3次式を1次式で割る——多項式の割り算を、毎回律儀に筆算していませんか。組立除法を使えば、同じ計算が数字を3回足すだけで終わります。因数定理・高次方程式・微分の増減表・数学IIIの部分分数分解まで、使う場面は数え切れません。この記事では、手順・仕組み・つまずきやすい「 で割る場合」までを整理します。
組立除法とは
多項式 を 1次式 で割ったときの商と余りを、係数だけを並べて求める方法です。
余りが定数になるのは、割る式が1次だからです(余りの次数は割る式より小さい)。この は因数定理そのもの、つまり です。組立除法は「商」と「」を同時に出す道具だと理解しておくと使い所が見えます。
手順:3ステップだけ
を で割ってみます。
① 係数を並べる。抜けている次数があれば必ず を書く(ここが最頻出のミス)。左端に を置きます。
| 定数 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 係数 | 2 | 4 | ||
| ↓ | 4 | 2 | 12 | |
| 和 | 2 | 1 | 6 | 7 |
② 最初の係数をそのまま下ろす(2)。③ 下ろした数に を掛けて次の列に足す——これを繰り返すだけです。、。、。、。
得られた並び 2, 1, 6 が商の係数、最後の 7 が余りです。
展開して確かめると 。一致します。
なぜこれで正しいのか
「なぜか分からないが手が動く」状態は、試験本番でいちばん崩れます。仕組みは単純です。商を とおいて を展開し、係数を比較すると
( は の係数)。「ひとつ前の結果に を掛けて足す」という漸化式そのものが現れています。組立除法は、この式を表の形で書き下しただけなのです。
つまずきポイント: で割るとき
例題 を で割れ。
組立除法は の形にしか使えません。そこで と見て、まず で割ります。 の項が無いので係数は 2, 3, 0, です。
| 定数 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 係数 | 2 | 3 | 0 | |
| ↓ | 1 | 2 | 1 | |
| 和 | 2 | 4 | 2 | 0 |
つまり 。ここで止めると誤りです。 で割った商にするには、 を と直し、その を商側に渡します。
つまり で割った商は 、余りは 0。「出てきた商を、割る式の最高次の係数で割る」と覚えてください。
よくある3つのミス
① 欠けている次数に 0 を書き忘れる( を 2,3, の3つで処理してしまう)。
② で割るのに としてしまう。 なので です。
③ 商の次数を間違える。3次を1次で割れば商は2次。並んだ数の個数から次数を逆算する癖をつけましょう。
組立除法が効く場面
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| 高次方程式を解く | 因数定理で となる を見つけ、組立除法で次数を下げる |
| 剰余の定理の確認 | 最後に出る数がそのまま 。値の代入より速く、検算にもなる |
| 数学IIIの部分分数分解 | 分子の次数が分母以上のとき、まず割って「多項式+真分数」に直す |
| グラフの平行移動 | 組立除法を繰り返すと のべきで展開できる(テイラー展開の初歩) |
中高一貫校生はいつ習得すべきか
数学IIの「式と証明」「複素数と方程式」に入る時期、多くの中高一貫校では高1の後半です。高次方程式の単元に入った初日に組立除法を導入しておくと、その後の演習速度がまるごと変わります。教科書では発展扱い・コラム扱いのことも多いので、学校で扱わなかった生徒ほど差がつく単元です。
この記事のまとめ
- 組立除法は で割るときの筆算を、係数だけで行う方法。
- 手順は「下ろす → を掛けて足す」の繰り返し。最後の数が余り=。
- 欠けた次数の 0、 なら ——この2つが最頻出ミス。
- で割るときは で計算し、商を で割る。
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