杏林大学 医学部 数学 全問解説|60分・大問4題の解き方と時間配分

医学部・大学別の全問解説
杏林大学 医学部 数学|大問4題を全問解説
集合と条件付き確率、分数関数の微積分融合、空間の操作がつくる軌跡、そして関数方程式。60分で4題という配分の厳しさを、「どこを捨て、どこで取るか」まで含めて解説します。
医学部〔医学科〕マーク式・大問4題試験時間60分数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B
この記事について: 解答・解説はすべて数強塾 藤原進之介による書き下ろしのオリジナルです。全設問の数値結果はPythonによる独立検証(集合の全列挙、60通りの順列の総当たり、数値微分・数値積分、領域境界の決定論的走査、関数方程式の候補全数チェック)を通しています。

杏林大学 医学部 数学の出題構成

形式 マーク式(空欄補充+解答群からの選択)
試験時間 60分
大問数 4題
出題範囲 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(「確率分布と統計的な推測」を除く)
今回の分野 集合(包除原理)/条件付き確率/分数関数の増減・凹凸・接線・面積(数Ⅲ)/空間の操作と軌跡・数列/関数方程式・関数の極限

60分で4題。これがこの試験の最大の特徴であり、最大の敵です。1題あたり15分という配分は、数Ⅲの微積分が本格的に出る試験としては相当に短い。しかも第2問は増減・凹凸・接線・面積・接線の本数という5つの作業を1題に詰め込んできます。全問を丁寧に解こうとすると、まず間に合いません。

したがってこの試験は、解く力と同じくらい「捨てる判断」が点数を決めます。以下では各大問の解説に加えて、どこが時間を食う地雷で、どこが数十秒で拾える得点源なのかも一緒に示します。

第1問集合(包除原理)/条件付き確率

倍数を数える前半、対称性で切り抜ける後半

ねらい: (1)は包除原理とド・モルガンの法則の運用。(2)は「3人中2人が賞品」という対称性に気づけるか。

  1. は100未満の正の整数 を全体集合、集合 の要素の個数を とする。 の部分集合
    は3の倍数 は4の倍数 は5の倍数 に対し、
    をそれぞれ求めよ。
  2. 1から5までの5枚の番号札が入った袋から、X、Y、Zの3人がこの順番で番号札を1枚取り出す。取り出された番号札は袋に戻さないものとし、最も小さい数の番号札と2番目に小さい数の番号札を引いた2人が賞品を受け取る。

    ① Xが3の番号札を引く場合の数と、Xが3の番号札を引いて賞品を受け取る場合の数を求めよ。

    ② Xが3以下の番号札を引いて賞品を受け取る確率を求めよ。

    ③ Xが2以上の番号札を引いてZが賞品を受け取る確率を求めよ。

    ④ Xの引いた番号札が1でないとき、Zが賞品を受け取る確率を求めよ。

解答

(1)

(2) ① 12通り・10通り ②  ③  ④

解き方

(1) 「100未満」を99と読み替えるところから

なので 。倍数の個数は割り算の商です。

は「3の倍数かつ4の倍数」=12の倍数なので 。ここで と最小公倍数が一致するのは3と4が互いに素だからで、たとえば「4の倍数かつ6の倍数」なら24ではなく12です。この確認を飛ばすと後半で崩れます。

包除原理から

は60の倍数で、99以下には の1個だけ。よって

最後の は、 から、そのうち5の倍数であるものを取り除く」と読むのが最短です。

は15の倍数で 個、 は20の倍数で 個、 は1個。したがって 個で

(2)① 場合の数は「順列 通り」の世界で数える

3人が順に引くので、標本空間は5枚から3枚を並べる 通り。以下すべてこの60通りの上で数えます。

Xが3を引く場合の数は、残り4枚からY、Zが引くので 通り。

そのうちXが賞品を受け取る場合。Xが賞品をもらえないのは「Xの札が3人の中で最大」のとき、つまりY、Zがどちらも3より小さい札、すなわちを引くときだけです。これは 通り。よって

「もらえない場合を引く」のがこの型の常道です。もらえる場合を正面から数えると場合分けが増えます。

(2)② Xが1、2を引いたときは考えなくてよい

Xが1を引けばXは必ず最小、Xが2を引いても「Xより小さい札が2枚ある」ことはあり得ないので、どちらもXは必ず賞品を受け取ります。それぞれ 通り。Xが3のときは①より10通り。

(2)③ ここで対称性を使うと一気に短くなる

3人のうち2人が賞品を受け取るので、誰であっても賞品を受け取る確率は です。よってZが賞品を受け取る場合の数は 通り。

ここから「Xが1を引いた」場合を除きます。Xが1を引くとXは最小で確定なので、Zが賞品を受け取るのはZがYより小さい札を引くとき。残り4枚から2枚を並べる12通りのうち半分の6通りです。

②と③が同じ になるのは偶然です(数え上げの中身はまったく別物)。同じ値が出たときに「写し間違えた」と疑って時間を失わないこと。

(2)④ ③の分子をそのまま使い回す

条件付き確率の定義に戻ります。

分子の場合の数は③で数えた34通り。分母は、Xが1以外の4通り、残りが 通りで 通り。

③を解いた時点で④の分子は手に入っている——分母を数え直すだけで終わります。誘導はこう使います。

この大問の急所

(2)全体を通して効くのは「3人中2人が賞品=各人が受け取る確率は 」という対称性です。これに気づけば③は暗算に近い。気づかずに正面から数えると、Zが最大でない場合の分類で確実に3分は溶けます。60分で4題という試験では、この3分が第4問を落とすかどうかを分けます。

典型的な失点と原因

「100未満」を100と数える。正しくは です。もっとも、この設問に限れば で最後まで通しても4つの答えはすべて一致します(100は4の倍数かつ5の倍数なので、 が同時に1増える)。本当に危ないのは だけ100にして、倍数の個数は99基準で数える「混在」で、このとき と外します。上限を決めたら、以降の商もすべて同じ上限で数えること。
組合せと順列を混ぜる。「Xが引く」と人を指定している以上、順序のある で統一するのが安全です。途中で に乗り換えると、④の条件付き確率で分母が壊れます。
④で分母を60のままにする。条件付き確率は条件が成り立つ場合だけを新しい全体集合にするもの。ここでは48です。

第2問数学Ⅲ|分数関数の微積分融合

1題に5つの作業。ここが60分の最大の関門

ねらい: 増減・凹凸・接線・面積・接線の本数。数Ⅲの標準作業を止まらずに流せるかどうか。

実数を定義域とする関数 に対し、 のグラフを曲線 座標が である 上の点を とする。

  1. の極大値と、そのときの を求めよ。また の変曲点の個数と、そのうち 座標が最大のものの座標を求めよ。
  2. における の接線 の方程式、 とは異なる交点、および で囲まれた図形の面積を求めよ。
  3. を通る傾き の直線が、 と複数の共有点を持つような の範囲を求めよ。

解答

(1) で極大値 。変曲点は3個で、 座標最大のものは

(2) 、交点 、面積

(3)

解き方

(1) 商の微分を2回。分母は展開しない

分母は正なので符号は分子だけで決まります。 より で、 が極大。

2階微分は、共通因数 で約分してから展開するのが事故を防ぐコツです。


となるのは 3個。いずれも前後で符号が変わるので、3つとも変曲点です。 座標が最大のものは で、このとき だから

(2) 3次方程式は「重解を知っている」から因数分解できる

なので

交点を求めます。 の分母を払って

ここで接点は重解なので を因数に持つはずです。実際

よって とは異なる交点の 座標は より

面積。放物線ではないので6分の1公式は使えません。素直に積分します。区間 では直線が上です。

第2項は次のように見て、 の形に持ち込みます



最後は 対数はバラさず、最後にまとめて1つにするのが計算量を減らすコツです。

(3) 「複数の共有点」の境目は、必ず接するとき

を通る直線を回転させていくと、共有点が「複数」から「 だけの1個」に切り替わる境目は、必ず接するときです。だから境目の は「 を通る の接線の傾き」になります。

上の点 における接線が を通る条件を立てます。整理すると

自身での接線(=(2)の )。残りは より

この での傾きを計算します。 を使うと分母がきれいに片づきます。

よって求める範囲は

この2つの傾きの間(両端を含む)では共有点が2個または3個、外では だけの1個になります。内訳は、両端の では と接点の2個、 は(2)の接線なので の2個、 を通る水平線)では方程式が2次に落ちて の2個、それ以外の内部では3個です。どれも「複数」なので答えの範囲はこれで正しいのですが、「間なら必ず3個」ではないことに注意してください。

60分のうち、どこを削るか

この大問は(1)と(2)で確実に取り、(3)は状況次第という配分が現実的です。(3)は4次方程式を立てて因数分解し、さらに による約分まで要求されるので、素直にやると10分近く飛びます。(1)(2)を8分で抜けたなら(3)へ、12分かかったなら(3)を捨てて第4問へ移る——この判断を試験前に決めておくことが、この試験では実力そのものより効きます。

数Ⅲの微積分の基礎固めは 数学Ⅲ辞典 をどうぞ。

典型的な失点と原因

変曲点を の2個と答える。 の因数 を見落とすと、 の変曲点が消えます。約分した後の分子は必ず因数分解の形で眺めること。
面積で6分の1公式を使おうとする。公式が使えるのは被積分関数が2次式になるとき——放物線と直線、または放物線と放物線の場合です。ここは分数関数なので が出るのが正解の姿。
(2)の3次方程式を解の公式や因数定理の総当たりで解く。接点が重解だと知っていれば で割るだけです。「接する=重解」は数Ⅲでも同じ——この一手で3分は変わります。

第3問軌跡と方程式|空間の操作・数列・領域

操作Mの正体は、たった1本の式

ねらい: 長い設定文を「写像の式」に翻訳できるか。翻訳できれば、あとは数列と2次関数の話に落ちます。

座標空間において、点 とし、 平面上の点 から点 を定める下記の操作を とする。

操作 軸の正の方向に2だけ平行移動した後、 軸のまわりに1回転させて得られる軌跡と 平面との交点のうち、 座標が最も大きい点を と定める。

  1. に操作 を連続して 回施して得られる点を 、その 座標を とする。 の関係、および の式で表せ。
  2. を満たす実数 に対し、線分 に内分する点を とする。 に操作 を1回施して得られる点 が乗る曲線の方程式を求めよ。
  3. 線分 上の点に対し、操作 を1回施して得られる点の集合は線分となる。その長さを求めよ。
  4. 三角形 の周および内部の点に対し、操作 を1回施して得られる点の集合 の概形を答えよ。

解答

(1)

(2) (ただし ) (3)

(4) の範囲で、下側を では双曲線 では直線 、上側を で挟んだ領域(左端 で1点に尖る)

解き方

まず、操作Mを式に翻訳する。これで勝負は決まる

平面上の点 に操作 を施すと何が起こるかを、1回だけ丁寧に追います。

  1. 軸方向に2だけ平行移動 →
  2. 軸のまわりに1回転 → 平面 上で、中心 半径 の円を描く。半径は「その点と 軸との距離」です。
  3. 平面()との交点は の2点。
  4. 座標が大きい方を取る。

つまり操作 の正体は、たったこれだけです。

座標は動かず、 座標だけが に置き換わる。ここまで来れば、以降はすべて2次元の計算です。設定文が長いのは、この1行にたどり着けるかを試しているからにほかなりません。

(1) 2乗すると等差数列になる

なので 。一般に

根号がついた漸化式を見たら、まず2乗する。すると は初項 、公差4の等差数列だと分かります。

検算:。実際 で一致します。

(2) 媒介変数 を消すだけ

に内分する点は

操作 を施すと

から を消します。 で、 より だから

平方完成してから代入するのがポイントで、展開したまま代入すると項が増えて事故ります。

(3) 動くのは だけ。最大と最小を見るだけで終わる

線分 を結ぶので、。操作 の像は

の増加関数なので、 で最小 で最大 。よって像は 上の線分で、長さは

もとの線分の長さは2なのに、像は まで縮みます。操作 軸方向に強く圧縮する写像だと分かる場面です。

(4) を固定して、 の動く範囲を出す

三角形 を頂点とし、辺 が直線 、辺 、辺 。周と内部は

操作 を動かさないので、 を固定したまま の範囲だけを追えばよい。像の 座標は で、これは が小さいほど小さくなります。

  • のとき: の動く範囲 を含むので、最小値は 。最大値は のときで
  • のとき: なので には届かない。 の最小は で、最小値は 。最大値はやはり

したがって は次の領域です。

1本の式にまとめるなら、下端は「 の最小値」が であることから

と書けます。 がつねに成り立つので、下端を と書いてしまうと全域が双曲線になり、右半分を失います——ここは素直に場合分けするのが安全です。

x y -1 1 2 √5 尖る y²-x²=4 y=2

領域 の概形。縦軸は から までを拡大した破断軸で、図の横線は ではありません。左半分の下辺は双曲線 、右半分は直線 、上辺は 。左端 で1点に尖ります。

左端で尖るのは、 では三角形が点 1つしか含まないため、像も の1点だけになるからです。下辺の切り替わりが で起こるのも、そこが「 に届くかどうか」の境目だから。理由が言えれば、選択肢から選ぶのは一瞬です。

この大問は、じつは一番の得点源

設定文が長く空間図形も絡むので身構えますが、 の1行に落ちた瞬間、残りは数Bの等差数列と数Ⅱの軌跡です。数Ⅲの計算は一切出てきません。60分の配分では、第2問(3)より先にこちらを取りに行くべき——分量の割に計算が軽く、(1)〜(3)は合計7〜8分で拾えます。

典型的な失点と原因

回転の半径を と誤る。回転させるのは平行移動した後の点なので、 軸との距離は です。ここを にすると全問が崩れます。
座標が最も大きい点」を読み飛ばす。交点は2つあり、負の方を取ると符号が振動して が求まりません。操作の定義文にある選択の条件は、必ず式に反映させること。
(4)で を分けない。「下辺はずっと 」としてしまう誤答が最頻です。三角形の斜辺が である以上、左半分は に届かない——ここに気づけるかどうかがこの設問の全てです。

第4問数学Ⅲ|関数方程式・導関数・関数の極限

「代入して試す」が正攻法になる珍しい問題

ねらい: 抽象的な関数等式に、具体的な関数を当てて確かめる態度。証明ではなく検証の速度が問われます。

を正の実数、 を恒等的に0ではない微分可能な連続関数とし、 はその導関数を表すものとする。

  1. 下記の6つの命題が任意の正の実数 に対して真となるように、それぞれの を解答群から選べ。

     ②  ③

     ⑤  ⑥

    解答群: ⑵  ⑶  ⑷  ⑸  ⑹  ⑺  ⑻  ⑼
  2. 6つの命題のうち、解答群の関数に代えて は0でない定数)とすると真となる命題は何個あるか。また、(1)で選んだ関数に対し、逆も真となる命題は何個あるか。
  3. を満たす に対する 、および を満たす に対する を求めよ。

解答

(1) ①⑻  ②⑸  ③⑺  ④⑵  ⑤⑼  ⑥⑻

(2) 定数で真になるもの… 3個(①③⑤)/逆も真… 1個(④)

(3)

解き方

(1) 形を見れば、候補は数秒で絞れる

9つの候補を6つの式に総当たりすると54回の検証になりますが、式の形が関数の種類を指定しているので実際はほぼ一意です。

  • 「和を積に変える」のは指数関数だけ。候補は
  • 「積を和に変える」のは対数関数だけ。候補は
  • なら

    2倍角の公式そのもの →
  • なら
  • なら

    。( と見るのが速い。)
  • なら で確かに0 →

迷ったら を代入する——問題のヒントもそう言っています。たとえば①に を入れると左辺 、右辺 で即座に消えます。

(2) 前半:定数関数を代入して、 の解を持つものを数える

なら です。6つの命題はそれぞれ次の条件になります。


の解を持つのは①③⑤の3個

(2) 後半:逆が真になるのはどれか

「逆」とは「その関数等式を満たすなら、必ず(1)で選んだ関数である」という主張です。反例が1つでもあれば偽なので、反例探しに徹します。

  • ①:(定数)も満たすので、 に限らない → 偽。
  • ②: も満たす(係数6でなくてよい) → 偽。
  • ③: が満たす → 偽。
  • ④:これだけが真。 とおくと条件は 、すなわち の値域上のすべての 。ここから が導かれます。
  • ⑤: が満たす → 偽。
  • ⑥: も満たす(定数倍が自由) → 偽。

よって1個。前半で見つけた「定数関数も満たす」という事実が、そのまま後半の反例になっているのが上手い作りです。

(3) 関数等式そのものを変形する

前半。 で、 は恒等的に0ではないので となる が存在します。この に対して

は連続だから 。したがって

後半。 と書き直します。 のとき で、連続性から 。よって

いずれも「具体的な関数を代入して極限を計算する」のではなく、関数等式のまま処理するのが要点です。もちろん と確かめても同じ値になります。

この大問の位置づけ

(1)は知識ではなく検証の速さを問う設問で、慣れていれば3分で終わります。逆に(2)後半の「逆が真か」は、反例を思いつくかどうかの一発勝負。(1)と(2)前半だけ取って(2)後半を捨てるのも十分に合理的な判断です。60分という制約の下では、「全部解く」より「取れるところを全部取る」のほうが得点は伸びます。

私立医学部の出題傾向を横断的に見たい方は 私立医学部数学 予想問題27題 もどうぞ。

典型的な失点と原因

①に を、③に を入れてしまう。形の対応(和→積は指数、積→和は対数、2乗の差は2倍角かハイパボリック)を先に決めずに総当たりすると、時間だけ溶けて選択も外します。
(2)後半で「逆も真」を感覚で判断する。ここは反例を1つ挙げられるかだけの問題です。①③⑤は「定数関数1」、⑥は「定数倍」、②は「係数」——反例の作り方に型があります。
(3)で具体的な関数に頼る。答えは合いますが、 は「その関数等式を満たす関数一般」なので、論理的には関数等式のまま処理するのが正しい道筋です。

全4題を貫く「型」のまとめ

  • 第1問|対称性を先に探す。「3人中2人が賞品」=各人 。数え上げに入る前に、数えなくて済む構造がないかを見る。
  • 第2問|接する=重解。3次方程式は で割り、4次方程式も同じ発想で崩す。面積は6分の1公式ではなく の形へ。
  • 第3問|長い設定文は1行の式に翻訳する。。翻訳が済めば数B・数Ⅱの問題に化ける。
  • 第4問|抽象式には具体を代入して試す。和→積なら指数、積→和なら対数。「逆が真か」は反例探しに徹する。

4題に共通するのは、計算に入る前に「この問題の言語は何か」を決める作業です。第1問なら対称性、第3問なら写像、第4問なら代入検証。杏林大学の医学部数学は、この見極めができる受験生とできない受験生を、60分という時間制限を使ってはっきり分けにきています。

60分をどう配るか

  1. 第1問を12分。(1)の集合は3分で確実に。(2)は対称性に気づけば5分、気づかなくても10分。ここは全問正解を狙う場所です。
  2. 第3問を10分で先に取りに行く。設定文が長いので後回しにしたくなりますが、翻訳さえ済めば計算は最も軽い。(1)〜(3)だけでも大きな得点になります。(4)の選択肢問題は、下辺が で切り替わる理由が言えれば即答です。
  3. 第2問に20分。(1)(2)を確実に。(3)は残り時間と相談です。ここが唯一「時間を食ってよい」ブロック。
  4. 第4問に15分、残り3分で見直し。(1)は3分、(2)前半は2分。(2)後半と(3)は取れたら儲けものと考える。

この順序の要点は、第2問(重い)を第3問(軽い)より後ろに置くことです。問題番号の順に解くと、第2問で時間を使い切って第3問の「翻訳すれば軽い」という利益を丸ごと逃します。60分4題の試験では、解く順序そのものが得点戦略です。

解説:藤原進之介(数強塾 塾長)
オンライン数学塾「数強塾」を主宰。大学入試数学の全分野について、公式の暗記ではなく「なぜその一手を選ぶのか」という判断の言語化を軸に指導しています。本記事の解説も、答えを出すだけでなく、試験場でその手が選べるようになることを目標に書きました。

本記事の解答・解説はすべて数強塾(藤原進之介)による書き下ろしのオリジナルであり、市販の解答例を引き写したものではありません。問題は出題内容を数強塾が再構成して掲載しています。全設問の数値結果は独立した計算プログラムで検証済みです。試験時間・出題範囲・配点などの実施要項は年度により変更されることがありますので、受験の際は必ず杏林大学の公式発表をご確認ください。

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