空間ベクトルの入試頻出問題6選|共面条件・平面への垂線・球面・正四面体・最短距離を実際の入試問題で解説【数学C】

空間ベクトルの入試問題は、平面の3操作(始点の統一・実数倍・2乗の展開)に、共面条件と「平面への垂直=2方向への垂直」が加わっただけです。この記事では、実際に大学入試で出題された6問——共面条件、平面への垂線、直線と球面、正四面体の垂直、2直線間の距離、対称点による最短化——を、答案の形で解説します。ベクトルの矢印は と表記します。

※ 本ページの問題は、各大学の入試で実際に出題された問題を、学習・解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したものであり、大学が公表した公式解答ではありません。

この記事で扱う6問

  • 問1(関西大学):4点が同一平面上にある条件 —— 共面条件
  • 問2(京都薬科大学):原点から平面への垂線 —— 面積公式と体積の2通り表示
  • 問3(鹿児島大学):直線と球面 —— 代入して判別式
  • 問4(大分大学):正四面体の中の垂直 —— 基準3ベクトルの内積を先に固める
  • 問5(立命館大学):2直線上の動点の距離 —— 2変数の平方完成
  • 問6(立命館大学):平面に関する対称点 —— 折り返して最短化

1.4点が同一平面上にある条件(関西大学)

【問題】(関西大学・出題)

座標空間に3点 がある。

(1) のなす角が のとき、 の値を求めよ。

(2) (1)の条件が成り立ち、かつ点 が平面 上にあるとき、 の値を求めよ。

【答え】

(1)   (2)

(1) 垂直 ⟺ 内積0(成分計算)

。なす角が だから

(2) 共面条件は「平面内の2方向で書ける」こと

【なぜこうするか】 が平面 上にある(4点が同一平面上)⟺ が平面内の2方向 の組み合わせで書ける。成分ごとに比較すれば、未知数 の3つに対して式が3本でちょうど解けます。

のとき を成分で書くと

第1式から 。第2式に代入して 。第3式から

【定石】共面条件は 。始点をそろえた3成分の連立で機械的に解けます。別表現()との言い換えも、どちらからでも書けるようにしておくと出題形式を選びません。

2.原点から平面への垂線の長さ(京都薬科大学)

【問題】(京都薬科大学・出題)

座標空間に3点 がある。

(1) 三角形 の面積を求めよ。

(2) 原点 から平面 へ下ろした垂線の足を として、 の長さを求めよ。

【答え】

(1)   (2)

(1) 面積のベクトル公式

より

(2) 体積を2通りに表す ―― 等積変形の空間版

【なぜこうするか】四面体 の体積は、①底面を座標平面上の直角三角形 と見る、②底面を ・高さを と見る、の2通りで書けます。①は座標からすぐ計算でき、②に(1)の面積を入れれば、方程式1本で が出ます。垂線の足 の座標を求める必要はありません。

①底面 平面上)、高さは 座標

②底面 ・高さ

検算:平面 の方程式は 、整理して 。原点からの距離は 。一致します。

【定石】「点から平面への距離」は、体積の2通り表示が最速のことが多い(座標平面に張り付いた面が1つあれば①側は暗算です)。垂線の足の座標まで要求されたときだけ、 の連立(問6の方法)に切り替えます。

3.直線と球面(鹿児島大学)

【問題】(鹿児島大学・出題)

空間上に、点 、点 、球 がある。ただし は実数とする。原点を とする。

(1) 直線 上の点 を、実数 を用いて と表すとき、点 の座標を を用いて表せ。

(2) 直線 が球 と共有点をもつような の値の範囲を求めよ。

(3) 球 の中心を とする。 が(2)の範囲を動くとき、三角形 の面積 の最大値と最小値を求めよ。

【答え】

(1)   (2)   (3) 最大値 )、最小値

(1) 直線のパラメータ表示

だから

(2) 球の式に代入して、tの実数解条件へ

【なぜこうするか】「直線と球が共有点をもつ」⟺「 の座標を球の式に代入した の2次方程式が実数解をもつ」。空間では図が描きにくいぶん、共有点の存在を代数(判別式)に翻訳するのが確実です。

代入して

なので確かに2次方程式。実数解をもつ条件は、判別式を として

(3) 面積を b の式にして、根号の中の2次関数を調べる

より

根号の中 で調べます。軸 は範囲内なので

最小: より

最大:軸から遠い端 より

【定石】直線と球は「パラメータ表示→代入→判別式」。面積の最大・最小は、面積公式の根号の中だけを2次関数として処理する( 自体でなく や中身で考える)と計算が軽くなります。端と頂点の比較も忘れずに。

4.正四面体の中の垂直(大分大学)

【問題】(大分大学・出題)

1辺の長さが1の正四面体 において、辺 の中点をそれぞれ とする。線分 の中点をそれぞれ とし、三角形 の重心を とする。また とおく。

(1) を用いて表し、点 が一致することを示せ。

(2) 3点 が同一直線上にあることを示せ。また を求めよ。

(3) を示せ。

【答え】

(1)   (2) より同一直線上、  (3) 証明(下記)

まず基準3ベクトルの内積を固める

【なぜこうするか】正四面体では 、どの2辺のなす角も なので

この6つの値(大きさ3つ+内積3つ)を最初に書き出しておけば、以後のすべての計算が代入だけになります。基準ベクトルの内積表を先に作るのが空間ベクトルの開幕の一手です。

(1) 中点の中点を計算する

の中点だから

同様に から

始点が同じで だから は一致する。(証明終)

(2) 重心と比べる

だから

よって3点 は同一直線上にある。また なので

(3) 内積を計算して0を示す

だから、内積表の値を代入して

なので 。(証明終)

この )は正四面体の重心(4頂点の平均の点)で、向かい合う辺の中点どうしを結ぶ3本の線分がすべてこの1点で交わる、という美しい構造の一部です。(3)は「頂点から底面の重心への線分は、底面の辺と垂直」という、正四面体の高さの議論(外接球や体積の問題)の土台になります。

【定石】正四面体・立方体などの対称な立体は、基準ベクトルの内積表を最初に固める。あとの垂直の証明・長さの計算はすべて分配法則の展開に帰着します。

5.2直線上の動点の距離の最小値(立命館大学)

【問題】(立命館大学・出題)

座標の定められた空間において、原点 を通りベクトル に平行な直線を とし、点 を通りベクトル に平行な直線を とする。点 を直線 上に、点 を直線 上にとる。 の最小値を求めよ。

【答え】

2変数の平方完成 ―― 1文字ずつ順番に

【なぜこうするか】 をそれぞれパラメータ で表すと、 の2次式になります。 に関係式はない(独立に動く)ので、まず について平方完成し、残った の式をさらに平方完成すれば最小値が出ます。

とおくと

ここで とおくと 。等号は のとき、すなわち

これを解くと (実際に解が存在します)。よって

図形的な意味: はともに 成分が0なので、 は平面 は平面 の中の直線です。真上から見ると2直線は平行でないので必ず交わり、その交わって見える真下・真上の2点が最短ペア——だから最小値は平面間の距離 ちょうどになります。計算結果と図形的直観が一致しました。

【定石】2直線上の動点の距離は「パラメータ2つで を作り、1文字ずつ平方完成」。一般の(ねじれの位置の)2直線では、最小を与える 両方の直線と垂直になるという性質( の連立)でも解けます。検算に使い分けてください。

6.平面に関する対称点と最短経路(立命館大学)

【問題】(立命館大学・出題)

四面体 があり、 である。 とするとき、次の問いに答えよ。

(1) 3つの内積 の値をそれぞれ求めよ。

(2) 平面 上の点 について、 と平面 が垂直であるとき、 を用いて表せ。

(3) 辺 の中点を とする。平面 上に点 が最小となるように定めるとき、 を用いて表せ。

【答え】

(1)   (2)   (3)

(1) 3辺の長さから内積 ―— 余弦定理の言い換え

【なぜこうするか】2つのベクトルの内積は、3辺の長さが分かっている三角形なら の展開を逆に使った式)で出ます。余弦定理を経由して を求めるのと同じことですが、この形なら1行です。

(2) 平面への垂直は「面内の2方向と垂直」

【なぜこうするか】 は平面 上なので (共面条件)。(平面 )は、面内の平行でない2方向 との垂直2本 に言い換えられます。未知数2つ・式2本でちょうど解けます。

。(1)の内積表()を使って

第1式から 。第2式に代入して 、両辺4倍で 。よって

(3) 折り返して一直線 ―― 平面の反対側に移す

【なぜこうするか】 は平面 同じ側にあります((平面上)と (平面外)の中点なので、 側に浮いています)。同じ側どうしの は、 を平面に関して対称な点 に折り返すと なので に変わり、これは線分 が平面を突き抜けるときに最小(一直線が最短)になります。川で水を汲む最短経路(平面版)の、そのまま空間版です。

手順①:M の「高さ」を測る。(2)より、 から平面への垂直方向は と書けます)。 を代入すると

つまり の平面上の足(正射影)は で、高さは の高さのちょうど半分(同じ側)です。

手順②:対称点 をとって、線分 と平面の交点を求める。。線分 上の点を とおき、 は1次独立なので、 成分(平面 の外の成分)が0になる を探します。 を代入して整理すると

の係数だけを取り出すと

となるので、、すなわち 。実際に展開を書くと、 なので

であり、 を代入して

検算: なので交点は線分 の内部にあり、確かに平面を横切っています。また の高さ: の高さ なので、内分比 (高さの比 で平面に達する)とも整合します。

【定石】「和の最小」で2点が面(線)の同じ側にあれば、片方を折り返して一直線。空間版では、(2)で求めた垂線ベクトル がそのまま折り返しの道具になります。(2)→(3)の誘導は「垂線を先に作らせて、対称点に使わせる」設計です。

7.この記事で扱った「型」のまとめ

空間ベクトル・6つの型この記事で扱った入試問題から取り出した型です1共面条件2点と平面の距離3直線と球4立体内の垂直52直線間の距離6最短経路番号は下の一覧の並び順です。それぞれの要点は下の一覧にありますこの記事で扱った入試問題から取り出したもので、単元のすべての型ではありません

この記事で扱った型は、共面条件、点と平面の距離、直線と球、立体内の垂直、2直線間の距離、最短経路の6個です。それぞれの要点は下の一覧にまとめてあります。この記事で扱った入試問題から取り出したもので、単元のすべての型ではありません。

空間ベクトル・6つの型

  • 共面条件。成分の連立で機械的に。
  • 点と平面の距離:体積の2通り表示が最速。
  • 直線と球:パラメータ表示→代入→判別式。
  • 立体内の垂直:基準ベクトルの内積表を先に固め、内積0を計算で示す。
  • 2直線間の距離 を2変数で平方完成(または両直線との垂直で連立)。
  • 最短経路:同じ側なら対称点に折り返して一直線。垂線ベクトルが折り返しの道具。

8.よくある質問

Q1.空間ベクトルは平面より何が難しいのですか?

操作自体は平面と同じです。増えるのは「基準ベクトルが3本になる(1次独立の断りも3本ぶん)」ことと、「平面への垂直=面内の2方向への垂直」という言い換えの2点だけです。この2点を型として持てば、平面ベクトルの力がそのまま通用します。

Q2.垂線の足を求める方法が複数あって混乱します。

目的で選びます。長さだけなら体積の2通り表示(この記事の問2)か点と平面の距離の公式、足の位置ベクトルまで必要なら共面条件+垂直2本の連立(問6の(2))です。両方できると、片方をもう片方の検算に使えます。

Q3.内積表はどの問題でも作るべきですか?

基準ベクトル()で押し切る問題では必須です。大きさ3つと内積3つの計6個の値が揃った時点で、あとの計算はすべて展開と代入になります。逆に座標が与えられている問題(この記事の問1・2・3・5)では、成分計算の方が速いです。

Q4.最短経路の折り返しは、同じ側かどうかをどう確認しますか?

平面からの「高さ」(垂線方向の成分)の符号を比べます。この記事の問6では、MはB(平面上)とC(平面外)の中点なので、Cと同じ側で高さが半分、と符号ごと分かりました。反対側にあるなら折り返しは不要で、そのまま結んだ線分が最短です。

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この記事を書いた人

藤原 進之介(ふじわら しんのすけ)/オンライン数学専門塾「数強塾」代表

中高一貫校生を中心に、累計3,500名以上を指導。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。自身も高校時代は数学が苦手で2浪を経験し、「なぜそうするのか」から積み上げ直した経験を指導の原点にしている。数強塾グループでは学生アルバイトを採用せず、プロ講師のみで完全1対1のオンライン指導を行っている。

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