2024年度共通テスト国語・本試験の全4大問、全38解答欄を解説します。大学入試センター発表の正解と問題冊子を一問ずつ照合し、答えの番号だけでなく、「本文のどこを見るか」「誤答をどう消すか」まで学べる形にしました。
- 先に覚える:漢字、語句、古典文法、和歌、漢文句法など、判断の土台になる知識。
- 本文で確かめる:主語、対比、因果、指示語、資料の範囲をそろえて正答根拠を取る。
- 選択肢を削る:本文にない因果、主語の入れ替え、程度の言い過ぎを見つける。
2024年度 国語・本試験の問題PDF / 大学入試センター発表の正解PDF / 2006〜2026年度の国語PDF一覧
2024年度 共通テスト国語・本試験の全解答
「②・③」のような表記は、同じ設問内の複数の解答欄を番号順に示します。正解PDFの解答番号1〜38と、次表を機械的にも照合しています。
| 大問 | 設問 | 正答 | 中心技能 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 問1(五字) | ②・③・②・②・③ | 漢字 |
| 問2 | ⑤ | 具体例の整理 | |
| 問3 | ① | 概念の拡張 | |
| 問4 | ⑤ | 筆者の警戒 | |
| 問5 | ③ | 構成(不適当) | |
| 問6(三欄) | ①・③・② | 推敲・結論 | |
| 第2問 | 問1(三語) | ④・④・② | 語句 |
| 問2 | ① | 場面理解 | |
| 問3 | ④ | 会話の変化 | |
| 問4 | ② | 動作と心情 | |
| 問5 | ② | 人物理解 | |
| 問6 | ② | 表現(不適当) | |
| 問7(二欄) | ④・③ | 本文・資料統合 | |
| 第3問 | 問1(三語) | ③・②・⑤ | 古語 |
| 問2 | ② | 助動詞 | |
| 問3 | ④ | 和歌・掛詞 | |
| 問4(三欄) | ②・②・③ | 典拠・情景・人物 | |
| 第4問 | 問1 | ⑤ | 詩形・押韻 |
| 問2(三語) | ①・④・① | 漢文語彙 | |
| 問3 | ④ | 返り点・書き下し | |
| 問4 | ④ | 詩句の解釈 | |
| 問5 | ⑤ | 資料比較 | |
| 問6 | ② | 詩の鑑賞 |
出題構成と攻略順
2024年度は、第1問が渡辺裕の論理的文章、第2問が牧田真有子「桟橋」、第3問が『草縁集』所収「車中雪」、第4問が杜牧「華清宮」と関連資料です。各大問50点で、知識だけの問題よりも、本文と選択肢の関係を正確に言い換える問題が多く並びます。
- 設問文の「最も適当」「適当でない」を丸で囲み、判定方向を固定する。
- 傍線の直前・直後から読み、主語、因果、対比を一行でメモする。
- 選択肢は一文全体でなく、主語・原因・結果・程度の四部分に分解する。
- 資料問題では、本文の意見と資料が示す事実を別々に扱う。
- 迷った二択は「本文に書いてあるか」ではなく「設問が聞く理由まで一致するか」で決める。
第1問|論理的文章:「音楽」「芸術」は最初からあるのか
文章の核:モーツァルトの追悼ミサを例に、典礼と音楽を単純に二分できないことを示します。筆者は、美術館やコンサートホールで育った「鑑賞」のまなざしが現実空間にまで広がり、町や典礼そのものを作品のように見る状況を分析します。したがって「音楽」「芸術」を最初から存在する普遍的なものとせず、歴史的・文化的な力の中で「なる」ものとして調べるべきだ、というのが結論です。
先に覚える知識
- コンテクスト:作品が置かれた背景や文脈。元へ戻せば問題がすべて解決する、という単純な話ではありません。
- 本質化:歴史的に作られた概念を、初めから変わらず存在する本質のように扱うこと。
- 具体例の役割:例そのものを答えるのではなく、例が証明する一般論へ戻す。
- 構成問題:段落の内容だけでなく、「例示」「問題提起」「一般化」「結論」の働きを見る。
設問別解説
- 問1:②・③・②・②・③。「掲載」は掲出の「掲」、「活躍」は躍如の「躍」、「催し物」は催眠の「催」、「悪弊」は疲弊の「弊」、「紛れ」は紛糾の「紛」と同じ漢字です。音だけでなく熟語の意味まで合わせると同音異字を切れます。
- 問2:⑤。追悼ミサは典礼でありながら、音楽部分だけを鑑賞することも、映像商品を通して典礼全体を一つの作品のように鑑賞することもできます。正解はこの三層を落とさず、単純な「典礼か音楽か」に戻していません。
- 問3:①。展示物の背景まで取り込む動きは、鑑賞のまなざしを施設の外側へ広げます。現実の町や事物まで鑑賞対象になる点が中心であり、単なる地域振興や施設の境界消滅が主題ではありません。
- 問4:⑤。音楽や芸術は鑑賞の仕方と関わりながら歴史的に形作られました。これを自明視すると概念が本質化し、普遍的価値を持つかのように働く危険があるため、周到な検討が必要です。
- 問5:③(適当でないもの)。該当段落は前段までを「より一般的な事例」で検討し直して別問題へ転換するのではなく、同じ現象を美術館・博物館へ広げて一般化しています。「新たに別の問題」という説明が議論の連続性を切っています。
- 問6:①・③・②。最初は、作品を通すことで何気ない町の風景が魅力的に見えた、と具体化します。加筆文は、現実の印象で作品を捉え直す理由を説明するため(c)の後が自然です。結論は「作品が現実の見方を変え、現実も作品の印象を変える」という双方向性をまとめた②です。
二択の最終確認:「作品を元の文脈へ戻すべきだ」という一方向の説明だけでは不足です。本文は、元の文脈まで鑑賞対象へ取り込まれる逆方向の動きを重視しています。
第2問|文学的文章:牧田真有子「桟橋」
物語の核:高校生イチナは、演劇に生きる「おば」と同居しながら、その人物の内面をつかめずにいます。幼い頃のままごと、友人の家での居候、現在の会話が重なり、どこまでが演技でどこからが本人なのかという疑問が深まります。設問は、おばを断定的に説明するのではなく、イチナの見方が揺れ動く過程を追わせます。
読み方の型
- 会話の前後:声の調子が変わった理由は、その直前に何を隠し、何を打ち明けたかで決める。
- 反復動作:糸屑を拾う手の変化を、同時に聞かされた情報と一対一で対応させる。
- 人物像:「本心がない」と断定せず、語り手から「見えない」「つかめない」という認識の範囲を守る。
- 資料統合:資料の理論を本文の人物へそのまま当てはめず、共通点と隔たりを分ける。
設問別解説
- 問1:④・④・②。「うらぶれた」はみすぼらしく惨めな様子、「もっともらしい」はいかにも正しいことを言うような様子、「やにわに」は即座に、です。感情の強さを足さず、辞書的な中心義を選びます。
- 問2:①。子どもたちが役柄から外れる言動をしても、おばの自在な演技がままごとの世界を保ちます。「全員を従わせた」のではなく、崩れそうな場を演技で受け止めた点が重要です。
- 問3:④。友人は、おばとの同居を伏せていた後ろめたさから解放され、イチナと気楽に話せると考えます。「気安い声」は、秘密を話した後の緊張の緩みとして読むのが自然です。
- 問4:②。イチナは居候の事実だけでなく、自分の知らなかったおばの一面を友人から示されて揺さぶられます。その揺れが、糸屑を拾う手の停止と再開に重なっています。
- 問5:②。友人や母にもおばの内面が見えにくいなか、イチナは自分だけは見誤らずに捉えたいと願います。「演技か本心かを完全に暴く」まで強めず、人物のあり方をつかみたいという範囲にとどめます。
- 問6:②(適当でないもの)。伸びる遊具の影は、夕暮れの時間経過と場面の不穏さを印象づけます。子どもたちの意識が徐々に変化することを直接表す、という説明は本文の表現効果を限定しすぎています。
- 問7:④・③。イチナの「どこからどこまでがおばなのかわからない」は、資料のいう「なに者かとして私を枠づける」動きがおばには見えないことと対応します。Zは、一つの「枠」にとらわれない振る舞いです。資料が演技を自己実現と捉えるのに対し、イチナはおばが自分から離れて役へ明け渡すと捉え、その隔たりまで読む必要があります。
誤答の典型:小説問題では、本文が「わからない」と描く人物を、選択肢が「意図的に隠している」「本心がない」と断定することがあります。語り手が知り得る範囲を越えた断定は切ります。
第3問|古文:『草縁集』「車中雪」
文章の核:主人公は雪に誘われ、桂の別邸へ急に出かけます。道中の雪景色、源少将との贈答歌、晴れた後の月と雪の輝きが描かれ、従者たちが寒さや仕事に追われる一方、主人公は景色を見過ごせない風雅な人物として示されます。本文の全文は再掲せず、問題PDFを参照しながら解法を説明します。
先に覚える古典知識
- あからさまなり:ほんのしばらく、ちょっと。現代語の「露骨だ」とは違う。
- とみのこと:急なこと、にわかに思いついたこと。
- をかし:趣がある、好ましい。対象に応じて具体化する。
- む:文脈により推量、意志、勧誘、仮定・婉曲などを判定する。
- 掛詞:一つの音に複数の意味を重ねる。「ゆき」は「雪」と「行き」、「待つ」は「松」と結びつく。
設問別解説
- 問1:③・②・⑤。「あからさまにも」は少しの間も、「とみのこと」はにわかに思いついたこと、「かたちをかしげなる」は見た目が好ましい、です。古今異義語は現代語の連想で選ばないことが重要です。
- 問2:②。「引き返さむも」の「む」は仮定・婉曲で、「もし引き返すようなことも」と状況を思い描いています。ほかの選択肢は品詞、敬意の方向、助動詞の意味のいずれかがずれます。
- 問3:④。返歌では「ゆき」に雪と行きの意味を重ね、雪に車の跡をつけながら進んで、相手を待っていたと伝えます。松の枝に結ぶ趣向もありますが、正答の中心は和歌Yの掛詞と文脈です。
- 問4:②・②・③。空欄Iは、雪がこの世のものと思えないほど光り輝くため、そこを月の里のように感じたという説明です。IIは雲が消え、桂の里に月光が差し、雪明かりが増して一面が銀色に輝く情景。IIIは、慌ただしく雪を踏み荒らす周囲と対照的に、景色を見過ごせない主人公の風雅な心をまとめます。
主語確認:主人公、源少将、院の預かり、従者たちを別々にメモします。敬語だけで主語を当てるより、誰が歌を受け取り、誰が返事をし、誰が寒さの中で動くかという行動の連続で決める方が安定します。
第4問|漢文:杜牧「華清宮」と四つの関連資料
詩と資料の核:七言絶句「華清宮」は、長安から驪山の宮殿へ視点を近づけ、砂煙を上げる一騎と楊貴妃の笑みを描き、最後に運ばれてきた物が茘枝だったと明かします。関連資料は、玄宗が楊貴妃の好物を遠方から運ばせた逸話と、その描写が史実と一致するかという論点を提示します。全文を転載するのでなく、句法と資料比較の手順を示します。
先に覚える漢文知識
- 七言絶句:一句七字、全四句。押韻は通常、偶数句末を中心に見る。
- 百姓:ここでは民衆。現代日本語の「農民」に限定しない。
- 膾炙人口:広く人々に知れ渡り、もてはやされること。
- 因:文脈により「そこで」「そのために」。前後の出来事を因果でつなぐ。
- 不〜:否定の範囲を確認し、目的語を先に補ってから書き下す。
設問別解説
- 問1:⑤。一句七字が四句なので七言絶句です。句末の「堆」「開」「来」が同じ韻を踏みます。「笑」は物語上目立ちますが、押韻字には含めません。
- 問2:①・④・①。「百姓」は民衆、「膾炙人口」は広く知れ渡っている、「因」はそのために、です。熟語は字を一字ずつ直訳せず、文脈上のまとまりで覚えます。
- 問3:④。「人力を窮め人命を絶つも、顧みざる所有り」と読み、人の力を使い尽くし命を絶つことさえあっても、顧みない点があるという批判を表します。動詞と目的語の組を先に作ると返り点を復元できます。
- 問4:④。玄宗の命令により、楊貴妃の好物である茘枝を運ぶ早馬が砂煙を上げて疾走し、それを見た楊貴妃が笑います。誰のため、誰の命令、馬がどちらへ進むかをそろえると他の選択肢を消せます。
- 問5:⑤。資料IIIは、玄宗が驪山にいる季節と茘枝が熟す季節が合わず、詩の描写が史実に反する可能性を指摘します。資料IVは、夏の華清宮で献上された茘枝にちなみ楽曲名「茘枝香」が付いたとし、反論材料になります。
- 問6:②。遠景から門、一騎へと焦点を絞り、楊貴妃の笑みへ転じ、最後に不適切な輸送の目的物が茘枝だと明かします。逸話に史実不明の部分があっても、玄宗が為政者の道を外れ情愛に溺れたことを慨嘆する詩として読む説明が最も整合します。
資料問題の順序:まず資料IIIだけで「季節が合わない」という主張を取り、次に資料IVだけで「楽曲名が茘枝に由来する」という事実を取ります。二資料を同時に読むと、果物と楽曲名、賛成と反論が混ざりやすくなります。
得点に変える復習法
- 正解番号を写すだけで終えない。各問について、根拠の本文箇所と、誤答一つのずれを一行ずつ書きます。
- 誤答を四分類する。主語違い、因果逆転、本文にない追加、程度の言い過ぎに分けると、次の年度にも使える判断基準になります。
- 古文は単語と主語を分けて復習する。単語帳へ戻す項目と、本文中の人物関係を追う項目を混ぜません。
- 漢文は書き下しから白文へ戻す。正解を読めるだけでなく、動詞・目的語・否定語へ印を付け、返り点を再現します。
- 翌日に同じ二択を解く。答えを覚えている状態でも、根拠を十五秒で言えなければ理解は未完成です。
次に解くなら、出題形式が近い2025年度本試験の全問解説、本試験と異なる素材で確認するなら2025年度追試験の全問解説へ進んでください。
2024年度共通テスト国語についてよくある質問
2024年度の解答は全部でいくつですか?
解答番号は1〜38の38欄です。大問は現代文二題、古文一題、漢文一題の全4問で、各50点、合計200点です。
古文は現代語訳を先に読んでもよいですか?
復習時は構いませんが、先に主語と敬語、助動詞を自分で判定してから訳を確認してください。訳だけ覚えると別素材で再現できません。
漢文の資料問題はどこから読みますか?
設問が指定する資料を一つずつ読み、各資料の主張を一文にします。その後で詩と照合すると、資料同士の立場を混同しにくくなります。
選択肢を二つまで絞ってから決められません。
本文に近い表現の多さではなく、設問が尋ねる「理由」「心情」「表現効果」の中心まで一致するかを確認します。主語、因果、程度のどれか一つでもずれれば外せます。
この記事は問題文を全文掲載していますか?
いいえ。著作権に配慮し、現代文・古文・漢文の本文全文や選択肢全文は再掲していません。問題は掲載済みPDFで確認し、この記事では独自の要約と解法を提供します。
編集:国強塾編集部
更新日:2026年8月31日
