一手」です。鎌倉学園の算数は、難しい知識よりも、実験→分類→言いかえという算数の基本動作を丁寧に評価する出題が続いていると考えられます。過去問演習では、答え合わせのあとに「どの言いかえで解けたか」を1行メモする習慣をおすすめします。
▶ 関連:2026年度(一次)|洗足学園 算数過去問一覧|過去問解説・数学問題集|鎌倉学園 算数過去問一覧
📚 代表・藤原進之介は「書店で会える講師」です
代表の藤原進之介の著書は全国の書店に並んでおり、有隣堂 横浜駅西口エキニア店では直筆サイン色紙を掲出いただいています。横浜エリアの書店で実際に手に取ってご確認いただけることが、私たちの指導品質の何よりの証明だと考えています。
本ページが扱う入試問題の著作権は 鎌倉学園中学校 に帰属します。出典:鎌倉学園中学校 2025年度 入学試験問題「算数」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(公式解答と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
数強塾オリジナル 類題4問——数を「数字の並び」としてバラして扱う
この記事で私は、この年の特徴をこう書きました。「数の性質を軸にした総合問題が3題並ぶのが今年の特徴といえそうです」。具体的には、整数の数字を1桁ずつ並べる数列、足すと数字の並びが逆になる2整数、各位の数字をかけ続ける操作——いずれも「数字の並び」を直接あつかう問題です。
この種の問題には、はっきりした発想の切りかえがあります。数を「量」ではなく「数字の並び」として見ることです。ところが読み返すと、その練習素材を置いていません。ここを埋めます。
下に4問置きます。すべて数強塾の完全オリジナル類題で、答えはコンピュータでも確認しました。4問とも、数の大きさは関係ありません。見るのは、そこに並んでいる数字だけです。
「\(55\) は \(55\) という量」ではなく「\(5\) と \(5\) が並んだもの」と見る。この切りかえができると、けたを数える・入れかえる・かけ合わせるといった操作が、素直に扱えるようになります。逆に量として見ているうちは、何をしてよいのか分からないままです。実際の入試問題ではありませんので、本番の問題は公式サイトのPDFでご確認ください。
類題1 数字を1桁ずつ並べた列
\(1,\ 2,\ 3,\ 4,\ \ldots\) と整数を順に書き並べて、1つの長い数字の列を作る。
\(1\ 2\ 3\ 4\ 5\ 6\ 7\ 8\ 9\ 1\ 0\ 1\ 1\ 1\ 2\ \cdots\)
(1) 左から \(100\) 番目の数字は何か。
(2) 左から \(100\) 番目までに、数字の「\(1\)」は何個あるか。
数を何として見るか 「何番目の数字か」を数える。数そのものではなく、けた数で区切って数えます。
量として見ると \(100\) 番目を「\(100\) という数」と混同します。\(100\) 番目の数字は、\(100\) とは何の関係もありません。
解答
(1) けた数で区切ります。
1けたの数(\(1\) 〜 \(9\))は \(9\) 個で、数字も \(9\) 個。ここまでで \(9\) 番目。
2けたの数(\(10\) 〜 \(99\))は、1つにつき数字 \(2\) 個。\(100\) 番目までの残りは
\[ 100-9 = 91\ (\text{個}) \]
\[ 91 \div 2 = 45\ \text{あまり}\ 1 \]
2けたの数を \(45\) 個ぶん(\(90\) 個の数字)書き終えた時点で \(9+90 = 99\) 番目。\(45\) 個目の2けたの数は \(10+44 = 54\) なので、\(99\) 番目は \(54\) の一の位。
したがって \(100\) 番目は、次の数 \(55\) の十の位で \(5\)。
(2) 「\(1\)」がどこに現れるかを、範囲ごとに数えます。
・\(1\) 〜 \(9\) :\(1\) だけ → \(1\) 個
・\(10\) 〜 \(19\) :十の位が全部 \(1\) で \(10\) 個、一の位が \(1\) なのは \(11\) の \(1\) 個 → \(11\) 個
・\(20\) 〜 \(49\) :一の位が \(1\) の \(21,\ 31,\ 41\) → \(3\) 個
・\(50\) 〜 \(54\) :\(51\) の \(1\) 個 → \(1\) 個
・\(55\) の十の位 :\(5\) なので \(0\) 個
\[ 1+11+3+1 = 16\ (\text{個}) \]
(1) で「あまり \(1\)」の意味を取り違えないことが要点です。あまり \(1\) は「\(45\) 個の数を書き終えたあと、次の数の \(1\) けた目」という意味。あまりが \(0\) なら「ちょうど書き終えたところ」=その数の一の位になります。周期算と同じで、あまり \(0\) の行き先を先に決めておくのが型です。
検算
実際に書き出して確かめます。\(96\) 番目からは \(\ldots\ 5\ 3\ 5\ 4\ 5\ 5\ \ldots\) と並び、\(100\) 番目はたしかに \(5\) ○
(2) も、\(10\) 〜 \(19\) の \(11\) 個が正しいかを確かめます。十の位の \(1\) が \(10\) 個、そして \(11\) にはもう \(1\) つ——合わせて \(11\) 個 ○ 「\(11\) は \(1\) を \(2\) 個持っている」を落とさないこと。
類題2 各位の数字をかけ続ける
ある整数について、各位の数字をすべてかけ合わせるという操作をくり返す。1けたになったら終わりとする。
例:\(39 \to 3 \times 9 = 27 \to 2 \times 7 = 14 \to 1 \times 4 = 4\)(\(3\) 回)
(1) \(77\) は何回で1けたになるか。
(2) 2けたの整数のうち、\(1\) 回で1けたになるものは何個あるか。
数を何として見るか 数字をバラして、かけるだけ。\(77\) は「\(7\) と \(7\)」なので \(7 \times 7\)。
量として見ると \(77\) を「\(77\) という量」と見ていると、何をかけるのか分かりません。
解答
(1) 順に進めます。
\[ 77 \to 7 \times 7 = 49 \to 4 \times 9 = 36 \to 3 \times 6 = 18 \to 1 \times 8 = 8 \]
矢印は \(4\) 本なので \(4\) 回。
(2) 2けたの整数を \(\square\bigcirc\)(十の位 \(\square\)、一の位 \(\bigcirc\))とすると、\(\square \times \bigcirc\) が \(9\) 以下になればよい。\(\square\) を決めるごとに、使える \(\bigcirc\) を数えます。
\(\square = 1\):\(\bigcirc\) は \(0\) 〜 \(9\) すべて(積は最大 \(9\))→ \(10\) 個
\(\square = 2\):\(\bigcirc \le 4\)(\(2 \times 5 = 10\) は2けた)→ \(5\) 個
\(\square = 3\):\(\bigcirc \le 3\) → \(4\) 個
\(\square = 4\):\(\bigcirc \le 2\) → \(3\) 個
\(\square = 5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 9\):どれも \(\bigcirc\) は \(0,\ 1\) の \(2\) 個ずつ → \(10\) 個
\[ 10+5+4+3+10 = 32\ (\text{個}) \]
\(\square = 5\) 以上でまとめて数えられるのは、\(\square \times 2 \ge 10\) になるからです。\(5 \times 2 = 10\) でもう2けた。だから \(\bigcirc\) は \(0\) か \(1\) しか使えず、これは \(9\) まで変わりません。「ここから先は同じ」と気づいて、まとめて数える——調べ上げの手間を減らす一手です。
検算
いくつか実際に確かめます。\(24\):\(2 \times 4 = 8\) で1けた ○ \(25\):\(2 \times 5 = 10\) で2けた ×(数に入らない)
\(91\):\(9 \times 1 = 9\) ○ \(92\):\(9 \times 2 = 18\) ×
\(\bigcirc = 0\) のときも確かめます。\(30\):\(3 \times 0 = 0\) で1けた ○ \(0\) をかけると必ず \(0\) になるので、一の位が \(0\) の \(9\) 個はすべて1回で終わります ○
類題3 数字を入れかえてたす
2けたの整数と、その十の位と一の位を入れかえてできる2けたの整数をたすと、\(110\) になった。
もとの整数として考えられるものを、すべて答えよ。
数を何として見るか 十の位を \(\square\)、一の位を \(\bigcirc\) と置く。もとの数は \(10 \times \square+\bigcirc\)、入れかえた数は \(10 \times \bigcirc+\square\)。
量として見ると \(2\) けたの整数を片っぱしから試すことになります。\(90\) 通りです。
解答
2つをたします。
\[ (10\square+\bigcirc)+(10\bigcirc+\square) = 11\square+11\bigcirc = 11 \times (\square+\bigcirc) \]
必ず \(11\) の倍数になります。これが \(110\) なので
\[ \square+\bigcirc = 10 \]
\(\square\) は \(1\) 〜 \(9\)、\(\bigcirc\) は \(10-\square\) で \(9\) 〜 \(1\)。どちらも1けたの数として使えるので
\[ 19,\ 28,\ 37,\ 46,\ 55,\ 64,\ 73,\ 82,\ 91 \]
の \(9\) 個です。
「入れかえてたすと \(11\) の倍数」は、この形の問題ではいつでも使えます。逆に「入れかえて引くと \(9\) の倍数」——\((10\square+\bigcirc)-(10\bigcirc+\square) = 9 \times (\square-\bigcirc)\) です。たし算なら \(11\)、ひき算なら \(9\)。この2つを覚えておくと、入れかえの問題は一気に短くなります。
検算
両はしと真ん中を確かめます。\(19+91 = 110\) ○ \(55+55 = 110\) ○ \(91+19 = 110\) ○
個数でも。\(\square+\bigcirc = 10\) となる組は \((1,9)\) から \((9,1)\) まで \(9\) 通り。\(\square = 0\) は2けたにならないので除く——これで \(9\) 個です ○
ひき算の性質でも確かめられます。\(91-19 = 72 = 9 \times 8\) ○ たしかに \(9\) の倍数(\(\square-\bigcirc = 8\))です。
類題4 各位の数字をたす
3けたの整数のうち、各位の数字の和が \(24\) になるものは何個あるか。
数を何として見るか 最大からいくつ減らすかで数える。3けたの数字の和は最大 \(9+9+9 = 27\)。\(24\) はそこから \(3\) 減らした形です。
量として見ると \(100\) から \(999\) まで \(900\) 個を調べることになります。
解答
3つの数字がすべて \(9\) なら和は \(27\)。\(24\) にするには、合計で \(3\) 減らすことになります。
「どの位から、いくつ減らすか」を数えます。減らす量を \((\text{百},\ \text{十},\ \text{一})\) の順に書くと
\((3,0,0)\ (0,3,0)\ (0,0,3)\) → \(996\) 型が \(3\) 個……ではなく、それぞれ \(699,\ 969,\ 996\)
\((2,1,0)\ (2,0,1)\ (1,2,0)\ (0,2,1)\ (1,0,2)\ (0,1,2)\) → \(789,\ 798,\ 879,\ 897,\ 978,\ 987\) の \(6\) 個
\((1,1,1)\) → \(888\) の \(1\) 個
\[ 3+6+1 = 10\ (\text{個}) \]
並べると \(699,\ 789,\ 798,\ 879,\ 888,\ 897,\ 969,\ 978,\ 987,\ 996\)。
百の位だけは \(0\) にできない(3けたでなくなる)ので、本来は注意が要ります。ここでは減らす量が最大 \(3\) なので百の位は最小でも \(6\)。条件に引っかからないことを、一度確かめておくのが安全です。もし和が \(3\) のような小さい数だったら、\(003\) を除く処理が必要になります。
検算
いくつか実際に足します。\(699 \to 6+9+9 = 24\) ○ \(888 \to 8+8+8 = 24\) ○ \(789 \to 7+8+9 = 24\) ○
数え方でも。\(3\) を \(3\) つの位に分ける方法は、\(3\) 個のおはじきを \(3\) つの箱に入れるのと同じ。仕切り \(2\) 本を含めて \(5\) 個の場所から仕切りの位置 \(2\) つを選ぶので
\[ \frac{5 \times 4}{2 \times 1} = 10\ (\text{通り}) \quad ○ \]
書き出した \(10\) 個と一致しました。書き出しと計算の両方が合えば確定です。
4問の「数字にした操作」
| 数字にした操作 | 使う道具 | 検算 | |
|---|---|---|---|
| 類題1 | けたで区切って数える | わり算のあまり | 書き出して照合 |
| 類題2 | 数字をかける | 積が9以下になる組 | いくつか実際に操作する |
| 類題3 | 数字を入れかえる | \(11 \times (\square+\bigcirc)\) | 9個すべてを足してみる |
| 類題4 | 数字を足す | \(27\) からいくつ減らすか | 書き出して個数を照合 |
2列目を見てください。数える・かける・入れかえる・足す——どれも数字に対する操作で、数の大きさは1度も使っていません。これが「数を数字の並びとして見る」ということです。
数字の並びを扱う問題の手順
- 位に名前をつける。十の位を \(\square\)、一の位を \(\bigcirc\) のように。ここから始めます。
- 数を式で書き直す。2けたなら \(10\square+\bigcirc\)。この1行で、入れかえも足し算も式になります。
- 使える範囲を書く。\(\square\) は \(1\) 〜 \(9\)、\(\bigcirc\) は \(0\) 〜 \(9\)。百の位・十の位は \(0\) にできないのが最頻出の落とし穴。
- 数えるときは、最大や最小から差で数える。類題4の「\(27\) から \(3\) 減らす」がその形です。
この記事に書いたとおり、この年は「数の性質を軸にした総合問題が3題」並びました。数の性質は、公式を覚える分野ではなく、上の4手順のような「扱い方」を持っているかどうかで決まる分野です。手順さえあれば、初めて見る操作でも同じように処理できます。
この4問で確認したこと
- 数字の列はけたで区切って数える。あまり \(0\) の行き先を先に決めておく(類題1)。
- 「\(11\) は \(1\) を \(2\) 個持っている」——同じ数字が2つある数を落とさない(類題1)。
- 各位の積では、途中から「ここより先は同じ」とまとめて数えられる(類題2)。
- 入れかえてたすと \(11\) の倍数、引くと \(9\) の倍数(類題3)。
- 各位の和は最大 \(27\) からいくつ減らすかで数える(類題4)。
- 百の位・十の位は \(0\) にできない——数字の並びの問題で、いちばん多い見落とし。
他の年度の傾向と解説、および学校別の一覧は 中学受験 算数 過去問の傾向と解説 学校別まとめ からご覧ください。類題つきの学校別記事としては 女子学院中学校 算数の傾向と対策【オリジナル類題つき】 もあります。合格ラインの実データは 24校の合格ラインは49.4〜78.0% にまとめました。
「なぜそうなるのか」は なぜ11の倍数は交互に足し引きして判定できるのか(類題3)、なぜ3や9の倍数は各桁の和で判定できるのか(類題4)、なぜ周期算では余りを見るのか(類題1)、なぜ組合せではr!で割るのか(類題4の検算)に書いてあります。
この「位ごとに扱う」考え方は、中学の文字式で \(10a+b\) と書く形にそのまま続きます。中1数学の要点辞典(第2章 文字と式)、高校での整数は 数学I・Aの要点辞典(第8章 整数の性質)、型でそろえるなら 整数 全18型。全体の入口は 数学の要点辞典まとめ です。

