2024年(令和6年度)大学入学共通テスト「数学Ⅰ・数学A」本試験を、必答2問と選択3問のすべてについて解説します。最終答案だけでなく、式の立て方、考え方を選ぶ理由、検算、間違えやすい点まで一続きで確認できます。
第1問・第2問は必答です。第3問〜第5問は3問から2問を選びますが、この記事では学習用に3問とも扱います。問題の条件、図表から読み取る数値、選択肢を本文中に記載しているため、このページだけで問題と解説を順に確認できます。
第1問(30点・必答)数と式/図形と計量
〔1〕√13を小数第2位まで絞る
7²=49<52<64=8² より、7<2√13<8 です。したがって n=7、a=2√13−7 となります。
b=1/a の分母を有理化すると、
b=(2√13+7)/(52−49)=(7+2√13)/3
です。また 3b=7+2√13 なので、差の平方を計算すれば
a²−9b²=(2√13−7)²−(7+2√13)²=−56√13
を得ます。
さらに 14/3<b<15/3 から 3/15<a<3/14。ここへ a=2√13−7 を戻すと、
3.6<√13<3.607142…
となるため、整数部分3、小数第1位6、小数第2位0が確定します。
〔2〕勾配7%と電柱の影
まず n°<∠DCP<(n+1)° を満たす1以上9以下の整数nを求め、以後は傾斜角をn°とする。ある日は BC=7m、CD=4m、∠APB=45° だった。DからABに下ろした垂線の足をEとしてBE、DE、電柱の高さABを求める。ABの選択肢は10.4、10.7、11.0、11.3、11.6、11.9mである。別の日に太陽高度が42°となったとき、坂上の影CDと前回からの増加量を求める。
道路標識の7%は「水平100mにつき7m上がる」という意味なので、坂の角を θ とすれば tanθ=7/100=0.07 です。表の tan4°=0.0699、tan5°=0.0875 から 4°<θ<5°。以後は問題の指示どおり θ=4° とします。
最初の日は BC=7、CD=4、∠APB=45°。CDの鉛直成分は BE=4sin4°、水平成分を加えた距離は DE=7+4cos4° です。太陽高度45°では水平距離と鉛直距離が等しいため、
AB=4sin4°+7+4cos4°≈11.27m
よって小数第2位を四捨五入した選択肢は11.3m(ツ=3)です。
別の日は太陽高度42°です。坂上の影を x=CD とおくと、鉛直方向と水平方向の関係から
AB−x sin4°=(7+x cos4°)tan42°
したがって、
CD=(AB−7tan42°)/(sin4°+cos4°tan42°)
となり、AB=11.3 を代入すると約5.2m。前回の4mより約1.2m長くなります。
第2問(30点・必答)2次関数/データの分析
〔1〕動く2点P、Qと三角形PBQの面積
開始から t 秒後の点を P=(t,0) とします。Qは最初の3秒でCからOへ進み、その後Cへ戻るため、
- 0≤t≤3:Q=(0,6−2t)
- 3≤t≤6:Q=(0,2t−6)
です。B=(4,6)とし、座標の行列式で面積Sを求めると、
- 0≤t≤3:S=t²−4t+12=(t−2)²+8
- 3≤t≤6:S=−t²+10t−12=13−(t−5)²
となります。t=1ではS=9。最初の2秒間では最小8、最大12、全区間では最小8、最大13です。
S≤10を解くと、前半は 2−√2≤t≤3、後半は 3≤t≤5−√3。時間の合計は
(3−(2−√2))+((5−√3)−3)=3−√3+√2
秒です。
〔2〕マラソン記録のヒストグラム、箱ひげ図、標準得点、散布図
幅30秒のヒストグラムの度数は、Aが360〜390:1人、390〜420:2人、420〜450:1人、450〜480:9人、480〜510:10人、510〜540:19人、540〜570:8人。Bが270〜300:0人、300〜330:1人、330〜360:0人、360〜390:3人、390〜420:5人、420〜450:10人、450〜480:16人、480〜510:14人、510〜540:1人である(各階級は左端を含み右端を含まない)。Aの最頻値を含む階級と、Bの中央値を含む階級を、270〜300から540〜570までの10階級から選ぶ。
中央値線を省いた箱ひげ図では、Aは最小値約375、第1四分位数約480、第3四分位数約540、最大値約555秒、Bは最小値約295、第1四分位数約435、第3四分位数約485、最大値約520秒と読める。速い方から13番目の差を5、15、25、35、45、55秒から、四分位範囲の差の絶対値を0〜20、20〜40、40〜60、60〜80、80〜100秒の区間から選ぶ。
A、Bの速い方から5番目の記録・平均・標準偏差は、それぞれAが376・504・40秒、Bが296・454・45秒である。記録=平均+z×標準偏差 と定め、記録とzの両方でどちらが優れるか答える。
さらに3種目すべての記録がある日本人男子のマラソン上位50人を調べる。散布図の横軸・縦軸は、マラソン対10000mでは約320〜520秒・1640〜1720秒、5000m対10000mでは約780〜840秒・1640〜1720秒。前者は点が広く散り、後者は右上がりにより密集している。「マラソン上位3人の10000mは3人とも1670秒未満」「マラソンと10000mの相関の方が5000mと10000mより強い」の正誤を判定する。
図1の最も度数が高い階級は510秒以上540秒未満なのでサ=8。図2は50人分のため、中央値は25番目と26番目の間です。450秒未満の累積度数は19人で、480秒未満までに35人となるため、25番目と26番目はいずれも450秒以上480秒未満に入り、シ=6です。
箱ひげ図では速い方から13番目がおおむね第1四分位数に対応します。AとBの差は約45秒なのでス=4。AとBの箱の幅、すなわち四分位範囲の差は20秒未満なのでセ=0です。
Bの5位選手の標準得点は、
z=(296−454)/45=−158/45=−3.511…
です。Aの5位選手は (376−504)/40=−3.2。実タイムも標準得点もBの選手の方が優れるのでツ=1です。
散布図では、マラソン上位5人の10000m記録はいずれも1670秒未満です。一方、5000mと10000mの点群の方が直線状にまとまっており、マラソンとの相関の方が強いとはいえません。したがって「前者は正、後者は誤」のテ=1です。
第3問(20点・選択)全種類のカードがそろう確率
(1)A、Bが1枚ずつ入る箱で、2回、3回、4回の試行までに両方が少なくとも1回出る確率を求める。
(2)A、B、Cが1枚ずつ入る箱で、3回目、4回目、5回目の試行で初めて3種類がそろう取り出し方の数と確率を求める。「n回目で初めてそろう」とは、n回までに3種類すべてが出て、いずれか1種類がn回目に初登場することをいう。
(3)A、B、C、Dが1枚ずつ入る箱で、6回目に初めて4種類がそろう確率を求める。誘導では、最初の5回のうち3回目、4回目、5回目に初めてA、B、Cだけがそろい、6回目にDが初登場する場合などへ分ける。
A、Bの2種類
n回で両方が一度以上出る並びは、全2ⁿ通りから「すべてA」「すべてB」の2通りを除いた 2ⁿ−2 通りです。n=2では2/4=1/2、n=3では6通り、n=4では14通りで確率は14/16=7/8です。
A、B、Cの3種類が最後の試行で初めてそろう
3回目で初めてそろう並びは3!=6通り。4回目で初めてそろう場合は、最後に出る種類を3通りから選び、最初の3回に残り2種類を両方出すので 3×(2³−2)=18 通り、確率2/9です。5回目なら 3×(2⁴−2)=42 通りです。
A、B、C、Dの4種類が6回目で初めてそろう
最後に初登場するカードを4通りから選びます。最初の5回で残り3種類がすべて出る並びは包除原理から
3⁵−3×2⁵+3=150
通り。したがって有利な並びは600通り、確率は 600/4⁶=75/512 です。誘導中の内訳は、3回目までに3種類がそろう場合が 6×3²=54 通り、4回目でそろう場合が 18×3=54 通りです。
第4問(20点・選択)n進数タイマー
(1)T6の40秒後の表示と、T4の2進数10011秒後の表示を求める。
(2)T4が初めて000へ戻る秒数と、T4・T6が同時に初めて000へ戻る秒数を求める。
(3)T4が012を示す時刻lの合同条件を求め、T3・T4が初めて同時に012を示す時刻mを求める。最後に、T4・T6が初めて同時に012を示す時刻はmより前、m、mより後、または一度もない、の4択から選ぶ。
T6で40秒後の表示は、40=1×6²+0×6+4 より104。T4では問題文の2進数 10011₂=19₁₀ を4進数に直し、19=1×4²+0×4+3 より103です。
3桁のT4は 4³=64 秒ごと、T6は 6³=216 秒ごとに000へ戻ります。同時に000へ戻る最初の時刻は、
lcm(64,216)=2⁶×3³=1728 秒です。
T4が012を示す条件は、012₄=6 なので ℓ≡6 (mod 64)。T3とT4が同時に012となる時刻mは、
m≡012₃=5 (mod 27)、m≡6 (mod 64)
を満たす最小の正数で、m=518です。
T4とT6が同時に012なら、t≡6 (mod 64) かつ t≡012₆=8 (mod 216) が必要です。しかし前者は8で割ると余り6、後者は余り0で両立しません。よって同時に012になることはなく、テ=3です。
第5問(20点・選択)星形五角形と円
(1)三角形AQDを横切るCE、BEにメネラウスの定理を用い、QR:RD、QB:BD、BQ:QR:RDを求める。式 (QR/RD)×(DS/SA)×(□/CQ)=1 の□はAC、AP、AQ、CP、PQから選ぶ。
(2)P、Q、R、S、Tが同一円周上にあり、AC=8とする。ATとDRを求め、AQ・CQとBQ・DQを比較して、Dが3点A、B、Cを通る円の内部・周上・外部のどこにあるか判定する。さらに CR=RS=SE=3 を用い、A、Bが3点C、D、Eを通る円の内部・周上・外部のどこにあるか判定する。
〔1〕メネラウスの定理で線分比をつなぐ
AP:PQ:QC=2:3:3よりAQ:QC=5:3、AC:CQ=8:3です。AT:TS:SD=1:1:3よりSA:SD=2:3。三角形AQDを横切る直線CEにメネラウスの定理を使うと、
(QR/RD)×(DS/SA)×(AC/CQ)=1
なので (QR/RD)×(3/2)×(8/3)=1、したがってQR:RD=1:4です(アはAC)。同様に直線BEについて計算するとQB:BD=3:8。QD=QR+RD=5の比をそろえると、BQ:QR:RD=3:1:4です。
〔2〕方べきで円との位置関係を判定する
P、Q、R、S、Tが同一円周上でAC=8とします。比からAP=2、AQ=5。点Aの方べきより AP×AQ=AT×AS で、AS=2ATだから
10=2AT²
したがってAT=√5(カ=5)です。同様の計算からDR=4√3。先ほどの比BQ:QR:RD=3:1:4より、BQ=3√3、DQ=5√3なので、
BQ×DQ=3√3×5√3=45
です。一方AQ×CQ=5×3=15なので AQ×CQ<BQ×DQ。円ABCが直線BDと再び交わる点をXとすると、方べきより AQ×CQ=BQ×XQ。したがってXQ<DQで、Dは円ABCの外部にあります。
さらにCR=RS=SE=3です。円CDEと直線ADの、Dではない交点をYとすると、交わる弦の定理から SD×SY=SC×SE=6×3=18。SD=3√5 なので SY=6/√5<SA=2√5 です。YはSとAの間にあり、Aは円の外部です。
同様に、円CDEと直線BDのDではない交点をZとすると、RD×RZ=RC×RE=18。RD=4√3 より RZ=3√3/2 です。一方 RB=RQ+QB=√3+3√3=4√3 なのでZはRとBの間にあり、Bも円の外部です。したがってス=2、セ=2です。
全問の答えを確認する
上の最終答案は、大学入試センター公表の正解表と全記号を照合しています。学習するときは、正解記号だけでなく「2次関数を区間で分けたか」「初めてそろう条件を入れたか」「進数を合同式に直したか」「円を方べきで判定したか」を確認してください。
続けて学ぶ場合は、共通テスト2024 数学Ⅱ・B 全問解説、共通テスト2024 追試 数学Ⅰ・A 全問解説もご利用ください。年度別の一覧は大学入試数学 過去問解説ハブにまとめています。


