北海道大学の古文|実出典23年分と、歌論・芸道書に強くなる読み方

この記事で分かること

  • 北海道大学の古文で実際に出典となった作品が、1990年・2001年・2006年、および2007〜2026年の20年連続分でわかります(年度降順の一覧表つき)。
  • 直近20年(2007〜2026年)のうち、作り物語の出題は確認できないという、他の旧帝大と決定的に違う事実がわかります。
  • 北大の中心にあるのが歌論・歌学書・注釈書・芸道書・伝書という「論と学の文章」であり、骨格を日記と紀行が支えている構造がわかります。
  • 本データ793件を横断したとき、『奥義抄』『紫明抄』『文照聞書』『也哉抄』『抛入花伝書』『三野日記』『宗祇終焉記』『海道記』『たまきはる』『許六離別詞』が北大でしか確認できないという、極端な独自性がわかります。
  • そのうえで、明日から何を訓練すればよいか(国強塾の読み方)が、抽象論ではなく手順の形でわかります。

1. 北大古文の正体 — 「有名作品を覚える」が最も効かない大学

旧帝大の古文というと、多くの受験生は『源氏物語』『大鏡』『徒然草』といった教科書定番を思い浮かべます。実際、本データを大学別に集計すると、東京大学は説話10件・作り物語6件が二本柱です。京都大学は随筆9件・日記7件が目立ち、歌論5件も全大学の中では上位に入ります。ところが北海道大学は、この延長線上にありません。

本記事の一覧表を先に見てもらえばわかりますが、北大の出典欄に並ぶのは『奥義抄』『紫明抄』『文机談』『抛入花伝書』『也哉抄』『文照聞書』といった、市販の古文単語帳や文学史の暗記シートにはまず載らない書名です。書名を知っているかどうかは、北大の得点にほとんど寄与しません。

📖 大切な定義

大切な定義 北大古文とは、北海道大学の二次試験(本データの記録では文系)で課される古文の大問であり、歌論・歌学書・注釈書・芸道書といった「学問と芸道を論じた散文」を主要な出典層とする点に最大の特徴がある。

つまり北大は、「この作品を読んだことがあるか」ではなく、「初めて見る文章を、その場で筋道立てて読めるか」を測りにきています。これは一見すると恐ろしい話ですが、裏を返せば準備の方向さえ間違えなければ、努力が素直に報われるタイプの入試でもあります。暗記の蓄積量ではなく、読解手順の精度で差がつくからです。

👀 ここに注目

ここに注目 北大の出題傾向を「マイナーな作品ばかりで対策不能」と片づける解説をときどき見かけます。しかし一覧表を年代でならべ直すと、出典はランダムではありません。和歌・連歌・俳諧という「詩の言葉」をめぐる文章という一本の芯が、20年にわたって通っています。対策不能なのではなく、対策の対象が単語帳ではないというだけです。


2. 実出典一覧(2007〜2026年・年度降順)

以下は data/exam_evidence.csv に記録されている北海道大学の実出典です。この表にある年度・作品名のみが確認済みの事実であり、ここに無い年度や作品を推測で補うことはしていません。ジャンル・成立の記載は data/kobun_master.csv(395作品)に拠ります。

年度 出典 ジャンル・成立 作者 データに記録された注記
2026 許六離別詞 (マスタのジャンル欄は要調査) (マスタでは未詳) 松尾芭蕉・俳文
2025 海道記 紀行/鎌倉 未詳
2024 土佐日記 日記/平安前期 紀貫之
2023 源平盛衰記 軍記/鎌倉 未詳
2022 古本説話集 説話/平安末 未詳
2021 文照聞書 歌論/中世 未詳 古今集仮名序・真名序と併用
2020 更級日記 日記/平安中期 菅原孝標女
2019 たまきはる(建春門院中納言日記) 日記/鎌倉 健御前
2018 抛入花伝書 芸道書/江戸前期 未詳 芸道書
2017 文机談 琵琶伝書/鎌倉後期 隆円
2016 枕草子 随筆/平安中期 清少納言
2015 奥義抄 歌学書/平安後期 藤原清輔 奥儀抄表記
2014 癇癖談 随筆/江戸後期 上田秋成 上田秋成
2013 紫明抄 源氏注釈/鎌倉 素寂 源氏注釈
2012 三野日記 紀行/江戸中期 建部綾足 建部綾足
2011 也哉抄 俳論/江戸中期 与謝蕪村 与謝蕪村・俳論
2010 しのびね 擬古物語/鎌倉 未詳 しのびね物語表記
2009 閑居友 仏教説話/鎌倉 慶政説
2008 源家長日記 日記/鎌倉前期 源家長
2007 宗祇終焉記 紀行・追悼記/室町 宗長

(記録は20年分・20作品。同一年度が複数行に分かれている記録は1行にまとめました。faculty 欄には「文系」と記録されています。)

2006年以前の記録(データが飛び飛びである点を明示します)

年度 出典 ジャンル・成立 作者
2006 今物語 説話/鎌倉 藤原信実説
2001 戴恩記 随筆(聞書)/江戸前期 松永貞徳
1990 住吉物語 作り物語/平安〜鎌倉改作 未詳

この3件は、本データでは学部欄が空欄のまま「国語入試資料@ウィキ(大学別ページ)」由来として記録されています。2002〜2005年の記録は手元のデータにありません。「出題されなかった」のではなく「記録が無い」という意味です。ここを混同しないでください。


3. データを集計する — 北大の三本柱

20年分(2007〜2026年)を、国強塾の区分で数えます。区分はマスタの「ジャンル・成立」欄に基づいています。

区分 該当年度と作品 件数
A 論・学・芸の書(歌論/歌学書/注釈/伝書/芸道書/俳論) 2021文照聞書・2018抛入花伝書・2017文机談・2015奥義抄・2013紫明抄・2011也哉抄 6
B 日記 2024土佐日記・2020更級日記・2019たまきはる・2008源家長日記 4
C 紀行・追悼記 2025海道記・2012三野日記・2007宗祇終焉記 3
D 説話・軍記 2023源平盛衰記・2022古本説話集・2009閑居友 3
E 随筆 2016枕草子・2014癇癖談 2
F 物語 2010しのびね(擬古物語) 1
G 俳文 2026許六離別詞(データ記録は「松尾芭蕉・俳文」) 1

数字が示すことは単純です。

  • A+B+C+G=14/20。北大の古文の7割は、歌論・歌学・芸道・日記・紀行・俳文で説明できます。
  • F(物語)は20年で1件。しかもそれは擬古物語『しのびね』であり、作り物語(『源氏物語』『狭衣物語』の系統)は直近20年で1件も確認できません。表を1990年まで広げてようやく『住吉物語』が1件現れるだけです。
  • 成立時代をマスタの「ジャンル・成立」欄どおりに数えると、20年分の内訳は中世(鎌倉〜室町)10件、平安5件、近世(江戸)4件、そして成立時代の記載が無いもの(2026年『許六離別詞』=マスタは「要調査」)が1件で、合計20件です。なお2006年『今物語』、2001年『戴恩記』、1990年『住吉物語』まで含めた23件で数え直すと、中世11件・平安5件・近世5件・平安〜鎌倉改作1件・記載なし1件になります。

💡 ポイント

ポイント 「古文=平安の作り物語」という前提で組んだ勉強計画は、北大に対しては最初の一手からずれます。20年のうち中世10件と近世4件で14件を占め、平安は5件にとどまります。北大対策の主戦場は中世と近世だと国強塾は考えます。

📖 大切な定義

大切な定義 歌論とは、和歌の作り方・良し悪しの基準・言葉の由来などを論じた散文のジャンルであり、物語のように出来事が進むのではなく、主張と根拠と用例で構成される文章である。


4. 北大でしか確認できない10作品 — 独自性の実測

本データ793件を横断して、「北海道大学の出典として記録があり、かつ他大学の記録が1件も無い作品」を抜き出すと、次の10作品になります。

作品 北大での年度 ジャンル
許六離別詞 2026 俳文(データ記録)
海道記 2025 紀行/鎌倉
文照聞書 2021 歌論/中世
たまきはる(建春門院中納言日記) 2019 日記/鎌倉
抛入花伝書 2018 芸道書/江戸前期
奥義抄 2015 歌学書/平安後期
紫明抄 2013 源氏注釈/鎌倉
三野日記 2012 紀行/江戸中期
也哉抄 2011 俳論/江戸中期
宗祇終焉記 2007 紀行・追悼記/室町

20年のうち半分が、他大学では確認できない出典でした。これは「北大がマイナー志向だ」という趣味の話ではなく、出題方針の表明だと国強塾は読みます。すなわち、受験生が事前に読んでいる可能性がほぼゼロの文章を渡し、その場の読解力だけで勝負させるという方針です。

👀 ここに注目

ここに注目 逆に言えば、残る13作品(『土佐日記』『更級日記』『枕草子』『文机談』『古本説話集』『閑居友』『今物語』『源家長日記』『癇癖談』『しのびね』『源平盛衰記』『戴恩記』『住吉物語』)には他大学の記録があり、他大学の過去問がそのまま素材として使えるということでもあります。たとえば2017年の『文机談』は神戸大学に、2014年の『癇癖談』は九州大学に記録があります。北大専用の対策と、汎用の古文力を分けて積む発想が要ります。


5. なぜ北大は「論の古文」を出すのか

歌論・歌学書・注釈書・芸道書・伝書は、ジャンル名こそ違いますが、文章の骨格が共通しています。

  1. 主張:〜はかくあるべし/〜はよろしからず、という価値判断が置かれる。
  2. 根拠・由来:故実、先師の言、語源、漢籍や仏典の引用が続く。
  3. 用例:実例として和歌・句・逸話が引かれる。
  4. 再びの主張:だから〜なのである、と締める。

物語なら「誰が誰に何をしたか」を追えばよいのですが、論の文章ではこの4層のどこを今読んでいるのかを見失った瞬間に、全文が霧になります。特に厄介なのは3の「用例」で、引かれた和歌の作中人物の心情を、書き手自身の主張と取り違える答案が非常に多い。

📖 大切な定義

大切な定義 注釈書とは、既存の作品(『源氏物語』『古今和歌集』など)の語句や背景を説明するために書かれた文章であり、本文の引用部分と、注釈者の説明部分という二層構造をもつのが特徴である。

2013年の『紫明抄』は『源氏物語』の古注、2021年の『文照聞書』は本データの記録によれば古今集の仮名序・真名序と併用して出題されています。ここで求められているのは「『源氏物語』を読んだ経験」ではなく、引用と説明を切り分ける操作そのものです。

💡 ポイント

ポイント 北大の本文で「〜と侍り」「〜と申す人あり」「〜といへり」が出てきたら、そこは引用の終端です。引用の中身と、それを受けた筆者の判断は、必ず線を引いて分けてください。この一手だけで、論の古文の正答率は目に見えて変わります。


6. 日記と紀行が骨格である理由

北大の第二の柱は日記(4件)と紀行(3件)です。この2ジャンルには、作り物語には無い共通の難しさがあります。

一人称の視点が固定されているのに、主語がほとんど書かれないという点です。物語には語り手がいて、人物を外側から描写してくれます。日記・紀行には語り手がいません。書き手=視点であり、書き手にとって自明なことは、いちいち書かれないのです。

『更級日記』は、その典型です。冒頭は次のように始まります。

東路の道のはてよりも、なほ奧つかたに生ひたる人

(出所:ja.wikisource.org「更級日記(有朋堂文庫)」/パブリックドメイン本文。※2020年の北大出題箇所がここであるという意味ではありません。作品の性格を示すために冒頭を引いています。)

「生ひたる人」とは誰か。書き手自身です。しかし本文は「私」とも「われ」とも言いません。日記の古文とは、こういう文章です。読み手が主語を復元しなければ、文が文になりません。

📖 大切な定義

大切な定義 古文の日記とは、作者自身の体験を時系列に沿って記した散文であり、書き手=視点人物が省略されるため、読者が主語を復元しながら読む必要があるジャンルである。

紀行はさらに条件が加わります。移動しているという点です。地名が変われば場面が変わり、同行者が変わり、感慨の対象が変わる。2025年の『海道記』、2012年の『三野日記』、2007年の『宗祇終焉記』は、いずれも移動の軌跡に沿って本文が進みます。読むときは、地名が出た瞬間に本文の余白へ「地名/同行者/そこで詠まれた歌」の3点をメモする。これだけで場面のねじれが激減します。

👀 ここに注目

ここに注目 2007年の『宗祇終焉記』は、連歌師・宗長が師である宗祇の最期を看取る文章です。2026年の『許六離別詞』は、データの記録では「松尾芭蕉・俳文」。旅立ちと別れ、師と弟子という主題が、20年の両端で呼応しています。北大が好むのは、事件ではなく人と人の関係が言葉として結晶する場面だと国強塾は見ています。


7. 和歌・俳諧の解釈は「おまけ」ではなく設計思想

北大の出典を並べると、和歌・連歌・俳諧に関わらない年度のほうが少ないことに気づきます。

  • 『奥義抄』(2015)— 歌語の注釈と故実
  • 『文照聞書』(2021)— 古今集の講釈記録
  • 『也哉抄』(2011)— 俳諧の切字論
  • 『許六離別詞』(2026)— 俳文
  • 『源家長日記』(2008)— 新古今和歌集の編纂現場
  • 『戴恩記』(2001)— 松永貞徳が語る歌壇の見聞
  • 『宗祇終焉記』(2007)— 連歌師の追悼記
  • 『紫明抄』(2013)— 引き歌を含む源氏の古注
  • 『土佐日記』(2024)— 和歌を核に据えた仮名日記

これらは「本文の中にたまたま和歌が入っている」のではありません。和歌や句そのものを論じる文章、あるいは和歌が本体で散文が状況説明である文章です。したがって、韻文を飛ばして散文だけ拾う読み方は、北大では致命傷になります。

📖 大切な定義

大切な定義 切字とは、俳諧の句において意味の流れをいったん断ち切り、余情を生じさせる語(「や」「かな」「けり」など)であり、どの語を切字と認めるかは流派によって論争があった。

『也哉抄』が論じているのは、まさにこの「どこで切るか」という問題です。切字を知らないまま俳論を読むと、本文が何について争っているのかがわからないまま設問に入ることになります。逆に、切字という概念を1行知っているだけで、本文の対立軸が最初の段落で見えます。

💡 ポイント

ポイント 北大対策として、和歌の修辞(枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り)と、俳諧の基礎語(切字・季語・発句・付句・連歌)は、単語帳とは別建てで1枚にまとめておいてください。分量にして A4 一枚で足ります。効きます。


8. 国強塾の読み方 — 具体的な手順

抽象論ではなく、机の上で実行できる形で書きます。

手順1:ジャンル判定を10秒で行う(リード文と注を先に読む)

本文に入る前に、出典名・リード文・注を読みます。北大の出典は初見が前提なので、リード文と注が唯一の地図です。ここで次の三択に振り分けてください。

  • 論の文章か(〜抄・〜聞書・〜伝書・〜談・〜論 という書名は強い手がかり)
  • 移動の文章か(〜記・〜日記で、地名が並ぶ)
  • 出来事の文章か(説話・軍記・物語)

判定が変われば、以降の読み方が丸ごと変わります。この10秒を惜しまないでください。

手順2:論の文章なら「主張/引用/用例」を記号で分ける

本文の余白に、次の3記号だけを入れながら読みます。

  • :筆者の主張・価値判断(〜べし、〜よろし、〜わろし、〜なり)
  • 「 」:引用(〜といへり、〜と侍り、〜と申しき の直前まで)
  • :引かれた和歌・句

読み終えたときに ◯ の箇所だけつなげて読むと、本文の論旨が1本の線になります。設問の多くは、この線の上か、◯ と 和 の関係の上にあります。

手順3:日記・紀行なら「人物カード」と「地名カード」を作る

  • 人物が出るたびに、余白へ 人物名/書き手との関係/敬語の有無 を書く。
  • 地名が出るたびに、余白へ 地名/同行者/詠まれた歌 を書く。

北大の日記は宮仕えや歌壇の回想が多く(『たまきはる』『源家長日記』)、人物の上下関係が敬語で示されます。誰に敬語が向いているかを確認すれば、書かれていない主語は復元できます。

手順4:和歌が出たら、必ず5点セットで処理する

  1. 誰が誰に詠んだか(贈答か、独詠か)
  2. 修辞はあるか(掛詞・序詞・縁語・本歌取り)
  3. 一首の中心語はどれか
  4. 直前の散文と、どうつながるか(歌は状況の要約か、心情の吐露か)
  5. 直後の散文が、歌をどう受けたか

和歌を「訳す」のではなく「本文の流れの中に置き直す」。これが北大で問われている操作です。

手順5:語彙は「近世まで」を射程に入れる

近世(江戸)の文章が6件ある以上、平安語だけの語彙では届きません。『癇癖談』(上田秋成)や『三野日記』(建部綾足)のような文章では、漢語まじりの硬い言い回しや、当時の口語的表現が混ざります。市販の古文単語帳を1冊仕上げたうえで、近世の随筆・俳文を読むときは、わからない語を推測せず必ず辞書で確認する習慣をつけてください。推測で読み流す癖は、北大では失点に直結します。

手順6:過去問の回し方

  • 1周目(直近10年:2017〜2026):時間を計り、本番と同じ条件で解きます。この10年だけで、論の書3・日記3・紀行1・説話1・軍記1・俳文1と、北大の幅がほぼ再現されます。
  • 2周目:設問を解かず、本文だけを音読して要旨を1文でまとめる訓練に使います。論の文章は要旨が1文になります。ならなければ、読めていません。
  • 3周目:他大学の同ジャンル過去問へ横展開します。本データを大学ごとに数え直すと(同一年度・同一大学・同一作品の重複を1件にまとめた693件で集計)、記録の多い大学は次のとおりです。歌論は上智大学6・京都大学5・早稲田大学5。日記は九州大学9・早稲田大学8・京都大学7・名古屋大学6。随筆は京都大学9・名古屋大学9・九州大学6・東北大学6。紀行は早稲田大学8・大阪大学6で、北海道大学の3件はこれに次ぐ水準です。素材の性格が近いものを選ぶと効率が上がります。
  • 古い年度:2007〜2015年は論の書と紀行の比率が高く、この時期をまとめて解くと「論の古文」の型が体に入ります。

9. よくある失敗5つ

  1. 書名を見て諦める — 『抛入花伝書』を知らないのは全員同じです。知識ではなく手順で読みます。
  2. 引かれた和歌の心情を、筆者の主張と混同する — 用例と主張の混線。手順2の記号分けで防げます。
  3. 紀行文で場面が入れ替わったことに気づかない — 地名の変化を見落とすと、同行者や心情がねじれます。
  4. 日記で主語を復元せずに訳す — 「私は」を補わない訳文は、日本語として成立しません。
  5. 和歌を飛ばして散文だけ拾う — 北大では和歌が本体である年度が珍しくありません。飛ばした瞬間に主題を落とします。

10. 直前期のチェックリスト

  • [ ] 和歌の修辞(枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り)を、A4一枚で説明できる
  • [ ] 俳諧の基礎語(切字・季語・発句・付句・連歌・俳文)を、1行ずつ定義できる
  • [ ] 「〜といへり」「〜と侍り」「〜と申しき」を見たら引用の終端だと即座に判断できる
  • [ ] 敬語の方向(誰から誰へ)を、本文に印をつけながら追える
  • [ ] 近世の随筆・俳文を、辞書を引きながら最後まで読み通した経験が3本以上ある
  • [ ] 直近10年の北大古文を、時間内に解き切った経験がある

関連ページ

  • 奥義抄 — 2015年北大の出典『奥義抄』。歌語の注釈と故実の読み方
  • 紫明抄 — 2013年北大の出典『紫明抄』。源氏古注という二層構造
  • 文照聞書 — 2021年北大の出典『文照聞書』。古今集の講釈記録と仮名序・真名序
  • 也哉抄 — 2011年北大の出典『也哉抄』。与謝蕪村の切字論
  • 抛入花伝書 — 2018年北大の出典『抛入花伝書』。芸道書の論理
  • 文机談 — 2017年北大の出典『文机談』。琵琶の相伝と音楽説話
  • 許六離別詞 — 2026年北大の出典『許六離別詞』。俳文の別れの型
  • 海道記 — 2025年北大の出典『海道記』。鎌倉紀行の骨格
  • 三野日記 — 2012年北大の出典『三野日記』。建部綾足と近世紀行
  • 宗祇終焉記 — 2007年北大の出典『宗祇終焉記』。師の最期を看取る文章
  • たまきはる(建春門院中納言日記) — 2019年北大の出典『たまきはる』。宮仕え回想と敬語
  • 源家長日記 — 2008年北大の出典『源家長日記』。新古今編纂の現場
  • 更級日記 — 2020年北大の出典『更級日記』。回想の枠組み
  • 土佐日記 — 2024年北大の出典『土佐日記』。女性仮託と仮名文の起点
  • 癇癖談 — 2014年北大の出典『癇癖談』。上田秋成の世相批評
  • 戴恩記 — 2001年北大の出典『戴恩記』。松永貞徳が語る歌壇
  • 古本説話集 — 2022年北大の出典『古本説話集』。和歌説話の型
  • 閑居友 — 2009年北大の出典『閑居友』。仏教説話の論理
  • 源平盛衰記 — 2023年北大の出典『源平盛衰記』。平家の異本
  • 枕草子 — 2016年北大の出典『枕草子』。三分類と「をかし」
  • しのびね — 2010年北大の出典『しのびね』。北大では稀少な物語系
  • 今物語 — 2006年北大の出典『今物語』。短編説話の型
  • 住吉物語 — 1990年北大の出典『住吉物語』。継子譚
  • genre-karon — ジャンルハブ:歌論・歌学書の読み方(北大の本命)
  • genre-kiko — ジャンルハブ:紀行の読み方
  • genre-nikki — ジャンルハブ:日記の読み方
  • waka-shuji — 和歌の修辞ハブ:掛詞・序詞・縁語・本歌取り
  • shugo-hantei — 文法ハブ:主語判定の手がかり
  • keigo-soron — 文法ハブ:敬語の方向と二方面敬語
  • todai-kobun — 東京大学の古文。説話と物語という対照的な二本柱
  • kyodai-kobun — 京都大学の古文。随筆・歌論寄りで北大と近い層がある
  • handai-kobun — 大阪大学の古文。北大との出題層の違い

本文・データの出所

本記事の出典一覧は、data/exam_evidence.csv(793件)に収められた北海道大学の31行(重複を含む)を年度・作品単位に整理した23件をそのまま使い、ジャンル・成立・作者の記載は data/kobun_master.csv(395作品)に拠っています。各行の一次的な情報源は次のとおりです。

  • 2007〜2026年:河合塾の入試分析資料(本試分析PDF)の「出典」欄、および国語入試資料@ウィキ(w.atwiki.jp/kobun)の大学別ページ
  • 2006年・2001年・1990年:国語入試資料@ウィキ(大学別ページ)
  • 補助的に、代々木ゼミナール・東進の解答速報、大学入試センターの公表資料を参照しています
  • 本文引用は ja.wikisource.org のパブリックドメイン本文(『更級日記』有朋堂文庫)のみを用いています

確度の限界について(正直に書きます)

  • 出典情報の多くは、大学の公式発表ではなく予備校・有志による集約です。作品名の信頼度は高いものの、表記の揺れがあります。本データにも「奥義抄/奥儀抄」「しのびね/しのびね物語」のような異表記の記録が残っており、本記事では代表表記を採り、注記欄に元の記録を残しました。
  • 2002〜2005年の記録は手元のデータにありません。 空白は「出題が無かった」ことを意味しません。データが欠けているだけです。同様に、1991〜2000年と、1989年以前の記録も本データにはありません(北海道大学の最も古い記録は1990年です)。
  • 本記事は設問数・配点・解答欄の行数に関する数値を一切書いていません。北海道大学はこれらを一括して公表しておらず、根拠のない数字を出さないためです。受験年の実際の形式は、その年の解答速報(河合塾・駿台・代々木ゼミナール・東進)で必ず確認してください。
  • 学部欄については、本データの faculty 欄に「文系」と記録されている行を根拠にしています。どの学部で国語が課されるかは年度により変更されうるため、必ず募集要項で確認してください。
  • 『許六離別詞』はマスタのジャンル欄・作者欄が「要調査/未詳」のままです。本記事では、出典データの注記欄にある「松尾芭蕉・俳文」という記録のみを事実として扱い、それ以上の断定を避けました。
  • ジャンル区分(A〜G)は国強塾による整理であり、学術的な定説の区分ではありません。集計の根拠が追えるよう、区分ごとに該当年度をすべて明示しています。
  • 第4節の「北大でしか確認できない10作品」は、あくまで本データ793件の範囲での話です。データに収録されていない大学・年度での出題まで否定するものではありません。実際、マスタの備考欄には『海道記』に「私大」、『たまきはる』に「難関大」という記録が残っており、収録外の出題がある可能性を示しています。「他大学では出ない」ではなく「本データでは他大学の記録が見つからない」と読んでください。
  • 第1節・第8節の他大学との比較集計は、同一年度・同一大学・同一作品の重複行を1件にまとめた693件を母数としています。重複を含む793件で数えると各大学の件数は変わります。

監修:藤原進之介(数強塾グループ代表)/執筆:国語専門塾「国強塾」by数強塾グループ


監修:藤原進之介(数強塾グループ代表)/執筆:国語専門塾「国強塾」by数強塾グループ
本記事の現代語訳・解説は国強塾のオリジナルです。学校の課題・定期テストでは、担任の先生・担当講師の指示を優先してください。

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