色ペンを3色も4色も使い分けて、定規でまっすぐ線を引いて、教科書みたいにきれいなノートを作る。完成したノートを見返すと、なんだか勉強した気になってちょっと満足する。でも、テストの点数は思ったほど伸びていない――。そんな経験、ありませんか?もしあなたが「ノートをきれいに取ること」に時間をかけているなら、今日の話はきっと役に立つと思います。
なぜ「きれいなノート」を作ってしまうのか
僕は今でこそ数強塾の代表として数学や情報Iを教えていますが、高校生の頃は本当に勉強が下手でした。2浪もしています。その頃の僕は、まさに「きれいなノート職人」だったんです。授業の板書を一字一句きれいに写し、家に帰ってからもう一度ノートにまとめ直す。色ペンで重要なところを囲んで、見出しを大きく書いて。完成したノートを眺めては「今日もよく頑張った」と思っていました。
でも、成績は全然上がりませんでした。なぜか。今ならハッキリわかります。きれいなノートを作る作業は、ほとんどが「書き写すだけの作業」だからです。書き写すという行為には、頭をほとんど使いません。手は動いているけれど、脳は休んでいる。つまり「作業」をしているだけで、「勉強」をしていなかったんです。
多くの受験生が、この罠にはまります。きれいなノートを作ると達成感があるから、勉強した気分になれる。でもその達成感は、実力とは別物なんですよね。
2浪の僕が気づいた「ノートをきれいに取ることに意味がない」本当の理由
ノートは「作品」ではなく「道具」
浪人2年目のある日、僕は予備校の自習室で、ものすごく字が汚いのに成績トップクラスの友人のノートを見せてもらいました。正直、驚きました。殴り書きのような字、ところどころ計算が消し跡だらけで、矢印が乱雑に走っている。お世辞にもきれいとは言えない。でも、そのノートにはびっしりと「自分の考えた跡」が残っていたんです。
「ここでなんで間違えたのか」「次はこう考える」「この公式はこういう時に使う」――そういう、自分の頭で考えたメモがあちこちに書き込まれていました。そのとき、ノートをきれいに取ることに意味がない本当の理由がわかった気がしました。ノートは見せるための「作品」じゃない。自分の理解を深めるための「道具」なんです。
きれいに書く時間は「考える時間」を奪う
1日にノートをきれいにまとめる時間が30分だとします。1週間で約3.5時間、1ヶ月で14時間。受験本番までの数ヶ月で考えると、何十時間もの時間が「書き写し作業」に消えていくことになります。その時間を、問題を解いて、間違えて、なぜ間違えたかを考える時間に変えたら、どれだけ実力がつくでしょうか。
きれいに書こうとすると、どうしても丁寧に文字を書くことに意識が向いてしまいます。脳のリソースが「美しさ」に割かれて、「理解」に回らなくなる。これが、ノートをきれいに取ることに意味がないと僕が考える、もう一つの理由です。
では、どんなノートを取ればいいのか
1. 殴り書きでいいから「自分の言葉」を残す
板書をそのまま写すのではなく、「自分はここがわからなかった」「ここがポイントだ」と感じたことを、汚くてもいいから書き込んでください。これは脳をフル回転させている証拠です。後から見返したとき、自分がどこでつまずいたかが一目でわかります。
2. 間違えた問題こそ宝物
数学や情報Iを教えていて思うのは、伸びる生徒ほど「間違えた跡」を消さないということです。バツをつけた問題の横に、なぜ間違えたかを一言メモする。次に同じタイプの問題が出たとき、そのメモが効いてきます。きれいに書き直すより、間違いを残すほうが100倍価値があります。
3. 色は1〜2色で十分
色を使うなら、本当に大事なところだけ赤か青で。色を増やすほど、どこが重要かわからなくなります。シンプルなほうが、後から見返したときに頭に入ってきます。
僕が数強塾で生徒に伝えているのは、「ノートはきれいさで評価されない。あなたの成績で評価される」ということです。実際、ノートを汚くしてでも演習量を増やした生徒が、数ヶ月で偏差値を10以上伸ばした例を何人も見てきました。きれいなノートを作る情熱を、問題を解く情熱に変えるだけで、世界が変わるんです。
まとめ:ノートは目的ではなく手段
ノートをきれいに取ることに意味がない本当の理由は、それが「勉強した気分」を作り出すだけで、本当の理解にはつながらないからです。大事なのは、手を動かすことではなく、頭を動かすこと。きれいなノートを作ることがゴールになってしまうと、いつの間にか「作業」が「勉強」だと勘違いしてしまいます。
もしあなたが今、きれいなノート作りに時間を使っているなら、ほんの少しだけやり方を変えてみてください。殴り書きでいい。間違いを残す。自分の言葉でメモする。それだけで、ノートはあなたの最強の武器になります。2浪して回り道をした僕だからこそ、これは自信を持って伝えられます。あなたの大切な時間を、どうか本当に伸びることに使ってほしいと思っています。
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