- 何が定義されているか
- 何が仮定されているか
- 何を証明するのか
- 変数はどの範囲を動くか
- どの条件がまだ使われていないか
関東学院高校(中高一貫校)に通っていた宮田彩花さん(仮名)は、高校数学に入って成績が急に下がり、「何をしたらよいか分からない」という状態から数強塾での指導を始めました。途中、約10か月間のエクアドル留学を挟みながらもオンラインで数学を継続し、高校卒業後は既卒生として学習を続け、最終的に国際教養大学・上智大学外国語学部・明治大学国際日本学部へ合格しました。約3年間のマンツーマン指導の記録です。
指導概要
対象生徒:宮田彩花さん(仮名)
在籍校:関東学院高校(中高一貫校)
受講期間:2023年3月〜2026年2月(約3年間)
受講形態:オンライン数学マンツーマン指導
主な使用教材:学校教材、青チャート、4STEP、教科書、共通テスト過去問、難関大学過去問
合格実績:国際教養大学/上智大学 外国語学部(英語・スペイン語)/明治大学 国際日本学部
※本記事は、実際の指導記録とLINEでのやり取りをもとに、本人および保護者様の了承を得て作成した指導実例です。氏名のみ仮名に変更しています。読みやすさのため、一部の会話を要約・整形しています。
※確認できない偏差値、順位、定期試験得点などは記載していません。
「高校数学になって、急に成績が落ちました」
最初のご相談は、2023年3月15日でした。関東学院高校に通う彩花さんは、当時、高校1年生を終えて新高校2年生になる時期でした。同日17時39分、保護者様から届いたメッセージには、現在地と将来の目標が明確に書かれていました。
関東学院高校の新高2です。東大文系に進みたいです。数学の成績が高校から急に落ちました。本人も何をしたらよいか分からない状態です。
さらに、もう一つ大きな条件がありました。彩花さんは、2023年8月から約10か月間、エクアドルへ留学する予定だったのです。
高校数学でつまずき、東大文系を志望し、その一方で長期海外留学も控えている。単純に「学校の授業を補習する」だけでは解決できない状況でした。
中高一貫校の生徒からは、しばしば次のような相談が寄せられます。
- 中学数学までは困らなかった
- 高校数学に入って突然ついていけなくなった
- 公式は覚えているが、問題を見ても使い方が分からない
- 何を復習すればよいのか自分で判断できない
- 学校の進度が速く、分からない単元を残したまま次へ進んでしまった
「中高一貫校で数学が苦手になった」という場合、単純な演習量不足だけが原因とは限りません。定義の理解、問題文の読み方、条件の整理、場合分け、図の描き方など、数学の考え方を支える部分に抜けがあることも少なくありません。
彩花さんの指導でも、まずは現在の学力を細かく観察し、どこから立て直すかを決める必要がありました。
2023年3月19日14時、最初の体験授業
講師との日程調整を経て、体験授業は2023年3月19日14時から実施されました。当日の朝9時6分、彩花さん側から、授業で扱ってほしい問題と解答の写真が複数送られてきました。講師は9時41分に資料を確認し、事前に問題の構造や解説方針を整理したうえで授業に入りました。
授業終了後の14時49分には、その日の授業ノートが共有されました。さらに、講師からは、体験授業で扱った内容に対応する課題が出されました。
ファイルの例題を解けるよう練習しましょう。
ここで重視したのは、体験授業の中で一問だけ解けるようにすることではありません。授業後に同じ考え方を再現できるか。解説を聞いて「分かった」と感じるだけでなく、翌日以降に自分の手で解き直せるか。
数強塾のマンツーマン指導では、授業中の理解と授業後の再現を分けて考えます。授業中に納得できても、自力で途中式を書けなければ、まだ完全に身についたとはいえません。そのため、授業ノートの共有と個別課題を組み合わせ、理解を定着させていきます。
同日20時36分、保護者様から連絡がありました。
本日は体験授業ありがとうございました。継続希望です。どうぞよろしくお願いします。
こうして、約3年間にわたる指導が始まりました。
週2回の授業から始めた高校数学の立て直し
入塾時、保護者様からは週2回の受講希望が出ていました。2023年4月前半は日曜日14時〜15時と金曜日19時〜20時、4月17日以降は月曜日19時〜20時と金曜日19時〜20時という週2回の授業枠を設定しました。
最初に中心となった教材は、学校教材と青チャートです。ただし、「青チャートを最初から順番に解けばよい」という一律の進め方ではありません。授業前に本人が問題や答案を送り、講師がその内容を確認します。授業では、質問された問題だけでなく、その問題を解くために不足している定義や基本事項まで戻って解説しました。
2023年4月2日の初回通常授業後には、次のような課題が出ています。
青チャートの問題を解き進め、疑問点を明らかにしておくこと。授業日までに問題と解答をグループへ送れば、授業で解説します。
この課題の目的は、全問正解することではありません。「どこまでは自分で分かり、どこから先が分からないのか」を本人が把握することです。
数学が苦手になった生徒ほど、解けなかった問題をそのままにしたり、解説を読んでも何が分からないのかを言語化できなかったりします。そこで、彩花さんには繰り返し、次の3つを区別するよう求めました。
- 自力で解けた問題
- 解説を読めば理解できた問題
- 解説を読んでも理解できなかった問題
これは、その後の青チャートの勉強法にも一貫して取り入れられています。
「指針も解答も見ずに解く」ことで理解度を判定
2023年4月14日には、彩花さんから11枚の問題・解答画像が送られました。授業後、講師が出した課題は次の内容でした。
送ってもらった例題を、指針も解答も見ずに解いてみて、自力で解けた問題と、それ以外の問題を区別してください。
青チャートを使用している生徒によくあるのが、解答を読んだ直後には理解できたように感じるものの、数日後に白紙から解こうとすると何も書けないという状態です。そこで彩花さんの指導では、次の流れを繰り返しました。
- 例題を読む
- 指針や解答を理解する
- 一度教材を閉じる
- 白紙から自力で解く
- 解けた問題と解けなかった問題を分ける
単に問題数を増やすのではなく、自力で再現できる問題を増やしていく方法です。
この時期は「場合の数」を重点的に扱っていました。2023年4月17日の授業後には、次の課題が出ています。
樹形図を描き、組み合わせの公式を説明できるようにすること。
公式を使えるだけではなく、なぜその公式になるのかを樹形図から説明する。数強塾では、公式の丸暗記よりも、その背景を説明できる状態を重視します。
4月18日22時50分には、彩花さん本人から「樹形図の課題がまだ来てないです。」という連絡も入りました。翌朝、講師が課題を再送しています。
この一件は小さなやり取りですが、指導上は重要な変化でした。当初は「何を勉強したらよいか分からない」という状態だった本人が、必要な課題が届いていないことに気づき、自分から確認できるようになっていたからです。
学力向上は、問題が解けるようになることだけではありません。必要な教材を準備する、質問を送る、期限を確認する、分からないことを自分から伝える。こうした学習行動が整うことで、初めて継続的な成績向上につながります。
場合の数、整数、三角関数、微分積分へ
2023年春から夏にかけて、指導内容は場合の数・樹形図・組み合わせ・整数の性質・背理法・三角関数・和積積和の公式・指数・微分・不定積分・定積分へと進みました。
2023年6月16日の課題では、ある練習問題について「授業で扱った方法で解くこと。また、背理法でも解いてみること。」と、複数の解法を比較する指導を行いました。
6月23日には「積和と和積の公式を自分で導いてみること。」、6月26日にも「和積と積和の公式を導き、例題を解くこと。」という課題を出しています。
公式を単独で暗記するのではなく、加法定理など既に知っている内容から導出できるようにする。この学習は、大学受験数学で公式を忘れた場合の復元力にもつながります。
7月28日には、微分積分の学習に入る前段階として、学校の教科書全体を見渡す課題を出しました。
微分積分の全分野に目を通すこと。1. 分量とレイアウトの確認 2. 太字の重要語句と、まとめの公式の確認 3. 余裕があれば本文と例を読む
いきなり全問を解かせるのではありません。最初に章全体の構造を確認し、何を学ぶのか、どの程度の分量があるのかを把握してから細部へ入る方法です。
数学が苦手な生徒は、目の前の一問に集中しすぎて、単元全体の位置づけを見失うことがあります。そのため、「まず地図を見る」「次に重要語句を確認する」「その後で例題を解く」という順序を意識しました。
2023年7月、エクアドル留学に向けた授業時間の再設計
2023年7月1日17時58分、保護者様から重要な相談が入りました。
彩花が8月下旬から10か月間エクアドルに留学します。時差が14時間あるので、午前中に授業をお願いすることは可能でしょうか。9月は休塾し、10月から時間を変更して再開したいと考えています。
留学中にオンライン塾を続ける場合、単にZoomへ接続できればよいわけではありません。日本と現地の時差、ホストファミリーの生活時間、現地校の課題、学校行事、インターネット環境、本人の体調、日本の大学受験勉強をすべて考える必要があります。
翌7月2日19時26分、保護者様から、ホストファミリーと相談した結果が届きました。現地時間では平日の19時から21時、日本時間では翌日の9時から11時が望ましいという内容でした。
同日20時16分、講師から具体的な提案を行いました。エクアドル時間で月曜日・金曜日20時〜21時、日本時間で火曜日・土曜日10時〜11時です。保護者様から了承をいただき、この時間帯を確保しました。
2023年8月25日の授業後、講師は次回予定を「エクアドル現地時間で10月2日月曜日20時から、日本時間で10月3日火曜日10時から」と案内しています。ここから、「留学中のオンライン塾」という特殊な環境での指導が本格的に始まりました。
エクアドルから日本の数学授業へ接続
2023年10月3日。日本時間9時3分、講師からZoom授業の案内が送られ、10時から授業を開始しました。授業後にはノートと課題を共有しています。ただし、現地校の課題量が多いことも分かったため、講師は「学校の課題がとても多いということなので、学校の課題を優先してください。」と伝えました。
海外留学中に日本の受験勉強を詰め込みすぎれば、現地生活が崩れます。反対に、日本の数学を完全に止めてしまえば、帰国後に大きな遅れが生じる可能性があります。そこで、次の方針を取りました。
- 現地校の課題を最優先する
- 日本の数学は継続を切らさない
- 課題量は生活状況に合わせる
- 余裕がない週は復習中心にする
10月には、旅行や現地行事による予定変更もありました。10月15日の授業では、本人から「10分ほど遅刻します」と連絡がありました。講師は接続を待ち、入室後に授業を実施しています。10月21日には、多数の教科書画像を共有し、教材の構成そのものを確認しました。10月24日には、例題と解答を読んだ後、解答を見ずに自分で解く課題を出しました。
時差があるから内容を簡単にするのではなく、生活状況を考慮しながら、日本の大学受験数学へつながる学習を維持しました。
留学中に確立した「青チャートの勉強法」
2023年11月3日、講師から学習計画に関する課題を出しました。
数学IIBと数学Cの青チャートの基本例題を、帰国までに解き終わるためには、毎日平均何題解くべきかを見積もり、それを毎日の計画に入れてください。
重要なのは、「計画どおりに絶対進める」ことではありません。講師は続けて「計画どおりに進められるとは限らないので、実験だと思って取り組んでください。」と伝えています。
実際に進めてみて、無理があれば修正する。数学の勉強計画を、守れなかったら失敗する約束ではなく、改善するための実験として扱いました。
11月7日には、さらに課題を細分化しました。
青チャートの基本例題を1ページに1問ずつノートに写す。1日最低2問写し、指針と解答も読む。余裕があれば、自分で解答を書く。
当時の彩花さんには、難しい問題で長時間止まるより、まず問題と解答の構造に数多く触れることが必要でした。そこで、次のような進め方を採用しました。
- 分からない問題に長時間こだわらない
- 問題文をノートに整理する
- 指針と解答を読む
- 解法の流れを把握する
- 余裕があれば自力で解く
- 不明点を授業へ持ち込む
11月28日には、本人から多数のノート画像が送られています。一度に十数枚の画像が届くこともあり、学習量が目に見える形で増えていきました。最初は「何をしたらよいか分からない」と相談していた生徒が、自分で教材を進め、答案を撮影し、質問箇所を整理して提出するようになったのです。
計画停電、通信不良、現地行事——それでも学習を切らさない
留学中のオンライン指導には、日本国内の授業とは異なる問題も発生しました。2024年4月18日23時47分、彩花さんから次の連絡が入りました。
こちらの13時から21時まで計画停電があり、Wi-Fiもデータ通信も使えなくなるようです。20時に応答がない場合は、20時10分まで待って、それでも応答がなければお休みにしてください。
現地の通信状況や停電は、本人の努力では解決できません。そのため、接続できるときは授業を行い、難しい場合は課題や資料を共有し、次の授業へつなげました。
一方、ホストファミリーの行事、学校旅行、友人との予定、体調不良などによって授業を欠席することもありました。しかし、重要なのは、一度休んだことではなく、その後に学習へ戻れる仕組みがあったことです。
講師は毎回、次回授業日時・今回の授業ノート・課題・参考資料・優先順位を明示しました。授業を欠席した場合でも、次に何をするべきかが分からなくならないようにしています。留学中のオンライン塾では、授業回数だけでなく、「学習の糸を切らさないこと」が重要です。
2024年夏、帰国後は夜の授業へ戻す
2024年6月、帰国に合わせて再び授業時間を変更しました。日本時間7月16日以降は、火曜日・金曜日の19時から受講する形へ移行しました。
帰国直後には体調を崩した時期もありました。7月16日は欠席しましたが、翌17日の振替授業には参加しています。講師は授業後、「本日の課題はありません。体調の回復を最優先にしてください。」と伝えました。
長期の学習では、常に同じ量を課すことが最善とは限りません。体調が悪い時期に無理をさせ、数週間勉強できなくなるより、短期間負荷を下げて回復後に再開する方が効果的です。
その後は、平面ベクトル・位置ベクトル・ベクトル方程式・確率分布・期待値・分散・標準偏差・統計的推測などへ進みました。
2024年8月23日、ベクトル方程式を扱った授業後、講師から「とても順調に解き進められているようです。この調子で進めていってください。」という評価が送られています。これは、入塾直後の「何をしたらよいか分からない」という状態からの明確な変化でした。
東大文系数学の過去問へ
2024年秋には、東大文系数学の過去問も扱うようになりました。10月11日の授業後、講師は次の課題を出しています。
本日解説した東大文系の過去問について、解法の道筋を大まかにフロー図などにして、20分以内に解けるよう練習してください。
難関大学の過去問を扱う際、模範解答を覚えるだけでは応用が利きません。そこで、次の点をフローとして整理しました。
- 何を求める問題か
- 最初に確認する条件は何か
- どの公式や定理を候補にするか
- どこで場合分けするか
- どの順番で式を立てるか
この頃から、質問内容も変化しています。以前は「この計算が分からない」「この公式をどう使うのか」といった質問が中心でした。次第に、なぜこの方針を選ぶのか、別解との違いは何か、条件をどこまで使っているか、どの定義からこの式が出るか、模範解答の論理は十分か、といった問題の構造に関する質問が増えました。
これは、単純な計算力だけではなく、数学を論理として捉える力が伸びてきたことを示しています。
最初の受験を経て、既卒生として継続
2025年4月、グループ名は「既卒」に変更されました。高校卒業後も、彩花さんは大学受験数学の学習を継続しました。ここで授業を終えるのではなく、もう一年、目標に向けて挑戦する選択をしたのです。
既卒生の数学指導では、高校生の頃と同じ教材を単純に繰り返すだけでは十分ではありません。そこで2025年度は、予備校授業の質問対応、青チャートの再整理、難関大学過去問、証明問題、ベクトル、定義と定理の区別、問題文の論理構造、共通テスト対策、二次試験答案の作成などを組み合わせました。
2025年5月4日の授業後には、大学生向けの数学書も参考文献として紹介しています。これは全員に必要な教材ではありません。しかし、彩花さんの質問が、公式の使用方法ではなく、数学的な定義や論理の組み立てに及ぶようになってきたため、必要に応じて発展的な資料も提示しました。
「問題を解く前に、どう理解したかを書き出す」
2025年3月以降、指導の中心になったのが、問題文の論理構造を分解する訓練です。3月11日の課題では「問題自体を解く必要はありません。問題文を、設定、条件、結論に分けて書き出してください。」と指示しました。
3月14日には「問題を写すときに、前提、条件、結論に分けて整理したうえで解いてください。」、3月18日には命題の書き換えを課題にしました。
大学受験数学では、「計算を始めること」が必ずしも最初の一手ではありません。問題文の内容を正確に読み、次の点を整理する必要があります。
- 何が定義されているか
- 何が仮定されているか
- 何を証明するのか
- 変数はどの範囲を動くか
- どの条件がまだ使われていないか
2026年2月1日の授業後にも、同じ方針が示されています。「問題を解くこと自体ではなく、条件を整理して書き出す、条件を式や図やグラフに翻訳する、実験してみることに集中してください。」
2月15日の課題でも「解答を作成するのではなく、問題をどう理解したかを、言葉、式、図形で書き出してください。」と伝えています。これは、難問をすぐ完答することよりも、問題を正しく理解し、解法を生み出せる土台を作る指導です。
1日20分の4STEPと、教科書の定義確認
2025年8月から9月にかけては、4STEPを使った全範囲の確認も行いました。8月27日には「まずStep Aの*印の問題をすべて解き、その後でStep Bの*印へ進む。発展問題と四角印の問題は飛ばす。」という進め方を指定しました。
9月7日には、さらに具体化しています。
4STEPのStep Aの*印の問題を、受験範囲全分野で解き進める。取り組む時間は1日20分程度でよい。教科書の本文と例を読み、用語の定義や記号の用法を確認する。
ここでも、すべての問題を無差別に解かせることはしていません。基本問題を選別し、短時間でも毎日触れる。同時に、教科書で定義と記号を確認する。演習と理論の両方を組み合わせました。
9月14日には「1章を読み終えるごとに教科書を閉じ、太字の重要語句を口頭で説明できるか確認する。」という課題も加えています。数学の定義は、見れば分かるだけでは不十分です。何も見ずに、自分の言葉で説明できるか。説明できなければ、その定義を使った証明や応用問題で詰まる可能性があります。
受験直前は、課題を減らす判断もする
2025年12月から2026年1月にかけては、共通テストと二次試験へ向けた最終調整に入りました。12月28日には「共通テストの過去問に、本番の試験時間に合わせて取り組むこと。」という課題を出しました。
一方、共通テスト直前の2026年1月4日には「共通テストが近いので課題はありません。今まで頑張ってきたので、そのペースで勉強を進めてください。」、1月11日にも「共通テスト直前なので課題はありません。体調を整えて試験で実力を発揮してください。」と伝えています。
受験直前に不安になると、次々に新しい問題集へ手を出したくなることがあります。しかし、直前期に必要なのは、新しい知識を大量に増やすことではなく、睡眠・体調・時間配分・既習事項の確認・ミスの整理・本番と同じ時間での演習です。
約3年間の学習蓄積があったからこそ、最後は課題を増やさず、本人のペースを守る判断ができました。
点数だけでは表せない成長
今回の指導記録には、入塾時から合格までの定期試験得点や偏差値が、連続した数値として残っているわけではありません。そのため、「偏差値が何ポイント上がった」「定期試験が何点上がった」といった、確認できない数字は掲載していません。一方で、学習行動と到達した問題レベルには、明確な変化が確認できます。
入塾時
- 高校数学になって成績が急に落ちた
- 何を勉強すればよいか分からない
- 数IIIを使わない文系数学を希望
- 基礎からの立て直しが必要だった
指導初期
- 青チャートの例題を読む
- 樹形図を描く
- 場合の数の公式を説明する
- 自力で解けた問題と解けない問題を区別する
- 教科書の定義を確認する
留学中
- エクアドルから週2回オンライン受講
- 時差に合わせて日本時間午前に授業
- 毎日2問を目安に青チャートを継続
- 現地校の課題と日本の大学受験を両立
- 多数の質問画像・答案画像を提出
帰国後
- ベクトル、確率分布、統計的推測を学習
- 東大文系の過去問へ挑戦
- 解法をフロー図に整理
- 条件、前提、結論を分けて読む
- 別解や定義の違いを検討する
既卒時
- 予備校教材とマンツーマン指導を連携
- 4STEPで受験全範囲を確認
- 教科書の定義を口頭で説明
- 共通テスト過去問を本番時間で演習
- 難関大学の二次試験問題を継続的に提出
「何をしたらよいか分からない」という状態から、質問箇所を何枚も整理して送り、自分の考えた解法で答案を作り、東大文系レベルの問題について講師と議論する状態まで成長しました。これが、本指導で確認できる最も大きな成績向上です。
2025年12月、講師が感じていた「急激な伸び」
退塾予定の連絡をいただいたのは、2025年12月11日でした。保護者様からは、次のメッセージをいただきました。
約3年弱、温かくご指導いただき感謝しております。留学中は、先生と日本語でやり取りできる時間が、娘にとって安心して学べる大切な時間だったようです。
これに対し、担当講師は次のように返信しています。
彩花さんは、数学に関しては最近急激に力を伸ばしているので、良い結果が出るのを楽しみにしています。
入試直前の時期、担当講師は、本人の数学力が伸びていることを実感していました。保護者様からも「ずっと頑張ってきたので、先生にそう仰っていただけると、彩花も励みになります。」との返信がありました。
受験結果が出る前の段階で、本人、保護者、講師の間に、約3年間積み重ねてきた学習への共通認識ができていました。
2026年3月17日、合格報告
2026年3月17日12時42分、担当講師から、合格実績集計のため進学結果を確認する連絡を送りました。12時50分、保護者様から合格大学の報告が届きました。
- 国際教養大学
- 上智大学 外国語学部・英語
- 上智大学 外国語学部・スペイン語
- 明治大学 国際日本学部
上智大学は、共通テスト利用方式と共通テスト併用方式の双方で合格。明治大学国際日本学部は、共通テスト利用方式での合格でした。
担当講師が合格を祝うと、保護者様から次のメッセージが届きました。
第一志望には届きませんでしたが、ここまでご指導いただき本当に感謝しています。先生のおかげで最後まで頑張ることができました。
第一志望への合格だけが、大学受験の努力を評価する唯一の基準ではありません。長期留学を経験しながら日本の大学受験数学を続け、高校卒業後も学習を継続し、最終的に国際教養大学、上智大学、明治大学へ合格した。この結果は、一度の短期講習によるものではありません。
約3年間、授業を受ける・ノートを確認する・課題へ取り組む・質問を送る・分からない箇所を言語化する・体調や予定に応じて調整する・再び学習へ戻る、という積み重ねを続けた結果です。ほかの合格実績や指導実例もあわせてご覧いただけます。
この指導実例から分かること
1. 中高一貫校で数学が苦手になっても、戻る場所を見つければ立て直せる
関東学院高校のような中高一貫校では、学校の進度や教材が一定以上の速さで進みます。一度つまずくと、分からない状態のまま次の単元へ進みやすくなります。必要なのは、学年を下げて一律にやり直すことではありません。現在の答案や質問を見て、定義の理解が不足しているのか、計算に問題があるのか、問題文を読めていないのか、公式の使い分けができないのかを判断し、必要な部分へ戻ることです。
2. 青チャートは「全部自力で解く」ことだけが正解ではない
彩花さんの青チャートの勉強法では、時期によって進め方を変えました。基礎段階では、問題・指針・解答を読み、構造を理解する。次に、解答を隠して自力で解く。受験期には、一問15分程度で区切り、長時間止まりすぎない。さらに、解けた問題と解けない問題を分類し、質問箇所を授業へ持ち込む。教材を使い切るためには、生徒の学力と時期に合わせて方法を変える必要があります。
3. 留学中でもオンライン塾なら数学を継続できる
エクアドル留学中は、現地時間の夜、日本時間の午前に授業を実施しました。停電、通信不良、学校行事など、海外特有の事情もありました。それでも、授業ノート、課題、質問画像をオンラインで共有することで、日本の受験数学から完全に離れずに済みました。「留学中は受験勉強を止める」か、「留学を諦めて受験に専念する」かの二択ではありません。時間帯と課題量を調整すれば、留学とオンライン個別指導を両立できる場合があります。
4. 数学のモチベーションは、問題が解けた回数だけで決まらない
彩花さんのモチベーション向上につながったのは、正解数だけではありません。質問を送れば次の授業で扱ってもらえる、授業後にノートが残る、課題の優先順位が分かる、留学中も日本語で数学の相談ができる、体調不良時には課題量を調整してもらえる、以前より難しい問題へ進んでいることを講師が言葉で伝える。こうした小さな確認の積み重ねが、「続ければ前に進める」という感覚につながりました。
5. 難関大学数学では、解答より先に問題の理解が必要
受験後半では、すぐに計算するのではなく、条件を書き出す・言葉を式にする・図やグラフに変換する・具体例で実験する・前提・条件・結論に分ける・定義と定理を区別する、という指導を増やしました。難関大学の問題では、この段階を飛ばして計算を始めても、途中で方針を失うことがあります。数学を「公式を選んで計算する科目」から、「条件を読み、構造を作る科目」へ変えていくことが重要です。
約3年間、数学から離れなかったことが合格につながった
彩花さんの指導実例は、「最初から数学が得意だった生徒の成功例」ではありません。高校数学へ入って成績が下がり、本人も何をすればよいか分からない状態から始まりました。その後、約10か月のエクアドル留学を経験しました。高校卒業後は既卒生として学習を継続しました。
体調不良、学校行事、通信障害、予定変更など、学習を止める理由はいくつもありました。それでも、完全に数学から離れることはありませんでした。授業へ戻り、質問を送り、ノートを確認し、次の問題へ進む。その繰り返しによって、最終的には国際教養大学、上智大学外国語学部、明治大学国際日本学部への合格につながりました。
約3年前、保護者様から届いた最初の相談は「本人も何をしたらよいか分からない状態です。」というものでした。指導終盤には、本人が多数の問題画像や答案を整理して送り、自分の解法を講師へ示し、難関大学の問題について質問するようになっていました。
合格大学の数だけではなく、この変化こそが、約3年間のマンツーマン指導によって得られた大きな成果です。数学は、短期間で急にすべてが分かる教科ではありません。しかし、分からない箇所を正確に見つけ、必要な学習を一つずつ積み重ねれば、現在の成績にかかわらず前へ進むことができます。
中高一貫校で数学が苦手になった方へ
「何をしたらよいか分からない」段階からで大丈夫です
数強塾は数学が苦手な生徒を対象にしたオンライン数学専門塾です。初回の診断授業で、いま戻るべき単元と必要な演習量を具体的にお伝えします。海外在住・留学中の受講にも対応しています。

