本試験の解説は共通テスト2024 数学Ⅱ・B 全問解説(本試験)、同じ回の数学Ⅰ・Aは共通テスト2024 追試験 数学Ⅰ・A 全問解説にあります。一次資料は、大学入試センターの令和6年度 追・再試験の問題と令和6年度 追・再試験の正解です(2026年8月7日確認)。
全体の構成と配点
| 大問 | 選択 | 配点 | 単元 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 必答 | 30 | 指数・対数/三角関数 |
| 第2問 | 必答 | 30 | 微分・積分 |
| 第3問 | 選択 | 20 | 確率分布と統計的な推測 |
| 第4問 | 選択 | 20 | 数列 |
| 第5問 | 選択 | 20 | ベクトル |
第1問〔1〕 底の変換と対数の不等式(ア〜ソ)
(1) t = log₃x とおくと x = 3ᵗ(ア = ②)。両辺の2を底とする対数をとって log₂x = t log₂3(イ = ②)、これを t について解けば
t = log₂x / log₂3(ウ = ④)
これがそのまま底の変換公式です。「底をそろえてから比べる」というのが第1問全体の方針になります。
(2)(i) f(x) = log₂x + log₃x を2を底に統一すると
f(x) = log₂x + log₂x/log₂3 = (1 + 1/log₂3)·log₂x → A = 1 + 1/log₂3(エ = ⓐ)
g(x) = (log₂x)(log₃x) = (log₂x)²/log₂3 → B = 1/log₂3(オ = ⑤)
X = log₂x とおくと AX > BX²、すなわち X(BX − A) < 0。B > 0 なので
0 < X < A/B = (1 + 1/log₂3)·log₂3 = 1 + log₂3(カ = ⓪、キ = ⑧)
X = log₂x を戻すと 2⁰ < x < 2^(1+log₂3) = 2·3。よって 1 < x < 6(ク = 1、ケ = 6)
(ii) 底が 1/2、1/3 になると符号が反転します。log_{1/2}x = −log₂x(コ = ①) であることから
F(x) = −log₂x − log₃x = −f(x)(サ = ①)、G(x) = (−log₂x)(−log₃x) = g(x)(シ = ⑤)
F > G は −f > g、つまり f + g < 0。AX + BX² < 0 を解いて −(1+log₂3) < X < 0、したがって
1/6 < x < 1(ス/セ = 1/6、ソ = 1)
(i) の 1 < x < 6 と区間が逆数の関係になるのは、底が1より小さい対数では符号が反転するためです。
この方法でうまく解ける理由は、底を2にそろえると、和と積を X = log₂x の一次式・二次式として同じ土俵で比較できるからです。
検算:x = 1 と x = 6 では等号になり、区間内の x = 2 では実際に f(x) > g(x) となります。
よくある誤り:底が1/2、1/3のときは各対数の符号が反転しますが、積 G(x) の符号は反転しません。
第1問〔2〕 正接の2倍角と表の読み取り(タ〜ネ)
(1) tan2x = sin2x/cos2x の分子に2倍角を入れると 2 sinx cosx(タ = ⑧)。分母・分子を cos²x で割れば
tan2x = 2tanx/(1 − tan²x)(チ = ⓑ)
tan(π/2 − α) = 1/tanα を使うと
tan(π/2−2x)/tan(π/2−x) = (1/tan2x)/(1/tanx) = tanx/tan2x = (1 − tan²x)/2(ツ = ⑥)
(2) 0 < x < π/4 では 0 < tanx < 1、よって 0 < tan²x < 1。したがって
0 < (1−tan²x)/2 < 1/2(テ = ⓪、ト = ⑤)
(3) tan(π/2 − 2x) = tan89° より π/2 − 2x = 89°。度数法に直すと 2x = 90° − 89° = 1°、つまり
x = 0.5° = π/360(ナニヌ = 360)
このとき π/2 − x = 89.5° です。②の不等式に代入すると
0 < tan89°/tan89.5° < 1/2 → tan89.5° > 2 tan89° = 2 × 57.29 = 114.58
よって tan89.5° は 110以上(ネ = ⑨)。この不等式により、表にない値でも下限を判断できます。
この方法でうまく解ける理由は、比を (1 − tan²x)/2 に直すと、0 < tan x < 1 だけで値の範囲を決められるからです。
検算:2 × 57.29 = 114.58 なので、tan89.5° > 114.58 から解答群の「110以上」が選べます。
よくある誤り:この計算で得られるのは tan89.5° の下限です。114.58を実際の値だと断定しないようにします。
第2問 3次関数の増減と面積(ア〜ヌ)
f(x) = x³ − 3x² + 6 について考えます。
(1) f′(x) = 3x² − 6x(ア = 3、イ = 6) = 3x(x−2) なので、x = 0 で極大値 6、x = 2 で極小値 2(ウ〜カ = 0, 6, 2, 2)。
3 ≤ x ≤ 5 では f′ > 0(単調増加)なので最大は x = 5、最小は x = 3(キ = 5、ク = 3)。
1 ≤ x ≤ 3 では f(1) = 4、f(2) = 2、f(3) = 6 なので最大 x = 3、最小 x = 2(ケ = 3、コ = 2)。極小点が区間内にあるので端点だけ見ては誤ります。
(2) 区間 [t, t+1] で M(t) = f(t+1) かつ m(t) = f(t) となるのは、その区間で f が単調増加のとき。f は x ≤ 0 と x ≥ 2 で増加なので
t + 1 ≤ 0 または t ≥ 2、すなわち t ≤ −1、2 ≤ t(サシ = −1、ス = 2)
逆に単調減少(0 ≤ x ≤ 2)となるのは 0 ≤ t ≤ 1(セ = 0、ソ = 1)。
このとき M(t) − m(t) = f(t) − f(t+1) を計算すると
f(t+1) = t³ − 3t + 4 なので f(t) − f(t+1) = −3t² + 3t + 2
上に凸の2次関数なので、頂点 t = 1/2(タ/チ = 1/2) で最大です。
(3) 0 ≤ t ≤ 1 で線分 ℓ₁ が通過する部分は、y = f(x) と x軸に挟まれた 0 ≤ x ≤ 1 の領域そのもの。f(0) = 6、f(1) = 4 でこの区間は正なので
面積 = ∫₀¹(x³−3x²+6)dx = [x⁴/4 − x³ + 6x]₀¹ = 1/4 − 1 + 6 = 21/4(ツテ/ト = 21/4)
(4) g(x) = x³ − 6x² + 6x + 2 との差をとると
f(x) − g(x) = 3x² − 6x + 4。判別式は 36 − 48 = −12 < 0 で、x² の係数が正なのでつねに正(ナ = ⓪)
よって線分 ℓ₂ は上端が f、下端が g で固定され、面積は素直に
S = ∫ᵣ^{r+1}{f(x) − g(x)}dx(ニ = ④)
計算すると S = f(r+1) − f(r) + 4 = 3r² − 3r + 2。頂点が r = 1/2 なので、r が 0 から 1 まで動くとき S は減少してから増加する(ヌ = ③)。
この方法でうまく解ける理由は、最大・最小は導関数の符号で候補を絞り、面積は上側の関数から下側の関数を引けば一つの積分にできるからです。
検算:f(0) = 6、f(2) = 2。また S(0) = S(1) = 2、S(1/2) = 5/4 なので、Sは減少してから増加します。
よくある誤り:区間内の極値を調べず端点だけを比較したり、f(x) − g(x) の上下を逆にしたりしないようにします。
第3問(選択)二項分布と信頼区間
確率 p で「はい」と答える質問を3人組に行い、ちょうど1人だけが「はい」となる確率を扱います。
(1) 3人中1人だけなので q = f(p) = ₃C₁ p(1−p)²(ア = 1)。
f(1/3) = 3·(1/3)·(2/3)² = 4/9(イ/ウ = 4/9)。図1のとおり p = 1/3 で最大になります。
(2) 9組中2組だったので q = 2/9。f(p) − 2/9 = 0 の両辺を9倍すると
27p³ − 54p² + 27p − 2 = 0
これを3で割った 9p³ − 18p² + 9p − 2/3 と (p − a)(9p² − 12p + 1) を係数比較すると a = 2/3。よって
(p − 2/3)(9p² − 12p + 1) = 0(エ/オ = 2/3)
(3)(i) 100組それぞれについて「1人だけはい」かどうかを見るので、その組数 X は二項分布 B(100, q) に従います(カ = ③)。信頼区間 0.17 ≤ q ≤ 0.33 に 2/9 ≒ 0.222 が入ることが確認できます。
(ii) 一方、1組(3人)で「はい」と答える人数 Y は B(3, p) に従い(キ = ⓪)、E(Y) = 3p(ク = ⓪)。
標本平均 Ȳ = 1.96、標本標準偏差 0.90、n = 100 なので、3p の信頼区間は
1.96 ± 1.96 × (0.90/√100) = 1.96 ± 0.1764
3で割って p の信頼区間は 0.5945 ≤ p ≤ 0.7121、最も近いのは 0.59 ≤ p ≤ 0.71(ケ = ①)。
「グループ数を数える」方法と「人数の平均を使う」方法で、同じ p を別ルートから推定しているのがこの問題の構造です。後者の方が情報を多く使うぶん区間が狭くなります。
この方法でうまく解ける理由は、「1人だけはいとなる組数」と「1組で、はいと答える人数」を別の確率変数として置くと、それぞれ二項分布を正しく使えるからです。
検算:q(1/3) = 3・(1/3)・(2/3)² = 4/9。信頼区間は (1.96 ± 1.96・0.90/10)/3 = 0.5945…〜0.7121…です。
よくある誤り:Xは B(100, q)、Yは B(3, p) です。試行回数と確率を入れ替えないようにします。
第4問(選択)2直線を往復して作る数列
① y = 2x と ② y = mx + 4 の間を、水平・垂直に往復して点を作っていく設定です。
(1) m = 2 のとき。P₁(0, 4) から水平に進んで ① と交わるのは 4 = 2x より Q₁(2, 4)(ア, イ = 2, 4)。そこから垂直に進んで ② と交わるのは x = 2 で y = 8、P₂(2, 8)(ウ, エ = 2, 8)。
一般に Pₙ の y座標を aₙ とすると、水平移動先 Qₙ の x座標は aₙ = 2x より aₙ/2(オ = ②)。そこから ② に乗るので
a_{n+1} = 2·(aₙ/2) + 4 = aₙ + 4(カ = ⑦)
a₁ = 4 の等差数列なので aₙ = 4n(キ = ⓪)。
(2) m = −1 のとき。同じ手順で b₁ = 4、
b_{n+1} = −(1/2)bₙ + 4(ク = 4、ケコ/サ = −1/2、シ = 4)
不動点を β とすると β = −β/2 + 4 より β = 8/3。b_{n+1} − 8/3 = −(1/2)(bₙ − 8/3) となり、初項 b₁ − 8/3 = 4/3 の等比数列。よって
bₙ = (4/3)(−1/2)^{n−1} + 8/3(ス/セ = 4/3、ソタ/チ = −1/2、ツ/テ = 8/3)
(ii) cₙ = Q_{n−1}Pₙ(垂直)、dₙ = PₙQₙ(水平)。Q_{n−1} を (q, 2q) とすると bₙ = −q + 4 から q = 4 − bₙ。これを使うと
cₙ = |8 − 3bₙ|、dₙ = |(3/2)bₙ − 4| = (1/2)cₙ(ト = ⓪)
さらに c_{n+1} = |8 − 3b_{n+1}| = |(3/2)bₙ − 4| = (1/2)cₙ(ナ = ⓪)。つまり dₙ と c_{n+1} は同じ値です。
c₁ = |8 − 12| = 4 なので cₖ = 4(1/2)^{k−1}。したがって
Sₙ = Σ(cₖ + dₖ) = (3/2)Σcₖ = (3/2)·8{1 − (1/2)ⁿ} = 12{1 − (1/2)ⁿ}(ニ = ⑦)
折れ線の長さが 12 に収束していく、という結論です。
この方法でうまく解ける理由は、一次漸化式から不動点 8/3 を引くと等比数列になり、折れ線の各辺の長さも公比1/2の等比数列として扱えるからです。
検算:一般項から b₁ = 4、b₂ = 2、b₃ = 3 が得られ、漸化式と一致します。また S₁ = 6、S₂ = 9、極限は12です。
よくある誤り:長さには絶対値が必要です。また同じになるのは dₙ と cₙ ではなく、dₙ と c_{n+1} です。
第5問(選択)内分点とベクトルの分解
(1) 線分OAを (1−t):t に内分するので OP = (1−t)a(ア = ②)、線分OBを t:(1−t) に内分するので OQ = t b(イ = ⓪)。
さらに線分PQを t:(1−t) に内分するので
OR = (1−t)·OP + t·OQ = (1−t)²a + t²b(ウ = ⑦、エ = ④)
内分を2回重ねるため、係数が2乗で現れます。
(2) t = 1/3 のとき OR = (4/9)a + (1/9)b。9等分の格子で「OA方向に4、OB方向に1」の位置なので R₁(オ = ①)。
(3)(i) OC = a + b、D は直線BC上で BC 方向は C − B = a。BD:OA = k:1 で D は C と反対側なので
OD = −ka + b(カ = ②)
OC ⊥ OD より (a+b)·(−ka+b) = 0。展開して整理すると
−k(|a|² + a·b) + (|b|² + a·b) = 0 → k = (|b|² + a·b)/(|a|² + a·b)(キ = ④)
(ii) c = OC、d = OD とおいて a, b を逆に解きます。c − d = (1+k)a、kc + d = (1+k)b なので
a = (1/(k+1))(c − d)(ク = ①)、b = (1/(k+1))(kc + d)(ケ = ③)
これを OR = (1−t)²a + t²b に代入して c, d で整理すると、c の係数は (1−t)² + kt² = (k+1)t² − 2t + 1、d の係数は −(1−t)² + t² = 2t − 1。よって
OR = (1/(k+1)){(k+1)t² − 2t + 1}c + (1/(k+1))(2t − 1)d(コ ⑤、サ ②、シ ①、ス ②、セ ①)
(iii) ℓ は O を通り OC に垂直な直線で、d は ℓ に沿った向きです。したがって R と ℓ の距離は OR の c 成分だけで決まります。
その係数 (k+1)t² − 2t + 1 は下に凸の2次式なので、微分して 2(k+1)t − 2 = 0、すなわち
t = 1/(k+1)(ソ = ⑥)
k > 0 よりこの値は 0 < t < 1 を満たします。垂直な2ベクトルに分解すると、距離の最小化は1変数の2次関数の最小化に帰着します。
この方法でうまく解ける理由は、c と d が垂直なので、直線ℓまでの距離は OR の c 成分の大きさだけで決まり、その係数を2次関数として最小化できるからです。
検算:t = 1/(k+1) を代入すると、c の係数は k/(k+1)² となり、微分して得た最小点と一致します。
よくある誤り:内分比を逆にしてP、Qの係数を取り違えないこと、距離は c の係数そのものではなく |c| を掛けた値であることに注意します。
この回の総評
全体を通して、「そろえてから比べる」という発想が繰り返し問われました。第1問は底をそろえ、第5問は垂直な2ベクトルに分解する。どちらも、そろえた瞬間に問題が一段やさしくなります。
第2問は極小点が区間内にあるかどうかで最大最小の場所が変わる典型で、端点だけを調べると誤答につながります。第4問は dₙ = c_{n+1} に気づけば等比数列の和として計算でき、第3問は同じ p を2通りのルートで推定させる構成でした。
※本記事の解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答ではありません(すべての設問について大学入試センター公表の正解と照合しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
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